下北沢には天使が住んでいる   作:通りすがりの邪教徒

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お気に入り、感想などありがとうございます。

後書に結束バンドのライブの感想を書きました。

めっちゃ楽しかったです。


陽キャ直伝の呪文詠唱

 

 皆さん、おはようございます! 私の名前は喜多郁代って言います!

 

 突然名乗らせていただきましたが、正直自分の名前は好きじゃない。だって、きたー! いくよー! って、なんか駄洒落みたいでしょ? こんなしわしわネームで、皆の前でフルネームを知られたら絶対笑い物にされるわ。

 

 でも自動的に卒業式とかで名前をフルネームで呼ばれるから、その日だけは心を無にして我慢しよう。

 

 おっと、私の自己紹介はこのくらいにするわね。今日から私は中学3年生になって、世間一般で言うところの受験生になった。

 今のところ行きたい高校は決まってはいないけど、出来れば進学先に中学の友人が多かったら良いなって思ってる。

 

 そんな中学3年になった初日に、私のクラスに転校生がやって来た。

 

 名前は鈴代雄馬くん。彼は東京からだとそう遠くは無い群馬県からやって来たのだと言う。前に何かの映画で群馬はジャングルって聞いたけど、そうなのかしら? テレビだと草津温泉とかが有名と言う事しかテレビで目にした事がないので、あまり詳しくは無い。

 

 実は彼との初対面はここではなく、朝に廊下でぶつかってしまった時だ。

 新しい教室に来た時、私の隣の席が空いていたので、今朝の廊下での出来事を思い出して察した。彼がウチのクラスに来ると言う事を。

 

 雰囲気的にはクールそうな感じだったけど、職員室に連れて行く時に話してた感じだと、意外と喋りやすくて良い人だった。

 

 あと、クラスメイトとの受け答えの時、特に男子達とはアニメかなんかの話とかで盛り上がっていた。

 私はあまりアニメには詳しく無い。強いて言えば、最近流行っているのしか分からなくて、アニメタイアップの曲は知っていたが、その曲はチックトックで皆が踊ってるからで内容はよくわからないというレベルくらいにアニメの知識は皆無なの。

 

 そんな彼と学校終わりに、私が中学に入ってからの友達であるさっつーも連れて勉強会がてらでスタパに行く事になった。

 

 誘った時は「どうしようかな〜」と分かりやすく悩んでいる顔をしていた。異性の輪に入るのはどうしても勇気がいるものね。

 

 それでも私は、今朝仲良くなって友達になった鈴代くんともっと仲良くなりたいと思っているだけで、別に彼を異性として好きだから誘っているのでは無く、友達として誘っているのよ。

 

 悩みに悩んだ末、鈴代くんは私たちと一緒にスタパに行く事が決まった。

 

 学校が終わり、教科書類の荷物を鞄に詰め込み、担任であるからすちゃんこと烏丸先生にさようならを言って、3人で学校を出た。

 

「誘ってくれてありがとね、喜多さん。それと……」

「そう言えば自己紹介がまだだったね。佐々木次子だよ、よろしく鈴代」

「うん、佐々木さん」

 

 早速さっつーと打ち解けている鈴代くん。話も思いの外弾んでいて、良かったと思う。

 

「そういやスタパなんて初めて行くわ」

「そうなの? 群馬にもあるんじゃないかしら?」

「あるっちゃあるけど、地元だと何時も混んでて落ち着かなさそうで入りづらい印象あったんだよね。そういやドライブスルーでも混んでたな」

 

 そうなんだ。ていうかスタパでドライブスルーって初めて聞いたわね。

 テレビで色々なドライブスルーの特集は見たことあるけど、東京は電車での移動が当たり前になっているので、あまりそう言う文化を見かけないから、東京の外から来た鈴代くんの話は新鮮で面白い。

 

「確かネットで見て知ったんだけど、スタパには呪文詠唱があるんでしょ?」

「スタパに呪文詠唱? なんてあったかしら?」

「さぁ? 私も聞いたことないよ」

「確かヤサイニンニクアブラカラメオオメとかフラペチーノ頼む時に店員さんに言うって有識者が言ってた気が……」

「鈴代、それ二郎系ラーメン頼む時にする奴だよ。てかフラペチーノににんにくと油って絶対に合わないよ!」

 

 確かに、どんな組み合わせなの!? と私も突っ込みたくなったが、さっつーが私の代わりに言いたいことを言ってくれた。

 鈴代くんってば、本当に面白い子ね。話していて本当に飽きないわ。

 

「でも確かにフラペチーノ頼む時、それに似たのをよく口ずさむわよね」

「思い返してみれば、普段口にしてたあれが呪文詠唱に見えて来たわ」

 

 あれを全部覚えて注文通りのフラペチーノにしてくれる店員さんって凄いわよね。

 詠唱が長ければ長いほどウンザリしそうだなと、店員さんの気持ちを考えながら思い返してしまう。

 

「それじゃあスタパの先輩として、私が鈴代くんに注文の仕方を色々教えてあげるわ!」

「うぐっ! お、お手柔らかにお願いしましゅ……」

 

 そう言って先陣を切った私とさっつーに続いて、後からついてくる鈴代くん。

 スタパに到着したら平日だと言うのにそれなりに混んでいた。よく見ると、他の学校の制服を着た人もいるので、私たちと同じく帰りに寄り道で入ったのだろう。

 

 そんな店内がそこそこ混んでいる中、なんとか3人以上が座れる広い席を確保する事ができた。さっつーは「荷物を見てるから先に頼んで来て」と言ってくれたので、鈴代くんを連れて早速注文をしにカウンターまで急いだ。

 

「じゃあ頼むわね? ペペロプリプリパピプペポペロぺパチーノのショートをひとつ! こんな感じよ!」

「うおっ、よくそんな長い文を噛まずに言えるね? ある意味尊敬」

 

 そんな大層なものじゃないわよ。それに生きていく上で、必要かと言われたらそうじゃ無いからね。

 何はともあれ……さぁ鈴代くん、貴方も私に続いて注文してみて! 大丈夫、君なら出来るわ!

 

「ゔうん……トールキャラメルスチーマーウィズホワイトモカシロップウィズエクストラホイップクリームで」

「かしこまりました、少々お待ちください」

「良くやったわ鈴代くん、初めてにしては上出来よ! お母さん、感動しちゃった……」

「いつから喜多さんは俺のお袋になったんだ!?」

 

 

 

 

 

 

 α

 

 

 

 

 

 

 待つ事数分後。なんとか頑張って呪文詠唱したフラペチーノが出来上がったので、席で待ってくれている佐々木さんの所へと戻った。

 

 おぉ〜! これが噂のスタパのフラペチーノか。いつもは写真とかでしか見ないからこんなにも美味しそうなホイップクリームは初めて見たぞ。

 

「じゃあ私も注文行ってくるね」

「行ってらっしゃーい!」

 

 その後も憧れのフラペチーノに瞳を輝かせていたら、いつの間にか佐々木さんも注文の品を持って戻って来ていた。

 俺、そんなにこのフラペチーノに見惚れてたの? ナナチが言ってた憧れはとめられねぇんだってこの事だったりするんかな? 知らんけど。

 

「2人とも、こっち見て?」

「ん?」

「あ〜……いぇい!」

「鈴代くんも何かポーズして!」

「え〜っと……ピース……?」

「うん、良いのが撮れたわ!」

「え? これ何?」

 

 いきなり喜多さんが自撮り棒を取り出して、いきなり写真撮影をして来たので、困惑しながらも定番のピースをしてみた。

 

「喜多さん、これって?」

「イソスタにアップしようと思って。鈴代くんはネットに顔映すのはOKな感じ?」

 

 イソスタか〜! 俺もイソスタは推し声優さんの投稿を見るために一応アプリは入れてるけど、基本的にトゥイッターしかやらないんだよね。

 にしても顔映しか……。もしも喜多さんがそれなりのインフルエンサーとかで人気がある娘なら、男の俺が写ったことによって、変な誤解を与えてしまう可能性がある。

 

 まぁ別に……ネットで顔を晒す勇気はあるけど、流石に女子と一緒に写るのは自分的にも喜多さん達的にも良く無いよね。

 

 それに万が一、虹夏ちゃんがイソスタを見ているとも限らない。この投稿を目にした時に詰められる未来がなんとなく見えてくる。

 

「ごめん、俺は無理や。でも写真は欲しいかな? 思い出の一枚としてなら貰いたい」

「そうよね、いきなりでごめんなさいね。だったら私とロイン交換しましょ?」

「鈴代、私も良いかな?」

「うん、良いよ」

 

 こうして身内以外の女子から初めてロイン交換をし、先程撮った写真を喜多さんから送ってもらった。

 おぉ〜! 画角とか丁度いいね。喜多さんって普段からイソスタにアップするのに写真をよく撮ってるんだな。

 

「喜多さん、イソスタ好きなんだね」

「楽しい気持ちをお裾分けしたくて。友達が楽しそうだと楽しくない?」

 

 “キタキターン!”とまたもやさっきよりも眩しい光が俺の視界を覆ってくる。今度から喜多さんが光った対策としてサングラスでもしてこようかな。

 

 キターン光線はともかく、喜多さんの言ってることは何となく分かる。

 SNSというコミュニケーションツールを使って、遠くの人とも気軽に楽しい事を共有したり、一緒に共感して皆で楽しく返信返しをするの楽しいよね。

 

 偶に俺の好きなVtuberグループに理不尽なコメントをするアンチとレスバした事があったりして、その時に正論パンチを喰らわせて勝利した瞬間は最高に気持ち良かったの今でも覚えてる。

 

 最近ではイライザさんと言うアニメ好きな日本語うまうまイギリス人さんとトゥイッターで知り合って、お互い顔を知らない間ながらもアニメに関するトゥイートをすると何時もリプをしに来て、返信返しは何時も盛り上がっている。

 

 そんなSNS話を喜多さん達としながら、フラペチーノを片手に勉強をする。

 

「にしても、さっきの呪文は完璧だったわよ。鈴代くん早口でも滑舌がいいのね!」

「早口に関しては、そういう系の歌をカラオケでよく歌うから慣れてるのかな?」

「鈴代って歌好きなんだ。あっでもよく歌うのアニソンとかだったり?」

「佐々木さんにはお見通しか。まぁそうだな」

「やっぱり。あ〜それと……実は喜多、歌がめっちゃ上手いんだよ」

 

 へぇ〜そうなんだ。確かに喜多さんって声綺麗だし、カラオケでも90点以上は余裕で叩き出しそう。

 

「去年の合唱コンクールで優勝したの、ほぼ喜多の実力って皆が言ってたしね」

「そ、そうかな? 私は兎に角全力を出しただけだけど……」

「気になる。喜多さんの歌、聴いてみたいかも!」

「う〜ん……じゃあカラオケ出来る機会にでも聴かせてあげる。その時は鈴代くんもちゃんと歌うのよ?」

「分かったよ、その時を楽しみにしてるぜ!」

 

 フラペチーノを飲み干してから、勉強会をすること小一時間が経過した。

  

 ごちそうさまでした。いや〜! なかなかに美味しくて甘い飲み物だった。口の中がホイップクリームとキャラメルの甘味でいっぱいですわ。

 

 会計を済ませ、スタパを出て帰路を歩いていると、喜多さんと佐々木さんとはここでお別れだ。

 

「じゃあここら辺で解散しましょうか」

「楽しかったよ、鈴代。また明日ね」

「うん。また学校で!」

 

 ふぅ……こうも甘いものを口に入れたら、しょっぱい物が食べたくなりますな。それにフラペチーノってちゃんとご飯じゃ無いから何処かいい感じの店にでも……ぬん?

 

「家系ラーメン雲母家ねぇ……フッ」

 

 さてと……口直しの一杯でも啜りに行きますかね。

 





4月5日のCENTRALに出演した結束バンドのライブに参戦しました。

全11曲でとても満足度が凄かったです。いきなり明るめの曲「忘れてやらない」で始まったのはビックリしたし、久しぶりに「ラブソングが歌えない」も聴けて良かったです。

よっぴがぼっちちゃんのヨレヨレボイスで挨拶したの面白かったわ。

やっぱり、結束バンドのライブ無しじゃ俺は生きていけないわ。
次もしライブがあって当選したら、結束バンドTシャツ3着目を物販で買いたいと思います。
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