ちなみに初めは時間を巻き戻し、アッコが最初に修司を疑ってしまった日から物語は始まります。
[一層暗くなる修司]
少し時は戻り、ある日のこと。
玄関を開け、修司が学校から帰ってきた。
「あっ、お帰りなさいませ修司様」
「おーーい修司、今日は学校どうだったか~」
修司に変身怪獣が話しかけると。
「………………………………」
しかし修司は何も言わない。それどころか、いつも以上に黒いオーラを醸し出した暗い雰囲気。
「お、おい……どうしたんだよ、いったい……」「……はぁ……」
溜息をついた修司はそのまま部屋に閉じこもってしまった。
「お、おい。修司の奴どうしたんだ一体……?」
「さ、さぁ……あ、後でちょっと聞いてみますね……」
その日の夕食、変身怪獣・ウッズ・ウェルズ・ジュニアそして修司の5人はいつもと変わらない食事をしていた。しかし、修司だけは相変わらずドンヨリした重い空気を背負っている様子。
「お、おい兄貴。修司の奴いったいどうしたんだ?」
「い、いや……私もまだ何にも聞いてないんですけど、なんか学校から帰って来てからずっとあの調子なんですよ」
「修司兄ちゃんなんか変だよ、変身怪獣のお兄ちゃん」
「あ、ああ……そ、そうだな」
「……パク……モグ、モグ……」
そんな空気の中、修司は黙って食事を摂る。
するとウッズは思い切って修司に話しかけた。
「あ、あの、修司様……何かあったんですか?」
続いて変身怪獣も修司に話し掛ける。
「そ、そうだぜ。何にも話してくれなきゃ何が有ったか解らねえよ……」
ウェルズ、ジュニアも続けて話しかける。
「そ、そうだぜ修司。な、なんか話してくれよ……」
「修司兄ちゃん、なんか怖いよ~」
皆に訊ねられて修司は重い口を開いた。
「……実は、今日……学校でな……」
「な、なんだ…?」「何かあったんですか?」「「…………?」」
「……ア、アッコにな……アッコに……」
「ア、アッコさんに何か言われたんですか?」
皆が注目する中、ウッズが修司に訊き返す。
「なんだ、女絡みかよ」「確か修司と同じクラスの女の子だよな」
変身怪獣とウェルズが返事すると、修司は涙目で話し出した。
「……アッコに、家に女の子達を大勢招き入れて、市長である俺が家にハーレム作っているって勝手に勘違いしちまったんだよ……」
「えっ?」「ハ、ハーレムぅ!?」「プッハァ、な、何だよそりゃ…プッ」
ウッズとウェルズが一驚する中、変身怪獣は思わず吹いてしまう。
「ん? な~に、はーれむって?」
「ジュニアは知らなくても良いんですよ」
「ジュニア、ハーレムって言うのはなぁ……」
「こらっ、ウェルズ。余計なことジュニアに教えないでくださいっ」
幼いジュニアが訊くと、叔父であるウェルズが吹き込もうとするもウッズがそれを制止するが。
「はっは、ジュニアよ~。ハーレムって言うのはなぁ、男一人に大勢の女の子達が囲んでくれている、まさに男冥利に尽きる最高の人生の事を言うんだぜ」
「変身怪獣さんっ、あなたも余計な事は言わないの! ……で、何でそんなこと言われてしまったんですか?」
変身怪獣に注意するウッズは、再度修司に訊ねると彼は涙目で答える。
「……家になぁ、うさぎ達やハニー、それにさくらやりりか達が出入りしているところを見られちまったらしいんだよ……」
「あぁ、それで……」「そりゃあ思われても可笑しくないだろう」
「はっはっはっ。まぁ確かに仲間の多くは女なんだし、アッコが疑っちまうのも仕方がねえよなぁ」
ウッズとウェルズが理解する中、変身怪獣が笑い飛ばすも修司は落ち込んだまま話し続けた。
「……それだけじゃないんだよ、アッコがそれで泣いちまうわ、騒ぎがでかくなってクラスはもちろん、学校中に俺が家にハーレム作っているって噂が広まっちまってな……」
「うわぁ~、そりゃあ悲惨だな……」「あ~あ、もうそこまで……」
「……あ~、そりゃあ確かに笑えないな…よりによって学校中に広がるとは……」
ウェルズもウッズも変身怪獣も苦笑いする中、修司は落胆したまま。
「……帰りにもなぁ、アッコに何とか誤解を解いてもらおうと必死で話したんだけどよ、アッコはソッポを向いたまま帰っちまったし、俺は明日から学校には居づらい日々なんだよ……」
「う~ん」「それは……なぁ」「悲しいなぁ」
ウッズ、ウェルズ、変身怪獣も思い悩む。
「俺……この街でも居場所無くなっちまうのかな……」
そう呟く修司は一層ドス黒い空気を醸し出した。
「ひ、ひぃっ!」「く、黒い! 限りなくドス黒くなってきやがっている……!!」
「うわ~、修司兄ちゃん怖いよ~」
「も、もうっ。し、仕方ないなぁ。お、オレが何とかしてやるよ!」
どす黒いオーラを発する修司の言動を前に皆が騒然とする中、変身怪獣が修司に言い切った。
「ど、どうやって……?」
「ま、まぁ……と、取りあえず事の発端は聖龍隊の女達が此処に出入りしているのが発端なんだし、明日の夜にでも隊士達のところに出向いてちょっと話してみるよ。修司が学校で色々あっているってな」
「み、みんな俺の問題なんとかしてくれるのかな……お、俺なんかの……」
「お前なぁ、前々から言おうと思っていたんだけどよ、その後向きな発想は止めようぜ。周りまで暗くなっちまうよ」
「ご、ごめん……」
「い、いや。だから謝る事じゃないし良いよ。まっ、取りあえず明日になったら夜の内にみんなのところに行ってお前のこと相談しにいってやるよ」
「あ、ありがとな……変身怪獣」
「まっ、オレもこの家に居候させてもらっているし、何よりオレも聖龍隊の一員だしな。少しは仲間の力になってやらねえとな」
「す、すまねえ……」
落ち込む修司を励ます様に、ウッズやウェルズ、ジュニアも元気付けていく。
「さっ、さっ。食事が冷めてしまいますよ。早く食べて今日はゆっくり休んでくださいな」
「ウ、ウッズ……」
「そうだっ、男だったらウジウジせずしっかりしろっ」
「修司兄ちゃん元気出して」
「ウェルズ……ジュニア……うう……お、俺はホントに良い仲間を持ったもんだぜ……」
そして食事を終えた修司は風呂に入り、それから寝巻に着替えて寝床に就いた。
「ふぅ~、何かと大変だな。修司って」
「まぁ、以前から暗くなってしまう性格ではあるんですけどね」
「……なぁ、前々から聞こうと思っていたんだけど、修司って一体この町に来る前はどんな生活を送って来たんだ? 以前、多少やつの心を読んだんだが、何かしら周りとは上手くいってない様な過去を持っているみたいでな…」
「……ええ、修司様は生まれた時からあのような心を持った性分でしてね。周りの子達とはもちろん、実の家族とも上手く生活していくことができなかったんですよ。なので修司様はそんな人達を今後現れないように、現れたとしたらそんな人達を救っていこうと思い立って聖龍隊を結成したんですよ」
「……なるほどな。自分と同じ孤独な存在を救う事で、自分の中の孤独感も同時に薄めて行こうって考えなんだな、修司は」
「ええ。まぁ、だからこそ修司様は他人の苦痛や悲しみを解り、そんな人達と共感できる心を持っているんですよ」
「……そっか。それでオレとも共感できるような心を持っていたってわけか」
「ええ。修司様は例え普通の人でなくても、自分自身も普通の心ではないからこそ、彼方や数多くのヒーロー達と仲良く過ごせる訳なんですよ」
「そっか。まぁ少しは奴の事が解ったよ……取りあえず明日は如月ハニーの所に行ってみるよ。隊士の中で一番の年長だし、何かと良い会話ができるかもしれねえからな」
「はい、お願いしますね変身怪獣さん」
変身怪獣もまたウッズと話し終えると、就寝に就いた。
[翌日の小田原修司と加賀美あつこ]
翌日、修司が家に帰ってくると隊士であるイサミ・トシ・ソウシそしてケイが家にやって来ていた。
「んっ、お前達俺んちに来てたのか……何だ、どうした?」
「……な、なんだか修司さん。今日は暗いですね」
「お、俺たち修司さんに稽古付けてもらいたくってやって来たんです」
「ん、稽古?」
「そ、そうですよ。ほ、ほら、以前にも言ってくれたじゃないですか……もっと敵と渡り合えるように特訓してやるって。ぼ、僕達今日は修司さんに稽古付けてもらいたくって態々来たんです」
イサミやトシにソウシ達から稽古を頼まれた修司が驚いていると、トシが修司に頭を下げた。
「お、俺っ。もっと仲間達の助けになりたいし、それにはまず自分をもっと強く鍛えなきゃいけないなって思って……ど、どうか特訓お願いします!」
「「お願いします!」」
3人のお願いを聞いた修司の顔色は少し良くなっていた。
「……よし、解った。地下の訓練場に来い。俺が直々に特訓させてやるよ」
「「「あっ、ありがとうございます!!」」」
三人を引き連れて訓練場に向かおうとする修司にウッズが問い掛ける。
「あ、あの修司様。御気分の方は大丈夫ですか?」
「んっ、ああ。何だかあいつ等の顔見てたら少しは気分が良くなった」
そう告げて、修司は3人と一緒にエレベーターに乗り込んだ。
「ウッズ。俺が3人と地下で訓練している間、ケイの面倒見ていてくれや」
「あっ、はい。承知いたしました。それじゃケイ君、向こうでオジサンと一緒に遊んでようか」
「うんっ、兄ちゃんたち頑張ってねー」
その直後、ウッズの所に変身怪獣がやって来た。
「おーーいウッズ。今日の修司の様子はどうだい」
「あっ、変身怪獣さん。今ちょうど学校から帰って来て、すぐに地下の訓練場に向かいましたよ。イサミさん達が修司様に特訓してほしいと来ていましたので」
「へぇ~、あいつそんな元気あったのか」
「ええ、修司様はやはり聖龍隊の皆さんと交流しているときは活き活きとしているんですよね」
「そっか、何だか単純な奴だな」
「ホントですね」
そんな変身怪獣とウッズが話していると、一緒に遊んでいるジュニアとケイが駆け寄ってきた。
「あっ、変身怪獣の兄ちゃーーん」「変身怪獣さん、こんにちはーー」
「おうっ、二人とも今日も元気いっぱいだな!」
「ははっ、ところで変身怪獣さん。夜になったら如月さんの所に出向く訳なんですか?」
「あ、ああ…オレが迂闊に街を徘徊する訳にも往かないからな。人目を避けて行くつもりだよ」
「大変ですね」
「はは……もう慣れちまったよ」
そしてその夜、変身怪獣は如月ハニーのいる寮の自室の窓へと飛行して忍び込む。
「んっ? 窓の方から音が……」
窓に何かが当たる音に、ハニーは不思議に思い窓を開けた。
すると、身体を透明化していた変身怪獣がスウゥ~っと姿を現した。
「よっ、如月ハニー」
「う、うわっ。な、なんだ変身怪獣……い、一体何なのこんな夜分に」
「いやな。ちょっと俺らの総長の事で話があってな……」
「えっ、修司君のこと? いったいどうしたの?」
「ん、実はな……」
変身怪獣はハニーに、前日修司が学校で大変な誤解をされてしまって、いつも以上に暗い雰囲気になってしまった事を伝えた。
「……という訳なんだよ。あいつはいつも以上に暗い雰囲気になっちまってな。オレやウッズだけじゃどうにもできなくて……そこで最年長でもあるお前にちょっとばかし知恵を貸してもらいたくて来た訳だ」
「……そう。修司君の所も大変なのね。いつもは明るいあの子も普段はどこか暗い雰囲気があるけど、それ以上に暗くなっちゃっているのね。学校でも居場所が無くなっちゃったなんて……」
「まったくだよ。これからも聖龍隊の指揮を執る男とは思えないぜ。たくっ」
「ふふっ。それにしても変身怪獣はちゃんと心配しているのね、修司君を」
「あ、ああ……あいつの聖龍隊での活動による今後の構想にも少し興味があってな。オレでも何かできないかと思って色々と裏方でも活動しているって訳だよ」
「そう……ところで聖龍隊の今後の活動って、具体的にはどんな内容な訳?」
「ああ、今後は更に隊員の増員や各隊員の体力向上のための活動や、今後もオレ達みたいな特殊能力者の保護や勧誘を主に行っていこうって考えらしい。この先もまた、どんな能力者が出てくるか分からねえからなぁ」
「へえ、其処まで先のことまで考えているのね、修司君は」
「ああ。今後も聖龍隊の活躍の場も広めていこうと計略してるらしいぜ。ところで話は戻るが、どうにか加賀美あつこの誤解を解く方法は無いもんかね? 変に噂を立てられても、今後の聖龍隊の活動に何かしら支障が起きるかもしれないしな」
「……実を言うとね変身怪獣。今日私の所にそのアッコちゃんがやって来たのよ」
「な、なにっ。か、加賀美あつこがお前を訪ねてきたのかよ!?」
「ええ。彼女もやはり、私たちが修司君の所に御呼ばれしているのを気にしていてね。それで私の所に事情を聴きに来たのよ」
「な、なんで加賀美がお前の所に……?」
「ほらっ、以前ね。学園祭の時に彼女と親しくなって、それで彼女今日私の所に伺ったみたいなのよ。私が学園の寮で生活している事も知っているし」
「なるほどな。で、何か話したのか?」
「えっ、ええ。わ、私が何で修司君の家に頻繁に来ているのか調べに来たみたいで、一応は市長のお仕事の御手伝いをしているって言っちゃって……まぁ、信じたかどうかは解らないけど」
「しっかし、まさか学園まで来て調べに来るとはね……その加賀美って女は」
「ええ、そうね。彼女も彼女なりに気にしていたみたいだったし、修司君のこと心配しているだけなのよ」
「……いつの時代も、何処の世界も女って面倒な生き物だなぁ」
「あらっ、それはちょっと失礼な発言ね。大体、女の子が好きな男の子に対して気になるのは普通の恋愛感情よ。否定的にはならないで」
「へんっ、それはどうも。……しかし、その加賀美あつこがその後どうしたかが気になるな」
「そうね。変に嗅ぎまわれて私達の事まで知られてしまったら……」
「いや、それだけじゃないんだ。実はな、その加賀美あつこにも何かしらの特殊能力か、またはそれに匹敵する秘密を持っているって言う情報があるんだよ」
「えっ、何か彼女にも秘密が?」
「ああ、まだ確定できてないから修司にも告げてはいないんだが、何かあるぞ。あの加賀美って女には」
「ふ~ん、私が見た限りではごく普通の女の子にしか感じないんだけどなぁ」
「まぁ、アッコって女が此処に来た事は今の段階では修司には報告しないでおくよ。変に動揺させるのもアレだしな」
「え、ええ。そうね」
「それと如月ハニー。つい最近此処に転入してきた葉月聖羅って女には何か解った情報は無いか? オレたちの方でも調べたんだが、未だに何者なのか解らずじまいでな」
「そ、それがね……」
「うんっ? 何かあったのか?」
「う、ううん。何でもないわ。いつも通りよ」
「そっか。まぁ今日は俺もこれでサヨナラするぜ。また後日合流しようぜ」
「え、ええ。それじゃあ、お休みなさい」
「ああ、お休み。ハニー」
そう告げて、変身怪獣は夜の闇へと飛び去っていった。
「……あの聖羅って子が私の妹と名乗っているのは、今は変身怪獣や修司くん達には黙っておこう。もう少し様子を見ながら……」
ハニーは学園に来た葉月聖羅との関係について聖龍隊にはまだ報告していいのかどうか、悩んでいた。
[火川神社でのレイと変身怪獣]
さらに翌日、修司は相変わらず暗かったが、昨日から来てくれているトシやイサミ、ソウシ等と共に特訓して少しは鬱憤を晴らしていた。
「うりゃーー!! トウーー!!」
「う、うわーー!」
「どうしたトシ! そんな屁っ放り腰じゃ満足に戦うこともできやしねえぞっ!!」
「はっ、はい!」
「よ~し、次はイサミ! 前に出ろっ」
「はいっ、お願いします!」
「ウりゃーー!!」「ハイヤーー!」
そんな特訓をし合う修司達を観戦して、変身怪獣とウッズが話していた。
「いや~、修司ってホント修行とかになると目付きとか変わるよな。気も変に強くなっているし」
「ええ。修司様って昔から、身体を動かしているときの方が活き活きとしているんですよね」
「へぇ~、ところで加賀美あつこについてなんだが」
「ええ。修司様の話では相変わらず口をきいてくれないみたいで……」
「そうか。変にオレたちのこと嗅ぎまわるようになったら事だぞ」
「え、ええ。まだ聖龍隊が活動を始めたばかりですし、変に巻き込む形にするのもアレですし……」
「ああ。それに、あの加賀美って女自体が気になるしな」
「えっ? どう言う事ですか?」
「いや、ちょっとな……どちらにしろ、今夜もまた別の隊員の所に出向いてみるよ。ハニーから聞いたところ、未だに俺たちの集いに疑問を持っているみたいだしな。もしかしたら別の隊員の所に出向いているのかもしれない……」
「あっ、それでしたら。以前修司様がアッコさんに連れられて火川神社に参拝したと聞いたことが有りますよ」
「火川神社って確か、火野レイが巫女をやっている神社だったな。オレと修司が最初に会った場所でもあるし」
「ええ。実を言うと、火野レイさん達とは修司様はもちろん、アッコさんにも以前から面識が有ったんですよ」
「えっ? そうなのか? 修司はともかくそのアッコって女も?」
「ええ。最初は火川神社でレイさんと出会い、次はハイキングに行ったときに偶然にもセーラー戦士一同に会っているんです。更にその次には、修司様を気になったセーラー戦士達が後をつけて行って、アッコさんのお姉さんの墓参りの際に初めて自己紹介したみたいですけど」
「……なるほど。それなら顔を知っているし、修司の家から出てきたところを目撃しているならうさぎ達の顔も見ているから、レイの実家に足を運んでいる可能性はあるな」
「ええ。もしかしたら既に彼女は戦士達の所に出向いているのかもしれませんね」
「よしっ。今夜も一っ飛びして、行ってくるぜ」
その日の晩、変身怪獣は火川神社・境内にあるレイの自宅にやって来た。
昨晩と同じく、窓から侵入してレイと話をした。
「……という訳なんだがレイ。お前の所にその加賀美って女は来てないか?」
「ああ、彼女なら今日来たわよ。ちょうどみんなで宿題やっていた時に家に来たのよ」
「此処にも来てたか。それで、何か余計なこと喋って無いだろうな?」
「だっ、大丈夫よ。私もうさぎ達も何にも喋ってはいないから平気よ。それよりも市長さん、修司君は彼女に何にも言ってなかった訳? 私達の事は……?」
「あ、ああ。そうらしいな。あいつは元から口下手な奴だから女には余計に喋らなくなっちまうんだよな……」
「えっ、そ、そうなの? いつもは私たちとも仲良くいっぱい喋っているのに……」
「……いつもはな。しかし、あいつは普段は物静かで何を考えているか解らない人間なんだよ」
「……そう言えば、ルナやアルテミスが言ってたけど、彼の心の奥には深い闇のようなものを感じられるって言うんだけど。変身怪獣、彼方はそれを感じてる?」
「感じてるぞ。確かに奴の心はとても深く、そして純粋な闇がある。ただ、それゆえに異形の者すなわちオレやお前らヒーローも受け入れてくれるんだと思うんだけどな」
「い、異形って……あなたと一緒にされるのも心外ね」
「ウっセエっ、そう言ってお前ら人間は同じ人間を迫害したりして戦争や貧困生んでいるのも俺はちゃんと知っているんだぞ」
「なっ、何よ……そんなこと急に言われても。ただ、確かに普通の人ではない感じがするわね。私達はもちろん彼自身も」
「まあな。それよりお前達は加賀美に何て言ったんだ? 修司の家に来ている理由を」
「まぁ、その場凌ぎでは有ったけど、修司君と会ってから親睦が深まって、それで仲良くなったって」
「そう。他に、何かアッコと話はしたか?」
「ま、まぁ……彼女が言うには、修司君が家にハーレム作っているんじゃないかって不安がっていたけど、私もみんなも思わず笑っちゃってね……」
「何か面白いのか?」
「だ、だって……し、修司君がハーレム作って喜ぶような子には到底見えないでしょ。そ、それで思わず吹いちゃって……」
「へっ、修司がハーレムなんか作るツラじゃないって訳か。それ以外でアッコが気になった事は?」
「う~んそうね。……確かアッコちゃんが此処を出る直前に境内で進悟くんと出会って、少し話したみたいだけど」
「うんっ? 進悟って……うさぎの弟だったよな」
「ええ。彼はお母さんから私達に勉強会の差し入れとしてお菓子を持って来てくれたのよ。その際に家の前でアッコちゃんに会ってお話したみたいだけど」
「な、なんか進悟は余計なこと喋ってはいないよな……?」
「そ、それが……進悟君は自分の家にうさぎ宛でパーティーへの招待状が届いた事を喋っちゃったみたいなのよね」
「そいつはマズイな。俺たちが最初に顔合わせしたのも、そのパーティーだし、それに関して嗅ぎつけられたら少し問題だぞ」
「え、ええ……」
その時だった。レイの部屋に何者かが近づいてきているのを変身怪獣は感づいた。
「うんっ、誰か来る!」
変身怪獣は自分の体を透明化して、姿を隠した。
引き戸を開けて部屋に入って来たのはレイの祖父である神社の宮司だった。
「コラッ、レイ! 何か男と喋っている話し声が聞こえてきているが、まさか部屋に男なんか連れ込んでいるんじゃないだろうな!」
「おっ、お祖父ちゃん。ま、まさか……ほ、ほら良く見てよ。男はもちろん誰も居ないでしょ」
「ふむ、確かに話し声が聞こえて来たんじゃが……」
「きっ、気のせいよ、気のせいっ。さっ、私はもう寝るからお祖父ちゃんももう寝たら」
「ふ、ふむ……それじゃあ、お休み」
「ふふっ、お休みなさい。お祖父ちゃん」
祖父が部屋を出たと同時に、変身怪獣が再び姿を戻した。
「ふぅ~、危うく見つかるところだったぜ」
「……あなた、ホントに便利な体しているわね」
「へっへ。どうだい。これなら敵地への侵入だって簡単だろ? 相手に化けて潜り込む事もできるしな」
「……変身怪獣って、一体どこから来たの? 前から気になっていたんだけど……」
「まぁ、ちょっと……色々とな。人に過去あり、獣人にも過去ありってやつだよ」
「ホントに羨ましいわよ。そんな便利な能力持っているだけでなく、人間社会とも別離された生活送れてさぁ」
「羨ましがるなよ。……以前にも話したと思うけどよ、オレの産まれた文明は既に滅んで、オレと同じ種族が今どこに居るのかさえ解らねえんだぞ。それを羨ましがるなよ」
「あっ、ああ。御免なさい、彼方も色々と辛い過去があるってわけね」
「まぁ、今は楽しいうえに綺麗な仲間たちと一緒に過ごせられる様になったから良いけどよ。毎日目の保養だぜ」
「あらっ、意外とスケベ心があるのね彼方……」
「へっへ。何てったってこの町のスーパーヒロインは美人揃いだからなぁ。ヨダレもんだよ。ジュルッ」
「も、もう! な、なんか変なこと考えないでよ!イヤラシイっ」
「へへっ、解りやした。それじゃあ今日はこれにて。レイ、明日も変わらず美人な女でいろよ」
「い、言われなくても美人ですよーーだっ」
こうして変身怪獣とレイは語った後、変身怪獣は去っていった。
「ふぅ~、修司君についても気になるけど、あの変身怪獣って少年も何者なのかしらねえ……」
レイは変身怪獣の過去についても考えるのだった。
[chapter:大道寺邸でのお茶会]
その翌日、修司の訓練は、日々激しさを増していってた。
「ウオリャー!! トリャー!! アチョーー!!」
「ひっ、ひい~~!」
「ソウシよっ、そんな弱腰では何にも出来ないぞ! もっと強気でかかって来んかーーい!!」
「は、は~い……」
「返事が小さい! もっと大きな声で!!」
「はっ、はい!」
涙目で修司から訓練を受けるソウシ。
「……なぁ、修司の奴。日々訓練の時の気合が変わってはいないか?」
「ええ。毎日学校に行く度に、アッコさんには無視されるは、周りから白い目で見られるわで、かなりストレスが溜まっているみたいです」
「ふぅ~、こりゃあ、早く何とかしないとな……」
「今日はどうしますか?」
「そうだな……まずは友枝町に行ってみるよ。加賀美が気にしているのでパーティーが開かれた日に現れた聖龍隊の存在を調べてないか、行って確かめてくるよ。あそこは最初の活動場所だからな」
「ええ、お願いしますね」
その日の変身怪獣が訪れたのは夜ではなく夕方だったので、いつも以上に人目を避けて友枝町に来ていた。
すると道中、何故か加賀美あつこの姿を目撃した。
「へっ? 何であの女がこの町に? まさか、知世ん家に行ったんじゃないだろうな……」
変身怪獣は、この町でも特に大きい豪邸である大道寺邸つまり知世の家に向かった。
「前々から来てみたかったんだよな~この家。しっかしデッケエ屋敷に住んでいるんだな、あのお嬢様」
変身怪獣は透明能力で誰にも気づかれずに屋敷に入り込み、そして屋敷の一室でお茶会を開いている面々を見つけた。
「あっ、あいつ等は。森谷りりかに宇崎星夜、それにデューイじゃないか。あの連中他の仲間には黙ってお茶会なんか開いていたな」
変身怪獣は窓を思いっきり開けて部屋の中に侵入する。
「コラーー、お前達! オレやその他の仲間を差し置いてお茶会を開くとは何事だ~」
「う、うわっ」「へ、変身怪獣?」
「ウゲッ、何で此処に……グフッ」
突然の変身怪獣の訪問に驚くさくらとりりかの横で、驚いてケーキを喉に詰まらせてしまう星夜。
「うわあぁっ」「あらら、見られてしまいましたね」
「て、てゆーーかなんてところから入って来ているんだっ」
「おいっ、風が入って来て寒いよ。ちゃんと窓は閉めてくれよな」
驚く苺鈴に唖然とする知世、小狼が変身怪獣にツッコむ中、デューイが文句を言う。
「うわっ、加賀美はんの次は変身怪獣はんって、今日はやけに知世んちに人が来るなぁ」
「何だって! 加賀美って……加賀美あつこか! あの女、此処まで嗅ぎつけてきやがったのかよ」
「えっ? ……それってどういう事ですか?」
「あ、あの人が嗅ぎまわっているって……」
「あ、ああ……実はな……」
ケルベロスの発言に驚く変身怪獣は、アッコが修司の行動に疑問を持って、それで色々と嗅ぎまわっているのを皆に伝えた。
「……という訳だ。あの加賀美って女はお前達が家から出てきたのを目撃して変に思っちまったらしいんだよ」
「そう言えば……あの人やたらと聞いてきたわね」
「ええ。相当気にしているみたいだったわね」
さくらとりりかがアッコを心配していると。
「それで先ほどまでお話ししていたんですのよ。……修司さんのお友達って少し興味がありましたし」
「し、しかし……あのアッコはんって……プッ」
「ウググ……そ、そうだよな……ま、まさかデューイを、クック……」
「ちょっと二人とも、デューイに失礼だよ」
「ま、まぁ。美少年には良くある事じゃない」
「おいおい、他人事だと思って笑わないでくれよ。こっちだってまさか、ああ見られてたなんて……」
「んっ。デューイ、お前なんか言われたのか?」
知世に続いて笑うのを堪えるケルベロスと星夜に小狼と苺鈴が注意すると、デューイの台詞を聞いて変身怪獣が問うと。
「い、いや……ちょ、ちょっと」
「ぷっはぁ、いや~聞いてくれよ変身怪獣」「デュ、デューイはんわな……」
「おっ、おい! 喋らないでくれよ」
「なんだなんだ? 余計に気になるな」
戸惑うデューイに星夜とケルベロスが堪え切れず答えようとすると、ケルベロスが答えてしまう。
「いや~、デューイはんが結構な美形やからなぁ……」
「くっ、デューイの奴、女と間違われちまっているんだぜ。その加賀美って女の子に……!」
このケルベロスと星夜の告白に変身怪獣も思わず笑ってしまう。
「ぷっは~! いや~、ホントなのかいデューイちゃ~ん」
「な、なんだよっ。笑うんじゃない! こ、こっちだってまさか女と見間違われるなんて……」
「くっく……い、いや~悪い悪い。でも確かにデューイはパッと見、美形のボーイッシュ系女子に見えなくもないし、今の加賀美あつこは疑心暗鬼な気持ちでいっぱいだから余計に見えるのかもしれないしな」
と、此処で小狼がある疑問を呟く。
「……しかし、何で彼女はまた知世の家に来れたんだろう」
「それもそうだな。おいっ、りりか・星夜・デューイ。お前達あの加賀美って女に尾行されたんじゃないだろうな?」
「へっ?」「お、俺たちの後をつけて来たって言うのかよっ」
「それは言いかがりだな。僕等はちゃんと誰にも気づかれずにこの屋敷を訪れたよ。誰かに付けられていたら、スグにでも気がつくさ」
この疑問にさくらも首を傾げる。
「でもそれじゃあ、あのアッコちゃんは一体どうやって此処まで来れたのかな……」
「それもそうだよなぁ。聖龍隊の事に感づいて、オレたちが最初に活躍したこの友枝町に来ているのは予想はできたけど、知世の家に来ることができるなんてな」
「彼女が言うには、女のカンだってさ」
「お、女のカン……ねぇ」
苺鈴の発言に、変身怪獣が呆れてしまう。
「やっぱり、彼女は修司さんが自分に黙って私達を家に招き入れた事を気にしているみたいね」
「な、なんか言っちゃったかい?」
変身怪獣がりりかに訊ねると、知世が語る。
「いいえ、一応は私達は彼が主催したパーティーに呼ばれて、其処で親しくなった関係だと、言っておきましたわ」
「そ、そうか。しかしなぁ、あの加賀美って女、どうも気になるんだよな」
変身怪獣が気にしていると、ケルベロスとデューイも答えた。
「おやっ、変身怪獣はんもかいな」「僕等も同じことを感じていたよ」
「なにっ。お前たちも何か感じたのか。あの加賀美って奴が他の人間と違う事を」
「ああ、彼女からは微弱ながら魔力を感じられたんだよ」
「あの子そのものは人間なんやがなぁ、どーーも微妙ながら魔力を感じられたんや」
「ほっ、本当かよその話!? 修司からは何にも聞いちゃいないが、あの女は魔力を秘めているって言うのかよ!?」
変身怪獣が問い詰めると、小狼とデューイとケルベロスが説いた。
「いや、秘めているっていう感じよりも、持っているって感じの方が適切だな」
「ああ、何かしらの秘密を彼女は持っているよ」
「案外、ワテラとおんなじ能力者かもしれへんなぁ」
「……確かに。あの加賀美って女の周りでは、普通ではありえない事が起こっているって報告を聞いたことがある」
それからデューイが変身怪獣に訊ねる。
「それともう一つ。なぁ変身怪獣、君はあの小田原修司って男に何かしら感じることは無いかい?」
「へっ? し、修司にか? ……またなんで?」
変身怪獣が訊き返すと、ケルベロスも訊ねる。
「ん~、ワテも最初に会った時から何かしらの雰囲気を感じていたんやがなぁ。あの修司って男はタダモンや無いで。ワテラとは全く違う存在感って奴が有るんや」
「い、いや…オレは俺も詳しくは知らないんだよ。修司がこの町に来る前は、どんな人生だったのかオレのテレパスを使っても読めねえんだよ」
「そ、それじゃあ。変身怪獣さんは修司さんが市長になる前は知らないんですか?」
さくらからの問い掛けに、変身怪獣は真剣に答えた。
「ああ、オレがアイツと知り合ったのはつい最近だからな。……ウッズから聞いたんだけど、アイツは昔から心に深い闇を持っていてな。それが原因で周りの人間はもちろん、自分の家族すら上手く生活する事が出来なかったみたいで。それで今後、そんな人間が現れてもいいように、その人間や能力者を保護し、そして与える居場所としても聖龍隊を築いたって訳みたいだ」
そんな修司の過去を変身怪獣から聞いた一同は、修司に同情する。
「そ、そんな過去が有ったんですか……修司さんに」
「そう言えば、何処となく暗い雰囲気があるよな。あの修司って人には」
「ええ。何だかとっても寂しそうな顔をしているのも見た事ありますわ」
「……確かに。何処か周りとは壁を作っている、って感じがするよな」
「ええ。とても悲しい感情が感じられる事が有るわ」
「……ああ。深く、そしてとても悲しみに満ちた、まるで全てを惹き込むような純粋な闇を……感じられるよ」
「ああ……オレも正直、こんな闇を心に持っている人間は生まれて初めて出会ったよ」
さくら、小狼、知世、星夜、りりか、デューイの心情を察して変身怪獣も俯く。
『……………………………………………』
「ま、まぁ。あの加賀美って女の事は、オレも良く良く調べておくよ。変に嗅ぎまわれて、事件に巻き込まれてしまう可能性も無くは無いからな」
この変身怪獣の提案に、りりか、さくら、星夜、小狼、苺鈴、知世、デューイ、ケルベロスも賛成する。
「ええ、そうね」「確かに、危ない目に会わせるのもあれだし……」
「へへっ。それなら一安心だな」
「ああ。一般人を巻き込ませる訳にはいかないからな」
「うんうん。それにあの子変にカンがよさそうだし、早めに手を打っておかないとね」
「うふふ。でも、私は更に秘密を共有できるお友達が増えるって素晴らしいことだと思いますわよ」
「おっ、おい。知世っ、何てこと言うんだ。相手が何処の何者かも解らないのに、しかも魔力を持っているんだぞ?迂闊に正体明かせないよっ」
「それはワイも同じや。まずはあの加賀美って女の子が何者かを知ってから行動した方がいいと思うでぇ」
そんな皆に変身怪獣が告げる。
「まっ、それもオレに任せてくれよ。能力使えば簡単に調べられる事ができるからな」
「ええ、それはお願いしますよ」
「確かに。そう言う事は君が一番適任かもしれないからね」
「へっへ。それじゃあ…も終わったことだし、俺も少しはケーキを頂戴いたしますか。ペロッ」
「あっ、ああっ。ケ、ケーキがっ!」「おいっ、俺たちのだぞっ」
小狼とデューイの同意を得た変身怪獣は、お茶会に出されたケーキを一切れ口に運ぶと、それを見たケルベロスと星夜が慌て出す。
「へへっ。まぁ、そう堅い事は言うな。お前達だけでお茶会開くなんてムシが良すぎるぜ」
変身怪獣はそう言って、茶会に出てたケーキをほとんど食べた後、知世の屋敷を出て行った。
[大江戸町での奮闘後、そして翌日]
その翌日、変身怪獣は修司の様子を伺いに来た。
この日、修司はいつも相手にしているイサミやトシ等が居ないので、ドンヨリとした暗い空気を漂わせていた。
「……はぁ~~……」
「……お、おい。いつも相手になってくれているイサミやトシ達は今日はどうしたんだ?」
「は、はぁ。なんでも自分達の街の工場に黒天狗党の基地と思われる施設を発見したみたいで、今日は彼等は其処に向かってしまいました」
「お、おいおい。あいつ等だけで大丈夫かよ」
「ま、まぁ。一応は装備服も人数分持たせていますし、トシさんやソウシさんは最近修司様に鍛えられていますし、上手く戦えるとは思うのですが……やはり此処は変身怪獣さんも大江戸町に向かってほしいと思うのですが」
「あ、ああ……解ったよ。あいつ等だけじゃ何かと不安だしな」
落ち込む修司を前にして、ウッズと会話を終えた変身怪獣は大江戸町に向かった。
そして此処は大江戸町・工場跡地。
「え~とえ~と、イサミ達は何処に居るんだろうか……」
変身怪獣が工場の周りを透明化して滑空し、辺りを見回していると、クタクタになった3人とそれに付いて行くケイの姿を確認できた。
「おっ、居た居た。おーーいっ、イサミっ、トシっ、ソウシっ、ケイっ」
変身怪獣は4人に叫びながら、地上へと滑空する。
「あっ、変身怪獣さんっ」「おっ、何だよ。今頃来てくれたのかよ」
「全く、もう黒天狗党はどっかに行っちゃったって言うのに」
「ははっ。おーーい、変身怪獣の兄ちゃーーん」
イサミ、トシ、ソウシ、ケイの四人を前に降り立つ変身怪獣は訊ねる。
「よっこらせっと。お前ら、大分疲れているみたいだけど大丈夫か?」
「え、ええ。……何とかね」「まったく、変身怪獣さんだけが後から来るとは」
イサミとトシの文句に反論する変身怪獣。
「し、仕方がないだろ。さっきウッズからお前達が此処に来ている事を聞いて、スグにかっ飛んで来たんだぞ」
「ふ~、それでもうさぎさんはアナタより真っ先に駆けつけて来てくれましたけどね」
「へっ? う、うさぎが……」
ソウシの台詞に変身怪獣がキョトンとしてると、ケイも先ほどの活躍を話した。
「そうだよっ。うさぎお姉ちゃんがセーラームーンになって黒天狗党の奴らを追っ払ってくれたんだよっ」
「うっ、うさぎが? ば、バカな……き、今日此処で戦闘が有るって聞いているのは俺だけだぞ。何よりうさぎは今日はいつも通りに十番街に居る筈だしよ~」
「へっ? だ、だけど遂さっきまで此処に居たのよセーラームーンが」
「そうそう。黒天狗党の奴ら、戦う前から怖気づいて一斉に逃げだしちまったし」
「まったく。度等を組んでいるだけの連中ほど、臆病な奴の集まりはないよ」
イサミにトシにソウシ達の話に首を傾げる変身怪獣。
「お、可笑しいぞ……う、うさぎが何にも言われていないのに大江戸町まで来るなんて事あるかよ……」
「……そう言えば。何だか今日のうさぎさん、いいえ。セーラームーンは少し様子がおかしかったような……」
「確かになぁ」「ええ。様子がおかしかったですよねぇ……」
「うんうん。うさぎお姉ちゃん可笑しかった」
「う~ん、これは一体どういう事なんだ??」
イサミにトシにソウシそしてケイの話に、変身怪獣は首を傾げ続けるばかりだった。
その翌日、何故か修司はいつもより家に帰って来た時間が遅く、多少は明るい雰囲気に戻っていた。
「よっ、只今」「ああ修司様、お帰りなさいませ」
「よっ相棒。今日はどうした、いつもより帰りが遅かったけどよ」
「あ、ああ。実はな、アッコに今日家に呼ばれてな。母親が作ったケーキを御馳走してもらったんだ」
修司を出迎えるウッズや変身怪獣に、修司は放課後の出来事を話した。
「えっ、アッコさんがですか? 仲直りできたんですね」
「い、いや……なんか今日学校に行ったらよ、アッコの方から誤解だったって誤りに来てくれてよ。ホントに何が何やら解らねえけど、一応は仲直りできてな……」
「そ、そりゃまた何でだ? 前までは、お前のこと変に疑っていたのによ」
「お、俺も訳が解らねえんだけどよ、本当に良かったよ。これで明日から堂々と学校に行けるしな」
「ま、まぁ……お前が助かったのなら良いんだけどよ。」しかし、何でまた急に態度変わったんだろうな、その加賀美って女は」
「え、ええ。そうですよね……」
修司から話を聞いた変身怪獣とウッズは不思議そうな顔を浮かべる。
こうして聖龍隊員達をめぐるアッコと変身怪獣の絡みは終わりを迎えた。
だが次回、なんと聖龍隊と加賀美家の一家が奇妙な偶然で出会ってしまうのであった。