二大敵勢力の罠に誘い込まれるヒロイン達、そして自分の生い立ちの事実を知るヒロイン。更に自分達を負かした強敵にリベンジするために立ちあがる少年少女たち。彼等の運命は。
[動き出す運命]
「……はぁ……はぁ……」
ハニーは一人、夕暮れの森の中を走り回っていた。
彼女は遂に、父親・如月猛から自分の出生の事実を聞かされていた
自分は、そして妹と名乗った聖羅は、空中元素固定装置の種子から生まれ出た人工生命体であると
「はぁ……ま、待ってくれハニー!」
如月博士は事実を知り、動揺して思わず走り出してしまうハニーを追走していた。
「はぁ……(わ、私は……私は、聖羅は……)」
ハニーは走りながら嘆いていた。自分は、父や青児、それに学園の友人たち、更に聖龍隊のみんなと違い、人で無かった事実に。
その頃の十番街では。
うさぎ達、セーラー戦士はルナやアルテミスから衝撃の事実を聞かされていた。
自分達が何故セーラー戦士に変身出来ていたのか。
それは自分達が、かつて太陽系の星々を護り治めて来た守護者の生まれ変わりだと言う事に。
そして、あのタキシード仮面こと地場衛の真実。更にダークキングダムの女王、クイン・べリルとの確執についても。
更にりりか達の目の前には、あの加納望が。いや、加納の体の憑依したブロスが姿を現していた。
「……カノン……いや、ブロス!」
「ま、まさか加納にブロスが憑依しちまうなんて……!」
「そ、そんな……加納先輩が……」
余りの事に立ち尽くすデューイや星夜にりりか達。其処にブロスが追い打ちを掛けるかのように言い放った。
「はははっ、ナースエンジェルよ。そして裏切り者のデューイに宇崎星夜。この加納望を救いだしたければ我の元に来るが良い! 待っているぞ!」
そう言い残すと、ブロスは消え去った。
「………………」「り、りりか……」
「ナースエンジェル。これは間違いなくブロスの罠だよ。行けば必ず……」
戸惑うりりかに星夜に、デューイが忠告する中、りりかは決断する。
「……私、行くわ。ブロスの所に」「えっ?」
「しょ、正気か! 自らブロスの罠に飛び込みに行くんだぞ!」
りりかの決断に困惑する星夜に制止するデューイに、りりかはこう答えた。
「……確かにブロスの罠なのかもしれない……だけど此処で逃げたら加納先輩を助ける事も、ブロスの野望を止める事も出来なくなる……何より、今まで一緒に居てくれたみんなの為にも……私は逃げないわ!」
「りりか……!」「ナースエンジェル、君は……!」
りりかの決断に一驚する星夜とデューイだが、そんな二人にりりかは更に述べた。
「……それに、ブロスを止め、加納先輩も救えなければ……修司さんだって助ける事は出来ないわ!」
「え? 修司さんって……」
「な、ナースエンジェル! 君はまだ修司って男の事を……! もう忘れようよ、あんな野蛮な男の事は」
りりかの発言に戸惑う星夜とデューイ。
実は例の一件以来、デューイは修司や聖龍隊に関わる事は止めようと、りりかや星夜に言い続けて来た。いくら敵とはいえ、あそこまで残虐的に相手を傷付けられる修司に愛想を尽かしていたからだ。
しかし、りりかはデューイに断言する。
「何言っているのよデューイ!」「え?」
困惑するデューイにりりかは言った。
「……修司さんだって、本当は自分を好いてくれているアッコさんを心配して、それでつい感情的になって暴走してしまったのよ……大好きな人が、自分を愛してくれる人が傷付けられそうになったら、誰だって嫌でも感情的になってしまうでしょ! ……修司さんは、本当は凄く優しいし、そしてとても淋しい人なのよ……ウッズさんだって言っていたでしょ。修司さんは生まれつき、人と上手く付き合って行く事ができないって……それに感情の制御ができないから、周りの人たちに拒まれて、今では実の家族にも見放されちゃったのよ! ……そんな人だからこそ、大事な人が危ない目に遭っていると感情的になるんじゃないの……」
「………………」「………………」
りりかの力説に、なにも言えなくなってしまうデューイに星夜にりりかは述べ続ける。
「私は行くわ! ブロスを倒して必ず先輩を助け出して見せる! そして修司さんや聖龍隊のみんなの力にもなっていきたい!」
りりかの強い思いに、デューイは根負けする。
「……分かった。ナースエンジェル、僕も行くよ」
「で、デューイ……!」
「修司は確かに恐ろしい一面を持っていた。だけど、いつも君や僕たち、更には他の英雄達の力になってくれていたのも事実だ。それに、そんな彼の力になってあげるのも白衣の戦士、ナースエンジェル……君の役目なのかもしれないしね……」
「デューイ……」
デューイの決断に感動するりりかに、続けて星夜も決断した。
「わ、分かった! 俺も付いて行くよ! りりかやデューイだけに危ない橋は渡らせられねえよ!」
「せ、星夜……分かったわ、みんなで行きましょう!」
こうしてりりか達はエンジェルハートカルテを用いて、加納望に憑依したブロスの居場所を追うのだった。
[新たなる決意と力]
その頃大江戸町では。
「………………」「………………」「………………」
ニイハオ姉妹に完敗したイサミ達は落ち込んでいた。
「……済まねえイサミ」イサミ「え?」
いきなりトシが謝り出し、イサミは驚いた。
「俺、結局何も出来なかった……イサミの力になれなかった」
「トシ……」
「僕もだよイサミちゃん……いくら綺麗なお姉さん達だからって見惚れちゃって、何にもできなくて……ホントにゴメン!」
「そ、ソウシ……」
「……前にも言われた通り、俺達は他のみんなと違って弱すぎる……それなのに仲間の悪口言っちまって……サイテーだよな」
トシは以前、さくら達の事を悪く言ってしまいイサミに怒鳴られた時の事を思い出していた。
「……そんなこと無いわ。トシやソウシはいつも私と一緒に頑張ってくれていたじゃない、一緒に居てくれたじゃない。確かに私達は負けてしまった、だけど此処で何もかもが終わってしまった訳じゃないわ。またあの3人組が来た時には、しっかりと彼女達と立ち向かわないと、いけないわ。ウジウジしてばっかじゃ居られないわよ」
イサミは笑顔で、トシとソウシに告げた。
と、その時だった。
「ふぅ~、良かったわ。一応は元気が有るみたいね、市長とは大違いだわ」
「え?」「だ、誰だ!?」「え、えっ?」
イサミ達3人の前に姿を現したのは、くノ一衣装に身を纏った高木はるかだった。
「あっ、貴女は!」「く、くノ一のお姉さん!」
「ワ~オ、また会えましたね、お姉さま」
「ふふっ、久しぶりね、しんせん組の僕達。今日はいきなりだけど貴方達に渡して置きたい品が有るのよ」
「え?」「わ、渡したい物って……」
「もしかして、電話番号とかですか」
高木はるかからの言伝にイサミもトシもソウシも唖然とする中、高木はるかは続けて述べる。
「違うわよ。あの魁博士が知人に預けておいたアイテムが有ってね、今日はそれを貴方達に渡そうと持って来たんだから」
「え! ぱ、パパの……」
「そうよ、イサミちゃんのお父さんの魁博士が黒天狗党に奪われないようにって知人の学者に預けてもらっていたアイテム……そうイサミちゃんが使っている龍の牙と同じでルミノタイトを使ったアイテムが二つあるのよ。それを君達に渡したいのよ。預かってくれていた人も、貴方達が悪い人に負けてしまったって知ったから、これを使って更に頑張ってほしいって言って渡してくれたのよ」
「そ、そうだったんですか。パパが残してくれた……!」
「そ、それでお姉さん! そのアイテムって……」
感激するイサミに続き、目を輝かせるトシに高木はるかはアイテムを見せながら説明した。
「あっ、うん、それはね……このアイテムよ。まずは龍の目、普段は大きめのスーパーボール程の大きさしかないけど、使用する人の想いによって大きさを変えられるの。そしてこれは龍の牙、いつもは2本の牙の形をしているけど発動時は二つを光が繋ぎ合わせる事によって弓の形状になるのよ」
「え? は、発動時って……」
イサミが不思議そうにしてると、高木はるかは続けて説いた。
「あぁ、それはね……実はこの2つはイサミちゃん、貴女の持っている龍の剣と共鳴していて、3人の思いが一つになると真の力を発揮できるようになるのよ。貴方達の御先祖様達もこれで天狗党と戦っていたと伝えられているわ」
「そ、そうなんですか……」
「でも、これで今まで以上に戦える事は出来るわ」
はるかがイサミ達にアイテムを渡し、説明しているその時。突然、一台の車がイサミ達の前に現れて停車した。
「き、君達! この辺に花丘という家が有る筈なんだけど、知っていないかい!?」
車から顔を出したのは、はるかにルミノタイトを使用したアイテムを手渡した如月猛博だった。
「あっ、如月さん」「え? 君は……」
容姿の変わった高木はるかに如月博士は気付いていない。
「えっ、花丘なら家ですけど、何か用ですか小父さん?」
「え、それじゃ、君が花丘博士の娘さんのイサミちゃんだね。私は如月猛。君たち聖龍隊にお世話になっている如月ハニーの父親です」
如月猛の自己紹介を聞いて、イサミとトシとソウシは反応する。
「えっ、ハニーさんの!」
「お、小父さんがハニーさんのお父さん」
「なるほど。娘さんに似て知的な御方だ」
このソウシの発言に、如月博士は動揺した。
「え? き、君……私とハニーは似ているのかい?」
「同然でしょ、何てったって親子なんですから……まっ、育った環境が良かったって事も有りますけどね」
「……そうかい」
如月博士は複雑な心境に陥った
「……あっ、そうだわ。如月博士、何でこの大江戸町まで来られてるんですか?」
高木はるかはが思い出す様に訊ねると、如月猛は答えた。
「あっ、そ、そうだ……実はイサミちゃん。君たちにお願いしたい事が有るんだ」
「え? 私達にですか?」
「あぁ、実はハニー何だが、何処かに行ってしまって、私も必死で探しているのだが……」
「えっ、ハニーさんが!」「な、何でまた……」
戸惑うイサミやトシにソウシ達に博士は正直に話そうと決意する。
「……分かった。君達にも分かるよう説明する。済まないが車に乗ってくれないか、一緒にハニーを探してほしいんだ」
「え…分かりました、私達も一緒に行きます! 聖龍隊の危機は私達の危機でもありますからね」
イサミは笑顔で答えると、トシやソウシと共に車に乗り込んだ。
「あっ、わ、私も一緒に同行します!」
高木はるかもイサミ等と共に、車に同乗した。
[知世の優しい言葉]
その頃、修司はと言うと。
「……やっぱり。ハニーは事実を知って動揺してしまったか……前もって事実を知っておけば聖羅やゼラとの戦いの前には落ち着いて対処できると踏んだんだが……」
実は、如月博士は大江戸町に向かう前、電話で修司にハニーが何処かに行ってしまったと伝えていた。
「……変身怪獣も向かわせたし、早見青児にも探させているから大丈夫だろうと思うんだが……やはり二次元人の運命を変えるなんて、俺には無理だったのかな……」
修司は塞ぎ込んでいた。自分がこの世界に来た目的、それは非業の運命を辿ってしまう二次元人を一人でも救ってあげたい。しかし、こんな愛も信頼も感じる事の出来ない自分が、そんな感情に満ちている二次元人を救う事ができるのかと、修司は悩んでいた。
その時、修司はさくらの事を思いだした。
「ハッ、そうだ! 確かもうすぐ……いや、今頃さくらが《最後の審判》を受けている筈だ! さ、さくら達は大丈夫だろうか……本来だったら失敗しない筈だが、三次元人の俺がこの世界に介入してしまった事により、少しばかり運命が狂ってしまう……! な、なにか間違いが無ければ良いんだが……」
修司は恐れていた。救いたい存在が、自分の介入により狂ってしまった二次元界で、救い出せなくなる事を。
「そ、そうだ! 知世ん家に電話してみよう」
修司は今さくらがどうしているのか、親友である知世の家に電話を掛けた。
「はい、此方、大道寺ですがどちら様でしょうか?」
「あっ、はい……此方は、市長の小田原修司ですが……」
「あぁ~、市長様ですね。いつもいつも知世お嬢様がお世話になっております」
「あっ、いえいえ。と、ところで知世ちゃんに折り入ってお話があるんですが、お電話代われますか?」
「はいはい、すぐに知世様にお伝えしますね。少々お待ち下さい」
そして電話は保留になり、しばらく経ってから電話に知世が出た。
「あっ、修司さん。どうもお久しぶりですぅ」
「あ、あ……と、知世久しぶり……げ、元気だったか」
修司は完全に緊張しながら会話した。元々会話が苦手な性分であるからだ。
「と、知世……じ、実はだ……さくらは今どうしてる……最後の審判はどうなったんだ?」
「さくらちゃんでしたら……今頃その審判に挑んでいる最中ですわ」
「!!……そ、そうか。もう……」
「はい……」
「……知世、お前はさくらが心配じゃないか?」
「もちろん私だって不安です。いいえ、私だけじゃありません。小狼くんや苺鈴ちゃんだって心配しています」
「そ、そうか……なぁ知世、俺に何かできる事は無いかな……」
修司は弱弱しい声で、知世に尋ねてみた。すると知世は穏やかな口調で話し返した。
「大丈夫ですわ。それに元々この試練はさくらちゃんが一人で受けなければいけないのは、修司さんだって知っているでしょ」
「あ、あぁ……そうだけど……」
修司は不安だった。もしも自分の介入によって運命が狂ってしまった衝動が、さくらの試験にも影響が出て、失敗してしまったら三次元人の自分は無効になる可能性はあるが、他のキャラクターにどんな影響が出るのかと。
修司は知世に聞いてみた。
「……なぁ知世、お前は怖くないのか。さくらの試練が失敗に終わり、災いが起きる事を」
「私は……私はさくらちゃんを信じています。絶対に試練を乗り越えて、私達を災いから護ってくれるって」
「そ、そうか……知世は本当にさくらの事を心から信頼しているんだな」
修司は少し妬ましく思った。親友に此処まで信頼されているさくらに。そして信頼できる友人を持つ知世に。
だが、そんな修司に知世は、思わぬ事を口に出した。
「……修司さんは、さくらちゃんの事、信じられませんか……?」
これに修司は正直に打ち明けた。
「……ああ、正直不安でいっぱいだ。こんな時こそ力になってやりたいと云うのに、何も出来る事が無いなんて……」
そんな修司の発言に知世は変わらない口調で言った。
「……修司さん、大丈夫ですわよ。さくらちゃんは強い子ですもの。何てったってさくらちゃんの座右の銘は《絶対だいじょうぶだよ》何ですもの」
「……(絶対に大丈夫……)」
「さくらちゃんは、私や小狼くん達、そして修司さん等聖龍隊のみんなの為にも絶対試練を突破してくれますわ」
「……そうか。済まない、無駄に心配し過ぎていたみたいだったな」
「そんな事有りませんわ」
「え?」
「……修司さん。貴方は以前河原でしてしまった事をまだ悔いているんではないですか?」
「………………」
「……大丈夫ですのよ、さくらちゃんだって言ってました『修司さんは今までいろんな場面で協力してくれたし、私達の能力の事も理解してくれた。私達だって修司さんの力になってあげたい、理解していきたい』って申していましたわ」
「! さ、さくらが言ったのか……俺の事を、理解したいって……」
修司は驚いた。かつて自分の居た三次元界では、周りの人間は理解しようとするどころか、自分の側から離れていくばかりだった。まして『力になりたい』『理解したい』等と言われた事は初めてだった。
「はい。修司さんが今まで、どんな人生を歩んで来てのかは、私達には分かりません……けれど、それでも私たちにとっては掛替えのないお友達であることには変わりありませんわ。人と上手く付き合えす、関わりを持つ事が苦手で、感情的になって、遂には家族からも見放されてしまっていても……さくらちゃん、それに私達だけはずっと、修司さんの友達ですわ」
「………………」
知世の温かい言葉に、思わず修司は言葉を失った。
あんな惨状を引き起こしたというのに、それでも自分を友と呼んでくれる知世にさくらに、修司の目頭は急激に熱くなった。同級生からも、クラスメイトからも、教師からも、挙句の果てに実の家族からも恐れられ、完全に孤独であった自分が。孤独しか感じられなかった三次元人が初めて、二次元人に優しい言葉を掛けてもらえた。修司の目からは自然と涙がボロボロ溢れていた。
「……あ、あの…修司さん?大丈夫ですか、何も聞こえなくなってしまったんですけど」
「……あ、あぁ、大丈夫だよ知世……ありがとう、こんな外道に優しい事言ってくれて……」
「そんな……外道なんかじゃありませんわよ。修司さんはいつも私達の事を考えてくれていますし、支えたりしてくれているじゃないですか。この前、さくらちゃん言ってましたわ『修司さんは苦しんでいる、街の悪人に対する思いだけでなく、自分の中にある闇の心、その闇からなる激しい怒の感情を抑える事ができなくて、自分自身を苦しめ続けてしまっている』って。さくらちゃんは最後の審判が終わった後も、今まで同様、聖龍隊の…修司さんの助けになってあげたいと…そう言っていましたわ。だからこそ修司さんも安心して良いんですよ、修司さんが心の優しい人だってことは私たち、十分解っていますからね」
知世の発言に、修司は更に泣いた。
「修司さんが私達を心配し過ぎる、つまり気にしてしまうのも、私達が大切な存在だから気になってしまうんですよね。あの河原で暴れてしまったのも、アッコさんが攻撃されて辛かったからこそ感情的になってしまわれたんでしょ。だから、私達は別に大丈夫です。いつだって修司さんと、聖龍隊の皆さんとはお友達で居たいですわ」
「そ、そうか……す、済まねえな。こんな俺何かの為によ……」
「……修司さん、泣いているんですか?」
「バ、バカ言うな! 俺が何で泣かなきゃ、いけねえんだ! 変な事言うなよっ」
修司は戸惑いながらも叫んだ。
「ふふっ、そうですか。それはすいませんね、ふふっ」
知世は電話越しであったが、確実に泣いているのを照れ隠しして誤魔化している修司の様子がハッキリと伝わっていた。
「それでは、私もそろそろ、さくらちゃんの所に向かわないといけませんので。今頃はもう審判を終えているかもしれませんし、会って一言、修司さんが心配していましたわよって伝えておきたいんです」
「と、知世……うん、俺もさくらを信じるよ。そしてまた一緒に頑張ろうって伝えてくれ」
「はい、分かりましたわ。しっかり伝えておきます」
知世はそう言うと、電話を切った。そして修司も受話器を置いた。
「……ウ、ウウゥ……」
受話器を置き、椅子に座り込んだ修司は、そのまま目を押さえながら泣きだした。
今まで人の優しさにも、人の愛情にも、触れようとすれば忽(たちま)ち壊れてしまい、結局は孤独に囚われ続けていた自分が。愛してやまない二次元人の心からの声援に、身も心も救われる心境だった。
「修司様、すいません! ちょっと……えっ」
扉を開け、部屋に入ったウッズは驚いた。目の前の修司が椅子に座りながら、無表情で涙をボロボロと流していたからだ。
「はっ……ウ、ウッズどうした。何か有ったのか……」
修司は涙を洋服の腕の部分で拭いながら、ウッズに問いかけた。
「あっ……は、はい。実は十番街付近から特殊な反応が有りまして……恐らく異次元空間の裂け目の様です」
「え、何だって……! じ、十番街って言うとうさぎ達の区域じゃないか! ま、まさかダークキングダムが……!」
「そ、それが何故かあの加納望の生体反応も確認できるんですよ。それも今までとは確実に違う反応で……」
「なに!? 加納望はダークジョーカーで……はっ、ま、まさか……」
修司は動揺した。以前加賀美あつこを追いかけ回した時も、本来は共闘する筈のない敵キャラが総出でアッコを追いかけ回した。
もし、これが三次元人の介入で起こった事となれば、敵勢力の一部も、自分等と同様、同盟を組むのではないかという疑惑が脳裏に浮かんだ。
「……ウッズ! その反応は何処だ! 俺もスグに向かう!」
「えっ、修司様も出撃なさるんですか!」
「そうだっ、こんな時にこそ俺が、三次元人の俺が出向いてみんなを助けなきゃいけないんだろうが! 何の為に俺は此処に居るんだよ!」
修司は闘志を燃やして、ウッズに告げる。
「……分かりました! スグに出撃できるように準備しましょう。行って皆さんを…二次元人の皆様方を御救いください!」
「オォウッ!」
そして修司は聖龍使いに変身し、反応が有った場所に向かった。
[嘆く乙女と、活を入れた銀翼の英雄]
一方その頃、ハニーは人気の無くなった公園のベンチで一人塞ぎ込んでいた。
「……(私は……私は……)」
自分が空中元素固定装置の種子から生まれた人工生命体。そして聖羅も、あのゼラによって持ち出された装置から生まれた、同じく人工生命体。自分は、そして聖羅が人間で無かった事を知り、ハニーは悲しかった。
と、その時。そんなハニーを呼ぶ声が聞こえた。
「おーーい、ハニー! 何処だーー、何処に居るんだーー!?」
ハニーを呼んでいたのは、空を滑空していたメタルバードだった。
「め、メタルバード……」
ハニーがメタルバードに気付いた事により、ハニーの意識をメタルバードはテレパスで感知できた。
「オッ、あそこに居たのか、良かった……」
ハニーに気付いて、メタルバードは彼女の前に降り立った。
「良かったぜハニー、やっと見つかった……父親の如月博士や早見青児、それに修司がかなり心配していたぞ。さぁ、帰ろうぜ」
メタルバードが手を差し伸べようとすると、ハニーはその手を思わず弾いた。
「えっ? ど、どうしたんだよハニー……」
手を弾かれ動揺したメタルバードはハニーに訊ねると、ハニーは自暴自棄になっていた。
「……私……私には、父も……妹も……誰も居ないわ」
「!! な、なにを言いだすんだ、ハニー!」
ハニーの発言に、メタルバードは驚愕する。
「……メタルバード。貴方、修司君から聞いてない? ……私の事で……」
その発言に対してメタルバードは率直に答えた。
「……あぁ、全部耳にしたよ。と言うよりも、お前の父親からの告発を全部盗み聞いていたから全部知っているよ」
「だったら解るでしょ! 私が今まで感じた思い……そして人生が……何もかも偽りだったって事に!!」
ハニーは目に涙を浮かべながら、半ば半狂乱で叫んだ。
「………………」
「……私が感じてきた思いも……優しさも……友情も……愛情もすべて! 全てが偽りだったのよ!!」
そのハニーの言動に、メタルバードは咄嗟に行動した。
「バカヤロー!!」
メタルバードは思わず、ハニーの頬に平手打ちをした。
「……め、メタルバード……!」
頬を叩かれたハニーが顔を上げると、メタルバードの目には涙が溜まっているのが目視できた。
「ハァ、ハァ……な、何言いだしやがるんだ! もっぺん言ってみろ! いくらオレが女に手を出さねえ主義だからって、もう一回でも言ったら張っ倒すぞ……!」
「め、メタルバード……」
ハニーは、目に涙を溜めながら自分に問い叫んでいるメタルバードの顔に視線をやった。
「……ハニー。今更だけど、お前に言うよ……俺の両親が……俺の居た国が……何故滅んだかをな……」
「え?」
「オレの居た超獣族の王国は、それはそれは、とても豊かで、技術も人間のよりも遥かに高度であった。そして超獣族の一人一人には特殊な能力も有って、それぞれが自分の能力に似合った仕事もしていれば、優秀な頭脳の持ち主は科学者として、一族の文明を更に向上してきた」
「………………」
「そんな王国は、一つの王家の一族でまとめられていた。その王族の指示の元、文明は発展していき、医療技術や特殊合金を作る技術、更には自身の能力を調査、それを更に飛躍的に上げる研究までも行われていた」
「……そ、そんな王国が何故」
「何故滅んだかって? それはだ……ある日、人間達が俺たち超獣族の存在に気付き、その高度な文明はもちろん俺たち一人一人が持っている特殊能力にすら、恐怖の対象として見てしまったんだ!」
「き、恐怖の対象……」
「そして人間達は特殊な武器で……生物の細胞全てを破壊できる特別な武器を使って、オレたち超獣族を根絶やしに……虐殺していった……!」
「!!」
ハニーはただ驚く事しかできなかった。いつも明るく陽気にしている彼に、その様な悲惨な過去が有った事実に。
「しかし、そんな現状の中でも王国の支柱であった国王は……【武力による衝突は更なる種族間の溝を広げる】という考えを曲げず、オレたち超獣族は人間とは戦わずに……王国は滅亡したんだ」
「……あ、貴方は……メタルバード、貴方はその時どうしてたの?」
「……オレはその時、国王の玉座のある部屋まで、父上に連れてこられたんだ。そしてその部屋の片隅にある隠し部屋に押し込まれた」
「お、王の玉座の部屋って……あなたの父親は何故その部屋に貴方を!」
「……その部屋が父上の仕事場で、緊急時には身内を匿う事のできる構造になっていたからな」
「ち、父上……って……」
次の瞬間、ハニーはメタルバードの口から衝撃的な事実を聞かされた。
「……超獣族を束ねて来た国王…王室の隠し部屋にオレを押し込んですぐ、目の前に立ち塞がった人間達に向かって和解への話をしようとした国王……そして容赦なく人間に殺された国王は……オレの父上だ」
「!!」
ハニーは何も言えなくなった。自分の祖国が、そして自分の親が目の前で人間に滅ぼされ、殺されていった経歴を、メタルバードは持っていたんだと知って。
「お、オレは…オレなんかお前みたいに、親として一緒に過ごしてくれる奴なんて居ないんだよ……あ、あの修司だって! 以前にもあったけど、河原での惨劇を起こしたみたいに、今では家族からも……血の繋がりが有る身内からも嫌われ、敬遠されちまっているんだぞ! そんオレ等から見たら、まだテメエは恵まれている存在なんだよ!」
「………………」
「だからよハニー。例え血の繋がりがなくても……その関係に、思いに、過ごして来た時間に少しでも偽りだったと本気で思っているのか!?」
「………………」
「人間じゃ無いだの、血が繋がっていないだの、そんなの小せえ事だ! お前が如月博士と、父親と過ごした日々は偽りでも何でもねえだろう! 生まれはともあれ、お前達は正真正銘の親子だ!」
「め、メタルバード……」
メタルバードの熱弁に、ハニーは思わず涙を流す。
「例えこの先、人間でない為に苦しい思いをする事になっても、オレや修司……そして聖龍隊が全力でお前を支えていくぜ! もちろん、お前の妹の聖羅だって、愛情を知らないで育っちまっただけで立派なお前の妹だ! 必ずお前達姉妹が笑って過ごせる日々を築いてやるから、お前も自分が何者だったなんて考えずに、今まで通り必死で大事な存在を護っていきやがれ! 愛の戦士・キューティーハニー!!」
「め、メタルバード……」
メタルバードの力説に、ハニーは思わず大粒の涙を流し出す。
「……お前の親父さんも言ってたぜ。例えお前が……聖羅が何者であろうと、娘には違いねえってよ!」
「お、お父様……! うっ、ううぅ……」
メタルバードの励ましに、ハニーは大粒の涙をいくつも流した。
例え自分が、聖羅が何者で有っても、そんな自分達を受け入れてくれる仲間が、そして自分達を娘と思ってくれる父親がこの世にしっかりと存在してくれていると。ハニーは心の底から歓喜した。
その時突然、メタルバードの所持していた無線が鳴った。
「お、おう。此方メタルバードだ。どうした」
「あっ、メタルバードさん大変です! 十番街から謎の反応が有りました! 修司様は既に向かっていますが、万が一の事も有ります。貴方も一緒に向かってくれませんか。修司様は未だにあの事を気にして、上手く戦えるか心配なんです……」
「よし解った。俺もスグに現場に向かう」
ウッズからの無線を切ったメタルバードは現場に飛んで行こうとした、その時。
「め、メタルバード! 私も一緒に行くわ」
「え? だ、だけどお前……」
さっきまで精神的に落ち込んでいたハニーが、いきなり同行すると言いだし、メタルバードは驚いた。
「私には父と呼べる人も、自分を仲間と思ってくれる人達も居るわ! そんな人達を助ける為にこそ、私のこの力が必要なのよ! だからメタルバード、私も一緒に行くわ! 行って修司君や仲間達の力になる!」
「は、ハニー……」
ハニーが元気付き、いざメタルバードと共に現場に向かおうとした、その時。
「はっは、こんな所に居たのかキューティーハニー。探しましたよ」
「! プ、プリンスゼラ!」「て、テメエ! やっぱり生きていやがったのか!」
突如、樹木の頂に立ち尽くすゼラにハニーもメタルバードも気付く。
「ふっはっは……如月ハニーよ、お前の妹の葉月聖羅を本当に救いたければ、我等の元に来るが良い! そして其処でお前に……真実を明かしてやろう。ふはははっ」
そう言い残すと、ゼラは消え去ってしまった。
「せ、聖羅が……それに、ゼラの言う真実って……ま、まさか」
「あぁ、恐らくはお前と聖羅が人工生命体だって事だろう。あのヤロウ、まさか既にハニーが知っているとは気付いてないみたいだな」
「え、えぇ……で、でも聖羅が……!」
「ああ、聖羅がこの事実を知ってしまったらどうなるか……下手したら、またあの刻印から何か出てくるかもしれないぜ」
そう、もしも葉月聖羅が、愛を知らずに育てられた彼女がこの真実を知ってしまったら。再び《憎しみの刻印》から強大な怪人が生み出されてしまう可能性がある。
だが、そんな状況でハニーが下した決断は。
「……メタルバード。修司君や他のみんなの事をお願い」
「! は、ハニー?」
「私、気付いたわ……今までお父様と過ごした日々……お父様から注がれた愛情の多くを、今度は私が! 私が聖羅に分けてあげなきゃいけないのよ!」
「ハニー……」
「メタルバード。貴方は先に修司君の所に向かって。彼を、そして他の仲間達を助けに行ってちょうだい、お願い……」
「は、ハニー……だけど、お前一人で大丈夫なのか? またあのゼラが何か仕掛けているかもしれないんだぞ……」
「……覚悟はできているわ。それに私自身の力で聖羅を、妹を助けたいのよ! メタルバード、彼方は急いで十番街に!」
「は、ハニー……分かった。ただし、お前も無理は済んなよ……オレは、せっかく一緒に居てくれる仲間ができたのに、また失ってしまうなんて事、嫌だからよ…」
「……メタルバード…ありがとう」
「な~に、別にどうって事は……えっ?」
するとメタルバードが話している最中に、ハニーは彼の顔の下辺り(人間で言えば下あごの横側)に、ハニーは不意打ち的に口付けをした。
「……は、ハニー……?」
「メタルバード。さっきはありがとう……励ましてくれて」
ハニーはそうメタルバードに告げると、走り去ってしまった。
「………………」
余りの事に、メタルバードは呆然としてしまう。
「……あっ、そ、そうだ! 急いで修司の所に行かねえと!」
メタルバードはその場に十数秒間、立ち尽くした後、急ぎ修司の所まで飛んでいった。
[同盟 ジョーカー・キングダム]
少し時間を遡る事、十番街ではセーラームーン達が行方不明の地場衛を追って霧の深い場所にやって来ていた。
「うわ~、なんか不気味~」「ど、何処なのよ此処は……」
霧が視界を覆う空間で、怖がるセーラームーンにヴィーナス。彼女等にマーズやジュピター、マーキュリーが忠告する。
「ちょっと二人とも! しっかりしなさいよ」
「もう此処はダークキングダムの本拠地なのかもしれないのよ」
「いつ、何処から敵が現れても可笑しくないわね」
五人が霧の中を彷徨っていると、前方から影が三つ近づいて来た。
「きゃっ、て、敵?」「もう出て来たの」
「み、みんな! 気を付けるのよ」
「ううう~、こ、怖いけど美奈ちゃん頑張る……」
「み、みんな……来るわよ!」
セーラームーン、ジュピター、マーズにヴィーナスそしてマーキュリーが臨戦態勢を構える。
セーラー戦士は攻撃態勢で、自分たちに近づいてくる人影を待ち伏せた。すると霧の中から姿を現したのは見覚えのある三人組。
「……あ、あれっ? せ、セーラームーン? 何でセーラー戦士達が此処に居るんだ?」
「え? せ、星夜くん?」
目の前に現れた星夜にマーキュリーが思わず戸惑う。
「あれ? 何で君達が此処に居るんだよ」
「で、デューイ……?」「あ、あなた達こそ何で此処に?」
同様に目の前に現れるデューイにマーズとヴィーナスが戸惑っていると、ナースエンジェルが答えた。。
「わ、私達は加納先輩を……あっ、いいえ。加納先輩に憑依したブロスを追って此処まで来たんです」
「え?」
「ぶ、ブロスって確か……ナースエンジェルを倒そうとしている奴なんだよね」
ナースエンジェルの返答に、ジュピターもセーラームーンも首を傾げると更にデューイが答える。
「ああ、僕たちはナースエンジェルのアイテムで、ダークジョーカーの反応を感知できるエンジェルハートカルテを使って、此処まで来たんだけど……」
「な、何でダークジョーカーのアジトにセーラームーン達も居る訳なんだ?」
デューイと星夜の説明を聞いてマーズやマーキュリーが困惑する。
「え? ちょっと待って。此処はダークキングダムの本拠地なんじゃ……」
「い、いったい……何がどうなっているの?」
と、皆が困惑している時だった。
「ふははは、待ちかねたぞセーラー戦士達よ!」
「えっ?」「あ、あなたはクイン・べリル!」
クイン・ベリルの声にセーラームーンとヴィーナスが反応してると。
「はは、とうとう此処まで来てしまったようだな、ナースエンジェル!」
「か、加納先輩……い、いいえ! ブロス!」
「ど、どうなっているんだ? 何でセーラー戦士達の敵と、ブロスが一緒に居るんだ?」
突如、皆の目の前に姿を現した加納望に憑依したブロスとクイン・べリルを前にナースエンジェルや星夜が戸惑っているとベリルが答える。
「はははっ、四天王があっさりと聖龍使いに殺されてしまってな。其処にこのブロスが現れて密約を持ちかけたのじゃ」
「み、密約ですって!?」
ベリルの説明にマーズが一驚してると、加納に憑依しているブロスが更に詳細を述べる。
「あぁ、そうだ。君達セーラー戦士を倒す手助けをする代わりに、私にとっても目障りなナースエンジェルも、共に葬り去るという密約でな……しかも、最終的にはセーラー戦士を始め、この街全ての英雄の肉体を私に提供するという約定でな!!」
「な、何だと! おいブロス、何でそんな真似を……!」
デューイが問い返すと、ブロスは明答した。
「ふふっ、簡単な事だ。この街で活躍している英雄たち……彼等の肉体に(黒のワクチン)を注入し、裏切り者のお前や聖龍使いにあっさり倒されてしまったケトーに代わり、新たなる最強のダークジョーカー軍団を結成させるのだよ」
「な、何ですって!」「わ、私達の体に……!」
ブロスの説明にジュピターとマーキュリーが焦燥する中、ベリルが答える。
「ふふ、そう慌てるでない。お前達にワクチンを注入するのは、お前等が完全に息絶え、ただの死体に成り下がった後じゃ。我はもう死体になったお前達に興味はない……後はブロスの好きにさせるつもりじゃ」
「な、なんて事を! 弱い人々を……正義を護る英雄達の肉体を勝手に利用するなんて!」
ベリルの返答にナースエンジェルが怒りを覚える中、ブロスは彼女に告げる。
「ははは、ナースエンジェルよ、そなたは安心したまえ。今まで私に逆らって来た報いだ、お前だけは利用せず消し去ってしんぜよう!」
「く、くっそ~、まさかこいつ等が度等を組むなんて……!」
「し、仕方が無いわ……みんな! こうなったらベリルもブロスも一緒に倒すわよ!」
状況に焦燥する星夜にマーズだが、そんな皆にブロスとベリルが言い放つ。
「はっはっは、例えお前等も度等を組んでいようと、此方にも対処の仕様が有るわ!」
「ふふふ……いでよ! DDガールズ!!」
ベリルが合図を出すと、いきなり彼女達の目の前に5人の女が立ちはだかった。
「え!?」「な、何こいつ等!」
マーズとヴィーナスが反応する中、ナースエンジェルの持っていた《エンジェルハートカルテ》も反応した。
「え?」「こ、こいつは……!」
「か、彼女達……まさかダークジョーカー!?」
五人から感じられる反応にデューイも星夜もナースエンジェルも動揺する中、ブロスとベリルが述べる。
「ふふ、少し違うな……彼女等はクイン・べリルが生み出した最強の女戦士。まだ未完成だったのを、私が黒のワクチンを注入してやった事により完全に起動し、今では想定以上の力が出せるのだよ」
「ふふふ……ブロスよ、主には感謝しているぞ。お陰でDDガールズは完全に起動した所か、私ですら予想もしていない程に強化されている。これなら意図も簡単に……」
「あぁ、セーラー戦士やナースエンジェルを倒せる訳だ……!」
そして次の瞬間、二人は一斉に命令した。
「「さぁお前達! 殺ってしまえ!!」」
『しゃああああ!!』
「う、うわ来たぞ!」「こうなったら戦うしかないわね」
戦闘態勢に入る星夜とマーズだが、そんな一同にブロスが指差した。
「はははっ、そう簡単に反撃もできないぞ……ホレっ、あそこを見ろ!」
ブロスが指差した先には、白い十字架に縛り付けられ、弱弱しくなっているタキシード仮面の姿が。
「た、タキシード仮面!」
「う、うぅ……せ、セーラームーン……は、早く逃げろ……!」
タキシード仮面は虫の息で必死に声を出した。
「ははっ、どうだ。今下手に行動すればタキシード仮面の命はないぞ!」
「そ、そんな……」「くそっ、人質を取るとは……!」
「ブロスの奴め……カノンの体に憑依するだけに飽き足らず、タキシード仮面を盾にするとは……!」
タキシード仮面を人質にするブロスの行動に、セーラームーンも星夜もデューイも焦り出す。
だがこの時、クイン・べリルは加納に憑依しているブロスの耳元で密談していた。
「お、おい……エンディミオンには何もしないと約束であろうが……」
「はは……大丈夫だ、多少痛めつけただけで命に別条はない。あくまで保険だ、保険……」
「くっ……(エンディミオン……もう少しだけ耐えてくれ)」
(ふふふ……所詮ベリル、貴様も愛だのと抜かしている愚かな存在なのだな。エンディミオンの身体的能力はもちろん、特殊な能力は我が軍団にとっては欠かせない要員だ)
加納に憑依されているブロスに利用されているとも知らずに、黒のワクチンによって強化されたDDガールズを英雄達に差し向けるベリル。そしてタキシード仮面ことエンディミオンを盾にされ自由に攻撃できない英雄たち。彼等の運命は。
[合流したしんせん組と探偵]
一方その頃、如月博士と合流し一緒にハニーを捜索していたイサミ・トシ・ソウシ、そしてくノ一衣装で身に纏った高木はるかは如月博士の車で町の中を走っていた。
そしてイサミたち三人は博士の口から真実を聞かされた。ハニー、そして妹の聖羅が人で無く、空中元素固定装置の種子から生まれ出た人工生命体であったと言う事に。
「……そう言う事なんだ。ハニーは、そして聖羅は私の研究によって生まれた人工生命体なのだよ」
如月博士の口から真実を聞いた三人は、黙り込んでしまった。
「う、ウソだろ……」「は、ハニーさんが……人為的に生まれた、命……」
「そ、そして……妹の聖羅さんも、同じ人工生命体……」
トシ、イサミ、ソウシ達は動揺した。今まで普通に付き合い、そして共に行動して来たハニーが、本当は人で無かったという事実に驚きを隠せなかった。
「み、みんな……」「………………」
黙り込んでしまう三人に、はるかと博士は何も言えなかった。
しかし、その静寂と重い空気を壊す様に、トシが言った。
「な、なぁ……」「えっ」「……なんだいトシ」
トシの問い掛けに、イサミとソウシが訊き返すとトシは言い切った。
「け、結局よぉ。それが何だって言うんだよ」
「え!」「え、えぇっと、それってつまり……」
トシの発言にイサミもソウシも啞然とする中、トシは話し続けた。
「い、いやな。だってその何とか装置って言う機械の種子から生まれただけで……ハニーさんはハニーさんじゃないのか?」
『!』
このトシの発言に、イサミ達だけでなく同席している高木はるかも如月猛も愕然とした。
「だ、だってそうじゃないかよ! ハニーさんは最年長なだけあって、俺たち聖龍隊の中でも一番しっかりしているしよ。ただ生まれ方が俺達とは違うだけで、いつもの優しいハニーさんには違いねえだろう。イサミやソウシだって、そう思わないのか?」
トシの突拍子も無い質問に、イサミやソウシだけでなく、助手席に座っていた高木はるか、そして運転していた如月博士も思わずキョトンとした。
「……そうよ、その通りだわ! 例えハニーさんが人で無くっても、私たちにとっては掛替えのない仲間には違いないわよ! ハニーさんだって私と同じ、家族で幸せに暮らせる事を願っている一人の乙女なのよ! 人工生命体だが何だか知らないけど、そんなの関係無いわ! ハニーさんはハニーさんよ!!」
「ふふっ、確かに……トシが余りにも出来過ぎた台詞を言うもんだから、遂キョトンとしちゃったよ。言われるまでも無い、ハニーさんがどんな存在であろうと、ただの可憐な乙女には違いない」
「み、みんな! そうよ、その通り! 彼女が誰であろうと愛の戦士・キューティーハニー、私達の仲間には違いないわ!」
「み、皆さん……ウッ、ウゥ……」
イサミやソウシ達に高木はるかの台詞に、如月博士は思わず泣いてしまった。
と、その時。一人の青年が走行中の車の前に飛び出して来た。
「あっ、危ない!」「う、うわっ」
思わず反応する高木はるかと運転してる如月猛。如月猛は咄嗟に車のブレーキを踏んだ。
「きゃあっ」「うわっ、何だ?」「い、いてて……」
「だ、誰なの? いきなり飛び出してきて……」
「うぅ……あっ、君は!」
驚くイサミにトシにソウシ、そして高木はるかだが、運転手である如月猛が目撃したのは何とあの早見青児だった。
「……はぁ……あ、貴方は如月博士! ちょ、ちょうど良い所に……た、大変なんです! 遂さっき俺の目の前にシスタージルが現れて……ミスティーハニーとキューティーハニーが命を掛けて戦うであろうと言い残して消えたんです!」
飛び出してきた早見青児は荒い息使いで説明する。
「な、なにっ!?」「そ、そんな……っ」
動揺する如月博士と高木はるかだったが、そんな時トシが言った。
「た、大変だ…急がないと」「え?」
トシの発言に戸惑う高木はるかに、ソウシも主張した。
「そ、そうだ! こんな時こそ僕等しんせん組が立ち上がらないと!」
「き、君たち正気か! あの犯罪組織、豹の爪(パンサークロー)と真っ向から立ち向かうんだぞ! 子供の君たちに何ができると言うんだ!」
この早見青児の言葉に、イサミが物申した。
「青児さん!」「な、何だ……」
「今は何ができるかじゃ無く、何をすべきか! そうじゃありませんか!」
「………………」
「確かに私達はまだ子供かもしれません! だけど私達にはハニーさんを、人を守れる力が有ります。何より今は大人子供と言っていられる場合じゃないんです! キューティーハニーとミスティーハニーを助けてあげないと……!」
イサミに続き、トシにソウシも言った。
「そ、そうです! 俺たちだってハニーさんを助けたいんです!」
「可憐な乙女……いやっ、可憐な姉妹が争ってしまうなんて、そんな悲劇は認められません!」
「き、君たち……」
イサミ達の熱弁に、青児は思わず立ち尽くした。そして。
「……分かった。でも、それなら俺も行こう。俺もキューティーハニーに何か有ったら辛いんだ……!」
「は、早見くん……」「……素敵ね、こんな好青年に好かれているなんて」
早見青児の判断に感極まる如月猛博士と感動する高木はるか。
そしてトシとソウシが早見青児に言った。
「分かりました! 早見さんも一緒に行きましょう!」
「悲しき姉妹の運命を変える為にも、共に参りましょう!」
「あぁ、君達も一緒に協力してくれ!」
自分達と意気投合してくれた早見青児。するとその時、イサミが青児に問い掛けた。
「……ところで青児さん」「ん? 何だいお嬢さん」
「貴方……本当にキューティーハニーを愛しているんですか?」
「えっ? そ、そりゃあ……まぁ……」
「ハッキリ言って下さい!」
「! そ、それは……ああ、俺は本気で彼女を……ハニーを愛しているさ!」
「その気持ちに、嘘偽りはありませんよね!」
「ああ! 断じてない!」
しばらく互いの目を見つめ合うイサミと青児。そしてイサミが封を切る様に言い放った。
「……分かりました。貴方が本気でハニーさんを愛している事は……でも、それなら彼女の真実を知っても、その思いを変えないで欲しいんです!」
「!? か、彼女の真実……?」
「詳しくは車の中で話します! さぁっ」
そして早見青児と合流した面々は、如月ハニーことキューティーハニーの元へと向かった。
[何も出来ない現状]
「きゃあああ!」「うわぁ!」「く、くそ、うわぁ!」
「つ、強すぎる……」「こ、こんな最悪なほど強いなんて……!」
「こ、このままじゃやられちゃう……!」
結託したダークジョーカーとダーク・キングダムが繰り出した五人のDDガールズを相手に、苦しむマーキュリーにマーズ、デューイとヴィーナスに星夜やジュピター達。
「はぁ、はぁ……せ、セーラームーン。貴女は、大丈夫?」
「そ、それが……だ、ダメみたい……」
傷付きながらもセーラームーン達を気遣うナースエンジェルに、セーラームーンは傷だらけの体で答える。
黒のワクチンで強化されたDDガールズに対し、セーラー戦士達もナースエンジェル達も、成す術が無かった。
「うはははは……さすがのナースエンジェルも、そしてセーラー戦士達も手も足も出まい」
「うふふ、そうじゃのう。まさか黒のワクチンにこれ程までの力が有るとは……」
「せ、セーラームーン……」
満身創痍のセーラー戦士たちにナースエンジェル達を見て、加納望に憑依したブロスとクイン・べリルが嘲笑う中、傷付いていくセーラームーンを目前に磔にされているタキシード仮面は傷心してた。
と、其処に姿を現したのは。
「せ、セーラームーン! 主等、大丈夫か!!」
急ぎ十番街に駆けつけた聖龍使いが登場する。
「せ、聖龍使い!」「き、来てくれたのね……」
「す、済まぬ……以前は主等に怖い思いをさせてしまって……誠に申し訳ない!!」
マーキュリーやマーズが応える中、聖龍使いは深々と頭を下げて、その場の皆に謝罪した。
すると最初にセーラームーンが床に倒れた状態で返答した。
「も、もう良いわよ。聖龍使い……」「! ……」
セーラームーンに続き、マーキュリーもマーズもヴィーナスも答えていく。
「あ、貴方が一番苦しんでいる事は、私達ちゃんと分かっているから……」
「う、ウッズさんから聞いたわ…貴方は昔から、その性分で家族ですら恐がられて、ずっと孤独だったのよね……」
「わ、私達を仲間にしたのも、多分それが理由なんでしょ……」
「あ、あぁ……」
自分の心境を理解してくれる皆の言葉に聖龍使いは、自身の目頭が熱くなっているのを感じていた。
そんな聖龍使いにジュピターが答える。
「聖龍使い、貴方の気持ち……私、少しは理解できるわ」
「え……?」
「わ、私の両親も昔……事故で亡くなって、それ以来ずっと寂しかった。だ、だけど貴方の場合は、親に愛される事も無く、ただ恐れられるだけだった。貴方の方が私より、よっぽど辛かったのよね」
「!!」
聖龍使いは胸に激痛が走る感覚に陥った。ジュピターの台詞が痛いほど、自分の心情を捉えていたからだ。正直、修司自身は皆と違い、親に愛される事も無く、例え死別していたとしても、親に愛されながら死別していた事さえも修司は多少の妬みを感じていた。
「せ、聖龍使い……」「な、何じゃナースエンジェル……」
続いてナースエンジェルも、聖龍使いに話し掛ける。
「わ、私達もちゃんと分かっているから……あ、貴方がその性格で苦しみ、そして悲しかった事も……ちゃんと分かっているわ」
「う゛っ、う゛ぅ……」
聖龍使いは、更に目頭が熱くなった。
其処に、星夜とデューイも発言しようとする。
「せ、聖龍使い……」「ぼ、僕達だって……」
しかし、その時、聖龍使いが大声で訴えた。
「もう良い!!」『!』
聖龍使いの大声にセーラー戦士達もナースエンジェル達も一驚する中、聖龍使いは涙声で訴える。
「も、もう……もう充分じゃ! ……その言葉だけで、もう充分じゃああぁ!」
聖龍使いは歓喜の言葉を吐きながら、嬉しさの余り体を震わせていた。
「聖龍使い……」「………………」
身を震わせる聖龍使いを前に、セーラームーンもナースエンジェルも悲痛な想いに駆られる中、聖龍使いは行動に移る。
「ま、待っておれ! 今すぐ助ける!」
聖龍使いは掛け足で、みんなの所に走り寄ろうとした。だが。
突然、聖龍使いの目の前に見えない壁が現れた。
「な、何じゃ!?」
聖龍使いが慌てていると、ブロスとベリルが聖龍使いに言う。
「うはは、聖龍使い。お主の好きにはさせんぞ」
「な、なぬっ?」
「うほ~ほっほ、その通りじゃ。悪いが主とセーラー戦士達の間には特殊なバリアーを張らせてもらった。これで主が此方側に来ることは不可能じゃ……」
「そ、そんな……!!」
聖龍使いは愕然とした。このまま仲間達が黙ってやられるのを見ているだけとは、非常にやり切れない思いだったからだ。
その時、現場に遅れてメタルバードも到着した。
「す、済まねえ相棒! 遅れちまった」
「め、メタルバード……大変なのじゃ! せ、セーラー戦士達が……ナースエンジェル達が……!」
「み、みんながどうしたって……う、うわっ。みんな酷いやられ様だ……」
聖龍使いに指摘されたメタルバードは満身創痍の仲間達を見て驚愕した。
「そ、それじゃ急いで助けねえと……!」
「そ、それが……目の前に見えぬバリアーを張られて、ワシもこれ以上先に進む事ができぬのじゃ……」
「そ、そんな!」
メタルバードも底知れぬ絶望感に襲われる。
其処にブロスとベリルが吐き捨てた。
「うはは、聖龍使い、そしてメタルバードよ。其処で大人しく見ているのだな、お前達の仲間が……我等の害敵がどのように朽ち果てるかを……!」
「ふほ~ほっほ。それっ、やってお終い、DDガールズよ!」
ベリルの合図と共に、再びDDガールズはセーラー戦士たちとナースエンジェル達を容赦なく攻撃していく。
「や、止めてくれー!!」メタル「や、止めろー!」
聖龍使いとメタルバードが叫ぶも、それは虚しく響くだけだった。
[例え違う存在でも……]
一方その頃。ハニーはプリンスゼラとシスタージルに誘導され、聖羅と対面していた。
ゼラは当初の目的通り、二人に自分達が人間でない事実を打ち明かし、動揺を誘ってハニーを負かす作戦を実行した。
しかしハニーの方は既に父に聞かされ、更にメタルバードに論されていた為、動揺する事は無かった。
だが聖羅の方は、とてつもない絶望感が襲い、何と彼女の胸の刻印からミスティーハニーと瓜二つの怪人、通称ダークパンサーが出現してしまった。
現れたダークパンサー。そしてハニー自身もキューティーハニーに変身して出現したダークパンサーと戦った。
「くっ」「シャアアア……」
戦い合う二人。それを見ていたセラとジルは。
「……しかし予想外だったな。まさかキューティーハニーの方が、既に真実を知っていたとは……あの人の良い如月博士が良くもまぁ打ち明けられたものだ」
「ニヒヒっ……まぁゼラよ。別に良いでは無いか……結果的に聖羅の刻印からは強力なダークパンサーが生まれ、ハニーを追い詰めておる。そして聖羅は絶望のあまり、ああして塞ぎ込んでしまっておるわい」
シスタージルが指差した方向には、真実を知り、絶望に打ちひしがれ、ただ茫然としている聖羅が座り込んでいた。
「……せ、聖羅! お願い、しっかりして!」
キューティーハニーは落ち込む聖羅に声を掛けたが、彼女は反応しなかった。
(……こんな世界、消えてしまえ)
聖羅は失意の中、自分を生みだしたこの世界に対して憎しみを感じていた。
「キャアアア……!」「うわっ!」
攻撃の手を緩めないダークパンサー。と其処へ一台の車が駆け付ける。
「は、ハニー大丈夫か!」
駆け付けた車から最初に降りたのは、早見青児だった。
「せ、青児さん……!」
キューティーハニーが早見青児の姿を目視すると、彼に続いてトシやイサミにソウシそして高木はるかと如月猛もキューティーハニーに駆け付ける。
「ハニーさん、助太刀に来たぜ!」「遅くなっっちゃったわ」
「さぁ! 乙女を泣かす不埒者を成敗する時です!」
「キューティハニー、私も手を貸すわ!」
「は、ハニー、聖羅!」
青児に続いて、イサミ達や父親の如月博士、更にくノ一衣装の高木はるかが駆け付けるのを見て、キューティーハニーは喜んだ。
「み、みんな……」
そんなキューティーハニーに、青児やイサミ達が駆け寄ると、イサミ達はキューティーハニーに告げる。
「は、ハニーさん……」「お、俺たち……」
「ぼ、僕たち、ハニーさんが何者であろうと気にしませんからね!」
「え?」
イサミやトシにソウシ達の言葉に戸惑うキューティーハニーにトシが言った。
「お、俺たち聞きました……ハニーさんの出生」「!」
一驚するキューティーハニーにイサミが断言する。
「で、でも私達にはそんなの関係有りません! ハニーさんはハニーさん、私たちにとって掛替えのない仲間には違いありません!」
「! み、みんな……」
キューティーハニーが感激してると、そんな彼女に早見青児も告白した。
「ハニー、俺もだ。お前が誰であろうと、俺のお前への気持ちに変わりはない! お前に対する愛に嘘偽りは無い!!」
「せ、青児さん……!」
青児の台詞を聞き、キューティーハニーは思わず泣き出してしまった。
「シャアアア……!」
と、会話している彼等に、ダークパンサーが襲いかかって来た。
「きゃああ!」「あ、あの怪人は……!」
突然の来襲に高木はるかと早見青児が驚く中、トシやソウシにイサミ達は別の意味で驚いていた。
「お、おい……あの怪人って……」ソ「あ、ああ……」
「み、ミスティーハニーそっくり……」
そんな一驚する皆にキューティーハニーが説いた。
「気を付けて! あの怪人は聖羅のあの刻印から生まれ出た奴なのよ!」
攻撃してくるダークパンサーを視認したイサミ達は行動に移した。
「よし、今こそ私達の力をフルに発揮する時よ!」
「オウっ」「その通りっ」
「えっ?」「な、何をするつもりだ!?」
キューティーハニーと早見青児が戸惑う中、イサミは龍の剣を構え、トシは龍の目、ソウシは龍の牙を手の持ち、それぞれ身構えた。
「ふぅ~……行くわよ、トシ! ソウシ!」「「オゥ!」」
そして三人が持っているアイテムが一斉に光り出した。
「こ、これは!」「う、うわぁ……!」
「こ、これが花丘博士の先祖が残したと言うアイテムの力……!」
(こ、これがしんせん組の、本当の力……!)
光り輝き出す三つのルミノタイトで作られたアイテムを見て、早見青児もキューティーハニーも如月猛も高木はるかも驚愕する。
そして、この様子を遠くで見ていたゼラとジルも驚かされていた。
「な、何だ! あの光は…」「あ、あの光は……いったい……!?」
そして光の中から出て来たイサミ達の恰好は変化し、そしてイサミが一声放った。
「龍の印は正義の印! この世に悪がある限り、天に代わって悪を断つ! しんせん組参上!!」
「な、何だと!?」「い、イサミちゃん達が!」「へ、変身した!」
「す、凄い! これが幕末の英雄達が遺した力なのね!」
早見青児にキューティーハニーそして如月猛が驚愕する中、高木はるかは目を輝かせて興奮していた。
そしてイサミ達は、キューティーハニーに向かって言い放った。
「さぁ、ハニーさん! これで私達も戦闘準備完了です」
「一緒にあの怪人を……豹の爪(パンサークロー)をブッ潰しちまおうぜ!」
「ハニーさん、これで貴女に僕の華麗な戦いっ振りを見せて差し上げましょう!」
「み、みんな……」
イサミ達の加勢にキューティーハニーは感動する中、早見青児と高木はるかも加勢する意気込みを示す。
「よ、よし! 俺も一緒に戦わせてもらうぞ。ハニーや子供達だけに戦わせるなんて、男のプライドが廃る!」
「私も! 子供たちが頑張っているのに、大人の私達が何もしないなんて虫が良すぎるわ」
「せ、青児さん……くノ一の人まで……」
キューティーハニーは目に涙を溜めて、感激した。
「わ、私は何とか聖羅の正気を覚まさせる! あれじゃ、あの子が不憫すぎる……」
「分かったわ。お父様、聖羅の事は任せます」
そして如月猛は葉月聖羅を瘴気に戻すと意気込み、そんな父の意気込みにキューティーハニーは一任する。
「よしっ、しんせん組、戦闘開始!」
「「オオウッ!」」
英雄達の絡み合う激戦。絡み合う運命。果たして彼等はこの運命を乗り越える事が出来るのであろうか。