その炎は、気が付いた時には俺の夢に現れるようになってた。
最初は消えそうな程に小さな炎だった気がするけど、気が付いたらその炎は大きくなっていた。
やがてその炎は人の形になり、その姿をユラユラと揺らしている、
「・・・・なんだこれ?」
夢の中、何もない真っ白の空間に俺はいて、空間の端でその人型の炎が座り込んでいる。
目が覚めるとこの夢のことは忘れていて、しばらくしてこの夢を再び見た時に思い出す。
最初は座り込んで動かない炎だったけど、それから少しすると今度は言葉を話し始めた。
『・・・・ごめん、ごめん。お父さん。ごめん、焦凍』
うわごとのようにひたすらそう言い続ける炎に当時の俺はうんざりしていた。
なんなんだこの夢、お父さん、焦凍って誰だよ。
ていうかなんで炎が言葉を話して謝っているんだ?
わけがわからなくて声をかけずにいたら、夢はいつも唐突に終わる。
夢から覚めたらその時のことを忘れている。
だから気にすることもなく日常を過ごしていた。
夢もそんなめちゃくちゃな頻度で見たわけじゃなかったし。
偶に見る変な夢程度の気持ちだった。
でも、その夢の回数がもうすぐ百を超えそうなところでそろそろ嫌になってきた。
「なぁあんた。あんたっていうか炎、なんで謝ってるんだ?」
返事が返ってくるとは思ってなかった。
このままじゃ埒が明かないと思ってダメもとで話しかけてみただけだった。
『・・・・お前には教えねぇ』
でも俺の予想に反してその炎は俺の言葉に答えた。
しかも返事の内容も予想外で思わず変な声が出た。
「は!?教えないって、てかお前話せて」
『・・・・死ね。いややっぱ死ぬな。死んだら殺す』
「いやなんだお前!?」
それが俺と変な炎の交流の始まりだった。
話すようになると、夢を見る頻度は増えた。
相変わらず目が覚めると忘れてて、夢に入ると思い出す。
『・・・・昨日の訓練、もっと死ぬ気でやれよ。気が抜けてたぞ』
「いやなんでお前が昨日のこと知ってるんだよ」
『・・・・せっかく仕事終わりにお父さんがお前に訓練してくれてんだぞ。マジでもっと死ぬ気でやれ』
「やってるし。昨日は調子が悪かっただけだし!」
炎は夢で出る度にぐちぐちと俺に注意をし続ける。
それに俺はうんざりしながら答えていた。
どうやらこの炎は俺と同じ視界を共有しているみたいで、とにかくウザい。
『てめぇは自分がどれだけ恵まれているのかわかってねぇ』
「はぁ?俺が恵まれてるのをわかってないって?」
炎の言葉に眉間に皺を寄せる。
なめんな、それぐらいわかってるわ。
「最高のヒーローが俺を見て、訓練してくれてんだ。俺は世界で一番恵まれてる、そんなことわかってるっての!」
『・・・・ならいい』
ここからくらいだろうか、この炎の態度が少し変わってきたのは。
それからもこの炎との妙な関係は続く。
そして、新たに焦凍が生まれたことでこの炎の存在が一気にわからなくなった。
「なぁ、お前ってなんなんだ?」
『・・・・』
「俺が夢にくるとお前はいつも謝ってる。お父さん、それに焦凍って。最近末っ子に焦凍が生まれたよ。同じ名前だ、これは偶然か?」
『・・・・』
炎は答えない。
でも、こいつは俺と関係した何か。
「いい加減教えろよ。お前について」
初めは俺が妄想で作ったへんてこな炎だと思ってた。
けど、違うだろ。
なんで生まれてもない焦凍の名前がこいつから出ていた?
未来予知でも出来るのか?それともたまたま同じ名前だった?
どっちにしろこいつは得体が知れない。
『・・・・教えねぇって言ってんだろ。それに知らねぇ方がお前のためだ』
「はぁ、ああそうかよ。じゃあこれだけ教えろよ」
『・・・・なんだよ』
「てめぇの名前はなんだ、いい加減おいとかお前じゃ不便だ」
教えたくねぇって言うのなら今はまだ無理には聞かねぇ。
不思議な存在だけど、悪い奴には思えなかった。
だから、もうしばらくはこの変な関係のままでいいさ。
俺の質問に炎は黙り、やがてゆっくりと自身の名を告げた。
『・・・・荼毘だ』
「変な名前だな」
『てめぇだけはそれを言う資格はねぇ』
そこからは互いに罵り合って言い合いだ。
気に食わねぇけど、お父さんの話になると妙に馬があった。
そのまま何年も、俺が雄英高校に入ってからもこの関係は続く。
相変わらず自分のことは話さないけど、それでも会話していくうちにわかってきた。
・・・・こいつは俺と似た境遇。というか俺とは違う道を選んだ俺っぽいんだよな。
自分でも意味がわからないけど、こいつが部分的に口にする内容を総合するとそうなっちまうんだ。
会話してるとまるで自分と会話しているかのような錯覚を覚える。
なんか、最近は炎の輪郭もより人間のように、ていうか俺そっくりになっていってるし。
冬美ちゃんや夏くんも最初から知ってたし、お父さんのこともよく知ってる。
・・・・それで、俺と違ってお父さんに見てもらえなかったんだと思う。
会話の節々から俺への嫉妬っていうか棘を感じるんだ。
それと同時に今にも泣きそうって言うか色々堪えてるようにも感じる。
もし荼毘が俺だとして、どうしてこいつがこうなったのかはわからない。
お父さんに見てもらえなくて、荼毘が何をしたのか。
・・・・謝り方も尋常じゃない、きっと何か取り返しのつかないことをしたんじゃないかな。
「・・・・」
全部俺の推測だ。荼毘は何も言ってくれないから。
なんで俺の夢の中にいるのか、なんで炎なのか、分からないことの方が多い。
多分、お父さんが関係しているんだろうけど、聞こうにも起きたら夢のことは忘れてしまう。
それでも、感情とか、荼毘に教えてもらった個性の使い方は身体が覚えているみたいだ。
荼毘は俺をNo.1ヒーローにしたいようで、訓練には協力的だ。
『・・・・感覚だが、お前のお母さんの個性を引き出す方法を教えてやる』
「は?そんなことできるのか?俺の個性はお父さんのだけだぞ」
『・・・・それはてめぇが気づいてないだけだ。この世界だからこそ、身体の奥底に眠るものに触れられる』
そう言って奴は炎の身体で俺へと触る。
不思議な感覚が俺を満たす、荼毘と身体を共有するかような。
俺の身体を荼毘が操って眠る力を引き出してくれているかのようだった。
『この力にさえ目覚めれば、もう一つの技も使えるはずだ。そうすれば、お前の欠陥は消える』
「・・・・なんでそこまでしてくれるんだよ」
協力的なこいつの理由を知りたい。
こいつ自身のことは教えてくれないが、それでも答えてくれることはある。
『・・・・お前は俺の夢なんだよ。理由なんてそれだけだ』
「夢は荼毘の方だろ。ずっと俺の夢に住み着きやがって」
『・・・・はっ!そうだな』
そう言う荼毘は炎だからわからないけど、笑っているような気がした。
◇
「なんだよあれ、瀬古杜岳が燃えてやがる!」
ただ事ではなかった。
遠くから見えるその炎には見覚えがある。
あそこに、お父さんがいる。
今すぐ行きたいけど、こっちもこっちで忙しい。ヴィランが大量に現れ街を襲っているんだ。
「くそ!邪魔なんだよ!!」
炎と氷をそれぞれ発動させ襲い掛かるヴィラン達を対処する。
ザコが多いけど、何人か手練れがいる。それがめちゃくちゃ面倒くさい。
お父さんのところのサイドキックの人達はまだギリ戦えている。
でもそれ以外のヒーローは押され気味だ。
このままじゃ被害が広がる。
「・・・・燈矢くん、ここは任せていい?」
「転弧?」
俺よりも早くここで戦っていた転弧が冷や汗をかきながらそう言う。
こいつはまだヒーロー免許持ってないけど今はそれどころじゃない。
転弧は強い、現に手練れのヴィランも次々と戦闘不能にしていっている。
そんなこいつが焦った様子でここを離れようとしている。
「なにがあった。まさか、お父さんに何かあったのかよ!」
「・・・・うん。危機感知が鳴り止まない、今すぐ行かないと」
俺の言葉に転弧は頷きながらそう答える。
それを聞いた瞬間、俺は駆け出していた。
誰かに背中を押されたような気がした。
今すぐ行けと。
「俺が行く、転弧はここを頼む!」
遠くの上空ではお父さんの炎による熱気がこっちまで届いてる。
確実に向こうは熱地獄、耐性のない転弧じゃ無理だ。
くそ、距離が遠い。そうだ。
「転弧、俺をぶっ飛ばせ思いっきり!!」
こいつとはけっこう付き合いが長い。
この言葉だけで言いたいことは伝わった。
「・・・・ワンフォーオール30%+黒鞭+発勁」
俺の言葉を聞いた転狐は煙幕を操作し敵の視界だけを塞ぐ。
そして俺と一緒に空に浮かび上がった。
黒い鞭が巻き付き、俺を振り回し始める。
俺も炎を出してその振り回しを加速させていく。
「死なないでよ!」
「当たり前だ!」
それだけのやり取りをして俺は風を置き去りにする速度を以て空を飛ぶ。
そして、そこで倒れたお父さんと死にかけの男がいた。
死にかけの男はめちゃくちゃ強くて、俺のサポートアイテムは砕かれる。
すげぇお父さん、こんな強いヴィランをここまで追い詰めたのか。
サポートアイテムが砕かれても焦りはなかった。
思い出せないけど、なぜか身体が覚えている。
内側で眠るお母さんの個性、そしてお父さんの個性を心臓を中心に循環させる。
その冷たい炎は耐性が弱くなっている今の俺でもケガすることなく扱えた。
「赫灼熱拳 燐 これでお父さんを助けてお前を倒す!」
◇
強大な炎と氷がオールフォーワンを飲み込もうと迫る。
それに対し奴は複数の個性を使用し吹き飛ばそうとし、相殺しきれず飲み込まれた。
身体のダメージ、そして大量の個性の喪失。
それらがオールフォーワンと燈矢の戦いの優劣を分けていた。
それを見て、こんな状況だと言うのに俺は茫然としていた。
「なぜ、燈矢があの技を」
あれは焦凍の技だ、それも今の焦凍ではなく俺のよく知る未来の。
赫灼熱拳 燐。荼毘となった燈矢を止めるために焦凍が習得した力。
それをなぜ燈矢が使える。
疑問に思いながら同時にその答えが俺の中に浮かんでいた。
「・・・・まさか、そこにいるのか燈矢」
あの技を生み出したのは焦凍だが、使っていたのは焦凍だけじゃない。
俺が身をもって味わった。焦凍の技を即座に自分のものにし操る燈矢の姿を。
その荼毘となった燈矢が今あそこにいる燈矢の中にいて、技や冷の個性を引き出させたとしたら。
「・・・・っ」
こんな時だと言うのに涙が目を濡らした。
そこにいてくれたのか、燈矢。
「・・・・ぐぅ、う、ごけ」
俺は自身の身体に活を入れる。
だがそれに反して身体は動いてくれない。
それどころか内から燃やす炎と痛む身体によって意識が飛びそうだ。
息子が戦っているんだ、父親の俺が立てないでどうする!
「凄まじい威力だ、だが僕を殺すには至らない」
「っ!?」
炎と氷を切り裂いてオールフォーワンが姿を現す。
そして見えないが、死を予感させる力を燈矢へと飛ばす。
「うらぁ!!」
それを燈矢も直感で防ぐ。だが防ぎきれず今度は燈矢が吹き飛ばされた。
・・・・ダメだ、このままでは燈矢が殺される。
今は拮抗しているが、赫灼熱拳 燐には時間制限がある。
それが切れれば一気に勝負の天秤はオールフォーワンの方へと傾いてしまう。
「させんっ、させてたまるか!息子二人を殺すなど、絶対っっにさせん!!」
身体中の傷口から血が溢れ吹き出す。炎は身体を焦がし寿命を縮め続ける。
知ったことか、震える足で地面を踏みしめろ、燃え尽きそうな個性を使いきれ。
「ぬっがぁぁっっぁ!!」
砕け震える両足で立ち上り炎を纏う。
そして血で赤く染まり、掠れゆく視界の中で奴を見据える。
いけエンデヴァー、No.2、己の責務を全うしろ。この命が燃え尽きるまで。
『――――って』
「っ、なんだ」
どこからか声が、外じゃない、俺の身体の中から頭の中に響いたような。
『私を――って』
再び声が響く。
心臓の音と一緒に響くその声に耳を傾ける。
どうしてかそれが今の状況を変えるような気がした。
『私を、使って!』
「っ!?これは」
その言葉の直後、身体を襲っていた痛みが少し和らいだ。
砕かれていた足が完全ではないが修復され、震えが止まる。
まさか・・・・これは。
聞いたことのない女性の声。
いやそれだけじゃない、うちから多くの声が届く。
『俺も使ってくれ!』
『うちも使って!』
『私も!負けないでエンデヴァー!!』
「・・・・まさか、そういうことなのか」
個性には、意思が宿る。
そのことを俺は知っている。
ワンフォーオール、その中には先代たちの意思が宿っているように。
個性には元の持ち主の意思が宿っている。
オールフォーワンから送られてきた多くの個性。
そのほとんどが今にも燃え尽きてしまいそうなものばかり。
意思があるのならきっと苦しいはずだ、炎が自身を燃やそうとしているのだから。
だが、そんなことは関係ないと俺の中にある個性の意思が言葉を伝えてくれている。
必死に叫んでいる。自分を使えと、奴を倒せと。
「・・・・すまない。辛い思いをしている君たちの力を借りなければならないとは」
俺の言葉に内に備わる個性達がエールで応えてくれた。
ありがとう、ならば俺はその応援に応えよう。
「赫灼熱拳」
燃え続ける自身の個性に熱を灯す。
減り続ける個性因子によって火力が出ない。
しかしそれを他の個性達は助けてくれている。
「個性『ヘルフレイム』+『疾風』+『押し出す』+『空気操作』」
個性の使い方はその意思が教えてくれる。
自身の個性と組み合わせた力は強力な推進力となって身体を奴の元へと押し出す。
視界では今もなお燈矢とオールフォーワンが戦っている。
「交代だ燈矢!」
一瞬で奴の元へ到達した俺は燈矢にそう伝えながら拳を振りかぶる。
むろん激痛が走るがそれは無視する。
炎を拳に宿し、個性の意志たちがそこからさらに力を与えてくれる。
個性『ヘルフレイム』+『筋肉増強』+『瞬発力』+『膂力増強』
「・・・・は?」
「赫灼熱拳 バニシングスマッシャー!!」
彼らの個性により強化された拳が奴の顔面へ吸い込まれる。
「うわなんだ!?お父さん!?」
力の衝撃が大気を震わせる。
その伝わった力は奴の身体を飛び出て、その後を追うように奴の身体を吹き飛ばす。
複合個性を使った反動が身体を襲い意識を刈り取ろうとしてくる。
それに耐え、吹き飛んだ奴を見据える。
このまま一気に仕留める!
個性の力を借りて吹き飛ばされた奴に追いつく。
今も吹き飛び続ける奴は血を吐き出しながら俺を睨む。
「僕が与えた個性を、ありえない。燃え尽きかけのものばかりだぞ!」
「お前は人の意思、思いの強さを蔑ろにし過ぎた」
人の宿る力、それを引き出すのは強い意思だ。
彼らはその意思を俺に託してくれたのだ。
これほど心強いことがあるか。
個性『ヘルフレイム』+『熱量増加』+『加熱』+『マグマ』+『熱操作』+『竜化』
「ドラゴニックバーン!!」
「・・・・ふざけるな。それは僕の個性だ!!」
竜化させた炎を、奴は同じく大量の個性を使って相殺する。
互いに吹き飛ぶが、すぐに近づいて攻撃をぶつけ合う。
今オールフォーワンの中にある個性はどれくらいだ。
大量の個性を使える状況は同じ。
俺の中で力を貸してくれている個性達は因子が燃えていってどんどん力がなくなっている。
ダメージは五分、互いにいつ死んでもおかしくない傷を個性でしのいでいる状態。
そして奴はオールマイトの加勢の恐れがある以上、長期戦は望んでいない。
つまり、俺も奴も短期決戦を望んでいる。
「赫灼熱拳 剛翼!」
炎の羽にそれぞれの個性を付与させていく。
硬質化した炎羽、雷を纏った炎羽、増殖する炎羽、俺が行使せずともそれぞれの個性に宿る意思がその力を使ってくれる。
「っっ!?個性に宿っている意思がエンデヴァーに協力しているというのか」
「ああそうだ、お前が奪った罪なき者達の叫びだ!」
剛翼の羽たちが一斉に奴に襲い掛かる。
それをオールフォーワンは個性を並列に使用してさばく。
「君の身体が弾け飛ばなかった理由もそれか。ワンフォーオールでもない個性達が、僕に反逆を?」
そう言って奴は俺を睨みつける。
どうやら奴の怒りに触れたか。
ちゃんと怒りもあるではないか。
・・・・気が付いているかオールフォーワン。
怒りは視野を狭める。
お前が使うやり口だ。
だがそれはお前の専売特許ではない。
「赫灼熱拳」
視界の端に光が灯る。
やはり、来るか。
燈矢。
「ヘルブリザード!!」
「っ!?」
覚醒した蒼炎が奴を飲み込む。
それによって怯んだ奴を炎羽を飛ばして上に運ぶ。
みなの個性のサポートによってホークスほどではないが羽を自在に操れる。
この隙で一気に決める。
身体の熱を圧縮し、空へ飛ばした奴に向けて狙いを定める。
横では燈矢も同じように力を溜めていた。
「「赫灼熱拳!!」」
力を圧縮し溜める、それによって瞬間的に熱量を上げ解き放つ。
思えば、こうして二人で技を出すのは初めてだな。
「「プロミネンスバーン!!」」
「――――っ!!?」
二つの熱線が奴に迫る。
未だ奴に熱耐性の個性があったとしてもこれに耐えられるとは思えない。
終わりだ、オールフォーワン。
「全因解放」
瞬間、空に巨大な何かが出現する。
オールフォーワン、全てを出し切るつもりか。
「・・・・お父さん、こんな時になんなんだけどさ」
「燈矢?」
声を聞き横に並ぶ燈矢を見る。
そして、その表情に目を見開いた。
「なんつーか、お父さんとこうして一緒に戦えて嬉しいんだ。なんでかな?ほんとさっきから涙が止まらないや」
そう言って笑う燈矢から自身が言うように涙が溢れていた。
それを見て、うちに宿るもう一人の燈矢の姿が見えたような気がした。
「ああ、俺もだ。お前と、
「・・・・へへ!今ならどんな限界だって超えられそうだ」
そう笑って燈矢は自身の熱をどんどん上げていく。
それを見て、俺もうちに宿る彼らに言葉を送る。
力を貸してくれと。
『勝って!!エンデヴァー!!』
みなの声が届くと共に燃え尽きそうな個性達が最後の力を振り絞ってくれる。
やはり俺は弱い。
みんなの力を借りなければ、ここまでたどり着けなかった。
個性因子全発動。
個性『ヘルフレイム』+『業火』+『雷撃』+『指向操作』+『熱量増加』+『加熱』+『マグマ』+『熱操作』+『竜化』+『筋肉増強』+『瞬発力』+『膂力増強』+『疾風』+『押し出す』+『空気操作』+『再生』+『熱耐性』+『熱吸収』+『筋力バネ化』+『硬質化』+『肥大化』+『レーザー』+『冷却』+『靄』+『空気操作』+『雷装』+『雷耐性』+『突風』+『槍骨』+『ポイズン』+『光』+『電波』+『熱探知』+『影操作』+『衝撃』+『変質』+『増骨』+『造血』+『思考高速化』+『筋骨』+『火炎』+『推進力』+『水操作 』+『回転』+『体質変化』+『思考誘導』+『銃創』+『鎌鼬』+『増電』+『ダークネス』+『噴出』+『固定化』+『黒煙』+『旋風』+『飛行』+『バウンス』+『解毒』+『音波』+『真槍』+『爆撃』+『鱗』+『空気生成』+『水中呼吸』+『ノックバック』+『耐久増加』+『重撃』+『貫通力』+『招雷』+『範囲拡大』+『棘生成』+『鎮痛』+『大盾』+『投擲』+『二重』+『熱吸収』+『放出』+『廃滅』+『氷結』
俺に手を貸してくれる全ての個性を束ね、放つ。
「ヴィランよ、終わりにしよう」
全ての個性使用の反動によって身体が弾けそうだ。
だが、今はそんなことはどうでもいい。
今はただ、ヒーローとしての責務を果たす。
プロミネンスに力を重ね、新たな力とする。
複雑に混ざり合った個性は強烈なエネルギーとなって奴に接触する。
限界を超えろ、何度でも。
「赫灼熱拳・・・・終」
オールフォーワンの力と俺たちの力がぶつかる。
その衝撃波すさまじく、今にも吹き飛ばされそうだ。
血が止まらず寒気と震えも起こる。
「――――っ」
やがて俺たちの力が奴の力を押し、オールフォーワンが生み出した怪物の形を崩していく。
そして残った本体を光が飲み込んだ。
「・・・・」
それを霞む視界で見届けた後、瞼が重くなり抗えなくなる。
俺の中にいる個性達が燃え消えゆくのを感じた。
・・・・ありがとう。
個性達に礼を告げる。
消えゆく個性達は笑いながら手を振っているように感じた。
これで、終わりだ。
ヒーローとしての俺は死んだ。
さらばだ、エンデヴァー。
・・・・。