ハリー・ポッターと闇堕ちルートのレガ主   作:今井亜美(ハーメルンのすがた)

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十一章 禁じられた森

 

 楽しい楽しいクリスマス休暇が終わり、再び殆どの生徒にとって退屈な授業が始まった。

 クリスマスを経てメアリーの周りの人間関係は変わろうとしていた。

 

 まずダフネと疎遠になった。

 

 というのも休暇が明けて彼女が帰ってきてから、ベッドがビスケットのかすやジュースのしみで汚れていた事を問い詰められたからだ。

 

 メアリーは悪びれず自分の食べかすだと白状し、ダフネに滅茶苦茶怒られた。

 怒られてる最中、どうにか彼女の機嫌を取ろうとこの馬鹿が考えたのが、ついこないだのクリスマスの日に知った、あのお手軽幸運薬についてだった。

 

 そうして、説教相手にキスをするという新婚の夫婦でも中々やらない事をしたメアリーは無事に顔面をダフネにグーで殴られて、距離を置かれたという訳だ。

 

 マナーの悪さが治るまで口を聞くつもりは無いという事で、話しかけても無視される様になってしまった。

 

 そうしてちょっと前までと同じ様に、メアリーは再び寝坊する様になり、また朝の授業には出席しない事となった。

 

 反面、ハリー達はと言うと……こっちはもっと複雑な事になった。

 

 あの日以来、ハリーと会うたびにキスしていたメアリーだったが、このクソボケが休暇終了と同時に自重する……なんて事があろう筈もなく。

 

 次の日のグリフィンドールとスリザリンの合同授業(魔法史)の際、遅れてやってきたコイツが当たり前の様にキスをぶちかまし、ウトウトしていたみんなが一斉に覚醒するという大事件が発生した。

 

 それからハリーとメアリーが付き合っている、という根も葉も茎もある噂が学校中に蔓延し、ハリーは顔を真っ赤にして否定した。

 

 メアリーは何言ってんだコイツら? という顔をして、次の挨拶として隣のハーマイオニーにキスをした。

 

 ビンタされた。

 

 メアリーは頬に出来た赤い紅葉を押さえながら、頭に大量のクエスチョンマークを浮かべてその場を立ち去った。

 

 

 

「どう思う、ディーク?」

「それはあなたが悪いとディークは思います」

 

 青白い月明かりが優しく部屋を包みこんでいる、ある部屋。

 王族が座る様な上等な椅子に座って頬杖を付いているメアリーは、友人と優雅なティータイムを楽しんでいた。

 

 必要の部屋、という便利な部屋が、ホグワーツにはある。

 

 これは部屋に入った者の望みを部屋が勝手に叶えてくれる、という夢の様な場所で、百年前からメアリーは半ば私物化していた。

 

 当然、再びホグワーツに戻ってきても、度々利用していたのだが、ダフネと疎遠になった事で寝室の居心地が悪くなり、必要の部屋で一晩明かす事も多くなっていた。

 

 そんなメアリーの必要の部屋を管理してくれているのが、ホグワーツに仕える屋敷しもべ妖精のディークである。ディークは百年前からメアリーの友であり、気さくに話し合える仲である。

 

「メアリー様はもう少し、常識を学ぶべきでございます。キスは恋人同士で行うものでございます。ダフネ様達が怒るのも無理ありません」

「そうなのかなぁ……? 私、何回もハリーとキスしちゃったよ」

 

「謝罪をして二度とキスをしないか、きちんと関係を整理して恋人になるべきでございます」

「うーん、恋人はめんどいからやだけど、キスはしたいな……」

 

 ナチュラルに最低な発言をするメアリーにディークは呆れた。

 これではダフネ嬢と仲直りするのは、随分先の様に思えた。

 

「それより、あなたさえもしよろしければ、またディークに力を貸して頂きたいのですが……」

「どうしたの? 何か困りごと?」

 

「最近、禁じられた森に怪しい者が出入りしている様なのです」

「まさか、密猟者? まだホグワーツで密漁しようなんて奴がいたんだ」

 

「密漁ではないようですが……ユニコーンが襲われている様です。保護してあげないといけません」

「酷い……罪のないユニコーンを襲うなんて、最低だよ! でも密漁が目的じゃないならどうしてユニコーンを襲うんだろう?」

 

「ユニコーンの血や肉には不死の力があります。恐らくそれが目当てなのでしょう」

 

 不死、と聞いてメアリーには思い当たる事があった。

 それはハリーが言っていた賢者の石だった。

 

 クィレルやスネイプが狙っているらしい、この石と同じ力を持つユニコーン。

 点と点が線で繋がるのが見える様な気がした。

 

(もし犯人がトムくんなら……)

 

 トム・リドルは彼女がこのホグワーツにやってきた目的である。

 目的を達する為には、彼に肉体を取り戻してもらわないといけないが……。

 

(関係ないよね。動物を虐める奴は殺していい。ホグワーツの常識だよ)

 

 密猟者死すべし、慈悲は無い。

 その考えの下、かつてイギリス中の密猟者を狩りつくした彼女は即断で犯人が誰であろうと殺す事を決めた。

 

 そうして、ディークの依頼を二つ返事で引き受けた彼女は、すぐに禁じられた森に向かう事にしたのだった。

 

 

 

 

 真夜中。

 森に入ろうとしたメアリーは、自分と同じ様に森に入ろうとしている集団がいるのを見た。

 

 即ち、深夜外出の罰則を受けている、ハリーとハーマイオニーにロン、ドラコとハグリッドの五人だった。

 

「やあ、みんな。みんなも禁じられた森に行くの?」

 

 気さくに話しかけてきたメアリーに、五人は心底驚いた。

 

「お前さんは誰だ!? こんな所で何しちょる!?」

「初めまして、私はメアリー・オールドだよ。キミは?」

 

「ルビウス・ハグリッド。森の番人をしちょる。お前さん、何でこんな所をうろついてる? まさか、お前が犯人じゃないだろうな、ええ?」

 

 手に持っていたボウガンをメアリーに向けるハグリッドを慌ててハリーは止めた。

 

「ま、待ってよハグリッド! メアリーは僕達と同じ一年生で、僕の友達だ!」

「なに、一年生? それに友達?」

 

「ま、待ってハリー! メアリーは確かに一年生だけど、変態……じゃなくて天才的な才能の持ち主だわ。ねえ、貴方、森に入ろうとしてたんじゃないわよね?」

 

「ううん。私は森に入りに来たんだよ。ユニコーンに会いに来たんだ」

 

「何だと!?」

 

 ハグリッドは犯人を見つけたと顔を真っ赤にしながらカンカンに怒って、再びボウガンを向けた。

 ハリーは何とか抑えようとハグリッドに飛びついた。

 

 暫くもみ合いがあった末、ハグリッドはボウガンを暴発させてしまった。

 アッと思った時には矢がメアリーの胸に吸い込まれる様に飛び、彼女の胸を貫く────様な事もなく。

 

 矢は、胸の表面、中空で奇妙な停止をみせていた。

 

「おっと危ない……気を付けてよ、ルビウス」

 

 メアリーが手を払うと、矢は地面にからりと落ちた。

 危うく生徒を殺しかけた事で、ハグリッドはようやく冷静になった。

 

「お前さんがユニコーンを傷つけた犯人なのか?」

「私が? まさか! その逆だよ! ユニコーンが危ないって聞いたから、保護しに来たんだ。犯人を殺すまで安全な場所で過ごさないと」

 

「そ、そうだったか……いや、疑ってすまんかった」

「分かってくれたなら、別にいいよ」

 

「お前さんのその勇気と優しさは尊重するが、森に一人で入るなんて自殺行為だ。仕方ねえから、お前さんも俺達についてこい!」

「キミ達と?」

 

 メアリーは周りを見渡した。

 そこにいたのは、ブルブルと震えるロンとドラコ。怖がってはいるものの、まだ勇気のあるハーマイオニー。

 先日決闘術を教えたがまだまだ未熟なハリーに、杖ではなくボウガンを持った大男と、犬が一匹。

 

 もし敵が集団だったら、全員を守り切るのは骨が折れそうだ。

 でも裏を返せば自分がついていかないと、すぐに全員死んでしまいそう。

 

 禁じられた森には、危険な魔法生物が山ほどいるのだから。

 

「分かった、一緒に行こっか」

「よし、それじゃあ改めて組を分けるぞ」

 

「ボ、ボクは、そのマグル女とがいい」

 

 ここまで一言も喋っていなかったドラコ・マルフォイが言う。

 ドラコは普段こそメアリーを馬鹿にしているが、同じスリザリンなだけあって、彼女の実力がこの場で頭一つ抜けている事はよく理解していた。

 

「良かろう。ロンとハーマイオニーとファングは俺と一緒だ。ハリーとドラコとメアリーは一緒に行け」

 

 こうしてハリーとドラコという二人の子守をしながら、メアリーはユニコーンを探す事になった。

 道中、ランタンを片手にドラコがこんな罰則なんておかしいと、やたら騒ぎ立てていた。

 

 ハリーはそんなドラコを小ばかにして、ルーモス、と唱えた。

 

「ドラコ、僕達は魔法使いだよ? どうしてそんな大きなランタンを持ってるのさ?」

 

 ドラコは顔を真っ赤にしてランタンを投げ捨て、何度か失敗しつつもルーモスを唱えた。

 そんな二人を微笑ましく思いながらもメアリーは警戒しながら進んでいた。

 

 指をくるくると回し、杖なし無言呪文でレベリオを使いつつ先に進むと、地面に銀色に光る血を見つけた。

 

「メアリー、それ何?」

「血だよ、ユニコーンのね」

 

 血だまりは大きく、結構な怪我をしていると予測出来た。

 これは怪我の大きさによっては、既に死んでるかもしれないな、とメアリーは思った。

 

「行こう、二人共離れないで」

 

 血の跡を辿っていくと、森の奥の、少しひらけた場所に出た。

 そこにはユニコーンの遺体を前に、その血を啜る黒いローブの人物がいた。

 

「うわあああああっ!!!」

「あ、バカ!」

 

 マルフォイが悲鳴を上げて逃げ出す。

 ここで逃げられると、守れない。最悪他の魔法生物に殺される。メアリーは仕方なく振り返って、魔法で縄を生み出し、マルフォイを縛り上げた。

 

 

「うわああああっ!」

 

 騒がしいが、下手にどこかに行かれるよりよっぽどマシだ。

 

 一方黒いローブの人物が杖を取り出して二人に向けると、強い衝撃波がメアリーとハリーを襲った。

 メアリーは背後から繰り出されたはずのそれを何故か完璧に理解しており、すぐにプロテゴを張って防いだが、無言呪文をよく知らないハリーはタイミングを逃して吹っ飛ばされた。

 

 メアリーに防がれた衝撃波が跳ね返り、黒ローブの体勢を崩す。

 

「クルーシオ!」

 

 メアリーは迷わず磔の呪いを使った。

 恐ろしい苦痛に喘ぐ悲鳴が、森を引き裂いた。

 

「ふふふふっ……! アッハッハッハッ!!」

 

 地面をのたうち回るユニコーン殺害犯の姿を見て、メアリーもニッコニコ。ご満悦の様子で黒ローブを痛めつけていく。

 

 黒ローブが悶えている間に、よろよろとハリーが立ち上がり戦線復帰した。

 

「今だよ、ハリー!」

「レヴィオーソ!」

 

 ハリーはレヴィオーソを唱え黒ローブを宙に浮かした。

 二人は同時に基礎呪文を唱え、黒ローブを攻撃する。黒ローブは何とか空中で杖を振ってメアリーの基礎呪文を防いだが、ハリーの方までは防ぎきれなかった。

 

 クルクルと彼は回転しながら、地面に叩き落ちる。

 

「グッ……死ねぇ!」

「っ!」

 

 黒ローブが唱えた爆破呪文がハリー達を襲った。

 もしメアリーが一人だったならば、避けるか、ただのプロテゴで終わりなのだが、この場にはハリーと、よりにもよって動けないドラコがいた。

 

 ハリーはプロテゴを唱えられるが、魔力がまだ弱すぎて、これは防ぎきれないだろう。ドラコは今杖さえ握れないので、放置すれば間違いなく死ぬ。

 

 よってメアリーは防御を選択した。

 彼女がサッと素早く杖を振るとそれだけで一際大きな魔法の盾がメアリー達を包み込んだ。

 

「ぐおおおおっ!?」

 

 完璧なタイミングで放たれたプロテゴの効果により、敵対者への衝撃波が発生し、黒ローブの男が物凄い勢いで、森の奥に吹っ飛んで行った。

 

 こうして、決闘は終わりを告げた。

 

 ハリーは自分が強くなっている事の実感を得たが、メアリーは消化不良にも程があった。

 

 最初の邂逅で弟子になったハリーにも見せ場を与えてやろうと、クルーシオを選択したのは失敗だったと後悔した。

 

 初手からアバダケダブラを撃っていればそれで終わっていたのに……と嘆き、腹いせにマルフォイは縛ったまま運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

●あれ? ネビルいなかったっけ?

 確か原作小説だとネビルがいて(あってるよね?)、代わりにロンが怪我してていなかった。

 でも、映画版だとネビルがいなくて、ロンがいる。恐らく尺の都合。

 原作だとネビルとマルフォイが一緒の組の時、マルフォイがネビルをビビらせて怒られるという一幕があったが、そんなシーンを入れられなかったのだろう。

 この作品は基本的に、アマ●ンプライムで見返す事が出来てイベントも短い映画版を準拠していくので、この後原作と映画の違いでシーンが微妙に違っても文句は受け付けません。

 作者の原作小説の知識は何年も前に読んだ時のうっすらとした記憶のみです。にわか乙。

 息抜きの二次創作で頭や金を使いたくないんじゃ……。

 

●襲ってきた黒ローブ

 トロール殺害事件の犯人がいたから、舐めプせずにちゃんと襲ってきた。

 それでも初手が衝撃波(デパルソ)な辺り優しめ。

 爆破呪文を使ったのは、クルーシオを使われて流石にムカついたから。

 

●ディーク

 ホグワーツレガシーで必要の部屋を管理している屋敷しもべ妖精。

 顎に生えてる髭がキュート。

 話しかけると動物の保護関連のクエストを受けられたり、部屋の雰囲気を変えたり出来る。

 このレガ主の部屋の雰囲気は「月明かりが美しい部屋」。

 

●ケンタウルスどこ?

 あんま記憶ないけど後々詰むと困るし、この後会った。という事にしておく。

 

●レベリオ

 ホグワーツレガシーで最も多く使う呪文。

 暴露呪文で、隠されたものを暴く。

 要は、サーチ。お宝や謎解きの道具などを見分けられる。

 

●杖なし呪文

 杖を使わずに魔法を使う事。

 とっても難しく、杖ありよりも魔法が弱くなるとされているが、アフリカなど一部の地域ではむしろ杖を使わないのが普通で、その威力は通常と全く変わらないらしい。

 レガ主の恩師フィグ先生も使い手だったのか、ゲーム冒頭、ドラゴンに襲われる危機的状況の中、杖なしでのアクシオに成功している。

 その為かは定かではないが、主人公も当然身に着けていて、杖なしでも十全に魔法を使える。

 

●無言呪文

 無言、つまり呪文の詠唱をせずに魔法を使う事。

 とっても難しく使用には集中力が必要で、ホグワーツでは六年生から習う。

 wikiによると杖の材質が何の木かによって、難しさが変わるらしい。わけわからん。

 

●クルーシオ

 許されざる呪文その二。

 相手に外傷を作らず、苦痛のみを与える。

 拷問に効果的で、「逃れる為なら何でもやる」程キツイらしい。

 ホグワーツレガシーだと相手のプロテゴに関わらず使えて、動きを長時間止められるためかなり強い。

 クールダウンの長さもそこそこで、強化すると効果が長時間化するので、敵によっては一方的にハメられる。

 

●プロテゴの熟達

 ホグワーツレガシーの才能(ゲームでよくあるスキルポイントシステム)の一つ。

 完璧なタイミングで防御すると、衝撃波が発生して敵を吹き飛ばし、相手のプロテゴを消す。

 このレガ主は研究の結果、更に強化しているので、衝撃波も物凄い威力がある。

 

●古代魔術の投てき

 古代魔術により、物体を操作して敵にぶつける。

 ホグワーツレガシーでの有効な攻撃手段。

 ボウガンの矢を止めたのはコレ。

 実際、ゲームではボウガンを撃ってくるゴブリンの矢を奪って敵に投げ返したり出来た。

 

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