ガヴッと・プリキュアアラモード 〜菓子の英雄〜 作:エルミン
第一話 その戦士、お菓子な戦士
暖かな日差し差し込む、穏やかな陽気のとある日。幼い子供が母親の作ったケーキを美味しそうに食べていた。
「どうかな?」
「うん!ママのケーキ、すごくおいしい!」
「良かった!今日のは自信作だから嬉しいな。それに、このケーキはパパも大好きなケーキなんだよ」
「パパもママのケーキを?・・・ねぇママ」
「ん?」
「ママはどうして、パパのおよめさんになったの?」
「おぉう、そういうのを気にする年になったか〜」
母親はケーキを食べ終えた後の食器を洗ってから、子供に語りだす。
「ママがパパと初めてであったのは、ママが中学生の時でね。その時からパパは困っている人達を助けるために戦っていた”ヒーロー”なんだよ」
「ヒーロー!?パパってヒーローだったの!」
「そうだよ、ママもパパに助けてもらったんだ」
「パパはなんていうヒーローだったの?」
「”ガヴ”・・・仮面ライダーガヴ」
子供の問に、当時を懐かしむように語りだした。人々の幸せを守る為に戦った、お菓子なヒーローの話を。
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西暦2050年、四月。
とある世界のとある建物の一つでは、サイレンが響き渡っており、一人の黒髪の少年が銃を持った謎の者達に追われていた。
逃げ回る中、少年は急いで近くにあった扉に入る。その扉の中に入ると、更に無数の扉がある空間だった。
変な音が聞こえる下を確認すると、その追っ手達が追いかけてくる。
追手達は少年に気付き下から銃撃していくが、少年はそれを必死に躱していく。
そしてすぐ近くにあった扉を開けると、空中に放り出される。
「なっ・・・うわぁぁぁ!?」
そのまま落ちていく。目を開けると見えるのはとある街の風景だった。
(ここが、母さんのいた世界・・・)
落下しながらその光景に見惚れ、亡き母に思いを馳せる。
そして少年は海に落下、水しぶきを上げて海に沈む前に急いて海上に出て息をする。
高所から落ちたにも関わらず、意識もハッキリしていて特にダメージも無く泳いで砂浜までたどり着く。
幸い砂浜まで距離が近かったため、すぐにたどり着いた。
水を吸って重くなった上着を脱いで絞っていると、町の名前が書かれた看板を見つける。
母から文字の読み書きを教わっていたため、看板の文字・・・日本語や漢字も問題なく読めた。
「いちご坂・・・か」
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千葉県の海沿いに、「いちご坂」という町が存在する。
「スイーツの街」をウリにしており、街中にはスイーツショップや老舗の菓子屋がやたら多い。
年に一度「スイーツフェスティバル」なる食フェスが開催されており、結構な知名度がある。
商店街などに立ち並ぶ建造物は、欧風の雰囲気のものが多い。
町のシンボルである古い時計塔があり道路が石畳だったりもして、スイーツショップの多さと絡めておしゃれな雰囲気が醸し出されているのも特徴だ。
地形的には”いちご山”と呼ばれる険しい山の裾野に作られており、山を降りるとすぐ海で海側には大きな港も確認できる。
だが、この町では行方不明事件が多い、という状況もあるが・・・。
そんないちご坂に住む一人の少女が、元気一杯に学校からの帰路についていた。
「お母さんが帰ってくるのは久しぶりだなぁ、ケーキを作ったらきっと喜んでくれるよね♪」
長期の仕事から帰ってくる母親のためのケーキ作り、その事を考えながら母の喜ぶ顔を思い浮かべ、ルンルンで歩く。
それが故か、自らを狙う者に気付けなかった。
突然目の前に謎の男性が現れ、獲物を狙うような目で少女を見る。
「お前も・・・俺を満足させる糧になれ」
そう言うと、腹部の服をめくり”腹の口”を露出させてそこから長く大きい舌を伸ばす。
突然の事に固まって動けない少女。このままでは少女が・・・だが、そうはならなかった。
「危ない!」
空から海に落ちてきた少年が町を歩いている時にこの場面に遭遇、少女を助けようと即座に動き少女を抱きしめて舌から離す。
「ちっ・・・邪魔が入ったか!?」
男は舌打ちし撤退していった。
「大丈夫!?」
「は・・・はい、大丈夫です」
起き上がり、無事を確認した二人は安堵した。
「あ、ありがとうございます」
「無事で良かった・・・」
「あの・・・私の名前は
「俺は・・・
だが、名乗る途中で少年・・・瑠翔は倒れてしまう。少女・・・いちかは慌てて抱き起こす。
「大丈夫ですか!?」
「ごめん・・・・・・お腹が空いた」
「・・・・・・ほぇ?」
同時刻、別の場所でいちかを襲った男が赤い布に包まれたアクリルスタンドを複数渡す。
「エージェント、これが今日までの収穫だ」
「・・・・・・報酬です」
エージェントと呼ばれた者はそれを見ると、黒い箱を男に渡す。
「これっぽっち!?もっと・・・っていねぇ!」
渡されたのが一個だけなのが不満なのか、男は抗議しようとしたが既にエージェントは姿を消していた。
箱の中身・・・不気味な色をした四角形のお菓子を食べる。
「うめぇ・・・これが欲しければもっと稼げってか・・・・・・!」
その旨さに感動しながらも、更に多く手に入れようと躍起になるのであった。
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それから、瑠翔はいちかに案内されて宇佐美家にお邪魔する事になった。
リビングの椅子に座って待っている間に、いちかはたくさんのお菓子を持ってきた。
グミ、クッキー、せんべい、ポップキャンディなど色々だ。
「ごめんね、今すぐ用意できるのは市販のお菓子しか無くて」
「ありがとう!いただきます!」
瑠翔は礼を言ってグミを食べる。すると、その美味しさに感動して叫ぶ。
「美味い!このムニッとした食感、口の中に広がるジューシーな甘み・・・これがグミか!あ、味が違うのもある」
「それはオレンジ味で、さっきのはグレープ味だよ」
「凄い、美味しくて種類も豊富・・・これが人間のお菓子か!まるでご馳走だ、最高すぎる・・・・・・あれ?」
「ど、どうしたの?」
「なんか、お腹が・・・!?」
ソウマはお腹を抑えると服の隙間から何か出てくる。出てきたのは、グミのパッケージの様な形の小さな生命体だった。
「えっと・・・何それ?」
「なんだろう?」
いちかが聞くと、瑠翔は首を傾げながら服を捲り腹を出す。そこにはもう一つの赤くグリップのついたメカニカルで大きな口がついていた。
「「うわぁ!?」」
「・・・って、なんで瑠翔君も驚いてるの!?ていうか、それはなんなの!?」
「この子は、俺の眷属」
「眷属?」
「自分を助けてくれる分身の事。そっか、俺にも使えたんだ・・・」
瑠翔はその一体をキャッチして感慨深そうに言う。
「っていうか、何それ!何でお腹に大きな口が!?」
「あっ・・・・・・俺の種族、グラニュートには・・・お腹にも口がある。ガヴって言うんだけど・・・・・・俺のは赤ガヴって呼ばれてる」
「グラニュート・・・・・・ってもしかして、人間を食べるの!?」
「食べないよ!・・・俺は。食べるなら、このお菓子だけじゃない・・・色んな料理を食べたい」
「・・・・・・」
瑠翔の話を聞いたいちかの心にあったのは、「瑠翔を信じたい」だった。
危ない所を助けてくれたから、だけじゃない。彼をこのままにしてはいけない・・・そんな気持ちが強かった。
「・・・わかった。私、瑠翔君を信じる」
「え・・・良いの?俺は純粋な人間じゃ無いのに」
「さっき、見ず知らずだった私を助けてくれた。それはきっと、瑠翔君が優しいから。私は、その優しさを信じたい」
「・・・・・・ありがとう」
いちかの気持ちが込められた優しく真っ直ぐな言葉に、瑠翔も感謝の気持ちを込めて礼を言った。
それから、お菓子を食べながらいちかに事情を説明していく。
先程いちかを襲いかかったのがグラニュートで、人間に擬態して活動している。
彼らの目的は、ストマック社というグラニュートが住む異世界”グラニュート界”にある菓子製造会社が作る”闇菓子”を欲してバイトをしている。
闇菓子は人間を材料にして作る菓子。正確には、人間の持つ幸福の感情が必要なのだ。
しかも、それはグラニュートにとっては美味過ぎて中毒症状になり、闇菓子欲しさにストマック社のバイトとして人間を攫っていくという。
また、幸福の感情を最後まで奪ったら廃棄処分・・・つまり殺害されてしまうという事だ。
ここまでの事情を聞いたいちかは先程グラニュートに襲われた事を思い出す。
もし瑠翔が助けてくれなかったら・・・そう思うとゾッとする。
「そう、なんだ・・・話してくれてありがとう」
「うん、あのグラニュートはまたいちかちゃんを狙ってくる可能性があるから気をつけないと・・・・・・いや、それじゃ駄目か・・・だったら」
「瑠翔君?」
「あ、ううん何でもない。それにしても、いっぱい増えたなって」
「瑠翔君、たくさん食べたからね・・・それにしても、よく見ると小っちゃくてかわいいなぁ〜」
用意されたお菓子を食べたことで、テーブルの上に沢山の眷属がいた。
いちかもグミの眷属を掌に乗せて、ムニュムニュ動く姿に可愛らしさを感じ笑顔になる。
「でも、けんぞくって言い難いし、何か名前を決めてあげようよ!」
「名前かぁ、俺も賛成だけど何にしようかな・・・」
二人でう~ん、と考え込むといちかの頭に瑠翔のとある言葉が過る。
(瑠翔君、お菓子をご馳走って言ってたよね。ご馳走・・・ごちそう・・・ゴチ・・・・・・)
お菓子をご馳走と表現したあの言葉・・・そこから着想を得て考え遂に思いついた。
「キラッとひらめいた!」
「え!?」
「この子達の名前だよ!”ゴチゾウ”っていうのはどうかな!?」
「ゴチゾウ・・・」
「ゴチゾウの方がかわいいよ!お菓子みたいだし、瑠翔君もお菓子をご馳走って表現したでしょ、だからピッタリかなって」
「確かにそうかも!よし、君達はゴチゾウだ。皆、よろしくね」
いちかのアイディアを採用し、眷属達の名前はゴチゾウに決定した。
ゴチゾウ達もピョンピョン跳ねて、言葉はモニョモニョとした音のように聞こえるが、瑠翔は意思疎通が可能でありゴチゾウという名を受け入れた事をいちかに伝える。
「ただいまー!」
そこに、男性の声が玄関から響く。
「あ、お父さんだ!そうだ、ゴチゾウの皆を隠さないと!」
「大丈夫、もう隠れてる」
「早!」
ゴチゾウ達はいちかの父親の声が聞こえた時に既に動き、隠れていた。
そして父親がリビングに入ってくる。
「ただいまいちか!・・・おや、いちかのお友達かな?」
「お、お邪魔しています」
父親に挨拶する瑠翔、そして父親に対していちかは「変な人に襲われた時に助けてくれた」とだけ説明。
「娘を助けてくれたのか、ありがとう!私は宇佐美 源一郎、いちかの父親です」
「瑠翔と言います」
「瑠翔君か、改めて言わせてもらうけど、娘を助けてくれてありがとう。何かお礼をしないとなぁ」
「いえ、そんな・・・でも、それなら一つだけお願いがあるんです」
「良いよ、何だい?」
「俺、今日この町に来たばかりで右も左も分からなくて・・・良ければこの町の事を教えてくれませんか?」
「もちろんいいぞ!何なら、私が町を案内しよう」
「あ、私も一緒に行きたい!」
「あ、ありがとうございます。よろしくお願いします」
町の案内を買って出てくれた二人に頭を下げて礼をいう。
そして出かける準備を整え三人で町に繰り出した。
スイーツの街というだけであって、街中にはスイーツショップや老舗の菓子屋が多く人間のお菓子にハマった瑠翔は目を輝かせる。
他にも観光スポットや施設をみて回り、今は港沿いのコンテナが多く積まれている所に来ていた。
「瑠翔君、この町はどうだった?」
「すごく良かったよ。穏やかで過ごしやすそうだし、美味しそうなお菓子もいっぱいだし」
「ハハハ、瑠翔君は本当にお菓子が好きなんだな」
笑い合う三人、穏やかな時間が流れる。だが、そこに忍び寄るのはグラニュートの影・・・。
「見つけた・・・あの女に邪魔した男・・・とにかく、闇菓子のためもっと数がいるんだよ!」
そして、瑠翔達の下に飛び降りた男は目の前で腹のガヴに刺さっている機械・・・ミミックキーを抜いて本来の姿であるグラニュート・ハウンドへ戻る。
「な、何だ!?」
「あ、あの時の・・・!」
「グラニュート!」
「闇菓子のため、犠牲になりなぁ!」
ハウンドが闇菓子の材料とするべく襲いかかる。怯えるいちかを守るため源一郎が前に出て空手でいちかを守ろうとする。
だが、誰よりも早く動いたのは瑠翔であった。素早く動き飛び蹴りを当てて引き離す。
「お、お前・・・!?」
「・・・・・・この二人には指一本触れさせない」
後ろにいるいちかと源一郎には見えていないが、瑠翔の表情は険しく戦う者の顔つきになっている。
そして、瑠翔に付いてきていたゴチゾウ達からグレープ味のグミから生まれたポッピングミゴチゾウの一体が飛び出て瑠翔の手元に収まる。
それ以外のゴチゾウ達は、集合して赤ガヴの形をとって咀嚼するように動く。
「・・・わかった」
ゴチゾウ達の動きと言葉で意味を理解した瑠翔は、服のチャックを開けて、腹に付いた赤く大きな口・・・赤ガヴを露出させる。
「あ、赤いガヴだと!?お前、同族なのか!?」
「戦おう・・・いちかちゃんと源一郎さんのために」
赤ガヴの上顎を展開して、ゴチゾウを装填して上顎を閉じる。
《グミ!》
《イートグミ!イートグミ!》
その音声が鳴ると、ベルト帯が出現する。
瑠翔がハンドル・・・ガヴドルを回転させると、体からグミが出てきてお菓子の包装のようなオーラに包まれる。
それからガヴの左側に付いているボタン・・・デリカッションを押す。
するとそれに連動するようにゴチゾウが展開して叫び、周囲を漂っていたグミが赤ガヴの中に吸い込まれる。
感嘆の声を上げながら見上げる多数のゴチゾウに見られながら瑠翔の体にアンダースーツが生成されると、同時に紫色のグミのような装甲が生成されていく。
「変身」
《ポッピングミ!ジューシー!》
包んでいたオーラが弾けると共に瑠翔は、仮面ライダーガヴ・ポッピングミフォームに変身した!
周囲に紫色の”ムニュ”という言葉が浮かび、ファンシーな印象を与える。
だがハウンドは一目見てヤバさを感じ、己の拳による打撃を放つが装甲のグミの如き柔軟な弾力に阻まれる。
ガヴが反撃として殴打と蹴りを混ぜて攻撃していく。それに対してハウンドは爪で切り裂く様に攻撃に変える。
それは防ぎきれず胸の装甲の一部が弾けてしまい、その破片はゴチゾウ達が懸命に集めていた。
破片を集めるゴチゾウの一体を掴み取り、装填されているゴチゾウを外す。
外した事で赤ガヴから昇天して消えたゴチゾウの代わりに赤ガヴに装填、素早くガヴドルを回転させてデリカッションを押す。
《ポッピングミ!ジューシー!》
その動作により、弾けて破損していた装甲が再生成される。
直後にハウンドのキックを受けると今度は左胸の装甲が弾けるが、再びゴチゾウを装填する。
《ポッピングミ!ジューシー!》
再びアーマーが生成される。ゴチゾウの消費と引き換えに装甲を回復させながら追い詰めていく。
だが、コンテナ近くで作業していた作業員がガヴとハウンドの戦いを目撃。
「ば、化物が二体も!?ヒィィィ!」
ハウンドだけでなく、ガヴの事も化物と言い逃げ出していく。
「ギャハハハハハ!お前、化物だってよ!」
嘲笑う様に言うハウンドに、一連のやり取りが聞こえていたいちかと源一郎は怒りを覚える。
だが、ガヴは強く反論した。
「あぁ、そうだ。俺は化物だ・・・でも、襲われている人達を助けられるなら、化物でも構わない!」
自分が化物と言われようと、自分の信念を信じて戦う・・・その宣言は、いちかと源一郎にも確かに届いた。
そして素早く接近して渾身の力を込めたアッパーで空へと飛ばし、赤ガヴから赤と黒の剣・・・ガヴガブレイドを出して手に持って落ちてきた所を斬りかかる。
落下したハウンドはすぐに体勢を立て直し斬撃波を飛ばしてくるが、ガヴは躱しながらガヴガブレイドによる斬撃攻撃をしていく。
そのままコンテナの上に登り戦闘していたが、ガヴは駆け出してコンテナの間に入り、追いかけたハウンドを攻撃する。
ガヴの攻撃でハウンドがバランスを崩すと、地面に向かってハウンドを落とす。
「クソがぁ!」
ガヴを倒せない状況に苛立つハウンドが叫ぶと、近くのコンテナを投げ飛ばす。
ガヴはガヴガブレイドのボタン・・・プレイボンを押してトリガーを引き、エネルギーを纏い斬れ味を増した刀身でコンテナを切断する。
「ハァ!」
「うわぁぁぁぁ!?」
ガヴは半分に切れたコンテナに入りながら、ハウンドに向けて斬撃波を放つ。
「馬鹿な、同族にこんな奴が!?」
斬撃波を受けたハウンドが言う中、ガヴは言う。
「どうする?二度と闇菓子に関わらないか、この場で俺に倒されるか!」
「闇菓子を諦める?ありえねぇ!答えはお前をぶっ倒すだ!!」
「・・・わかった」
ガヴの問いを聞いたハウンドが叫ぶと、ガヴに向かって走る。
ガヴは一言呟き倒す決意を固め、オレンジ色のキッキングミゴチゾウを手に取り赤ガヴに装填する。
《キッキングミ!》
力を解放すると、右足に巨大な足・・・レンジキッキングが現れる。
現在のフォームと同系統のゴチゾウを食べさせる事で追加武装などの生成・効果付与などの能力強化を行う、”追い菓子チェンジ”である。
レンジキッキングによって強化された右足でキックをして吹き飛ばすと、再びキックで追撃する。
ハウンドが吹っ飛ぶ中、ガヴはガヴドルを再び回転させデリカッションを押す。
《CHARGE ME!CHARGE ME!》
《キッキングミキック!》
「ハァァァァァ!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
再び巨大な足が現れ、その足でジャンプキックを当てて思い切りハウンドを地面に踏みつけると、エネルギーがハウンドに流れ込む。
ガヴが離れるとハウンドは大爆発し倒され、キッキングミゴチゾウが昇天して消えていく。
変身が解けた瑠翔は初めての戦闘を終えた安堵で気が抜けたのか、片膝をついた。
いちかと源一郎は目の前で起こっていた戦いが終わったのを見届けると、すぐに瑠翔に駆け寄る。
「瑠翔君、大丈夫!?」
「うん・・・・・・」
「瑠翔君、娘を二度も守ってくれてありがとう」
「私からも、ありがとう。瑠翔君のお陰で私もお父さんも無事だから」
「でも・・・・・・化物だ、相手も俺も」
「そんな事無い!瑠翔君は私達を助けてくれたヒーローだよ!」
「そうだぞ、私達は君を受け入れる。今もこれからも」
「・・・・・・!」
目を見開き驚く瑠翔。まさか受け入れられるとは思っていなかったのか、しばし言葉を失う。
いちかと源一郎は優しい笑顔で手を差し伸べる。瑠翔はその手を握って立ち上がった。
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その後、宇佐美家に戻った瑠翔はいちかと源一郎に改めて事情を説明。
グラニュートの事、闇菓子の事、ストマック社の事、そして・・・己自身の事。
「俺のフルネームは、ルカ・ストマック。闇菓子を作るストマック家の末弟で、人間とグラニュートのハーフだ」
「え!?」
「・・・・・・」
いちかは驚きの声を上げ、源一郎は無言だが真剣な表情で聞いている。
「ハーフであるが故に蔑まれて、人間である母さん以外味方がいなかった。
その母さんも、この世界に来る少し前に上の兄姉達に・・・・・・俺の目の前で殺された。俺だけ逃げてこっちに来たんだ」
「「・・・・・・」」
「戦う直前に決めたんだ。俺には力があるなら、その力は母さんがいたこの世界やそこに住む人達をストマック社の陰謀から守るために使う」
「わかった。先程も言った通り、私は君を信じる・・・そして君の味方でいさせてくれ・・・」
「私も瑠翔君の味方だよ。瑠翔君が傷ついたり悩んだした時は私達が支えるから・・・」
「うん・・・ありがとう」
瑠翔は二人が改めて言った信頼の言葉を受け入れ、頷いた。
ちなみに、この後に源一郎から名字を聞かれた際にストマックのままでは色々不味いのでは、と指摘され母親の名字を名乗る事にした。
瑠翔の母親の名は「
そう・・・日本国防を使命とする家、風鳴家の者であった。
いちか達にとっては”ツヴァイウィング”の片割れ、世界的アーティスト「風鳴 翼」と同じである事に驚かれその事を指摘された。
瑠翔はそういった事を知らないため、映像を観て翼の存在を知りいつか会ってみたいと思った。
そして瑠翔には帰る場所が無いと聞いた源一郎の提案で、宇佐美家で暮らす事になった。
いちかも笑顔で賛成し、瑠翔はいちか達と一緒に暮らす事になった。
今の時刻は夜、この世界に来てから初めての夜を迎えた瑠翔はシャワーも浴びて夕食も三人で食べ終え後は寝るだけだ。
いちかの隣にある空いている部屋が瑠翔の部屋になる。ベッドなどはまだ無いので、今は客人用の布団をひいてある。
布団に横になると、疲れからかすぐに眠気が襲う。眠りに落ちる直前に、たくさんの思いを込めて言った。
「俺、頑張るよ・・・・・・母さん」
次回予告
ハウンドとの戦いから翌日、今度はいちかが戦いの運命を背負うことになる・・・。
【第二話 大好きを守る、兎のパティシエ】
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この小説はシンフォギアを題材とした自作品、「紅牙絶唱シンフォギア」のその後の作品となっています。
シンフォギアに登場した人物や用語なども物語に絡みます(主人公及び母親が風鳴である、など)。
物語の構成として、ガヴとキラプリの話を交互にやる場合もあれば、二つが混ざった話になったりします。
この話で早速、いちかだけでなく父親の源一郎もオリ主の事情を知りましたが、この方が物語もスムーズに進められると判断したからです。
次回はキラプリ第一話の話となります。
そんな感じですが、この小説もよろしくお願いいたします。