【聖龍伝説】始まる伝説   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 今回は前話から3日か4日位経った話です。聖龍隊員達が修司の家に来て、加賀美あつこについて色々と議題に出します。そして最終的には加賀美家での任務につながります。更に、任務終了後。修司が謎の人物と国際回線で話をしていて、米国の世界防衛組織と同じ役割を持つ英雄集団を作る議論や、異世界との交流論についても話し合います。今後の展開に非常に関わる重要な会話です。…それと最後の方の話になるのですが修司が英雄について悪く言う生徒に殴り掛かろうとしてアッコちゃんに止められる少しシリアスな展開が有ります。ちなみに最後の方でアッコちゃんが言う名言は、原作漫画から拝借しております。



アニメタウンの英雄達 聖龍隊、加賀美家と接触する

[加賀美あつこは何者?]

 

 修司がアッコに誤解を解いてもらってから数日が経った。

 聖龍隊士達はこの日、修司の家の地下にある基地に集合していた。

 彼等がまず話したのは、この数日の間に自分達の所に足を運んでいる加賀美あつこに対してだった。

 

「……という訳なのよね。私達が勉強会しているときにアッコちゃんがやって来て、私達が修司君の家で何をしているのか聞かれちゃったのよね」

「私の所にもよ。ホントに最初は焦っちゃったわよ」

「はははっ、でも修司君がハーレム作っているなんて笑っちゃうわよね~」

「ホントホント、あの型物の修司君がハーレムだなんて笑っちゃうわよっ」

「……アンタ等なぁ、こっちは修司がいつも以上に暗くなっていたから過ごしにくいの何のって時に…そんな笑い事な」

 レイとハニーとうさぎと美奈子が、アッコ訪問時の事を話す中、そんな会話を聞いてウェルズが呆れてしまう。

「そうよ二人とも。さっきウッズさんから聞いたけど、修司君かなり落ち込んでいたみたいだったし、そんなに笑っちゃ悪いわよ」

 そんなうさぎと美奈子に亜美が真剣な顔で話すと、さくらとりりかがアッコの行動力に驚きつつも述べる。

「ほえ~、ハニーさんやうさぎさん達の所にも行っていたんですね加賀美さん」

「ええ。私達の所だけでなく、他の隊員達の所にも出向いているなんて、よっぽど修司さんのこと気にしていたのね」

 二人もアッコの訪問に困っていた事を述べていると、デューイが腕を組んで文句を呟く。

「まったく、いい迷惑だよ。ホントに」

「デューイさん、そんなこと言ってはいけませんわ。きっと加賀美さんは修司さんのことを心配して、わざわざ私たちの所に出向いたんだと思いますわ」

 そんなデューイに知世がアッコの心境を組んで訴える。

「それはそれとして、だいだい修司さんがハッキリと彼女に訳を言わないのがいけないんじゃないのかしら?」

「苺鈴、それはちょっと無理があるよ。修司さんが正直に言えば、自分が聖龍使いだと告白してしまうし、何より俺たちのことまで喋らなくてはいけないだろ。修司さんだって何て説明していいのか解らなかったんだよ、きっと」

 苺鈴の話に小狼が説く。

「そうね、事実を告白しないで上手く誤魔化すなんて、私達でもそうそう上手く言えないもの」

「いや~、それにしても……あの加賀美って女の子と良い、変身怪獣と良い、よくもお茶会の時に限って来てくれはったもんやわ」

「そうそう。変身怪獣さんなんか残りのケーキも全部食べ尽くしちゃったし、俺たちあんまりケーキ味わえなかったよな」

「せ、星夜……まだそんな事気にしているの?」

 まことに続いて話すケルベロスと星夜の話に、りりかが呆れているとケルベロスが断言した。

「りりかはん、食べモンの恨みは恐ろしいんやで~」

「もう~、ケロちゃんまで…」

『ははははは……』

 ケルベロスの発言にさくらが呆れていると、一同は思わず笑った。

「ははっ、しかし俺たちに黙ってお茶会開くなんてズルイぜお前ら」

「ふふふ。今度は皆さん揃って私の御屋敷でお茶会開きましょうね」

「ふふっ。ありがとう、知世ちゃん」

 笑いながら文句を言うトシに知世が笑顔で答えると、そんな彼女にソウシが礼を言う。

「ははっ……それにしてもアッコちゃんはどうやって知世ちゃんの御家に行けたのかしら?」

「そうですよね。彼女が聖龍隊のことを気にしていたとしても、どうして修司さんの家に呼ばれた一人で知世の屋敷まで来れたのか……気になりますね」

 ハニーの疑問に小狼が疑問に思うと。うさぎが首を傾げる。

「でもさ、何で私たちが呼ばれただけでアッコちゃんが聖龍隊の事を気にしちゃう訳?」

 このうさぎの疑問にハニーが答えた。

「あっ、それは私の友達で夏子って子が、市長である修司君が開いたパーティーに呼ばれたところから、私がこの家に来続けている事を喋っちゃって、そのパーティーが開かれたのが聖龍隊が友枝町に現れた日だって言っちゃったみたいなのよ」

 このハニーの事情を聴いて亜美は納得した。

「……なるほどね。聖龍隊は市長推薦、つまり修司君の認めた英雄集団だからこそ、彼女は聖龍隊に対しても疑問に思っちゃった訳なのね」

 続いてデューイとケルベロスはアッコから感じられた微弱な魔力についても語り始めると、アルテミスも説いた。

「それに。あの加賀美って女の子から微弱ながら魔力を感じられたんだよな」

「ああ。それはワイもしっかりと感じられたでぇ」

「僕達もだよ。あの加賀美って女の子からはみんなとは違うタイプの魔力を感じたんだ」

 するとルナがイサミ達に実情を語った。

「そ、それにさっ。イサミちゃんやトシ君達の話じゃ、遂この前大江戸町にセーラームーンが現れたって言ってるけど、その日うさぎはちゃんと十番街に居たわよ!?」

「そ、それじゃ……」「俺たちの見たセーラームーンは……」

「に、偽物……な、なのかな?」

「え~っ、あのセーラームーンは偽物だったの?」

 驚き戸惑うイサミにトシにソウシにケイ達を前に、うさぎが困惑するのを横にまことが神妙な顔を浮かべる。

「わ、私の偽物だなんて……い、いったい誰なのかなっ?」

「う~ん、アッコちゃんに感じられる魔力っていうのも気になるけど、もう一人のセーラームーンっていうのも気掛かりね」

 

 と、みんなが話しているその時、エレベーターから修司と変身怪獣が下りてきた。

 

「よ~、みんな。待たせて悪かったな」

「オレと修司でな、今回の会議の議題について色々と検討していたんだよ」

「か、会議って……」

「な~に、今俺たち聖龍隊が気にしなければいけない問題や事件について色々とな。まぁみんな、中央のテーブルに集まってくれ」

「ちょっと話さなきゃいけないことも多々有るんでな」

 会議と聞いて困惑する亜美に、修司と変身怪獣は席に着く。

 

 そうして一同は基地のメインフロア、会議用スペースのテーブルに集まった。

 

「え~、まずは。以前にハニーこと、キューティーハニーに倒されたシスタージル率いるパンサークローの残党が再度、活動を開始したらしい。今後の奴等の動向に気をつけなければいけないな」

「まったく。ボスが居なくなったっていうのに厳禁な連中だぜ」

「あ~あ、ハニーさんが頑張って大ボス倒したのに残党がまた活動しているとはねぇ」

「……ええ。ホントにねぇ」

 修司と変身怪獣の説明に、トシが嫌悪感を示す中、ハニーが不穏そうな顔を浮かべる。

 

「それと如月ハニー。例の葉月聖羅についてなんだが……」

「えっ? な、なに。彼女がどうかしたの?」

「以前からお前の周りをうろついていた『黄昏のプリンス』ってキザ男が居ただろ。そいつと葉月聖羅が一緒に居るのをオレは見たんだよ」

「えっ、あ、あの聖羅とプリンスが?」

「ああ、何を話ししているかまでは知れなかったが、どうもお前の事で色々と話しているのは把握できたよ」

「そ、そう……(聖羅が、私の妹があのプリンスと何を……?)」

「それともう一つ。なあハニー。父親の如月博士の記憶は戻ったか? ちょっと博士に色々と聞きたい事が有るんだけどよ」

「お、お父様はまだ記憶が戻ったばかりで、まだ入院しているんですよ」

 変身怪獣とハニーの会話に修司が訊ねると、ハニーは修司に報告する。

「そうか、それなら仕方がない。少し待つとするか。そして更に、カノンこと加納望についても色々と調べたが、未だにダークジョーカーのボス・ブロスの暗示は解けていないらしい」

 修司の説明に変身怪獣は付け足した。

「ああ。アイツの心からは最早、邪心しか感じられない。今はまだ本心に戻すのは無理だろうなぁ」

「そ、そんな……」

 気落ちするりりかに、修司や星夜そしてデューイは励ました。

「ま、まぁそんな気を落とすな。まだ加納を救える可能性は無い訳じゃ無いんだからよ」

「そ、そうだぜりりか。元気を出せよ」

「ああ。修司や変身怪獣が言っているけど、まだ望みは有る筈だ」

「え、ええ。ありがとう星夜、デューイ」

 りりかが二人に感謝を述べると、修司は続けて今度は黒天狗党についてえ説き出した。

「そして黒天狗党についても調べたんだが、俺の思った通り後ろにはかなりデカイ権力が支えているみたいだな」

「そ、それって……」

「で、デカイ権力って何なんだよ修司さん!?」

 イサミとトシの質問に修司は答える。

「ああ、それはなイサミ。……お前には信じられないだろうが、やはり斧沢ジャパンが裏で一枚噛んでいるみたいだ」

「そ、そんな……斧沢の御爺様がそんな……」

 俄かには信じられないイサミに、変身怪獣も説く。

「信じられないのも無理は無いが、オレの調査では確実に裏で指揮を執っているようだぜ。その他の重役たちも絡んでいるみたいだしな」

「あ、あの爺さんたちが黒幕なのかよ……!」

「そ、そんな……」

 変身怪獣の付け足しにトシもソウシも一興する中、修司が皆に説き明かす。

「ま~、此処まではまだ調査の段階だからすぐには行動できないが、俺たちがスグにしなきゃいけないのは……最近アニメタウン内で頻発している格闘家襲撃事件。これを真っ先に解決しなきゃいけないだろうが……」

「目撃証言によると、相手は拳法着姿の女で街の各地域で武術に自信のある連中を倒していっているみたいなんだよな」

「武術に自信のある相手を闇討ちって……何だか物騒な事件ね」

 修司に変身怪獣の話を聞いて、苺鈴が神妙な面持ちを浮かべた。

「まっ、その件については俺が一計案じているから、お前達はその時に駆けつけて来てくれれば良いよ」

「一計って……」「な、何を考えているの?」

「ふっふっふ、それはだな……」

 修司の一計にハニーとレイが問い掛けると、修司は皆に作戦を話そうとした。

 

 が、その時、ウッズが慌ててた様子で会議ルームに飛び込んできた。

「たっ、大変ですよ修司様!」

「どうしたウッズ。そんなに慌てて」

「そ、それが敵について調べているうちに、次のパンサークローと黒天狗党の犯罪計画が解ったんですよ!」

「な、なんだって!」『ええっ!!』

 ウッズからの報告に、変身怪獣も他の一同も驚愕した。

 

 

 

 

[狙いはモダン?芸術家の作品]

 

 修司は早速、ウッズに問い詰めた。

「ウ、ウッズ。それで両勢力の狙いはそれぞれ何なんだ?」

「そ、それが……どうも今回は同じところを襲撃するみたいで」

 ウッズの返答に変身怪獣が反応する。

「なにっ? 互いに違う犯罪勢力同士が同じところを襲撃するっていうのかよ!?」

「は、はぁ……」

「そ、それでウッズさん」「奴らは何処を襲撃するんですか?」

 するとハニーとイサミがウッズに訊ねると、ウッズは困惑した様子で返事する。

「そ、それが……普通の民家なんですよね」

「はぁ? な、なんでどっちも普通の民家を襲撃するんだよ?」

 修司が不思議がる中、ウッズは詳しく述べ始める。

「はぁ、そこの住人が結構有名な芸術家で、どちらの組織もその芸術家が作った作品を狙っているみたいなんですよね」

「う~ん、偶然とはいえ……なぁ」

 偶然の一致に変身怪獣が唖然としていると、修司が再度ウッズに問い掛ける。

「そ、それで。何処の家を奴等は襲うんだ?」

「そ……それは……」

 するとウッズはいきなり黙りこんでしまう。

『ん??』「おいウッズ! はっきり言いやがれ!」

 皆が注目する中、修司がウッズを怒鳴り付ける。

「はっ、はい! お、驚かないでください……ね」

「だから、何処を奴等は襲撃するんだよ」

「あ、あの……か、加賀美恭子(かがみきょうこ)と言う芸術家の家を襲撃するみたいで……」

「そうか加賀美恭子……って、えっ?」

「うん? カガミ?」

「か、加賀美って……」「ま、まさか……」

「えっ?」「も、もしかして……」

 修司に続いて変身怪獣もレイもハニーもさくらもりりかも一抹の不安を予想する。

 

「えええええ~~~~~~!!!!!!!!!!???」

 驚愕の余り大声で叫ぶ修司の絶叫が地下施設内に響音する。

 

「……あ、あ……」「ひ、ひぃ……」

「み、耳が痛い……」「ほ、ほええ……」

「こ、鼓膜が破れる……」「ス、スゴイ大声ね……」

「え、ええ。うさぎの泣き声攻撃よりすごいかも……」

 修司の大声に別の意味で一驚する変身怪獣とレイとハニーとさくらとりりかと亜美にルナ達。

 修司の突然の叫びに隊士一同が腰を抜かしてしまった。

 

「お、おいっ。修司……い、いきなりデッケエ声出すんじゃねえよ……!」

「うわっ、うわ~! だ、だって加賀美って、加賀美って……」

 変身怪獣の文句に対して修司は混乱してしまう。

「ひぃ~、か、加賀美って確か……」

「あ、ああ。さっきうさぎさん達が話してくれた……」

「ぼ、僕たちを嗅ぎまわっているっていう女の子……」

「し、修司君……加賀美ってまさか」

 イサミにトシ、ソウシやハニーが戸惑う中、修司が慌てふためく。

「ああっ、そうだよそうだよ! 俺の知り合いで確かこん中ではハニーとうさぎ達とも面識のある加賀美あつこだよ! あ、あいつの母親、確かに芸術家だった!」

「ええっ?」「そ、そんな……」

「ア、アッコちゃんの家に」「は、犯罪組織が二つも来るって訳?」

 混乱する修司に亜美やレイ、まことに美奈子が驚いた。

「あ~あ、あ~あ! 何で選りによってアッコの家なんかに連中は押し寄せてくるんだよ!!」

「お、おい修司……そんなにパニくるな……」

「だって、だって! 折角アッコと仲直りできたって言うのに、今度はアッコの家が犯罪に巻き込まれるんだぞ! もし何かあったら……!」

 変身怪獣の説得にも、混乱し続ける修司。

「ぐ、偶然とはいえ……」

「あ、ああ。よりによってあの加賀美って女の子の所に……」

「ヤレヤレ、とんだアクシデントだね」

 りりかと星夜が困惑する中、デューイが呑気そうに呟くとさくらや小狼が言う。

「ちょっとデューイさん。そんな呑気な事言ってられないよ」

「そ、そうだっ。俺たちとは直接関係ない対立組織だからって、ただ黙って見過ごす訳にはいかないですよっ」

 続けてるなとアルテミスが困惑する中、ケルベロスが閃いた様子。

「ま、まさかあの子の家が襲われるなんてね……」

「ああ……想定外だね」

「いや……これはチャンスかもしれませんで、皆はん」

 ケルベロスの閃きに修司が混乱しながら訊ねると、ケルベロスは得意気に修司と話し出す。

「んっ? 何がチャンスなんだよケロ。民間人が襲われるって言うのに呑気な……」

「いやいや。そう言う訳ではありまへんがな。この際、あのアッコって女の子の家に行って悪党共を叩きのめすと同時に、その加賀美って女の子が何者かも調べようって考えさかい」

「んっ? アッコについて調べるって……何か有るのかアッコに?」

「あっ、アレっ? も、もしかして変身怪獣はん、あんさん……」

 ケルベロスが訊くと、変身怪獣は呆れた様な顔で答える。

「ああ。修司にはまだ言っていねえよ。あの加賀美って女に感じられるっていう魔力の事はな」

「まっ、魔力? アッコにか?」

 困惑する修司にデューイやルナにアルテミスが語った。

「ああ。僕にも感じられたよ。彼女には僕等や此処に居るメンバー、更には今まで出会ったどんな相手よりも違う魔力に似た力を感じられるんだよ」

「は、ははっ……ま、まさか。アッコがか?」

「それは私たちにも感じられたわよ。彼女には何かしらの魔力があるわ」

「ああ。此処に居るみんなとは少し違う魔力をね……」

「……は、はは……プハ~ハッハッハハッハ!!」

『???』

 話を聞いて爆笑する修司を前に唖然とする一同に、修司は話し出す。

「プッ、プッハ……お、おいおい。アッコは極々普通の、平凡な女だぞ? ど、何処に魔力が有るって言うんだ? わ、笑わせるなよ……」

「い、いや……だ、だってさぁ」

「そ、そやそや! ワテラはしっかりと感じたさかいなっ」

「そうよ修司君。あの子にはちゃんと魔力が備わっているのよ」

「ルナ達の言うとおり。彼女にも何らかの神秘的な力がある感じだよ」

 デューイにケルベロス、ルナやアルテミスが話すも修司は笑いを堪えながら話し返す。

「くっ、い、いや……可笑しなこと言わないでくれよ……プッ」

「……修司さん、いつも以上にバカ笑いしているな」

「う、うん」「確かに……」

 見慣れない爆笑する修司を前にトシやイサミにソウシが呟く。

 

「ちょ、ちょっと修司君。デューイ達の話に笑いすぎよ」

「わ、笑いすぎというより少し壊れているみたい……」

「く~っく。だ、だってよハニーにレイ。こ、こいつ等が余りにも変てこな事言うんだもん。わ、笑っちまうよ」

 爆笑する修司にハニーとレイが驚く中、修司は笑いながら答え返す。

「ちょっと! それじゃあ修司君はアッコちゃんが普通の女の子だって言える訳?」

「おいおいルナ。そりゃアッコは平凡の二文字がお似合いの女だぜ。俺等みたいに特別な存在じゃないさ」

 ルナの問い掛けに修司が答えると、レイは真剣な顔で訊ねる。

「……それじゃあ、ちょっと聞くけど。修司君から見てアッコちゃんはどんなふうに見える訳?」

 レイからの指摘に、修司は戸惑いながらも返答する。

「そ、それは……アッコは成績は極々普通でよ。誰に対しても優しい女で、ちょっと誰かが困っていたら見過ごす事が出来ない。そう言う女だよ。まっ、悪く言っちまうと多少お節介な女なんだよ」

「……かなりアッコちゃんの事に関しては詳しいのね」

 まことに問われて、修司は戸惑う。

「い、いや……俺が学校に転校してくる前からクラスのみんなに思われている事を代弁してやったまでよ。…まぁ、特別悪い人間じゃ無いだけで後は普通の女だよ」

「……ホントにそうなのかな……」

「と、取りあえずだな。まず俺たちがやらなければいけないのは加賀美家への襲撃に対しての備えだな。ウ、ウッズ……一体連中はいつ襲撃するつもりなんだ」

 デューイの反応を前にしながらも、修司はウッズに問い掛ける。

「は、はい……それが……今夜10時に襲撃するつもりらしいんですよ」

「そうか今夜……えっ、え~ ウグッ」

 思わず大声を発しそうな修司の口を、変身怪獣が咄嗟に修司の口を押さ込む。

「こ、これ以上大声出されるのはゴメンだからな」

「えらいっ、変身怪獣」「良くやったわ!」

「ひぃ~、これ以上耳が可笑しくなるのはゴメンだよっ」

 変身怪獣の咄嗟の行動に、レイも美奈子もデューイの安堵する。

「ウ……ウグッ、へ、変身怪獣離しやがれっ。はぁ……ど、どちらにしろ今日の10時かよっ。た、大変だ! おいウッズっ。各隊員の居住区に電話して身内やそれに該当する連中に連絡しろ! 今日此処に居る連中は帰りが遅くなるってな!!」

「へっ?」「か、帰りが……」

「お、遅く……」まこと「な、なるって……」

「ま、まさか……」ハニー「えっ、えっ?」

 修司の発言に困惑し戸惑う、うさぎにレイに亜美にまこと、亜美にハニー達を前に修司は言い放つ。

「そうだよっ! 此処に居る連中全員で加賀美家に出張ってパンサークローと黒天狗党双方を叩きのめしてやるんだよ!!」

『ええ~~~~!!!』

 修司の提案に一同は愕然とする。

「そ、そんな……私たちも」「の、残らないといけないんですか……?」

 りりかとさくらに修司が断言する。

「当然だっ。犯罪組織を二組も相手にするんだ。此方も総力を挙げて取り掛からなければっ! ふんっ」

 鼻息を荒くする修司に、苺鈴と星夜も不満を零す。

「ええっ! 私たちもなの?」「そ、そりゃあんまりだぜ」

「ウっせぇ。俺たちゃ泣く子も黙る聖龍隊だぞ。こんな時こそ総力を挙げて敵と戦わなければいけねえだろうよい」

「ちょっと、また勝手に事を決めないでくれよ!」

「そ、そうだ! こっちの都合も考えてくださいよ」

 修司の思案にデューイと小狼が文句を言うが、修司は彼らに脅し文句を並べる。

「なんだ~? 俺はお前たちへの協力もしてやっているんだぞ? カノンの事だって調査してきたし、クロウ・カードの収集にも力を貸してやるっていうのに俺たちとの協力はしないって、ちょっと図々しくないか?」

「そ、それは……」「べ、別に協力してくれって頼んだ覚えもないけど……」

 戸惑う小狼とデューイに、変身怪獣が諦めろと言わんばかりに説得する。

「まあまあお前等。もう修司が決めちまったことだし、観念して一緒について来い」

「そ、そんな~」「わ、私たちも一緒の方が良いですよね」

 嘆く星夜に対して乗り気なイサミに、変身怪獣は答えた。

「ああ。相手はお前等が追っている黒天狗党でもあるんだからよ。お前たちが来なければ意味がないだろ?」

「ま、まぁ。そうだよな……」「仕方がないか……」

 変身怪獣の返答に、トシもソウシも渋々ながらやる気を見出す。

 そんな皆に修司が指示を出した。

「よ~しお前等! 即急に戦闘準備だ! イサミ・トシ・ソウシ・星夜は専用の装備服を着用し、他のヒーローは各自変身して今晩10時の敵襲に備えろ! 今夜は長くなるぜ!!」

『お、お~……』

「返事が小さいぞ! もっとデッケエ声で!!」

『おっ、おうっ!!』

 

 かくして聖龍隊一同は、その晩に襲撃が有るであろう加賀美家に突撃する体制に入るのだった。

 

 

 

 

[現れたミスティーハニーと銀天狗・鎧天狗]

 

 午後10時前…聖龍隊は修司いや、聖龍使いの指示通りの位置でパンサークロー及び黒天狗党の襲撃に備えて待機していた。

 

「……総員、配置についたな。では合図が有り次第、戦闘を開始する。油断するな」

 聖龍使いからの無線に各自答える。

「こちらメタルバード及びキューティーハニー・しんせん組。異常はなし」

「こちらはナースエンジェル組にキャプター組。同じく異常は無し」

「此方はセーラー戦士隊。同じく異常はなし」

「よしっ、各総員合図が有るまで動くべからず。ウッズ、お前の方では何か動きは無いか?」

 メタルバード、デューイ、セーラーマーキュリーの返答を聞いて聖龍使いは本部で待機しているウッズに呼び掛けた。

 

 地下の基地施設、中央フロアではウッズが街に設置してある監視カメラから加賀美邸の付近をくまなくチェックしていた。

「はい。今の所、目立った様子は有りません。しかしもうじき時間なので十分お気を付けください皆様」

 

 そして10時を少し過ぎたころ、パンサークローの団員が。反対側からは黒天狗党が加賀美家に迫って来てた。

 無線からウッズが現場の聖龍使い達に指示が出た。

「皆さん! パンサークローが南側の方から。続いて黒天狗党の集団が北側から迫って来ております。すぐさま戦闘準備に入ってください!」

「了解! 諸君、これから敵が双方やって来る! 戦闘態勢を整えておけ!」

『了解っ』

 聖龍使いからの指示に、皆は了承すると戦闘態勢に入る。

 

 だが一方で、加賀美家の前にパンサークローと黒天狗党がよりにも寄って、鉢合せしていた。

 

「な、なんだお前等は? 俺たちの仕事の邪魔をする気か!?」

 パンサークローの団員が、黒天狗党の指揮を執っている銀色の天狗の面をした男に問い詰めると。

「ふははは。君たちが噂に聞くパンサークローだね。相変わらず実に醜い事ばかりしているみたいだね」

「なっ、何だと!」

 パンサークローが睨み付ける中、銀の天狗の面をしている男は高らかに名乗る。

「はっは。私の名前は銀天狗。黒天狗党・四天王の一人であ~る! そして隣に居るのは同じく四天王の鎧天狗であるぞ!」

 すると銀天狗の横で並んで立っている鎧武者姿の天狗も名乗る。

「ふぉっふぉ。主等もこの家の主、加賀美恭子の芸術品を狙って来ておるようじゃが、悪いがそれは拙者等が手に入れるでござる。諦めて帰りたまえ」

 しかしパンサークローは黙って帰る程、素直な存在ではない。

「なっ、何を! そんなこと言われて黙って引き下がるパンサークローじゃないぜ! おいっ、野郎共! 天狗ヤロー共を片っ端から片付けちまいな!」

「ふははは。無駄な事を。そ~れっ、輪が同胞よ。醜き犯罪組織パンサークローの者共を片付けるがよい!」

 こうしてパンサークローと黒天狗党の乱戦が始まってしまった。

「うわーー」「うおお!」「どりゃあぁ」

 辺りはカラス天狗達にパンサークローの団員達が総塗れで乱戦を始める。。

「お、おい相棒っ。奴等ついに乱闘なんか始めやがったぞ。一体どうするつもりなんだよっ」

「うむ。此処はまず相手の出方を見て、連中が消耗しきったところで一気に片付けるのが適正じゃろう。それまでワシ等は高みの見物じゃ」

 メタルバードからの問い掛けに、聖龍使いは見届ける意思を皆に伝えた。

 

 そして、20分にも及ぶ乱闘が終わり、双方の団員達は疲労困憊に。

「ふはは。最早パンサークローの連中はすでに体力の限界だな。此方の団員も消耗しているが、この間に加賀美家に侵入して目当ての美術品を手に入れるとするか」

「そうね。買い手もすでに待ち続けているし、早めに入手いたそう」

 と、銀天狗と鎧天狗が話していると、其処にパンサークローの下っ端が起き上がる。

「くっ、ま、まだだ……」

「おやおや。まだ諦めていないのですか? いい加減退きなさい」

「全くじゃ。諦めが悪い男もまた醜いものじゃ」

 呆れ果てる銀天狗に鎧天狗だが、此処で陰で乱闘を見続けていた聖龍隊員も痺れを切らし始めていた。

「お、おい聖龍使い。もう俺たちも動き始めて良いんじゃないか……」

「うむ、そうじゃの……では、我等も此処で……!」

 とメタルバードからの通信に聖龍使いも賛同しかけたその時、闇夜から一つの影が飛び出した。

「フハハハッ、黒天狗党。お前等の好きにはさせないわよっ」

「うむっ? だ、誰だ!」「な、何者なのじゃ!?」

 闇夜から現れる可憐な影に、銀天狗と鎧天狗が問い掛けると影は月光に晒されて名乗る。

「ふふ……私の名前はミスティーハニー! 黒天狗党、お前たちの好きにはさせないわよ!」

「なっ、何者なのだ。あの麗しきレディーは……」

「パ、パンサークローの手の者なのか!?」

 

 これを見ていた聖龍隊員達も驚いた。

「こ、これは……!」「なっ、何だあの女は!?」

 聖龍使いとメタルバードが一驚する中、ミスティーハニーを見てセーラー戦士達も驚く。

「あっ、あの姿って……」「えっ、ええ……!」

「ま、まるで……!」「ええ、キューティーハニーと……」

「そ、そっくりじゃない!」

 セーラームーンにマーズ、マーキュリーにジュピターやヴィーナスは驚愕する。

「か、彼女は一体……」「あの女性は……」

 謎のミスティーハニーにデューイもナースエンジェルも動揺する。

「きゅ、キューティーハニーと……」「あ、ああ。瓜二つだ」

「で、でも少し姿が……」「ああ。多少コスチュームが違うな…」

 さくら、小狼、苺鈴、星夜はキューティーハニーとそっくりなコスチュームに驚く。

「な、何なんだ急に現れやがって……!」

「ハ、ハニーさんとは違う魅力が……」

「ハ、ハニーさん。か、彼女は……」

 驚くトシにソウシに続いて、イサミに問われたキューティーハニーは思わず零した。

「そ、そんな……せ、聖羅……」

「なにっ。おいキューティーハニー! 聖羅ってあの葉月聖羅か!? これは一体どういう事なんだ!」

「そ、それは……その……」

 メタルバードの問い掛けにキューティーハニーが返答を詰まらせていると、聖龍使いが混乱する事態を鎮めて指示を飛ばす。

「い、今は話している場合ではない! こ、このままでは戦闘につながるぞ! 総員すぐさま戦闘態勢に入れ!」

『りょ、了解!』

 

 聖龍隊は颯爽と、銀天狗・鎧天狗とミスティーハニーの眼前に姿を現した。

 

「またれぇまたれぃ」

「なっ、何者だ!」「こ、今度は何なんだ?」「くっ、次から次へと」

 戸惑うミスティーハニーに銀天狗と鎧天狗を前に、聖龍使いは歌舞伎口調で名乗り出す。

「あ~我等は街で~不届きな輩を~あっ懲らしめるぅ、あっ聖龍隊とは、あっ拙者等の事で~ございやすぅ」

「なっ、何だと!?」「こ、今度は聖龍隊? お~今日はなんて日だっ」

「くっ……キュ、キューティーハニー……!」

「………………」

 突然現れる聖龍隊を前に困惑する鎧天狗と銀天狗を尻目に、ミスティーハニーはキューティーハニーを睨み付けていた。

「な、何だか……ハニーさんとミスティー、スゴク重い空気が……」

「あ、ああ。そうだな……」

「ど、どうしたんですか? キューティーハニー……」

 二人の間に流れる重く険しい空気に、ソウシもトシもイサミも困惑する中、メタルバードが指示した。

「う~む、どうも訳ありって感じだな。よしっ、ミスティーハニーはキューティーハニーとオレに任せて、しんせん組は天狗二人組を相手にしてくれや!」

「「「は、はいっ」」」

 メタルバードに続いて、聖龍使いも指示を飛ばした。

「うむ。では拙者もキューティーハニーとメタルバード共に応戦いたすので、他の隊員達はしんせん組の応援をしておくれ!」

「は、はいっ」「へへっ、仕方がないな」「まっ、しょうがないか」

「よ~し、りり……い、いやナースエンジェル。一緒に頑張ろうね」

「よしっ、相手が普通の人間ならカンフーでも十分に倒せるはずだ! 苺鈴いくぞっ」

「ま、待ってよ小狼~」

 ナースエンジェルも星夜もデューイもやる気を漲らせる中、さくらも小狼も苺鈴も加勢する意気込み。

「わ、私たちも行きましょう!」

「そうねっ。他の仲間たちに後れをとる訳にはいかないわ!」

 セーラーマーキュリーもセーラージュピターも唱えると、セーラー戦士達も臨戦態勢に突入。

 

 かくして、聖龍隊は黒天狗党員を率いる四天王・銀天狗と鎧天狗、更には謎の女・ミスティーハニーと一戦交えることとなった。

 

 

 

 

[人質となった加賀美恭子と、義理堅い銀天狗]

 

 聖龍隊員は芸術家・加賀美恭子の作品を狙うパンサークローと黒天狗党。二つの組織を相手に奮闘していた。

 

「そりゃあーー!」

 銀天狗が聖龍隊に向かい、光弾を放った。

「う、うわっ」「ひ、ひぃ~」「な、何なのこの技は?」

「うははは。これぞ私の得意武術、電光流であ~る!もう一度受けてみたまえっ」

 銀天狗の技に戸惑うマーズに星夜そしてマーキュリーに、銀天狗は語った。

「う、うわあっ」「わ、私じゃあるまいし何で電気を放せる訳なのよ!?」

 戸惑うヴィーナスにジュピター達に、イサミが注意を告げる。

「皆さん気をつけて! 銀天狗の技は一筋縄ではいかないわ!」

「はあぁぁ!」

 鎧天狗の方は猪突猛進のごとく、隊士達に襲いかかって来た。

「くっ、くっそーー!」「う、うわーー!」

「はっは。弱い、弱すぎるぞお前等!」

 鎧天狗の刀捌きを前に苦戦するトシとソウシ達。

「く、アイツは戦い方がやたら荒っぽいが、かなりの使い手だぞ!」

「え、ええ……迂闊に近づく事も出来ないわ」

「ほ、ほええ……攻撃が激しくて、どうしたら良いのかな」

「さ、さくらっ。こういう時こそカード使うべきなんじゃ無いのか?」

「そ、そうよっ。小狼よりもカードを持っているんだし、何かしらのカード出しなよっ」

 鎧天狗の猛攻に苦戦させられるデューイに接近が難しいと唱えるナースエンジェル。そんな中、さくらが困惑してると小狼と苺鈴が彼女に訴える。

 

 その頃、聖龍使いにメタルバード、そしてキューティーハニーはミスティーハニーに変身している葉月聖羅と応戦していた。

「キューティーハニー!!」「くっ、せ、聖羅……!」

「な、何じゃこの女子は……」

「あ、ああ。最早憎しみの塊だぜ、この女……」

 キューティーハニーに憎しみをぶつけるミスティーハニーに、キューティーハニーはもちろん聖龍使いもメタルバードも戸惑うばかり。

「せ、聖羅……なぜこんな真似を……!」

「黙れ! お前は何も言わずただ私に倒されるが良い!」

 キューティーハニーとミスティーハニーの押し問答は続く中、状況は一変した。

 

 なんと戦闘が展開されている加賀美家の前、その家から一人の女性が出てきた。

「もう~、一体何の騒ぎなのかしら……ウルサクて眠れやしない」

「ううむ、いかん! 加賀美恭子本人じゃ!」「なっ、なに!?」

「えっ?」「……ニヤッ」

 聖龍使いにメタルバードそしてキューティーハニーが気付く中、ミスティーハニーは不敵な笑みを浮かべる。

 そしてミスティーハニーは家から出てきた加賀美恭子に向かい、咄嗟に彼女に剣を喉元に突き立て人質にしてしまう。

「聖龍隊、動くんじゃないよっ。この女がどうなっても良いのか?」

「えっ」「な、なんてことにっ」「うむっ、い、いかん!」

「うわわわ……な、何て真似をするんだあの女は……!」

「ミ、ミスティー!!」

 ナースエンジェルにセーラーマーズ、聖龍使いにメタルバードやキューティーハニーが困惑する中、恭子本人は混乱していた。

「えっ、な、何何? 何が起こっているの?」

 

 ミスティーハニーの突然の行動に、その場に居た全員が驚愕する。

「えっ!」「な、何て事を……!」「う、うそ……!」

「ちくしょ~、人質を取るとは……!」

 セーラージュピターにセーラーマーキュリー、ナースエンジェルに星夜が戸惑っていると、其処に加賀美家から続いて夫である加賀美健一郎(かがみけんいちろう)に、娘であるアッコ本人が出てきた。

「な、何事だ一体!?」「あっ、ママ!」「ア、アッコ……パパ……」

 状況が呑み込めない健一郎とアッコに恭子が戸惑いながら返事するとミスティーハニーが二人を脅す。

「おいっ、其処の二人! この女の命が欲しければ、素直に言う事を聞け!」

「マ、ママ……!」「あ、あなたは一体何のためにこんな事を……!」

 健一郎が戸惑う中、アッコが問い掛けるもミスティーハニーは変わらない態度で答える。

「我々が欲しているのは、この女が作った作品だけよっ。すぐに渡しなさい」

「くっ、ど、どうする聖龍使い……」「う、うむ……」

 メタルバードに聖龍使い達が動揺しているとき、銀天狗がミスティーハニーに向かって光弾を放った。

「ぐわっっ」「きゃ、きゃああ!」

「おっと、大丈夫ですかな奥様」

「え、ええ……だ、大丈夫ですわ」

 銀天狗はミスティーハニーが離れたすきに、捕えられてた加賀美恭子を助け出す。

「な、何をするっ」

 ミスティーハニーが銀天狗に問い詰めると、銀天狗は真剣に答えた。

「ふふ、可憐なお嬢さん。貴女のやり方は余りにも汚すぎる」

「は、はぁ? 何を言っているの。獲物を得る為なら何でもするのが悪役でしょうが」

「ふっはっは。私はねえ、正しき悪を進む事を望んでいる男なのだよ。君には申し訳ないが、人質を取るというのなら僕も黙ってはいられないねえ」

「な、何て奴! 人質を取らずに悪事を働こうとは……!」

「……あ、あの男。加賀美恭子を救いやがった……」

「あの銀天狗って人はいつも、ああいう感じの人なんだよ」

 この銀天狗の言動にメタルバードが唖然としてると、トシが答えた。

「うわ~はっはっは。いや~敵ながらその律儀、天晴れであるぞよっ、銀天狗よ!」

「おやおや、聖龍隊の総長に御褒めに頂けるとは……何とも参りましたね」

 聖龍使いにも称賛された銀天狗は思わず内面で苦笑していた。

 すると銀天狗に抱き抱えられている加賀美恭子に、鎧天狗が迫って問い詰める。

「おいっ、加賀美恭子! お前が作ったという【夕陽の中の心情】は何処に在るんだ!」

「えっ? あ、あの作品を皆さんは望んでおいで何ですか……?」

 恭子が戸惑っていると、銀天狗も優しく訊ねる。

「ふっふ。奥さん、私たちは貴女に危害を加えたりはしませんよ。……なので大人しく渡してもらえないでしょうか」

 すると恭子の口から衝撃的な事実が飛び出した。

「あ、あ~……あの作品でしたら実は今日のお昼に間違って壊してしまいまして……今、新しい作品に取り掛かっている最中なんですよ」

「……えっ?」「な、なに……」「………………」

『ええええ~~~~~~~~~!!!!??』

 銀天狗に鎧天狗にミスティーハニー、そしてその場の全員が愕然とした。

「は、はぁ? そ、それじゃ今までの私たちの苦労は……」

「まいったな~。今日まで計画練ったっていうのに、すべて水の泡とは…」

 鎧天狗も銀天狗も参ってしまう中、ミスティーハニーはパンサークローの下っ端たちに命令する。

「な、なんて事! ……クソっ、パンサークロー、撤退だっ」

「お、おいっ、ミスティーハニー!」「ま、待って!」

 撤退するパンサークローを従えて退くミスティーハニーをメタルバードとキューティーハニーが制止するも、ミスティーハニーはパンサークローと共に闇夜へと消えていってしまう。

「え~いっ、我等も退くぞっ者共!」「あっ、待て、鎧天狗!」

 鎧天狗を制止しようとトシが声を掛けるも、鎧天狗は一足先に闇夜へと消えていく。

「やれやれ、仕方がないな。それでは諸君、またいつか」

 銀天狗はそう言い残して聖龍隊の前から立ち去ろうとすると、そんな彼にソウシとイサミが声を掛ける。

「あっ、ぎ、銀天狗……」「ぎ、銀天狗さんっ」

「んっ?」

「あ、ありがとう。加賀美恭子さんを助けてくれて……」

「……フッ」

 銀天狗は軽く笑みを内面で浮かべると、颯爽と夜の闇に消えて行った。

 

 

 

 

[chapter:加賀美家と聖龍隊]

 

 パンサークロー及び黒天狗党が立ち去り、辺りには静けさが残った。

「……行っちまいやがったな。双方とも」「……うむ」

 両者ともに腕を組んで考え込むメタルバードと聖龍使いに対して、セーラー戦士達は呆然としていた。

「きょ、今日の任務って……」「……え、ええ」

「……いったい」「何だったんだろうね……」「は、ははは……」

 セーラームーン、マーキュリー、マーズ、ヴィーナス、ジュピターが苦笑いを浮かべる。

「……笑えない展開だね」「デューイ、今回は俺も同意するよ……」

「……ほえ、え」「ははは……」

 デューイに同意する星夜に続き、さくらもナースエンジェルも呆然とする。

「な、何のために……」「こんな遅くまで一緒に居るんだろう……」

 一気に疲れが見える小狼と苺鈴。

「ふぅ、何かいつもの事だけど、銀天狗さんは相変わらず憎めない人よね」

「あ、ああ……」「そ、そうだ、ね……」

 イサミの発言に、トシもソウシも頷くばかり。

(……聖羅。貴女はなぜ、そんなに憎しみに満ちてしまっているの)

 一方でキューティーハニーが一人思い詰めている時、聖龍使いが彼女に声をかけた。

「キューティーハニー……」

「はっ。せ、聖龍使い…」

「……色々と思い悩んでおるようじゃが、後でいろいろと事情を聞かせてもらうぞ」

 聖龍使いに続き、メタルバードもキューティーハニーに問う。

「ああ。あの葉月聖羅が何で変身できるのか? そしてお前と、どんな関わりなのかを……な」

「は、はい……」

 二人からの問い掛けに、キューティーハニーは悲しい面持ちで返事する。

 

 そんな立ち尽くしている聖龍隊に、加賀美一家が寄って来た。

 

「……あ、あの~」

「うむ? 何かご用でしょうか、ご婦人」

「あ、貴方達があの聖龍隊でいらっしゃるのですか……?」

 聖龍使いが恭子に声を掛けられていると、メタルバードが恭子の質問に答える。

「ああ、オレ達が泣く子も黙る聖龍隊だ。今日は前々からアンタの作品を悪党が狙っているって聞きつけたから、みんなでこうして出張って来た訳だよ」

 すると其処に健一郎も礼を述べてきた。

「あ、あの……どうもありがとうございました。お、御蔭で家内は無事で……」

「いやいや。全ては悪人とは言え義理堅い銀天狗殿の計らいでござるよ。今回拙者等は何もしてはおらぬ」

 そんな中、アッコが目を輝かせて聖龍使いに迫ってきた。

「あ、あの……ほ、本物の聖龍隊……!」

「えっ、ええ、そうでござるが……(や、やっべ~。アッコが近づいてきた。俺だってバレなきゃいいんだけど……)」

「あ、あの……わ、私……貴方達の大ファンなんです! よ、良かったら聖龍使いさん、あ、握手してもらってもいいですか……?」

「えっ、ええ……か、構わないが……(うっわ~、ア、アッコが俺に握手を……!)」

 修司いや、聖龍使いは気前良く加賀美あつこと握手を交わした。

「あ、ありがとうございますっ」

「い、いや……は、ははは」

「………………」

 アッコと応対する聖龍使いを横目に、メタルバードは内心唖然としていた。

 すると其処に今度はアッコの母親である加賀美恭子が聖龍隊に問い掛ける。

「はっ、そうだわ! せっかく聖龍隊の皆さんが揃っているんですし、この際写真撮影してもらえませんか!」

「えっ、オレたちの写真を?」『ええっ!』

 恭子の提案に一驚するメタルバードに一同。

「でもママ、それじゃあ聖龍隊の皆さんの御迷惑になるんじゃ……」

 アッコが母親に言い聞かせようとすると、聖龍使いが思わず発してしまう。

「いっ、いやっ。拙者等は一向に構いませんぞ……」

『……って、ええ!』

 聖龍使いの発言に聖龍隊一同は激しく困惑する。

「お、おい相棒……いくらなんでも安請け合い済んじゃねえよ」

「あっ、すまん。つい口が滑って……」

 メタルバードの指摘に聖龍使いもふと失言だったと気付くも。

「よ~しっ、それじゃあ皆さん家の中には行ってくださらない? 写真撮りますんで」

 既に恭子本人は乗り気だった。

「うっ……いやぁ、それが」

「あ、あの~肝心のカメラマンさんがいませんし~」

「はっ、そうそう! 私達ってやっぱりスーパーヒーローだからプロのカメラマンに撮影してもらわないといけないので……!」

(あ~あ、言っちゃならない事言いやがって……)

 困惑するメタルバードに続き、必死に言い訳を述べるセーラームーンとヴィーナスだったが、二人の発言に聖龍使いは途方に暮れる。

「あ~、それなら大丈夫ですよ。私の夫がカメラマンですし、撮影機材も全て揃っておりますの」

『ガ~~~~ンッ!!』

「そ、そんな……」「ま、まさか旦那さんが……」

「プ、プロのカメラマンって……」「……アッコちゃんの御両親、凄すぎる」

 完全に積んだ状況に、マーズもマーキュリーも、星夜もさくらも唖然とする。

「はは……これでもう今夜は遅くなるわね」

「ナースエンジェル、少し半泣きしてるな……」

 ナースエンジェルもデューイも途方に暮れる。

「あ~あ、ママとお祖父ちゃんに何て言えば良いの……」

「か、母ちゃんに叱られないかな……」

「ふっ、まぁプロのカメラマンなら綺麗に写してくれるかもね」

 途方に暮れるイサミにトシに半ば状況を受け入れソウシ。

 

「それでは皆さんっ。我が家のガレージにどうぞ」

 こうして聖龍隊の面々は、加賀美夫妻の計らいでガレージにて急遽、写真撮影を行ったのである。

 

「うふふ♡いや~、作品造りが煮詰まっちゃって困っていたのよね。まさか聖龍隊をこんな間近で見られるなんて……今日は付いているわねー♪」

「は、ははは……い、いや~喜んでくれて良かったでござるよ。ははっ……」

『ギロッ』

 聖龍隊一同、聖龍使いを睨みつける。

「ひぃっっ」

「あ~あ、早く撮影終わらないかな~」

 聖龍使いが皆の睥睨に怯む中、メタルバードは早々に撮影を終らせたい気分。

「いや~、どうもすいませんね皆さん。家内のワガママ聞いてもらっちゃって……」

「ああ、全くだよ……ウグッ」

 健一郎に答えるデューイの口を思わず聖龍使いが塞いだ。

「は、ははは……い、いや~市民の声に応えるのも英雄の役割の一環でございますよ」

「ははっ、それなら良いんですが……では次は、セーラームーンさんお願いしますね」

「は、はいっ」

「はは、そんなに硬くならなくても大丈夫ですよ。ホラッ、もっとリラックス……」

 カメラを前に緊張するセーラームーンに健一郎は優しく話し掛ける。

「ん~、次は順番にマーズ・マーキュリー・ジュピター・ヴィーナスの順で撮らせてもらいますね」

「あっ、はいっ。お願いします……」

 マーズが答えると、健一郎は更にお願いする。

「最後にセーラー戦士全員での集合写真をお願いしても良いでしょうか?」

「う、うむ。宜しいでござる……」

(し、修司くんの奴…アッコちゃんの身内だからって、少し断ろうとする勇気は無い訳……!)

 聖龍使いの受け答えにマーズ達は密かに怒りを募らせる。

「あっ、パパ♡ちゃ~んとナースエンジェルやキューティーハニー、それから其処のカワイイピンクの女の子の写真も撮って頂戴ね」

「あっ、解っているよママ♡」

(この、リア充夫婦め……!)

 ナースエンジェルやキューティーハニーにさくらも撮影するよう夫と会話する恭子夫婦を前に、メタルバードは密かに嫉妬していった。

 とその時、ガレージに一匹のペンギンが入り込んできた。

「クワっ、クワっ」

「ええっ。な、なんでペンギンが此処に?」

「えっ?ペンギンだなんて……うわっ、ホントにペンギンが居る!」

「ぺ、ペンギンがなぜ此処に……?」

 突然乱入してきたペンギンに星夜もナースエンジェルもキューティーハニーも戸惑う。

「うわあっ、可愛いわ~~♡」

「あっ、ホントだ。ちょっとツンツンした目付きがまたチャーミングね♡」

「クワっクワっ! クワ~っ」

 セーラームーンとヴィーナスがペンギンに見惚れるも、ペンギンは聖龍隊に対して敵意をむき出しに威嚇してきた。

「ってこのペンギン。ちょっと敵意向き出してない?」

「え、ええ。何だかちょっと怒っているみたい……」

「ほ、ほら……ペンギンさん。怖くないよ……」

 マーズにマーキュリーが困惑する中、さくらは勇気を出して手を差し伸べるが。

「ほっ、ほええ~~! うわ~ん、いきなり噛まれた~」

 なんとペンギンはさくらの手を嘴で噛み付いたのだ。

小狼「き、気をつけろっ。このペンギン何だかやる気だぞ!」

苺鈴「ホントっ、ペンギンのくせに生意気ね」

「……ちょっと懲らしめてやろうかな」「ああ。そうだな」

「ちょ、ちょっと! 相手は動物なのよ! いじめちゃ可哀そうよ」

 小狼と苺鈴が警戒する中、そんあペンギンを懲らしめようと気が合うデューイとトシをイサミが宥め止めているとアッコがペンギンを抱っこして制止する。。

「あっ、こんな所に居た。コラッ、ペンペン。聖龍隊の人たちに御迷惑かけないの!」「ぺ、ペンペン……って」

 ジュピターが指をさすと、アッコが説明する。

「あっ、御免なさいね。この子は家で飼っている動物タレントのペンペン。ちょっと気が強いのがタマに傷なんですが、根は良い子なんです。ホントに申し訳ありません…」

「え、ええ。大丈夫よ私達……」

「そ、それにしても……」「ア、アッコちゃんって……」

「ぺ、ペンギン飼っているなんて……」「し、しかもタレント……」

「な、何て一家なんだ……加賀美一家って」

 動物タレントを飼っている加賀美一家に対して驚きを隠せないキューテーハニーにマーズにマーキュリー、そしてナースエンジェルにさくらに星夜。

「……おい相棒。お前の同級生って結構とんでもない女だな」

「ああ、そうだな……」

 と、メタルバードと聖龍使いが密談してると、アッコに抱えられてたペンペンがいきなり聖龍使いに向かって、くちばしで突っ突いてきた。

「くわっクワっ、ク~ワッ」

「い、イタタっ。な、何をするでござるか」

「あっ、こらっペンペン止めなさい!」

「ク~ワッ、クワっ、クワっ」

 アッコの制止を聞かず、ペンペンは更に聖龍使いを突っ突いた。

「イタタッ、イタタタタッ!!」

「あ~もうっペンペン! いい加減にしなさいよ!」

「キュ~~~」

 アッコに叱られて、ようやく大人しくなったペンペンだが、そんなペンペンの様子を見て恭子が零した。

「もう~ペンペンったら……こんなに突っ突いちゃうなんて、修司君以来じゃないかしら」

「へっ? し、修司……」

 メタルバードが反応すると、恭子はアッコと修司の仲を説明し出した。

「ええ、そうよ。貴方達も知っているでしょ、新しい市長の小田原修司君。実は家の娘は、彼と同じクラスで授業受けててね。しかも彼とは恋仲らしいのよ♡」

「!!」

「……へえ~~~、あの市長さんと恋仲なんですか~。ふ~~ん」

『へえぇ~~……』

 恭子の説明を聞いて内心一驚する聖龍使いを横目で見詰めながら愛想笑いするメタルバードと聖龍隊の女子一同。

「マ、ママ! そ、そんな事を聖龍隊に言わなくても……」

 アッコが慌てる中、そんな彼女にマーズとキューティーハニーが笑顔で言う。

「うふふ♡アッコちゃん、そんなに照れなくても良いのよ」

「そうよ。好きな男の子と一緒に過ごせるなんて羨ましいわ」

「そ、そんな……そんな事って……」

 顔を赤らめるアッコに、恭子が追い打ちをかける。

「フフフ、アッコは修司君の事言われるとスグに赤くなっちゃうわね」

「もう~ママったら! それなら私より修司の方がよっぽど顔真っ赤にしちゃうわよっ」

「(カアアアアアア……)」

 アッコ親子は気付いていなかったが、この時聖龍使いは頭から湯気を出していた。

「いや~羨ましいですな市長さんは~」「ええ~、全くその通りで」

「ウフフ、結構可愛いところもありますしね。あの子」

「はいはい。仲の宜しい事ですなぁ(ニタァ)」

「(こ、こいつら。俺が何も言えない事を良い事に……!)」

  思わず微笑むセーラームーンにトシにヴィーナス、星夜達を前に聖龍使いは内心激しく怒っていた。

「それにしても、ペンペンがこんなにムキになって人に対して突っ突くなんて……どうしたのかしら?」

 このアッコの疑問に聖龍使いは答える。

「ふ、ふぉっふぉ……そ、それは恐らく、拙者が余りにも周りの仲間と違うから敵意を感じてしまうのかもしれませんなぁ」

「……そうですか? 私には此処に居る皆さんが、とってもステキに見えるんですけど」

 このアッコの返答に、メタルバード達は思わず戸惑った。

「えっ? お、お嬢ちゃんオレみたいな奴もいるけど……」

「え? 貴方は……ただの鳥さんでしょ。それに彼方だって他のヒーロー同様に街の為に頑張ってくれているじゃない」

「……オレの事、怖くは無いのかい?」

「全然。だってステキじゃない。大空を滑空して、街の困っている人たちを助けてくれる人達って。私はそんな貴方達が大好きよ」

 平然と返答するアッコに、聖龍使いは真顔で唱えた。

「……拙者等はこう見えても異系の者。すなわち人ではないのでござるが」

 するとアッコは平然と真顔で述べる。

「……そんな、ちょっとした事じゃない。確かにみんな周りの人とは違う人達だけど、街の人を他人をスゴク思いやっているのが私には解るわよ。普通の人には無い能力を持っているだけで善悪なんて決められないわ。普通の人間だって、能力が無くても悪事働いたり人を殺しちゃうことだってあるんだもの」

「………………」

「それに貴方達はその能力をちゃんと正しい事の為に使って、街の人たちを助けているじゃない。それだけでも十分立派よ」

 加賀美あつこは、笑顔で聖龍使いを始め、周りの隊員達にもそう唱えた。

 

(……この女、あっさり言ってくれちゃうなぁ)

 アッコの発言にメタルバードが内心呆れる中、セーラー戦士達は人知れず喜んでいた。

(アッコちゃん、私達の事……)(……解ってくれているんだなぁ)

(アッコちゃんって……修司君とは違うタイプの子だけど、他人と解りあえる心があるのね)

(他人の事を理解してくれる……修司君とおんなじだ)

(ア、アッコちゃんの方がステキだよ……)

 セーラームーン、マーズ、マーキュリー、ジュピター、ヴィーナスが喜ぶのと同じくキューティーハニー達も励まされていた。

(アッコちゃん、なんて健気なんだろう)

(こ、この加賀美って子も、他のみんなと同様、私達の事理解してくれている……)

(アッコちゃんは、ちゃんと相手への配慮をしてくれる人だったんだね)

(本来、俺たちみたいなのが居るだけでも恐れられる事が有るのに、この女の子は……)

 キューティーハニー、さくら、ナースエンジェル、小狼もアッコの言葉に救われた。

 

 こうして写真撮影は、何と3時間にも及んだ。

 

 

 

[去りゆく英雄達と動き出す計画《プロジェクト》]

 

「それでは皆さ~ん、今日は遅くまでありがとうございまーすっ」

「はっ、はは……よ、喜んでくださり感謝感激で有りますぞっ……」

「……ふぅ~、やっとこれで帰れるな」

 笑顔で聖龍隊を見送る恭子に聖龍使いが手を振り返す一方、メタルバード達は疲労困憊の様子。

「ホント、もう12時回っちゃっているわよ……」

「は、早く寮に帰らないと」

 と、早々に帰ろうとするマーズとキューティーハニーだったが、此処で聖龍使いがキューティーハニーに問うた。

「キューティーハニー、後日になるがちゃんとあのミスティーハニーについて聞かせておくれよ」

「え、ええ」

 そんな気落ちしてるキューティーハニーに、ソウシイサミが励ました。

「ふふっ、そんなに思いつめなくても大丈夫ですよハニーさん」

「そうよっ、困った時は助け合う。それが聖龍隊の基本でしょっ」

「み、みんな……」

 仲間からの励ましを嬉しく思うキューティーハニー。

「いや~、それにしても今日の任務は、何だかな~」

「ああ。あの銀天狗が、まさか捕えられた加賀美恭子を救いだすとはね……」

「あの人はいつも、発作的とはいえ俺たちを助けてくれたりして、結構憎めない人でも有るんだよね……」

 星夜と小狼の言葉にトシが返事する。

「あ~あ、悪人がみんな、あんな人だったら良いんだけどなぁ……」

「そんな都合良くはいないわよ」

 ヴィーナスの発言に、マーキュリーが悲しい現実を告げ返す。

「ふはぁ~、私、もう眠い……」「ほわぁぁ、私もです……」

「も、もう帰って寝よう……」

「異議なしだぜ」「せ、拙者もでござる……」

 眠気に襲われるセーラームーンに同意するさくらにデューイに続き、メタルバードも聖龍使いも同意する。

 

 そんな疲れ果て眠気に襲われていた聖龍隊に後ろから、加賀美あつこが呼びとめた。

「あっ、待ってください!」

「うむ、何用でござるか……加賀美あつこよ」

 聖龍使いが毅然とした態度で応えると、アッコは戸惑いながらもお願いする。

「あっ、あの……も、もし許してもらえるなら、サ、サイン下さいっ、聖龍使いさん」

「え? せ、拙者のサインで、ござるか……?」

「あ、はい。良ければ……私宛に……」

「……ま、まぁ。構いませんがな」

 アッコから色紙を渡され、聖龍使いは素直にサインに応じた。

「ほれ、これで宜しいですかな」

「あっ、はい。ありがとうございます!」

「うむ。では背者等はこれにて……」

 そう告げて、聖龍隊は加賀美一家の前から姿を消した。

 

「……行ってしまったね、聖龍隊」

「ええ。とっても素敵な子達だったわよね」

「でも指揮していたのは高齢の男性みたいだけどね」

「確かに。あの喋り方って、やっぱり御爺ちゃんなのかな……」

 健一郎と恭子夫妻が神妙な面持ちで話している前で、アッコは聖龍使いのサインを貰って考え込んでいた。

アッコ(フフッ、聖龍使いのサイン貰っちゃった。あの聖龍隊は修司と関わり持っているって話だし、私からもあの人達と少しずつ距離を縮めて行きたいな…それにして、セーラー戦士ってうさぎさん達にそっくりよね。あのナースエンジェルは以前、友枝町の知世ちゃん家で会った事のある森谷って子にそっくりだったし…。やっぱり修司の家に呼ばれている人達って)

 アッコは修司の家に度々集まっている少年少女の正体に薄々気付き始めていた。

 

 

 

その日の深夜、修司は家で国際回線を繋げて何者かと会話していた。

「おおっ、小田原氏ですか。やっと繋がりましたね」

「ああ、すまんな。やはり日本とそっちの時間帯は全く違いますからね」

「ははっ、……ところで例のプロジェクトですが、何処まで進んでおいでですかな?」

「ああ、今はまだ研究途中だ。未だに異次元空間との開閉までも進んではいない状態だ……」

「そうですか……失礼ですが、早く済ませないと国連の方々が痺れを切らせてしまいますよ」

「ああ解っているさ。でも、これからの世界情勢を考えての計画だ。国連の連中もそれは解っているだろ」

「あ、ああ……そうですが……」

「それに、異次元の世界との交流を深めていく事で、其処の世界の文化を始め、貴重な資源や高い技術を俺たちの世界で生かしていかなければ何の意味もないだろう……?」「そうですけど、一体いつになったら完成するのか……」

「異次元亜空間ゲートは今ウッズに見てもらっているから、後は完成を待つだけだよ。問題は、まだエネルギーとの接続部分による、エネルギーの浪費だけらしい」

「……そうですか。それともう一つ。貴方が現在推し進めているプロジェクトですが、本当に組織として機能するんでしょうか……?」

「ふふっ、今はまだチームワークを付けさせている段階だからな。まぁ何れはちゃんとした世界防衛力に繋がる組織にして見せるさ」

「そうであっては困りますよ。今現在この世界で活躍している国家防衛組織は秘密組織『S.H.I.E.L.D.』率いるアベンジャーズや、スーパーマンを筆頭としたジャスティス・リーグしかなく、正直に申し上げると日本のヒーロー達にもそんな組織が出来上がるのか疑問視されているんですよ」

「……確かに、初の試みではあるが、試す価値はあるだろう。これが成功すれば、今後の日本に対する国際情勢も少しは良くなるはずだが」

「は、はぁ……こ、この計画は確かにエネルギー不足や資源難を克服するうえで非常に有効な計画とは思いますが、貴方の推し進めるヒーローチームの事はまだ完全に認められてはいなんですよっ」

「認められるような組織にすれば良いだけの話だろう? 何てったってチームの面々はすでに多くの市民から只ならぬ信頼を得ている面子の方が多いんだからな」

「しかし、すでに日本の自衛隊なんか、例の未知の敵との対戦に備えて、現在人間改造計画を進めているんですよ」

「なにっ、人間改造計画?それはなんだ」

「はいっ、今現在自衛隊は自衛官のみに有らず、一般人からも適合者を見つけ出し、その肉体を兵器にしてしまおうと模索しているんですよ」

「おいおい、そんな人権侵害な……」

「ええ。なので国際世論も余り日本に対して良く見なくなっていて崖っぷちなんですよ」

「……そうか。いやしかし、いつ訪れるかも解らない敵に対して出撃させるのもアレだし、何より今はまだその脅威と戦える程の戦闘力は無い。焦りは禁物だ」

「………………」

「ふぅ~~、どちらにしろ。今はまだ異次元亜空間ゲートも完成していないし、まだ此方は準備中だからな」

「……はい」

「……それじゃあ今の日本はすでに夜中の3時を回っている。俺はもうこれで寝るけど、もしゲートの完成が達成できたら改めて此方から連絡する」

 修司は国際電話を切り、一人考えた。

 

「……今はまだ駄目だ。この組織をもっと強固に、もっと巨大化にしなければ、異次元からの脅威には太刀打ちできやしない……」

 

 それから修司は床に就いた。

 

 

[英雄と言う名の《バケモノ》]

 

翌日、修司は寝不足の状態で学校に登校していた。

「ふわわぁぁ……いや、やっぱり遅くまで電話で長話していたのもアレだけど、アッコの家の写真撮影だけでも疲れちまった…」

 寝不足でヘトヘトの修司に、アッコが話しかけます。

 

「修司~、おっはよ~」

「……なんだアッコかよ。どうした、今日はやけにテンションタケぇな」

「フフッ、見てよホラッ」

 アッコが見せつけたのは、昨晩に聖龍使いに貰ったサイン色紙。

「へっへ~、昨日の夜になんとっ、家の真ん前で聖龍隊と悪党が戦っていたのよ~。もう~スゴイの何のって!」

「……そうかい。それは良かったな」

「どうしたの修司? 何か元気がないけど……」

「あ、ああ。ちょっと寝不足でな……大丈夫だよ」

 とその時、異様にテンションの高いアッコを見て、モコや大将達も近寄ってきました。

「どうしたのアッコ? 何だか変にテンション高いわね」

「あ、モコっ。実はね、昨日の夜に聖龍隊が私の家の前で悪党達と戦っていたのよ! それでママは作品造りの為とかいって聖龍隊の人たちの写真をパパに撮ってもらったり、私は聖龍使いにサイン貰っちゃったりでさ~!」

「……アッコ、お前最近聖龍隊の事ばっかり気にしてるな」

 満足げなアッコを前に大将が訊ねると、アッコは自慢げに語った。

「あら、それは仕方がないでしょ。私これでも聖龍隊の大ファンなの」

「へ~、初めて聞いたわ。アッコが聖龍隊のファンなんて」

「へへ……それに、今パパが昨日の夜に撮った写真を現像している最中なのよ。私も何枚か焼き増しして貰っちゃおうかな~って思っているの」

「お、おいアッコ! そ、その写真の中には……セ、セーラームーンや他のセーラー戦士。そ、それに他のヒロインの写真も当然あるんだろ……?」

「え、ええ。あるけど……どうしたの大将?」

「お、俺にも何枚か写真くれねえか!? お、俺……セーラー戦士やキューティーハニーの大ファンなんだ♡」

「……ま、まあ。良いけど」

「やった! ありがとなアッコ!!」

 大将がアッコに感謝してると、ギョロとゴマもアッコに懇願する。

「あ、あの~、アッコ」「お、俺たちにも何枚か写真分けてくれないかな?」

「う~ん、まぁパパに言えばいくらでも焼増ししてくれると思うから大丈夫と思うけど……」

 すると話を聞いていた他の生徒達もアッコにお願いし出す。

「あっ、そんなら加賀美。俺にも写真くれよっ」

「あっ、ズルイ!それなら私だって」

「俺だって欲しいぞ」「私も欲しい~」

 この生徒達の懇願にアッが困惑してると、モコも赤子にお願いし出す。

「ねえねえアッコ。私にもその写真何枚かくれる?」

「あ~~もうっ。解った解った、みんなの分もちゃんとパパに頼んで焼増しして貰うから……」

 騒々しいアッコの横では、修司が机に伏せながら仮寝していた。

(あ~ウルセエな……俺たちが気前よく撮らせてやったんだから、少しは静かにしてくれねえかな)

 

 するとそんな時、複数の生徒達の発言で、教室は静かになりました。

「あ~あ、くっだらねえな。ヒーローってのはよ」「ああ、全くだ」

 その生徒たちの一言に、教室は騒然となった。

「ちょ、ちょっと! 下らないとは何よっ」

「そうだぞっ、お前等。綺麗なお姉さん達が俺たちの為に戦ってくれているのに、それの何処が下らないって言うんだ!」

 モコと大将が問い詰めると、生徒達は口々に言い始めた。

「はっ? そんなことも解らねえのかよ」

「英雄って言っても、結局は俺たちの様な普通の人間と違うバケモノじゃないか」

「ああ。悪い奴を倒せるってことは、それだけ力も有って危険なバケモノじゃないか」

「英雄と言っても、それを除けば単なるバケモンだよ

「そんな連中に守ってもらう方が、よっぽど怖ええよ」

「まったく、何であんな連中が街に蔓延っているんだろうな」

「案外、マモノと余り変わりねえんじゃねえの?」

「違えねえ。ハハハハハハッ」

 

 彼等の発言に、教室に居た生徒が全員黙り込んだ。

 

「……確かにそうかも」

「あの人達も、私たちと違うのは目に見えているし……」

「いつ、俺たちに対して敵意を持つか解らないのに……」

「……いつも近くに居るなんて」

「うん、ちょっぴり怖いかも……」

「………………」「………………」

 皆の発言にモコも大将も黙り込んでしまう。

 静寂に包まれたクラス。するとその時、修司が立ち上がり、最初に発言した生徒に近づき、胸元を掴んで言い寄った。

「……おい、今なんつった?」

「は、はぁっ?」

「…今何て言ったか答えろって言うんだよ!!」

「ひ、ひぃっ!」

 修司のいきなりの怒鳴り声に、胸倉を掴まれた生徒は涙目を浮かべ、教室中の生徒が騒然となった。

「お、おいっ修司」「ちょ、ちょっと!」「し、修司……!」

 突然の修司の豹変ぶりに大将もモコもアッコも戸惑う。

「お前なんかに英雄たちの気持ちが解るのかよ……あいつ等がどんな気持ちで町を! 人を! 守って来てると思っていやがるんだよ!!」

「ひっ、で、でも……あ、あいつ等の力なら……へ、平気で人だって簡単に殺せるじゃないか! そ、そんな連中を身近に置いておけねえって言ってるんだよっ」

「……てめえ。どうも本気で俺に殴られてえみてえだな……生憎(あいにく)、今日の俺は少し機嫌が悪いんだ。病院に入院することになったら、入院費ぐらいは出してやる……」

「ひっ、ひやっ……や、止めてくれ……!」

「お、おい修司!」「や、止めなさいよ!」「修司!」

 静かに怒りに身を任せる修司を、大将もモコもアッコも必死に止める。

 すると胸倉を掴まれていた生徒が修司に反論した。

「お、おいっ、修司……お、お前があの英雄集団を認可したんだろ。あ、あんな得体の知れない連中集めて一体どうするつもりだ。や、奴等を利用して犯罪でもやろうっていうのか……」

「はあぁ!?」

「だ、だって……あの連中の力を使えば何だってできんだ。あ、あんな訳の解らないバケモノ集めて……お、お前は町を……俺たちの町をバケモノだらけにするのかよ!!」

 

 バケモノ。その言葉に、修司は完全に我を忘れた。

「てめえっ!!」「うっ、うわーー!!」

「修司っ!」「や、止めてーー!」

 修司が生徒に殴り掛かろうとし、それを前に大将とモコが叫んだその時。

「修司!!」

 アッコが修司の肩を掴み、彼の左頬に力の限りの平手打ちを喰らわした。

「……ア、アッコ……」「はぁ、はぁ、はぁ……」

「……あ、あわわ……」

 修司は呆然とし、アッコは呼吸を乱し、殴られそうになった生徒は混乱してた。

 するとアッコは、最初に発言し修司にからまれた生徒に言いる。。

 

「……あなた」

「はっ、はい……」

「……貴方が英雄たちの事をどう思おうと勝手だけど、余り公に発言しない方が良いわよ」

「な、なんでまた……」

「……確かに貴方の言うとおり、彼等は私たちには無い特殊な力があって、自身の心境だけで犯罪や悪事も簡単にできてしまう事は否定はしない。……ただ、この世には彼等の様な存在が居るからこそ私たちは平和な日常を過ごせるし、私達も幸せな人生も歩めるのよ」

「………………」

「……だけど、彼等は! 彼等はそんな平凡で安全な生活を自ら捨ててまでも、必死で私たちの事を守って来てくれているのよ! そんな人達を悪く言うなんて……う、うう……」

 アッコは思わず泣き始めてしまった。

「……アッコ……」「………………」「………………」

 思わずアッコに引っ叩かれた頬を押さえる修司も、そんな泣き出すアッコを達観する大将もモコも悲痛な思いで絞め付けられる。

「……そ、それに。ふ、普通の人だって何の能力も無いのに犯罪をしたり人だって殺すじゃない! 力を使って簡単に罪を犯すよりも、力を誰かの為に使い続けて、必死で頑張っている人までも……わ、悪く言わないで……お願い……ウウゥ」

 更にアッコは大粒の涙を流しながら訴え続ける。

「た、確かに不思議な力を持っていると……それだけで怖くなっちゃうのは仕方のない事だとは解っているわ。でも、そんな力でも弱い人達の為に使う事こそ、立派なんじゃないの……か、勝手に力が有るだけでバケモノなんて言ったら……そ、その人が、その人達が可哀そうだわ!」

 

 アッコの泣きながらの台詞に、最初に発言した生徒も、親友のモコも、ガキ大将の大作も、そしてアッコに頬を打たれた修司やクラスのみんなも黙り込んだという。

 

 

 

 そして、そんな騒ぎも徐々に静まり、学校が終了した、その後の帰り道でのこと。

 いつものように、修司とアッコは一緒に帰っていった。

 

「………………」「………………」

 二人とも、未だに朝の騒動の事を引きずっていた。

 そんな時、最初に声を発したのは修司だった。

「……な、なぁアッコ」

「……な、なに……」

「……朝の事だけど……止めてくれてありがとな」

「えっ」

「お前が止めてくれなかったら、俺本気で、相手の野郎を殴り倒して病院に搬送されるほどの怪我させちまっていただろう」

「……修司」

「…なんだ」

「…修司は実際に、英雄たちに会っているの?」

「……ああ。何度かな」

「……どんな人達」

「……ああ。みんな色々と事情が有るけど、本当に良い連中なんだよ」

「……修司。修司が言うなら、そうに決まっているわね」

「……俺の発言だけで、信じても良いのか? 俺の言う事信じるのか……」

「うんっ。修司なら信用できるわよっ。修司は本当に心の底から優しいって感じられる人なんだもの」

「……アッコ。お前は英雄たちの存在についてどう思うんだ」

「えっ?」

「……正直に言ってくれ。英雄たちの事をどう感じるんだ?」

 修司はいきなり立ち止り、アッコに問い詰める。彼女が英雄たちの存在をどう思っているのかを知りたくて。

「……そうね。正直言うと、私も昼間、問題発言をした同級生とは半分、同じ考えを持っているわ」

「えっ……」

「……でもねっ、修司」

 アッコは真剣な顔で修司に述べる。

「でも……彼等が必死に町を思い、他人を思いやることのできる人だってこともちゃんと解っているわ。特殊な能力だって、使う人間の心ひとつで危険なものにもなれば逆に弱い人達を守る力にだってなれるでしょ。私は聖龍隊の人たちが心の底から正義を守ってくれている人たちだって信じたい。いいえっ、その筈よ!」

「……アッコ」

「どんな力はもちろん、才能だって正しく使えば多くの人たちを救う事が出来るでしょ。不思議な力を持っている人だって、その人が本当に良い人か悪い人かも知らないのに勝手にバケモノ扱いされたら悲しいじゃない。本当は優しいのに、勝手にバケモノ呼ばわりされるなんて……修司も本当はそんなこと言われて悲しかったから、あんな行動とっちゃったんでしょ」

「………………」

「それにね修司。これは私のママから昔聞いた事が有るんだけど、人間なんてホントはみんな良い人なのよ。ママは昔『人間なんて皆いい人なのよ。ただこっちで怖い顔するから、相手も怖い顔しちゃうのよ』って、ママは私にそう話してくれたわ」

「……こっちも怖い顔するから、相手も怖い顔になる……か」

「こっちでニコニコすれば、相手もニコニコッとしちゃう訳よ。何だか鏡みたいだよね」

「……鏡ねえ」

「だから修司も、いつもニコニコ笑顔になりなさいよ。修司がいつも強面だから、みんなも中々修司に話しかけにくいのよ」

「そ、そうか……そんな簡単には笑えねえよ」

「ふふっ、だったら私が、無理やりにでも……コチョコチョッ」

「ぶっ、クッ……ア、アッコ何いきなり擽(くすぐ)って来るんだよっ」

「修司が笑わないのがいけないんでしょっ。ほ~れっ、もっと擽っちゃうぞ~」

「おっ、おい、止めろよアッコ! うわ~」

「こら~、待~ちなさ~いっ」

 

 今朝の諍いも忘れて、修司とアッコはふざけ合いながら帰宅していった。

 

 アッコとふざけ合いながら、修司は改めてアッコの発言に心を動かされた。

 生まれ育った三次元界では、笑う事も出来ず、余計に孤立して行って、そんな自分自身をバケモノと思いこんでしまった過去を。そして、自分と繋がりを持ってくれた英雄たちの事を悪く言われて、思わず衝動的になってしまった自分を止めてくれたアッコ。

 そしてアッコが英雄たちに対して恐怖心を抱くのは仕方のないことかも知れないが、勝手にその人の存在をバケモノにしてしまうのは悲しすぎると言ってくれた事に、修司は心の底から歓喜していた。

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