下北沢には天使が住んでいる   作:通りすがりの邪教徒

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予約投稿なので、朝起きたら山田リョウをタグに追加しときます


天使の友人はベーシスト

 

 新しい中学に転校してから1週間が経過し、順調に交友関係を増やしながらも、だんだん周囲の人たちとも歩幅を合わせながら、徐々に馴れ始めて来た学校生活。

 

 そんなとある休日の朝。アラームが鳴る前に自然と目が覚めてリビングへと行くと、まだ誰も起きていない様子だった。

 

 俺はそこで、ある事を実行することにした。それは虹夏ちゃん達のために朝ご飯を作る。

 

 皆さん、お前料理出来るのかよ? そう思っている人がいると思いですが、実は出来るんです。両親が忙しくて家に居ない時とかよく自炊とかしてたからな。

 

 料理のレパートリーに関して、自分ではどちらかと言うと一般的な方だと思ってる。過去クリスマスの時期にコスドコの牛タンをまるまる1本分下処理して、両親にタンシチューや焼肉として振る舞った経験もあります。

 

 因みに、俺の得意料理は煮込み料理系で、特にタンシチューは大好物でよく作っていたけな。今度虹夏ちゃんと星歌姉さんにも作って食べさせたいな。

 

「さてと……今朝は何にしようかね」

 

 冷蔵庫を開けて食材は何があるかを確認する。賞味期限が切れそうな物も順次処理していきたい所だ。

 

 そういえば、野菜を腐らせる前に何とかしたいって昨日の夜に虹夏ちゃんが呟いてたな。

 野菜をふんだんに使ったスープといえば……よし、何となくメニューが固まって来たぞ。

 

 スープとなったら洋食メニューになるから、今朝はパン食にするか。

 それと付け合わせで、パンに塗るようのたまごペーストとかも作ろうかな。

 

 朝食のメニューが決まったので、キャベツやにんじん、じゃがいもなどの野菜類とスープの中に入れる具材であるウインナーやベーコンも出した。

 

「おはよ〜。って、うぇ!? ゆ、雄馬くんが料理してる!?」

「おはよう、虹夏ちゃん!」

 

 野菜を切っていると、途中から虹夏ちゃんが起きて来て、料理をしている俺の姿にビックリしていた。

 普段は虹夏ちゃんのポジションである場所に俺がいるからね、違和感あるから仕方ないよね。

 

「お〜手際良いね〜。私、何か手伝おうか?」

「んじゃ、ゆで卵を6個くらい作っといて。茹で時間はだいたい9分くらいが目安な」

「おっけー! 任せて!」

 

 虹夏ちゃんが卵を茹でている間に、こっちはスープが完成に近づいて来ている。

 

「これってポトフだよね。良い匂い……」

「うむ。スープ味見してみる?」

「いただきま〜す。うん、美味しっ! 味加減完璧だよ!」

 

 どうやら気に入ってくれたみたいだ。その証拠に、虹夏ちゃんのドリトスもぴこぴこと動いて喜んでおりますよ。

 

「はいっ9分経ったよ。次はどうする?」

「次は殻を剥いて、この紙に書いてある調味料と一緒に卵を潰しながら混ぜて」

「あ〜成る程ね。雄馬くんが作ろうとしてる物分かったよ」

 

 虹夏ちゃんは俺の考えを読んだのか、流れるような手つきで目的の料理が完成した。

 今朝のメニューは、ポトフとトーストに塗る用の名古屋発祥の珈琲店風のたまごペーストだ。

 

「2人ともおはよう……。お? 今日の朝飯も美味そうだな」

「そのポトフ、雄馬くんが作ったんだよ」

「雄馬、お前いつの間に料理出来たんだ!?」

「実は出来るんだぜ。さぁ星歌姉さん、おあがりよ!」

 

 某少年誌で連載されていた、料理漫画の主人公のように言ってみた。

 

「いただきます。……う、美味い! やるじゃん雄馬!」

「良かった〜! 虹夏ちゃんのたまごペーストも味付け良い感じだよ」

「私は雄馬くんが渡して来たレシピ通りに作っただけだよ。でも美味しく出来たから良いか」

 

 朝食を食べている最中、そう言えば今日はライブハウスの手伝いをする予定だったなと思いながらスープを飲む。

 バンドの人達がライブをするみたいだし、今日がお休みの日という事もあるし、お客さんもいっぱい来るんだろうな。

 

「ねぇお姉ちゃん、今日からリョウが新しいバイトとして来るんだっけ?」

「ん? ああ、その予定だったな。アイツの事だから、時間の通りに来てくれれば良いが」

 

 リョウ? 名前からして男の人なのだろうか? まさか虹夏ちゃんの彼氏!? などと良からぬ妄想をしてしまった。

 

「ねぇ虹夏ちゃん、その……リョウさんって人誰?」

「そう言えば雄馬くんは会った事ないもんね。リョウは私の小学生時代からの女友達だよ。いわゆる幼馴染ってやつ」

 

 あっリョウさんって人女の子なのね。名前って男でも女でも使える名前が結構あるから、名前だけ聞くと男か女かって分かんない時ってあるよね。

 

 てか、俺は何でさっき謎に焦ったんだ? 

 

「リョウはね、今所属してるバンドでベースをしてるんだ!」

「ベースって、見た目はギターに似てるけどギターよりも低い音が出る楽器でしょ? あと弦がギターよりも2本少ないんだよね」

「そうそう! リョウのベースすっごく上手いんだよ。一度聴いたら癖になるっていうか……兎に角聴いてみたら分かるよ!」

 

 そんなにも凄腕のベーシストが友達って、虹夏ちゃんは凄いんだな。

 

「でも注意点として、リョウは変わってるところあるから、会話に流されないように気を付けてね?」

「そうなんや。にしたって、そのリョウさんって人と会うのが楽しみだな〜」

 

 こうして朝食を食べ終えて、次にデザートとして山梨県から両親がお取り寄せしてくれた、最近流行っているしまりんという品種の苺を出してみました。

 

 食べた感想ですが、美味しかったです。

 口に入れた瞬間、苺そのものの甘みが口いっぱいに広がって、今にもSHINY DAYSが聴こえて来そうになったわ。

 

 いつか聖地に行って、富士山見ながらソロキャンプとかしてみたいな。

 

 

 

 

 

 

 β

 

 

 

 

 

 

 さてと……朝食とその後片付けも済んだ事だし、早速ライブハウスの掃除にでも取り掛かりますかね。

 一方その頃、虹夏ちゃんは家の家事をやっているので、それが終わったら来るらしいが……その前に終わらせちゃうもんにぇ。

 

 雑巾を手に取り、バンドの人が立つ所やライブステージやお客さんが立つフロアの床掃除を始める。

 ここでは潔くモップを使った方が効率良いし、背中を痛めないから雑巾じゃない方が良いと意見の人もいるが、力の入りが違うから寧ろこっちの方が良い……と、ドンモモタロウが言ってた。

 

「おはようございます、雄馬さん」

「あっPAさん、おはようございます!」

「何だかいつもよりライブハウスが綺麗に感じますね。それに今時雑巾って大変じゃないですか?」

「いえいえ。鍛えるついでにもなるので大丈夫ですよ!」

 

 こうしてPAさんと挨拶を交わしながらも掃除を終わらせた頃には、虹夏ちゃんがやって来て「もう掃除終わっちゃったの!?」と今朝したリアクションと同じような反応を頂いた。

 

 そんでもって、虹夏ちゃんにドリンクカウンターへ案内されて、ドリンクの出し方を教わる事に。

 

「雄馬くん、ドリンクのやり方教えてあげるね!」

「おう、ご教授よろしくお願いします!」

「ぜんぜん簡単だから安心して? これがソフトドリンクでこっちにはビールとかその他のお酒もあるよ」

「うんうん……んぐっ!?」

「それで、ドリンクの出し方なんだけど……どうしたの? 顔赤いけど」

「な、何でもないよ」

 

 虹夏ちゃんの距離がめっちゃ近い……なんなら密着してるし、発展途上の刺激が俺の背中を襲う。てか教えるのに密着する必要あるか?

 無自覚なのか狙ってるのか知らんけど、コレはイケナイ匂いがプンプンしてならねぇぜ。

 

「とまぁこんな感じだよ。何か質問ない?」

「いや、大丈夫だ。ありがとね」

「ドリンクの補充とかも追々説明するからね!」

「虹夏、山田が来たぞ」

 

 星歌姉さんの声が聞こえて来たので、階段側の方に振り向くと、隣にはギターケースを背負った中性的な外見をしているミステリアスな雰囲気を醸し出している女の子が立っていた。

 なんていうか女の子なのにカッコいいというか、そこら辺の女子とかに人気系のイケ女子といった感じだろうな。

 

「来たよ、虹夏」

「よく遅れずに来れたね。今日はこの後槍が降るんじゃない?」

「バイト初日は遅刻せずに来ると第一印象が良いって有識者が言ってたから時間通りに来た。次回はどうか分からないけど」

「次のシフトの時もちゃんと時間通り来い!」

 

 この人がリョウさんって人か。確かにさっきの発言ちょっと変わってるな。

 そう思っていると、リョウさんがこちらに気づいて近づいて来た。

 

「君が虹夏がよく話してた雄馬だよね? 私は山田リョウ。よろしく」

「俺もリョウさんのことは虹夏ちゃんから聞いてます。鈴代雄馬です!」

「リョウの事は変人って言ったら喜ぶよ〜」

「虹夏ちゃん、流石にそれは失礼なんじゃ?」

「へへっ……別に嬉しくないし」

 

 あれ? 何気嬉しそうにしてますやん。既に自分が変人であるという自覚あるんすね。

 

「山田、今日は受付の仕事頼みたいから、やり方教えるよ。その背負ってるケースはカウンターの端にでも置いときな」

「分かりました。雄馬、また後でね」

 

 星歌姉さんに連れられて、リョウさんは受付の方へと向かった。

 受付でチケットのもぎり作業か……俺もいつかやってみたいから着いていこうかな?

 

「雄馬くん、一旦休憩にしよ? ドリンク淹れてあげるけど何にする?」

 

 確かに、さっきから掃除したりドリンクの仕方教えてもらったりで働 動きっぱなしだったな。労働の中にもキチンと休憩は取らないとだもんね。

 

「コーラある?」

「はいはい、コーラね〜。はいどうぞ!」

「サンキュ」

 

 ちょうど喉が渇いてたから、甘いシュワシュワが美味いわ。てか、店の飲み物を飲んじゃっても良いのだろうか?

 

 カウンターに座ってドリンクを飲みながら、虹夏ちゃんやPAさんと雑談をする事数時間後。今日ライブをするバンドの人達が来てスタジオで音合わせをしに来たみたいだ。

 

 メンバーが女性しか居なかったから、これって確かガールズバンドってやつだよね。

 俺、某ガールズバンドの音ゲーしてるから何となく分かったわ。因みに最高難易度とか何気に得意っす。

 

 そのまた数時間後。色々と段取りを手伝ってたら、お客さんが次々と来たみたいだ。

 さて、初めての接客だ。気合の全力スマイルでおもてなししないとな。

 

 喜多さんのスマイルお借りします!

 

「オレンジジュースください」

「かしこまりました! ソフトドリンク代500円になります!」

「はい、どうぞ」

「ちょうどですね、ありがとうございました!」

 

 因みに、お酒類は1000円です。ソフトドリンクより高い設定になっております。

 その後も続々と来たお客さんを捌きまくって、数十分後には何とか落ち着いて来た。

 

「雄馬くん、接客上手かったよ! 本当に初めて?」

「全然初心者。友達に明るい子がいるから、その雰囲気を真似しただけさ」

「そうなんだ。あっそろそろライブ始まるよ! この時間は大体暇になるから、ゆっくりしてて良いよ」

「2人とも、お疲れ」

「リョウさん、受付は?」

「店長が変わってくれた。あのバンドは最近注目だから見とけって」

 

 こうして俺たちは、ドリンクカウンターからライブの様子を見届ける事に。

 

 俺もこういう視点でライブを見るの、何だかワクワクして来たぞ。

 





山田リョウはまだクズの片鱗は出してない。徐々に浮き彫りになってくる事でしょう。

因みにしまりんではなく、本当は埼玉県産のあまりんって書こうとしたんですけどきらら感出したかったので弄りました。

今後、虹夏ちゃんのおっpのことは発展途上と表記させていただきます。
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