さらに偶然にも知ってしまった1部のセーラー戦士の秘密…
[声の正体]
「クックック……お前の本心はとてもとても薄暗い、まるで正真正銘の闇だ。純粋な闇だからこそ俺でもお前の真意を完全には読めない……しかし、お前が誰かを護りたいと願っているのはその人間のためだけでないのは事実だろ……」
「……まるで俺の心を見透かしているみたいな言い草だな。いや、実際にそんな能力があると聞いた事がある。確かテレパス、通称《テレパシー》か……?」
「フッフッフ……まさしくその通り、オレには嘘偽りは効かねえぜ」
「解った、俺もお前には嘘偽りは話さない。そのかわり姿を見せてじかに話さないか。俺はお前に興味が湧いてきた……」
「フンッ、まぁ良いだろう。観念して自分の本音をさらけ出す人間も珍しいしな」
木の上から飛び降りてきたその男は、褐色の肌色、足の爪は3本、指の数は五本、両腕から両足にかけて翼がありそして頭部は三角形に近い形状をしていた。まるで映画ガメラに出てくる怪鳥ギャオスの生き写しみたいなやつだった。
「ほ~う、オレを見ても逃げないのか……」
その怪人はしっかりと人語を話していた。
「お、俺は修司。小田原修司だ……お前の名は何て言うんだ?」
「オイオイ、オレにテレパスがあるんだから自己紹介なんて無意味だって解っているだろ?」
「いや、相手がどんな奴だろうと初対面の相手には名を名乗るのが筋ってもんだ……」
「なるほど、律儀は通すってわけか。オレは名乗る程じゃないが……まぁ《変身怪獣》って呼んでくれ」
「へ、ヘンシンカイジュウ!? そ、それじゃあ聞いてみるが種族は敢えてどの部類に属している?」
「うむ、オレの一族は昔っから超獣族といわれてきている…」
「チョ、鳥獣族…?」
「バカッ、超獣族だっ! 超人的な力を持った獣人の一族で超獣族っていうんだ」
「そ、そうかすまない……それでその超獣族のお前がなんで俺の前に姿を現したんだ?」
「オレは以前からお前の近辺に潜んでいたんだよ。お前の心の闇の部分に何かしら惹きつけられたんでね」
「や、闇の部分……!?」
変身怪獣の説明を聞いて戸惑う修司を前に、返信怪獣は語り続けた。
「最初にも言ったがお前は誰かの力になったり、誰かを護る行為をその人間のためにやっている訳ではない」
「………」
「あえて言えば……お前は昔から周りと孤立しやすく、変わらない孤独な状況に常に不安と恐怖でいっぱいなんだろう? だから誰かを護ったり、誰かを救う事でその人間に認められ自分の心の中の孤独感を薄めようともがいている……違うか?」
「……そうだ、それが俺の本心だ。俺は生まれつき、誰にも心を開く事が出来ない存在だった。だからこそ母親を初め親族からも自ら距離を置くようにして今に至る訳だ……」
「………………」
修司は更に自分の実情を話し続けた。
「しかし、自分の中の孤独感を薄めるためだけに人を救いたい、護りたいと考えているだけじゃないんだ!誰かを助けたり護ったりする事でその人が幸せになることができる。その人の未来も同時に救うことができる。俺の心の闇は生まれつきのもので、おそらく今後一生消えることはないだろう…。だけどっ!こんな俺でも誰かを救いあげる、誰でも護れる力が手に入り、誰もが平等に平和に暮らせるちっぽけであるが僅かな可能性という存在に俺は成りあがりたいんだ!!」
この修司の事情を聴いた変身怪獣は高笑いする。
「……それがお前の本心か。ハッハッハ、おもしれえ人間だなぁ」
すると変身怪獣は修司の前に立ち尽くすとこう言い放った。
「よしっ! オレもお前の野望って奴に少なからず協力してやろう!! こう見えてもオレは多種多様な能力があるし何より、お前みたいにどんな奴でも受け入れてくれる人間が創る世界って奴を拝んでみてえしな」
「うむっ! 俺もお前が気にいった! たった今から俺たちは仲間だ!! これから俺が作る英雄集団の大きな1歩がお前との絆の繋がりだっっ!」
意外にも、気の合った修司と変身怪獣。彼らは意気投合して雑木林から抜け出て火川神社の中を通り過ぎようとした時、偶然にも女性同士が電話での話声が屋内から聞こえてきたのです…。
[chapter:2人のセーラー戦士の会話]
「……そうそう、そうなの! 崖から落ちちゃった市長さんが今日、家の神社に女の子2人とやって来たのよ!」
「ま、まさか……あの出血でしかもあんな落差のある崖から落ちて助かるなんて…」
「でも今日見た時はピンピンしていたのよ!? 例え命が助かったとしても、翌日の今日にすぐに動き回れるなんて……体が丈夫にも程があるわ!」
「……でも市長さん無事だったんだね。あの後ニュースでも市長さんの安否について報道されていなかったから無事なのかどうか心配だったけど…」
「……まぁね。だけど不思議よね、あれだけ無事だったなんて。それに今の市長さんについては何かと報道されていないし」
「うん、どこの出身で街に来る前は何処から来たのか全く報道されてないもんねぇ……」
「それよりも昼間は危なかったわよ……」
「……? 危なかったって?」
「市長さん、私の顔を見るなり[アンタの顔どっかで見たことあるんだよ]って危うく正体バレそうだったわ…」
「正体……って、まさかレイがセーラーマーズだって気づきかけた訳!?」
「うん、何とかその場しのぎではあったけど話を逸らしたから良かったんだけどね……」
「そ、それで他に私たちの正体に感づいたような言動は無かった!?」
「ああ、それ以外は何も無かったから安心して。ただ、家の神社に伝わる聖龍伝説について色々と尋ねられたけど…」
「聖龍伝説って…古くからこの街に伝わっているっていう自然の力を宿した龍の伝説よね? そんな事聞いてどうするつもりだった訳、その市長さん?」
「うん、何でもこの街に来る以前から聖龍伝説について興味が有って、この街に来たのもその伝説を調べるためみたいなのよ……」
「ふ~~ん、そうなんだ。だけどそんなの調べてどうするつもりなんだろうね、何の得も無さそうなのに……」
「もしかして、聖龍伝説は隠し財宝の在りかを示しているのかもね♪」
「ま、まさか……あの市長さん、後ろ盾に色んな財閥や企業がいてお金には何も不自由なく暮らしてるって言うわよ…」
「も~~う、まこちゃんったらホンキにしないでよ、軽いジョークだってジョーク♪」
「……もう、レイちゃんったら。それにしても大自然を司る龍なんてホントにいるのかしら……?」
「まこちゃんったら居る訳ないでしょう~~そんな龍なんて…案外まこちゃんって結構コドモ☆」
「レイちゃんからかわないでよっ。……それに……」
「……うん、何?」
「私たちが戦っている妖魔も龍の様な存在だし、何よりそれと戦っている私たちセーラー戦士も似たようなもんなのよ…」
「あ~~……言われてみれば……」
そう火野レイと木野まことが電話でお喋りしていると、いきなりレイの部屋の引き戸が開いた。
「コラッ、レイ今何時だと思っておる? さっさと灯り消して就寝しろっ」
「ヒィっ! お、お爺ちゃん御免なさいすぐに寝ます…」
そうレイに注意した祖父は、引き戸を閉めた。
「ごめんね、私から電話したのに……もうお爺ちゃんがうるさいから切るわね。夜分遅くに話聞いてくれてありがとう」
「ううん、私の方も市長さんの安否が解って嬉しかったわ。それに私の方は何時まで電話しても注意してくる親なんていないし大丈夫よ……」
「……まこちゃん……」
「それじゃ、お休みなさいレイちゃん」
木野まことと通話を終えたレイは受話器をそっと置いた。まこちゃんこと木野まことは幼少期に両親を飛行機事故で亡くしているという悲しい過去があった。。
と、レイが一人まことの寂しさを痛感していた時、いきなり外から物音と何者かの気配を感じた。
「誰!?」
レイは窓から顔をのぞかせて辺りを見渡したが誰も居なかった。
「……気のせいか」
レイは窓を閉め、電気を消して就寝に入った。
[結束しつつあるコンビ]
レイが就寝した直後、神社の軒下からホコリまみれで修司と変身怪獣が這いずり出てきた。
「ボホッ、ボホッ……いや~危うく見つかる所だったな」
「ゲホッ、ゲホッ……そうだな、盗み聞きはタチが悪くて俺の性に合わねえ行為だが、お陰で良い事を知った。最初にこの寺の巫女を見た時、似てたと感じていたが……やはりあのレイって女はこの街を護る英雄の1人、セーラーマーズだったんだ」
「それに電話の相手も女、おそらく同じセーラー戦士だろうな。どうする相棒?」
「相棒? 嬉しい事言ってくれるじゃねえか……そうだな、ひとまず何もせず女たちの動向を観察していこう。英雄集団にスカウトするには、まだ時期が早いし何より俺もまだ聖龍使いになれてはいないわけだからなぁ」
「お前の言う英雄集団って、お前が束ねる組織の事だよな? 多種多様の英雄や能力者をスカウトしたり集めたりして、まるで軍隊の様な組織力まで発展させようって魂胆なんだろ?!」
「さっすがテレパスっ、話が早いぜ。ますます気にいった!」
「しっかしよ~。この街の英雄達は面識も無ければ戦う相手も全然違う訳だろ?一緒に度等を組んで戦ってくれるかね?」
「大丈夫っ! 確かに皆それぞれ戦う相手も理由も違うかもしれない…しかしっ!《誰かを護りたい、弱い人を助けたい》と思う気持ちは同じはずだっ!」
「そんな単純な理由で本当に大丈夫かぁ?」
「大丈夫っ! 相手がイエスと言うまで俺は根気強く交渉する覚悟だっ!」
「しつこい様な気もするが……その前向きな姿勢は認めてやるよ……」
「ハッハッハッ。さすが俺の相棒だ! これからもよろしく頼むぜ!」
こうして二人は今度こそ、火川神社を出て修司の自宅である市長宅に向かった。
(やれやれ……変わった人間だ。普通オレの姿見たら驚いたり、心が読めるなんて知ったら気味悪がって誰も寄り付こうとしないのに。それにしてもこいつの心の闇は尋常じゃないな。常に孤独であるのは解るが、それ以上はオレでも真意が解らねえ。でも、何だかこの男といると気分が楽しくなってきやがるから不思議でならねえな……)
2人はそのまま夜の闇の中に消えていった…。