※隊士たち以外のキャラクターである身内と絡む場面もあります。
[不安なアッコ]
翌日、アッコは不安な気持ちのまま登校した。いったい修司は自宅で知らない人達と何をしているのか。この疑問でアッコは前夜から眠れずにいた。
「はぁ~~あ……結局昨日は一睡もできなかったわ。修司はあの人達と、どんな関わりを持っている訳なの?」
そして学校でアッコは勇気を出して修司に問い詰めた。
「ねぇ修司。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「ん? 何だアッコ、改まって…」
ア「……昨日ね、修司の家から知らない人達がゾロゾロと出てきたんだけど、あの人達は一体何なの?」
「えっ? えっと……ひ、人って……?」
「修司の家からさぁ、女の人ばっか出てきたじゃないのよ! しかも中にはハイキングや霊園で出会ったお姉さん達や聖チャペル学園のハニーさんまで居たじゃない!! 一体彼女たちとはどんな関係してるのよ!?」
「えっ、えっ? お、女たちって……お、男も数人居ただろ!?」
「……認めたわね。女の人たちも出入りしている事を」
「!! お、お前……お、俺をカマにかけたのかよ!?」
「ハァ!? そっちが私に内緒で、美人のお姉さん達を家に招き入れていた癖に逆ギレするワケ!!」
そんな修司とアッコの口喧嘩はクラス中に響き渡り、騒ぎを聞きつけ二人の席に大将とモコ達が駆け寄ってきた。
「なんだなんだ、一体どうしたんだよ?」
「二人とも、クラス中に響いているわよ。一体何が有ったのよ?」
「うわ~んっ……モコっ、聞いてよ~。修司ったら私に内緒で市長である自宅に、美っ人で年上の女性や知らない女の子達を招いてハーレム作っているのよ~!」
「えっ、え~!」「マ、マジかよ修司!?」「「ええ~~!?」」
駆け付ける大将やモコ達にアッコは悲痛な叫び声で訴えるも、それがクラス中に響き渡り、流れ流れて隣のクラスに、そしてまた隣にと、まるで伝言ゲームの要領で話が学年中に伝わってしまう。
「おっ、おいアッコ。な、何でよりによってそんなデタラメを……!」
「何がデタラメよ! 他校の女の子や年上のお姉さん達を家に招き入れているのが、何がハーレムじゃないっていうのよ!!」
戸惑う修司に対してアッコは涙目で反論すると、モコと大将も修司を問い詰める。
「ね、ねぇ。し、修司、今の話、本当なの?」
「お、お前は……ア、アッコが居るのにそんな羨まし……い、いやいや。トンデモナイ奴だな!」
「ちっ、違うっ、断じて違う! ア、アッコは勘違いしているだけなんだよ! ハ、ハーレムなんて俺が作るわけないだろ……」
「グスッ、そ、それじゃ昨日の女の子たちは一体何なのよ……」
モコと大将に詰め寄られた修司は、動揺しながらも弁明するがアッコは泣いたまま。そんな泣きながら訴えるアッコに、修司は程々困り果てる。
「そ、それは……(参ったぞ。聖龍隊の事はあくまで機密事項。アッコに漏らすわけにはいかないぞ……で、でもこのまま話さなかったら誤解は更にでかくなる一方だし……)」
修司が困惑してると、其処にに追い打ちをかけるかの如く、他のクラスメイトや別の教室の生徒まで修司たちのクラスにやって来て、修司を責め立てる。
「おい修司、お前家にハーレムなんか作っているのかよ!?」
「ア、アッコちゃんがいるのに……ひ、ひどい!」
2「いいないいな♪市長は家でハーレム作れるなんていいな♪」
「だ、だから違うんだって。誤解なんだよ……」
修司は必死に弁明するも、誤解は中々解けない。
「何が違うんだよ、実際に加賀美はお前の家に女の子たちが出入りしているのを見ているんだぞ!」
「そうよそうよ! アッコちゃんがこんなに泣いているの初めて見たわよ!」
「女の子泣かすなんて、修司ってサイテー!」
「だ、だから……ご、誤解で……」
大勢の女生徒達から責め立てられ、修司は困惑する。
「何が誤解だ! 誤解でアッコがこんなにも泣いてたまるかよ!!」
「そうよ修司! 違うんだったらハッキリと言いなさいよ、男らしくない!」
「そ、それは……」「……グスッ、グスグスッ……」
大将やモコ達には責められるは、アッコには泣かれるはで、修司は完全に学年はもちろん噂が広まった校内にも居場所が無くなってしまった。
その日の帰り道、修司は一人で帰ろうとするアッコに付き添いながら、何とか誤解を解こうと必死にアッコへ弁明し続ける。
「……なぁアッコ、頼むから口利いてくれよ」「…………………」
しかしアッコは口を聞こうとはしなかった。
「……なぁアッコ。本当にアイツ等とは何もないんだよ、ホントだよ」
「……………」
するとアッコは立ち止まり、後ろへ振り返ると修司の顔を見つめて問い質す。
「……それじゃ修司、あの人達とはどうゆう関係なのか説明してくれる……」
「あっ、そ、それはだな……えっ、え~と……」
質問の返答に悩む修司は思わずこう答えた。
「あっ、アイツ等はなアッコ……え、えっと……し、市長としてこの街を良く知っている連中と親睦を深める為の付き合いなだけなんだよ」
「つ、付き合い……」
「そっ、そう! つ、付き合いって奴だ……」
「……何で女性ばっかりなのかしら」
「えっ、えっとそれは……つまりだな……」
返答に詰まる修司は。咄嗟にアッコへ答え返した。
「たっ、たまたま街の抽選で応募してな。そ、それで当選した奴らを俺の自宅に招いてパーティーしてな。そ、それで仲良くしているって訳なんだよ」
「ふ~ん……」
アッコは疑心暗鬼な目付きで呟くと、そのままそそくさと帰ろうと歩き出す。
「ア、アッコ……!」
アッコを呼び止める修司だが、そんな修司にアッコは吐き捨てる。
「……本当かしらね、今の話は」「ギッ、ギクッ……」
挙動不審な修司の態度を見据えたアッコはそのまま帰っていってしまう。
(あ~あ、アッコにはソッポ向かれるわ、学校ではみんなに白い目で見られるわ、明日から最悪な日々の始まりだよ……)
だが、その日の夜、アッコは自室で今日の自分の行動を振り返り、少々大人げなかったかなと反省してた。
「あ~あ、修司にあんなこと言っちゃって……私ったらもう少しまともな言動できなかったのかしら。修司、落ち込んでいるかな……」
そう思ったアッコはコンパクトを開いて唱えた・
「鏡さん鏡さん、修司の部屋の様子を見せてくれるかしら」
するとコンパクトの鏡は修司の部屋の中を映し出す。
「え~と修司は……あっ居た! でも……」
映し出された修司は、いつも以上に孤独なオーラを醸し出していた。
「……修司、いつも以上に寂しそう。私もつい感情的になっちゃってクラスどころか学校中に噂が広まっちゃったし、修司に悪いことしたなぁ……」
修司を憐れむアッコだったが、同時に修司の家に出入りしていた女性陣の事がやはり気になってしまう。
「……でも、本当にあの女の人たちは一体何なのかしら。修司が私に隠し事、いや、普段から余り喋らないのは知っているけど何か隠しているのは分かるのよね。まさか本当にハーレム……いやいや、照れ屋でシャイな修司が女の子を家に、しかもあんなに大勢の女子たちを家に連れ込める度胸なんか無い筈よ」
考え込んだ末、アッコは決断した。
「よ~し、明日から学校帰りに修司の家に来てた子たちを探そう。そして何で修司の家に集まっているのか聞いてみよう」
[加賀美あつこ、ハニーとうさぎ達に接触する]
翌日、アッコは学校帰りに修司の家に来てた人間たちを捜索。そしてなぜ修司の家に集まるのかを聴き込む事にした。
まずは、そんなメンバーの中で唯一アッコが居場所を知っている人物、つまり如月ハニーの聖チャペル学園に向かった。
「突然すいませんミハル先生、私ちょっと如月さんに伺いたい事がありまして……」
「ええ、どうぞどうぞ。市長さんのお友達である加賀美ちゃんならいつだって大歓迎よ」
「あ、あの……き、如月さんは最近なんか何処かに出かけていますか?」
「そうね~、つい先日から市長さんとこに出向いているみたいだけど……」
「ええっ? ほ、本当ですかそれは?」
「え、ええ……知らなかったのアッコちゃんは?」
「はっ、はい……」
「最初はねえ、市長さんところからパーティーへの参加状が直接ウッズさんが校長と理事長の所に届けてくれて、そのパーティーに参加した後から何かと付けて市長さんところに御呼ばれされているのよね~」
「そ、そうですか……あ、あの……如月さんは修司の家に何をしに行っているのかは聞いてませんか?」
「確か、最初にウッズさんが招待状を届けてくださった時も言っていたみたいだけど『市長として、より良い街造りをするために、若い人達の意見を中心に聞いてみたいので我が家に招待するのです』ってウッズさんが言っていたわね。確かその後もちょくちょく呼ばれているみたいだけど……」
「そうですか(やっぱり修司の家にはハニーさんも来ていたのね。でも何でまた……)」
ミハルからの聞き込みで、アッコの中の疑心が微かに増えてしまった。
アッコはそのまま、ミハルに教えてもらいハニーが寝泊まりしている女子寮の彼女の部屋の前まで来た。
ドアをノックすると中から如月ハニーが顔を出した。
「はーーい。あらっ、アッコちゃんじゃないの。どうしたの一体?」
「あ、あの……如月ハニーさんに話したい事がありまして」
「ど、どうしたの急に。まぁ良いわ、中でゆっくり話しましょう」
如月ハニーは、アッコを部屋の中に招き入れ、紅茶を差し出した。
「どうしたの、今日はいきなり、しかも一人で来て……」
「あ、あの……ハ、ハニーさん。き、聞きたい事が有るんですが」
「えっ、どうしたのいきなり……何、話って」
「あ、あの……な、何だかハニーさんは最近修司に呼ばれて彼の家に行っているみたいですけど、何かあるんでしょうか?」
「えっ、えっと……」
「どうなんですか? はっきり答えてほしいんです」
「えっとね……(どうしよう、聖龍隊の事は外部に漏らすなってあれ程言われているし。な、何より私の正体も漏らす事になるし)」
アッコに問い詰められ、ハニーは冷や汗をかき始める。
「え、えっと……ア、アッコちゃんは何でそんなこと急に聞くの? そ、それより何で知っているのかな?」
「わ、私見たんです。一昨日修司の家からハニーさんや綺麗な女性たちがたくさん出てきたのを……」
「え、えっ……つ、つまりねアッコちゃん。私は修司君にね、市長としてのお仕事の御手伝いをしている訳なのよ」
ハニーは咄嗟にアッコへ上手く誤魔化しながら言い訳を述べるも。
「し、市長としての仕事の手伝い……ですか?」
「え、ええ! そ、そうなのよっ。ほ、ほらっ、修司君ところはウッズさんしか手伝いが居ないでしょ? だ、だから私が無償で手伝ってあげているだけなのよ」
「……無償でですか?」
「そうよっ。わ、私みたいな若い女性に手伝ってもらう事で、女性視点から街をどの様に造っていけば良いかが解るって言っていたわ」
「そ、そうですか……若い女性にねえ……」
「ははは……はぁ」
と、アッコに対して苦笑いを浮かべるハニー。
そのままアッコはハニーとの話を済ませて帰ろうとしたが寮を出たそのとき、今度は夏子と出会った。
「あらアッコちゃん。今日は一人でウチの寮に?」
「あっ、夏子さん……」
「どうしたの? 何か顔が冴えないけど……」
「……ねえ夏子さん。最近ハニーさんが修司の自宅にちょくちょく足を運んでるって知ってますか」
「えっ? そ、そう言えば…ハニーったら最近やたらと市長さんところに御呼ばれしているのよね。何でも最初はハニーの所だけに招待状が来て、それ以降も呼ばれ続けているみたいなのよね」
「あ、あの……それっていつの話なんですか?」
「えっとねえ、確か……あっ、そうだ! そう言えば……ちょうどあの日だったわ、街があの話題で持ち切りだった前日だったから良く覚えているわ」
「えっ、あ、あの話題って……」
「あの日よホラッ、アニメタウン友枝町美術館にパンサークローが襲撃して、聖龍隊が初めて公の場に姿を現した日よ。印象に残っているから覚えているわ」
「えっ、あの日にハニーさんが修司の家に呼ばれたんですか……?」
「ええ、確かハニーの話だと他の人たちも何名か呼ばれていたって……全員アニメタウン在住の一般人らしいわよ」
ア「アニメタウン在住の……そ、それ以外で何か聞いてませんか? 例えば、他に呼ばれた人たちの住所とか……!」
「い、いえ。ハニーも其処までは聞いていないみたいで……」
「そ、そうですか……」
秋夏子との会話を終えたアッコは、渋々ながら帰宅したという。
さらに翌日、アッコは他の人物の所にも伺いたかったのだが、居所が解らず困り果ててた。
「あ~あ、ハニーさんはあまり詳しく話してくれなかったし、他にパーティーに呼ばれた人達はどこに住んでいるのやら……」
アッコが思い悩んでいる時、一つの事実を彼女は思い出す。
「……あっ、そうだ! 確かあの中にはハイキングや霊園で出会ったお姉さん達も居たはず……! そ、それに確か、その内の一人は火川神社在住の巫女さんで【火野レイ】さんだったはず……じ、神社に行けば何か聞けるかも!」
アッコは急ぎ、十番街にある火川神社に向かった。
その頃、ちょうど神社にはうさぎ・亜美・まこと・美奈子の4人もレイの所で勉強会を開いていた。
「ひぃ~、まだ宿題が全然終わらないよ~。亜美ちゃんココも教えて~……」
「はいはい」「あっ亜美ちゃん、次は私の方も……」
「二人とも、亜美ちゃんばかり頼ってないで少しは自力で宿題片付けようとは思わない訳?」
「そうよ、せっかく私ん所で勉強会開いたって言うのに……少しは自分で考えなさい」
「うわ~ん! 自力で解けたら聞かないよ~」
半べそをかきながら勉強するうさぎに教える亜美に、美奈子も便乗する。そんな二人をまこととレイが注意するとうさぎはまたも泣きじゃくる。
「そうよ~、亜美ちゃんが側にいる時ぐらい頼らせてよ~!」
「もう、うさぎったら。少しは落ち着いて自力で考えようとしないの」
「まったく、美奈子もうさぎも他力本願なんだから……」
美奈子の言い分に、彼女達と同行するルナとアルテミスも呆れてしまう。
と、その時。引き戸を開けてレイの祖父が入ってきた。
「おいレイ、それに皆さん。勉強は捗っているかえ」
「あっ、お祖父ちゃん。うん、何とかね」
「ふぉっふぉ、そうか。所で家に見知らぬ女の子が一人お前さんを訪ねて来ておるんじゃが」
「えっ、私を? だ、誰なの?」
「確か名前は加賀美とか名乗っておったが、知り合いか?」
「えっ、加賀美って……!」(し、修司君の彼女……!)
祖父の返答に一驚するレイと他のセーラー戦士達。因みに修司はまだアッコを彼女と認定していない現状。
「あっ、え、え~と……わ、私が出るわ」
レイが玄関に出向くと、其処にはアッコが立っていた。
「あっ、アッコちゃん久しぶりね。今日はまたなんで神社に、しかもわざわざ境内の我が家に?」
「あ、あの……ちょっと火野さんにお話が有ってきたんですけど……」
「な~に改まって。それに火野さんだなんて他人行儀は止めましょ。レイって気軽に呼んで良いわ」
「あっ、はい……じ、実は修司の事で少しお話が……」
「えっ、し、修司君の事で?」
するとその時、レイとアッコの二人を気にして顔を覗かせてしまっていたうさぎ達の存在に、アッコが気付いたてしまう。
「あっ、お姉さん達! みんな此処に居たんですね」
「あっ、ああ……ア、アッコちゃん」「ひ、久しぶりね……」
「い、いやぁ……奇遇だね」「はは……げ、元気そうねアッコちゃん」
「い、いや……! ちょ、ちょうどみんなで宿題していたところだったのよね。はは……」
アッコと対面するうさぎに亜美、そしてまことと美奈子にレイが弁明してるとアッコが彼女達に訊ねる。
「こっちも調度いいわ。皆さんに聞きたい事が有るんです!」
「わ、私たちに……」『えっ……!』
一驚するレイ達だが、レイはアッコを自宅内へと通した。
「ま、まぁ良いわ。此処で話すのもなんですし、家に上がって話しましょう」
レイはアッコを自宅に招き入れ、自室で彼女の話を聞いた。
「……と言う訳なんです。み、皆さんは修司の家で何をしているんですか」
「あ、あ~、そ、それは……ね」「え、ええ……」
「なんて言えば良いのか……」「う、うん。そうね」
「え、えっと……な、何でアッコちゃんはそんな事知っているの? そ、それに何で気にしてるのかな~?」
困惑する美奈子にレイにまことと亜美、そしてうさぎが訊き返すとアッコは切実な表情で訊ねる。
「せ、先日、修司の家からお姉さん達が出てきたのを見てしまって……修司は何も言ってくれないし……ま、まさかとは思うけど、家の中にハーレム作っているなんて事……な、ないですよね?」
このアッコの質問を聞いて、女子達は誰もが笑い出してしまう。
「え~! あ、あの修司君がっ?」「ハ、ハーレムって……」
「プッ、クスクス……」「ぷっ、はっはっ……はっ」「ぎゃ~はっははっは……」
「……な、何が可笑しいんですか?」
笑い出すレイに美奈子に亜美にまこと、そして爆笑するうさぎを前にアッコが問い詰めると、うさぎが笑いながら答える。
「ぷっ、だ、だってアッコちゃん……ア、アッコちゃんは本気で修司君がハーレム作るような男の子だって思えるわけ? ハッハ……」
「そ、それじゃあ、皆さんは一体修司の家で普段何をしているって言うんですか?」
アッコの質問にセーラー戦士達は返答に詰まってしまう。
「えっ」「そ、それはね……」「え、ええ、と……」「あっ、あのねアッコちゃんっ」
困惑するレイに美奈子に亜美に対して、まことがアッコの問いかけに答えた。
「し、修司君とは以前に知りあってね。そ、そこから親睦が深まったのよ…べ、別に気が有るわけじゃ無いからね」
まことに続き、レイも誤魔化しつつ弁明する。
「そっ、そう、修司君はアッコちゃんにとって大事な人なのは此処にいるみんな、ちゃんと知っているんだから大丈夫よ」
「……それなら、何で修司は私には何も言ってくれないんだろう。うさぎさん達とは私とも面識あるっていうのに……」
「そ、それは……」
亜美が困惑してると、アッコは更に述べた。
「……それに聖チャペル学園で知り合ったハニーさんも呼んでいるみたいだし……」
「え、えっ、ア、アッコちゃんハニーさんとも知り合いだったの?」
「えっ、すると皆さんも……」
レイの発言にアッコが驚くと、まことが返答する。
「う、うん。私たちも顔合わせた事あるんだよ。金髪のロングヘアーの女性だったよね」
「……もしかして、顔合わせたって修司の家でですか?」
「えっ、う、うん、そうよ。ホホホ……」「……ふ~ん」
五人に対しても疑心暗鬼な目で見据えるアッコを前に、亜美がアッコに訊き返す。
「ア、アッコちゃん。貴女はなぜそんなに気にしているの?」
「……だって、修司は私に黙っていろんな女性と会っているし…す、少し、不安になっちゃって……」
「な~るほど。アッコちゃんは、私たちが修司君のトリマキだって思っちゃった訳なのね」
「……え、ええ……」
アッコの返答を聞いたレイが気にしていると、亜美たちは笑顔でアッコを励ました。
「ふふっ、心配しなくても修司君を取ろうなんて誰も思っちゃいないわよ」
「うんうん、修司君ってああ見えてもスッゴくアッコちゃんの事思っているわよ♪」
「えっ、そ、そんな……修司が……」
うさぎの発言にアッコが不信がっていると、美奈子とレイがアッコに打ち明ける。
「うんっ、彼にねアッコちゃんの話をすると面白いくらい顔を真っ赤にするのよ」
「うんうん♪あれは完ぺきにホレている男の顔よ♪」
「そ、そんな……か、顔を修司が……で、でもどうして皆さんがそんな会話を修司としているんですか?」
アッコの疑問にレイが訊き返す。
「えっ? な、なんか可笑しいの?」
「……修司は余り他人と会話することが、他人と会話ができない人間なんです。最近になってやっと私やクラスのみんなと打ち解け合ってくれる様になったんですけど……み、皆さんは修司と余り関わり持っていないのにスグに打ち解けられたんですか?」
このアッコの疑問に、まことや美奈子にレイが答えた。
「う、う~ん。確かに彼は、余り人と接触しない様な雰囲気の持ち主だけど、根は良い人よ。私たちとも気持ち良くお話ししてくれたし」
「そうそう。アッコちゃん気にしすぎよ」
「余り深く考えなくても大丈夫だから」
更にまことと亜美が修司について追及する。
「彼はアッコちゃんに一途なんだから」
「ええ、彼はああ見えて優しい少年なのはアッコちゃんが一番知っているんじゃない?」
不安がるアッコを宥めようと、レイと亜美とうさぎがアッコに説得する。
「修司君がアッコちゃんに何も話さないのは、やっぱり恥ずかしいのもあるし、何より口下手な子なのよ」
「うん。彼は上手く説明できないからアッコちゃんに何も話せないんだと思うわ」
「そ、そう。だからアッコちゃんは気にしなくてな~んも心配な事は無いんだからね」
「は、はぁ……」
うさぎ達と一通り話をして、アッコは火野家を出てった。
「ふぅ~、何とか誤魔化せられたね」
「ホント、修司君って女の子には何にも話せない様な男の子だからね」
「まったく、私たちには他言無用だって言うくせに、自分の方がもう少し人とコミュニケーション取っといて、周りに適応しようと思わないのかな」
冷や汗を拭うレイに対して、修司のコミュ障な部分を問題視する美奈子とまこと。
「まぁみんな、修司君はただ単にアッコちゃんやクラスメイトに上手く説明する事が出来ないんだと思うわ。彼のような口下手な人って結構居るのよね」
「そう言えば、確かそんな障害を持った人が居るって聞いたことあったけど……え~っと、何て名前だったかしら……」
「美奈子ちゃん。それは一つの自閉症みたいなもので、上手く他人とお話しする事ができなかったり、社会に上手く適応する事が難しい精神障害等の発達障害者の事よ」
美奈子の疑問に亜美が返答する。
「あっ、そうそう。そうだったわね」
「さっすが亜美ちゃん。将来女医さん目指してるだけあって詳しいね」
説明する亜美に、美奈子もうさぎも納得する。
そんな小話の時、机の下から隠れていたルナとアルテミスも出てきた。
「ふぅ~、やっと帰って行ったわねあの子」「ああ、やたらと修司の事で長々と話したね」
やっと顔を出せて安堵するルナとアルテミスに、うさぎと美奈子が満面の笑みで言う。
「ププッ。あの子はねぇ、ルナ」「あの女の子は修司君の事で不安でいっぱいな訳なのよ♡」
「ふぅ~、聖龍隊に入ってから修司君は私たちの事誰にも話してないのね」
「あぁ、自分の事を好いている子に対してもね」
ルナとアルテミスの会話を聞いて、レイや美奈子も頷いてしまう。
「でもそれは仕方がないわよ。修司君はもちろん、私たちだって恋人ができたらその人に自分がヒーローなんです、って話せる訳ないもん」
「そうね、変に思われても嫌だしね。ふぅ~、スーパーヒーローの宿命かな……」
「……そんな呑気な」
「そうそう、それにあの子や亜美だって言っているけど、彼は確かに周りと自分を別離してしまう心境の持ち主だ。以前にもみんなに話したけど、彼の心にはスゴク深く、そして純粋で悲しみに満ちた闇を、彼は心の奥底に隠し持っている」
呆れるルナに対して、アルテミスが険しい面持ちで語ると、レイと亜美とうさぎが口を開く。
「……前からルナやアルテミスは言っているけど、その闇って一体何な訳? 私たちには普通の人にしか感じられないんだけど」
「ええ、人間としては結構チャーミングな面を持っているのは解るけど、そんなに根暗な子にも見えないし……」
「まぁ、単にルナとアルテミスの考えすぎだって」
「もう~、うさぎったら」
呑気なうさぎにルナが呆れていると、アルテミスが変わらず険しい面持ちで語り明かす。
「ホントに彼からは闇の部分が感じられるんだ。ただ悪意や敵意ではなく悲しみに満ちている純粋な闇を……」
「だから~、その闇が何だっていうのって話よ!」
「そうよそうよ! 修司君は明るいし、聖龍隊に誘った他の子たちにも優しく接してくれるじゃない! お菓子だっていつも用意してくれてるし……」
「う、うさぎちゃん……」「そ、それって、単にお菓子くれるから良い人って事なの……?」
「い、いや……そんな事じゃないけど……」
困惑する美奈子に対して、うさぎの言い分にまことと亜美が呆れていると、うさぎが思わず否定する。
「ど、どちらにしろ、確かに修司君って何考えているか解らないところが有るけど、しっかりと弱い街の人たちをどう守っていこうか。どうしていけば良いのかを真剣に考えたうえで聖龍隊を結成したんだと私は思うわよ」
「そうね。ただ単にヒーローたちを集めて、街の利益のために利用するんじゃなく、しっかりと街の治安を守ろうって考えなのよね」
「ま、まぁ、確かに。そう言われてみると……」
「ああ、確かにみんなで力を合わせていくって考えは素晴らしいと思うけど……」
レイと亜美の説にルナとアルテミスも修司に対して理解を深めようと考え出す。
「そうそう。修司君は市長としても、友達としても私たちを慕ってくれているんだから、私たちも彼を慕ってあげないと」
「そ、そうね。うさぎの言うとおりだわ」
「ああ、実際に彼は街造りに積極的に取り組んでいる訳だし、聖龍隊もその一環なのかもね」
「そうそう」「考え過ぎも体に毒よ二人とも」
うさぎや美奈子がルナとアルテミスに指摘すると、レイが威圧感を発しながら二人に迫る。
「二人はもっと考えないと、成績に響くけどね」
「ひっ、ひぃ~」「そ、そう言えば宿題まだ終わっていなかった~」
「ははは」「ふふっ」
レイの指摘にうさぎも美奈子も涙目になるが、そんな二人を見て亜美とまことが微笑む。
そんな和やかな時が過ぎる中、ルナがアルテミスと話し出した。
「ははっ……そ、それともう一つ。何かあのアッコちゃんって女の子からも不思議な感じがしたのよね」
「ルナもかい、実は僕も感じていたんだよ」
「アルテミスも? どんな感じまでは解る? 私は何だか微小ながら魔力をあの子から感じ取れたわ」
「うん、僕もあの子からちょっとだけ魔力みたいな気を感じたよ」
「最近会った聖龍隊のみんなとは全く違う魔力みたいな感じだったけど……あの加賀美って子はいったい……」
その一方でアッコは、火野家を出て行く途中、神社の境内で男の子と出くわした。
「あら、あなたレイさんのお知り合いなの?」
「えっ、お、お姉さんはうさぎ達の知り合いなの?」
「い、いや……し、知り合いって訳じゃないけど。君はうさぎさん達と面識があるの?」
「あ、ああ……うさぎは俺の姉貴だよ」
「あっ、うさぎさんの弟さんね。初めまして、私【加賀美あつこ】って言うわ」
「お、俺は【月野進悟】」
「慎吾君は何かお姉ちゃんたちに持ってきているみたいね。そのカゴ」
「あ、ああ。母さんがうさぎ達に、って手作りの菓子を…」
「そう、お姉さん達勉強頑張っているんですものね」
「ああ、特に家のバカうさぎなんか、いっつも赤点だから真面目に頑張っているかついでに見てみようかなって思ってね」
「……慎吾君、お姉さん達の事で聞きたい事あるんだけど」
「うん? な~に、加賀美お姉さん」
「お姉さん達って普段何してるの?」
「い、いや……うさぎとは余り話ししないけど……な、なにか」
「お姉さん達、最近街の市長になった【小田原修司】って人と会っていない?」
「えっ? う、うちのうさぎが? ま、またなんで? 以前パーティーへの招待状が届いてからもうさぎ達、市長さんところに行っている訳?」
「えっ、うさぎさん達の所にも招待状届いたの?」
「う、うん……なんでまたうさぎなんかが市長のパーティーに呼ばれるんだって家族全員不思議がってたけど」
「な、なんで呼ばれたか見当つかないの?」
「うん。ただ招待状には[貴女は当パーティーの参加が当選しました]って書かれた手紙が同封されていたんだけど……家にもうさぎにも何でそんなのが当選するのか心当たりが無くって……」
「そ、そう……(う、うさぎさん達の所にも招待状が来ていたのね。やっぱりあの日行われたパーティーで何かが有ったんだわ)」
確信したアッコは、最後にうさぎの弟である進悟に伝えた。
「ところで進悟君」
「うん、な~に、お姉ちゃん」
「余計なことかもしれないけど、あんまり自分のお姉さんの事をバカ呼ばわりしたり名前で呼び捨てにするのはどうかと思うんだけど」
「えっ、ま、まぁ……確かに良く言われるけど……」
「お姉さん、うさぎさんは大事な君の家族でお姉さんなんでしょ。だったらもっと敬ってあげないと」
「う、うん……」
「この世にはね、姉としてはもちろん、一人の人間として生きていこうと思っても、それが叶わなかった命や思いが有るんだから、彼方はもっと自分のお姉さんを大事に敬ってあげないと…ねっ」
アッコはそう進悟に笑顔で告げながら、一人神社を去って行った。
「……き、綺麗な人だな……う、うさぎにはレイさんや亜美さん達以外にもあんなに綺麗な女の人と知り合いなんだ……」
アッコの可憐さに、進悟は思わず見惚れていた。
そしてアッコは去りゆく道中、一人思う。
「……やっぱりあの日のパーティーでなんかあったんだわ。偶然にも招待状が知り合いのハニーさんやうさぎさん達の所に届く訳ないもん。また明日、今度は別の人を探しましょう」
[加賀美あつこ、キャプター組とナース組に接触する]
そして翌日、アッコは再度、修司の家に来ていた子達の捜索を始めた。最初は当てがなかったが、パーティー初日に聖龍隊が活動を始めたという事実が気になり、最初に聖龍隊が姿を現した友枝町にやって来た。
「あ~あ、来てみたのは良いけど、何の手掛かりも無いしな~……あっ、そうだ! こういう時こそ」
アッコはポケットに入れていたコンパクトを取りだした。
「鏡さん鏡さん。この友枝町の景色を映して」
そうアッコが唱えると、鏡は友枝町の鏡という鏡を通した景色を映し出した。
「え~~と…あ、あの日修司の家に来ていた子達は何処に…………………あっ、居た!」
鏡の景色を、次から次へと変えていくと、其処にはバスケットを抱えたりりか・聖夜・そしてデューイが映し出され、三人は大きな屋敷に入って行くのが確認できた。
「あ、あんな豪邸に入って行くなんて……ど、どちらにしろ事情を聴きに行かないと。えっとこの家は……だ、大道寺っていう家ね。すぐに向かおう」
その頃、りりか達はさくら達の招待で、知世の自宅である屋敷でティー・パーティーを開いていた。
「ありがとねさくらちゃん。私達も知世ちゃん家のティー・パーティーに呼んでくれて」
「いや~、話には聞いていたけど知世の家ってデッケエんだなぁ~」
「はっは、そうやろ。知世んちはデカイし出てくるケーキもプロ並みなんやでぇ」
「君が威張る事じゃないと思うけど……」「ふふふっ」
りりかが礼を述べる中、豪邸の大きさに驚く星夜に自慢するケルベロスにデューイが呆れると、そんな情景を前に知世が微笑んでいた。
「良いのよりりかちゃん。私達だけでなく他の友達ともティー・パーティーしたかったし、何よりこんなにたくさんケーキも食べれないしね」
「ああ、これだったら他の聖龍隊員も呼べばよかったかな」
「オイオイ小狼、他の連中も呼んだらケーキの取り分無くなってしまうやないかぁ~」
「ああっ、特にあのうさぎって女やトシって奴らを呼んだら余計に無くなっちまうぜ」
「星夜っ、そんなに欲張らないの!」
さくらが説くと、小狼の提案に星夜が食い意地を見せるもりりかに注意されてしまう。
「ふふっ、ケーキやデザートはたっくさん有りますから大丈夫ですのよ」
「それだけじゃないわ。あの人達ってやたらと騒々しい人達ばっかり喧しいのなんのって」
「此処にいる連中だけでも、十分喧しいけどな」「なっ、なんやて」「どういう意味だよ」
「まあまあ三人とも」「喧嘩はダメだよ~」「やれやれ」
微笑む知世に苺鈴が指摘してるおと小狼が今でも十分喧しいと発言。これにケルベロスも星夜も少々怒ると、りりかとさくらが宥め止め、そんな皆を前にデューイが呆れてしまう。
「はぁ~、こっちはこっちで騒がしいわねぇ…」
苺鈴が騒々しい皆との茶会を満喫してると、その部屋に大道寺家の執事が入ってきて知世に報告する。
「失礼します、お嬢様。お嬢様方を訪ねて見知らぬ女の子が一人やって来ているのですが」
「えっ、女の子?」「あっ、もしかしてイサミちゃんかな?」
「いや違うと思うぞ。他の連中には今日のパーティーの事は話してないからな」
「ああ、今日はワテラとりりかはんらしか来てへんはずやで」
「ま、まぁ良いわ。その女の子を此方に通していいですわ」
「かしこまりました、知世お嬢様」
誰が訪ねてきたか知世やさくらに星夜やケルベロスが不思議がる中、知世は執事にその女子を通してよいと告げる。
執事に導かれ、茶会の間に向かう女子は他でもないアッコ本人だった。
(き、緊張するわ~。ま、まさかこんなお金持ちの女の子まで呼んでいるなんて……い、いったいどんな子達なのかしら)
そして執事に導かれ、アッコは初めてりりか達とさくら達に対面した。
「ど、どうも……こんにちは~……」
低姿勢で挨拶するアッコに、知世たちは挨拶と同時に名前を述べる。
「初めまして、私のお屋敷にようこそ。私の名前は大道寺知世です」
「そ、その親友の木之本桜です」
「同じく李・小狼です」「またまた同じく李・苺鈴で~す」
「わ、私達は此処に御呼ばれされた森谷りりかです」「宇崎星夜です」
「デューイだ。どうも」「こ、こらデューイ。もう少し丁寧な言葉口調で……」
「ああっ、良いんです別に。わ、私は加賀美あつこと言います」
不愛想な顔で自己紹介するデューイをりりかが注意する中、アッコが名乗ると彼女の名前を聞いて皆の反応が一変した。
「えっ、ア、アッコ……って」「し、修司さんの……」
「あら……修司の事知っているのね。ちょっとその事でお話ししたいんだけど」
「えっ、は、話?」
「え、ええ構いませんわ。どうぞ席に座ってゆっくりお話ししましょう」
「ええ、ありがとう知世ちゃん」
りりかにさくらの反応を見て目付きを変えるアッコを、知世が席へと誘導させてアッコは着席する。
そしてアッコはここに来た目的、そして何故修司の家に呼ばれたのかを、その場にいるみんなに問いだした。
「……という訳。なぜあなた達は修司の家にちょくちょく足を運んでいるの? 言ってはなんだけど、修司は余り社交的な人じゃないから大勢を自宅に招くことすら珍しいのよ」
「な、なぜって……」「そ、それは……」「え、ええ……」
「な、何故って聞かれてもな……」「あ、ああ……」
「あ、貴女こそ何でそんなこと聞くためにわざわざ知世ん家まで来た訳? そ、それにどうやって知世の家に来たのよ。あ、貴女と私達って今日初めて会うのに……!」
困惑するさくらにりりか、知世に星夜に小狼だが、苺鈴だけはアッコに訊き返す。
「そ、それは……お、女のカンってやつよ! そうっ!」
返答に困ったアッコは、咄嗟に誤魔化した。
「へ、へぇ……」「そ、そうです……か」「お、女のカン……ねぇ」「ああ……」
「そ、そう……で、でも何でそんなに気になるんですか?」
アッコの返答に不思議がるさくらとりりかと星夜に小狼。しかし苺鈴の問い詰めは終わらない。
「そ、それも……し、修司が私に黙って知らない人たちを家に呼んでいるから気になっただけよ!」
「はっは~ん、もしかして私たちが修司さんを横取ると思ったんじゃないですか?」
「こ、こら苺鈴。ちょっと言葉が過ぎるぞ!」
戸惑うアッコに勝気な苺鈴が訊ねると、思わず小狼が止めに入るがアッコの暴走は止まらない。
「ば、バカにしないでよ! あ、貴女達みたいに綺麗でカワイイ女の子達や年上のお姉さん相手に私が其処まで妬いていると思う訳!? わ、私はただ修司と親しい人がどんな人達なのか気になっていただけよっ」
「ふふっ、綺麗でカワイイ女の子や年上のお姉さん……って、えっ?」
「お、お姉さんって……」「も、もしかして……」
「そ、そうよ。わ、私みたいな女よりカワイイ女の子達や此処にいる綺麗なお姉さんみたいなのを私に黙って呼んでおいて……き、気にならないはずないでしょう!」
苺鈴やさくらにりりかはアッコの返答を聞いて更に困惑する。
「お、おい……お、お姉さんって」「あ、ああ……プッ、クク…」
「えっ、えっ、え~! ちょ、ちょっと待ってよ。確かアッコちゃんだよね。ボ、ボク男だよ! 女じゃないけど…」
アッコの勘違いに気付き、小狼が困惑する隣で星夜が思わず吹き出していると、デューイが否定した。
「えっ、ご、ゴメンナサイ! あんまりにも綺麗だったからつい女の人かと……」
「プッ~、デュ、デューイを女って……」
星夜が笑う中、アッコに気づかれないようヌイグルミのフリをしていたケルベロスも小さく笑っていた。
「くっく……ま、まさかあのデューイはんが女と間違われるとは……プッ」
星夜にケルベロスは思わず微笑してしまう。
「ちょ、ちょっと星夜君」「デュ、デューイに悪いわよ……」
そんな星夜をさくらとりりかが宥める。
「ふふ、でもデューイさんってパッと見女性に見えてしまいますよね」
「うんうん、ボーイッシュ系の美女って感じでねえ」
「ま、まぁ……僕は確かに美形なのは認めるけど、あ、あくまで男なんだからね」
知世と苺鈴からの指摘を受けたデューイが説く中、アッコは話を戻した。
「は、はい……は、話は戻りますが、皆さんは修司とどんな関係なの? 何で市長である修司の家にちょくちょく遊びに来るんですか?」
「えっ、そ、それは……た、ただのお友達として……」
「ええ、それ以外で遊びに行ったりしないです」
アッコの質問に困るさくらとりりかに続き、星夜と小狼も戸惑う。
「あ、ああ。俺達はただ修司ん家で遊んでいるだけだよ」
「ええ、それは本当ですよ」
「だったらどうやって修司と知りあったの?」
アッコからの問い掛けに、りりかとさくらが慌てて答える。
「それは……」「ぱっ、パーティーに呼ばれて、其処から親しくなったんです」
「パーティー?(また此処でもか……)」
アッコが疑惑の念を抱く中、知世と苺鈴が上手く説明する。
「わ、私達、市長である修司さんからのパーティーへの招待状が届いたので参加したんです」
「そ、そこで修司さんやりりか達と親しくなれたのよっ」
「そ、そうなの……」
「やっと理解してくれたかい、お嬢ちゃん」
二人の説得を聞いて少し落ち着くアッコを見て、デューイが声を掛ける。
「あ、……はい……い、一応は……(な、何だか納得できないなぁ。私には何も言わずにパーティー開くなんて……)」
そんな平静を装うアッコに、知世たちが声を掛ける。
「ま、まあアッコさんもケーキ如何ですか。ちょうど私達ティー・パーティーを開いていたところなんです」
知世に続いてさくらとりりか、デューイに星夜と小狼に苺鈴も勧める。
「そっ、そう。アッコさんも一緒に食べようよ」
「スッゴク美味しいんですよ、知世ちゃん家のケーキは」
「お茶も中々の一級品だよ」「一緒に食べましょうよ。モグモグ……」
「……まぁ、折角いらっしゃったんだし少しゆっくりしていってくださいよ」
「あはっ、そうね。アッコさんも一緒に食べましょうよ」
「ま、まぁ……解ったわ。それじゃあ、お言葉に甘えて……」
こうしてアッコは、さくらやりりか達に容認してもらい、一緒にティー・パーティーを楽しんだ。
しかし、さくらの横に居たケルベロスは落胆してた。
(な、なんでアッコはんまで……! こ、これじゃあワイがケーキ食えへんやないか……ガクッ)
そしてアッコはお茶会を堪能した後、一足先に知世の屋敷を出た。
「ふぅ、アッコさん帰っちゃったね」「ええ、もっとお話ししたかったのに」
「おい二人とも、下手に喋って俺達の素性がバレテもいいのかよ」
「ま、まぁ……何とか話題には出さない様にはしたから大丈夫だろう」
「そんな呑気な。あの子、かなり直感が働いているわよ」
さくらとりりかの言動に小狼が指摘すると、呑気な星夜を苺鈴が忠告する。
「ふふっ、でも修司さんのお友達なら例えバレテも大丈夫ですわよ」
「……おいヌイグルミ、お前は気づいたか。あの子から発せられる雰囲気」
「ヌイグルミって言うな。でも確かに感じられたで、あの加賀美って女からはナ」
「えっ、ケロちゃん。何をアッコちゃんから感じたって言うの?」
「デュ、デューイ……あの子から何か感じるって……」
微笑む知世を横目に、デューイとケルベロスが不穏な顔付きで語り合うと、そんな二人にさくらとりりかが訊ねる。
「ああ、あの子からは微弱ながら魔力に似た力というかオーラを感じるんだ」
「まっ、魔力……」「お、おいっ。まさか彼女、人間じゃないって言うんじゃ……」
デューイの発言にさくらと星夜が一驚すると、ケルベロスが説き出した。
「いや、あの子は確かに人間や。ごく普通のな。ただ、確かに微量ではあるが魔力のような力を感じるんや」
「ま、魔力に似た力……」「た、確かに少しは感じられたような気がしたけど……」
「ま、まさかっ。本当に何なの、修司さんの知り合いだって言うあの女は?」
ケルベロスの説明に戸惑うりりかに、同意見の小狼。そしてアッコを警戒する苺鈴にデューイが述べる。
「いや、今みんなに言うけど、あの小田原修司って男も何だか普通の存在じゃ無い気がするんだ」
「もうデューイ。修司さんは普通じゃないでしょ。私達とおんなじ英雄なんだから普通に感じられないのも……」
「い、いや……そういう事じゃないんだ。何だか修司って僕達とは全く違う存在感がある人間だなって、そう思ったんだ……」
「ち、違う存在……?」「い、いったいどう言う意味なんだよデューイ」
りりかに返答するデューイに困惑する小狼と星夜達に、デューイは説明する。
「いや、上手くは言えないんだけど……何だか僕等とは根本的に……今まで出会ったどんな奴等とも違う感じがしてならないんだ」
「ち、違う存在……」知世「それって、いったい……」
デューイの不安そうな説明に、苺鈴も知世たちも一抹の不安を覚える。
一方アッコはアッコで、最後に残りの4人も探し出して聞いてみようと考えていた。
「ふぅ~、あの子たちも何だか悪い子には見えないし……私の考え過ぎなのかも。でも、修司が私に黙って集まりを開くとも考えにくいし、やっぱり他の子達にもいろいろ聞いてみようかな……」
[加賀美あつこ、しんせん組にセーラームーンで接触する!?]
アッコはまず前日の内にコンパクトでアニメタウン中の鏡を通して、残りの4人を探していた。すると、大江戸町の三丁目、花丘という家に修司の家に来ていた女の子を見つけ出した。
「よしっ、最後の子を見つけたわ。これで明日、大江戸町に行って、この花丘って女の子と他の子達に聞いてみて、それで終わらせましょう。さすがに連日遠出ばかりすると疲れるわ……」
そして翌日、アッコは大江戸町三丁目にある花丘邸の近くまでやって来た。
「はぁ、はぁ……さ、さすがに疲れた。毎日学校帰りにあちこち行くのは……」
と、その時。アッコのすぐ横をイサミが通り過ぎて行った。
「えっ、い、今の……鏡で見た女の子だわ! い、急いで追いかけないと……!」
アッコは急ぎ、イサミの後を尾行した。
そして辿り着いたのが、町はずれにある廃工場。
「あの子、こんな所に一体何しに来たのかしら……」
不思議な心持ちのアッコはイサミの後を付いて行くと、他の3人の子達と合流したのであった。
「あっ、他の男の子達も居たわね。よ~し、ちゃんとあの子たちからも事情を聞いておかないと……修司のこと信用しない訳じゃないけど、あの子達が何者なのか、しっかり知っておかないと」
アッコが考えている最中、少年達は工場の奥まで入り込んでいった。
(あの子達、こんな所で遊んでいるのかしら? 注意した方が良いかな……)
すると突然、激しい剣劇のような轟音が工場内に鳴り響く。
「な、なに? 今の音は……!」
アッコは急いで音のした方に向かった。すると其処で聖龍隊の戦闘服スーツを被った子供達と、天狗の面をかぶった大人達が乱闘していた。
「な、なに? こ、これは!」
混乱するアッコに気付かず、イサミは黒天狗党と闘い続ける。
「ていやーーっ!」「ギャーー」
イサミが振るう竜の剣で痺れ倒れる黒天狗党。
「く、くそっ、えーーい!」「ぐふっ」
「え、え、えいっ! このっ」「イテェ~」
トシもソウシも無防備ながらも鉄パイプや工場内の物を投げ付けたりと応戦してた。
「いけいけー、そこだっ、やっちまえ兄ちゃんたちー」
「ケイっ、危ないから下がってろ!」
そんな兄たちを応援するケイにトシが注意しながら応戦する。
「いや、しかし……やっぱりこの工場には黒天狗党の隠し基地があったんだね!」
「え、ええ。だ、だけどまさか既に侵入を気づかれていたなんて……!」
ソウシにイサミが話す中、黒天狗党の7号が同志達に命じる。
「ホーーホホホ、しんせん組もこれでお終いね。さぁ~者共、ささっと片付けてお終い!」
『ははっーー』
「く、くそぅ……」
「はぁ、はぁ。し、修司さんから教わった棒術って武術もまだ習っている途中なのに……」
「くぅ……お、女の子一人も守れないとは……!」
黒天狗党に追い詰められてしまうイサミにトシにソウシ達。
そんな情景を遠くから観察してたアッコは。
「あっ、あの人達の恰好は、確か聖龍隊の……! ど、どうしようか……け、警察や市長である修司に連絡入れている間に負けちゃうかもしれないし……え、え~と、こんな時こそ他のヒーローが居てくれればいいのに……ってアレッ。あっ、そうだ!」
思い付いたアッコはポケットからコンパクトを取り出し、呪文を唱えようとする。
「え~とえ~と、こ、こんな時は……わ、私あんまりヒーローとかそう言うの知らないからなぁ……え、ええいっ、こ、こうなったら……!」
アッコは我武者羅に思い付いた英雄に変身した。
「テクマクマヤコン テクマクマヤコン 美少女戦士セーラームーンになれ~」
一方、イサミ達は。
「うわあーー」「ぐはっ」「うんぐっ」
「はっは、これでしんせん組もお終いよ。でもまさか、しんせん組が聖龍隊の隊士になっていたなんてね……まぁ聖龍隊もいずれは邪魔になると幹部達は考えておられだから、これでお前たちを倒せば今までの失敗も全て帳消しに……やってお終い!」
「うわっ」「や、やられるっ」「くっそ~」
7号達に追い詰められてしまうイサミ達。
だが、その時。
「其処までよ、悪しき者たち!」
「な、何者!」「「「えっ?」」」
謎の声の方に7号もイサミ達も振り向くと、其処にはセーラームーンが立っていた。
「か弱き者を痛めつけ、悪事を働く大人達を懲らしめる……愛と正義の、セーラー美少女戦士セーラームーン! 月に代わって、お仕置きよ!」
「なっ、なに~!?」『え、ええ~! せ、セーラームーン!?』
突然現れたセーラームーンに、7号も他の黒天狗党も驚愕する。
「え、えっ? せ、セーラームーンが大江戸町に!?」
「う、うさぎさん。此処まで来てくれていたんだ」
「ワ~オ、相変わらず美しい登場のシーンだね」
颯爽と現れたセーラームーンを前に、驚くイサミにトシ、そして見惚れるソウシ。
「な、なんでセーラームーンが此処に?」
7号が戸惑う中、セーラームーンに変身しているアッコは内心困惑していた。
(うわ~、思わずセーラームーンに変身しちゃったけど、わ、私実際に戦う事なんでできやしないし。こ、このままあの人達が逃げてくれればいいんだけど……)
一方の黒天狗党は、セーラームーンを前に戸惑っていた。
「せ、セーラームーンだ……」「ど、どうしようか……」
そんな下っ端達に、7号がきつく言い渡す。
「ひ、怯むな! あ、相手はた、確かにスーパーヒロインのセーラームーンだ! し、しかしそれが何だというのだ!わ 、我らは誇り高きく、黒天狗党であるぞっ……」
「わ、私は一般人には余り手は出したくないわ。しかし、そこの聖龍隊員をこれ以上傷付けると言うなら黙ってはいないわよ!!(うう~、こ、これで何とか逃げて行ってほしいよ~)」
そんな7号に威勢をかますセーラームーンに変身してるアッコ。
「お、お前ら。ひ、怯むなよ。は、早く攻撃を……って、アレっ!? み、みんな何処!?」
なんと既に団員達は7号を残して逃げ去ってしまっていた。
「そっ、そんなっ!」
愕然とする7号に、イサミとトシが告げる。
「さぁ、どうするカラス天狗7号!」「まだ俺達とやる気かい」
「く、くっそ~、お、覚えてなさい!」
そう捨て台詞を残し、7号も逃げ去った。
(ふぅ~、良かった。これでもし戦闘にでもなったら大変……)
安堵してるセーラームーンに変身しているアッコの許にしんせん組の4人が駆け寄ってきた。
「ほっ、ホントにありがとうセーラームーン」
「いや~、まさかこの大江戸町まで来てくれるなんて」
「ふふっ、いつもながら可憐な登場の仕方でしたよ」
「うわ~、うさぎお姉ちゃんカッコ良かったよっ」
「えっ、う、うさぎ?」
突然のケイの発言に、セーラームーンに変身しているアッコが戸惑っていると。
「もう~ダメよケイちゃん」
「そうそう、変身しているときはセーラームーンってちゃんと呼ばないと」
「そうですよ、ヒーローの時はなるべく本名ではなくヒーロー名で呼べと、修司さんだって言っているじゃないか」
「えっ、しゅ、修司!? 修司っていったい……?」
思わず訊き返すセーラームーンに変身してるアッコに、イサミが答えてしまう。
「や~ねセーラームーン。総隊長の事じゃないですか」
「そ、総隊長……」
セーラームーンに変身しているアッコが唖然とする中、トシとソウシも話してしまう。
「そっ、俺たち聖龍隊の総隊長・小田原修司!」
「結構彼と話しているじゃないですか。あっ、ひょっとして今日大江戸町に来たのは修司さんに言われてやって来たんですか?」
「えっ、ええ……(ど、どう言う事……せ、聖龍隊って……総隊長ってどういう事なのよ一体!? し、修司は何をしている訳?)」
困惑するアッコは、取りあえず現場を離れようとイサミ達に別れを告げる。
「あっ、えっと、え~と……わ、私はこれでサヨナラするね。じゃあねっ」
そう告げるとセーラームーンに変身したアッコは4人の前から去って行った。
「あらっ、もう行っちゃったわね、うさぎさん」「なんか今日は変にキョドウヘンシンしてたな」
「トシ、それを言うなら挙動不審だよ。でも確かに様子がちょっとおかしかったな……」
「うさぎのお姉ちゃん、なんか変だったね~」
様子のおかしいセーラームーンを見送って、四人は不思議そうにしていた。
「ラミパス ラミパス ルルルルル……」
そしてセーラームーンに変身してたアッコは人目を避けて変身を解除した。
「は、はぁはぁ……い、一体何なのかしらあの子達。せ、聖龍隊……総隊長って……い、一体何がどうなっているのよ~~」
アッコは更に混乱してしまうのだった。
[アッコの出した結論]
その日、クタクタで家に帰り自室で休んでいたアッコは考えていた。一体修司の家に来ていた人達はどんな関わりを持っているのか、どんな素性を隠しているのか等など、色々と考え込んでいた。
「あ~あ、今日はホッントに疲れた。セーラームーンに変身するなんて……それにしても、いったい修司は市長の仕事以外で普段どんな事をしているのかしら……今まで会って来た子たちはハニーさんやうさぎさん達のような年上の女性に、同い年のさくらちゃんやりりかちゃん達、それに大江戸町に居た聖龍隊士の恰好をした3人と私が追っていた女の子と一緒に居た幼稚園児……あの子達はどう考えても花丘って女の子と一緒に工場に向かった子達よね。するとあの子達も聖龍隊の一員な訳なのかしら……」
布団の中で眠りに就こうとするアッコだが、熟考が止まらない。
「確かに、聖龍隊は市長である修司公認のヒーロー集団ではあるよね。だけど何であの子達まで一緒になっているのかしら……」
熟考してたアッコは一つの事実に気付いて思わず上半身を起こした。
「あっ! そう言えば……みんなが呼ばれたって言うパーティーはちょうど聖龍隊が友枝町に現れた日じゃない! こ、こんな偶然って……も、もしかしてあの日パーティーに呼ばれた人達って……それじゃあハニーさんやうさぎさん、りりかちゃん達は……もしかして」
アッコは気付き始めた。修司の家に集まっているのが、もしかしたら聖龍隊に選ばれた英雄たちではないのかと。そして、修司自身も裏で聖龍隊に指揮を執っているのかと。
「……修司が本当に英雄達を集めて、そんな集団を作っていても可笑しくないかも。以前から街の英雄はもちろん、聖龍伝説についても色々と調べていたみたいだし……」
アッコは寝床の上で上半身を起こしながら考え出す。
「それが本当なら、私は……」
アッコは考える。自分自身も魔法のコンパクトを所持していて、色んな人や物に変身してきた。自分も同じような秘密を持っているのだと。そして、自分と同じような人達が集まって街の人たちの為に全力で戦い、頑張っているのだと。
「私にも何かできないのかしら……ただ単に何かに変身する以外で……」
翌日、ツバメ小学校でアッコはいつも通りに登校してた。
「あっ、アッコ。おはよう~」「おはようモコ」
教室にはいつもの面々が居たが、修司だけアッコの席の隣でポツンと一人で座っていた。
「修司ったら、あれ以来なんにも喋らなくなっちゃったわよね」
「あ……う、うん……」
「やっぱり市長であること利用して家でハーレム作っているのかしら」
「……あ、あのね、モコ……」
「うん? 何アッコ」
「ど、どうもアレは私の勘違いだったみたいなのよ。よくよく考えたら修司が家に女の人達ばっかり集めている訳無いのよ」
「えぇ! で、でもアッコは前、修司が家に女性達を呼んでいるって言って泣いていたじゃない!」
「ああ、あの人達はモコや大将とおんなじでただの友達よ。実際に私と面識のある人達も何人かいたし」
「えっ、で、でも……修司みたいな子が友達多い訳?」
「ちょっとモコ、それは偏見よ。確かに修司は口数が少ないし、ハッキリ言ってちょっと暗い部分もあるけど根は良い人だって言っているでしょ。ほらっ、転校初日も私を庇って怪我までしたじゃない」
「ま、まぁ……そりゃあ、そうだけど……」
「だいだい、口数が少なかったり、誰かと話もしない人だからって、それだけで相手をどんな人か判断するのは良くないわよ。ただ単に人と会話するのが苦手なだけかもしれないんだし、話下手な人なだけかもしれないわよ。口数が少ないだけでその人を仲間外れにするのは良くないわよ、お喋りが苦手な人ならこっちから話しかけて人としての輪を繋げていかなきゃいけないんじゃないかしら」
「は、はぁ……」
アッコはそうモコに告げると、自分の席、修司の隣に着席した。
「ど、どうなっているのかな……前はあんなにも動揺して泣きじゃくっていたのに……」
アッコの変わり様に、モコは思わず呆然としてしまう。
「修司っ、おはよう」「……えっ、あ、ああ……」
学校で孤立してた修司に笑顔で挨拶をするアッコを前に、修司は微かに動揺した。
(ア、アッコが俺に挨拶したよ。この前から口も利いてくれなかったのに……)
「あ、あのね……修司」
「うんっ、な……なんだ」
「あの、その……こ、この前はゴメンね。変な誤解しちゃってて……」
「あ、ああ……あ、あの事だな」
「私、なんだか勘違いしてたみたいで…よ、よく考えたら修司がハーレムなんて作る訳無いのにね。ゴメンね、私の誤解で修司に迷惑かけちゃって……」
「い、いやっ……お、俺もお前には何も語って無かったのも悪かったし、解ってくれればそれで……い、良いんだよ」
「ホントにゴメンね修司……お詫びに今日家に来て一緒にケーキ食べない? ママが美味しいケーキ焼いてくれたのよ」
「えっ、い、良いのか……俺なんかで……」
「良いに決まってるじゃない! 友達なんだもの…」
「!! ア、アッコ……!」
アッコの戻った優しさに、修司は内心感激してた。
(ア、アッコが俺に話しかけてくれた……! 元はと言えば、俺が何も言わないのが原因なのに……)
一方のアッコも、内心修司に期待してた。
(うふふ、私にだってヒミツがあるんだし、修司や他の英雄のヒミツを探るのもどうかしてるわ。まっ、しばらくは聖龍隊の事は黙って見物させてもらおうっと)
こうして、二人はいつもの関係に戻った。
同時に学校中に流れていた修司の噂も徐々に聞こえなくなっていったという。