マギアレコード ユニバースコンフレイト 魔法少女まどかマギカ外伝 作:ヘイル
カステルがランカスターからいろはの世界に迷い込んでから早1週間が立とうとしていたとある日の昼休み、いろはは心ここに在らずといった様子で空を見上げてた。
「どうしたの、お姉ちゃん。」
「へ?い、いや?大丈夫だよ??」
カステルは無理に誤魔化そうとするいろはにジト目を向ける。気まずい空気が2人の間に流れていた。
「そういえばなんだけどね?私こんな指輪持ってたっけ?」
カステルは指輪をいろはに見せる。いろはの顔色は指輪を見るなり、真っ青に染まっていく。
「カステル、あなた何願ったの…?」
「ちょっちょっと、お姉ちゃん、痛いよ…」
いろはの握る力は強くなっていた。それに気付いたいろはは焦るように手を離す。
「あ...ごめんね。カステル...」
「その子については謎が多いんだ。カステルについてはボクが説明しよう。」
声のした方へふりかえると、カステルの記憶にない生物の姿があった。
(魔道生物!?)
カステルは咄嗟に森の魔力に集中し、臨戦態勢に入る。
「カステル、大丈夫だからね。こんな所まで顔だしてどうしたの?キュウべえ。」
「ボクはカステルについて話に来たんだ。彼女のことに関しては申し訳ない。彼女のねがいを聞いた直後だったかな。あちらこちらの宇宙でビッグリップが起きてね。ボクの体達の一部が消滅したんだ。その影響で記憶が消失したってことは分かっているんだけど...申し訳ないね。環いろは。」
「そう...仕方ないよね。じゃあカステルはお姉ちゃんが守ってあげるね。」
「お言葉だけど、君もそこまで強くないよね?」
いろはは図星を疲れたかのように苦い表情になる。カステルはそんな様子を見てふふっと微笑む。
「私お姉ちゃんに守られなくてもー」
そこまで言ったところで悪寒が走る。
「魔女の気配!?こんな時に!カステル、こっち来て!」
「え、お姉ちゃん?」
いろははカステルの手を引いて走り出す。
「あの穴に飛び込むよ!」
いろはは空間に現れた結界の入り口に向かって飛び込む。カステルは引っ張られるままに結界の中に入っていった。
「ここどこ...怖い...」
カステルはいろはのせに隠れるようにくっつく。
「大丈夫だよ。お姉ちゃんがまもるから。私から離れないでね。」
そう言うと、いろははカステルのものと似通った指輪を天にかざす。たちまちいろはの服装が変化していく。
「お姉ちゃんその姿は…?」
「変身しただけだよ。ダメージは軽減できるから、カステルも変身しておいて。」
「う、うん。」
見よう見まねで力を込めてみる。すると、学校の制服は光に呑まれて、姿を変えていく。次の瞬間、それはかつてその少女が学園で纏っていた衣装に変わっていた。ふと横を見ると、光状の何かがカステルの周りを漂っている。
(あれ…?この子って巡りの神樹じゃない?…)
「カステル、行くよ。」
「う、うん!」
2人が奥地へと進むと、そこは謎の空洞になっており、その中にはおぞましい容貌の何かがこちらを睨みつけるようにして構えていた。カステルはあれが魔女と呼ばれていたものであることを察知した。身を震わせるカステルに、いろはは優しく声をかけ、魔女の死角になる所を指差す。
「お姉ちゃん大丈夫だからカステルはそこに隠れてて。」
カステルは体を震わせながら頷きかくれる。
いろはと魔女の視線が交錯する。その刹那、いろはは常人ではありえない跳躍力で飛び上がり一瞬にして魔女の上をとる。そしていろははクロスボウを数発打ちこむ。しかし、その攻撃は魔女の尾にいとも容易く弾かれ、それに巻き込まれたいろはは吹き飛ばされる。
そんな様子を陰から見ていたカステルの中で何かが切れた音がした。
「日は西に、月は東にー」
空気が震えている。今の彼女は人を殺すことですら厭わないーそう思えてしまうほどに凄みのある覇気を放っていた。
「カ、カステル…?」
いろはは普段のあわあわとしたカステルとは違う迫力に驚きを隠せない様子だった。
「寺院の金が彼方に響く。問いて答えよ、識(し)りて伝えよ。一なる教えをこの身に刻む。」
カステルに凶悪な尾の一撃が迫る。カステルは明らかに常軌を逸した動きで尾の攻撃を避ける。傍から見たそれはさながら瞬間移動であった。
「許さない…私怒ってるから…!」
執拗な魔女の凶撃をカステルはことごとく避けていく。
「私の魔法はたぶん、巡りの神樹の再現…そんなぬるい攻撃、届かないよ。」
次の瞬間、カステルの左頬に蒼く光り輝く一筋痣が走る。それと同士にカステルはどこからともなく剣を取り出す。その剣からも凄まじい力が感じられた。魔女はそんなカステルを恐れているかのような乱撃を放つも、カステルは狙われては転移、狙われては転移を繰り返し、そのことこどくを回避する。
「これで終わりだよ。」
カステルは刃を振り下ろす。彼女の斬撃は魔女の内部に入り込み魔女の体を細切れにする。
「やったよ、お姉ちゃん…お姉ちゃん?」
カステルは固まったまま動かないいろはを心配そうに見つめる。
「す…凄すぎるよカステルぅ!」
いろははカステルに勢いよく抱きつく。
「く、苦しいよ、お姉ちゃん…」
カステルはそう言いながらも笑顔だった。
「いやー、まさかカステルがあそこまで強かったなんてね〜。お姉ちゃんびっくりしちゃった。」
「えへへ…これからもきっと、大丈夫だからね。」