ゼンゼロの世界で技研の技術を使い翼を広げる独立傭兵(レイヴン) 作:ワニさん
アキラ「怜磁くん、今日は僕が裏の整理に入るから、店番頼めるかい?」
アキラがそう言って部屋を出ていった。リンもアキラの裏の扉に一緒に入りボンプを渡すためニコたち邪兎屋と合流するため、店を後にする。今日の依頼は、ホロウ内に置き去りにされたアタッシュケースの回収。報酬は破格だという。
怜磁は返事をしながらも、内心でタイミングを見計らっていた。
怜磁「さて……準備完了っと」
ホロウの扉が開く瞬間を見計らい、怜磁は裏口からそっと姿を消す。表向きは店番を任されているが、真の目的は別にある。
先日、謎の男から渡された封筒と「技研」の名。その中に記された座標データが、今日のホロウと一致していた。偶然ではない。そこに、彼の"記憶"のかけらがある——そう確信していた。
ホロウ内は、例によって歪んでいた。建物がねじれ、通路が回転し、空間そのものが迷路のように動き続ける。怜磁は一歩ごとに構造が変わる道を、慎重に踏みしめて進んでいった。
怜磁「アキラさんやリンさんには悪いけど……これは俺の問題だ」
一方その頃、別ルートからホロウに進入していた邪兎屋の面々は、アキラに憑依されたボンプのカメラ映像と、フェアリーで分析したマップ情報をもとに慎重に進んでいた。
リン「道がまた変わった……こっちの通路、今は繋がっていないよ」
リンがモニターを見つめながら、通信越しにニコへと指示を送る。
ニコ「了解よ、プロキシ、前方に何かいる?」
アキラ「……大型エーテリアスだ。数は一体、だが……これは通常個体じゃない。十分注意してくれ」
アンビー「わかったわプロキシ先生…ビリー 猫又、対処しに行くよ」
ビリー「あいよ!」
猫又「任されたにゃー」
しかし、その大型エーテリアスは、怜磁が進むべきルートのすぐ近くにも現れていた。つまり、ニコたちと怜磁は、それぞれ異なる入り口から同じ標的へと向かっていたのだ。
怜磁は、迷路のような構造の中に埋もれた、鉄の破片を見つけた。朽ち果てた金属片。それは彼にとって、何よりも見慣れたものだった。
怜磁「これは……間違いない、俺の機体と同じ素材……ACのパーツだ。左脚部外装……」
微細な刻印や接合部の形状は、過去の彼が"身にまとっていたもの"と一致していた。
その瞬間、警戒音が響いた。
——グォオオオオ……
空気がねじれ、紫黒い瘴気があたりに満ちる。
怜磁「来たか……」
目の前に現れたのは、ニコたちが目標にしていた"高濃度エーテル反応個体"。だが、彼らは未だ遠く、この異形と対峙するのは怜磁ただ一人だった。
怜磁「逃げるのも選択肢だが……」
握る拳。肌を走る戦慄。だが、後には引けなかった。
怜磁「これは俺が、俺自身に問うための戦いだ…」
エーテルの濁流を物ともせず、怜磁はその巨躯に向けて跳躍した。
外部では、アキラとリンがホロウの反応に異変を感じていた。
アキラ「おかしいな……この反応、ニコたちじゃない位置から急に発生したぞ?」
ニコ「え?誰かが別に入ってるってこと……?」
アンビー「キャロットも無しにホロウに入るのなら…相当危険ね…」
ビリー「どうする?見に行くか?」
猫又「エーテリアス化した時にめちゃ強くなられたら困るにゃー」
ニコ「そうねぇ…」
アキラ「それとも、エーテルの濃度が不規則に集中しただけか……?少し視野を広げて見るよ」
だがその映像に、怜磁の姿は映らない。彼の侵入は、完全に隠密だった。
激しい打撃と共に、怜磁は金属片を拾い上げ、背後に跳び退いた。倒れた異形の残骸は、今なお腐食したエーテルをまき散らしている。
怜磁「はあ……なんとか、なったか……」
その掌には、技研と彼自身の過去を繋ぐ"証拠"があった。
怜磁「これは……絶対に、知らなきゃいけないことだ」
ホロウの内部が、また構造を変える。時間がない。怜磁はその場を後にし、再び店へと戻る道を選んだ。
その後、ニコたちは無事にアタッシュケースを回収。アキラとリンも任務の成功に安堵する。
だが、誰も知らない。
彼らのすぐ近くに、店番の顔をしたまま"別の真実"を手にした男がいたことを——。
呼んでくれてありがとうございましたー