[聖龍隊に入隊する聖女]
鏡の国の女王様から聖龍隊に入る事で処罰を免れる事になった加賀美あつこは正式に聖龍隊に入る事へ。
だが、これに対して修司は少し不満気だった。
「………………」
一人、不満そうに腕を組む修司の横では変身怪獣が咳払いをしつつアッコの聖龍隊への入隊を宣言する。
「ゴッホン、え~それでは、正式に加賀美あつこの入隊を、副総長であるオレがこの場で宣言する。お前達も異論は無いな」
『はい!』
他の聖龍隊士も変身怪獣に反論せず、アッコの入隊を快く受け入れる。
「それでは加賀美あつこ。ヒーロー名ミラーガール。本日をもって聖龍隊への加盟を認可する!」
「は、はい! 皆さん、まだまだ右も左も分からない不束者ですが、宜しくお願いします!」
戸惑いつつも皆からの温かい祝福と拍手を前に、アッコは聖龍隊の皆にお辞儀する。
アッコ本人が緊張する中、変身怪獣やその場の皆がアッコを快く聖龍隊に迎えてくれて、アッコも内心とても嬉しかった。
しかし修司は不安だった。元は英雄でも無かった加賀美あつこが何故スーパーヒロインに変身できるようになったのか。
そして自分が三次元人であることを知っている鏡の国の女王の考えは何なのか。修司は思い更ける。
「……おい修司、お前何一人で黙り込んじゃってるんだよ。本来なら総長であるお前が宣言を掛けなきゃいけないんだぜ」
一人黙り込み思い更けている修司を見て、変身怪獣が声を掛けた。
「ん……あ、ああ。それは済まない」
修司は重い腰を 上げてアッコや聖龍隊の方に歩み寄った。
そしてアッコに改めて入隊の事柄を述べる。
「ん……あ、アッコ」「ん? なに、修司」
笑顔で顔を向けたアッコに修司は内心戸惑いながらも述べた。
「あ、アッコ。一応は聖龍隊によく来たな。だが、お前に言っておくが英雄の活動なんて生半可なもんじゃ無いんだよ。時には命がけな事だって少なくは無いし、下手をすれば命を落とす事にもなる。更に迂闊に正体が明らかになると悪人からの逆恨みで自分を始め周りの知人や家族にも危害が及ぶ……お前はそんな英雄の世界に足を踏み入れるんだぞ、怖くは無いのか」
修司の質問に、アッコは微笑みながら答えた。
「……確かに、英雄の活動が命がけなのは私にだって分かるわ。だけど自分にしかない能力(ちから)で多くの人を救っていけるなんて素晴らしい事じゃない。私、女王様に言われて入るんじゃなく、自分の意思で聖龍隊に入って自分の能力でより多くの人の役に立てたいのよ」
「あ、アッコ……」
「それに、私前々から日常とは一味違うスリル満点の生活に憧れていたのよね」
そう平然と言うと、アッコは修司に向けてウィンクする。
と其処へ変身怪獣や他の男性陣が歩み寄ってきた。
「へへ、修司。そう堅苦しい事ばっかり言うんじゃ無えよ。まだ入隊したばっかりなんだからよ」
「な、何言っている。最初の内に言っておかなきゃ、この先の危険な状況下で戦って行く事は出来ないだろ! こう言うのは最初が肝心なんだよ」
すると変身怪獣に続き、トシも修司を冷やかす。
トシ「とか何とか言っちゃって、本当はアッコさんが聖龍隊に入って一番嬉しいんじゃないんですか?」
「と、トシ、それはどう言う事だ」
トシに続き、星夜も修司を茶化す。
「いやいや、アッコさんが心配なのは俺にも分かりますよ。俺も最初りりかがナースエンジェルに変身して戦うなんて知って以来不安で胸がいっぱいでしたからね」
星夜に続きソウシも修司をおちょくる。
「まっ、好きな女の子が危険な目に遭うのを怖がるのは通常な気持ちですので大丈夫ですよ修司さん」
「だ、だからな……アッコは好きとか嫌いとか、まして恋人とかじゃ無いって言っているだろうが…!!」
次第に怒りで顔が真っ赤に変化していく修司を見て、慌てて女性人達が宥めに来た。
「ちょ、ちょっとみんな! それ以上はストップ」
「ま、また修司さんがキレちゃうわ……」
「と、トシ、ソウシ。それ以上の発言はストップよ!」
レイやりりかにイサミが男子達を制止するも、そんな状態の修司を見てアッコが駆けつける。
「ちょっと修司! みんな怯えちゃっているじゃない、短気は止めなさいよ」
「うっ……ふぅ~……」
アッコに注意された修司の顔色は普通に戻っていく。それを見ていた面々は呆気に取られていた。
(あ、アレ? 修司さんの顔色が一瞬で戻っていった)
(なるほど、アッコさんに言われると感情が穏やかになるんだな)
(アッコちゃんを聖龍隊に入れておいた方が修司君の暴走も少なくなるかも)
(修司さん、アッコさんには弱いみたいね。フフッ)
(単純というかなんというか……)
各々に想うトシやソウシに、レイやりりかに星夜達が顔色を戻していく修司に注目する中、変身怪獣は溜息をついて呆れていた。
(……相変わらず、分かりやすい男だな)
[chapter:手渡されたアイテム]
そして皆で好き好きにお喋りをしている最中、ウッズが何かを持って登場した。
「は、ハァハァ……し、修司様。例の物が完成及び到着いたしましたよ」
「オオゥ、それは良かった。気長に待ち続けた甲斐が有ったぜ」
そしてウッズはテーブルの上に持ってきた物を広げた。その物とは、細い刃物だった。
「ん? 修司、これはいったい何なんだ?」
覗き込んで変身怪獣が訊ねると、修司は真顔で答える。
「ああ、これは俺が前々から特注で頼んでおいた、俺専用のナイフだ」
すると他の面々も修司に訊ねて来た。
「何だか手術用のメスに形が似ているわね」
「ああ、この形状の方が空気抵抗が減らせるから相手に素早く投げつける事ができるんだよ」
「え、ええ! あ、相手に投げつけるって……」
ナイフを凝視する亜美に答える修司の返答を聞いて一驚するまこと達に修司は淡々と説明する。
「ああ。ただ敵を斬り付けるだけじゃアレだし、同時に飛び道具としても使おうと思ってな。極力空気抵抗のない形状に仕上げさせたんだよ」
「な、投げつけるって……」
「ああ、ダーツみたいに相手に投げつけるんだよ」
戸惑う星夜に修司が答えると、変身怪獣が呆れて言う。
「お前って、ホント武器とかそういった類が好きだな」
「ああ、俺って昔から収集するのが好きでな」
『………………』
微笑しながら発言する修司に、思わず沈黙してしまう一同。
するとそんな武器蒐集を趣味にする修司に呆然とする一同を前に、ウッズがアッコに問い掛ける。
「……あ、そ、そうでした。アッコさん、貴女のそのコンパクト少し貸してくれませんか」
「え? わ、私のコンパクトをですか?」
「はい、アッコさんのコンパクトにも通信機を取り付けて自由に連絡が取れるようにしたいので」
このウッズの報告に、アッコは喜びの表情を見せた。
「わぁ、ありがとうございます。今までは鏡を通して街の様子を見る事しかできなかったんですが、これで私も聖龍隊のみんなと連絡が取れるようになるんですね」
アッコは迷う事無くコンパクトをウッズに手渡した。
「ウッズさん、後はお願いしますね」
「はい、確かにお預かりしました。なるべくスグ返せるよう素早く調整いたしますね」
ウッズは手渡されたコンパクトを白衣のポケットに入れると、次にチョーカーの様な物を取りだして公開する。
「ん? ウッズ、それはまさか……」
「はい、此方も何とか完成しました」
ウッズが取りだしたチョーカーを凝視して訊ねる修司。ウッズが公開したそれは何と以前聖羅が身に着けていた空中元素固定装置と酷似していた。
「! う、ウッズさん、それは……」
「そ、それは私が身に着けていたのと同じ……!」
驚くハニー姉妹に、ウッズが話した。
「はい、此方は貴女方のお父様である如月博士が遺してくれたデータを基に復元した空中元素固定装置です」
「で、でも何故、聖羅の消滅した装置をわざわざ復元なんか……」
ハニーが訊ねると、ウッズは驚愕の事実を告げた。
「……実を言うと、聖羅さん。貴女の以前の装置は、貴女の肉体にかなりの負担を掛けていた事が判明したんです」
「わ、私の体に負担……」
「はい、更に負担だけでなく、貴女自身の寿命までも削っていた事が判明したんですよ」
「な、何ですって!」「そ、そんな……」
ウッズの告発に、ハニーは驚き聖羅は顔を蒼くした。
そんな姉妹を前に、ウッズは説き続ける。
「聖羅さん、以前の戦闘終了後、此処の施設で精密検査を行いましたよね。その時に判明したんです。ただ、不思議と減少していた寿命が元に戻っていたのに私や修司様は驚きました」
ウッズに続き、修司も述べた。
「ああ、あの時治癒能力しかお前に施していなかったのに、何故減少していた寿命までも回復したのか、俺やウッズにも理解不能なんだがな」
「まぁ、これは私の推測ですが、もしかしたらアッコさ……いやミラーガールの想いを増幅する能力の御蔭で肉体のダメージだけでなく減少していた寿命までも回復したんじゃないでしょうか」
「そ、それじゃ、私が今も生き続けていられるのは……」
驚く聖羅にウッズは述べた。
「えぇ。アッコさんの能力の賜って事ですよ」
「い、いや……たまたまですよ」
ウッズの説明を聞いたアッコは顔を赤く照らしていた。
「ま、まぁ、それでだな。もしかしたら一時的に寿命が回復しているだけかもしれないから、聖羅が今まで通り生き続けられるよう肉体や寿命の回復に繋げる為の装置を開発したんだよ」
「いやぁ、さすが如月博士ですよ。データを密かに私に託してくれていて、それを基に装置を復元する事ができたんです」
「まぁ、以前の聖羅の装置と比べるとかなり出来が悪いが、寿命が減ったりと肉体的に負担が掛かる事だけは無いから安心しろ」
ウッズや修司の説明を聞き、早見青児が二人に訊ねる。
「な、なぁ。ま、まさか聖羅にまた変身して戦えって言うんじゃないだろうな?」
その質問に、修司が真剣な顔で答えた。
「いいや、さっきもアッコに対して言ったと思うが、戦う意思のない者は余り戦わせたく無いんだよ。まぁ、戦力が不十分な時には手を貸してくれれば嬉しいんだが……」
その修司の発言を聞き、聖羅が発した。
「……修司君、いいえ総隊長! 私もみんなと一緒に戦わせてもらいます!」
「な、なに?」「せ、聖羅!」
聖羅の発言に驚く姉のハニーに早見青児。そして修司が聖羅に訊ねる。
「ほほう、そりゃまた何で?」
すると聖羅は真剣な面持ちで答えた。
「……私は今まで、姉さんと違いこの力を豹の爪(パンサークロー)の為に、そして悪事に加担させられる為に利用されてきました。しかし、利用されていたとしても結局は自らが犯した罪には違いありません。私はこれからみんなと共生していく為にも自分を変えていきたいんです。いえ、何より自分自身の為に変わっていきたいんです。その為にも聖龍隊の一員になって、一から頑張りたいんです!」
聖羅の力強い発言に、修司は満足気な表情で言い放った。
「……ニッ、そうか。自分を変える為にも一から頑張りたいって訳なんだな……よぉし、分かった! 葉月聖羅、お前も俺等の仲間に加わって良し!」
「あ、ありがとうございます!」
歓喜する聖羅に、ハニーは話しかけた。
「せ、聖羅良いの? 折角命が助かって、危険な目に遭う事もなくなったって言うのに……」
戸惑う姉ハニーに対して聖羅はこう言い返した。
「……私、アッコちゃんや姉さんに助けられて、少しは人の愛という物を感じられた。だけど私の中ではまだ完全に愛という感情がどの様な物なのか上手く実感できないの……だから聖龍隊のみんなと少しでも一緒に居て、愛という感情を少しでも早く理解していきたいの」
「せ、聖羅……」
ハニーは何も言えなかった。聖羅は生まれた時から豹の爪(パンサークロー)に育てられ、意図的に憎悪の権化として教育・洗脳され、人の愛という物を感じることなく過ごしてきた彼女に、ハニーは何も言い返せなかったのだ。
そんな聖羅を見て、修司は人知れず思っていた。
(……自分を変える為に、自ら厳しい運命を選ぶ、か……何だか昔の自分を見ているみたいだな)
そんな修司に聖龍隊のレイとまことが質問する。
「……それにしても修司君。聖羅さんのチョーカーもそうだけど、貴方のナイフにも施されているこのマークは何なの?」
「あ、ホントだ。何か漢字の《虫》って字みたいだけど……」
二人の質問に、慌てるように修司が答えた。
「あ、ああ。そ、それはウチ等と内密的に協力してくれている、あるグループの紋章なんだよ」
「へぇ~」「そんなグループがあったのね」
初耳の情報に、美奈子も亜美も唖然とする。
「それにしても、余り見た事のないマークだな」
「うちの会社に関係のある企業のマークとも違いますし……」
「それに、この虫ってマーク……」
「面白い字よね、虫の空間の部分にまるで目みたいに点が付いてるわ」
ジロジロとナイフに施されている虫のマークを見続ける小狼に知世そして凝視するデューイにりりか達に、修司は焦りながら告げた。
「あ、ああ、お前等。これからちょっと射撃場にみんなで行きながら、聖羅やアッコに此処の施設の説明をするから一緒に付いて来てくれ」
「あっ、は~い」
まことが返事すると、皆はナイフをテーブルに置き、修司はそのナイフを数十本懐にしまい込み射撃場に向かって行った。
(……ふぅ~。まさか協力グループに付いてコイツ等に話す訳にもいかないしなぁ)
(さ、さてと。私は手塚アイランドに電話して、お茶の水博士と連絡を取らないと)
皆と共に同行する修司、その一方でウッズは一人別室に赴いて電話をしようと移行する。
漢字の虫を基にしたそのマークこと紋章。
その紋章は二次元人には全く無知の領域である紋章であったが、逆に三次元人なら修司だけでなく、ほぼ全ての人間が熟知している、神と呼ばれた人物の遺した紋章である事にこの時の聖龍隊士は誰も既知していなかった。
[射撃場にて]
そして修司は、アッコや聖羅に施設の説明をしながら射撃場に辿りついていた。
「……そんでもって、此処が射撃場だ。どうだ、警察組織が使用している射撃場と瓜二つだろう」
確かに其処の射撃場は、警察官やプロの人間が使っていそうな程、設備の整った射撃場だった。
「わぁ、すっご~い」「こ、こんな施設も有ったんですね」
驚くアッコやソウシたち一部の隊員。しかしそれ以外の隊員が問い掛ける。
「なぁ修司。何で射撃場まで作っているんだ? 別に僕たち飛び道具で戦う訳じゃないのに……」
「わ、私たちの技にはいくつか遠距離型の技は有るけど、何もこんな射撃場まで作る必要は無い様な……」
デューイやレイの疑問に、修司は不敵に呟いた。
「ふっふ。何もお前達だけで使う施設じゃないだろ? 此処は銃火器やそれらの技や道具を使って訓練する為の施設でもあるんだよ」
「へ? と、と言うと?」
変身怪獣が首を傾げると、修司は自慢げに語る。
「ああ、俺もたまに此処で銃とか使っているし、それに……」
と、此処で修司は徐に先ほど懐にしまったナイフを取り出した。
「ん? そ、それは……」「ああ、これをだな。こうして」
衛が訊ねる中、修司は右手でナイフを親指で抑え込む持ち方で構え、ナイフを投擲した。
すると10mは離れている人型の的に、しかも頭部のド真中に命中させた。
「す、スゲエ!」「あ、あんなに離れているのに一発で……!」
星夜やトシ達が驚いている中、修司は更に続けてナイフを連続で投擲する。
「う、うわぁ……」「す、凄い……五発連続で全部命中……」
小狼や苺鈴達が驚く中、イサミが修司に訊ねる。
「ね、ねぇ修司さん。そのナイフの持ち方、何だか独特ね」
「ん? ああ、これは棒手裏剣の持ち方と同じなんだ。これなら素早く、そして的確に目標に投げつける事ができるんだよ」
「え? ぼ、棒手裏剣って……?」
困惑するソウシ、すると其処に電話を終えたウッズが射撃場に入室して説明に入った。
「棒手裏剣と言うのは昔、忍者が使っていた武器の一つですよ。先端が尖っている鉛筆程の太さの鉄製の棒で、それを親指で掌に挟み込む要領で構え、それで相手に投げつけるんですよ」
するとウッズの説明に続き、修司も並々ならぬ殺気を立てて説く。
「まぁ、俺はただ相手に投げつけるだけでなく、これを普通に持って相手の首元を切裂いて攻撃するのも有りかと思っている……」
只ならぬ殺気に満ちた表情で語る修司を見て、その場の皆が背筋に寒気を感じた。一人を除いて。
「修司、みんなが怖がっているじゃない。そんな表情で語るのは止めなさいよ」
「イッ……テーー……」
アッコは咄嗟に修司の頭に軽く空手チョップを喰らわした。
『………………』
皆、アッコの修司へのツッコミに内心驚いた。
と、その時、地場衛が修司に訊ねてきた。
「おい、修司。この部屋はいったい何なんだ?」
衛が指差した部屋のドアには【危険物注意】のステッカーが貼ってあった。
「あ、ああ……其処は武器庫だ。多種多様な銃火器が保管されているから迂闊に入るんじゃないぞ」
『え!!』
修司の発言に、皆は目を丸くして驚愕する。
「ホントに危険な部屋だから、その類の部屋にはIDカードを使わなきゃ入れないけどな……」
「そう言えば修司。この地下施設には所々、こんな武器庫が点在しているんだったよな」
「ああ、いくらなんでも一ヶ所にまとめて置いておいたら危ないからな。一応、内部からの爆発にも耐えられるような構造にはしているが……」
修司と変身怪獣。二人の会話を聞き、全員言葉を失ったという。
[英雄による経済効果]
そして再びメインフロアに戻り、アッコと聖羅、更に地場衛と早見青児と談話した。
「……それで、まずは地場衛。そして早見青児。お前達はどうする? 俺的にはお前達も聖龍隊に加わって俺等に協力して欲しいと願っているんだが……」
すると二人は皆を前に返答する。
「……まぁ、俺もセーラー戦士とはこれから協力し合うって決めたし、その彼女等が信頼している聖龍隊となら一緒に行動しても構わないと思っている」
「俺もだ。正直、豹の爪(パンサークロー)とはまだ決着がついてない。この先も奴等の横暴を止める為にも、俺もみんなに力を貸して行きたいと思っている。そんな訳でみんな、宜しく頼む」
そう告げて、衛と青児はみんなに頭を下げて一礼を述べる。
「……よし、これで地場衛と早見青児の仲間入りも決定したな」
「ああ、これで一気に聖龍隊も活気が付くだろうな」
修司も変身怪獣も二人の入隊を認知して心強い思いに至る。
こうして早見青児と地場衛の仲間入りを喜んでいる最中、修司が言い放った。
「よし、この際だ。アッコ、聖羅。お前達二人に教えて置く事が有る」
「え?」「な、なに? 教えて置く事って……」
修司の言葉に、聖羅とアッコがきょとんとしてると、修司は堂々と公言する。
「うむ。それは俺たち聖龍隊が、いや英雄が街にもたらす経済効果についてだ」
「「け、経済効果?」」
驚く二人に、修司は更に説明し続けた。
「うむ。一応、聖龍隊の活動資金は何とかなっているんだが、いつ何時、資金が底をつくか解らない。其処でアニメタウンの市長である俺は英雄関連のグッズを積極的に生みだし、そしてそれ等を売買する事によって資金を貯蓄している訳なんだよ」
「な、何ですって!?」
「そ、それじゃ街で売っているヒーローやヒロインのグッズの発売元は、ほとんど修司な訳?」
一驚する聖羅に、訊き返すアッコに修司は皆へ公言する。
「まあな。そのグッズの売上金を今後の聖龍隊の活動資金として蓄えておきながら、同時に災害などの援助金としても使用できるようにしてあるんだよ」
「ほ、ほええぇ……」「そ、其処まで修司さんは活動していたのか……」
驚くさくらにトシ達を前に、続いて変身怪獣も述べた。
「あっ、そうそう。因みにグッズの開発・販売に協力してくれている企業グループの一つは、知世の大道寺グループなんだぞ」
「はい♡皆さんのコスチュームは私が随時カメラに記録していて、それをウッズさんに頼んで拡大、引き延ばししてもらって、それを基にグッズを作っているんですよ」
変身怪獣の紹介で、笑顔で話す知世についてアッコが疑問視する。
「え? 知世ちゃんの家って……」
そんなアッコに修司が答えた。
「ああ、知世は大手おもちゃ会社の令嬢なんだよ。一応、知世とは一族ぐるみで関わっているんだ」
「そ、そうだったの……」
「ふふ、これからもどうぞ御贔屓に♡」
修司の説明に唖然とするアッコに、知世は笑顔で挨拶する。
そして修司は更に語り続けた。
「そうそう。アッコ、それに聖羅。お前達も一から英雄を始めるんだったら、まずは決め台詞を決めておかないとな」
「き、決め台詞?」「あっ、そうね。やっぱヒーローには決め台詞が無くっちゃ♪」
戸惑う聖羅に反してノリノリで話を聞くアッコ。
「まぁ、聖羅の台詞なんだが、これは前の戦闘の時アッコがミラーガールの姿でミスティーハニーに変身した際放った台詞で良いか?」
「ど、どんな台詞をアッコちゃんは言ったの?」
「うん、それはだ……」
聖羅が戸惑う中、修司はホワイトボードを持って来て、大きくその時の台詞を書いた。
「【真実と運命を抱く女! ミスティーハニー!】に続いて【悲しみを乗り越え、乙女は変わる!】の二つの台詞を連続で言い放つんだ」
「あ、ああ……」
顔を真っ赤にして恥ずかしがる聖羅に、アッコが謝罪する。
「……あ、あの聖羅さん。す、すいません、あの時は遂その場の勢いで言っちゃって……」
そんなアッコも聖羅同様に顔を赤くさせていた。
「……続いて、これはミラーガールだな。……って言うか、ミスティーハニーの台詞同様、アッコ本人が考えた台詞だがな」
修司は顎をしゃくらせながら言い放ち、そしてホワイトボードに書いた。
「【愛と希望を聖なる鏡で護り抜く! 奇跡の乙女、ミラーガール!! 只今参上】…だったよな、ミラーガール」
そう言いながら修司はアッコの方を向いた。
「……は、はい。間違いないです」
アッコは今までにないまでに顔を赤くさせていた。
『………………』
「……ま、まぁ。一応ヒーローに台詞が無いと締まらねえもんな、は、ハハハ」
冷や汗をかく皆と同様、変身怪獣は苦笑いしていた。
すると此処で修司が更に話したい事があると告げる。
「あっ、そうそう。この際ついでに言っておきたい事が」
「え? まだ何か有る訳なの?」
レイが訊ねると修司は真剣に問い掛ける。
「ああ。以前からセーラー戦士にキューティーハニー、そして新たに加わったミスティーハニーに訊ねたい。お前等のコスチュームって装着した後、変身を解除せずに脱ぎ取る事は可能なのか?」
「え、ええ!?」「き、急に何を言い出すの?」
修司の発言に驚くレイや亜美らセーラー戦士達にハニー姉妹。其処に間を割って変身怪獣が訊ねる。
「あ、相棒……ま、まさかそのコスチュームで、な、なんかする訳。は、ハァハァ……」
荒い息使いで欲情する変身怪獣を見て、修司は眼光鋭くさせて睨み付ける。
「お前は何を考えていやがるんだ、アアァン?」
その修司の表情を見て、一同は背筋の悪寒が走った。
「し、修司さん。そんなに怒らなくても……」
「な、なんで私たちのコスチュームを脱ぎ取る必要が有るの……?」
イサミやまことが怯えながら修司に訊ねてみると、彼は真剣に答える。
「うむ。コスチュームについてはウッズに頼んで改良してもらおうかと思っているんだよ」
「え? 改良?」美奈子「改良って、もっと丈夫にするって事?」
ハニーに美奈子が不思議がる中、修司は説き続けた。
「ああ。素材の改良、つまり丈夫な素材にするのも考えてはいるんだが……俺はそれ以外に手を加えたいと思っている個所が有るんだよ」
「な、なに? その個所ってのは……」
うさぎの疑問に、修司は返答する。
「ああ、それはだな……」
すると、修司の口から衝撃の言葉が飛び出た。
[あるべき英雄のイメージ]
「前々から言おうと思っていたんだが、お前達のコスチューム………………無駄に露出が多くね?」
『ガァーーッン……!!』
修司に冷めた顔で言われ、思わず固まるセーラー戦士達とハニー姉妹。
「お前達、あんな露出の派手な格好で戦って恥ずかしくないのか? 俺は一緒に戦いながら感じてたけど、凄く恥ずいよ」
『ウっ……』
修司に指摘され、何も言えなくなる女性達。
そんな女性達に修司は更に吐き捨てる。
「お前等な、俺たちは街の治安を護る健全な英雄集団なんだぞ。そんなハレンチな格好は正直止めて欲しいぜ」
「そ、それじゃあ修司君は私たちの何処の個所を直せば良いって思っているの?」
レイに訊ねられた修司は真剣に答えた。
「もちろんセーラー戦士はあの短すぎるスカート、そしてハニー姉妹は各々露出している個所を徹底的に無くさねえといけねえだろ!」
指摘していく修司に対し、変身怪獣が指摘し返す。
「で、でもよ相棒。ヒロイン達のコスチューム変えるたって其処までしなくても良いんじゃねえか?」
変身怪獣に続いて地場衛と早見青児も申した。
「そ、そうだぜ。あ、あのコスチュームは前世から変わらない伝統的なコスチュームなんだぞ。それを態々変える事は無いと思うが……」
「お、俺もそう思う。今まであのコスチュームでもちゃんと戦えていたし、今改めてスーツを変更する必要は無いと思うんだが……」
そんな三人に修司は告げる。
「……あのな。そもそも俺が考えている英雄のイメージってのは清楚で純潔、そして何よりも正義と平和の象徴だと考えているんだよ。でも正義の象徴が露出の多い恰好だなんて可笑しいと思わないか?」
この修司の発言に美奈子が言い返す。
「そ、それじゃ私達以外のヒロイン。さくらちゃんやナースエンジェル、それにミラーガールはどうなのよ?」
これに修司は言い返した。
「何言っていやがる。さくらやナースエンジェルのコスチュームなんて、お前等のと比べたら遥かに露出なんて無えだろ。ミラーガールのコスチュームだってそんなの無いし、お前等だけなんだよ露出の激しい輩は」
やや立腹する修司は話し続ける。
「お前等もナースエンジェルやミラーガール見習って露出の少ないコスチュームに変更しやがれよ。特にセーラー戦士、お前等のミニスカが一番の問題だ。ミラーガールのスカートを思い出しやがれ。長すぎず短すぎず、露出を抑えたコスチュームじゃねえか。あれこそ真のヒロインのコスチュームと言っても過言じゃねえよ」
修司のこの発言に変怪獣が呟いた。
「やれやれ、彼女自慢か」「なんか言ったか」
思わず修司が変身怪獣を睨みつける。
「い、いや……で、でもよ修司。オレは無理してコスチュームを変えなくても良いと思うんだが、お前は何がそんなに気に食わないんだ?」
すると修司は顔を赤くしながら呟いた。
「だ、だって……だってよ。ふ、普通に戦いながら、その、ぱ、ぱんち……ぱ、ぱ……」
修司は今にも火が噴きそうなくらい顔を赤くしていた。そんな修司の言動と表情を見て、変身怪獣が言った。
「なるほど。お前はセーラー戦士が戦いながらパンチラ見せつけているのが気になる訳か」
「!」『!』「し、修司!?」
一驚する修司にセーラー戦士達にアッコ。そんな面々に修司は困惑しながら言い放った。
「だ……だって、良く考えろ! 敵と戦いながらそんな物見せつけて、見せつけている本人以上に側で一緒に戦っている俺等の方が恥ずかしいだろ! 常識的に考えて言っているだけだ!」
顔を真っ赤にして言う修司に、レイが少し照れながら語った。
「あ、あのね修司君。あ、アレは一応レオタードであって下着じゃないのよ……」
しかし、その説明を聞いた修司は思わず反論する。
「な、何言っていやがる! そんなの見ている人間にとっては差して変わりねえだろうが!! お、お前達、滅茶苦茶パンチラしているのを人様に見せつけて恥ずかしくないのか!?」
最早、炎が吹き出しそうなぐらい修司の顔は真赤になっていた。
その時、再び変身怪獣が修司に話しかける。
「しかしだな相棒、敢えて言わせてもらうがな……」
「ああん?」
「パンチラはな………………男のロマンなんだ!」
「……キッ、シャアアアアアア!」
変身怪獣のドヤ顔での発言を聞いた修司は発狂。そして変身怪獣を押し倒し、その上に跨ぐと同時に両手にメリケンサックを嵌め変身怪獣を何度も殴りつけた。
「ぎゃああ、や、止めてくれ修司、グワッ、ぶべっ……」
『………………』『………………』「……し、修司……』
セーラー戦士達も他の皆も、そしてアッコも、全員が修司が変身怪獣を徹底的に痛め付ける惨状を見て血の気が引いていく。
「あ、あの……これ、止めた方が良いんじゃ……」
小狼が蒼褪めながら発した。
「で、でも修司君を止めるのは勇気がいると思うんだけど……」
同じく顔を蒼褪めた加納が述べ返す。
「な、なぁ、変身怪獣さん、何だか原形無くなって来ている様な……」
「あ、あぁ……も、もうこれって……」
「……肉の塊」『ハッ』
蒼褪めるトシとソウシの発言に、冷めた顔付きで言い放つデューイの言葉に皆がハッとした。
「に、肉の塊って……」「え、ええ……」
蒼然とするイサミや亜美たち皆の脳内に浮かんだのは、例の河原の一件で成り果てたケトーの末路だった。
「修司様お止め下さい! 皆さん怖がっていますよ~」
「そ、それ以前に、いくら何でも変身怪獣殴り過ぎだろ!」
慌ててウッズとウェルズが二人掛かりで修司を制止する。
「ハァハァハァ……こ、この野郎が……」
怒りの形相で、修司は殴り続けた変身怪獣を睨みつけた。
「お、お前そんなに怒るなよ。俺は一般の男の考えを、の、述べただけだぞ……」
「……まだ言うか」
未だに態度を改めない変身怪獣を睨み付ける修司の形相を見て、小狼やソウシ達が涙目で行動する。
「ヒィィ~! し、修司さん!」
「変身怪獣! もうこれ以上何も言わないで!!」
小狼とソウシも、ウッズやウェルズ同様に修司の体を抑え込んだ。
この時、他の男共は内心こう思っていた。
(へ、変身怪獣さんも時と場所を考えて言えば良いものを……)
(だ、だけど言わなくて良かった。俺も同じ考えだった……)
(い、言っちゃなんだけど、やっぱりハニーのコスチュームは、あのままの方が……)
(へ、へへ。りりかには悪いけど、うさぎさん達やハニーさん達のコスチュームって目の保養になるんだよな)
呆れるトシに、本音を心中にだけ思う衛や青児に星夜達。
もし、彼等も自分の考えを口にしていたら、恐らく変身怪獣と同じ目に遭っていただろう。
[これからの人生]
そして修司の感情が落ち着いてから、再び談話に戻った。
「……はぁ。ところで聖羅、お前達に聞きたい事が有るんだが」
「えっ? な、何なの?」
恐る恐る訊き返す聖羅に修司は答えた。
「……お前はこれからどうするつもりだ? 豹の爪(パンサークロー)から抜け出して来れたのは良いが、この先の日常生活はどうする気なんだ?」
「そ、それは……まだ考えていません」
思わず下を向いて話す聖羅を見て、修司が提案する。
「そうか。それじゃ聖羅、今まで通りお前は聖チャペル学園の生徒として過ごして行けば良いんじゃないのか?」
「え? い、今まで通り学園の生徒として過ごしても良いの?」
「何か不満か?」「あっ、い、いいえ、その……」
すると聖羅は重い表情で語った。
「ぱ、パンサークローの一員であった私が……人で無かった私が、学園のみんなと一緒に居て良いのかどうか……」
「せ、聖羅……」「聖羅さん……」
聖羅の本音を聞いてハニーもアッコも心が痛くなる。
そんな聖羅に修司が言い放った。
「何言ってるんだ。お前もハニー同様、俺等と変わらねえ仲間じゃねえか。学園の連中だってそれは同じだと俺は思うぜ。豹の爪(パンサークロー)の一員だって事も、お前はさっき自分からその罪を悔いる為にも、自分自身を変えていきたいって思ったんだろう? だったら先ずは学園で変わらない生活を送りながら、人としての生活を経験していかなきゃいけないと思うぜ」
修司の発言を聞き、姉のハニーとアッコも聖羅に言った。
「そうよ聖羅。私も今まで通り、いいえ、今まで以上に貴女と過ごして行きたいわ。そう、今まで一緒に過ごせなかった分を取り戻すためにも、また学園で一緒に生活していきましょう」
「ね、姉さん……」
「そうよ聖羅さん。昔の事はともかく、これから先をどう過ごして行けば良いのかが大事ですよ。昔は昔、今は今です」
「あ、アッコちゃん」
笑顔で自分の不安を拭ってくれる姉のハニーにアッコを見て、聖羅は目に涙を浮かべて歓喜した。
更に他の面々も聖羅に述べる。
「そうだ聖羅。大事なのはこれからだぜ」
「この先の未来をどう生きるか。それで全てが決まる」
青児や衛に続き、レイや美奈子も続く。
「そうですよ聖羅さん」
「昔の事は考えず、今まで以上に人生を楽しめば良いんですよ♪」
更にまことや亜美にうさぎも聖羅を励ます。
「悪事に加担させられた事や人で無かった事、それに父親を亡くしてしまって辛い今だからこそ、それを乗り越えて今まで以上に力強く生きていけば大丈夫ですって」
「まこちゃんの言うとおりです。過去はともあれ、これからの人生を大切に生きていく事が大事だと、私は思います」
「そーーだよ聖羅さん♪これからの人生が聖羅さんにとって本当に素晴らしい人生になるんだってば」
さくら、りりかにイサミも聖羅に声援を送る。
「聖羅さん、これから先も一緒に頑張っていきましょうよ」
「私たちはいつでも聖羅さんの味方ですからね」
「そうです! 今までの人生こそが偽りだっただけです。これから正真正銘、明るくそして元気に生きていける人生のスタートなんですよ」
「み、みんな……ありがとう!」
聖羅は泣きながら、みんなに礼を述べた
「そうそう。それに元悪人なら此処にも居るし……なっ」
そう言いながら星夜はデューイの方に視線を向ける。
「い、言うなよ……それに元悪人ならカノンだって同じだろ?」
「は、はは・・…た、確かに、いくら洗脳されていたからと言っても、結局悪人だった事には違いないからね……」
加納は苦笑しながら答えた。
「……ふぅ、それでアッコ。お前の方だが」「え? わ、私の方って……?」
修司の突然の問い掛けに戸惑うアッコに、修司は問い掛ける。
「ああ、お前はこれから英雄として今まで以上に普段の生活と英雄としての活動、二つを両立させていかなければいけないんだぞ。其処は分かっているのか?」
「あ、あぁ……だ、大丈夫よ。今までも何とか誤魔化して来られたんだし、この先も何とかしていくわ。それに……」
「それに?」
修司がアッコを凝視してると、次の瞬間アッコは修司が驚く発言を口に出した。
「……私、修司と一緒に過ごせるなら、何が有っても大丈夫な気がするの」
満面の笑みで言う「アッコに、修司は心臓が止まる程の衝撃を感じた。
このアッコの発言を聞いた他の面々は各々内心に想う。
(フフフ、何だかんだ言いながらアッコちゃんと修司君って上手く行っているじゃない♡)
(あぁ~、私もあんな台詞を言える殿方に出会いたい……)
(見せつけちゃってくれるじゃない、あの二人…・・)
(やっぱり修司君、アッコちゃんの事……)
(アッコちゃんって、何気に相手だけでなく周りの人も明るくしてくれる事言うのね)
修司とアッコの関係を色恋と一括りに捉えるうさぎに美奈子、レイに亜美にまこと達。
(アッコさんと一緒に居る時の修司さん、何だか幸せそうだなぁ)
(普段から暗い雰囲気のある修司さんが、こんなにも明るくなるなんて)
(これも、アッコさんの影響なのかな……)
アッコと一緒にいる時の修司が普段の時より変化があると察するさくらにりりかにイサミ。
(修司君、それにアッコちゃん。これからも聖羅共々、宜しくね)
(アッコちゃんのあの笑顔、これから先も眺めていきたいな……)
(あの加賀美あつこと一緒に居る時の修司からは、強大な闇の心の気配が薄まっているな……)
ハニー姉妹が和やかな雰囲気に浸っている中、変身怪獣は修司の心から感じられる闇の気配が薄まっていることを不思議に思っていた。
[仲間の契り]
「皆さーん、修司様に言われて飲み物をお持ちしましたので、どうぞお飲みになってください」
皆と談話している最中、ウッズが飲み物を運んで来てくれた。
「おっ、丁度良いや。お前達、一人ずつコップを取って乾杯すっぞ」
「おっ、良いねぇ」「わぁ、楽しそう♪」
修司の掛け声を切っ掛けに、変身怪獣やアッコたち全員がコップにジュースを注ぎ、手に持った。
「……本当なら酒の方が良いんだけどよ」
思わず愚痴を零すウェルズに修司は言い放つ。
「カァーーっ、我等聖龍隊は禁酒・禁煙が絶対なのだ! これを破るのであれば斬滅するぞ!!」
「斬滅って、何のコッチャ??」
修司の発言に変身怪獣が困惑する中、ウッズが進行する。
「ま、まぁまぁ。それじゃあ皆さん宜しいですか?」
「はーーい♪」「何時でも大丈夫でーーす」
ウッズに応えるうさぎとイサミ達を視認して、修司が進行役を取り持った。
「良し……ゴッホン、それではこれより、この場にて聖龍隊、仲間の契りを此処に交わす! 異存は無いな、諸君!!」
『はい!』
「それでは、今この時より、この場に居る者は全て、この小田原修司の下に集まりし聖龍隊同志である事を祝い、そして宣言する!」
修司の宣言に続き、変身怪獣が皆に号令する。
「よ~し、それじゃみんな……」
『かんぱ~い!!』
全員それぞれ仲間である事を喜び祝い、そして仲間としての契りを固く結ぶ契の儀式を交わしあった。
そして乾杯した後、それぞれ和やかに騒がしくお喋りをしていた時だった。
修司に早見青児と地場衛が歩み寄る。
「なぁ、小田原修司」「ん? 何だいお二人さん」
衛の声に修司が反応すると、早見青児が衛共々修司に話す。
「お前に言っておきたい事が有るんだが」「ん?」
「俺達もこれからは成るべく聖龍隊に協力していこうと思っている」
「だがな、その前にまだしておかなきゃいけない事が有るんだよ」
「な、何だ、それは?」
何かを思いつめた表情で修司に話しかける衛と青児。
すると二人は修司に各々封書を差し出した。封書には【請求書】と記載されてた。
「……これは?」
修司が聞くと二人は笑顔で告げた。
「……忘れたとは言わせないぜ」「お前が俺達にした事」
「……ナンノコト?☆」
お茶らけた表情で修司が訊き返すと、今まで笑顔に怒りの感情を上乗せしてただけの二人が豹変して修司を怒鳴り付ける。
すると二人はブチギレながら怒鳴った。
「……フザケテンじぇねえぞ!!」
「テメエ! この前河原で俺等にした事忘れやがったのか!!」
衛と青児の怒り様に、修司は思い出したかのように手打ちした。
「河原……………あっ、そういやそうだったね☆」
「完全に忘れてたようだな……!」
「あん時殴られて、骨まで罅が入っていたんだぞ!」
「「そん時、生じた治療費! しっかり払ってもらおうか!!」」
激怒しまくって叫ぶ衛と青児。すると修司は。
「……えいっ」
足もとに煙玉を投げつけ煙幕を張った。
「て、煙幕って!」「お前は忍者か!」
衛と青児が気付いた時には、修司の姿は何処にもなかった。
「あ、あの野郎逃げやがったな!」「何処行きやがった、クソ修司!」
衛と青児はそのまま、修司を探しながら地下通路の奥まで行ってしまう。
「ま、まもちゃん」「せ、青児さん……」
「あの二人、完全に人格崩壊していたね」
「は、ははは……(あ~あ、修司様と関わったキャラクターって何でこう人格崩壊してばっかなんでしょうね)」
豹変した二人を見て、うさぎとハニーが冷や汗を流す一方でデューイとウッズは呆然としていた。
そんな情景を見ていたアッコは思わず呟く。
「……まさか。修司があんな表情をするなんて」
「え? アッコさん……」「あ、あんな表情って……」
アッコの発言に驚くりりかやさくら達。するとアッコは寂しげな表情で打ち明けた。
「……修司って学校とか私の前では、ほとんど表情を見せる事が無いの。いつも無表情で何を考えているか分からない顔で過ごしているの……」
「そ、そうなの?」「い、いつも私たちの前では結構感情豊かなんだけど……」
アッコの話を聞いて驚くレイヤ美奈子たちに、アッコは話し続ける。
「だけど今まで私や周りの同級生には、ほとんど笑った顔を見せてくれた事が無いんです。いつだって自分の気持ちを素直に伝えてくれないでいるんです……私、時折そんな修司が心配でならなくて」
「あ、アッコちゃん……」
アッコの悲痛な思いを前にハニーも重い表情を浮かべる中、アッコは自分の願いを素直に打ち明ける。
「私、少しでも修司の力になってあげたいし、修司が少しでも明るく生きていければ良いなと、そう願っているんです……」
修司に対して健気に願うアッコの想いを聞き、女子たちは心の底からアッコの悩みが少しでも消えてくれれば良いと、そう思った。
そんな重たい空気の中、ふと変身怪獣が零した。
「……ところで、あの二人を追わなくて良いのか? 言っちゃなんだが、地下通路は結構複雑で、迷う可能性が高いんだぞ」
『……えええぇぇ!?』
それから三時間後、地下通路で迷ってしまい体力が消耗しきった地場衛と早見青児は無事に保護されたと言う。