すっかり意気投合した修司と変身怪獣、彼らの市長宅(修司の自宅)でのやりとりです。
[陽気になる市長]
修司と変身怪獣は、気の向くまま夜の道を歩いていたが
いつの間にか変身怪獣の姿が見えなくなり仕方なく、修司は1人で自宅である市長宅に帰って来た。
「はいはーい、そんなにベルを鳴らさなくても聞こえていますよ~」
何度も連打される玄関のチャイムに、ウッズが慌てて玄関を開けると修司が帰宅する。
「ウッズ~、今帰ったぞ。今日はいろいろと手に入ったぜ」
「それはそれは、良かったですねえ。その様子だと龍玉も無事に見つけられた見たいですね」
「ああ、龍玉もかなりの収穫ではあるが、それ以外にも色んな情報やオモシロい奴にも会えてな」
「解りました解りました、まずはその泥とホコリにまみれた体を洗いましょう」
ウッズは火川神社の軒下に隠れた為に誇りまみれの修司を風呂へと導く。
修司は風呂に浸かり、体を洗い流した後、ウッズの作る軽い夜食を口にした後歯を磨き、自室にてウッズに火川神社での経緯を事細かく伝えた。
「まさか龍玉の有った火川神社の巫女が英雄の1人、セーラーマーズだったとは……」
「修司様、そんな状況で盗み聞きなんて……下手したら警察沙汰ですよ…」
「いや~、耳に入っちゃっただけで盗み聞くつもりはなかったんだよ……しかしこれで、スカウトするべき英雄の1人とその近辺に居る他の英雄達の所在も把握できるってもんだ」
そんな修司にウッズは呆れ返ってしまう。
「やれやれ……それともう1人、その火川神社で会ったっていう獣人って誰でしたっけ?」
「ああ、そいつは自分の事を《変身怪獣》と名乗っている。まぁ、本名で無いことは確かだが悪い奴じゃあ無い。それにテレパス、つまり相手の心を読み解く能力を持っているんだよ。こいつは是が非でも、俺が組織する英雄集団に引き入れる素質があるってもんだ。それも、俺の相棒ずなわちパートナーとしてな」
「パ、パートナーですって!? いきなりそんな重要なポジジョン与えて良いんですか? まだ敵か味方かも解らないのに!? もしかしてマモノという存在の仲間かも入れませんよ」
このウッズの疑念に対して修司は堂々と胸を張って言い放つ。
「それは大丈夫!!」
「っっ!? その根拠は?」
「俺と気が合った! それにそいつは悪い奴じゃないって俺の直感が言っている!!」
「………………はぁ」
ウッズは呆れて何も言い返せなかった。
「まぁ、冗談はさておき、俺は1度とは言えマモノこと妖魔に出くわしている。あんな禍々しい存在とは確実に違う感じがしたんだ。本当ならウッズにも紹介しておこうとここまで来る途中まで一緒に居たんだが、いつのまにか居なくなっちまってて……」
「……プッ、クククク……」
「ウッズ…どうした?」
突然笑い出すウッズに修司は戸惑う。
「プッ、フハハハハハハハ。ヒィッヒッヒッヒッ」
「おいウッズどうした、何があった!?」
「ヒィーーヒヒ…いやな、お前が余りにも俺に対して友好的なんだなって思ったら可笑しくってよ…」
「???????」
そう修司にウッズが言うと、ウッズは部屋のクローゼットの扉を開けた。
[chapter:変身怪獣の能力《ちから》]
「ンー、ンンー~!!」
何とクローゼットの中から、後ろに両手を縛られ身動きが取れないようにされている上に、口にガムテープを貼られているウッズが飛び出て来た。
「ウ、ウッズ!? そ、それじゃあ、お前は……!」
すると、さっきまで話していたもう1人のウッズは、顔をニヤッと笑ましたと思いきや体をグニャリと、まるでアメーバやスライムのように変形して、それがだんだん形になっていくと思いきやなんと、変身怪獣の姿形に変貌したのだ。
「へ、変身怪獣! そ、それは……」
目の前で姿形を変形させた変身怪獣に驚く修司が訊ねると。
「へへへ、言ってなかったがオレは自分の体の細胞を好きなように変える事が出来てな。一度見た人間や動物になるのは朝飯前なんだぜ」
修司がポカーンとしている最中、変身怪獣はさらに修司を驚かせるべく、再び姿形を変えた。
「よっ、俺は修司! アニメタウンの新市長だ。果たすべき野望は英雄による英雄のための、英雄集団を作り上げることだ」
「!!!!??」
自分に変身されて驚愕する修司に、変身怪獣は更に姿形を変える。
「は~いっ私、加賀美あつこ。アッコって気軽に呼んでね~☆」
「イッッ! ア、アッコにまでなれるのかよ!!?」
修司が驚いたのは、変身怪獣の変身能力は姿形だけでなく、声帯までも完璧に真似できることだった。
「本来、変身ってのは多少は声がそのままの状態だったりして、此処まで完璧にコピーできる奴がいたなんて……」
「へっへへ、驚いたか。いやな、さっきも言ったがお前の精神つまり心の状態が普通の奴等とは違うからお前の本心を完全に熟読することができなかったんだよ。だからこうやってお前の真意を確かめてもらった訳だ」
「…そんな事しなくても。さっきも言ったがお前は俺の仲間、俺の相棒には変わらねえよ。そして、俺が組織する英雄集団の最初の…いや俺とウッズに続くメンバーだっ!!」
「へへ……ありがとな、相棒」
修司と変身怪獣、二人が更に互いの真意を確認し、意気投合しているその横で本物のウッズは暴れていた。
「ウッ、ウッ~~フグフング~~!(まずは私をほどいてくださいよ~!)」
[chapter:これからの計画]
その晩、すでに深夜を周っていたが修司と変身怪獣はウッズと共に市長宅の4階(ドーム状の屋根の中)で屋根を全開にして月と星空を堪能しながら、これからの自分たちがやっていくべき行動を計画しつつあった。
「ウッズ、お前はまず聖龍の龍玉がありそうなところを徹底的に調べてくれ。最終的には市長である俺の権限を利用しても構わない。残る龍玉は5つだ。それに聖龍使いに必要な武者鎧があるはずだ。それについても調べてくれ」
「解りました。それと、この市長宅を中心にアニメタウンの地下に巨大な通路や基地を配備する計画ですが、まずは一般市民が緊急時に利用できる避難空間の方はすでに整備し終わりました」
「うむ、万が一マモノの大規模な襲撃に備えて市民たちには地下のシェルターに避難してもらう訳だ。あっ、それとお前の事だから既に用意は整え終わっているとは思うが…」
「はいはい、市民が避難する地下シェルターの内部には大量の保存食や水を常備させております」
「上出来だ、さすが俺の秘書。マモノ以外にも災害などの緊急時には食事や水が不可欠だからな」
「……お前たち、テレパスでもないのにずいぶん話が通じるな」
そんな修司とウッズのやり取りを前に、変身怪獣は驚きつつも感心していた。
「まあな。だからこそ、俺はウッズに自分の側近として働いてもらっているんだよ」
「恐れ入ります」
「変身怪獣、お前もこれからは俺の相棒すなわちウッズと同じ俺の側近として頑張ってもらう訳なんだしその心構え位はしてくれよ」
「お、おぅ……」
修司とウッズの信頼関係を前に、変身怪獣は戸惑うばかり。
「変身怪獣。お前には確か、変身能力以外にも体を透明化させたり、何か物や別の模様になってコノハムシのように擬態することもできるんだったよな」
「ああ……此処に来る途中はその能力を使って人目を避けて来たんだよ。言っちゃなんだかオレを見てマモノと勘違いする輩が居るかもしれないし」
「ハッハッハッ。それは災難だよなぁ。まぁそれも、俺が英雄集団を作り上げお前自身も英雄として市民に認められればすぐに済む話だ」
「………」
「話は戻るが、変身怪獣。お前はその能力を駆使してこの街で活躍する英雄達の所在や動向、過去の経緯を調べてほしい。更にはその英雄達と敵対している通称《マモノ》達についても詳しく調査してくれ。一口にマモノと言っても俺が遭遇し、セーラー戦士たちと戦う《妖魔》なるものも居るからな。一体この街にどれぐらいの英雄、そしてそれと敵対する連中がどの位いるのか把握しておかなければいけないからな……」
「……解った、確かに俺みたいな奴じゃないとそんなに詳しく調べあげれないだろうしな」
「だからこそ、お前を仲間にしたんだよ。この世に不要な力や存在なんて無えんだしよ」
「……ああ、そうかもな。それじゃオレはこれからチョっくら調査してくるわ」
「お前、寝なくて大丈夫なのか?」
「オレら超獣族は人間と違って体がタフなんだよっ」
変身怪獣はそう修司に言い残すと、夜空に向かって飛び去っていった。
「……させと、英雄と敵役達の情報収集はあいつに任せて……ウッズは龍玉の在りかとアニメタウンの地下設備の着工、俺は俺で情報収集と龍玉を探さないとな」
「……修司様」
「何だ、今度こそ本物のウッズ君」
「茶化さないでくださいよ……ただ、修司様がこの街に来てから段々と明るくなってきたみたいで…」
「俺がか?」
「ええ、以前は誰とも上手くコミュニケーションがとれず自分の殻に閉じこもってばかりいらっしゃいましたがこの街に来てからアッコちゃんやモコちゃん、大将君を初めさっきの変身怪獣君ともあんなに仲が良くなられて…」
「……この世界の連中は、俺の世界の奴等とは根本的に違うだけさ。だからこそ俺は常に孤独かもしれないがな……」
「……!」
「さぁて、明日も学校だしもう寝るか……」
そうウッズに言い残すと修司は家の中心つまり大黒柱にもなっているエレベーターに乗って自室のある3階に下りて行った。
そんな修司を見送ったウッズは、人知れず物思いに耽る。
「修司様は気づいておられていませんが、貴方は着々と変わりつつありますよ。それこそ、二次元人が三次元人に与える大きな影響なんですよ」
ウッズは穏やかな笑顔で修司の変化を喜んでいた。