エンデヴァー逆行物   作:デッテユー

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後日談6

「転弧のやつ、オールマイトのパチモン瞬殺してすぐどっか行きやがって」

 

あとはお願いとそれだけの言葉を残してあいつは超速で飛んで行った。

行先はまぁ、お父さん達のところだろう。

 

通信であっちにオールフォーワンが出現したみたいだしな。

そうなると俺と転弧の二人がここで固まっているよりも分かれた方がいい。

 

俺も行きたかったが、前の時は譲ってもらったしな。

 

「主の命令!!」

 

そう叫びながらこっちに腕を横なぎに振ってくるギガントマキアに対して俺も巨大な炎の腕を作り出してぶつける。

超高温の炎で掴まれてもひるまないヴィランにうんざりする。

 

他のヴィラン達もそれぞれの攻撃手段を俺へと注いできやがる。

標的が俺だけになったんだ、集中砲火を受けるのは当然か。

 

迫る金属で作られた巨人を高熱で焼き、雷を伴った台風を熱風で相殺する。

俺の攻撃を反射してくる野郎は反射させた炎よりもさらに火力を上げ続け、敵の限界を攻め続けている。

 

どいつもこいつも災害級の力ばかり。

転弧の奴、面倒なの押し付けやがって。

 

『は、だったら泣いて助けを求めたらどうだ?』

 

「バカいえ、ただ面倒なだけだ。助けなんかいるか」

 

荼毘の煽りに返しながら耳に取り付けた通信機器に声を送る。

ホークスのやつまだか、こっちはお前待ちなんだよ。

 

こいつら朧の火力にギリギリで耐えてきてる。

反射の個性の奴はともかく他の野郎は確実に熱耐性の個性を持っている。

 

もともとの個性にプラスして熱耐性の個性でギリギリって感じだな。

これを貫くにはもっと火力をあげないといけねぇ。

が、これをすれば周辺の被害がやばいことになる。

 

だからホークスに頼んで避難させているんだが。

 

『燈矢くん、準備できたっすよ』

 

耳に取り付けられた通信機から声が届く。

待ち望んだ声を聞いてニヤリと笑う。

 

「聞いたか荼毘、暴れていいってよ」

 

『ああ、ようやくだな』

 

心の中で荼毘も笑う。

 

「おい、てめぇら。降参するなら今だぞ、ここからは死んでも文句は言わせねぇ」

 

一応、眼前のヴィランどもに忠告する。

いきなり俺が忠告した事に眉をひそめながらも攻撃を続けてくる。

 

りょうかい、死んでも後悔すんなよ。

 

やつらの攻撃を弾きながら集中力を上げる。

 

赫灼熱拳・朧

 

こいつは俺の個性因子の熱耐性ギリギリを見極めて火力を上げる技。

失敗すれば個性が焼けて無個性になるリスクがある技。

 

だが、これは俺の最高打点じゃない。

 

これからの技が俺が、いや俺達がたどり着いた極致。

 

「・・・・いくぞ、荼毘」

 

瞬間、俺の周りの温度が急上昇する。

 

もともと朧を使っていてさらに火力をあげる。

それが意味するのは個性因子の熱耐性を超えたということ。

 

お父さんが最後に使った技『スーパーノヴァ』、あの技と同じようにここからは因子の消滅の代わりに火力の限界がなくなる。

 

本来ならな。

 

 

『「―――――赫灼熱拳・獄」』

 

 

俺と荼毘の言葉が重なる。

 

赫灼熱拳・朧は俺の出せる火力の限界点。

 

ここを超えれば破滅。

お父さんでも、焦凍も同じだろう。

 

一人の限界点、だが俺の中にはもう一人頼りになる相棒がいる。

 

文字通りの一心同体の相棒、その存在がこの技にたどり着かせてくれた。

 

 

「インフェルノ」

 

 

一瞬で周囲に地獄の業火を形成する。

 

炎の個性因子が限界を超える、その隣で氷の個性因子も限界を超えさせる。

 

両隣でそれぞれの因子たちが力を解放することで限界を超えてもなお無理やり安定させているんだ。

 

言葉で言うのは簡単だが、これはそれぞれの因子たちを全く同じ地点で限界を超え続ける必要がある。

片方が弱くても強くてもバランスが崩れる。

 

こんな精密操作、俺一人じゃ絶対無理だ。

だが、荼毘と二人でなら出来る。

 

この技で俺たちは転弧を超える。

 

「こっから先はプルスウルトラし放題、ちゃんとついてこいよヴィラン」

 

 

 

 

 

 

「赫灼熱拳 ジェットバーン!」

 

オールフォーワンが放ったヴィラン達を制圧していく。

一人一人がかなりの手練れ、それらを瞬殺させていくために集中力を上げていく。

 

それはつまりオールマイトの援護をすることが出来なくなるということ。

 

不安がないと言えば嘘になる。

しかし、それでも信じる。

 

奴ならオールフォーワンを倒すと。

 

「赫灼熱拳」

 

群がるヴィラン達を気絶させていき、タルタロスの内部に進む。

現在、タルタロスは完全に機能を停止させている。

 

それが意味することは収監されているヴィラン達を拘束する手段がなくなったということ。

敵は外にいるこいつらだけではない、内部にはさらに凶悪なヴィラン達が収監されているのだから。

 

タルタロスの警備員たちの装備も機能しているか怪しい現状、俺が全て制圧するしかない。

 

タルタロスの中に入り、内部の現状の確認を急ぐ。

すると違和感に気づく。

 

想定していたよりも静かだ。

 

破壊音や声が聞こえはするがここには何百というヴィランがいるというのに静かすぎる。

眉を潜めながら走り続けるとその原因が視界に入った。

 

「・・・・肉、うぅ、暴れるの、ダメ」

 

一人の男の口から飛び出した刃たちが何人ものヴィラン達を拘束していた。

・・・・あれは、ムーンフィッシュか。

 

収監されている凶悪ヴィランの一人だ。

その男がなぜ他のヴィラン達を拘束していっている。

 

予想外の現状に固まっていると、ムーンフィッシュの口からある名前が出てくる。

 

「・・・・転弧くんとの約束、守る」

 

その言葉を聞き現状を理解する。

そうか、彼がムーンフィッシュの心を変えたのか。

 

周囲を探れば何人ものヴィラン達がムーンフィッシュと同じように脱走しようとするヴィラン達を倒しているのがわかった。

 

「久しぶりだね、エンデヴァー」

 

その聞き覚えるのある声に即座に振り返る。

振り向いた先にいたのは予想通りの男。

 

「リ・デストロ」

 

「ああ、一年ぶりくらいかな」

 

暴れる様子もなく口を開く男に俺も警戒しながらも攻撃を加えない。

こいつは捕らえてから色々あった、転弧がこいつと話がしたいと言い出し、付き添いで何度も顔を合わせていたからな。

 

最終的にはタルタロス内、俺とオールマイトの監視付きで転弧とリデストロの戦闘に発展したが、それ以来か。

 

「何をしているんだ、こっちは我らに任せて上に戻りたまえ」

 

「・・・・脱走しないのか」

 

「魅力的な提案だが、今はやめておこう。志村転弧、彼が救世の解放者かどうかを見極め、違う場合には脱走し再び解放のために動き出すつもりだ」

 

妙な言い回しをするが、今のところ脱走するつもりはないようだ。

その証拠と言わんばかりに周りのヴィラン達を次々と拘束していっている。

 

俺は転弧と奴のやり取りは戦闘時の様子を見ているから、今の様子にもある程度は納得できる。

普段なら拘束するところだが、この非常時ではこいつの手でも借りるべきか。

 

「任せたぞ」

 

それだけを言い残して上に戻る。

急いでオールフォーワンとの戦闘に加わらなくてはならない。

 

外に近づくにつれ、強烈な戦闘音が耳に入り始める、戦いはまだ続いている。

タルタロスの内部から外に出て上空に目を向ける。

 

そこには巨大な二体のオールフォーワンがいた。

 

「・・・新秩序と他の個性の複合か」

 

片方は水で出来た巨人、もう片方は雷。

海の水を操作し、雷は個性で生み出したといったところか。

 

しかも体中から無数の触手上の攻撃を繰り出し、それに伴って巨人側も同じく身体を変化させている。

 

海と雷、おそらくどちらも隠れた効果が含まれているに違いない。

その巨人の攻撃を小さな存在、オールマイトが掻い潜っていた。

 

 

 

 

「エルクレス!浮遊アシスト!!」

 

視界全てを覆う巨大な海と雷、それらを浮遊を駆使して駆け抜ける。

メリッサが作ってくれたこのエルクレスにはワンフォーオール継承者達の個性を模倣したものが入っている。

 

浮遊の役目は空中での超機動力。

 

装備のいくつもの箇所に搭載された噴出口と制御機構、それらによって空中ではどんな体勢でも動ける。

危機感知を合わせれば空中なら視界を埋め尽くす攻撃だろうとか細い経路を見つけて回避できる。

 

「所詮ワンフォーオールの真似事だ!!」

 

「ああその通りだよ!!」

 

雷撃、炎、風、さまざまな攻撃が迫るが、それら空中で絵を描くように縦横無尽に動き回り躱す。

やがて奴に近づいたのを見て腕に力を込める。

 

「モード発勁!!」

 

その言葉と共に装備の内部で燃料のピストン運動、エネルギーを反復させ増幅させていく。

これにデイブの作ってくれたワンフォーオールを模倣したパワーを合わせる。

 

「デトロイトスマッシュ!グレート!!!」

 

「っっ!!?」

 

今までよりもさらに強くなった一撃。

それを受け奴は血を吐き出す。

 

まだだ、さらにここから。

 

「ライジング・フォース!!」

 

発動する二度目のインパクト。

それによって耳に破裂音と衝撃波が伝わりそれらを奴に送り付ける。

 

「がふっ衝撃反転!!」

 

ダメージを受けながらもこちらに向かって反撃をしようとする腕を黒鞭で拘束。

そのまま腕を振るい黒鞭で繋いだまま奴を上に引き上げる。

 

それによって反転された力は空へと逃げていった。

 

「斬撃×5+拡散+後塵+屈折+振動付与」

 

「エルクレス煙幕オン!!」

 

黒鞭を切り離し煙幕で奴の視界から消える。

その隙に奴の背後へと回り込むべく移動する。

 

「また煙幕か、それはもう読めた」

 

そう言って背後に回った私を読んで攻撃を行う。

が、その攻撃は私の身体をすり抜けた。

 

「なにが読めたって?」

 

別方向にいた私は煽りながら奴の腹に攻撃をぶち込む。

煙幕、それはただ煙を出すだけになってはいない。

 

通常の物とは別の特別な煙を噴出、それは空気に溶け込み私の姿を隠し、さらに屈折を利用し偽物の私を作り出すことが出来る。

 

今の転弧少年の煙幕はこれを含め様々な力を持つ煙幕を作り出せる。

これはその力を模倣したものだ。

 

吹き飛んでいく奴に追撃をするために追いかける。

 

「新秩序『大気は超速回転する』+空間操作+押し出す+拡散」

 

「っ、エルクレス!!」

 

色のついた煙幕で空気を着色する。

そして浮遊と危機感知で回避。

 

死が私の身体を撫でていく。

 

強烈な回転音と共に迫る空気の塊たちを回避していく。

いくつか完全に避けきれなかったものが接触し、私の身体を装甲ごと紙細工のようにえぐり取っていく。

 

口から血が漏れながらも前進する。

 

私が近づくのを妨げるために雷の巨人が行く手を阻む。

それに対しこちらも次のカードを切る。

 

「エルクレス モード変速」

 

私の声を聞き、装備に格納されていた加速装置達が姿を現す。

 

『これより超高速移動を開始します』

 

瞬間、私の身体は音を置き去りにするほどの速度で移動する。

それは迫る雷の巨人と貫き、奴に次の動作を与える間もなく私の拳を届かせた。

 

「――――オーバードライブ」

 

身体を襲う重力に耐えきり拳を引き絞る。

終わりにするぞ、オールフォーワン。

 

「デトロイトスマッシュ・クインティプル!!!」

 

「ぅっぶぅ!!?」

 

大量の血を吹き出しながら白目を剥くオールフォーワン。

 

超再生でも間に合わぬダメージ蓄積。

それまで、持ってくれよ私の身体。

 

変速の再現、これは無理やり再現されたもの。

本来の力とは違い、使用中に着用者に強烈な負荷を与えることになる。

 

15G以上の力を受け普通の者なら全身の骨を砕き死に至らせるほどの加速。

まったくなんてものを作ってくれたんだメリッサ。

 

「ほんと、感謝しかないね!!」

 

「新秩序『私の身体は再生する』+超再生+再生×5+回復」

 

「させるわけがないだろう!!」

 

変速を使い再び加速。

二度目の使用により骨にひびが入っていくのがわかる。

 

だからどうした。

 

「うっとおしいなオールマイト!!」

 

私の軌道を予測し攻撃を放たれる。

が、その寸前で変速の加速を停止させる。

 

激突寸前に予備動作なしで一瞬で停止し、再度のスラスターで超鋭角な連続軌道を行い再び加速する。

 

「お得意の挑発がなってないぜ!!」

 

一瞬の移動の間に溜まった発勁を腕に纏い、さらに加速を乗せる。

 

「オールフォーワン!!!」

 

今まででもっとも重い一撃。

私の全盛期の一撃よりも遥かに威力を増している。

 

力が到達した瞬間、その衝撃波は空気から海へと伝わり海面を捲りあがらせる。

タルタロスすらも大きく震わせていた。

 

その中心源にいた奴は当然ただではすまない。

 

「・・・・ぐぼぁ、こ、吸着、ぶん、ふ」

 

「っ!」

 

何かを呟いた奴を見てめり込んだ拳を離す。

が、奴の身体に張り付いて離れなくなっていた。

 

っ!これは奴の身体に私の拳がくっついているのか。

その隙に奴の腕が私を纏うエルクレスに触れる。

 

まずい、新秩序がくる。

 

「マンチェスタースマッシュ!!」

 

奴が口を開こうとしていたが、ダメージと口から洩れる血で言葉が作れていない。

その隙に奴に攻撃を叩き込み、奴の身体を斬り拳を引き離す。

 

「お前の負けだ、オールフォーワン」

 

すでに瀕死の状態、奴の右腕であるドクターがいない以上、脳無のような肉体改造は出来ていない。

あと一撃叩き込めば倒せる。

 

「・・・・新秩序」

 

「なにっ」

 

奴から言葉が漏れた。

口は動いていない、見れば身体に口が出来ていてそこから声を発していた。

 

「エルクレスはその機能を停止し破壊される」

 

その言葉を聞いた瞬間、身体が宙から落下を始めた。

 

「っ!!エルクレス!!!」

 

呼びかけても反応がない。

それどころかあちこちから電気が漏れ爆発が起こる。

 

なぜ、今奴の手に触れられてなんか。

 

「っ!?そういうことか!!」

 

身体に目を落とせば、装甲に奴の手だけがへばりついていた。

個性で手を分離しこちらにくっつけたのか!!

 

装着された手を引き剥がし砕く。

 

奴は震える腕をこちらに向け照準を定めている。

あと一撃、強烈なのを与えればのところで。

 

「赫灼熱拳」

 

後方からエンデヴァーの声が届く。

そして炎がこちらへと到来した。

 

「間に合わないよ」

 

奴の手から光が漏れる。

 

そして私を殺す刃が放たれようとした瞬間。

 

「――――は?」

 

攻撃しようしていた奴の腕が吹き飛んだ。

横から飛来した何かがオールフォーワンの腕を吹き飛ばしたんだ。

 

それを見て笑う。

 

私もエンデヴァーも彼女に助けられてしまったか。

 

飛んできた方向を見たオールフォーワン。

おそらく個性で強化して遠くにいる彼女を見つけたのだろう。

 

血を吐き出しながら本来の口で彼女の名を叫んだ。

 

 

「レディ・ナガン!!」

 

 

そう叫んだと同時に何発もの銃弾がオールフォーワンに直撃する。

この隙に立て直す。

 

それと同時にエンデヴァーの炎が到達した。

が、それは奴にではなく私にだった。

 

「・・・・これは」

 

私を包む炎を見て声が漏れる。

これは、筋力強化系の力か。

 

内側から燃え広がっていく力に炎の効果を理解する。

 

ありがとうエンデヴァー。

 

「エルクレス!!君もこんなもんじゃないだろう!!」

 

親友とその娘が作り上げた執念の作品。

だったら、限界だって超えられるさ!!

 

『――――エルクレス、再起動』

 

直後、浮遊が開始される。

そのまま空を蹴り奴の元にたどり着く。

 

変速や発勁の機能の発動は半分以下だが出来ている。

ここからさらに力を。

 

 

 

「ワンフォーオール」

 

 

「・・・・なんだって?」

 

私の呟いた言葉に奴が反応する。

ああ、やはり気づいていなかったかオールフォーワン。

 

今にも燃え尽きそうな残り火だからね。

 

ずっとこの時のために燃え尽きまいと守ってきた。

転弧少年の力も借りてずっと。

 

「貴様に、私の愛弟子はやらせんよ」

 

空中を駆けながら全ての力を拳に集める。

 

 

ワンフォーオール100パーセント+エルクレス+エンデヴァーの炎。

 

 

これからは新しい世代たちの時代だ。

古い私達は一緒に終わろうぜ。

 

 

「ユナイテッドステイツオブ・スマァァァァァァァァシュ!!!!」

 

 

限界を超えて放たれた一撃は奴を上昇気流と共に天へと運ぶ。

それを見届けた後、エルクレスは機能を停止させ私は空中から投げ出される。

 

そうして落下する私を炎の翼を生やしたエンデヴァーが肩を貸して空へと留めてくれた。

 

「下のヴィラン達は」

 

「安心しろ、なんとかなっている」

 

その言葉を聞いて息を吐く。

そして雲を突き抜け消えたオールフォーワンを探す。

 

この目で倒れた奴を見るまでは完全に安心できない。

 

「・・・・オールマイト」

 

「なんだい?」

 

「未来で俺達に追い詰められた奴が最後にとった行動がある」

 

上空を睨みつけながらエンデヴァーは言葉を続ける。

その言葉に以前に聞いた内容を思い出す。

 

「最終的に肉体が消える代わりに身体のダメージを戻し続ける奴の最終手段」

 

その力の正体をエンデヴァーは知らない。

だからこそ、それを警戒しているようだった。

 

「未来と今では状況は違うが、追い詰められた奴がそれを持っているのなら」

 

その言葉と同時に上空から光が漏れた。

 

「参ったぜ。これは使うつもりのない切り札だったんだ」

 

光から現れたオールフォーワン。

その姿は過去の光景を思い起こさせた。

 

あの日、お師匠が殺された時のことを。

 

「・・・・肉体の全盛か」

 

エンデヴァーから漏れたその言葉、それを聞き奴を睨みつける。

私達の視線を受け、奴は微笑む。

 

「身体が軽い、だがこの心地よさに浸っている時間はない。こうなってしまえば予定していた過程を捨てて目標へと到達する」

 

あの言葉を聞き、奴の言う目的を即座に理解する。

間違いない、奴は転弧少年のところへ行こうとしている。

 

「オールマイト、後は俺に任せろ」

 

私をタルタロスに降ろしたエンデヴァーはそう言って上空へと上がろうする。

以前の話ではあの状態のオールフォーワンは無敵状態だがダメージを受け続ければ若返っていき、最終的には消えてなくなるという。

 

エンデヴァーは奴が消えてなくなるまでこの場に足止めし続ける気か。

 

「生憎と、この状態の僕に勝てる奴はいないさ」

 

そう言って奴は力を行使する。

 

「新秩序『大気は存在できなくなる』」

 

「っ!!赫灼熱拳」

 

奴の言葉と同時にエンデヴァーが巨大な炎をタルタロスに走らせる。

どうやら効果が付与された炎で私達を守ってくれたようだ。

 

効果範囲を捨てた新秩序。

当然、奴自身もくらうハメになる。

 

だが、奴は戻り続けて生き残っている。

まずい、エンデヴァーが防戦に回ってしまって動けない。

 

このままでは奴を止めるどころかこちらの方が。

 

「・・・・ああ、そっちまでは届かなかったか」

 

オールフォーワンの身体に銃弾が直撃する。

しかし受けたダメージは即座に回復される。

 

「この状態なら身体の損傷を気にすることなく個性を複合出来る」

 

銃弾が飛んできた方向へ腕を向けるオールフォーワン。

そして奴の身体がえぐれるほどのエネルギーを腕に溜め始めた。

 

まずい!レディ・ナガン!!

 

「お別れだ、麗しきレディ・ナガン」

 

その言葉を残して攻撃を放とうとした時。

 

 

 

「ワンフォーオール100パーセント+発勁+変速」

 

 

閃光が奴を飲み込んだ。

一瞬でオールフォーワンの姿が消え、その後に遅れて衝撃波と音がやってくる。

 

こんなことが出来るのは私の知る限り一人だけだ。

 

「・・・・来てしまったのか」

 

消えた上空を見つめながらその名を口に出す。

 

・・・・転弧少年。

 

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