カードゲーム世界で、俺はカードだけを集めたい 作:パワカもぐもぐ
『守護龍 ガーディアン・ドラゴン』
コスト:8
攻撃力/体力:6/8
『求道者 ミマモル』
コスト:7
攻撃力/体力:4/8
ルナは突如湧いてきた大型をユニットを前に息を飲む。今までの攻勢をひっくり返されかねないダメージ・カウンターだ。
「ガーディアン・ドラゴンは当然ディフェンダー持ち! さらにこのユニットは1ターンに何度でもディフェンダーの能力を発動できる! これであんたの攻撃は通らないわよ!」
「来たぜ! ネオンのガーディアン・ドラゴン! こいつは硬いんだよなあ」
タツミがガーディアン・ドラゴンの登場にテンションを上げているが、あのカードをネオンにあげたのはタツミだ。
「くっ、ヘル・ライダーは攻撃しなければターンの終了時に破壊されてしまいます……ならば少しでもユニットの体力を削りますわ! ガーディアン・ドラゴンに攻撃!」
無謀にもガーディアン・ドラゴンへと特攻を仕掛けたヘル・ライダーは、白く輝くブレスにより、その身は消し炭になった。
これでルナの場のユニットは4体。まだ数では勝っているが、ユニットの質はあちらの方が上だ。
「あたしのターン! あたしは魔力を4使って『鉄壁の鎧』を場に出すわ! この秘宝カードはあたしの場のディフェンダーの能力を持つユニットが受けるダメージを1減らす!」
ネオンの場に出た古めかしい鎧から魔力が溢れ、ユニットに力を与えた。
着々とネオンの守りの布陣が形成される様子を見て、ルナも焦りの表情を見せる。メガオとタケルもルナが不利になりそうな状況に不安そうだ。
「あたしはミマモルで荒々プリンセスに攻撃よ」
ミマモルは鉄球を持った荒々プリンセスに素手で向かい、鉄球に当たりながらも彼女を殴り飛ばした。
「あたしのターンの終了にミマモルの効果発動。自分の場のディフェンダーの能力を持つユニットは、体力を2回復するわ」
『守護龍 ガーディアン・ドラゴン』
体力:7→8
『求道者 ミマモル』
体力:5→7
「ククク!? 削ったユニットの体力が回復!?」
「これじゃあ、いくら殴っても倒せねえ!」
ルナの場のユニットでは『鉄壁の鎧』の効果で、2ダメージしか与えられない。魔力5で7以上の攻撃力を持っているユニットはそうそういないため、ユニットを破壊するカードを引き込む必要がある。
「わたくしのターン! 魔力を5使って『爆走軍団 ギリギリ・ケイティ』を召喚! デッキの上からカードを3枚をめくり、その中から「爆走軍団」と名前が付くカードを1枚、手札に加えますわ……わたくしは『爆走軍団の計画』を手札に。わたくしはターンエンド。攻撃をしなかったので、ヘル・ライダーは破壊されますわ」
「その様子だと、あたしのユニットを倒せるカードは引けなかったようね」
「確かに今のわたくしの手札では、あなたのユニットを倒せませんわ。でもあなたも下手に攻撃すればわたくしのユニットの攻撃を通してしまいます。まだまだ時間はあるでしょう?」
ディフェンダーの能力の隙を突いて時間を稼ごうとするルナ。ネオンの体力は半分いかないくらいは減っているため、ルナの言う通りまだ盤面を整える必要がある。
だがルナの言葉を聞いたネオンは鼻で笑った。まるで彼女の手にはもう攻撃に移る手段があるかのように。
「あんた速攻デッキのくせに考えがトロいのよ! あたしは魔力5で『パーフェクト・ガード・デザイナー』を召喚!」
ネオンの場に現れたのは細身のメガネをかけた男。ボサボサの髪をかきながら、何かを思案するようにパソコンを触っている。
「このカードはディフェンダー持ちじゃないけど、あたしのディフェンダーユニットを完成させるキーカード! 効果であたしの場のディフェンダーの能力を持っているユニットは、前ターンに攻撃をしていても能力を発動できる!」
「なんですって!?」
『パーフェクト・ガード・デザイナー』の効果を聞き、ルナが驚きの声をあげる。彼女の思惑は外れ、ネオンの2体のユニットが攻撃できることを意味するからだ。
「ガーディアン・ドラゴンとミマモルであんたに攻撃するわ!」
「くぅっ! ですが、わたくしもダメージ・カウンターがありますわ! 『爆走軍団の計画』!」
「ああ、さっきサーチしたカードね」
「このカードは相手のユニットに1ダメージを与えるか、自分の手札を1枚捨てて、2枚ドローできる魔法カードですわ。ただわたくしの場に「爆走軍団」のユニットがいれば、両方の効果を適用できる! わたくしは『パーフェクト・ガード・デザイナー』に1ダメージを与え、さらに手札を1枚捨て、2枚ドロー!」
「へえ、良いカードじゃない。でもあんたの体力が減るのに変わりはないわ」
有野ルナ:体力20→10
ネオンの攻撃により、ルナとの体力は逆転した。
ミマモルの効果で、ネオンのディフェンダーのユニットの体力は満タン。加えて『パーフェクト・ガード・デザイナー』によって、守りも万全だ。
この牙城を崩すのはルナにとって至難の業である。
しかしルナは苦しそうではあるが、目は死んでいない。むしろ逆境でメラメラと闘志が燃え上がっている。
ネオンもそんなルナの様子を感じ取ったのか、声をかける。
「あんた、どうしてそんなに楽しそうなの。何もできなかったら、次のターンであんたの負けなのよ」
「おーほっほっほ! 何を言うかと思えば……それはここから勝てば超気持ちいいからに決まってますわ!」
「わかるぜ! ピンチの時ほど熱くなるもんな!」
「……ちっ! 熱くなっても勝てるわけじゃないんだから!」
ルナの言葉に同意したタツミを見て苛つくネオンは激しく吠える。彼女の言う通り、気持ちだけでどうにかなる訳ではない。ただメンタルの持ち用が対戦に影響するのは確かだ。
「わたくしのターン、ドロー!」
カードゲームの世界の強者は、総じて運命力が高い。もちろん狙ったカードを毎回引き込めるとまではいかないが、ここぞとばかりの引き運は確率を凌駕する。
「勝利へのカードが来ましたわ! わたくしは『魔王 爆走軍団の団長 デッド・オーバーヒート』を召喚!」
「ここで魔王カード!?」
『魔王 爆走軍団の団長 デッド・オーバーヒート』
コスト:10
攻撃力/体力:0/*
ルナの場に魔王が降臨した。
謎のトゲトゲの肩パッドに革ジャン。バイクに跨るその姿は世紀末感を醸し出している。
ただ、その姿は異形そのもの。頭に生えた2本の角に、青い皮膚は焼けただれており、大きな一つ目はギョロギョロしている。
「デッド・オーバーヒートは本来コストは10ですが、体力を支払うことで、コストを下げることができますわ! わたくしは体力を6支払ったため、魔力4で召喚!」
有野ルナ:体力10→4
「デッド・オーバーヒートの召喚時の効果を発動!デッキの上から体力を支払った数値分、カードを表向きにしますわ! その中の「爆走軍団」の名のついたカードの数まで、相手のユニットを破壊することができますわ!」
「はあ!?」
「わたくしのデッキは、全て『爆走軍団』カード! 相手の場のユニットを3体破壊!」
デッド・オーバーヒートの特徴的な目から放たれたレーザーにより、ネオンのユニットは全て焼き払われた。
燃え盛る自身のユニットを見て、ネオンは歯ぎしりする。
「デッド・オーバーヒートはクイック・センスでこのターン攻撃可能! 攻撃力は自分の場の爆走軍団の数、2ずつ上昇しますわ! わたくしは残りの魔力でワン公を召喚! これでデッド・オーバーヒートの攻撃力は8になりますわ!」
『魔王 爆走軍団の団長 デッド・オーバーヒート』
攻撃力:0→8
「ククク、ルナは過剰打点を作ることに成功。ダメージ・カウンターがなければ、ルナの勝ちだ」
「いけえ! ルナ!」
「わたくしはデッド・オーバーヒートでプレイヤーに攻撃!」
ルナの攻撃宣言に合わせて、デッド・オーバーヒートは叫び声をあげながらネオンへと攻撃した。
甘空ネオン:体力12→4
「ダメージ・カウンター! 『ビューティー・スノー』! これであんたのユニットは攻撃できない!」
俺はネオンが発動したカードを見て目を見張る。
ネオンの奴、イベント時期に北海道に行ってたのか!
四天王3人も最近話題にしていたカードによって攻撃を止められ驚いている。
そしてルナのターンが終了し、ネオンにターンが回った。
「止められこそしましたが、わたくしが有利なことに変わりはありませんわ」
「はんっ! あたしは最後まで諦めないわ!」
「あら、熱くなっても勝てるかどうかはわからないのでしょう?」
「悪かったわね! あたしのターン、ドロー!」
意趣返しをされて悪態をつきながら、ネオンはターン始めのドローをした。
「あたしは負けない! 魔力5で『スリップ・シェル・インセクト』を召喚! このカードはガーディアン・ドラゴンと同じで、何回もディフェンダーの能力を使えるわ! さらにバトルで体力も減らない!」
「……お忘れかもしれませんが、わたくしの場にはヴーア技師がいますわ」
「それがどうし……あっ」
ネオンはミマモルでユニットを攻撃した際に、打点を落とすことを優先して荒々プリンセスを選んだ。あの時はヴーア技師の効果でユニットを破壊されることがないと踏んでいたのだろうが、ここにきて仇になった。
「あ、あたしはターンを終了するわ」
「わたくしのターンですわね。ヴーア技師の効果で『スリップ・シェル・インセクト』を破壊。デッド・オーバーヒートでとどめですわ」
甘空ネオン:体力4→0
□
「今回はあたしの負けだけど、次はあたしが勝つんだから!」
「また対戦してくださるの? ぜひお願いしますわ!」
「へっ!? な、なによ、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
対戦が終わり膝から崩れ落ちたかと思えば、すぐに立ち上がりルナに食ってかかるネオン。
そんなネオンを微笑ましく思ったのか、ルナは穏やかに対応する。
ルナの対応に毒気を抜かれたネオンは、たじたじになった。
「二人ともすごかったぞ! 次は俺とやろうぜ!」
「いい対戦だったよ」
「ククク、実に見事」
「感動!」
俺たち4人は彼女らの勝負を讃える。
ルナの方が不利かと思ったが、終わってみればどちらが勝つかわからないかなりの激戦だった。観客として非常に楽しむことができた。
「褒められたってお礼しか言わないわよ。それとキモオタは対戦の準備をして」
「え? 俺?」
「
そういえば最初に言ってた気がするな。タツミがやりたがってるからタツミじゃダメ?
乗り気でないまま対戦をした俺は、前の対戦で調子づいたネオンに負けてしまい、煽られるのだった。
カード紹介
守護龍 ガーディアン・ドラゴン
レアリティ:RR
コスト:8
ユニットカード
種族:ドラゴン
攻撃力/体力:6/8
効果:ディフェンダー
このカードは、1ターンに何度でもディフェンダーの能力を発動できる。
フレーバーテキスト:ガーディアン・ドラゴンは龍の里の防衛の要だ。
求道者 ミマモル
レアリティ:SR
コスト:7
ユニットカード
種族:人間
攻撃力/体力:4/8
効果:ディフェンダー
自分のターンの終了時、自分の場のディフェンダーの能力を持つユニットの体力を2回復する。
フレーバーテキスト:全てを守りたいと思うのは愚かなことだろうか。
鉄壁の鎧
レアリティ:R
コスト:4
秘宝カード
効果:自分の場のディフェンダーの能力を持つユニットは、相手から受けるダメージが1減る。
フレーバーテキスト:鎧の質は、勝敗を左右する。
爆走軍団 ギリギリ・ケイティ
レアリティ:SR
コスト:5
ユニットカード
種族:悪魔
攻撃力/体力:4/4
効果:クイック・センス
場に召喚した時、デッキの上からカードを3枚をめくり、その中から「爆走軍団」と名前が付くカードを1枚、手札に加えることができる。残りの2枚のカードは、好きな順番でデッキの一番下に戻す。
フレーバーテキスト:怠け者だが、やる時はやる奴。軍団内で彼はそのように認識されている。
パーフェクト・ガード・デザイナー
レアリティ:SR
コスト:5
ユニットカード
種族:人間
攻撃力/体力:3/3
効果:自分の場のディフェンダーの能力を持っているユニットは、前ターンに攻撃をしていても能力を発動できる
フレーバーテキスト:彼が考案した防衛システムは、多くの国の侵攻を防ぐことに成功した。
爆走軍団の計画
レアリティ:R
コスト:2
魔法カード
効果:ダメージ・カウンター
次の効果のうち、いずれかひとつを選ぶ。
自分の場に「爆走軍団」と名がつくユニットが入れば、両方の効果を適用する。
・相手のユニット1体に1ダメージ。
・自分の手札を1枚捨て、デッキからカードを2枚ドローする。
フレーバーテキスト:爆走軍団は自由に走ることを妨げようとする国を落とすことにした。
魔王 爆走軍団の団長 デッド・オーバーヒート
レアリティ:LR
コスト:10
ユニットカード
種族:アンデッド
攻撃力/体力:0/*
効果:クイック・センス
このカードは、自分の体力を支払うことで、その数値分、コストを下げることができる(1よりは少なくならない)。この効果で体力を支払って場に召喚した時、支払った数だけデッキの上からカードをめくる。その中の「爆走軍団」のカードの枚数まで、相手の場のユニットを破壊することができる。めくったカードは墓地に送られる。
このカードの攻撃力は、自分の場の他の「爆走軍団」と名がつくユニット1体につき2上がる。
フレーバーテキスト:かつては高名な悪魔だった彼がなぜアンデッドになったのか知る者はいない。
スリップ・シェル・インセクト
レアリティ:R
コスト:5
ユニットカード
種族:昆虫
攻撃力/体力:1/2
効果:ディフェンダー
このカードは、1ターンに何度でもディフェンダーの能力を発動できる。
このカードはバトルでダメージを受けない。
召喚した次のターンの終了時に、このカードは墓地に送られる。
フレーバーテキスト:一年に一度大量発生するかの虫の抜け殻は、鎧の素材として重宝されている。