ガヴッと・プリキュアアラモード 〜菓子の英雄〜 作:エルミン
前話の次回予告にあったプリアラ3話の話の前に、この話を投稿します。
とある日の午後。瑠翔は源一郎に頼まれて食材の買い出しをしていた。
瑠翔も人間界で暮らすようになってある程度経ち、日常生活も問題なく送れる程に馴染んでいた。
「えっと、頼まれたのはこれで全部か・・・ん?」
帰り道を通っている途中に、何か争うような音を聞く。
どうしても気になって様子を見に行くと、青い髪の少女が異形の怪人・・・グラニュートに襲われようとしていた。
毒キノコをモチーフとしたグラニュート・キノミヤだ。
「これは良いヒトプレスだ、偶々とはいえ良いもんを得た。じゃあ、お前はヒトプレスにしても意味ねぇし、死んでもらおうか!」
キノミヤは幸せな人間をヒトプレスにしたが、それを少女に目撃されてしまい口封じのため少女を殺そうとしている。
グラニュートへの恐怖に目をつむる少女。
その時、瑠翔がキノミヤを蹴って少女から遠ざける。そして少女を抱きしめて走りキノミヤから引き離す。
少し離れたところで、少女を離す。
「チッ・・・邪魔が入った!」
キノミヤは瑠翔の邪魔が入った直後に撤退していた。手に入ったヒトプレスを持ったままだったのでそれは奪還出来なかったが・・・。
「大丈夫?怪我はない?」
「あ、あぁ・・・」
「良かった・・・」
少女を安心させるように優しく声をかけて、優しく頭を撫でる。
かつて不安な自分を安心させてくれた母の様に。
瑠翔のお陰で少しずつ冷静さを取り戻していく少女。
「あ、ありがとう。助けてくれて」
「気にしないで、無事で良かった」
「一体、何だったんだよ。あの怪物・・・」
「あれはグラニュート。闇菓子というのを食べたいが為に人を襲うんだ」
「グラ、ニュート?闇菓子って・・・?」
瑠翔は少女にグラニュートと闇菓子の事を説明。だが、自分がハーフである事や仮面ライダーである事、母親の事は伏せた。
「そっか・・・そんな奴らが」
「幸せであれば誰でも良い・・・そんな感じかな」
「さっきあのグラニュートが持ってたのが、ヒトプレスってやつか・・・?」
「工場に持って行かれる前なら助けられるけど、持って行かれたらこっちから工場に行く術が無い」
「そうか・・・」
「それと、グラニュートの事はあまり言いふらさない方が良い。直接見た人じゃないと信じてもらえないだろうし、無関係な人を更に巻き込む事になってしまうかもしれないから」
「わかったよ・・・あ、そうだ!自己紹介がまだだった。私、立神 あおいっていうんだ」
「俺は風鳴 瑠翔」
瑠翔の苗字の風鳴を聞いた少女・・・あおいは世界的に有名な歌手の風鳴 翼を連想して目を輝かせる。
「え!?風鳴って、もしかして風鳴 翼の家族なのか!?」
「え!?いやその、俺は会った事が無くて・・・」
「そ、そうなのか?わかった、これ以上は聞かないよ」
「うん。ありがとう」
あおいはこれ以上聞かず、話題を切り替える。
「そうだ!助けてくれたお礼に、明日私達のバンドグループのステージに招待するよ!」
「ばんどぐるーぷ?・・・すてーじ・・・?」
「あぁ、私の歌で瑠翔にロック魂を届けるよ!」
「歌か・・・わかった、行かせてもらうよ」
「よっしゃ!楽しみにしてろよ!あ、それと私の事はあおいって呼んでくれ。よろしくな瑠翔!」
「うん、よろしくね。あおい」
本来の明るさを取り戻したあおいの誘いを受けて、瑠翔は明日のバンドを楽しみにしていた。
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翌日、瑠翔は招待された広場へ向かう。
そして、あおいのバンドグループ「ワイルドアジュール」がステージ上で歌を披露。
あおいが歌っているのはロック系の歌で激しく力強い、それでいてハッキリと聞こえる歌で初めて聞く瑠翔も聞き惚れていた。
そして最後の歌を歌い終えて、終わりの挨拶を決める。
観客達やバンドメンバーの皆が笑顔で終えたライブだったが、問題はここからだった。
観客達も解散し、瑠翔も会場を離れようとしたが、瑠翔は初めて見るステージの構造が気になり外観をグルっと一周周り見ようとした。
ところが、ステージの裏口にストマック家の眷属であるエージェントが入っていくのを目撃。
「あれは・・・リボンの色からシータ姉さんのエージェント・・・あそこにバイトのグラニュートが・・・?」
服から垂れている白い止血テープからシータのエージェントである事を見抜き、ゴチゾウ一体を尾行させて瑠翔自身はあおい達の安全を優先する為に探していく。
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舞台の裏、エージェントはキノミヤからヒトプレスを受け取った。
「報酬です」
「おぉっ、ありがてぇ」
ヒトプレスを受け取ったエージェントは近くの扉に入りグラニュート界へ帰還。
キノミヤが受け取った闇菓子は三つ。その内一つを光悦の表情で食べ、次の獲物に狙いを定めた。
少し後、エージェントを尾行していたゴチゾウから聞いた瑠翔は工場に運ばれた人の救助は間に合わない事を悟り、悔しさを感じながら、あおい達を探す事を続行した。
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バンドを終えたあおい達は舞台裏の控室で休憩しており、あおいはバンドメンバーと楽しく話していた。
「あおい、今日はいつもより気合い入れて歌ってたって感じだね」
「え、そうかな・・・?」
「そうだって、付き合い長いからわかるっての」
「何かあったのかい?」
「いや~、気のせいだろ」
あおいは瑠翔と約束もあって昨日の事を話さずにいるが、それを知らない皆から色々聞かれそうになる。
すると、ドアがノックされて舞台のスタッフが入る。
「皆さん、お疲れ様でした。今回のステージも良かったですよ」
「「「「ありがとうございます!」」」」
「お客様の評価も良かったですし、私も素晴らしいと思います」
スタッフからも褒められ、ワイルドアジュールの皆が喜ぶ。それは大きな幸せな感情となり・・・。
スタッフの腹から伸びた大きな舌が、あおい以外のワイルドアジュールのメンバーをヒトプレスに変えてしまった。
「───え?」
突然の事に呆然とするあおい。ヒトプレスを回収したスタッフ・・・否、グラニュートは腹からミミックキーを抜いて本来の姿に戻る。
昨日あおいを襲ったグラニュート・キノミヤだ。キノミヤはあおいに向けて言う。
「昨日仕留めそこねたが、今度はそうはいかねぇ。お前だけはヒトプレスにせず殺してやる」
「・・・・・・を」
「んん?」
「皆を返せえぇぇぇぇぇぇ!!」
グラニュートへの恐怖を仲間をヒトプレスにされた怒りが上回り、怒りのままに座っていたパイプ椅子を持ってキノミヤに攻撃する!
だが、屈強な体を持つグラニュートに敵うはずがなく、片腕であっさり受け止められてヒトプレスを持つもう片方の手で振り払われる。
壁にぶつかったあおいは、痛みを感じながらも立ち上がる。
キノミヤが笑いながらあおいにトドメを刺そうとしたその時、部屋に入った瑠翔がガヴガブレイドでキノミヤのヒトプレスを持つ手を攻撃。
痛みで手放されたヒトプレスを瑠翔は全て回収、あおいの近くに着地してガヴガブレイドを一旦床に置く。
「瑠翔!」
「あいつは俺が倒す。あおいはこれを持ってて、その人達は必ず助けるから」
「うん、瑠翔を信じる・・・!」
瑠翔からワイルドアジュールの皆のヒトプレスを受け取って大切に両手に抱える。
「お前・・・昨日の!?」
キノミヤの言葉には答えず、赤ガヴを出してゴチゾウを持ち装填する。
あおいとキノミヤは、赤ガヴに目を奪われる。
「赤いガヴだと!?」
赤ガヴにポッピングミゴチゾウをセットして、ガヴドルを回してデリカッションを押してガヴに変身。
《グミ!》
《イートグミ!イートグミ!》
「変身!」
《ポッピングミ、ジューシー!》
ガヴに変身を終えると同時に床に置いたガヴガブレイドを拾い、キノミヤを抑えつけて強引に舞台外に出す。
そして外に出た事で心置きなく戦えるようになったガヴが、ガヴガブレイドで斬りかかるがキノミヤはキノコ型爆弾を大量に生成して投げつける。
直接当てるわけではなく、爆発に巻き込む事を目的とした攻撃だ。
完全には避けきれずある程度爆発を受けてしまい、グミの装甲は一部弾け飛ぶ。
「瑠翔!」
ガヴを心配して外に出てきたあおいが叫ぶが、ガヴはそのまま走り力強い一閃を当てる!
体に傷を負い倒れるキノミヤ。ガヴは大丈夫という事を伝えるため、あおいに向けてサムズアップ。
あおいも安心したのか、ホッとしてサムズアップを返す。
そして、赤ガヴのゴチゾウをザクザクチップスに変更する。
《ザクザクチップス!ザックザク!》
ザクザクチップスラッシャーを両手に持ち、今度は真っ直ぐではなくかく乱する様にジグザグに動く。
キノミヤは素早く動くガヴにキノコ型爆弾を投げるが中々当たらない。
そして懐に入り込み、素早い斬撃を複数回当てる。だがキノミヤもダメージに耐えながらガヴを蹴り飛ばして距離を取る。
すると、煎餅のゴチゾウである「ビュンベイゴチゾウ」がガヴの肩に乗って自分を使うように進言。
「わかった、使わせてもらう」
ガヴはビュンベイゴチゾウを赤ガヴに装填、ガヴドルを回してデリカッションを押す。
《センベイ!》
《EATセンベイ!EATセンベイ!》
《ビュンベイ!》
ビュンベイゴチゾウの力を解放した事で、ザクザクチップスラッシャーが消えて別の武器が出る。
「ま、丸いなぁ・・・でも使えそうだ」
ガヴは一瞬戸惑ったが問題ないと判断して攻撃を仕掛ける。
煎餅圏はキノミヤに攻撃してもザクザクチップスラッシャーと異なり、すぐに砕ける事はなかった。
だが、やはりザクザクチップスラッシャーよりは頑丈というだけで、武器自体は砕けやすいというのは変わらない。
複数回攻撃すると取っ手を除いて砕けてしまう。
だが、それを予期していたガヴは慌てず武器を再生させてもう一度切り裂く。
煎餅圏はザクザクチップスラッシャーの様に角度に気を付けないと砕けやすいが、すぐに再生出来る武器である事が判明。
しかもザクザクチップスラッシャーよりは頑丈であるため、多少は角度を気にせず切れる。
だがザクザクチップスラッシャーより重く、完全に使いこなすのはザクザクチップスラッシャーより難しいと言える。
だが今はこれで十分と言わんばかりに、複数回切り裂いてダメージを蓄積させていく。
そしてガヴはキノミヤに問いかける。
「どうする?もう二度と闇菓子に関わらないか、この場で俺に倒されるか!」
「闇菓子を諦めるなんてありえねぇ!絶対に食い続けるんだ!」
「そうか・・・」
最終通告を断ったキノミヤにトドメを刺すべく、ガヴは再びガヴドルを回してデリカッションを押す。
《CHARGE ME!CHARGE ME!》
《ビュンベイローリング!》
煎餅圏の刃にエネルギーが溜まり、最大まで溜まったところで煎餅圏を投げつける。
二つの煎餅圏は回転しながら切れ味を増した状態でキノミヤに当たり、その体を容赦なく切断。キノミヤは断末魔の叫びを上げて爆発。
ビュンベイゴチゾウが昇天し、変身が解ける。
「瑠翔!大丈夫か!?」
「大丈夫だ、あおいや仲間達が無事で良かった」
瑠翔を心配して駆け寄るあおい。瑠翔はあおいを安心させるように笑顔で答えた。
そして、ヒトプレスにされたワイルドアジュールのメンバーは、控室で封を切って解放。
控室は可能な限り綺麗にしてから行い、メンバーに違和感を抱かせないようにしたので、あおいが少し話を合わせる事で混乱を起こさずに済んだ。
そして、瑠翔とあおいは外で二人きりになり話していた。
「瑠翔、改めて・・・皆を助けてくれてありがとう!」
「うん、どういたしまして・・・・・・あおい、聞いてほしいんだ」
瑠翔は昨日話さなかった事を話した。
自分が人間とグラニュートのハーフであること。
母はグラニュートの住む世界に強引に拉致されたこと。
ストマック社の社長や社員は自分の異母兄弟であること。
皆からひどい扱いを受けたこと。
唯一の味方だった母を兄達に殺され、この人間界へ逃げてきたこと。
全てを聞いたあおいは、優しい声で言う。
「話してくれて、ありがとうな」
「ううん、君には聞いてほしかったから」
「そして話を聞いてよーくわかった。瑠翔のお母さん以外、皆サイテーだって事が・・・!」
「・・・・・・」
「私は瑠翔本人じゃないから、瑠翔の大変な思いとか全部分かるとは言わないけど・・・」
あおいは真剣な表情で瑠翔の正面に立ち、ハッキリと告げる。
「私、瑠翔のこと手伝いたい!ワイルドアジュールの皆を助けてくれた恩もあるし、何の力も無いけど・・・でも、出来ることがあるなら・・・!」
「・・・・・・わかったよ。グラニュートとの戦いは本当に危ないことだし、断るのが正しいのかもしれない。でも、あおいの真剣な願いを断りたくない」
瑠翔もあおいの真剣な気持ちに応えるように、手を差し伸べる。
「俺を・・・・・・支えてくれるかい?」
「あぁ!もちろんだ!」
笑顔で握手する二人。瑠翔はこの日、新たな理解者を得た。
そしてあおいも、いちかやひまりと同じくプリキュアになる運命を持つ事を知るのは、近い・・・。
次回予告
いちか達があおいと出会い、瑠翔もあおいと再会する。そして、あおいは新たなプリキュアへと覚醒する。
【第六話 アイスの獅子、吠える】
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今回出したビュンベイゴチゾウによるオリジナル武器は、鎧武の「キウイ撃輪」の柄が煎餅のようになっている・・・とイメージして下さい。