【聖龍伝説】始まる伝説   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 前話から、約1週間後から話が始まります。

※如月博士と魁博士は、同じ学者繋がりで知人同士という設定にしています。

※そして魁博士は例の品を如月博士に預けている設定です。


アニメタウンの英雄達 交差する試練と運命(さだめ)

[自分の気持ち]

 

 聖龍使いが三つの敵対組織を惨殺して一週間が経過。

 修司はすっかり穏やかな性格に戻り、普段と変わらない生活に戻っていた。

 

 しかし、あの日を境に仲間達から連絡は来ていない。修司は薄々気付いてた。

 仲間達が自分の中の狂気に、少しばかりの恐怖を覚え、関わる事を躊躇っている事に。

「………………」

「……ねぇ、修司ったら、いったいどうしちゃった訳なの?」

「さ、さぁ……なんか連休が終わってから、ずっとああなんだよな」

 学校では物静かに、誰とも接触しない修司にモコと大将も近寄り難がった。

「………………」

「そういえばよ、アッコもどうしたんだ? アイツも同じく連休明けから、ずっと黙りっぱなしだぜ」

「う、うん……(アッコ、あんたもどうしたのよ。修司と和解できてないのかしら……)」

 アッコも連休明けから物静かに、余り喋る事なく過ごしている状況に大将もモコも不安がる。

 

 

 そんな中、アッコは時折修司の方を見つめる。

 あの日、敵達に追われ、河原で攻撃された際にコンパクトから光の壁が出現し自分の身を護ってくれた事。そして気絶してしまい、目が覚めると眼前に広がる惨状。そして異形の形相に成り果てていた修司。そして血に塗れる自分の手。

 それらは全て夢だったのであろうか。再度気絶してしまい、目が覚めると自分の家、そして自身の部屋で眠ってしまっていた。親友のモコとデパートで別れ、その後の敵キャラ達の追撃は全て白昼夢であったのかと、アッコは思い更けていた。

 

「……アッコどうしたの? あの後何か有ったの?」

 アッコを心配し、親友のモコがアッコに話しかけた。

「……! あ、モコ……だ、大丈夫よ」

「……ね、ねぇアッコ、修司にはちゃんと言ったの? 自分の気持ち……」

「……自分の……気持ち……」

「そう。私の想い過ごしだったら謝るけど……アッコが傷付けてしまった人って修司の事なんでしょ、それ位なら私にだって分かるわ。ちゃんと伝えられたの? アッコの気持ち……」

「……私の……気持ち……」

 しかしアッコは答える事ができなかった。正直、今はあの日の惨劇の事で頭が一杯だったから。

 

 

 

 

[訪ねて来た如月博士]

 

 そして、その日の午後。学校から帰宅し、自室で大人しく座り込んでいる修司。

 そんな時、部屋にウッズが入って来て、修司に告げた。

「失礼します。修司様、如月猛博士が訪ねて来ました」

「如月猛! は、ハニーや聖羅の父親か……! よし、通せ」

 修司の許可の元、如月博士がウッズに導かれ、市長部屋に御通しされた。

「初めまして如月博士、いつも娘さんにはお世話になっています」

「い、いや……此方こそ、娘がお世話に……」

 実は前々から、修司は如月博士を呼び出し、話をしたかったのだ。

 その内容は、娘・如月ハニーの事だ。

「……ところで博士。以前、電話でも話したと思いますが、娘さんの事で少し……」

「はい、分かっています……娘の、ハニーの出生届等の書類が見当たらないと言う事ですよね」

「いったいハニーは……そして妹の聖羅は……」

 修司の問いかけに、如月博士は黙り込んでしまったが、遂に重い口を開いた。

「……はい、正直に申します……実は……ハニーは、そして聖羅は……私の実の娘ではないんです」

「………………」

 如月博士の話に、修司は眉一つ動かさず、ただ黙って聞いていた。

「その昔……私は例のプリンスゼラと共同で空中元素固定装置の研究・開発をしていました。しかし装置完成後、彼は本当は豹の爪(パンサークロー)の者で装置を悪用するために協力していた事を知った私は、装置を奪われる前に研究所を爆破し、完成した装置を持ち出して逃走したんです」

 その博士の話に修司は無表情で問う。

「……それじゃ、ハニーと聖羅は……」

「……ハニーは、その時私が持ち出した固定装置の種子から生まれた……言わば、人工生命体なんです……」

「……そうか」

「! お、驚かないんですか……は、ハニーが人間で無いという事実に……」

 事実を知っても驚く様子を見せない修司に、逆に博士は驚いた。

 そんな博士に、修司は当たり前の事を話す様に、博士に告げた。

「な~に言ってんだ博士さんよぉ…例えハニーがサイボーグであろうと宇宙人であろうと、一度俺が認めた仲間なんだぜ。仲間がどんな存在であっても、仲間には違いねえだろう……それにハニーに何か有るのは薄々感づいていた。な~に、俺らん所には元から人間じゃねえ輩もいるし……俺にとってはそんなの、ちっぽけな話題だぜ」

「………………」

 寛大な修司の言動に驚く博士に、修司は更に語った。

「それに、俺はそう言った類には何かしらの興味や好奇心が有るし……何より、俺自身も似たような存在だからな」

「え? に、似たような……存在?」

「……詳しくは言えないが、俺も周りの連中とは根本的に違う種なんだよ。まっ、そんな俺から見たら、まだまだハニーの方が人間染みているし、人望も有るがな……ところで、やはりこの事はハニーにはまだ……」

「え……えぇ……まだ話していません」

「……そうか。なら早目に話しておくべきだな、何れ真実と言うのは公になってしまう物だ。今の内に話して置いてハニーの精神的ショックを少しでも和らげて置いた方が良いだろう……」

「し、しかし修司君……もし、それでハニーが……娘がショックの余り……」

「自暴自棄にならないか……って言いたいんだろ? それはアンタ、自分が今まで嘘ついてハニーを騙していた報いだ。多少の事は覚悟しておけよ」

「………………」

 不安そうな表情を浮かべた博士に、修司は更に続けて語った。

「……まっ、もしもの事が有ったら俺や俺の仲間たちに話してくれや。他の連中だってきっとハニーの事実を受け入れてくれるだろうよ。俺の認めた連中には、そんな気の良すぎる輩ばかりなんだからよ」

「……皆さん、ハニーの事を……娘の事を、どう思ってくれるんでしょうか……」

「まっ、其処は俺にも分からねえよ……ただ、ウチの連中はそんな事気にせずに、いつもと変わらずハニーと接してくれるだろうよい。俺はそう思うぜ」

「し、修司君……分かりました。ハニーに本当の事を話します……あの子が例えどんな存在であろうと、私の娘には違いありませんから」

 如月博士は穏やかな笑みを浮かべて修司に話し返す。

「まっ、もしもハニーが気落ちしたら言ってやってくれ。例えお前が人間でなくっても、普通の人間以上にみんなから愛され信頼されている立派な存在なんだと……世の中には愛される事も無ければ、信頼される事のない哀れな男も居るんだし、お前の方がまだ家宝者だよ……ってな」

「は、はい……(愛される事も無く、信頼される事も無い男……ま、まさか修司君は、自分の事を言っているんじゃないだろうな……)」

「……ところで博士。ハニーの方は解ったが……それなら聖羅は、いったい……」

「……聖羅は、私が研究所を爆破して逃げた際、残っていた装置の種子から生まれたハニーと同じ人工生命体です。その装置をゼラが持ち出し、パンサークローの元に連れ帰り……彼女を憎しみの権化として育て上げたんです」

 博士の話を、修司は黙って聞きいれた。そして必死に自分の中にある怒りや憎しみの感情を必死に抑え込んだ。

「……分かったよ博士。ハニーの事はもちろん、聖羅の事も何とかして見せる……絶対な……」

 修司は博士に言い放った。

「……ありがとう、修司君」

 その時、如月博士は何かを思い出したかのように、修司に話し返す。

「あっ、そう言えば……確か修司君。君の指揮している聖龍隊には花丘博士のお子さんも居たんだよね」

 修司は驚愕した表情で言った。

「あっ、そ、そうですが……如月博士……花丘魁博士の事、知っているんですか……」

「はっ、はい……花丘博士とは科学者同士と言う事で、以前から付き合いが有ったんですよ……彼の方も何かしらの組織に追われて、今では家族の元に帰れない状況だとは耳にしていますが……」

「は、はぁ……(ま、まさか科学者繋がりで如月博士と花丘博士に面識が有ったとは……二次元界ハンパねぇ……)」

 修司が驚いていると、如月博士は更に話した。

「じ、実は花丘氏の知識もお借りして、空中元素固定装置を作り上げたんです……この事はゼラには知られてはいないんですが……」

「う~ん、確かに……空中元素固定装置は人工的に宝石を生みだす事が出来る装置……鉱物に詳しい物理学者の花丘博士の知識も必要だったんだなぁ……」

 

 二人が話している、その時。部屋にウッズが入って来た。

「修司様すいません、またお客様がお見えになりまして…」

「何? 今度は誰なんだ、いったい?」

「は、はい……大江戸町からのお客様で高木はるかと申しております」

「! た、高木はるか……魁博士と面識のある女か!」

「は、花丘博士のお知り合い!」

 ウッズからの報告に修司も猛博士も一驚する。

「ウッズ、高木はるかを此処に通せ」

「えっ? い、良いんですか? 彼女も此処に……如月博士がまだ居ますのに……」

「ああ、彼女にも俺等の会話に加わって欲しいからな」「え?」

 如月猛博士が戸惑う中、ウッズは修司に応える。

「は、はい、分かりました……すぐにお通しします」

 ウッズが部屋を出ると、如月博士が心配そうな表情で、修司に話した。

「し、修司君……そ、その高木はるかと言う女性に話しても大丈夫なのかい……?」

「大丈夫だ、彼女も只の一般人ではないしな……何より、貴方の知人である魁博士の現状も、貴方と一緒に聞いておいた方が、今後の為になるでしょう」

「は、はぁ……」

 そして高木はるかも、ウッズの導きの元、市長の部屋で修司や如月博士と共に、会話に加わった。

 

 

 

 

[香港からの刺客]

 大江戸町から遥々、修司の家に来た高木はるか。修司は彼女にも、キューティーハニーやミスティーハニーの真実を告げた。

「……と言う訳だ、高木はるか。如月ハニー、そして葉月聖羅は空中元素固定装置が生み出した人工生命体なんだ」

「……そうだったの。まさか、あのキューティーハニーにそんな過去が有ったなんて……」

「私も今、修司君に話したところなんです……私は彼女を娘として育て、父親として最低限の愛情を注いできました……しかし結局はあの子を……ハニーをパンサークローと戦わせてしまう運命を背負わせてしまった。私はあの子を、そして聖羅を……結局は苦しめてしまっただけの、最低な人間だったのかもしれません」

「そ、そんな! き、如月博士そんな事はありませんよ。貴方は必死に彼女を、ハニーちゃんを立派な女性に育て上げられたじゃないですか! 確かに彼女は本当の娘さんでも、人間でもないかもしれません! しかし貴方が彼女と共に過ごした親子としての時間まで偽りでは無い筈です! ……彼女だって貴方から受けた愛情を糧に今まで頑張って来れたんじゃ無いですか……聖羅ちゃんにだって話せばきっと和解できる筈ですよ。貴方の二人への父親としての愛情は、本物なんですから……」

「はるかの言うとおりだ。如月博士、貴方のハニーや聖羅に対する思いは本物……いや、それ以上だ。例え血の繋がりが無くても、愛情や思いに偽りが無ければ、それは本物以上の関係だ……ハニーや聖羅、二人が一緒に幸せになれる様、俺はもちろん、此処にいる高木はるかも協力するよ」

「だから如月さん。もっと自信を持ってくださいよ……世の中には愛情注ぎたくても訳有って一緒に暮らす事も出来ない親子も居るんですよ」

 はるかは魁博士の事を言った。

「……そうだぜ博士。世の中、ハニーと違って愛情も注がれず、ただ関わる事も躊躇われている子供も存在しているんだからよ」

 修司は意味深げな顔付きで告白する。

「………………」

「は、はい……お二人共、本当にありがとうございます……」

 如月博士は、目に涙を浮かべて礼を申した。

「……そう。ハニーは学園でもそうだが、聖龍隊でもしっかり者でな……俺なんかと違って人望も有るし、人間じゃ無くても、人間以上に立派な女だよ……俺なんかと違ってな」

 修司の発言に、はるかが驚いた。

「え? そ、それはどう言う事なの?」

 はるかが質問すると、修司は暗い表情でこう述べた。

「ん、なにね……俺はハニーや他の連中とは違い、ただ相手を恐れさせるだけしかできない存在なんだよ……」

「お、恐れさせる……だけ?」

「あぁ、実を言うと、俺は小さい頃から気性が激しくてな……一度感情が暴走してしまうと、ほとんど手が付けられなくなって、今じゃ家族すら俺を恐れて、俺と関わりを持つ事すら躊躇ってしまっているんだ」

「! そ、そんな……実の家族からも倦厭(けんえん)されてしまっているの? 修司君は……」

「………………!」

 修司の話を聞いて、高木はるかも如月猛も驚愕する。

「あぁ、だからこそ言えるんだが、まだ父親役の博士に愛されているハニーや、母親と祖父の3人暮らしを満喫しているイサミの方でも、時折妬ましく感じるほど、羨ましくてな……血の繋がりが無いだの、一緒に暮らせないだのと言う問題は正直、俺にとっては小っぽけな事にしか感じられねえんだよ」

「「………………」」

「世の中、人との繋がりも感じられない人間も居るってことだよ……」

 修司は溜息をつきながら、寂しそうな表情を浮かべて二人に話した。自分が今まで、どんな人生を、繋がりを得られない人間であったかを。

「……それにな。遂この前も、またカッとしちまってよ、自我を失って敵勢力と一戦やっちまったんだよ……俺はほとんど記憶には無いが、どうやら敵勢力の連中を惨殺しちまったらしいんだよな」

「!! ざ、惨殺……!」「!! そ、そんな!」

 修司の告白に高木はるかも如月猛も愕然とする中、修司は話し続けた。

「記憶が飛んじまってはいるが……あの後、メタルバードから聞いた話だと、かなりエグイ殺し方をしちまったらしいんだよな。それで皆も多少のトラウマになっちまったみたいで……この一週間ロクに連絡も無いんだよ」

「そ、そうだったの……そんな事が……」

「し、修司君……」

 高木はるかと如月猛は修司の告発に、只ただ驚く事しかできなかった。

「……こんな俺が、聖龍隊なんて大所帯築いちゃ、いけなかったのかな」

 その修司の発言に、はるかが突然怒鳴った。

「! な、なに言っているのよ!!」

「! は、はるか嬢?」「た、高木さん……!?」

「……修司君。確かに貴方は感情のコントロールが難しいのかもしれないわ……だけど貴方がイサミちゃん達に、聖龍隊のみんなにしてきてあげた行為まで否定しちゃいけないわ! 聖龍隊はこれから先も、多くの能力者の保護や英雄の勧誘を行いながら、弱い人達を……正義を護っていくんでしょ! なのに貴方が、そんな弱気になっちゃダメでしょうが!!」

「は、はるか……で、でも……」

 修司が自信の無い表情をしてると、はるかは更に怒鳴った。

「もうっ! 聖龍隊を結成させた張本人が、そんな弱気で良いと思っている訳! 街の平和はもちろん、聖龍隊のみんなを護っていかなきゃいけないの、分かってる!?」

「で、でも……アイツ等が俺の事怖がっちまっているなら、どうしようもないし……」

「あっ~~、ウジウジしないの! 男の子だったら、もっと堂々としていなさいよ!」

 弱気になる修司に対して、はるかは怒鳴り散らして、何とか修司を元気付けようと躍起になった。そんなはるかに対して修司は。

「……ありがとう、はるか」「え、え?」

 突然礼を述べる修司に、高木はるかは困惑してると修司は述べた。

「いやな、こんな俺に、そんな風に必死に元気づけてくれる人間は、ウッズ以外ではお前が初めてでな……なんか、嬉しくて」

 修司はそう言いながら、目から出た涙を手で拭った。

「し、修司君……」「………………」

 涙を流す修司を初めてみる高木はるかも如月猛も唖然とする。

「い、いや済まない。こんなんじゃハニーや聖羅、それにイサミ達の手助けもできないよな……しかし、イサミ達はホントに、良い教師が担任で良かったなぁ……」

 修司は涙目で語った。

「「………………」」

「……ところで高木はるか。お前が今日家に来たのは何か用事が有ったからじゃないのか?」

「あっ、え、え~と……実はつい先日の事なんだけどね……イサミちゃん達、黒天狗党から来た刺客に、負けちゃったらしいのよ…」

「! お、おい……それマジかよ……俺、全然知らなかった……」

「う、うん……私はてっきり、此処に来てちゃんと話するなり相談するなり、していたと思ってたんだけど……」

「……さっきも言った通り、みんなは俺を恐れて、この一週間連絡すら寄越してくれないんだよ。イサミ達何か正直、俺やハニー、そしてセーラー戦士たちみたいに特殊能力も無い連中だから、余計に恐怖心が煽られちまうのかもしれないしなぁ……」

「………………」

 修司の台詞に、はるかは何も言い返せなかった。

「ところで、その刺客っていったい何者なんだ?」

「え、えぇ……どうも黒天狗党の香港支部から派遣されて来た、通称ニイハオ姉妹(シスターズ)と名乗るジャスミン・タピオカ・ライチの3人組の姉妹なのよ。その長女であるジャスミンがイサミちゃん達を打ち負かしちゃって、それ以外に、彼女達の正体も暴いちゃったのよね……イサミちゃん達、かなり落ち込んでいたわ」

「そうか……俺に出来る事が有れば良いんだが」

「もうっ、その思考がいけないのよ! 出来る事が有れば良いんじゃなくて、まずは出来る事を探すのが先決でしょ。しっかりしてよね、市長さん」

「うっ、うん……そ、そうだな……まずはみんなの為に何ができるか、それを探すのが先決だな」

「そうそう、その前向きな姿勢こそ、市長小田原修司の魅力なんだから♡私も陰ながら協力していくわ」

 高木はるかに続き如月猛も賛同する。

「わ、私もできうる限りの協力はさせて下さい! 娘達も心配ですが、何より聖龍隊の人達が危機的状況の中で黙ってはいられません」

「……高木はるか、如月博士……本当にありがとう!」

 高木はるか、如月猛博士の心から激励に、修司は失いかけた自信を取り戻した。

 

 

 

 

[初対面 くノ一×博士×超獣族]

 

「ふぅ~、ようやくいつもの調子を取り戻せたようだな、修司」

 と、三人が話をしている部屋に修司達とは違う第四者の声が聞こえる。

「! だ、誰なの!?」「え!?」

 高木はるかと如月猛の二人が驚く中、修司だけは落ち着いた態度で言い放った。

「驚く事は無えよ、この声の主もウチ等の仲間だ。出てこいよ変身怪獣」

 修司に言われると、透明化していた変身怪獣が姿を現した。

「ヤッホ~、お久しぶりっすね、はるかさ~ん♡そしてお初にお目にかかります如月博士」

「え? え? か、怪獣?」

「え? こ、この人も聖龍隊の人……あ、いや、人じゃないけど……」

 初見の変身怪獣を前に戸惑う高木はるかに如月猛の二人。

「いやいや、そんな怪しい輩を見る様な目で見ないでよ」

「無理言うな、お前を見て怪しいと思わない人間の方が異常だよ」

「言ってくれるね、修司く~ん」

 修司の発言に変身怪獣が僅かながらの怒りを表情に出す。

 突如姿を現した変身怪獣に驚いた、高木はるかと如月猛博士。そんな中、はるかが驚きながらも質問した。

「あ、あの……もしかして、貴方……め、メタルバードなの?」

「オッ、良く気付いてくれましたね。ハイレグレオタードのくノ一ちゃん♡」

 変身怪獣は色目使いで高木はるかに返事した。

「え? は、ハイレグ?」

「あっ、あぁ! な、何でも無いですよ……ハ、ハハハ」

 戸惑う如月猛に高木はるかは苦笑いしながら、何とか誤魔化した。

 

 と、そんな変身怪獣に修司が問う。

「変身怪獣、お前いつから部屋ん中に居たんだ?」

「い、いやぁ……博士が部屋に入っると同時に、入って来ちゃった」

「へ? わ、私と一緒に部屋に入って来られたんですか? ……気付きませんでした」

 驚く如月博士に、修司が説明した。

「あぁ、コイツには透明化能力が有りましてね、自分の体を自在に透明にさせて行動できるんですよ」

「なるほど、それで私達に気付かれずに部屋に侵入する事が出来た訳ね」

「いや~、まさかまた美っ人のはるかさんに出会えるとは、役得役得♡」

 修司の説明を聞いて納得する高木はるかに、変身怪獣は再度色目使いで話し掛ける。

「………………」

「はるか気にしないでくれ、コイツは聖龍隊でも一番の女好きでスケベな野郎なんだよ……」

 呆然とする高木はるかに修司が説いていると、そんな修司に変身怪獣が言った。

「フフフ、修司よ、男が女を好きになるのは自然の摂理なんだぜ。そう否定的になるな」

「お前の場合は、ただ見てて恥ずかしいだけなんだけどな」

「ガガ~ン! は、恥ずかしいなんて……ボクちゃん泣いちゃうよ、グスッ」

 変身怪獣はわざとらしい泣きっ面をしてみせた。

「……それよりも変身怪獣。お前はまた何で透明化して此処に入って来たんだよ」

 修司が質問すると、変身怪獣はこう答えた。

「……それはだな。お前がしっかりと博士の話を聞いて、それに対して答えられるか心配だったから様子見しに来たんだよ」

「それはどうも」

 修司は《余計な事を》と言う表情で、ふてぶてしく言い返した。

 

 すると高木はるかが修司に言う。

「何よ修司くん、君にはまだ、こんなにも貴方の事を心配してくれてる友達が居るじゃないの、ホント良かった」

 はるかが笑顔で言うと、変身怪獣は更にこう続けて言った。

「それによ、俺はまだお前の事を全く知らねえんだが、少しはお前の本音ってヤツを聞きたくてな……それが聞けただけでも嬉しかったよ」

「………………」

 変身怪獣の台詞に修司は敢えて何も返答しないが、そんな修司に高木はるかが言った。

「そうよ修司君、なにも一人で全てを抱え込まなくても良いのよ。困ったり悩んだりしている時こそ、信頼できる友達や大人に相談して、少しでも肩の負担を減らしていかなきゃ、貴方また根暗になっちゃうわよ」

 はるかの発言を修司は黙って聞き入れていると、また変身怪獣が修司に話す。

「そうだぜ修司。お前だけが今苦しんでいる訳でもないんだぜ。ハニーや聖羅はまだ、自分の出生の秘密知らねえし、イサミ達は香港から来た何とか姉妹って輩に負けて苦悩しているだろうし、こんな時こそ俺等聖龍隊が結束してみんなを助けていかなきゃ、いけねえんじゃ無えのか」

 はるかに続き、変身怪獣のこの台詞で修司の決意が高まった。

「……そうだな。今は俺の暴走する精神よりも、苦しんでしまっている仲間を助け出すのが先決だ! 以前俺が斬り捨てた筈の敵共も姿が見えない……何らかの謀略を企てている可能性もあるし、十分気を引き締めなきゃ、いけないな!」

 活気に戻った修司を見て、如月博士に高木はるか、そして変身怪獣も安堵の表情を浮かべた。

「そうよ修司君、これからもっと頑張っていかないと後々大変よ」

「修司くん、君は決して恐がられるだけの存在なんかじゃ無い! ハニーや聖羅の事を、心から思ってくれているじゃないか! そんな君をハニーやその他の聖龍隊の人達が遠ざかるなんて事は、絶対に無い! 君は君の信じる道を、運命を真っ直ぐ進みながら、これからも娘と協力してやって欲しい。私も精一杯の援助はしていくつもりだ」

「そうだぜ修司。オレ達は、まだまだ頑張らなきゃならねえんだ、こんな所で立ち止まっている余裕は無いんだぜ」

「……ありがとう。ホントにありがとう、如月さん、はるかさん、それに変身怪獣」

 三人の励ましに、修司は無表情ながらも心から歓喜した。

 

 だがこの時、はるかが、ふと気付いた。

「うん? そう言えば、何で市長の修司君が敵と直接戦った訳なの? さっき惨殺してしまったって言ったけど」

「あ、そう言えば……」

「あ、あ~……ま、まぁ、もう話しても良いだろう」

 疑問に気付いた高木はるかと如月猛に対して、修司は正直に事実を話した。

 

 

 

 

[流れゆく運命]

 

 修司と変身怪獣との会話を終えて、如月博士と高木はるかが帰る時。

「いや~、まさか驚いたわ……市長さん自身が聖龍使いだったとは」

「わ、私も驚きましたよ。テレビなどで聞く口調だと、どうしても御年配の人にしか感じられませんでしたし……」

「いやいや、オレ達もコイツの変身後の変わり様には毎度驚かされているから……」

 そんな、ちょっとした会話を高木はるかと如月猛そして変身怪獣がした後、去ろうとする二人に修司が言い放った。

「それではお二人とも。今日は色々と助言してくれてありがとうございます。ハニーや聖羅の事はもちろん、しんせん組の面々も出来得る限りの手助けをするつもりです!」

「ありがとう、修司君……」「ゴメンね、何から何まで助けてくれて……」

 そんな如月猛と高木はるかに対し、修司は返事する。

「そうそう博士。ちゃんとハニーに伝えて置くんだぜ、例の事実……それと、何が有っても俺や変身怪獣だけは絶対に見放さないって事もな。だが、もしもその事実を聞いてハニーに何か有ったらスグに連絡してほしい。ハニーの事だから早まった事はしないと思うが……万が一って事も有るしな」

「は、はい……承知しました」

「それと、はるか。イサミ達に大事が無いように、しっかり見ててくれないか……黒天狗党に正体がバレた今となっては日常の生活にも連中の手が及ぶ可能性が有るからな」

「分かってるわ、何か有ったら私もスグに連絡するね」

 

 話が終わり、二人は修司邸から帰る途中、如月博士が高木はるかに話しかけた。

「……ところで、高木さん」

「は、はい」

「先ほどは、ありがとうございます。私や娘たちの事を気に掛けてくれまして」

「い、いえ……私はただ、彼女達が本当に貴方の様な立派な父親に愛されているのに、不幸なんかじゃないと、そう言いたかったんです。貴方の知人でもある魁博士なんて、未だに御実家に帰る事も出来ませんし……」

「そうだったね……やれやれ、学者と言うだけで、私も花丘さんも大変だよ」

「ホントですよね、本来その知識は人の為にこそ使われるべきなのに、悪人はそれを利用して儲ける事しか考えていませんから大変ですよね」

「あぁ……あっ、そうそう、実は高木さん。魁博士の事で少し話して置かなければいけない事が……」

「え? お兄ちゃ……あっ、い、いや…魁博士の事と言うと、何でしょうか……」

「じ、実は花丘さんから御預かりしている物が有りまして……どうも博士の先祖が開発した特殊なアイテムみたいなのですが」

「え? あ、アイテム……そ、それって……」

「は、はぁ。どうも未知の鉱物で作られた球状の物と、根元が四角い2本の牙みたいな道具の2品なんですよ。花丘氏は自分を追ってくる組織に、そのアイテムを奪われないようにするため、私に預かっていてほしいと頼まれた事が有りまして……」

「そ、そうだったんですか(お兄ちゃんが如月博士に預かってもらった、未知の鉱物で作られたアイテムって……やっぱりルミノタイトを使ったアイテムなのかな……)」

「ま、まぁ、それで、これを機に、そのアイテムを博士の御子さんを始め、その友達に使ってもらおうかと思うんだが……」

「え?」

「い、いや、その子供達も聖龍隊として戦っている訳なんですよね。子供が戦うのは正直、余り賛成はできないんですが……その子達の努力も無駄にはしたくないんです。だから、彼等に少しでも力を貸せるのであれば、花丘博士から預かったアイテムをその子達に……」

「き、如月博士……分かりました、そのアイテムは私が責任を持って子供達にお渡しします。それで博士、そのアイテムは今何処に……」

「う、うむ……ある所に隠しているんだ。これから取りに行こうと思うんだが……」

「え! そ、それでしたら私も同行します! それで、そのアイテムはスグにイサミちゃん達の所に持っていきます!」

「あ、ああ。それなら助かる……お願いします、高木さん」

 

 かくして高木はるかは如月博士と共に、魁博士から預かったとされるアイテムを取りに向かった。

 

 

 

 

[動き、狂い始めた運命]

 

 一方、十番街では。

 暴走した修司に殴られ、一時意識不明に陥っていた地場衛。彼は意識を取り戻した時、自身の前世の記憶が戻り、街を徘徊していた。

「……は、はっ、はっ……そ、そうだ。全て思い出した……お、俺は……」

 そんな時、地場衛ことタキシード仮面の耳にセーラームーンの声が聞こえた。

(た、助けて……助けて、タキシード仮面様……いいえ……え、エンディミオン!)

「せ、セーラームーン! 君も思い出したと言うのか、セレニティ!」

 タキシード仮面は急ぎ、声のする方角に走っていった。

 すると其処は、人気のない寂しい場所だった

「せ、セレニティ! 何処に居るんだ!」

 タキシード仮面が叫びながらセーラームーンを探していると、目の前にうつ伏せになり、倒れているセーラームーンの姿が確認できた。

「はっ! せ、セーラームーン!」

 タキシード仮面は急ぎセーラームーンの所に駆け寄ると、彼女を抱きよせた。

「せ、セーラームーン……い、いいや! セレニティ、大丈夫か! 何が有ったんだ!?」

 タキシード仮面が、気絶しているセーラームーンに声をかけると、セーラームーンが目を開いた。

「た、タキシード……」「あっ、目を覚ましたか。良かった」

 気が付いたセーラームーンを目視して安堵するタキシード仮面。しかし、次の瞬間。

「……フッ、引っ掛ったな」「え?」

 セーラームーンが不敵な笑みを浮かべ、タキシード仮面が戸惑った次の瞬間。

「うわああああ!!」

 突然、タキシード仮面の体に激しいエネルギーが浴びせられ、タキシード仮面は気を失ってしまう。

「ふふふ、まさか此処まで上手くいくとは……」

 怪しく笑みを浮かべるセーラームーンは次の瞬間、あの加納望に姿を変えた。

「はははっ、こうも事が上手く運ぶとはね。さてと、後はこの男をベリルの所に連れていき、更にナースエンジェル達やセーラー戦士達を誘いこめば……全ては上手くいく」

 

 タキシード仮面はセーラームーンに化けていた加納望、いやブロスにまんまと捕まってしまった。

 

 

 

 そして友枝町。

 木之本桜は、遂に全てのクロウカードの収集を終え、最後の審判に挑もうとしていた。

 この審判を突破しなければ再びクロウカードは解き放たれ、更に自分に関わった全ての人間の「好き」と言う感情が消え去ってしまうという内容であった。

 そう、これこそカードの封印が解き放たれた際に起こる「災い」だった。

「……絶対この試験を乗り越えてみせる……もし失敗したら知世ちゃんやお兄ちゃん、小狼くんに苺鈴ちゃん、それに修司さんや聖龍隊のみんなの感情も無くなっちゃう……」

 

 そんなさくらの相手をするのは、最後の審判の審判者、月(ユエ)。何とさくらの憧れ人であった月城雪兎、その真の姿がさくらの相手であったのだ。

「……木之本桜。準備は良いかい」

 月による審判が、今、始まろうとしていた。

 

 

 本来、この審判に関わっている者は、友枝町内に居るさくらの知人だけである。

 しかし、三次元人小田原修司の介入により、他のキャラクター達も巻き込まれてしまっている。

 

 

 

 

 二次元人達の運命は、大きく、そして激しく交差しながら、複雑に絡み合うのであった。

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