ちなみにウッズの家族が初登場します。
[大江戸町で暗躍する組織]
此処はアニメタウンのある町、大江戸町。此処では時折、密かに暗躍する謎の集団が居るとの情報を得て、修司と変身怪獣はこの街に来て調査していた。
「……おい変身怪獣、この街には怪しげな一味が暗躍しているという情報は間違いないだろうな」
「ああ間違いない。そいつらは天狗の面をつけて度々この大江戸町に現れていると云う情報が入ってきている。何らかの犯罪組織的なニオイがするだろ」
「……まぁ、取りあえず情報収集するとしますか」
修司と変身怪獣はそれとなく町の住民に聞き込みをしたが大した情報は得られなかった。
「……はぁ、全く。何処の奴らも『そんな集団見た事ない』とか言いやがって。確かにこの街を根城にして暗躍している組織があるのは確かなんだが……」
修司が一人、公園のベンチで休んでいたその時、数人の男たちが突然修司を取り囲む。
「おい少年、君はこの街で活動している組織に付いて調べているらしいな」
「うん? ああ、そうだけど」
「誰に頼まれて調べているのだ?」
「……別に。誰にでもなく自分で勝手に調べているんだよ。……そう言うアンタらは?」
「「「………………」」」
修司の質問返しに、三人の男達は無言を貫く。
「……何も言う事がなければ、俺はこのまま去るぜ」
修司がそう言い残し、去ろうとすると、男達が修司の眼前に立ち塞がった。
「待て!」
「俺に何の用だ……さては、アンタらその一味と関わりのある輩なのかい?」
修司が挑発するように男達に言い寄ると、男達はケムリ玉を地面に投げつけ、辺り一面煙幕を張って、そのまま消え去ってしまった。
「ごほっ……い、一体なんだったんだ、今の連中は?」
修司が男達を見失った直後、修司が携帯している無線が鳴った。
「こちら小田原修司、どうぞ」
「こちら変身怪獣、修司何だか怪しげな男二人がとある屋敷をずっと見張っている。これはかなり怪しいぞ、どうぞ」
「うむ、解った。俺もそっちに向かうよ。それで場所は……」
修司が変身怪獣からの無線を切り、すぐさま怪しい二人組が見張っているという屋敷に向かった。
しかし、このとき木の上で密かに修司を見張っている女と先ほどの男達が合流しているのに修司は気付かなかった。
「頭領すいません、あの少年、中々の使い手の様な気がしまして……」
「ええ、構わないわ。私から見てもあの少年が黒天狗党の一味とは到底思えないし……ただ、何の目的が有ってこの街で色々調べているか、それを知る必要はあるそうね」
「はっ、それではいかほどに?」
「……そうね、まずはこのまま彼に気づかれない様に尾行して、何処に向かったのか確かめましょう」
『御意!』
女と男達は、修司に気づかれないよう慎重に修司を尾行した
[大江戸町・三丁目のお化け屋敷]
「おお相棒! こっちだこっちだ」「変身怪獣、何かどうした?」
修司が変身怪獣に呼ばれてやってきたのが、とても大きくそして古い木造の屋敷であった。
「……見るからに怪しげな建造物だな」
「まぁな、この家は別名《三丁目のお化け屋敷》って呼ばれている程、古い家なんだ」
「そうか……ところで住んでいる人間は誰なのか解るか?」
「ああ、住んでいるのは[花丘」って家族で祖父とその孫娘、そしてその母親だ」
「んっ、三人だけか? 父親は? そしてその一家は普段何をしているんだ?」
「母親はニュースキャスターで花丘玲子、結構有名なキャスターらしいな」
「うんっ? その名前なら俺も知ってるぞ。確か朝のニュース番組[花丘玲子のおはよう7」のメインキャスターじゃないか?」
「ああ、それとその夫。コイツは有名な物理学者[花丘魁(かい)]らしい。現在は行方知らずだ」
「花丘魁と言えば、いきなり学会から逃げるように消えた学者じゃないか……噂じゃある組織に狙われて追われる身となったって」
「その組織って言うのが、今回俺たちが調べに来た組織なのかもな……有名で謎の失踪をした物理学者の実家のある町で暗躍する組織が居るってのも、辻褄が合いすぎる……」「う~ん、あっ、そうそう。さっきお前の報告に有った屋敷の周りをうろつく男二人ってのは?」
「ああ、それならホラ、屋敷内の松の木の上で、屋敷の中を見ているぜ」
「本当だ、あからさまに怪しいな」
修司と変身怪獣が二人組を見張っていると、急に男達が屋敷の敷地内から飛び出して来た。
「うんっ、何か反応が有ったようだ」
「あの二人、何かを追っているな」
男二人の視線の先には、屋敷から出て来た少女一人と少年二人、更に幼い男の子が後から付いてくるかの如く四人を追走する。
「んっ、あの子供達は……」
「一人はこの花丘家の娘で確か[イサミ]って女の子だな。後の二人はクラスメイトで[月影トシ]と[雪見ソウシ]、一番最後の方から付いて来たのが月影トシの弟で[月影ケイ]って幼稚園児だったな」
「おおっ! 良くそこまで調べあげれたもんだ!! やっぱりテレパスも駆使して調べたのか?」
「あ、ああ……ま、まぁ堅い事は言わないでくれよ相棒。テレパスでも使わなきゃこんなに一気に短期間で調べられないんだよ」
「まぁ、そうだろうな。あっ、そんな事より、さっきの子達を追わねえと。あの男二人も一緒に付いていってしまったようだしな」
二人は花丘家を見張っていた男二人と少年少女4人を追いかけた。
[子供たちとガンバマンキング]
修司達は男二人と子供四人を追って、町はずれの工場にやって来た。そこは人気のない寂しげな雰囲気が漂っていた。
「はぁ、さ、さっきの奴等は?」
「こ、子供達に何かあってたら大変だぞ」
二人が辺りを捜索して、子供たちや二人組の姿を見つけようとしていたその時、工場の奥から人の叫び声が聞こえた。
「ギャーーー」
「わっ、な、何だ?」「行くぞ変身怪獣!」
二人は急きょ、声のした方に向かって行った。すると其処には黒い天狗の面をした集団と、それに取り囲まれている先ほどの4人組が居た。
「た、大変だ。子供たちが襲われているぞ!」
「なるほど、コイツ等が巷で色んな事件を起こしている天狗集団[黒天狗党]だな!」
「く、黒天狗党って確か噂になっているだけでその存在は謎に包まれている犯罪組織じゃないか! こ、この大江戸町で噂になっている暗躍する組織って、コイツらの事だったのか!」
「ああ、それになぜか女の子だけが光の剣みたいな武器で戦っている」
「女の子だけじゃ危ねえだろうに…」
「よしっ、変身怪獣。俺たちも変身してあの子らに加勢するぞ」
「よ、よっしゃ! いっちょやってやろうじゃねえか」
二人が変身しようとしたその時だった。
「ふははははっ、そこまでだ! 黒天狗党!」
「なっ、何者だ!」
謎の声のする方へ黒天狗党の者達が視線を向けると、一人の人物が立っていた。
「えっ」「おうっ、あ、あのシルエットは…!」
「ま、まだあの男か…」「ガ、ガンバマンキング!」
イサミ・トシ・ソウシ・ケイも見詰める先には、謎の男が。
「ふはははっ、か弱い少年少女を苦しめる悪党、黒天狗! お前等の好きにはさせないぞ!」
「な、なんだあのヤロウ……」
「あ、あれって……確か特撮のヒーローで[ガンバマン]って言うキャラの最終形態だったような……」
陰で呆然と見ている修司達をよそに、ガンバマンキングはその場の黒天狗党の戦闘員であるカラス天狗達を一掃した。
「ははは……君達、もう大丈夫だよ」
「あ、ありがとうっ、ガンバマンキング!」
「か、カッコ良かったぜ!」
「一体あなたは誰なんですか?」
ガンバマンキング礼を述べるイサミやトシに対してソウシが疑問をぶつけると、トシが当たり前の様に言った。
「バカだなぁソウシは。ヒーローが自分から正体明かす訳ないだろ?」
「き、君にバカ呼ばわりされる筋合いはない!」
「まあまあ二人共、ケンカは止めて。それにしても毎回助けてくれてありがとうございます。ガンバマンさん」
「はっは、君達も悪しき黒天狗党に立ち向かう勇気は認めるが余り無茶な行為はしてはいけないよ。それでは!」
四人にそう言い残し、ガンバマンキングの格好をした男は去っていった。
「な、何者なんだ。あの男は……?」「……変身怪獣、後を付けるぞ」
二人はそのまま、男の後を追った。
[魁博士と瑠美乃一族]
「はぁ、はぁ……こ、此処までくれば変装を解いても大丈夫かな?」
そう言うと、男はガンバマンの衣装を脱ぎ、顔に包帯、目にはサングラス、頭に黒い帽子を被り、そして全身コートの身形でその場を後にしようとした。
だが謎の男の眼前に変身した修司と変身怪獣が立ち塞がる。
「う、うわっ! だ、誰だお前等は!?」
「まずは主から名乗れば良かろう……!」
「まったく、さっきの特撮ヒーローの時とは随分雰囲気が違うな」
聖龍使いが聖龍剣の切っ先を謎の男に向ける中、メタルバードが先ほど感じられた威勢が無い事に呆れていた。
「お、お前等。もしかして黒天狗党の一派なのか!?」
「それは勘違いも甚(はなは)だしい、ワシ等はどう見ても怪しい主を警戒しているにすぎん」
「さっきは子供たちを助けていたけど、アンタは一体……」
「そ、それは……」
聖龍使いとメタルバードに問い詰められて言葉を詰まらせる男に、聖龍使いが言い放つ。
「ううむ、構わん! メタルバード、主のテレパスでこの者の心を読んでその正体を探るのじゃ!」
「テ、テレパス?」
「了解、相棒……」
聖龍使いに指示されたメタルバードはテレパスで男の心の中を覗き込んだ。するとメタルバードは驚いた。
「お、おい相棒。こ、この男は……!」
「どうしたのじゃ?この男は何者なのじゃ!」
「こ、この男は……行方不明になっていた物理学者・花丘魁博士だぜ!」
「なっ、何じゃと!? 先ほど居た女の子の父親ではないか……!」
「ど、どうしてアンタ達が娘の事を……!」
三人が会話をしていると、何処からともなく忍が使うくないが投げられて来た。
「うむっ!」
聖龍使いは咄嗟にくないを聖龍剣で弾き返した。
「な、何だ今のは?」「くっ」
その騒ぎに乗じて、花丘魁は逃げ出そうとする。
「あっ、待ちやがれ!」
メタルバードは自身の体を触手の様に変形させて、魁博士を縛りつけた。
「くっ、くそ…う、動けん」
「くっ、こ、このオッサンやけに力があるぜ」
メタルバードが魁博士の動きを封じていると、彼等を取り囲むように忍の集団が現れた。
「な、何奴じゃ!?」「こ、今度は何?」「か、彼等は……!」
聖龍使いにメタルバードが驚く中、忍たちを見た魁は彼らを知っている様子だった。
「お兄ちゃんから離れなさい! この鎧武者と鳥!」
彼らの前に赤い忍装で、露出度の高いハイレグレオタードの様な格好のくノ一が現れる。
「な、何者じゃ! 女子よ!」
「う、ウッヒョ~、えらくベッピンのお姉さまだ事♡♡」
メタルバードは相変わらずの態度でメロメロになっていたが、その隙に忍の集団に攻撃された。
「メ、メタルバード!」
無数のくないがメタルバードに直撃したが、鋼の体をしているメタルバードには全く効果がなかった。
「へっ、オレにこんな古典的な道具が通用すると思ったのかい、お嬢様♪」
くノ一の女に挑発するかのごとく、メタルバードは女に声をかけた。
「くっ、くっそ~」
女は一層敵意を出して、メタルバードに襲いかかった。
「おっ、やるか? 美女と一戦やれるなんて儲けモンだぜ♪」
くノ一がメタルバードに襲おうとしたその時、メタルバードに捕らえられていた魁博士が叫んだ。
「やめろ、はるか! この人達はどうも勘違いしているみたいだ。それに、黒天狗党なんかじゃない! 無駄な争いは止めてくれ!」
「くっ……!」
「おんやっ、魁博士が言ったら女の敵意が消えた」
「うむ、何やら訳有りの様じゃな」
魁博士の嘆願にくノ一が動きを止めるのを見て、メタルバードと聖龍使いが彼らの深い事情を察する。
聖龍使いはメタルバードに言って、魁博士の身柄を解放し、魁博士とはるかと言うくノ一達と話をした。
「では、改めて名を申す。拙者はこの街を守護する存在で聖龍使いと申す。そして隣にいるのが拙者の相方メタルバードでござる」
「宜しく」
「さ、先ほどは失礼しました。貴方達が黒天狗党の手の者かとばかり思ってしまって……私はメタルバードさんが申しつけたとおり物理学者の花丘魁と言います」
「わ、私は高木はるか……く、くノ一よ」
四人の自己紹介を終え、聖龍使いが魁博士に疑問を訊ねてみた。
「うむ、これで互いの自己紹介はすんだな。では主らに問いたい。まず一つは魁博士、お主はなぜ逃げるように黒天狗党に追われているのじゃ?」
「は、はい……じ、実は……」
すると事情を打ち明けようとする魁博士を高木はるかが止めに入る。
「お、お兄ちゃん! コイツら本当に信用しても良いの? 本当に黒天狗党じゃ無くても、ルミノタイトの事を他人に知られたら……」
「んっ? ルミノタイト? なんじゃそりゃ?」
初めて聞く名称にメタルバードが首を傾げていると、聖龍使いが直感する。
「うむ、もしかすると……魁博士、貴殿が黒天狗党に付け狙われているのは、そのルミノタイトとか言う存在が原因なのでは?」
「……は、はい、そうです。ルミノタイトは江戸末期に見つかった人の精神力をエネルギーに変換できる鉱物なんです。黒天狗党は江戸末期から密かにそのルミノタイトを使って、この世界を征服しようと企んでいるんです」
「なるほど……」「世界征服とは……穏やかじゃねえな」
聖龍使いとメタルバードが納得してると、はるかが更に事情を話す。
「魁博士はその鉱物を長年研究してきたけど、それが裏目に出てしまい黒天狗党に追われる身となってしまったのよ。それで今は姿を隠しつつ、娘のイサミちゃんを陰ながら見守っている訳……」
「ふ~ん、なるほど……しかし魁博士、なんでアンタはそのルミノタイトの存在を知っているんだ? 今の現代社会でルミノタイトの存在は確認されてはいないぞ?」
「そ、それは……」
メタルバードの質問に魁博士は言葉を詰まらせていると、聖龍使いがはるかに問い掛ける。
「それに、確か高木はるかと申したな。主と魁博士は兄妹なのか? 先ほど博士の事を[お兄ちゃん]と呼んでいたが」
「そ、それは違うわ……私と博士は昔、瑠美野流忍術を一緒に学んだ仲なのよ。その時から博士の事をお兄ちゃんって呼んでいただけなの」
「うむ? 瑠美野流忍術…とは?」
「る、瑠美野流忍術は私の一族が使う忍術なのよ。私達、瑠美乃一族は代々ルミノタイトを黒天狗党から護って来た忍びの一族なのよ。博士は昔、瑠美野流忍術の修行を積んでいて、その頃からの知り合いなのよ」
「そ、そうなのか……」
はるかの事情を聴いてメタルバードも頷くしかできなかった。
「うむ、では次に博士に問う。主はなぜルミノタイトという鉱物の存在を知っておるのじゃ?」
魁そ、それは……実を言うと我が家の先祖は、あの新撰組の隊員の一人[花丘一作]の末裔であったんです」
「うむ! 新撰組と申すと、あの京の治安を護って来たが時代の流れによって壊滅してしまった京都守護職の新撰組であるか!?」
「い、いえ……私の先祖が勤めていたのはそれとはまた別の組で、いわゆる別働隊で有ったんです。歴史の表舞台には一切出て来ない発明専門の部署だったとか。そ、それがきっかけで先祖はルミノタイトを見つけ研究していたんです。実は黒天狗党もその頃から存在していて、私の先祖と戦っていたと家に伝わる書物に記されていました」
「発明専門のしんせん組……そんな者が居たとは。ところで、主の先祖である[花丘一作]は何か戦うアイテムか何か残していないか? …例えば光の刀みたいな…」
「! あ、貴方達は娘が持っているあの《龍の剣》(りゅうのつるぎ)を見たんですか!?」
一驚する魁博士にメタルバードが訳を話す。
「い、いやな……さっきアンタの娘が友達と戦っているのが目に入ってな。まさかアンタ娘に危ない真似させているのかい?」
「ち、違う……! ただ、私が出ていって黒天狗党に見つかったら無理やりルミノタイトの研究をさせられる。私が出ていけば余計にイサミや妻、家族に害が及んでしまうんだ……!」
「ふ~ん、なるほどねぇ……」
「……と、ところで聖龍使い。先ほどの質問だが、確かにあれは私の先祖が作りだした戦闘用のアイテムだ。同じ発明専門の別働隊であった[月影十郎]や[雪見千助]と共に作りだしたものなんだ」
「んっ? 月影、雪見……って確かどっかで……」
メタルバードが考え込んでいると、聖龍使いが気付く。
「ま、まさかっ! 主の娘のクラスメイトである月影トシや雪見ソウシは……!」
「はい、彼等の先祖も私の先祖と同じ新撰組発明係だったんです! そ、それで娘のイサミと度等を組んで黒天狗党に立ち向かってしまった訳で……」
「なるほどな。しかし、それでも主はただ遠くで見守るか、先ほどの様にコスプレしたりして多少の手助けをする以外できないと云う訳か……」
「は、はい! その通りなんです!!」
魁博士は泣きかけそうな弱弱しい声で聖龍使いに告白する。
「博士を……お兄ちゃんを責めないであげて! 黒天狗党は未だに謎の多い組織で、私たち瑠美乃一族も陰ながら探ったり、イサミちゃん達を見守りながらサポートする以外できないのよ!」
「うむ……」
はるかの告白に腕を組んで考え込む聖龍使いに続き、メタルバードがはるかに物申す。
「しかしよ~お色気の姉ちゃん、あの子たちの日常生活まで見張っている訳にもいかないだろう」
「それは大丈夫。実を言うと私は昼間、学校の教師であの子たちのクラスの担任なのよ。学校では正体を隠してあの子たちを見守っているの」
「なるほど……それなら大丈夫とは言えんが、少しは安心できるのう」
「は、はい……娘達が心配なんですが、私たちだけでは限界が……」
博士の苦悩する心境を察して、聖龍使いが一つ提案を出した。
「……うむ、ではこうしたらどうじゃ? ワシ等の知り合いの市長に彼等を手助けするように申してみるわ。市長が陰ながらあの子たちを助けてくれているなら少しは親として安心できるじゃろ?」
「ええっ? あ、あの小田原市長に……!?」
「し、市長さんと面識があるんですか?」
聖龍使いの提案に、はるかも魁博士も驚いて思わず訊き返した。
「うむ、ワシ等は元々、市長公認のヒーローなのじゃ。困っている者や悪と戦う者に密かに手を貸し、手助けをしているのじゃよ。近々、アニメタウン中で活躍する英雄達を集めるパーティーを開くのでな。其処で主の娘や親友達も招待してヒーロー同士で助け合う組合を作ろうと、市長は考えておるのじゃ」
「ま、街中のヒーロー達を……」
「す、すごい。か、彼等のような。貴方達のようなヒーローが手を貸してくれればイサミ達が危険な目に会う事も少なくなる!いや、上手く行けば黒天狗党も無くなる……!!」
「うむ、では……ワシ等はこれから市長に事の事情を話して、主の娘と友を助けてくれるよう取り計らってもらうわい」
そう言い残して聖龍使い達が立ち去ろうとすると、はるかが二人を呼び止める。
「あっ、貴方達!!」「うむ?」「なんだい、ベッピンのお姉さん」
はるかの呼び止めに反応する聖龍使いとメタルバードに、はるかは訊ねた。
「な、なぜ……そこまでしてくれるの?」
はるかの問いに聖龍使いは笑って話した。
「ふは……ふはははっ。困っている者を助け、悪と戦う者に手を貸すこと。それがワシ等にとっては当り前なだけじゃ」
「そうそう、特に相手がカ弱い女の子だったら余計に助けてあげなきゃいけないのが男ってもんだろ?」
二人は花丘魁博士と高木はるかにそう告げて、その場を去っていった。
「あ、あの二人は……」
「うむ、しかし悪い人には見えない。信用しても良いだろうはるか君」
残された二人は去っていく聖龍使いとメタルバードを見えなくなるまで見続け。
[遂に始動する計画]
修司と変身怪獣は、修司の自宅の地下深くに有るメインフロアで会話していた。
会話の内容は、今後修司が今まで接触して来たヒーローに対して、市長宅であるこの家に招待してそれぞれ面識を持たせるところから始めるとの事柄だった。
「……と言う訳だよ変身怪獣。丁度このフロアの真上のパーティーホールに今まで俺たちと出会ったヒーローや特殊能力者達を誘い出して、俺の組織する【聖龍隊】に取り入れるよう仕向けるんだよ」
「しっかしよ~、初対面の連中が一緒に度等を組んで戦ってくれるのかね~」
「な~に、最初はちょっとコズルイ手段ではあるが、それぞれのヒーローの正体。つまりは裏の顔を全員に教えてやって同じ弱味を共有させてやるのよ。これで誰もが途中で抜け出すなんて事は無くなるだろ?」
「お前は~……ちょっとどころか、かなり姑息だな」
「まぁまぁ……そうやって互いの秘密を共有する事でより深い信頼関係になっていくはずだ。そしてゆくゆくは、この先現れる英雄達も仲間にしていって、それに【異世界運行ゲート】ウッズに頼んで作ってもらっているこの装置を使えば異世界の英雄や国家とも親しみを持つ事ができるはずだ。そうして最終的には、このアニメタウンは全世界で最も発展し、最も平和な国になるはずだ!」
「……お前、案外理想が高いなぁ」
「はっはっは、人間一度っきりの人生だ! 思った事をやらなきゃ勿体無えだろう!!」
「は、はぁ……(コイツの考えにオレの思考が追いつかねえな……)」
二人が会話している時、エレベーターからウッズが出て来た。
「おっ、ウッズ。何か用事かい?」
「ハァ、誰だお前?気安く声掛けるんじゃねえよ」
「あっ、アレっ???」
いつものウッズの反応とは違う事に変身怪獣が動揺していると、エレベーターから更にもう一人のウッズがやって来た。
「おやっ、ウェルズ。こんな所にいたんですね」「ウ、ウェルズ??」
二人のウッズに困惑する変身怪獣に修司が言った。
「はっはっは、そう言やお前とウェルズが顔を合わせるのは初めてだったな。最初に来たこいつがウェルズ。ウッズの双子の弟だ」
「えっ? こ、こいつが話に聞いていたウッズの兄弟!?」
「ああ、そうだよ。宜しくな変身怪獣。アンタの事は兄貴と修司から聞いているよ」
ウッズとは全く雰囲気の違う弟のウェルズに、変身怪獣は驚きを隠せなかった。だが、更にエレベーターから子供が一人出て来たのだった。
「ワーイ、この家広ーい♪」「な、何だ? 今度は子供が!?」
楽しそうに走り回る子供にメタルバードが驚いていると。
「こらっ、ジュニア。走りまわったらいけないだろ」
「ゴメンなさーーい」
ウッズの注意を聞いて大人しくなる子供にも、修司が説明する。
「今度来たのは、ウッズの息子でジュニアっていう子だ。俺とウッズと、それからしばらくはウェルズも一緒に住むし、それにウェルズにはウッズ同様此処のメインフロアを仕切ってもらいながら働いてもらうんだ」
「ああ、俺も兄貴からアンタの思想は聞いているよ。最終的にはドデカイ事をやろうって魂胆なんだろ? 俺も興味が湧いて来て、仕方なくこの人間の地で暮らしていこうと思って来た訳よ」
「はっは。宜しくなウェルズ」
修司は笑いながらウェルズと会話する。
「お兄ちゃーーん、弟の僕も協力させてよ~」
「ははっ、解っているよジュニア」
「おっ、弟……って」
「ん? ああ、俺とジュニアは義兄弟の誓いを立てたんだ。コイツが来た昨日から、俺とジュニアは兄弟何だ。なぁジュニア」
「うん! 僕と兄ちゃんは兄弟なんだー♪」
メタルバードの疑問にジュニアは嬉しそうに跳ね上がる。
「はあ……お、お前の所ってドンドン人がやってくるなぁ」
「ははっ、何せこれから組織を本格的に始動させなきゃいけねえんだしよ。人手も必要になってくるのよ」
そして、会話の最後に修司が告げた。
「いよいよ、全てのヒロインやヒーローを集結させて【聖龍隊】を始動させる。これこそ、俺の野望の本当の第一歩なんだ……!」
そして次回、今まで修司や変身怪獣が接触して来た英雄達が、市長である修司に召集される事となる。