下北沢には天使が住んでいる   作:通りすがりの邪教徒

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星歌さんはぼざろのキャラだと、何故か姉さん呼びしたい人物なんだよね。

やっぱり声が内田真礼だからか?


天使の姉は女神かもしれない

 

 虹夏ちゃんに外へ連れられて、俺が先程まで隠れ家的バーか居酒屋だと思い込んでいたライブハウス『STARRY』へと向かった。

 地下に続く階段付近に行くと、お客さんらしき人たちがライブの感想を語り合いながら出てきたので、改めてこの店がライブハウスである事を認識した。

 

「雄馬くんってライブハウス初めて?」

「いや、つい最近横浜でライブ見に行った時に、ライブハウスには行った事あるよ」

「へぇ〜! もしかしてバンドのライブ?」

「いや、今じゃ国民的有名な音楽ユニットだよ。YOASOBI知ってるでしょ?」

「えっ!? あの世界的に有名なあのYOASOBIがライブハウスの規模でライブしたの!?」

 

 チケットが取れた時は一生分の運を使い果たしたのかってレベルで興奮したのを今でも覚えている。

 至近距離で見れるメンバーたちに至近距離で聴けた数々の神曲たち。こんなにも心躍るライブは、ドームみたいな広い場所と比べたらマジで別格だと思う。

 

 大体のアーティストって武道館とか東京ドームに立ってライブするのが夢だと思うけど、こっちからしたら小さい空間で至近距離で観て聴けるの堪らないんだよね。

 

「写真もあるよ。あのユニットのライブは基本的に写真撮影OKだから」

「おぉ〜! 雄馬くん、写真撮るの上手だね!」

「これは特に個人的ベストショットだよ」

「うわ〜! やっぱり写真からも大物のオーラ溢れてるね!」

 

 おっと、ついついライブを見た時の思い出を話し込んでしまった。いつの間にかお客さんたちが全て出来って行ったのに気づかなかったや。

 

「階段急だし薄暗いから、足元気を付けてね?」

「うん。ねぇ、これ手摺とか付けた方が良くね?」

「あ〜確かに。今度お姉ちゃんに相談してみようかな」

 

 手摺ってあった方が良いよ。雨の日に濡れ階段で滑って一番下まで転び落ちたら怪我しそうで危なそうだし、膝が痛い人とかにはうってつけだと思うから。

 

 階段を降りている途中には、様々なバンドのポスターが貼られていおり、どのグループも知らない名前ばかりだった。

 俺はそもそもアニソンと個人的にお気に入った曲しか普段から聴かないから、ロックに関してはあまり分からない。

 

 俺の知ってるバンドなんて、好きなアニソン歌ってるから知ってるって人達か放課後ティータイムくらいだ。

 

 階段を降り切って扉を開けると、目の前には受付テーブルがあった。ここで買ったチケットを見せて中に入るって感じなのね。

 受付から出るとまた階段がある。そこからはライブハウス全体が一望できた。

 

「おぉ〜なんかこの雰囲気好きかも。ひみつ基地って感じでワクワクするな!」

「ん? 来たか雄馬。久しぶりだな」

 

 階段から見える景色を眺めていたら、懐かしい声が聞こえてきた。

 

「星歌姉さん。ご無沙汰してます!」

 

 正面のカウンター席に、虹夏ちゃんの実の姉こと伊地知星歌さんと全体的に黒い服装のお姉さんが座ってジュースを飲んでいた。

 

「店長、この子は誰ですか?」

「紹介するよ。私と虹夏の従弟だ」

「初めまして、鈴代雄馬です」

「ご丁寧にどうも。私の事はPAって呼んでください」

「分かりました、PAさん」

 

 PAさんをよく見ると口元と耳にピアスをつけているが、穏やかで優しそうな人だ。

 どんな奇抜なオシャレをしてても、人柄が良ければ何も問題はないだろう。

 

「お姉ちゃん、何で私に雄馬くんが来る事言わなかったの!?」

「その方が面白いと思ってな。今朝コイツの話したら会いたそうな顔してたから、会えて嬉しいだろ?」

「うぅ〜……嬉しいけど、なんか複雑〜!」

 

 虹夏ちゃんのドリトスが感情表現と共にぴこぴこと動く。そのドリトス意思でも持ってるんか? ひょっとしたら星歌姉さんの頭のドリトスにも意思が……ふっ、まさかな。

 

「まぁ私も雄馬に会えたのは嬉しいからな」

 

 うわっ動いた! 姉妹揃って変なところ似てるな〜と思った事は、心の中のパンドラの箱にでも封じておこう。

 

「まぁ何はともあれ、今日からよろしくな」

「はい。それにしても、立派なライブハウスですね」

「ありがと。あと、昔みたいに砕けて話してくれないか? 雄馬に敬語使われるとなんか変だからさ」

「わ、分かりまし……分かったよ。星歌姉さん!」

「にしてもデッカくなったな〜。私よりちょっとあるか?」

 

 なんか似たような話をさっき虹夏ちゃんともしたな。星歌姉さんは昔から全然変わってないというか、より一層大人のお姉さんって感じがする。

 

「この中だと、虹夏が1番小さいな」

「確かに。まだ伸びる可能性があるとすると、虹夏ちゃんの頭が撫でやすい位置とかまで伸びそうですわ」

「小さなにくそにゃー!! まだ成長するかもらー!」

「虹夏さん、気持ちに口が追いついてないですよ」

 

 PAさんの冷静な突っ込み。お前はシャミ子か!

 

「ごめん、悪気はないんだ。ただ客観的に見て小さかったからつい」

「うおおおおおおー! かくごー!」

 

 虹夏ちゃんがほっぺを膨らませながら、俺の腹筋辺りを両手でポカポカしてきた。普段から筋トレしてるから、そんな弱々パンチちっとも効かぬわ。

 

「お二人とも仲が良いんですね」

「昔からこうだよ。距離感カップルみてぇだろ?」

「ふふっ、これが尊いって奴ですね」

 

 

 

 

 

 

 Δ

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ……雄馬くん、何で避けないの?」

「いやぁ〜なかなか心地のいい音だったよ。全然効かなかったわ」

 

 クソ雑魚パンチをしすぎて息を切らた虹夏ちゃんは床に膝をついていていた。

 

 えっと……大丈夫か〜?

 

「それじゃあ私、お先に失礼しますね」

「おう、お疲れ」

 

 PAさんは勤務時間が終わったみたいなので、先にライブハウスを出て行った。

 そういえばもう直ぐで時計は6時か。外も暗くなってる頃だし、お腹も空いてくる時間帯だな。

 

「あぁー! 晩ご飯作らなきゃ!」

「今から作ると遅くなるだろ? 店予約しといたから、今日は外食にするぞ。雄馬が来た記念に私の奢りだ」

「マジか!? 星歌姉さん、ゴチになるぜ!」

「虹夏も良いだろ?」

「別に良いよ。今だったらそっちの方が助かるし、雄馬くんの歓迎会もしないとだしね!」

 

 まさか僕のために事前に用意してくれてたなんて、流石は星歌姉さんだ。

 虹夏ちゃんもありがとな。伊地知家の温かさが五臓六腑に染みるわ。

 

「よっし、さっさと行くぞ。今夜は焼肉な」

「やった〜! 焼肉だ〜!」

「しかも東京だと有名な食べ放題のチェーン店だ。じゃんじゃん食べときな」

「上京初日から豪勢だな〜。高かっただろうに」

「気にすんなよ。大人の財力舐めんな」

 

 うっひょ〜! 星歌姉さんカッケー!

 

 こうして3人揃って焼肉屋に向かい、店に到着して店内に入ると、肉の焼ける良い匂いと煙が香ってきて、お腹空いてる所に更にガツンと来る。

 

「じゃあ取り敢えず生ひとつと……2人はどうする?」

「俺は烏龍茶で」

「私も雄馬くんと同じで良いよ」

「じゃあ烏龍茶ふたつと、肉は適当で良い?」

「俺はホルモンが無理なんでそれ以外の肉なら何でも。でもタンは絶対に頼んでください」

 

 ホルモンって肉の中だと見た目も好かないし、妙に食感がぐにょぐにょして噛みきれないのが苦手なんよね。

 店の仕込み方や焼き加減によって解決出来るとは聞いたことがあるが、そこまで見極めるのって正直面倒くさいよね。

 

 でもタンは肉の中だと結構好きだ。タンしか勝たん! 「タン」だけにね。

 今日は皆のこと冷やしていくね。最近はあったかいから丁度いいでしょ。

 

 にしても、最近の飲食店はどこもモバイルオーダー多いな。コミュ症の人たちからしたら有難いシステムだろうね。

 俺は別に人と話すの好きだから、全然モバイルじゃなくても良いんだけど。

 

 なんて時代の進歩に感心していると、店員さんがドリンクを持ってきた。

 

「じゃ、取り敢えず乾杯するか」

「雄馬くん、下北沢もとい伊地知家にようこそ! かんぱ〜い!」

「か、乾杯!」

 

 乾いた喉に流し込む烏龍茶やっぱ美味いわ。これから油物体に入れるから、焼肉には相性が良い飲み物だ。

 

「そういや雄馬って来年度から受験生だけど、どこ受けるんだ?」

「そうだなぁ……。来たばっかだからここってのはまだ決まってないね」

「ま、そこら辺はちゃんと決めとけよ。虹夏と同じ高校って選択もあれば、自分の得意を伸ばす高校に入るってのもあるしさ」

「そうだね。でも私、雄馬くんと同じ高校でも良いなぁって思ってるよ」

 

 虹夏ちゃんと同じ学校の制服を着て、同じ通学路を歩って登校か……。なんか想像しちゃいますな。

 

「お待たせしました。タンとカルビです」

 

 おっ、早速最初の肉がお出ましだ。でも……何か物足りないな。

 

「あの、店員さん。レモン貰って良いですか?」

「そのレモンは何にお使いで?」

「えっと……タンにかけたいんですけど」

「ウチの店は、タンにレモンはかけないんですよ」

 

 いやいやいや、お前がかけるかどうかではなく、ワイがかけたいねん。

 

「ウチのはもう味がついてますので、かけずとも美味しいです」

 

 いや美味しいだろうね……かけずとも。

 分かりながらも、でもかけたいんだよと思っていたら救世主が現れた。

 

「じゃあ私、追加でハイボール頼むよ。あと酒用のカットレモンもお願いします」

「かしこまりました」

 

 せ、星歌姉さん! 俺のために……この人は女神かもしれない。

 

「ありがとう、星歌姉さん」

「良いよ別に。ちょうどハイボール飲みたかったし」

 

 こうしてハイボールと共に出されたレモンを星歌姉さんから貰って、タンにかけて食べた。

 

「サンチュとか巻かないの?」

「タンはサンチュ要らないな。レモンでOK」

 

 お店のこだわりがあるのは分かるよ。それでも俺はタンにレモンをかけて食う、これが至福なの。

 次からはバレないように飲み物を頼む時にレモンくださいって言おうかな。

 

「カルビ焼けたよ。はい、あ〜ん」

「急に何?」

「昔食べさせてあげたじゃん。ほら!」

「あ〜ん……美味しい」

「だよね! やっぱり焼肉いったらカルビでしょ!」

 

 天使からの「あ〜ん」は破壊力抜群だな。星歌姉さんがニヤニヤしながらこちらを見ていて恥ずかしい。

 

「せや……星歌姉さん。頼みがあるんだけど」

「お? なんだ」

「俺、これからライブハウスの手伝いしても良いかな?」

「私としては助かるけど、受験シーズンの中学生に手伝ってもらうのはな〜」

「これから世話になるわけだし、ずっと家にいて何もしないはちょっとって思ったからさ」

 

 それに、中学3年生でも喫茶店の手伝いをしている娘もいるんだし大丈夫っしょ。

 

「分かったよ。でも、条件として受験勉強が優先だからな。落ちたら私、責任取れないし」

「ありがとう、星歌姉さん」

「良かったね、優馬くん!」

「虹夏ちゃん、手伝う時になったら色々教えてね」

「うん、任せて!」

 

 こうして俺は、ライブハウスの手伝をする事が決まった。

 

 お世話になる家で手伝いをしながら学校に行くってもうほぼラビットハウスじゃんと思いながら焼かれていく肉たちを食べ続けた。

 





時々きらら作品ネタをぶち込む時が偶にありますが、多めに見てクレメンス。

感想お待ちしてます。序でにお気に入りもしてくれるとコイキングみたく跳ねて喜びます

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