~~延々とアッコから自分の事、学校の事、友達の事を聞かされながら修司は帰宅しつつあった。
「へぇ~お前の母親、芸術家なのか」
「そう、いつもいつも変な物ばっかり作ってるのよ。創作意欲が湧くと家庭の事なんてほったらかしにするけど人間としてはチャーミングなのよ♪」
「へぇ、良い母親だな」
「修司のお母さんはどんな人?」
アッコからの質問に修司は怪訝な真顔で答える。
「…母親とは余りウマが合わなくてな…」
「ウ、ウマが合わない??」
聞き慣れない単語に戸惑うアッコに、修司は説明する。
「ああ、すまん。ウマが合わないって相性が悪いってことだよ。普通に話しているだけでもすぐに口論になるし正直、今は別居しているんだよ」
「…ごめん、変な事聞いて」
修司に悪いなと思って謝罪するアッコに、修司も戸惑いながら話す。
「い、いや。お前が謝る事無いじゃないか。ただ単に俺の親子関係が上手くいってないだけなんだよ。気に済んな」
「…お母さんとは連絡とっているの?」
「いや…もうこの街に来る前から連絡は取って無いんだ」
「一人で寂しくない?」
「大丈夫、俺は元々1人が性に合っているし自宅にはウッズが居るしな」
「ウッズ…さん?」
「俺の世話役みたいなやつさ。一緒に暮らしているんだよ」
「今度挨拶代わりに遊びに行っても良い?」
「あ、あぁ。その内にな。今はまだ俺が新しい市長であることは黙っておくか…)
「ところで修司、貴方もこの街に来てから日が浅いけどこの街の新しい市長さんも最近引っ越して来た人なんだって」
「っっ…そ、そうらしいな」
動揺を隠しながら答える修司に、アッコは話し続ける。
「どんな人なんだろうね。この街が大変な状況だって知ってるのかな?」
「大変な状況…?」
「あぁ、ここ最近この街にマモノっていうのが出現して一般人を襲っているみたいなのよ。運良くこの辺の地域にはまだ出現したって言う話は聞いてないけどね」
このアッコの話を聞いて修司は目の色を変えた。
「警察とかは動いているのか?」
「警察はダメよ。相手は物凄い怪力や不思議な力を持っているみたいだし、普通の人たちじゃ太刀打ちできないわ」
すると此処でアッコの口から修司が欲しがっている情報が発せられた。
「まぁ、そんなマモノ達と勇敢に戦って市民を護ってくれる人たちがいるみたいだけど」
「…! どんな奴らなんだ」
アッコは思い出しながら語り始めた。
「そうね、私はまだ見たこと無いけどセーラームーンっていう確か5人ぐらいのヒロイン集団に真っ赤なコスチュームのヒロイン。それに看護師の格好をしたのも居たって聞いたわよ」
(看護師の格好…!? まだまだ俺の知らない英雄達の存在も居るってわけか…)
修司がアッコの話に耳を傾けていると、そんな修司を不思議に思ってアッコが訊き返す。
「そんなこと聞いてどうするつもり?」
「! い、いやな。ただマモノって存在にやられっぱなしなのかなって思っちゃってて」
戸惑う修司だが、そんな修司にアッコは話し続けた。
「まぁ、ヒロイン達も無敵の不死身じゃないしね。もっと強い敵が現れたらどうなるのか疑問視されているっていうし新しい市長さんが何か打開策を講じてくれれば幸いなんだけどね」
そうこう会話していくうちに、二人は加賀美家の前にたどり着いた。
「じゃあ修司、一緒に帰ってくれてありがとう。また明日ー」
「あ、ああ。また明日…」
修司はアッコが家の中に入るのを見届けてから自宅である市長宅に駆け込んだ。
「た、ただいま…!!!」
「ど、どうしたんですか。そんなに慌てて…!それにっ、その右手!」
「ああ、訳を話すからまず着替えだ」
慌てた様子で玄関を開けて帰宅した修司にウッズが驚く中、修司は部屋着に着替えてウッズに今日、学校で起こった事。そしてアッコから聞いた英雄達の存在を話した。
「…それは転入初日で大変でしたね。それに修司様にもお友達ができたみたいで何よりです」
「友達って…加賀美の事か? それよりもウッズ! お前も調べておいてくれたこの街の状況及びヒーローとその対立する敵やマモノの関係性を調査できているか?」
「はい、可能な限り調べました。これがその報告書です」
ウッズはそう言って修司に調査報告書なる書類を手渡した。
「…う~~む。なるほどなぁ。マモノと言っても其々全く別の種や、マモノを指揮している勢力もバラバラなんだな…。英雄達も中にはチームを組んで集団で戦う物や個々で戦うのも居る訳か…」
「こんな特殊能力も戦闘理由も違っているに、修司様は彼らと同盟を組ませて英雄集団を作ろうと思うのですか?」
ウッズの疑問に修司は真剣な顔で返答する。
「そうだ。個々の力は確かに弱い…しかし、それぞれが同じ《市民を守りたい》、《弱い人たちを救いたい》と願っているのは共通の思想のはずだ。彼らを一纏めにし、一つの存在にする事で本当の意味での【サイキョウ】になるはずだ」
「…確かに、彼らが協力し合えばどんな強敵とも立ち向かえるとは思うのですが…」
「ウッズ、今度は彼らの身辺調査を行ってくれ。彼らは普段、一般人として生活しているがそんな生活も市長として護っていかなければいけない訳だし、何よりどこの誰か解れば勧誘しやすくなる…」
「…承知いたしました、それとマモノと戦闘した形跡はないのですが特殊な能力やそれに似た力を持つ者の存在も確認できました」
「そうか…そいつらの調査も同時に行ってくれ」
修司はそうウッズに言い放つと自室に籠った。
(彼らの力があれば俺の理想とする戦闘集団が出来上がるはずだ。いずれはこの日本を、世界を正しく導く未来への懸け橋となってくれるだろう…)
修司の野望、そして真意はまさに深淵の闇の様に深かった。