【聖龍伝説】始まる伝説   作:セイントドラゴン・レジェンド

30 / 42
 今回は、以前の議題にも出ていた格闘家襲撃犯を聖龍隊が捕縛しようと考案する話です。
 更に格闘家繋がりで、あのキャラクター達も乱入してきます。
 それに今回の話は前話と比べてかなりギャグテイストが強いです。
※中の人ネタも含まれています
※キャラが崩壊している場面も多々見られます


アニメタウンの英雄達 聖龍隊、謎の格闘家襲撃犯と拳法集団に遭遇する

[chapter:襲撃犯捕獲作戦]

 

 この日、聖龍隊員達はいつものように修司の家の地下基地で話し合っていた。

 

「……なるほどな。あの聖羅って女はお前の双子の妹で、何故かお前同様変身できる能力を持っていてそのうえ、姉であるお前を憎んでしまっている訳だな」

「……ええ。その通り」

「う~ん……」

 ハニーの言い分を聞いて、変身怪獣も修司も考え込む。

 

 聖龍隊は以前、加賀美邸を襲撃し、自分達の目の前に現れたミスティーハニーについて如月ハニーから事の事情を聞いていた。

「……ま、まさか」「あのミスティーハニーが……」

「ハ、ハニーさんの妹さん?」「う、ウッソ~!?」

「い、妹さんだなんて……」

 俄かに信じられないと驚く亜美にレイにうさぎに美奈子にまこと達。

「そ、そんな……!」「ほっ、ほええ~~!」

「……ウソだろ? じ、実の姉を憎んでるって……」

「な、なんでまた……」「し、姉妹でそんなことに?」

 りりかもさくらも星夜も、小狼も苺鈴も何ゆえ姉を憎んでいるのか困惑する。

「う~ん、彼女には何かしらの訳が有るからこそ、其処まで恨んでい待っているんだと思うな」

「だっ、だから何でまた自分の姉ちゃんを!」

「憎悪に掻き立てられるほどの事情が解らないと、手に負えないよ」

「そんな……な、なんで憎まれるか。理由は解らないんですか、ハニーさんっ」

「……私も。なんで聖羅が私を憎んでいるのか、彼女も何も答えてくれないの……」

 デューイに反論するトシに困惑するソウシに対して、イサミに問われて不穏に思うハニー。

「う~ん、あの聖羅って女の心情が解れば、少しは理由が解ると思うんやが……」

「……なにか良い方法は無いのかしら?」

「う~ん……あっ、そうだ。ねえ変身怪獣。君って確かテレパスが使えたよね。それで彼女[葉月聖羅]の心を読んでみてはくれないか?」

 ケルベロスとルナが考え込む中、アルテミスが変身怪獣に訊ねるも。

「い、いや……オレも最初会った時から何とか心を読もうと思っているんだが、何せかなり強い憎悪でな。心の内が真っ暗で何も見えやしねえんだよ」

「……なるほどな。憎悪という闇に包まれて心が読みとれねえって訳か。何だか俺と似たような感じだな」

「いや、お前の場合は憎しみとかそういった闇じゃねえから。言っちゃなんだがお前の闇はあの聖羅って女にある闇よりも、もっと深くドロドロした漆黒の闇だ」

「いやいや、そんなに褒めても何も出ないよ。変身怪獣君♪」

「いいや褒めてねえから!!」

 変身怪獣と修司の漫才を前に、皆は呆然としてしまう。

「……凄いツッコミね」「な、何だかコメディアンだな……」

変身怪獣「いやな、コイツのトンデモ発言のボケには、これ位のツッコミが必要なんだよ……」

 レイと星夜の指摘に変身怪獣は呆れながら言い返す。

「ぷっはっはは~。ま、前から思っていたけど修司君と変身怪獣っていいコンビだよね」

「そうそう♪二人っていつもだけど、見ててホントに飽きないわよね~」

「……オイ。勝手に漫才コンビみたいに扱わないでくれよ」

 うさぎと美奈子に笑われる中、変身怪獣が呆然としてると修司が言った。

「はっは。まぁ聖羅については後々も詳しく動向を監視していく必要があるな」

 これに変身怪獣も頷いた。

「そうだな。何処でどの様にパンサークローと関わっているのか、知っておく必要が有るしな」

「……御免なさい」

「ん?」修司「……」

「みんなに余計な心配掛けさせてちゃって……」

 申し訳なくて謝罪するハニーに、変身怪獣が笑い飛ばした。

「……はっ、はっはっ。何だよそんな事かよ」

「? ……えっ」

「別に余計な事じゃないだろ? 誰だって身内に問題が有ったら色々と悩んじまうのは当然だ。それに……」

「……そ、それに?」

「それにオレたちはもう仲間なんだしよ。困っている事が有ったら遠慮なく言いやがれよ。前にも修司が言っていたけど、誰かに悩みを聞いてもらうだけでも解決までには行かなくとも、少しは安心できる筈だ。そうだろ?」

「……変身怪獣」

 変身怪獣の発言に励まされるハニー。するとトシ達も続けてハニーに言う。

「お、俺たちだって居ますよ!」「えっ」

「そ、そうです! もう此処に居るみんなが立派な聖龍隊……仲間なんですよっ」

「ふっ、その通り。一人で悩みを抱え込む必要なんて無いんです」

「そうですよっ。ハニーさん一人だけで悩みを抱え込むこと無いんですよ」

「そうね。問題を解決する事はすぐには無理だけど、悩みを相手に打ち明けるだけでも十分気持ちがスッキリしますよ」

「ハハッ、その通りや。もうワテ等は切っても切れへん関係やし、この際悩みでも何でも打ち明けてスッキリしなされや」

 イサミ、ソウシに続いてまことや亜美にケルベロスもハニーを励ます。

「そうです。もうハニーさんは一人だけで悩む必要は無いんですよ」

「うん、そうだよ。悩みが解決するかどうかは解らないけど、悩みぐらい、いっくらでも聞いてあげちゃいますよ♪」

「はいはーーい♪この愛野美奈子ちゃんも聞いちゃいまーーす♪♪」

「ははっ……相変わらずテンション高いなこの人」「ああ、まったくだ」

「でも、私たちにだって解決しなきゃいけない悩みが有るんだし、少しは力になってあげないと悪いわよ」

「うんうん。りりかちゃんの言うとおりだよ。此処に居るみんな大事なお友達なんだし、助けになってあげないと」

「まぁ、俺たちの時もそうだったけど、悩みを聞いてやるぐらいはできるからな」

鈴「そうよね。もうただの友達でもないし、少しは力になってあげないとね」

「うんうん。みんなホントに良い子よね」「ああ、その通りだ」

「み、みんな……ウっ、ホントにありがとう……」

 レイにうさぎ、美奈子や星夜、りりかにさくら、小狼に苺鈴にルナとアルテミスからの励ましに如月ハニーは目に涙を浮かべて感動する。

 

 そんな中、修司が話題を変えた。

「ゴッホンっ、ん。さてと、その葉月聖羅の問題については今後じっくりと解決していくとして、まず俺達が片付けなきゃいけないのは現在アニメタウン中で頻発している『格闘・武道家襲撃事件』だ。この数日の間だけでも4件も起きてしまっている。これを真っ先に解決しなければ、今後とも被害者は出る一方だ」

 この修司の発言に変身怪獣が問うと、修司は答える。

「まぁ、それはそうだけどよ。なっ、相棒。お前が立てている計画って一体何なんだ?」

「ふふっ、それはな……ヒソヒソ」

「ふむふむ……」『うんうん……』

 修司からの囁きを変身怪獣も皆も揃って耳を傾ける。

『………………………………………………え、ええっ!?』

 修司の作戦に誰もが驚愕した。

「ちょ、ちょっと待ってよ修司さんっ」「い、いくらなんでも危険すぎるわよ」

「あ、危ないですよっ。そんな事したら……」

「あ、あんた下手したら病院行きだぜ」

「む、無茶ですっ。止めてくださいよっ」

「そ、そうですよ。そんな真似するなんて…」

 慌てふためくトシにレイに、小狼に星夜、いさみにさくらが達が止めるも修司は余裕綽々で返す。

「はっはっは。な~に心配するな。俺はこれでも武術にはかなりの自信が有るのよ。そんなに心配するなって」

「で、でも。万が一何かあったら……」

「そっ、そうですよ! 修司さんに何かあったら……」

「俺が町を徘徊するときは、お前等が側で警護してくれていれば大丈夫だろう。何より怪我しちまったら、そん時こそナースエンジェルやナースハニーに変身して治療してくれれば良いんじゃないか」

「そ、そんな……」「い、いくら私達に治癒能力が有るからと言って……」

 必死に修司を制止するハニーとりりかに対して、修司は胸を張って宣言してしまう。

「あ、危なっかしいわよ」「少し無謀じゃないかな……」

「あわわ……へ、下手したら大怪我じゃ済まないかもしれないよ」

「あ、あんさん無茶な事しますなぁ」「ほ、本当に無茶よっ。そんな真似……」

「も、もう少し作戦を練ったらどうかな……」

「はっは。これ以上確実な作戦が有るかよ。俺自身が囮になって襲撃犯を誘い出す以上の作戦がよ」

 戸惑う亜美にまこと、うさぎ達に続いてケルベロスやルナにアルテミスも修司を宥め止めるも、修司は俄然やる気に満ち溢れていた。

 

 とその時、エレベーターからウッズと知世が、大量のケーキを台車に乗せてやって来た。

「修司様ーー、皆様~。大道寺邸から特製のケーキが運ばれてきましたよ」

「うふふ。今日は皆さん全員に私からの奢りですわ」

 笑顔で皆にケーキを運んでくれるウッズと、その傍らで微笑む知世に星夜とケルベロスとトシが反応する。

「い、いやっほ~!」「ワオッ。また知世んちのケーキを食えるなんて……」

「う、うわっ。な、なんだこのケーキは。ぜ、全部見たことも無いような旨そうなケーキじゃねえか」

 同様に喜ぶうさぎに美奈子たちに知世が笑顔で微笑む。

「うっわーいっ。知世ちゃんマジありがとー!♪」

「こ、こんなに高そうで美味しそうなケーキ。ホ、ホントに良いの知世ちゃん……」

「ええ。今日は皆様で召しあがろうと態々取り寄せたんですよ」

 大漁のケーキを前に修司も皆に休もうと言い出した。

「よ~しっ、取りあえず甘いもん摂って頭を休ませますか」

「なんで甘いもの摂る事が頭休ませる事に繋がるんだよ」

「な~にを言うかっ、甘いものは脳にとって欠かせない栄養分なんだぞ」

「……摂りすぎても糖尿病になりますよ」

 修司の言動に亜美が呆れながら注意すると、修司は堂々と言い放った。

「それは大丈夫っ。俺はバランス良く辛じょっぱいもんも食っているから!」

「いやいやっ! そういう問題じゃないからねっ。辛しょっぱい食い物も摂っていれば良いって問題じゃないからね!」

「甘いものも辛いものも、すべて受け入れるのがこの俺、小田原修司だーー!!」

「いやもう意味分かんないから! もう滅茶苦茶な事言っているよな、いつも以上に!!」

 この展開にレイもイサミも困惑する。

「なに……何なのよっ、急にギャグ漫画テイストなこの展開は!?」

「ああ~、もう付いていけないよ~(涙)」

 そんな皆に修司が熱く説く。

「お前達ー、こんな展開にもついていけないとは情けないぞーー!! そんなんじゃ今後の大作エピソードにも進められないぞーー!!」

「いいやっ、何急に裏方情報公示しちまっているんだよ! てゆーか作者しか知らない様なネタ振って来ているんじゃねーよ! いやっそれよりもさり気なく予告もしちゃっているよねっ?」

「うおおおーーい! 急にギャグネタに走ってきちゃっているぞ、修司~!」

「……あっ、なんだウェルズ居たのか。影が薄かったから気付かなかったよ」

「ガガ~ンっ。か、影が薄いって……今それ言っちゃう訳……お、俺は確かに兄貴より登場は遅かったとはいえ、影はそんなに薄いとは思えないけど……」

 落胆するウェルズを尻目に、変身怪獣も指摘してしまう。

「いいや、それはオレも認めるよ。お前等双子って、結構影が薄いしな。てゆーーか単なる脇役だしな」

「言っちゃったな、言っちゃったよこのヤローー! 最も言ってはいけない事言っちゃったよね君は!!」

「……もうこの小説も此処まで展開コロコロと変えてくるんですね」

「いやっ、それを言うなら最近ほとんど出番がないケイやジュニアの方が影が薄くないか?」

 ウェルズもウッズも展開に付いて行けてない現状にウェルズが訊ねると修司が平然と真顔で答える。

「ん? まぁ……ケイはまだ幼稚園児だし戦わせる訳にもいかないからな。それにジュニアの場合はこの先、戦士として覚醒するまでケイの遊び相手として付き合ってもらうさ」

「おいおいおーーいっ。まーーたっ制作予定の大作の予告をさり気なーくしちゃっているよね!? てゆーか、こんな事をオレたちの前で喋っても良い訳なの!?」

「大丈夫だろう。作者は大抵ギャグ展開なテイストが好みらしいからな」

「っておーいっ。ま~た問題発言しちゃっているよね!? 何急にこんなギャグ展開を作っちゃっている訳なの?」

「う~ん。それは多分、作者が余りにもこのシリーズが人気がないからって多少ヤケになっちゃっているのも有るからな」

「作者~! もう少しマシな展開にしてくれよ~! 俺たちこんな展開に心底付いていけませんから~っ」

「う~、もう話が、展開がまともじゃない…」

「はは、は……な、なんで急にこんなギャグっぽい展開になるんだろうか」

「あ~。さっきまでの私のシリアスな展開は何処に……」

「こ、こんな調子で大丈夫なのか……」

 まことも星夜もハニーも小狼も困惑する中、修司は断言した。

「はっは~。それは心配ないぞよ小狼。こ~んな調子でも、例え悪評衝かれ様とも、多分話は続くだろうよ。……多分な」

「い~やっ、何っ?急にそのような弱腰はっ? まるで下手したらこの話がすぐに終わっちゃう様なフラグは建てるなよ!?」

「フラグって言っちゃダメですぅ~! 余計に危なくなっちゃいますよっ」

 ウッズの指摘を横目に、修司は指示を出す。

「うんっ。そう言う事で、次の展開に行ってみようっ」

「だからっ、何でそんな急に無茶ぶりする訳? 強引に話を進めるなよっ」

 

 

 

 

[市長からの挑戦状]

 

「……っておーいっ。何っ? なに急に次の話に持って行っているんだよ~!」

「え~、早速ですが。話を翌日の朝まで持っていきます」

「っておい! 無視済んなっ。ギャグ漫画テイストで急に話を先に持っていくなって……!」

 

 変身怪獣と修司が話す中、展は進み、翌日の朝のニュース

 

「皆様、おはようございます。花丘玲子のおはよう7の時間です。本日朝一番に皆様に伝えるニュースは、アニメタウンの新市長小田原修司氏からの直々の速報です。ここ数日アニメタウン内にて格闘家や武道家を中心に狙った通り魔的襲撃事件が相次いでいます。この事件について、市長である小田原修司は次のように会見で述べています」

『えー、ここ最近。わが町アニメタウンで頻発しているという襲撃事件。これについては余りにも遺憾の意であります。このままでは町の市民が安心して過ごせる[夢の町・アニメタウン]のイメージが落ちる一方で有ります。そこでっ、わが町の市長であるこの俺。小田原修司がその通り魔に対して直々に、ボッコボコのギッタギタにしてあげちゃいますよ。俺は今日から毎晩毎晩、アニメタウンを徘徊してその犯罪者をこの拳で制裁してやるぜよっ! おーい襲撃犯っ、よーく聞けよこのヤロー! 俺の町で悪事働くとはフテえ野郎だな。お前さんが本当に武術に自信のある輩なら、この俺とタイマン勝負してみろよ、クソがっ!! 俺はいつでも挑戦待っているからな!!』

「…………え、え~。と、という訳でして、市長の心強い発言でした……つ、続きましては……」

 

 そんな花丘玲子のニュースを視聴していた花丘家では。

「……な、なんじゃこの会見は」

「は、はは。は……(し、修司さん。囮になるって……こ、こんなので犯人が引っ掛かるのかな……)」

 

 一方、自宅にてテレビでこの会見を見ていた他のメンバーは……

 

 聖チャペル学園 女子寮

「……こ、こんなんで大丈夫なのかしら」

 

 十番街 月野家

「……な、なんだ。このコメントは」育子「うふふ。朝から面白いわね市長さん」

「め、滅茶苦茶な人格だな。うちの市長って……」

(うう~、こんなんで犯人寄って来てくれる訳なのかな~)

(こ、こんな人が総隊長である組織にうさぎ達は入っちゃった訳なの……)

 謙之に育子、そして進悟が呆然とする中、うさぎとルナは内心困惑してた。

 

 友枝町 木之本家

「朝っぱらからウルセエ市長だな」

「は、ははは。そ、そうだね(ほええ~、こんなんで犯人を誘き出せるの? 修司さん……)」

 兄である桃矢と食卓を挟みながら苦笑いを浮かべるさくら。

 

 そして、通学途中のりりかと星夜は。

「おいりりか。今朝のニュース見たかよ……」

「ええ。はっきり見たわよ。まさかあんな公言するなんてね……」

「……これで本当に襲撃犯が現れてくれるのかね」

 

 一方。問題ありすぎる市長、小田原修司の自宅では。

「……上の文からもうムカつくんだが(怒)」

「まぁ、犯人誘き出して捕まえれば、今回のミッションつまり話は終わりますから」

「……俺はもう疲れたよ。この展開には」

「はっはっはっは。修司兄ちゃんホントにおっかしい~」

 立腹する変身怪獣に、ウッズもウェルズも呆れる中、ジュニアは笑い転げていた。

 

 そしてそして、その問題な市長。修司の通う学校では…。7

 

「ウィ~ッス、おっはよう」

「あっ、修司が来たぞっ」「修司、今朝のニュースは一体何なの?」

 教室に入ってきた修司に大将とモコが詰め寄る。

「あ、あれ。単なるコメディチックな会見ですけど」

「いやいや、コメディチックな会見って何? メディアの前での会見を態々面白くしちゃう訳なのか!?」

 大将の問い掛けに修司は眠たそうな顔で答えた。

「え~、だってさぁ。ただの会見なんてつまんないだろ? 俺はもっとこう、みんなが笑顔になれるような事をしたい訳なのよね」

「だ、だからって。あそこまでしちゃう訳?」

「あれぐらい、どうって事ないだろ。別に不祥事起こしちゃいました、って会見でもないんだしさ」

「……む、無茶苦茶だ……!!」」

 と、修司が大将やモコと話している時、アッコも修司に言い寄ってきた。

「……修司。何なの、あの会見は?」

「ああ、アッコか。なに、今巷で騒がれている襲撃犯を誘き出そうと、朝から笑えるトークをだな……」

「いやいやっ。なにお前は無理やり見ている人を笑わせようとしているんだよ! 無意味に笑う事は無いんだからなっ」

「おいっ大将! テメエは一体何を言っていやがるんだっ」

「えっ、え?」

「人間ってのはよ、笑わねえとストレス溜まってロクな奴には成んねえんだぜ。ホラッ、以前にもアッコが俺に言ってくれてたじゃないか」

「ううんっううんっ。私そんな事一っ事も言ってないからねっ? わ、私が言ったのは不思議な力が有っても勝手にバケモノ呼ばわりしないでって事と、こっちで怖い顔するから相手も怖い顔になっちゃうって事だけよ!」

「だからよ~、簡単に言えば周りが笑顔じゃないから他の奴も笑顔には成れねえって事だろ?だからこそ、町のみんなに笑ってもらうためにも、あんな感じの会見をしたまでで……」

「だからって! だからってあんなトンデモナイ会見しちゃう訳!? そ、それに。修司が自分からあんな事を言っちゃって本当に襲撃犯が現われでもしたら……!」

「はっは。な~に、俺はそんなにヤワじゃ無えよ。心配すんなって」

「心配しちゃうわよ~! もしホントに襲われでもしたらどうすんのよ!大怪我して病院に担ぎ込まれても良いの~!!」

 そう言ってアッコは思わず修司の胸ぐらを掴んで、修司を振り回してしまう。

「ア、アッコっ。そ、そんなに興奮済んな。目がっ、目が回る~!」

 そんなアッコと修司のやり取りを前に、モコと大将が会話する。

「……なんか、修司が来てからアッコ変わっちゃったわね」

「ああ。なんかキャラが変わったというか何というか……」

「修司も転校してから、かなり経ってはいるけど本当に性格がコロコロ変わるわよね……」

「ああ。まるで性格じゃなく人格が変わっちまっているけどよ……」

「……修司って、一体何者なのかしらね」

 

 

 そして夜、修司は会見の発言通り一人で町を徘徊した。近くで身を隠しながら聖龍隊も待機する。

「ふっふふ~ん、ふっふふ~ん。さあて、襲撃犯は何処に居るのかな……」

「……あいつ。完全に遊び感覚で徘徊していやがるよ」

 修司の行動にメタルバードが呆れていると、ジュピターが問うた。

「ね、ねえ。本当に大丈夫なの? 修司君一人で徘徊させて囮にさせるなんて……」

「まぁ、あいつは結構腕っ節は強いからな。一応は聖龍隊結成前からかなり鍛えこんでいるんだよ。余程の事が無い限り、大事にはならないとは思うけどな……」

 するとジュピターに続いてキューティーハニーも口にする。

「やっぱり危険すぎるわよ。修司君って少しお年寄りっぽい言動するけど、アレでも一応は小学生なのよ」

「……キューティーハニー。お前、見かけによらずキッツイ事言うな」

 すると小学生組も愚痴を零し出す。

「で、でも私たちがこうしてずっと見張っていれば大丈夫ですよ」

「そ、そうっ。私達が見守っていれば平気ですよ」

「……それまでずっと、こうして延々と夜中に活動していかなければいけねえけどな」

「あぁ、全くだ……」「……もう僕は帰りたいよ」

「デューイ~。それは私だって、みんなだって同じよ~(半泣き)」

 イサミ、さくら、星夜、小狼、デューイ、ナースエンジェルが途方に暮れる。

「ふわぁ~、アタイもう眠いよ……」

「うさぎっ。我慢してよ。私だって同じ……ふわぁ」

「あ~あ、いつまで続くのかしらね。この展開」

 大欠伸するセーラームーンにマーズもマーキュリーも疲れている様子。

「全くや。ワテはさっさと帰って一っ風呂浴びてえわ」

「ねえケロちゃん。あなたお風呂に入っても大丈夫なの?」

「はっ? 何言うとんねんヴィーナスはん」

「い、いや~。ヌイグルミをお風呂に入れても良いものかと……」

「だ~か~ら~っ。ワテはヌイグルミや無いってゆーとるやろーが!」

 言い合いを始めるケルベロスとヴィーナスに、トシが注意した。

「二人ともうるさいよ。少しは静かにしてくれよ」

「……ボク、今スゴイ事に気づいちゃったんだけど」

 と、此処でソウシがある事に気付いた。

「へっ?」「そ、ソウシ。何に気づいちゃったんだ?」

 メタルバードとトシが反応すると、ソウシが述べる。

「……ほら。よ~く耳を澄ませて聞いてみてよ。マーキュリーとケロちゃんの声……」

「へ、へ?」「け、ケロちゃんとマーキュリーの声……?」

「え? 私たちが何?」「な、なんなんや急に」

 戸惑うセーラームーンにさくら、そしてマーキュリーとケルベロス本人の前でソウシは言った。

「……二人の声。なんか似ていない?」

「ほ、ほえっ?」「そ、そう言われてみれば……」

「た、確かに……」「よ~く聞いてみると……」

「確かに、何か同じ声っぽいな」

 ソウシの指摘に、さくらもセーラームーンもジュピターもナースエンジェルもデューイも気が付く。

ケロ「は、ははっ。な、何を言うてますやんソウシはん」

マーキュリー「わ、私とケロちゃんが同じ声だなんて…」

 戸惑うケルベロスにマーキュリーだが、キューティーハニーや星夜にヴィーナスも気付く。

「あっ、確かにそっくりだわ」

「おおっ。言われてみれば確かに似てるよな……」

「うわわっ、ホントにそっくりね。二人の声って……」

「そ、そんな……」「な、何を……」

「「言ってくれるの「んや!」」

 マーキュリーとケルベロスの声が重なったのを前に、皆は唖然とする。

「あ……」「ああ……」「こ、声が……」

「か、重なった……」「け、ケロちゃんと亜美さんの声が……」

「け、ケルベロスが……」「せ、セーラーマーキュリーと……」

「……確かに同じだな」「ま、マジでそっくり……ププ」

「ト、トシ。そんな笑っちゃ、悪いわよ」

 唖然とするジュピターにセーラームーン、マーズにナースエンジェル、さくらや小狼に苺鈴、メタルバードに笑う出すトシにイサミが注意する中、マーキュリーとケルベロスは呆然とする。

「あ、あぁ……」「そ、そんなアホな……」

 

 そんな性も無い話を皆がしているときだった。電柱の陰から、二人組のマスクを被った男達が現れた。

「ん? なんだお前等」

「お前が小田原修司。この町の新市長だな」

「ああ、そうだけど。それが何?」

「お前が作った新しい町の法案で、俺たちは路頭に迷っているんだよ」

「てめえの所為でどれだけ俺達が煮え湯を飲まされてきたか……!」

「「てめえに解るか、ボケエっ!!」」

 この修司に襲い掛かる非常事態にメタルバードが慌てた。

「んっ。いかん、修司が男二人に絡まれていやがる!」

「えっ」「た、大変っ。このままじゃ」

 マーズもキューティーハニーも急ぎ修司に駆け付けようとするが。

「ああん? 自分等が路頭に迷っている理由を俺の所為にする訳なの? ハァ?」

「「ひ、ひいっっ」」

 キレ顔で暴漢二人に睨みを利かせる修司の言動を遠くから目視して、メタルバードは呆れてしまう。

「あ~あ、やっちまったよあの二人。修司に喧嘩売ろうなんて……東尋坊岬から飛び降りるよりも自殺行為だよ」

「えっ? なに、なにっ? 彼に喧嘩売るって其処までの暴挙な訳!?」

 メタルバードの話にマーズが訊き返すと、メタルバードは修司の過去を語り明かした。

「ああそうだよ。アイツは以前居た学校でも、同じ学校の生徒に少しでもバカにされるとブチギレて、バカにした相手の耳に噛り付いた過去が有るんだよ……」

「あ、相手の耳に……!」

 一驚するセーラームーンにメタルバードは話し続ける。

「そう。そして噛まれた相手の耳は完全とは言えないが、少しは噛み千切られて耳が消失してしまったという」

「ええっ。耳を噛み千切るって……」「ひっ、ひい~……」

 修司の過去を知って唖然とするキューティーハニーに怯える星夜。

「それ以来修司は、前居た学校では【耳千切りの修司】と呼ばれ、恐れられていたという……」

『………………』

 メタルバードから聞かされた修司の過去を知って、全員血の気が引いたという。

 

 その頃、闇夜の中から激しく殴打する物音が鳴り響いた。

 そして急に辺りに騒音が響いたと思いきや、突然音は止み、辺りには只ならぬ静寂が包み込んだ。

「えっ。なに、なに?」「し、修司さんの方からだっ」

 ヴィーナスと小狼たち聖龍隊は急ぎ、修司が男二人に絡まれていた場所に近づくと其処には。

 顔中ボコボコにされ、一人は電柱に脳天を直撃させられ、残りの一人は民家のコンクリ製の壁に上半身がスッポリ突き刺さっている暴漢たちの成れの果てが。

『う、うわあぁ~~~!!』「あ~あ。結局ヤッちゃったか、あの野郎……」

 悲鳴を上げる一同に対して、メタルバードは落ち着きながらも呆れていた。

「ひ、ひぃっ……め、メタルバードぉ」

「し、修司さんっていつもこんな感じなんですかぁ?」

 セーラームーンとさくらが訊ねると、メタルバードは真顔で皆に忠告した。

「……あぁ、そうだよ。お前達も気をつけろよ。下手したら三途の川を見物しに逝っちまうかも知れねえからな……」

「ひ、ひぃ~。お、おっかねえ~」「暴挙にも程があるでしょっ」

「うう……こ、此処まで人間離れした人間は初めてだよ」

「うわ~。妖魔や魔物の方がマシに思えてきちゃう~」

 星夜も小狼もデューイも苺鈴も一気に蒼褪める。

「ううぅ、私達って……」

「ええ。トンデモナイ人に関わっちゃったわね……」

「ははっ、はは……ク、クロウカードの魔力よりも強靱や無いかなぁ」

「うわぁ……こ、こんなに凶暴だったんですね。修司さん」

 修司の凶暴性を前にして愕然とするジュピターにマーキュリーとケルベロスにナースエンジェル。

「ひ、ひぃ……あ、あの人達生きているのかな……?」

「い、いや……ピクッピクッて動いているから生きてはいるだろうけど」

「こりゃあ、死んでいても可笑しくないよ」

 暴漢達の成れの果てを前に、イサミやソウシにトシは呆然としていた。

 

 と、その時。聖龍隊が携帯している無線が鳴った。

「あっ、あっ。こちらメタルバード。こちらメタルバード。どうぞ」

「おおっ、メタルバードか。悪いが今さっき暴漢二人を叩きのめしたから、ちょっと誰でも良いので警察に引き渡して置いてくれや」

「……ああ。解ったよ」『………………』

 了解したメタルバードは他の聖龍隊に依願するも。

「……と言う訳だ。誰か済まねえが、この二人を警察に連れて行ってはくれねえか」

『……お断りします』

 全員が警察への連行を拒否した。

「……って何でだよっ。何で暴漢二人を警察に連れていく事を君等は拒絶する訳なのよ、ねえっ!」

「だ、だって……」

「この二人を此処まで痛めつけたのは誰だって聞かれたら……」

「何て答えれば良いか……」

「さ、最悪。連れて行った人が暴力振るったって思われちゃうよ……」

 困惑するマーキュリーとマーズとキューティーハニーとさくら達にメタルバードは言い切った。

「いやいや。だからってこのまま暴漢を放置していても警察沙汰にはなっちゃう訳だよ? いんや下手したらこの二人マジで死んじゃうよ。死ぬ前にちゃんと警察に連れて行ってやらねえと」

 するとナースエンジェルが提案する。

「あっ。だったら警察じゃなく病院の方が良いのでは……」

「あっ、それ良い!」

 ヴィーナスも納得すると、メタルバードがナースエンジェルに指示する。

「よしっ、それじゃあナースエンジェル。言い出しっぺのお前が病院まで二人を連れて行ってくれよな」

「え、ええっ?そ、そんなあんまりよ……」

 困惑するナースエンジェルを気に掛け、星夜が庇うも。

「お、おいメタルバード。りりか一人に行かせるのはあんまりだと思うけど……」

「よしっ、それじゃあ彼氏のお前が一緒に付いて行ってやれよ」

「ええっ? お、俺もか……」

「め、メタルバード……そ、そんな聖夜は。か、彼氏とかじゃないし……」

「ガッ~~ン。は、はっきりとみんなの前で言っちゃう訳ね」

 ナースエンジェルの発言に傷付く星夜を見て、マーズもジュピターも同情する。

(あ~あ。星夜くんが可哀そう)

(いつもりりかちゃんにアタックしているのに、りりかちゃん全然気づかないんだものね)

「あ、ああ。そうだわ。私の能力であの人達の怪我を治してから考えましょうよ」

 ナースエンジェルが再び提案するも、苺鈴が指摘する。

「……そして一体何処の警察署に運ぶか。それだけよね」

「あっ……」『………………』

 と、皆が暴漢達の後始末に困惑していると、また無線が鳴った。

「は、はい。此方はメタルバードだが」

「おっ、メタルバード。済まないがまた暴漢に絡まれてよ。今度は5人なんだけど、さっきの二人同様警察に連れて行ってくれねえか…」

「……フザけるなっ!! テメエは一体どれだけ一晩の内に怪我人増やしていくつもりなんだよっ!!」

「だってさぁ。俺が作った法案に文句付ける輩が居るんだもん。俺が作った法案はすべて悪人のみしか困らない様な素晴らしい法案なのに、それを逆恨みしてくる下衆共がワンサカ居るんだもん」

「あっ~~~!! テメエはどんだけ傍若無人なヤローなんだよっ!!」

「おっ、変身怪獣が諺(ことわざ)使うなんて珍しいな。よしっ、帰ってから花丸あげちゃう……」

「花丸なんかいらないよっ。それよりも頼むからこれ以上怪我人増やさないでくれよな……」

 と、メタルバードと通話中に、先ほど聞いた以上の殴打の轟音が無線から聞こえてくる。

『………………………………』

「……おーい。修司。今なんか物凄い音が聞こえたんだけど。そっちで何かあった?」

「ああ。ま~た暴漢共が現れて……」

「ワーワー、ワ~!! もう聞きたくないよっ、もうこれ以上なにが起こってもオレたち知らないからね!?」

「そんな事……ヒーローである君等が言ったら死活問題だよ」

「お前の暴力行為の後始末するのがヒーローじゃねえぞ! それに現市長であるお前が暴力沙汰を起こしている方が死活問題じゃねえ!?」

「メタルバード! お前は一体何を言いやがるっ!」

「え、えっ……」

「俺がやっているのは暴力行為などではない!! 立派な町のゴミ掃除である!! 悪人共を制裁するという立派な市長の務めである!!」

「お前の市長としての仕事は暴力主義か!! 悪人を叩きのめすのは勝手だけど、オレたちに後始末はさせんじゃねえぞ……」

「ん? また誰か来たな……あっ、今度は金属バットを持った輩が10人ほどいる……」

「うわーー! お願いっ、お願いですから修司様っ。これ以上の悪人制裁は止めてください!! もうこれ以上犠牲者出さないでください!!」

「うん解った。それじゃ……殺るか☆」

「って何が『殺るか☆』だよ! な~にっ最後に☆マーク付けちゃっている訳!? 怪我人じゃなく死人出すつもりな訳? 殺人はいくらなんでもヤバいんじゃないのネェ!?」

「あっ、連中攻撃してきやがった。さっさと殺っちゃいますか」

「うわ~~!! おい野郎共っ。急ぎ修司の所に向かうぞっ。今度は怪我人じゃなく死人が出ちゃうよ! 修司が殺人犯しちゃうよっ!!」

『………………な、泣けてくる』

 

 結局、この日は当初の目的である武道家襲撃犯は現れず、聖龍隊は修司にボコボコにされた暴漢達の処理を一晩中やったという。

 

 

 

[疲労したカードキャプター]

 

 翌日。修司は学校に通学していたが、昨晩の騒動でかなり寝不足であった。

 

「……ふ、ふわあぁ~」

「な~に修司。今日は一段と大きなあくびするわね。授業も寝てばっかりだし、目の下にはクマができているわよ」

「ん? あ、アッコか…。いやな、昨日の晩から例の通り魔を探していてな。結局は見つからず仕舞いなんだよ」

「! し、修司は本当に毎晩通り魔を探して町を徘徊していたの?」

「うん? そりゃお前、俺がちゃ~んと公の場で言ったんだからよ。しっかりと守らねえと……それにこのまま通り魔を放っておくなんてできないだろ?」

「そ、そりゃあ通り魔が捕まらないと町のみんなが安心できないのは解るわよ。だけど修司自身が囮みたいにならなくても……」

「な~に、俺は腕には自信が有るんだよ。そんな通り魔の一人や二人、簡単に返り討ちにしてやるよ」

「し、修司……(修司に何が遭ったら私……)」

「それじゃあ、悪いがもう少し寝かせてくれや。授業が始まったら一応は起こしてくれや」

「あっ、修司」「ぐお~、ぐぅ~……」

 アッコとの話も早々に、修司は完全に机に伏せて寝入ってしまった。

(し、修司にもしもの事が遭ったら……よ、よしっ。こうなったら……)

 アッコは人知れず決断した。

 

 そしてその日の午後。全員学校が終わるとすぐに修司の家に出向いた。全員がかなり御立腹の様子では有ったが。

「ふわあ~~……いや、お前達出勤御苦労」

「……ってなにサラリーマン扱いしているんですかっ」

「き、昨日は結局お目当ての犯人は捕えず終い……」

「うっ、うう……昨日は帰ってお祖父ちゃんに説教されながら遅くなった言い訳考えていたわ……」

「れ、レイちゃんの所も……」

「わ、私なんかお祖父ちゃんとママ両方にこぴっどく叱られた……」

「うう~、俺も母ちゃんに叱られて、今朝は朝メシ抜きだったよ……」

「私なんかぁ~、ミハル先生に大目玉喰らっちゃったわよ~」

「ううぅ、みんなも大変だったのね」「ま、まだ眠いよ……」

「わ、私も完全に寝不足だわ……」「わ、私初めて授業で居眠りしちゃったわ……」

 疲れ切っている星夜、小狼、レイ、うさぎ、イサミ、トシ、ハニー、りりか、さくら、まこと、亜美たちに修司は欠伸しながら返した。

「……みんなも大変なんだね~。ふわあぁ……」

『……って、それもこれも全部アンタの所為だろうがぁ!!』

「ひっ。う、うわぁ。お、御蔭で眠気が取れたよ。ありがとね」

 この修司のボケに変身怪獣がツッコみ返す。

「ってオレたちはお前の眠気を取るために怒っている訳じゃないぞ! 昨日は夜中まで必死でお前がボコボコにした暴漢共の治療や警察への身柄引き渡しなんかで全員寝不足なんだよっ。イラッとしているんだからな!!」

「もう~、解った解った。それは謝るよ、もう……で今日の夜は何処を回るか」

「えっ? 今日も見回りする訳?」「そ、そんなぁ……」

 修司の発言に戸惑ううさぎと美奈子。

「だってよ。通り魔捕まえない限り今回のミッション終わらないよ。話も進まないよ」

「だからっ、そんな裏方みたいな発言するなよ」

 修司と変身怪獣が言い合っていると、そこに小狼とさくらが頼み込んできた。

「……あ、あの~」

「ん? なんだ小狼」

「お、俺とさくら何ですけど…」「こ、今回はちょっと休ませてもらいたくて…」

「へっ? そりゃまた何で……」

 変身怪獣の疑問に、苺鈴が変身怪獣と修司に訴える。

「変身怪獣っ。それに修司っ。小狼やさくらは自分自身の魔力で普段戦ったり行動したりしているのよ! 昨日みたいに一晩中付き合わされたら魔力だって嫌でも消耗しちゃうわよっ」

「あ、ああ。それは確かにな……解った、今回は二人は休んでいて良いぞ。下手に力が消耗して、今後差し支える可能性もあるからな。構わないだろ修司」

「ああ。無理やり参加させるのも返って任務に支障が出るだろうし、今回は特別だ。ゆっくり休んでいて良いぞ」

「そ、総隊長……」「本当に申し訳ありません……」

 修司からの容認を受けて、小狼とさくら組は今回の作戦に不参加という事が決まると修司が皆に呼び掛ける。

「よ~しっ、それじゃあ今日は小狼とさくら抜きで見回りをするぞっ。お前達良いな」

『は、は~い……』

「返事が小さいぞっ!」

『は、はいっ!』

 

 そして聖龍隊はその日の晩も町の見回りに就いた。

 

「……ふ~~、さすがに二日続けての夜の見回りは堪えるぜ」

 この日、修司が夜の街を見回りするのを聖龍隊の隊士達は地下のメインフロアで修司の動向を見はりつつ、通り魔が現れたらすぐさま出動できるよう体制を整えていた。

「あ~あ。昨日もこうすれば良かったのよ」

「ま、まぁ。今日は此処で待機できるんですし……」

「モグモグ、ウッズさんの御夜食食べ放題だしね」

「ヴィーナス。そんなに食べたら体に悪いわよ」

「モグ。もう亜美ちゃんったら。今日も昨日みたいに体力勝負になるかもしれないんだし、少しは力をためておかないと」

 大人しく待機しているマーズにナースエンジェルに対して、ヴィーナスとセーラームーンが夜食を食べているのをマーキュリーが注意する。

「うさぎの場合は力じゃなく脂肪なんじゃないの?」「し、脂肪って。プッ」

「うわ~ん、レイちゃんがまたイジワル言う~」

「もう星夜っ。笑うなんてひどいわ」

 マーズが呆れながら台詞を吐くと、彼女の台詞に思わず星夜が吹き出す。これにセーラームーンが泣き言を言うが同時にナースエンジェルが星夜を注意する。

「……今日は一体いつまで掛かるのかしら」

「まっ。僕は昼間たっぷりと寝かせてもらったから大丈夫だけど」

「良いな。デューイさんは昼間は基本ヒマで…」

「全く。二日続けて寝不足にでもなったら肌に悪いよ」

「もう、ソウシったら。女の子じゃあるまいし、肌に気を使うなんて」

 長引く夜に不安を覚えるキューティーハニーにデューイが零すと、そんな彼を羨ましがるトシに自分の肌を気にするソウシに呆れるイサミ。

「オレはそれよりも昨日みたいに修司が暴君にならねえか、それだけが心配だよ。昨日警察に運んだ連中はみんな全身打撲なうえに頭蓋骨や鼻の骨が骨折していたのばっかりだったからな。運んだのがオレたち聖龍隊だったから、お陰で俺達が全員叩きのめしたみたいに警察には思われちゃったし、散々だったよ。せめて今日だけは穏便に終わってほしいぜ」

『………………うん、まったく』

 メタルバードの台詞に、全員が頷いた。

 

 一方、修司は平然と町を徘徊していたのだが、此処で修司は気づいていなかった。彼の後ろから、気づかれないように加賀美あつこが尾行しているのを。

(し、修司が体を張って町を守っているのに私は何もできないなんて嫌だわ。少しでも修司の役に立てるんなら……)

 

 アッコはそのまま修司を尾行し続けた。

 

「しっかしよ~。何で通り魔は現れねえんだ? 一昨日散々ニュースやメディアに取り上げてもらったって言うのに。あっ、さては俺の事ビビッて避けちゃっている訳? そうかそうなのか。いや~強すぎるってのも問題だな~。でもこのままじゃ通り魔捕まえられないし困ったなぁ」

「……し、修司は何を一人でブツブツ言っている訳? まさか二日続けて見回りしっぱなしだから、疲れているのかしら」

「う~ん、今日は何処に行こうかな。…あっ、そうだ。折角だし友枝町まで行ってみるか。さくらや小狼がどんな状況が見てやるのも、総長としての務めだしな」

 アッコの尾行に気付かないまま修司は、そのまま友枝町まで足を運んだ。

 

 

 

 

[公園で出会った格闘男児?]

 

 修司は友枝町の公園まで来ていた。

 

「さ~てとっ、公園まで来てみたのは良いがどうしようかねっ? このままさくらの家に行ったらそれこそ不審者みたいだし、小狼の家に行けば苺鈴がウルサイしな~」

 

 とその時。公園を歩いていた修司に一人の青年が近づいてきた。

 

「……おい、其処のお前」「ん? 俺の事かい兄さん?」

 話し掛けてくる青年に修司が返答すると、青年は仏頂面で修司に問い掛ける。

「ああそうだ。お前は確か町の新市長の小田原修司だよな」

「……あぁ、そうだけど。御兄さんはどう言った御用件で俺に尋ねる訳?」

「……テレビじゃデカイ面して自分の腕を自慢しているみたいだが、ホントにあんたは強いのか?」

「……なるほどね。俺が単なる自慢野郎。単なるこけおどし野郎だと思っていやがるのかい?」

「そうじゃねえけどよ。本当に腕に自信があるなら、この俺と一戦やらねえか?」

「ほっほう。それは面白い。実を言うとここ数日、ホントに強い輩と闘っていねえから腕がなまっちまってよ。ありがてえぜ」

「よし。話はついたな。ほんじゃ早速やりますか」

「ああ、そうだな。ところでお前、名はなんという」

「俺か…俺の名は」

 修司と対峙する青年は、強い口調で名乗った。

「俺の名はらんま。『早乙女乱馬』だ!」

「そうかっ。早乙女乱馬っ。その勝負受けて立つ!」

「よしっ、きやがれ!」

 修司と乱馬のやり取りを茂みの中から、そっとアッコが覗いていた。

(あ、あれ。し、修司が見知らぬ男の人と闘っちゃっている。ど、どうしよう……)

 闘い合う修司と乱馬を目撃して、アッコは非常に戸惑ってしまう。

 

 一方、ところ変わって聖龍隊地下のメインフロアで監視カメラ越しに状況見ていた聖龍隊は。

「ん? 修司の奴、なんか赤い道着の男と戦っているぞっ」

「えっ!」ナース「ま、まさか例の通り魔?」

 メタルバードとマーズとナースエンジェルが食い入るように画面を見入っているとキューティーハニーが答えた。

「いいえ、それは無いわ。通り魔の目撃情報だと、相手は拳法着姿の女性だったって言うから」

「で、でも。このままじゃまた昨日みたいな事に……」

「うわ~ん、また暴漢を警察に連れて行くなんてヤダヨ~!」

「うう~。それは私だって同じよ~」

 ソウシの予感にセーラームーンもヴィーナスも泣き出してしまう。

「あっ、修司さん。どんどん公園の奥まで行っちゃっているよ」

「うわあ~~、大変このままじゃ!」

「ま、また昨晩みたいな惨劇に……!」

「せ、聖龍隊! すぐさま現場に直行じゃ~~!!」

 慌てるトシにジュピターにマーキュリーを前に、メタルバードが指示を飛ばした。

 

 一方の公園では、修司とらんまが互いに一歩も譲らない激闘を展開していた。

「はぁ、はぁ……」「はぁ……お、お前結構やるな」

 修司もらんまも互角の闘いを繰り広げていた。

「はぁ。……て、テメエこそ中々やるじゃねえか」

「はぁ。よしっ、此処からは俺も本気出して!」

「そんなら俺も本気出すぞーー!!」

「「おりゃおりゃおりゃりゃりゃりゃっ!!」」

 修司と乱馬、二人の戦いは更に加熱し、二人はそのまま公園の中央にある噴水まで来た。

「おりゃおりゃー! どうだ早乙女乱馬っ、俺の肉体から出る攻撃の数々はー!!」

「へっ。こんなもん、いつもの生活じゃ大した事ねえぜ」

「言ってくれちゃってるね、君はよ~! そんじゃこれなら……どうだ!」

 修司は一瞬の隙をついて咄嗟にらんまの腹に強烈な掌底を喰らわした。

「ぐはっ……」

 腹部に掌底を喰らったらんまはそのまま噴水の方へと弾き飛ばされてしまう。

 そしてそのまま、らんまは噴水の池に落ちてしまった。

「へっへ……どうだ早乙女乱馬。さぁ、さっさと出て来て続きやろう……ぜ……!?」

 修司が乱馬を挑発してると、なんと噴水池から出てきたらんまはなんと、髪が赤くなり、胸が膨らみ、正真正銘の女になっており、修司は驚愕した。

「へっ。……え、え~~!!」

「い、いってえ~。今の掌底、結構効いたぞ」

「あ、あ……あれっ? お、女……?」

 混乱する修司を前に、女になった乱馬は平然としていた。

「あっ、いっけねえ。また女になっちまったよ。まぁ、余り戦闘には支障は出ねえからな。このまま続けようぜ市長さんよ」

「えっ、えっ? さ、さっきまで男だったよね? な、何で女になっている訳……あっ、もしかして」

「ん? なんだ急に?」

「もしかして最近頻発している格闘家襲撃犯は、お前なのか!」

「い、いやっ。違う違う! 俺もその襲撃犯と一戦やろうと思って、今日此処まで来たんだよっ。と、通り魔とは何の関係もねえよっ」

「うう~ん、そう言われてもな。お前みたいな男にも女にもなれる奴の言う事、簡単には信じられねえよ」

「そっ、それは……その……」

「悪いが少し付き合ってもらうぞ。……まぁ事情聴取みたいなもんだ」

「ちょ、ちょっと待ってくれよっ。お、俺は何もしてねえって!」

「俺に声をかけたのも、いつもの様に犯行をしようとした兆候じゃねえのか?」

「だ、だから違うって!」

 女になった乱馬を疑い出す修司に、乱馬は困惑してしまうばかり。

 

 その時、現場に聖龍隊が駆け付けた。

「おいっ、修司。無事か~! とくに相手の人間はよ~」

「おーーいっ、俺じゃなく相手の心配かっ!」

「当ったり前だろうが! 昨日みたいな惨劇沙汰は懲り懲りなんだよ!!」

 メタルバードと修司が言い合っていると、マーズが指摘する。

「あ、あれ……さっきまで此処に居た男の人は何処に?」

「おっ、ちょうど良い。おいお前等っ、今目の前に居る赤毛の女が例の通り魔の可能性が有るぞ!」

「だ、だから違うって!」

 修司に指差され、困惑する乱馬だが、そんな彼を見てメタルバードとソウシが見惚れていた。

「ほっほう。こりゃまた偉くベッピンなレディーだなぁ♡」

「ふふ。確かに魅力的ですね」

「て、おい。お、お前等……」

 困惑する乱馬に、修司が聖龍隊に注意する。

「気を付けろ! そいつは只者じゃねえっ。さっきまでは男だったのに、いきなり女になりやがる能力者だ!!」

「え、ええっ!?」「お、男から女……!?」

「じゃ、じゃあ。今までの通り魔事件も全部こいつが……!」

 一驚するジュピターにマーキュリーに、乱馬を疑い出す星夜に対して、女らんまは反論する。

「だーーかーーらーー! 俺じゃねえって言っているだろっ」

「た、確かに男の人の口調だ」「こ、こんな人いるんだ……」

 驚いているキューティーハニーやナースエンジェルを前に、修司が乱馬を捕縛しようと迫る。

「おいっ。早乙女乱馬。尋常に縛に付きやがれえ!」

「ま、待ってくれ! は、話せば解る……」

 犯人扱いされて困惑する乱馬。するとその時、現場に一人の女性が走って来た。

「あっ、待って。待ってくださ~い!」「ん? 今度はなんだ?」

 謎の女性の登場にメタルバード達が注目すると、乱馬が女性を見て呟いた。

「あ、あかね……」

「み、皆さん。か、彼は……彼女は犯人では有りません!」

「えっ」「ど、どういう事なの? いったい……」

 驚くマーズにキューティーハニー達に対して、あかねは乱馬を弁護する。

「か、彼は……らんまは最近町に出没する通り魔を追って、この友枝町まで来てしまったんです。決して怪しい者じゃないんです……は、はぁ」

「い、いや……怪しくないって言われても……」

「ああ。こんな夜中に出歩いていたら誰だって怪しく見えちまうよ」

 あかねの弁論にデューイもトシも疑うまま。

「あぁ。全くだぜ」

「俺と一緒で夜中に徘徊している奴には言われたくないぜ」

「あぁん? 喧嘩売ってんのか、この野郎……!」

 修司と乱馬が言い争いになる寸前、メタルバードが修司にツッコミ、マーズが問い質そうとする。

「修司、言われても仕方ないだろ……ホントの事なんだしよ」

「そ、それよりも貴方達は一体……」

 と、皆が乱馬とあかねに注目してた、その時。

 

「ほ~ほっほ。此処じゃな。此処から凄まじいほどの闘気を感じるわ」

「んっ。何者だ!」

 何処からともなく女の声が聞こえ、修司達が振り返ると視線の先に謎の中華服を着た女が電灯の上に立っていた。

「お前達。中々の使い手のようじゃのう。妾(わらわ)と勝負してみるかえ?」

「ふっほ~~! こりゃまたベッピンなお姉さんが出てきましたね~♡♡」

「メタルバード。目がハートになっていて、少しエロイわよ」

 メタルバードの豹変ぶりにマーズが呆れる中、星夜が女に問い質す。

「お、お前は一体何者だ!?」

「ふんっ。そんな事はどうでも良い。妾と尋常に勝負するのじゃ」

「ま、まさかっ。ここ最近町で格闘家を襲っている通り魔って……」

 キューティーハニーが指摘すると、女は平然と鼻で笑って言い返した。

「ふんっ。ああ、確かに手合わせするのは余りにも弱い輩が多かったのう。ホッホッ」

「て、テメエが例の通り魔だな!」「ほう……コイツが例の襲撃犯か」

 乱馬と修司が闘志を燃やしていると、そんな二人に女は言い渡した。

「なるほど。そこの男と女。妾と手合わせするのじゃ」

「よっし。受けて立とう!」

「お、俺は男だ! そ、それよりもお前の所為で俺が疑われちまったぜ。この借りは高くつくぜ」

「ふっふ。妾は強い者と勝負するのが何よりの楽しみ、生きがいなのじゃ。少しは骨のある闘いを見せておくれよ」

「ああ!!」「上等じゃねえか!」

「あっ、二人とも」「ら、らんまっ」

 ヴィーナスとあかねが制止するのも聞かず、修司とらんまはそのまま謎の女格闘家に向かっていった。

 その情景を茂みの奥からアッコもその様子を見ていた。

(あっ、あっ……お、男の人が急に女性になったと思ったら、今度こそ本物の通り魔が現れちゃった。し、修司は大丈夫なのかな)

 一人心配するアッコが取る行動とは。

 

 

 

[混戦する公園]

 

「うおりゃ~~!」「てい~~っ!」

「ほっほ~。その程度か主らの実力は?」

 修司と乱馬の攻撃を避けていく女は余裕そうだった。

「く、くっそう…攻め続けているって言うのに……!」

「は、はぁ……ぜ、全然疲れってのを見せねえな。あの女」

 全く疲労を見せない女を相手に修司と乱馬は追い詰められかけていた。

「ほっほ~。所詮人間の力なんぞ、この程度ものか。さっさと片付けてしまうか」

「なっ、何をっ」「は、はぁ……さ、早乙女乱馬……」

 と、女からの挑発に苛立つ早乙女乱馬に修司が声を掛ける。

「えっ。な、なんだ修司……」

「は、はぁ……さ、さっきはつい通り魔だなんて疑っちまって悪かった。ほ、ホントにすまない……」

「は、はっ。べ、別に良いさ。こんな体だもんな。変に思われちまうのも仕方がねえよ」

「お、お前はホントは芯の真っ直ぐな男なんだな……す、すげえよ」

「ははっ。そんな、褒められる程じゃねえよ……そ、それよりもあの女をどうにかしねえと」

「あ、あぁ。そうだな。し、しかし何であんなに動き回っているのに疲れを見せねえんだ? あの女……」

 乱馬と修司が話している中、女は高笑いを決めていた。

「ほっほう。それでは止めと行きますか…」

「く、くっそう……!」「こ、このままじゃ……!」

 女を前に追い詰められる修司と乱馬。

 

 と、その時。

 

「トルネード!!」

 メタルバードの掛け声と共に突如巨大な竜巻が発生する。

「な、なにっ? う、うわっ!」

 女は吹き飛んでしまった。

「えっ。こ、これは……」「め、メタルバードかっ。た、助かったぜ」

 驚く乱馬に対して修司が礼を述べると、メタルバードは女を前に言い放つ。

「へっへ、おい女っ。オレは女には余り手は出したくねえが、これ以上町の治安を乱すようならオレたち聖龍隊が黙っちゃいねえぞ!!」

 メタルバードの男気に、トシもイサミもセーラームーンもマーズもキューティーハニーもナースエンジェルも同調する。

「ああっ、その通りだ!」

「これ以上、罪も無い人達を傷付けるのは止めなさい!」

「これ以上の悪事、美少女戦士は黙っちゃいられないわよっ」

「その通り。私達が居る限り、町の平和は守ってみせる!」

「同じく、私も貴女の暴挙を見過ごすことはできないわ!」

「罪もない人々を……これ以上傷付けるのは止めなさい!」

「聖龍隊、只今参上!!」

 いつもは聖龍使いが歌舞伎口調で登場時の台詞を発するが、今回はメタルバードが熱く唱えた。

 が、女の方は大人数を前にしても不敵に笑むばかり。

「ふっ。どんなに頭数を増やしても妾には勝てんぞ。いや、むしろ面白い。是非とも思う存分闘おうぞ」

「こ、このっ!」「あ、貴女は闘いを好んでいるのですかっ」

 ジュピターとマーキュリーが睨み付けると、女は面白おかしく語り出した。

「ああ、そうじゃ。妾は強い者と決闘するのが何より好きでのう。いくら闘っても満足できんのじゃ」

「な、なんて人っ」

「た、闘うのが好きで今まで格闘家を闇討ちしていたのかよっ」

 女の発言にイサミもトシも苛立ちが募る。

「へっへ。しかし、その暴挙も今日までよっ」「俺達が力ずくでも止めてやるぜ」

 修司と乱馬が拳を鳴らしながら女と対峙する。

「ほっほ、それは楽しみじゃ。では、尋常に勝負の続きと行くか…」

「よ~しっ」「来やがれっ」

 と、修司と乱馬が共闘で女と戦おうとしたその時。突如何処からともなく拳法着姿の女性が現る。

「らんまっ。危なーーい!」

 女性は通り魔の女に飛び蹴りで攻撃するも、女はヒョイと軽くかわした。

「くっ、また新手か」「お、お前は一体!?」

 突然乱入してきた女性を前に、女と修司が困惑してると乱馬が女性に問い掛ける。

「し、珊璞(シャンプー)!? な、なんでまたお前まで友枝町に……」

「らんまが近頃町に出没する通り魔を追っているって耳にしたから、アタイも協力しに来たのネ」

 驚く修司が乱馬に問い掛ける。

「おっ、らんま。この女はお前の知り合いか」

「あ、ああ。俺の親友で珊璞っていうんだ」

「えへっ。それから、らんまの未来の花嫁ネ」

「ええっ? お、お前の嫁…?」

「ち、違う!珊璞が勝手に言っているだけだ!」

「へへっ。照れなくても良いアルよ。らんま♡」

「だーかーらー。勝手に言っているんじゃねえよ!」

 と、修司と乱馬とシャンプーが言い合っていると、更に其処へ厚底眼鏡をかけた男までも乱入。

「珊璞! らんまよりもワシと夫婦(めおと)になるんじゃ~!」

「って沐絲(ムース)っ。何アンタまで付いて来ているネ!」

「ふっ。それは愛しい珊璞を追って此処まで駆けつけてきたのじゃ。ワシ等は将来結ばれる仲であろう…」

「違うネっ。アタイが惚れているのはらんまだけネ。ド近眼のアンタなんか知らないアル」

「ガッガ~ン。そ、そんな……し、珊璞……」

 そんなムースとシャンプーの小競り合いを見て、修司が乱馬の気苦労を察する。

「……なんか色々揉めているんだね。君の身の回りは」

「……ああ。お陰で退屈はしねえけどよ」

 更に更に。そこに3人の男達がやって来た。

「お~い、らんまく~ん、あかね~」「無事か~」

「あかねちゃ~ん、らんま~、無事か~」

「あっ、お父さんっ。玄馬おじさん。それに八宝斎まで……」

 謎の中年に老人たちを見てあかねが答えていると、修司がこの三人についても乱馬に問うた。

「……今度は誰だ?」

ら「俺の親父で早乙女玄馬。あかねの親父で天道早雲。それからあの爺は八宝斎っていうスケベ爺だ」

「いや~、思ったより友枝町って広いから、らんま君が何処に行っちゃったか解らなくってね」

「す、済まんらんま。遅れてしまって……あ、あれっ。お前また女になってしまったのか?」

「そ、それに一緒に居るのって……た、確かアニメタウンの新しい市長、小田原修司じゃないか!」

 早雲と玄馬に指摘された修司は一応ながら挨拶を述べた。

「いや~皆様。お初にお目にかかります。市長の小田原修司です。今後ともどうか宜しくお願い致します」

「あっ、いえいえ。此方こそ」

「いや~市長さんも御出ででしたか。まだ若いのに市長として頑張っていますなぁ」

「いやいや。それほどでも…」

 と、修司が玄馬や早雲たちと話している最中、らんまが忠告する。

「おい、あんた等。そんな事より、あの通り魔の女を何とかしねえと」

「あっ、そうじゃったの。ワシ等と同じ格闘家を中心に狙うとはトンデもない女じゃわい」

「ああ。これ以上被害が出る前に早めに片を付けないと……あ、あれっ。八宝斎様がいないぞ?」

玄馬「むむっ。ホントじゃ」らんま(女)「あ、あの爺。何処に行きやがった…」

 早雲と玄馬が辺りを見渡し、乱馬も八宝斎の姿を探し回っているその時。

「きゃあああ!!」「むっ。今女性の悲鳴が!」

「い、今の声はキューティーハニーの声だっ」

 キューティーハニーの悲鳴に玄馬も修司も反応すると、早雲が訊ねる。

「えっ。き、キューティーハニーって確か最近貴方が結成させた英雄集団の一人であるヒロインでは……」

「ああそうだっ。何かあったのか?」

 修司を前に、玄馬と早雲は一抹の不安を抱いた。

「むむ……そ、早雲。これはも、もしや……」

「あ、ああ。そうだね。もしかしたら…」

「もしかするぞ……」

「えっ? い、いったい何が起こっているんだ?」

 修司が戸惑っていると、乱馬やシャンプー、ムースも気が付く

「はっ、そうか! おい修司っ。急がないと大変だ。聖龍隊が危ないぞ!」

「えっ。あ、危ないって……」

「はっ、そ、そうネ。あの爺さんの事だから……」

「も、もう聖龍隊に手を出しているのでは……!」

「なっ、何!」

 混乱する修司に乱馬が言い放つ。

「おい修司っ。聖龍隊が危ないぞ!」「だ、だから何が……」

 乱馬に急かされ、修司が悲鳴の方へと駆け付けると其処では。

「きゃああ!」「へっへっへ。これはこれは。実に見事なまでに美人さん揃いじゃ」

 なんと八宝斎がキューティーハニーの体を這うようにしがみ付いていた。

「な、何よっこのお爺さん!」「ちょ、ちょっとお爺さん! ハニーから離れなさいよっ」

「へっへ。それでは別の女子に……ニヤァ」

 マーズとジュピターからの注意を聞いて、八宝斎は怪しく笑むと、それを見た女子達は全員「ひっ、ひぃっ」と背中に寒気を感じた。

「いい加減にしなさーーい!!」「ウっひょ~~!」

 八宝斎はあかねに蹴飛ばされ、夜空の彼方に飛んでいった。

「ご、ゴメンナサイっ。あの八宝斎の御爺さんはいっつも女性に対してセクハラしたり、下着を盗んだり悪さばっかりしているんですっ。ま、まさかヒーローの皆様にまでするとは……」

 聖龍隊に平謝りするあかねの言葉に、トシやセーラームーンにヴィーナスそしてナースエンジェルは安堵する。

「と、とんでもない爺さんだな……」「うう。こ、怖かったよ~」

「な、なんて危ないお爺さんな訳……」

「うう~。お、お爺さんとは言え怖かった~」

 そんな安堵する皆に修司が声を掛ける。

「おい、お前等! 無事かっ」「あっ、修司さん!」

 修司にイサミが応える一方、らんまが女性達の安否をあかねに確認する。

「てめえ等無事か。あの爺は…」

「あっ、らんま。私が蹴り飛ばしたからもう大丈夫よ」

「そ、そうか……あんた等、家の知り合いが迷惑かけちまったな」

メタル「お、お前の知り合いって…あ、あんた等それよりも一体何者だ! 正直に答えないとエライ目に会うぞっ。言っておくがこのオレには嘘偽りは利かねえんだ。正直に話さねえと……」

 メタルバードが問い詰めると、玄馬と早雲が名乗り始めた。

「あっ、す、すいませんっ。どうか気をお静めください」

「わ、私は練馬区に道場を開いている天道早雲と申します。それで此方は私の旧友で早乙女玄馬くん。それから私たちの子供で早乙女乱馬君に天道あかねです」

「ああ。そうだ」「は、初めまして……」

 それから早雲はシャンプーとムースについても紹介する。

「え~、それから。らんま君達の親友で中国出身の珊璞ちゃんと沐絲くんだ」

「初めまして、聖龍隊の皆様」

「いやぁ、オラ達の知り合いのらんまや八宝斎の爺がトンだ御迷惑をおかけいたしまして。このバカ共はワシ等がきつく言っておきますので」

「って沐絲! らんまは何もしてないでしょっ。何勝手な事言ってるアルか!」

 シャンプーの弁論に修司も同調する。

「そ、その通りだ。この俺が間違ってらんまを通り魔と誤解してしまっただけなんだ。そ、それに組み手も俺が承知して一緒に手合わせしたから彼には何の咎も無い」

「ええっ? ら、らんま君。き、君は小田原市長と手合わせしちゃったのかい!?」

「あ、ああ。そうだけど」

 驚く早雲に乱馬が平然と答えていると、父親である玄馬が乱馬を叱り付ける。

「ば、バッカモーン! 恐れ多くも今を時めく新市長・小田原修司殿に対して何と無礼な!」

「い、いや玄馬さん。俺は別に何とも思ってはいませんよ。そ、それにしても貴方の息子さんのらんまは相当な使い手ですね。実際一緒に闘ってみてよ~く解りました。彼は武力だけでなく、心の芯から真っ直ぐな青年ですよ」

「い、いや……し、市長である修司さんからそんな事を言ってもらえるとは…う、ううっ。お、親としてこれ以上嬉しい事は無いですっ。ウグッ」

「お、親父……ちょっとオーバーだぞ」

 思わず照れ隠しで玄馬の口を塞ぐ乱馬だが、そんな彼に玄馬は言い放つ。

「な、何を言うておる! らんまっ、お前には親の気持ちが解らぬのかぁ!」

「ま、まあまあ玄馬君。そう落ち着いて……」「そ、そうですよ小父さま」

 と、玄馬を早雲とあかねが宥めていると。

「……おいっ、お前達!!」

「へっ?」「あぁ?」「あっ、そう言えば……・」

 敵対している女格闘家が修司や乱馬そしてメタルバードたちを睨み付けていた。

「お前達! 妾のことは完全無視か! いいやむしろ忘れていたわよね!? さっきまで激闘していた妾の事は完全に忘れちゃっていたわよね!?」

「ああ。そう言えば、まだあの女片付けてなかったな」「ああ。そうだったな」

 怒る女に対して修司も乱馬も思い出す。

「こ、この女……」「う、うん。かなりできるアル……・」

「し、珊璞は命に代えても守る……!」

「むむっ。同じ格闘家として黙って見ちゃいられないわ」

「ああ、そうだね玄馬君。格闘家としての血が騒ぐ……!」

 女に対して立ち合う意思のあかねにシャンプー、ムースに玄馬と早雲達に、メタルバードが注意する。

「お、おいっ。あんた等! 民間人は下がっていろ! あの女はオレたち聖龍隊が…」

「へんっ。大丈夫だぜ銀色の鳥さんよ」「へっ?」

 メタルバードの注意に断言する乱馬に、メタルバードが唖然としてると玄馬が説いた。

「ワシ等はこう見えても【無差別格闘流】武術の免許皆伝者。そうそう遣られはせんよ」

「いやっ、ちょっと待てよ。な~に無差別格闘流って。初めて聞いたけどなに? そんな武術聞いたことも無いよっ!?」

 混乱するメタルバードを尻目に、早雲も説く。

「ふっふ。思い出すねえ早乙女君。昔八宝斎様の所で日夜厳しい修行に耐えていたあの頃を……」

「ってな~にっ? その無差別格闘流ってあのスケベ爺さんが創ったの? あんなスケベ爺さんに教わる事ってある訳なのっ、ねえ!」

「ああ。最終的には八宝斎様の数々の悪行を無理やり手伝わされる日々に嫌気がさし、一緒に協力して奥飛騨の洞窟に封じ込めたな」

「い~やっ、ちょっと待って。君達はあの爺さんをっ、自分達の師匠を洞窟に封じ込めちゃった訳? いったい何やらされていたんだよっ、あの八宝斎の爺さんにはよっ!」

 早雲に続いて説く玄馬の昔話を聞いて唖然とするメタルバード。

「私も…ニィチェズゥ。女傑族っていう武術に長けた女だらけの村で、小さいころから鍛えてきたアルね。こんな訳の解らない女なんかに負けないアルよ」

「い~や、なに女傑族って? そんな女共が居る村なんて聞いたこと無いよっ? 中国にそんな部族なんていたの!? うち等の仲間にも中国人居るけどそんな話聞いたことが無いけどっ?」

沐絲「お、オラだって珊璞を守るためなら命はいらねえ……」

 闘志を漲らせるシャンプーにムースに続き、あかねもらんまも交戦する気満々だった。

「私だって。立派な天道道場の娘よっ。簡単には引き下がれないわ」

「よしっ、やって野郎じゃねえか!」『おうっ!』

 と、らんま組が女と戦い合おうとしたその時。

「ちょっと待ちな!」

 闘志満々のらんま達を、修司が制止させた。

「な、なんなんだよ。お前……」

「……らんま。お前とお前の仲間達には闘わせられねえ」

「な、なにっ?」「えっ?」「な、何でアルかっ」

「お、オラ達は十分闘えますじゃ」

「し、市長殿……」「い、いったい……」

 一驚するらんまやあかね、シャンプーにムースや玄馬に早雲たちに修司は言った。

「……らんま。俺はお前が女になった途端、証拠も無く勝手に通り魔と決めつけてしまった。……俺は、俺は……俺はそんな自分が許せねえ!」

「し、修司……」

 修司の言動に驚く乱馬に対して、修司は続けた。

「お、お前を勝手に犯人と決めつけてしまった己の不甲斐無さが……俺はどうしても許せねえ! せ、せめてもの罪滅ぼしに……俺一人でこの女を片付ける! これで疑った事を許してくれとは言わねえが……せめて、せめて少しでも償いって奴をさせてはくれねえか! 早乙女乱馬!!」

「あ、あんた……」「ら、らんまを疑った事を其処まで恥じていたなんて……」

 疑ってしまった贖罪として闘うと言い出す修司に、一驚するらんまとあかね。

「おおぅ……律儀だ。ホンに律儀な御方だ、小田原修司殿……ウウゥ」

「こ、これこぞ正真正銘の、日本男児の御姿じゃあぁ……!!」

 修司の漢気に早雲も玄馬も泣き出してしまう。

「お、おおっ。ま、まさか日本の男に此処まで律儀な男が居ったとは!」

「ワオッ。日本人で此処までの男、らんま以外に居たアルね。ちょっぴり見直したアル」

 ムースもシャンプーも感心する中、修司は拳の骨を鳴らして謎の女に近づいて行った。

「………くっ」「……さあてっと。ホンじゃ続きやりますか。お姉さん」

 修司は怪しく微笑むと、一直線に女に向かっていった。

「ウオリャーー!!」「アッチョー~!!」

 こうして修司と謎の女との闘いは再び始まった。

 

 一方、この激闘を茂みの中から見守っていたアッコは。

(あっ、あ。ど、どうしよう。修司が遂に本気で闘うんだわ。さっきのセリフはすっごくカッコ良かったけど…

…で、でも大丈夫かな。あっ、そうだ。コンパクトで)

 

 果たして、修司は通り魔の女に勝てる事が出来るのだろうか。

 そしてアッコは何をするつもりなのだろうが。

 

 

 

 

 

 

[更に混戦。加わった女格闘家にキャプター組。……そして八宝斎]

 

「アタタタタタタタタタタタタ!!!!」

「アタタタタタタタタタタタタ!!!!」

 

 修司と女格闘家、両者どちらとも一歩も引き下がらない激しい闘いを展開してた。

 

『…………………………………………』

『…………………………………………』

 二人の激闘を、すぐ近くとはいえ観戦するかできない聖龍隊と乱馬たち。

「……な、なんだか修司君。すっごい形相になってない?」

「え、ええ……」「ううぅ。あ、あの二人なんか怖い~」

「し、修司君ってあんな子だった訳~?」

「うう~、まこちゃん。アタイなんか怖い……」

「不思議ね。私も同じ……」

 激闘し合う二人を前に戸惑うマーズとマーキュリーとナースエンジェルと困惑するキューティーハニーとヴィーナスにジュピター。

「うおーーいっ、誰かさっさとこの展開終わらせてくれ~!」

「びええ~、マジで怖いよあの二人~」

 そんな激闘し合う修司を呼び止めるデューイだが、その横では修司の変貌ぶりに泣き出すセーラームーン。

「め、メタルバード! 何とか修司さんを止められない訳?」

「な、何とかしてくれよ……」

「む、無茶言うな! あの状態の修司止めるなんて時速120キロで走っている大型トラックに直撃するより危ないよ!」

「って、例えがおっかな過ぎるよ~!」「うわ~、怖すぎる~!」

 トシと星夜に頼まれるも、修司の決闘を止められないと言い切るメタルバードの台詞にソウシもイサミも怖がってしまう。

「アタタタタタタタタタタタタ!!!!」

「アタタタタタタタタタタタタ!!!!」

「む、むむ…。す、凄すぎる……!」

「う、うん。噂には聞いていたけど、あの小田原修司。かなりの使い手だ」

「す、凄い……」「え、ええ!」

「こ、此処まで凄い男じゃったのか。小田原修司は……!」

「ああ。俺も不意打ちでは有ったが、かなりキッツイ掌底喰らっちまったよ。ホラッ、今でもまだ青痣が腹に残っているよ」

 そう玄馬や早雲にあかね、シャンプーにムースたちに、らんまは自分の上着をめくり自身の腹を見せた。

「う、うわっ」「わ、わわ……!」

「み、見事に残っておるな。御丁寧に、綺麗に手形までくっきりと……」

 乱馬の腹に赤く残っている手形を見て、あかねやシャンプーにムースは驚きを隠せない。

「アタタタタタタタタタタタタ!!!!」

「アタタタタタタタタタタタタ!!!!」

 修司と女の格闘が激しさを増していく最中、そこに更なる乱入者が現れた。

「そこまでよっ。通り魔の女っ」

「んっ?」「だ、誰だっ」「な、何者だ今度は?」『ええっ?』

 闇夜から現れた存在に、女も修司もメタルバード達も注目すると其処にはチャイナ服を着た若い女性が立っていた。

「私は流離(さすらい)の女格闘家。人は私をこう呼ぶわ。ザ・カンフーレディと!」

「カ、カンフーレディ?」「へっ? へ?」

 突然の乱入者に女も修司も目を丸くして戸惑うばかり。

「お、おい……あ、あの女もお前等の知り合いかなんかか?」

「い、いや……俺達の知り合いにあんな女はいねえよ」「う、うん……」

 メタルバードの問い掛けに乱馬もあかねも頷いて否定する。

「さあ~、行くわよっ。アチョ―ー」

 一方のカンフーレディは一直線に女に向かっていった。

 しかし女は意図も簡単にカンフーレディの攻撃を受け止めたのだ。

「ふっふ……なんじゃ、見掛け倒しではないか」

 すると女はカンフーレディを弾き飛ばしてしまう。

「あっ!」

 だが、そんなカンフーレディを修司は受け止めた。

「お、おいアンタ。大丈夫か……」「はっ……はい……」

 修司に問い掛けられたカンフーレディは内心動揺していた。

(ど、どうしよう。修司に抱き抱えられちゃった。お、思わず美人格闘家に変身しちゃったけど、全然闘えてないし……)

 そう、このカンフーレディは何を隠そうアッコが変身した姿だった。

「ふっふっふ。なんじゃ、まったくの見かけ倒しではないか。全く闘志を感じられぬ」

 そう吐き捨てる女を前に、修司はカンフーレディに言いつける。

「お、おいっ。俺が最初に闘うと言った筈だ。この女には手を出すんじゃねえ! おい女っ、さっさとメタルバードやらんま達の所で大人しくしていろ」

「は、はい……グスッ。ごめんなさい……」

「お、おい…何を泣いていやがるんだよ」

「グスッ。だって、だって。私何にも役に立たなかったし……」

「そ、それぐらいで泣くな! 別に良いよっ。そ、それに……助けようとしてくれただけでも、嬉しいよ」

「ポッ…」

 カンフーレディ(アッコ)は顔を赤くしてしまう。

「おいっ、女! まだ俺は闘えるぞっ。さっさと終わらせようぜ……」

「ふっふ。そうじゃな。主からは未だに闘志が無限に溢れてきておる……まるで主は闘うためだけに生まれたような存在じゃな」

「へっ、嬉しい事言ってくれるじゃねえか……」「ふふ……ではっ」

 そうして修司と女は再び激闘を始めた。

「アタタタタタタタタタタタタ!!!!」

「アタタタタタタタタタタタタ!!!!」

 二人はまた、延々と闘い続けると思わずカンフーレディが呟いてしまう。

「あ、ああ……修司が……」「へっ? 修司?」

 カンフーレディの発言にメタルバードが反応すると、マーズ達がカンフーレディに訊ねてくる。

「あ、あなた。修司君と面識がある訳?」

「へっ? い、いや…」

「……失礼ですが、貴女どっかでお会いしませんでしたか?」

「え? ど、どうして……」

 マーキュリーの質問に戸惑うカンフーレディ。

「いえね。貴女の顔ってどこかで見たような……」

「あっ、そう言えば。誰かに似てるわね」

「そうね。何処かで見た気がするような……」

「あっ、あっ。き、気のせいですよ。私あなた達に会うのは初めてよ。ははは……」

 マーキュリーやジュピター、キューティーハニーからの疑問を払しょくする様に誤魔化し続けるカンフーレディ。

 とそこに。さくらに小狼、それに苺鈴に何故か八宝斎がやって来た。

「おーーいっ、みんなーー」「みんな大丈夫~?」「おっ」

 やって来た小狼にさくらを目視してトシが反応する。

「あっ、さくらちゃん。小狼くんに苺鈴ちゃんまで」

「そ、それに……なんで八宝斎まで居るんだ?」

「お、おい……小狼。そ、その爺さんは一体?」

 イサミに乱馬そして星夜が訊ねると、小狼は説明した。

「あ、ああ。此処の来る途中で会ったんだ。何でもこの友枝公園で例の通り魔がいるって言うからよ」

「しゃ、小狼くん。その御爺さん、私たちには近寄らせないで……」

「へっ? な、何でまた……」

 ヴィーナスの台詞に小狼が戸惑っていると、八宝斎は先ほどと変わらない反応を示す。

「うっほ~。わ~い、まーーたまた聖龍隊の御姉ちゃん達に会えちゃった♪そんじゃあ今度こそ、その胸をパフパフっと……」

『きゃ、きゃあああ~~!!』

「ほ、ほらっ。こんな感じなんだよ、この爺さん!」

「へ? へ?」「いい加減にしやがれ、このクソ爺!」

 星夜が慌てて八宝斎を制止する中、混乱する小狼の横で乱馬が八宝斎を蹴り飛ばす。

「うほ~~」

「ま、また蹴っ飛ばしちゃったわね」「ああ、見事なまでにな」

「な、何なのあんた等。一体此処でなにしている訳?」

「うん? あなた達は……」

 夜空の彼方に飛んでいく八宝斎を見上げてナースエンジェルとデューイが呟く中、苺鈴とあかねの疑問にメタルバードが答える。

「ああ。こいつ等も聖龍隊の隊員だよ。でも何で来たんだ? 今日は休んでいるんじゃなかったのか?」

「ああ、それはやな……」

 メタルバードの疑問にケルベロスがさくらの背後から出てきた途端、らんまが怯え出す。

「う、うわ~! 猫っ、猫っ、猫~!」

「って失敬な女やな~。ワテは猫やない! なんなんやこの連中は……」

 ケルベロスが乱馬の言動に立腹している中、早雲が自己紹介する。

「おお、君達も聖龍隊の一員かい? 初めまして、私は練馬区に道場を開いている天道早雲と申します。いや~、まだ小さいのに君等の様な子供も頑張って町の平和を守っているんだね」

「い、いや……それほどでも」

 小狼が謙遜してると、続いて玄馬も名乗る。

「お初にお目にかかります。私は天道君とは旧知の友で、名は早乙女玄馬と申しまする。この度はあなた達の上司、小田原修司殿に大変ご迷惑をおかけいたしております」

さくら「は、はあ……」

 さくらが返答すると、あかね達も名乗り出す。

「あっ。私たちはその子供で天道あかねと早乙女乱馬って言います。そして隣に居るのが友達の珊璞に沐絲です」

「宜しく」「初めましてネ」「お初にお目にかかりまする」

「あっ。これはどうも」「おっ。あんた達も中国人(チャイニーズ)か」

「あらっ、こんな所で祖国の人に会えるなんて」

 同郷の人を前に小狼と苺鈴が喜ぶ中、メタルバードが二人に訊ねる。

「あっ、ちょうど良い。おい小狼、苺鈴。お前達の国に、女傑族って部族は居るか?」

「えっ。女傑族だって!?」

「あ、あの……どんな屈強な男も負かし、手懐けてしまうという女だらけの集落を作っているという」

「ってマジで居るんかーい! ホントに居たのかよっ、女傑族って! しかもどんな男も手懐けるって……例えるなら恐妻家だらけの村じゃないか~!!」

 そんな叫ぶメタルバードを尻目に、ケルベロスが皆に言った。

「……って、それよりも皆はん大変や! クロウカードの気配がするでっ」

「な、なにっ?」「た、確か全部封印しないと災いが起きるっていう……」

 デューイにトシの反応を見て、あかねもシャンプーも動揺する。

「えっ。わ、災いが……!」「そ、そんな恐ろしいものが有る訳アルか?」

 

「そ、それでケロちゃん。そのカードは今どこに?」

「ええっとな……あっ、アレや! あの女がクロウカードや!」

『えっ!?』

 マーズの問い掛けでケルベロスが指差したのは、何と修司と闘っている女だった。

「え、ええっ?」「あ、あの通り魔がカード?」

「ああ、間違いない。カードの気配がする」

 一驚するセーラームーンにマーズに対して、小狼が頷いた。

「あのカードは《ファイト(THE FIGHT)「闘」》強い者と闘う事を好んでいるカードやっ」

「ええっ、そ、それで……」

「い、今まで腕に覚えのある格闘家ばかり狙っていたのね……」

 ケルベロスの説明にジュピターもマーキュリーも納得する。

「そ、それで修司君やらんまの闘志に惹かれて、この公園に来ちゃった訳ね」

 キューティーハニーも何ゆえ友枝町の公園にカードが引き寄せられたか理解する。

「な、なんだ? あ、あの女は人間じゃなく、何とかカードっていうカードなのかよ?」

「そ、そうか! それであんなに闘い続けているのに全く疲れが見れねえ訳だ!」

「そ、それじゃあ。あのままだと市長さんが……!」

 乱馬が不思議そうに驚く中、メタルバードがカードゆえに体力が消耗しない訳を理解するが、これにあかねは修司の危機を察する。

 全員が衝撃の事実を知ったその時、八宝斎が一人みんなの前に姿を現した。

「皆の者っ、慌てるでないわ!」『えっ!』

「このワシ。無差別格闘流の創始者、八宝斎が直々にそのカードを倒して見せようぞ」

ソウシ「な、なにっ」デューイ「あ、あんたにそんな事ができるのか!?」

 驚くソウシにデューイ達を前に、八宝斎は高らかに声を発する。

「ふっふ。な~に、見ておるが良い。喰らえっ、無差別格闘流最大奥義・八宝大火輪(はっぽうだいかりん)!!」

「な、なにっ」「ちょ、ちょっと八宝斎。それを今使ったら市長さんまで!」

「お、お止め下さい八宝斎様!」

「い、今使えば確実に市長の小田原氏に巻き添えが!」

 八宝斎の攻撃を制止する乱馬にあかねに、玄馬と早雲たち。

「ま、巻き添えって!」「あ、あの御爺さんいったい何するつもりなの?」

「し、修司逃げろーー! 爺さんが何かするみたいだーー!」

「な、なにっ?」「えっ?」

 戸惑うマーズにナースエンジェルを横に、メタルバードが修司に逃げるよう告げるが、修司とカードは逃げ遅れていた。

「喰らえっ、これこそ無差別格闘流奥義、八宝大火輪じゃ~!」

 そう叫びながら八宝斎は、修司と闘のクロウカードに向けて、花火玉を投げつける。

「えっ、あ、あれって……」「えっ、えっ」

「「ぎゃあああ~~!!」」『え、ええ~~~!!』

 八宝斎の攻撃、いや爆撃に晒された修司とカードを前に愕然とする聖龍隊。

「って、おーい! 奥義って単に花火玉投げつけるだけか~い! これの何処が奥義な訳? てゆーか格闘の奥義に爆発物使っちゃって良い訳なの、ねえ!?」

 このメタルバードの当然の疑問に、玄馬と早雲が腕を組みながら語った。

「むむ。これこそ、無差別格闘流の真髄であります」

「その名の通り、無差別格闘流は相手を無差別に攻撃する。つまり手段を選ばない格闘術なのです」

「って、おーいっ。無差別に闘うって、手段を選ばないって、もはやこれ格闘技でも何でもないよね!? 単なる危ない火遊びだよねっ?」

「こ、こんなトンデモない格闘技ってあるんだ……」「う、うん……」

 小狼も苺鈴も茫然としてると、らんまが平然と言いのける。

「まぁ、これを受け継いでいるのは俺しか居ねえけどよ」

あ、あなた。もう少し学ぶ格闘術選べなかった訳?」

「仕方がねえだろ。俺の親父があの爺の弟子で、その息子の俺は小せえ頃から無理やり修業させられていたんだからよ」

 と、此処でジュピターと話している乱馬の口調にさくらと苺鈴と小狼が気付く。

「……ほ、ほえっ?」「お、俺って……」「お、お前は一体……」

 そんな茫然とする三人に、あかねが説いた。

「ああ。らんまは今は女になっているけど、本当は男なのよ」

「ほっ、ほええ~!」「え、ええっ。お、男……?」「う、ウソだろ? 男だなんて……」

 さくらに苺鈴に小狼が驚く中、カンフーレディも説き出した。

「ああ。それなら私一部始終見ているわよ。彼本当に噴水に落ちたら男から女になっちゃっていたのよ」

「え、え~っ」「ほ、ホントなの、それ?」「し、信じられない……」

 と、信じられないと言った心境のさくらに苺鈴に小狼にメタルバードも説く。

「信じられねえが、ホントに男から女になっちまっていたんだよ。……それよりも、カンフーレディ。お前いったい、いつから居た訳? らんまが男から女になっているのを見てたって……」

「あっ、ああ……そ、それは……ね」

 と、メタルバードからの質問にカンフーレディが戸惑っている最中。

「お、おいっ。お前等ーー! 何とかしてくれーー! さっきの花火玉で火事が……あっ、アチッ」

「な、何だって……うわっ。公園のベンチや芝生が燃えていやがる!」

 修司に指摘されてメタルバード達が見てみると、なんとベンチや芝生に花火の火が引火していた。

「え、ええ~」「た、大変……このままじゃこの辺が火事に!」

 慌てて消火しようと急ぐセーラームーンにヴィーナス。

「あっ、八宝斎! あなたの大火輪の所為でこうなっちゃったのよっ。何とかしなさいよっ」

「あ、あかねちゃん。そ、そんなこと言われても……」

 あかねに責められ、八宝斎が困惑してると弟子である二人も責め立てる。

「そうですよ。八宝斎様」

「あなたが奥義使ったのが原因なんですから、何とかして下さいね」

「そ、そんな……カワイイ弟子であるお前達までそんな事を言うのか。ウルウルウル」

 玄馬と早雲に責め立てられ、涙目になる八宝斎にメタルバードが注意を投げ掛ける。

「おーーい! 爺さん! さっき弟子であるこのオッサン達から聞いたけど、あんたは昔っから悪事ばっかり働いていて、カワイイ弟子であるこの二人にも無理やり手伝わしたって言うじゃないかーー! カワイイ弟子にそんな事させて良いのか~!!」

 と、メタルバード達が必死に消火活動していた時、無線が鳴った。

「あ、あの……ちょっと」「む、無線が鳴っていますが」

「ああん? 誰だこんな時に」

 早雲と玄馬に指摘されて、メタルバードが無線に出た。

「もしもし、此方聖龍隊副長、メタルバードだが」

「……って、あんたが聖龍隊の副長な訳ーー!?」

「えっ? せ、聖龍隊に副長っているんだ……」

 メタルバードが副長だと知って驚く乱馬にあかねだが、一方のメタルバードはウッズと通話中。

メタルバードさ~ん、皆さ~ん。何やっているんですが! な~に公園燃やしちゃっている訳なんですか!」

「う、ウッズ……いやオレたちじゃないぞ。バカな爺が勝手にやった事で」

「こりゃ~。誰がバカな爺じゃこの鳥がっ」

 メタルバードの発言に怒る八宝斎だが、公園のカメラで一部始終を見ていたウッズが怒り出した。

「そんな事よりもだっ! テメエ等公園燃やす事がどんなことか解っているのか、ニャロメ~~!!」

「ひっ、ひぃ~。う、ウッズが久々にキレやがった……!」

「えっ、ええ~。う、ウッズさん?」

「ウ、ウッズさんって。怒ると人格変わるって話は聞いてはいたけど……」

 メタルバードに続いて無線を聴いてたセーラームーンにキューティーハニーも戸惑う中、ウッズは怒り散らす。「それよりあんた達!! 町の公共物が燃えたり損失したら、一体だれが金払うと思っていやがるんだっ!!」

「えっ? そ、それは……」「ふ、普通に役所が立て替えるんですよね」

 メタルバードにマーキュリーが返答してると、ウッズが更に怒り散らす。

「そしてその立て替える金は何処から来ていると思っているんだっ。お前達の税金、お前等の血税からなんだぞっ!」

『……あ、ああ~~~!!』

 ウッズに指摘され、聖龍隊は誰もが気付かされた。

「そうだよっ、町の修繕費用って普通に考えて俺達の税金からだよな~!」

「う、うわ~。い、急いで火を消さないと!」

「急げ~、急げ~! 出ないと税金が上がっちゃうわ~!」

 慌てる星夜にトシにヴィーナス達に、ウッズの興奮は収まらない。

「税金上げたくなかったら、本気ですぐに消火してくださいっ」

「わっ、わっ。どうしようどうしよう! ……あっ、そうだ! こんな時はさくら! セーラーマーキュリー! お前等と俺の力を合わせて火を消すぞっ」

「えっ」「ど、どうやって……」

 突然の提案に驚くさくらとマーキュリーに、メタルバードは説いた。

「まずはマーキュリーは御得意の水系の攻撃を繰り出せ! そしてさくらは《ウォーティ(THE WATERY)「水」》のカードをつかて水を出すんだ。後はオレに任せてくれ!」

「解ったわ。頼むわよメタルバード」「お願いしますっ」

 そして三人は位置に付いて、まずはマーキュリーとさくらが技を発動させた。

「行くわよっ、さくらちゃん」「はっ、はい!」

 二人はそれぞれの能力で水を出し、メタルバードは頃合いを見て突風を起こした。

「う、うわっ」「きゃあっ」

「い、いったいメタルバードは何をするつもり?」

 一驚する小狼や苺鈴に、メタルバードの行動に戸惑うマーズ。

 するとメタルバードの起こした突風は竜巻になり、その竜巻はマーキュリーとさくらが繰り出した水を吸い上げ、巨大な水の竜巻へと変わった。

「う、うわっ?」「み、水が吸い上げられて……」

「お、おっきい渦巻になっちゃった……」

 驚く星夜にトシ、セーラームーンを前にメタルバードは自信満々に言い放った。

「へっへ。そ~れっ、これで火なんか一瞬で消えちまうぜ~!」

 メタルバードはそのまま、火が燃え盛る場所に直接、水の竜巻をぶつける。

 火は消し止められ、勢いで水は辺りに居た全員に飛びかかってしまった。

「う、うわっ」「きゃああっ」

 修司も苺鈴も全員、ずぶ濡れになった

「ひぃ~。服がビジョビジョだ……」「ほ、ほええ~。こっちにまで水が来たよ~」

「プッ。め、メタルバード。少しやりすぎよっ」

「い、いや~済まない……つい力が入っちまってよ」

 修司やさくらにマーズ達に謝罪するメタルバード。

「ふ、ふ~。もうっメタルバードったら。大丈夫ですか、珊璞さん。沐絲さん……って、アレ?し、珊璞さ~ん、沐絲さ~ん何処に居るんですか~!」

「ど、どうしたの苺鈴」

「し、珊璞さんと沐絲さんが何処かに消えちゃって……」

 ジュピターの返答に困る苺鈴の返答に、マーズもナースエンジェルも慌て始める。

「ええっ」「ま、まさか。さっきの津波に流されたんじゃ……」

 と、その時。会話している皆の足元から猫とアヒルの鳴き声がした。

「ニャアオ~」「クワっ、クワっ」

「えっ?」「な、何なんだこの猫にアヒルは?」

 突然現場に現れた猫とアヒルに苺鈴も小狼も驚くが、らんまは誰よりも絶叫した。

「う、うわ~~! ね、猫~!!」

「て、なんやこいつ。さっきから猫に対して敏感に反応しおって」

「ら、らんまは猫にトラウマがあるらしくって、猫恐怖症なの」

 ケルベロスにあかねが説明してると、カンフーレディが猫に手招きする。

「ええっ? 可哀そう~、こんなにカワイイ猫が怖いなんて。ホラッ、おいで猫ちゃん」

「ニャオッ」「うっ、うわっ。こっちに来んな、こら~!」

「あ、あれっ? な、なんかその猫。らんま君に懐いていない?」

 猫嫌いなのに猫に懐かれては逃げ出す乱馬を見てヴィーナスが唖然としてると、あかねが説明し出す。

「……懐くも何も、その猫は珊璞ですから」

「え、ええっ?「しゃ、珊璞さん? そ、そんな」

「ついでに言うと、その眼鏡かけたアヒルは沐絲よ」

 小狼に苺鈴が驚いていると、更にあかねが説明する。

「ええっ!?」「む、沐絲さん? そ、そう言えば眼鏡がおんなじ…」

 この事実に小狼も苺鈴もまた一驚した。

「ウゴッ、ウゴッ」「さ、早乙女君。早くどいてくれ。重たいよ……」

「きゃ、きゃあ~~!!」「こ、こっちはパンダに!?」

 パンダに押し潰されそうになっている早雲を見て、ジュピターもデューイも困惑するとこれにもあかねが説明した。

「らんまのお父さんの玄馬小父さんは水を被るとパンダになっちゃうのよ」

「み、水を被ると?」

 トシが訊き返すと、あかねは丁寧に解説した。

「そう。らんまに玄馬小父さん。それに珊璞に沐絲。みんな水を被ると変わっちゃう厄介な体質なのよ」

「み、水を被ると変身しちゃうって、どんなシチュエーションな訳? なんで水限定なんだよっ。それじゃ、お湯を被ると猫は虎に、アヒルは鷹に変身するとか言わないよなっ!?」

「あっ、惜しいですね。正確にはお湯を被ると、逆に元に戻るんですよ」

「って、お湯を被ると元に戻るってカップ麺かよ! インスタントのラーメンがお湯吸って元のラーメンに戻るのと変わりねえよな! 一体全体何な訳アンタ等は~!!」

「……この鳥。何だか喧しいな」

「済まない。コイツは何だか根っからのツッコミ担当キャラなんだよ」

 メタルバードのツッコミに呆れている乱馬に修司が説いていると。

「……くっ。お、お前等~」「はっ?」「ま、まさか……まだ」

「あっ。あのクロウカード、まだ動けるみたい」

 なんとクロウカードがずぶ濡れで起き上がり、メタルバードとソウシにマーズが注目する。

「お、お前達。最初は妾を無視した、いや完全に忘れてしまったと思いきや、今度は花火玉を投げつけて妾を黒焦げにするわ。挙句の果てには竜巻でビッジョビジョに濡らしおって……ぜ、絶対に許さんぞ主等……!!」

「ひっ、ひぃ~!」

「な、なんか完全に怒っちゃっているみたいよ~!」

 完全に怒っているカードに早雲もカンフーレディも涙目で脅えてしまう。

「全員、叩きのめしてくれるわ!!!」

「きゃ、きゃあ~!」

「ほ、ほええ~。どうしよう~、完全に怒らせちゃったよ~」

 完全に怒り出すクロウカードを前に、カンフーレディもさくらも皆同様に困惑した。

 

 そして闘のクロウカードが完全に怒り出し、全員に向かっていったと思った次の瞬間。

 

 

 

[呆気に終わるクロウカードの封印]

 

「さ、さくら! とにかくお得意のカードで攻撃してみろ!」

「ほえっ!? で、でも……」

「何でも良いからお前の手持ちのカードと戦わせるんだ! 修司も誰も彼も、疲労困憊であのカードと戦うのは難しいっ!」

「わ、解りました……」

 メタルバードに説得させられたさくらは、そのまま皆の前で自身が使役するカードを発動させる。

「闇の力を秘めし鍵よ 真の姿を我の前に示せ 契約のもと、さくらが命じる……レリーズ(封印解除)!」

 さくらは試しとして力のクロウカードをレリーズした途端、闘のカードが異常なまでに反応した。

「ん? こ、これ……す、凄いパワーじゃないかっ。うおおーー!」

 闘のカードが力のカードに反応し、闘のカードはまっしぐらに、さくらに突撃する。

「さ、さくらっ」「さくらちゃん、危なーーい!」

「きゃ、きゃあ!」

 小狼にナースエンジェルの声が響く中、さくらも思わず悲鳴を上げてしまう。

 

 するとさくらは思わず、反射的であったのだが杖を振り下ろし、その杖が闘のカードの頭部に直撃。

「ひ、ひゃ……あ……」

 闘は頭部への一撃が効いたのか、あっと言う間にカードに戻った。

「……ほ、ほえ?」「あ、あれ……」「い、意外と呆気なく……」

 意外にも呆気に終わってしまった闘のカードの封印に、さくらも苺鈴も小狼も呆然としてしまう。

「お、終わっちゃったね」

「アウアウッ」『こんなに楽に終わっちゃうんだ』

 呆気ない終わり方に早雲も呆然とし、パンダに変化した玄馬は立て札で意思表示する。

「い、意外とあっさりやられちゃったわね」「あ、ああ……」

「お、俺の数時間にも及ぶ苦労は一体……」

「ま、まぁ。これで無事に通り魔事件も解決したんだし、結果オーーライじゃねえか」

 呆然とするあかねと乱馬に対して、修司が涙目でいるとメタルバードが励ます。

「い、いや~。ようやく終わったんだな」「あ、ああ。やっと終われたな……」

「ああ~、これでようやく家でゆっくり休んでいられる~」

「うん、うん。そうですね」「うわ~ん、これで解放される~」

「ワ~ン、お家に帰れる~!」

「よ、ようやく終われるんですね……」

「ええ、そうね。今回は終わったのね……」

 やっと今回の任務から解放されると安堵するトシに星夜にマーズにナースエンジェルにヴィーナスにセーラームーンにマーキュリーにキューティーハニー。

 

するとその時、早雲がある事に気付く。

「ん? おやおや。あのカンフーレディがいつの間にか居なくなってしまっているよ」

「えっ? そう言えば姿が見えないわ」

「え、ええ。さっきまで一緒だったんですけど」

「か、彼女は一体誰だったのかしら……顔付きが何処かで見たような顔だったんだけど」

「えっ、そう言えばあの人何処かしらで見たような顔だったような……」

「あの女の人、いったい何だったのかしらね」「あ、ああ。そうだな」

 首を傾げて周りを見渡す早雲同様、辺りを見渡すキューティーハニーにナースエンジェルにマーズにマーキュリーに小狼と苺鈴。

「……それにしても。あの人、本当に格闘家なのかしらね? 闘い方が余りにも素人ぽかったけど……」

「ああ、確かに……余り武道に精通しているとは到底思えない闘いっぷりだったしな」

 カンフーレディの闘いが余りにも素人臭い現状に、あかねも修司も思い込んでいると。

「ニャア~オ」「クワックワッ」

「ウガウガ」サッ『取りあえず、今は元の姿に戻りたいのじゃが』

「……おい。この3匹が元に戻りたいって言っているが」

「ウガウガッ」『3匹って、ワシ等はあくまで人間じゃ!!』

 シャンプーにムースに玄馬が訴える中、メタルバードが指摘すると玄馬が立て札で言い返す。

「いんや。正確には1匹と1羽と1頭が正しい」

「ああ……確かに猫は1匹、鳥は1羽、そしてパンダみたいなデッカイ動物は1頭で数え方だけど……」

 修司とメタルバードが話し合っている中、らんまが聖龍隊に依願する。

「まぁ。まずは元に戻んねえとこいつ等は街中歩けないからな。この後も電車に乗って帰らなきゃいけねえしよ」

「ああ、そうなのね……」

「……仕方がねえ。おい聖龍隊。協力してお湯作ってやれ。そしてこの連中にブッカけろ」

 らんまの言葉にメタルバードも修司も納得すると、修司は聖龍隊に四人にお湯をかけるよう言い渡す。

 

 それから、マーズにマーキュリー、そしてさくらの《ファイアリー(THE FIREY)「火」》と《ウォーティ(THE WATERY)「水」》のカードを2枚使用して、火と水を上手く使いお湯を生成した聖龍隊。

 

「よ~しっ。そのままブッカケちまえ!」

 修司の号令の元、お湯はそのまま4人に浴びせられた。

「アッ、アッチーーーー!」珊璞「きゃああーー!」

「うわっ、熱すぎる~!」「こっ、これはいくらなんでも熱すぎですわ~!」

 熱すぎて一驚するらんまにシャンプーにムースに玄馬達。

「あっ。ご、ごめんなさい!」

「ま、まだ協力して技を使う事に慣れてなくって」

「ほ、ほえっ。ごめんなさい、大丈夫ですか?」

「ははっ。大丈夫よ。彼等はこう見えて体は丈夫な方なんだから」

 慌てるマーズにマーキュリーそしてさくらに、あかねが笑顔で答えると父親である早雲も言う。

「そうそう。もはや人間離れした強さだから」

「あ、あかね……!」「そ、早雲。人事だと思って……」

「アタイ達だって並の人間アルよっ」「そ、そうじゃっ」

「あ、ああ。ゴメンなさいね」

 あかねに続き早雲の失言に怒るらんまに玄馬親子とシャンプーにムースたちに、早雲は軽く謝る。

「ま、まぁ。これで今回の任務は終わったな。まさかクロウカードが通り魔だったなんて思いもしなかったが……」

 修司は事件の顛末を振り返って思いに耽った。

 

 こうして、一行は公園から出て途中まで一緒に帰る事になった。

「あらっ。あなた達って同い年かな~って思っていたんだけど、年下だったのね」

「え、ええ。まぁ……」

「おいセーラーマーズ。余り一般人にヒーローの個人情報漏らすんじゃねえ」

 あかねに個人情報を明かしてしまいそうなマーズに修司が忠告すると、そんな修司にトシが零す。

「ま、まぁ。修司さん。ちょっとぐらいは良いじゃないですか」

「良くねえっ。お前等はまだ自覚していないんだな。英雄として、そして戦士として闘っていく以上、必要以外の情報開示はご法度だ! この前ちゃんと言ったじゃねえかよ」

「ご、ご法度って……」「え、江戸時代じゃあるまいし……」

 修司の台詞にマーキュリーもキューティーハニーも呆然としてると、修司が言い出した。

「あ~あ。こうなったら、もっとちゃんとした法度を作ろうかな~。これから隊に入る連中の風紀が乱れたら厄介だしな」

「ど、どうするつもりなんですか?」「そうだな~。う~ん……」

 星夜が問い詰めると、考え込む修司にイサミも訊ねると。

「……ど、どうするつもりなの」「……! そうだっ」

 修司は何かを閃いた。

「ふっふ。今思いついたが、俺たちもかつての幕末の英雄集団、新撰組になぞらえた法度を作り、最終的にはそんな組織にしていこうじゃないかっ」

「えっ?」「し、新撰組って……!」

 ソウシとトシが反応する中、乱馬とあかねが発する。

「ん? 新撰組っていやあ…」

「確か、幕末から明治初期に入るまで日本で活躍していた武士の集まりね」

「ああ。俺たちは英雄である前に日本人なんだ。だからこそ英雄と言う名の武士、武士と言う名の戦士をこれからの聖龍隊で育成していこうじゃないか!」

 この修司の提案に、メタルバードもケルベロスも呆れ返る。

「お、おい。ぶ、武士ってなぁ」

「ま、ま~た修司はんの時代劇好きが出てきたわ」

「ほう~。市長さんは時代劇ものが好きなのですか?」

 玄馬の問い掛けに、修司は真顔で答えた。

「ああ。それと歴史にも興味が有る」

「ほほう。歴史にも精通しているのですか」

 早雲も修司に訊ねる。

「ああ。特に歴史が大きく変わる時代、主に戦国時代や幕末の方に興味が集中しているよ」

「ほっほう、そうですか。では貴方が最も憧れる歴史上の偉人は誰かいるんですか?」

 玄馬の問い掛けに、修司は真剣に答えた。

「そうだなぁ。やっぱり戦国では《織田信長》。幕末では《坂本竜馬》やさっき言った新撰組の副長で《土方歳三》かな」

「おおっ。やっぱり市長さんも竜馬は好きですかっ。いや~それは良かった」

「はっは、天道君。日本人で坂本竜馬が嫌いな人は居らんじゃろうって。土佐の豪放・坂本竜馬は幕末を代表する偉人なんじゃし」

「そうですよね~。それと己の野望を叶える為に自らを《魔王》や《鬼》として呼ばせた信長や土方もまた尊敬できますよ」

「ま、魔王に鬼……って」

 早雲に玄馬と話してる修司の発言に、あかねが唖然としていると修司は真面目に答える。

「いやね~。俺は昔っから並の存在である輩よりも、人知を超えた存在。そして未知なる存在の方に共感できるんだよ」

「な、なんか怖いわね。魔王や鬼に共感できるなんて……」

「え、ええ。尊敬できるって……」

「ま、まぁ。彼はもう人並みじゃない存在みたいだしね。共感できるって言うのも実感できるよ」

「な、なんか怖い……」

「ええ。信長に土方って残虐極まりなかったって言うし……」

 修司の説明にジュピターやマーキュリー、デューイにセーラームーンにヴィーナス達が唖然としてると修司は更に説いた。

「いや~。俺って昔から偉大であると同時に周りから恐れられる程強い輩が大好きでな。まっ、だからこそお前たちみたいな英雄の集団を結束させたんだがな」

「ふむふむ。確かになぁ。信長公も土方歳三も己の信念のもと、戦い続けた猛将であることには変わりないしのぅ」

 と、修司の話に自然な流れで入ってくる八宝斎の存在に苺鈴とあかねが反応する。

「きゃ、きゃあっ」「は、八宝斎!」

 苺鈴にもセクハラをする八宝斎にあかねが怒鳴るが、八宝斎は全くこりていない様子。

「ホッホウ。これはこれは。まだ幼いがカワイイ子達じゃないか。これなら将来有望じゃなぁ……グシシシ」

「えっ、えっ……」「ゆ、有望……って……」

 下心満載でナースエンジェルやさくら達にも話し掛ける八宝斎は、事もあろうにナンパし出す。

「へへへ……お嬢ちゃん達。この後ワシと茶でも一緒に行きゃあせんか……グ、グシッ。グシシ」

「「きゃ、きゃあーー!!」」

 ナースエンジェルとさくらが悲鳴を上げる中、そんな八宝斎に星夜と小狼が鋭い蹴りをお見舞いする。

「「って、フザケんなっこのクソジジィー!!」」

「うぎゃあ~、もっと年寄りを労らんか~い……!」

「ま、まただな。あの爺さん……」「懲りない爺さんだな」

 星になる八宝斎を見上げて唖然とする修司に呆れるメタルバード。

「……ねえ。なんだか星夜くんと小狼くん。人格変わっていたような気が……」

「ああ。星夜はともかく、小狼までとはね……」

「しゃ、小狼が……いつもの小狼じゃない……グスッ……って、なんで同い年の私が何にも言われない訳ーー!?」

「ええっ? こ、今度は苺鈴ちゃんまでっ?」

「な、なんだか人格が崩壊しているような感じ……」

 マーズの疑問にデューイが答える中、苺鈴もジュピターもマーキュリーも愕然としてた。

 

 すると皆が賑やかに帰宅していると、其処にアッコがやって来た。

「あっ、おーーい。修司~」「へっ? あ、アッコ?」

「へっ? な、なんだって」「おやっ、あの女の子は……」

 此方に向かって手を振って駆け付けるアッコを視認して、戸惑う修司の一方でメタルバードと早雲が反応する。

「は、はぁ。修司大丈夫? 通り魔と戦うって聞いて駆け付けたんだけど」

「な、なんだアッコか。もう通り魔事件は片付いたよ。無事に終わった」

「そ、そっか。それは良かったわ」

 修司と会話するアッコに、メタルバードやマーズが注意する。

「おいおい、お嬢ちゃん。こんな晩に一人で出歩くなんて危ないぜ」

「そうよっ。か弱い女の子がたった一人で夜の町を歩いていちゃ危ないでしょう」

 この注意にアッコは謝りながら心中を明かす。

「ご、ごめんなさい。修司が襲撃犯である通り魔を自ら誘き出すって言うから、心配で……」

「はっは。余計な心配だよアッコ。この俺が通り魔ごと気にやられてたまるかよ」

 笑い飛ばす修司に続き、メタルバードが口を零す。

「それにしちゃあ、ちょっと危なかったけどよ。相手は疲れなんて出ない輩だったからな」

「おいっ、メタルバード。お前も余計な事は口にするなっての」

「でも良かったわ。聖龍隊のみんなやらんまさん達が助けてくれて…」

 このアッコの発言に、修司は一瞬きょとんとした。

「ん? アッコ、なんでお前らんま達の事知っているんだ?」

「えっ。え、え~と…。ま、まぁ。そんな事もうどうでも良いじゃない。それよりも早く帰って寝ないと、修司明日も目の下にクマ作って登校してくる羽目になるわよ」

「たくっ、ウっセエな。お前は俺の親じゃないんだし、余計なお節介は止めてくれ」

「なによっ。授業中、修司が私の横で眠っていたら、私も先生に『おい加賀美、隣の修司を起こしてやれよ』って、まずは私に言うのよ。少しは私の迷惑も考えて」

「……ふぅ。はいはい、解りましたよ」

「返事は一回のみで十分ですっ!」「はっ、はい!」

 アッコと修司のやり取りを見て、マーキュリーやジュピターにマーズ、キューティーハニーやさくらにナースエンジェル、ヴィーナス、トシやイサミに星夜に小狼に苺鈴、そして更にあかねや乱馬も微笑む。

「な、何だか修司君……」「う、うん……いつもとは真逆ね」

「た、確かに。いつもは私達が修司君に言われている事をアッコちゃんに言われるとは……」

「フフッ。何だかアレじゃお姉さんが弟を叱っているみたいな構図ね」

「うんうん。何だかそう見えますね」

「ええ。ダメな弟を叱りつける、しっかり者のお姉さん。って感じでね」

「ふふっ。まぁ、うさぎの場合は逆に弟に叱られっぱなしの御姉ちゃんだけどね」

「ちょ、ちょっと美奈ちゃ~ん。今言わなくても良いでしょ~」

「は、はは。俺から見るとまるで、母ちゃんが俺を怒鳴りつけているみたいだよ……」

「ふふ。アッコさんってそう言われてみれば、何だか母親って感じがするわね」

「ひひっ、確かに叱られている子供って感じがするな。修司さん」

「だけど、それ以上に。あの加賀美って人からは凄く温かい母性の様な雰囲気が感じられるね」

「母性溢れる乙女かぁ。何だか女の私から見ても、凄く魅力的な人ね」

「ふふっ。何だかあの二人、結構仲が良いわね。そう感じない、らんま」

「えっ。そ、そうだな…。言われてみればそんな感じはするかもな…」

 

 こうして加賀美あつこはそのまま修司達と共に夜の友枝町を歩いて帰宅したという。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。