トリニティ総合学園パソコン研究会   作:ヤキブタアゴニスト

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ブルアカにはまってしまった...
他の作品を放り出してすみませんが
衝動的に書きたくなってしまったので投稿します!!!





第一話 楽園を目指して

「パソコン研究会?なんかアプリとか作ってるところだよね。」

 

「ああ、うちのシステムはパソコン研究会に任せてあるっす。使いやすいし仕事早いしでありがたいっすよー」

 

 

 

 

 

パソコン研究会について聞かれたら殆どの生徒はその様に答えるだろう。曰く、ティーパーティーや正義実現委員会の基幹システムを開発した。曰く、トリニティ近辺のスイーツ情報を集約するアプリを開発した。

 

今や、パソコン研究会はトリニティで何かしらのソフトウェアやアプリケーションを作ろうとすればまず間違いなく候補にあがる存在と言える。そう、パソコン研究会はすっかりここトリニティでの市民権を得ていた。

 

 

 

「しかーし、その驚くべき裏の顔は必要とあればティーパーティーに対するクーデターから大規模システムのダウンまでやってのける黒の組織。そう、我々パソコン研究会こそがトリニティを暗躍する悪のハッカー集団なのだ!!!」

 

部室にて高らかにそう宣言したのはパソコン研究会を率いる会長の在原リリア。脳味噌の中身と同じ色、桃色のツーサイドアップと小柄な体躯から1年生と見間違えられるが、れっきとした2年生だ。部室の真ん中で踏ん反り返っているものの、他の部員は誰も彼女の方を見ずに目の前のディスプレイに集中している。

 

「会長、私たちそこまでの悪事やってないし、そういうの面倒くさがる連中ばっかりだよ。いい加減、大悪党目指して熱くなるのやめたらどう?改めて言うのは酷な気がするけど、どちらかと言ったら私たちって小悪党の協同組合だよ。」

 

白け顔でそう返すのは副会長を務める同じく2年生の万里小路ヒサコ。伸ばした茶髪をいじりながらどこか達観した雰囲気を出している彼女は、運営するサイトのここ最近のサーバの負荷を確認している。

 

 

「そうですよ。大体普段からハッカーっぽいことやってるのなんてユウキちゃんだけで、特に会長に関してはあっち系のサイトの運営とかあれ系のゲーム制作ってハッカー関係ないじゃないですかー!」

 

イタズラっぽく追撃するのは四条サエ、こう言っているが彼女の趣味は特殊詐欺を中心とした詐欺全般。全くもって人のことをとやかくは言えない。こんななりでもこの会の会計を預かっているのだから侮れないが、果たして正しい会計報告かどうかは疑問が残る。

 

 

そう、そして二人の指摘通り、パソコン研究会は少しだけアングラな趣味を持つ者同士が集まっただけで特定の大きな目標なんてものはない。趣味のための手段としてハッキングに類することを行うこともあるが、それ自身を趣味としているのは最近入会したユウキくらいのものだった。

 

 

 

「おっ、お前たちなぁ。あれっ、そう言えばナナコがいないな?どうしたか聞いているか?」

 

リリアは周囲を見渡して残りの一人を探す。いつもはディスプレイを見ながらにやついている姿はそこには無かった。

 

「ナナコならサーバの調子を確かめに行ってるよ。最近あの子の掲示板も人気になってきたからそろそろ増強を考えているみたい。すぐに戻ってくるよ。」

 

 

今度は運営している仮想コインの値動きを確認しつつヒサコが答えると、その言葉通りにナナコはパタパタと音を立てながら部室に戻ってくるところだった。

 

全員揃ったことを再度確認したリリアは懲りずに含み笑いをしつつ、部員に向かって語りかける。その姿は先ほど以上に間抜けだなぁとヒサコは感じたものの、ついぞ声に出すことはなかった。

 

「フッフッフ、諸君、よくぞ集まってくれた。聞いて驚け、見て笑え!今日は重大なニュースを持ってきてやったぞ!」

 

とぶち上げたリリアに対して、部員たちの反応は冷ややかだ。

 

ヒサコは沈黙を貫き、ナナコは首を傾げ、唯一の反応はサエによる

 

 

「また碌でもないことを始めたんですか?あんまり変なことされると取り締まれなかったってことで正実での私の立場が無くなるんですけど..... それからやりすぎて情報局に摘発されない様に注意して下さいよ!」

 

というものだった。一応サエは正義実現委員会の電子取引管理室の室長という役職に就いており、名目上は取締りを行う側の人間であるはずである。まあ、武力闘争が盛んなキヴォトスだからなのか、あまり重要視されておらず部下もいない。事実上サエを正実に引き止めるための部署に近い扱いである。なお、他の部員による「お前が言うのか」という視線はサエには効かなかったようだ。

 

 

 

 

「ちがぁう!なんと、エデン条約で作られるETO、その基幹システムの開発を我々が請け負うことになったのだ!!そう、ティーパーティー生徒会長のお二方から直々に企画がこの私のところに持ち込まれたのだ!!どうだ!! 驚いたか? これが成ればゲヘナの自由の風が多少なりともトリニティに吹き込むことになる。そうすれば、我々の活動ももう少し自由にやることが出来るのに違いない!!これこそが楽園への第一歩なのだ!!!」

 

 

そう一息で宣言したリリアだったが、ヒサコを除いた他の3人は頭の上に疑問符を浮かべたまま固まっている。手に持った紙束を振り回しながらなおも話を続けようとするリリアを止めたのは、いつの間にか席を立っていたヒサコだった。

 

「会長、ここからは私から説明するよ。」

 

部室中央に鎮座するディスプレイには気が付かないうちにヒサコが用意した資料が表示されており、同時に個々のPCにもそれが送信されていた。そこにはETO向けのシステムの詳細な仕様が規定され、完成までのステップがよくまとめられている。

 

「じゃあ、そうだね。まずはエデン条約から話そうか。」

 

「ちょ、ちょっと待てヒサコ。何でお前がこの話を知ってるんだ?」

 

アッサリと主導権を取っていったヒサコに、リリアが異議を唱える。

 

「なぜって....... ETOの基幹システム開発については、私とナギサ様でゲヘナや連邦生徒会と調整して内々に話を固めてたからだけど。まあ、トリニティである以上、最終的には各派閥の生徒会長たちからの依頼という形にする必要があるけど、誰かが中核になって話を進めるのは当然でしょう。そして、ティーパーティー側でここまで細かく要件を固められる訳がない。それに、これでも私は元ティーパー....」

 

 

そこまで言ったところで、ヒサコはリリアがしょげていることに気が付いた。

 

「副会長.... 会長はもう....」

 

ヒサコからの返しの一撃はリリアに思ったよりダメージを与えていたらしい。ここ最近会長っぽいことができていなかったリリアにとって、会長ポイントを得られなかったことはよほど悔しかったようだ。

 

ただ、リリアがしょげるのはいつものことではあるので、ヒサコは放置してエデン条約の説明にうつった。

 

 

 

「じゃあ、改めてエデン条約について話していくよ。概要については報道されていると思うけど、詳細については基本的に外に出さないように。

 

まず、条約の格子だけど、大きく二つに分かれている。一つ目はトリニティ総合学園とゲヘナ学園の相互不可侵条約。そして、もう一つがエデン条約機構、ETOの設立による紛争解決手段の確立。

 

一つ目の不可侵条約についてはあんまり気にしなくても大丈夫。ゲヘナとトリニティを実力で抑え込める勢力がない以上、効力はあってないようなもの。まあ、これまでも何度か名目上結ばれてきたものと同じだと思ってほしい。そもそも、共通の敵を抱えるわけでもないのに結ぶ意味は無いし、連邦生徒会長に従って二つ目のETOを進めるという宣言に近いかな。

 

問題はこのETOというものなんだけど、基本的にはトリニティの正義実現委員会とゲヘナの風紀委員会を合体させて一つの組織に再編したようなもの。そして、このETOはトリニティとゲヘナ、そしてその周辺の中小自治区の治安の維持を行う。要するにこの辺りの治安維持と紛争解決をトリニティとゲヘナで協力して行うための組織がETOというわけ。

 

 

なんでこんなことをするかと言うと…。

 

まず、連邦生徒会はキヴォトス全土を管理するリソースを十分に持っていない。今の連邦生徒会長の超人的な働きでいくら治安がある程度戻ったと言っても、D.U.すら統制が効かない始末。三大校の紛争の解決などに掛かり切りにしようものなら中央以外の学園の管理は手放すしかない。SRTの設置に加えて連邦捜査局というのも設置する予定とはいっても、大規模な紛争が生じればキヴォトスが無政府状態に陥りかねないというのが連邦生徒会長の危惧。

 

そして、トリニティやゲヘナとしては、傘下の中小の学園を管理する法的な根拠が欲しい。自治権周りで揉めてトリニティとゲヘナが衝突するのは互いに得策でない。それに、治安が悪くなると学園内での武力組織の存在が大きくなりすぎるせいで、政治が不安定になってしまう。

 

そこで、不可侵を条件に連邦生徒会からトリニティとゲヘナに自治区を超えたいくつかの権限を委譲、代わりにこの地域の治安維持をトリニティとゲヘナで担うというのがエデン条約。そして、それを担うのがエデン条約機構、ETOってわけ。

まあ、最後のあたりは私の想像も入ってるけど。」

 

ヒサコは一旦話を止めてホワイトボードに両校の主要組織の相関図を描いていく。そこに加えてETOが書き加えられて何本かの矢印が引かれる。

 

「だから、ETOの規模と権限は微妙なところになっている。例えば正義実現委員会や風紀委員会の一部はティーパーティー直属部隊や万魔殿の戦車隊と統合、残りをETOに編入予定だし、情報部もETO直下のものを作るはず。それに伴って自治区法と連邦法も随時変更されていくから、トリニティの堅っ苦しい自治区法ももう少し寛容になるかもしれない。これがさっき会長が言っていた話ね。」

 

話を聞いている3人が頷いているのを見てヒサコは話を進める。ややこしい話だが、トリニティが大きく変わることくらいは分かっているようだ。

 

「だけど、ここに食い込めれば私たちの活動もやりやすくなるのは間違いない。まず、大量のサーバが使用し放題、今でも正実用としての予算で導入したサーバを私たちが勝手に使ってるけどこれの比じゃなくなるはず。もっと大きいのが、ゲヘナの生徒や周辺の自治区の生徒の情報、捜査の進展から処分の内容まで自由自在に見放題、書き換え放題。今、トリニティでやっているようなことがもっと大規模に出来るようになる。」

 

ヒサコの説明が終わるや否や、先ほどまでパンツ丸出しで倒れていたリリアがムクリと起き上がり中央に立って宣言する。

 

 

「ヒサコ、説明御苦労だったな。そう、だからこそ、この前提となるエデン条約の成立をなんとしても成し遂げなくてはいけない。我々パソコン研究会の総力を挙げてエデン条約の後押しをするぞ!!!」

 

 

「そういうことだから、ETO向けのシステムは正実向けのものを改良していくとして、その他諸々も時間があるときにでも協力してくれるとありがたいわ。」

 

一人拳を突き上げるリリアを宥めつつ、ヒサコは部員に協力を仰ぐ。とは言っても、パソコン研究会はあくまでも小悪党の集まり。出来ることは限られている……はずだ。

 

 

 

 

「えーっと、まあ、私の趣味の邪魔にならない程度はなんかやろうかなー?なんて。不穏分子って事になればいろいろやり過ぎても大丈夫そうだし。」

 

「それより、共通の敵が必要なんじゃ無いでしょうか?敵になりそうな相手をひまなときに私の掲示板で探してみます。」

 

「えっと、反対派の秘密を暴いて……晒しあげたらいいんでしょうか?」

 

 

おそらく.......

 





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