この青春の物語に祝福を!   作:暇人の鑑

3 / 3
色々寄り道しながら、なんとか第3話です。
とりあえず、まずは対策委員会と絡めてみました。
あと、今回は口調が似たキャラが何人かいる為、台本形式を取り入れてます。


第3話 

 俺、サトウカズマが非業の死を遂げ、問題のある異世界にやってきてから大体半年が経ち。

 世界を恐怖に陥れる魔王と戦う勇者の1人として、3人の仲間と共に冒険の日々を送っていた。

 そんな中、ひょんなことからまた新たなる世界へと連れてこられ……!

 

 

アヤネ「それでは、本日の定例会議を始めます!」

 何の因果かは知らないが、この世界でも「借金返済」のための知恵を働かせなければならなかった。

 

カズマ「9億近い借金……いや、無理だろ」

 

アヤネ「そ、そこを何とか……!何かいい案があったらそれを教えてくれるだけで十分ですので…!」

 俺達冒険者はクエストを受け、賞金首を討伐すれば金が手に入るし一攫千金だって夢じゃない。

 しかし……この砂漠に生まれた街「アビドス」にそう言ったものは存在しない。何より……返済額が俺たちの大体3倍だ。会議のオブザーバーとして呼ばれたが、流石に無茶と言わざるを得ない。

 食い下がる委員長っぽい少女「奥空アヤネ」を前にして、ノブレスなんたらを刺激されたダクネスが唸る仕草を見せている。

 その隣でめぐみんは不敵な笑みを浮かべた。

 なんか嫌な予感が……

めぐみん「なら話は簡単です!我が爆裂魔法でその諸悪の根源を消し飛ばしてしまえば…!」

カズマ「お前ここに来てから撃ててない鬱憤晴らしたいだけだろ」

 コイツには「一日一爆裂」と言う傍迷惑な日課がある。

 平原やら湖、魔王軍の城と撃てる場所がそれなりにあるアクセルと違い、キヴォトスでやろうものならただの爆破テロだ。

めぐみん「仕方ないではないですか、私は爆裂魔法を一日一回撃たないと死ぬんですから……ああっ!やめてください、引っ張らないで下さい!」

 これ以上馬鹿な事を言い出さないように眼帯射出の構えをとっていた時、銀髪のケモ耳をした「砂狼シロコ」がハッとしたように視線を上げた。

 

シロコ「……ん、銀行なんて言わずに借金元を襲えば解決する。盲点だった」

 どうやらウチの3馬鹿とあんまり思考回路は変わらないらしい。

アヤネ「シロコ先輩、そんな天啓を得たみたいな顔しないで下さい!」

ホシノ「うへ〜、借金は消えるかもだけど他の払うお金が増えちゃうよ…」

セリカ「…いや、そろそろ離してあげたら?」

めぐみん「今はなしたら痛そうだから、そのままゆっくり戻して欲し……」

 これでめぐみんはしばらく大人しくなるだろう。

 すると今度はどこかふんわりした佇まいを持つ少女「十六夜ノノミ」がなぜかウチの3人を見て確信を得たように。

 

ノノミ「それなら今こそスクールアイドルを立ち上げる時です♧アクアさん達も一緒にやれば大ヒット間違いなしですよ♪」

アクア「ふふん。わかってるじゃない!私たちがアイドルなんかなったら人気は滝登り間違いなし。借金なんてチャラよチャラ!」

ダクネス 「アイドルか……そう言えばアクセルにもいたな。彼女達は元気にしているだろうか」

 ダクネスが言っているのは「アクセルハーツ」の事だ。

 俺が例のゲームに憧れてプロデュースした3人組ユニットで、今はアクセルだけに留まらず人気を獲得している。

めぐみん「そうですね。カズマも前に…」

 めぐみんもいい反応を見せていたが、黒い猫耳をしたツインテールと言う「け○おん!」あたりにいたかもしれない見た目の「黒見セリカ」がその流れに待ったをかけた。

セリカ「反対よ反対!もうあんな衣装は着ないからね!」

アヤネ「あ、あうう……」

 どうやらあの2人は経験者らしい。

カズマ「参考までにどんな衣装を着たのか、写真で見せてくれると……」

 そう、これは参考にしたいだけだ。

 真面目そうなアヤネが恥ずかしがるから、どんな衣装か見たい訳じゃなく…。

めぐみん「この男、2人の反応を見てからあからさまに顔つきが変わりましたよ」

ダクネス 「ああ、流石カズマだ…」

外野がうるさい。

 アヤネとセリカから少し引いた視線を受けているとアクアがいい事を思いついたかのように。

アクア「それなら、この水の女神たるアクア様が素晴らしいお金の増やし方を……」

ダクネス 「エリス様感謝祭の時のやり方ではないだろうな?……おい、こっちを見るんだアクア!」

 流石に法整備されてそうなここでやったら一発でお縄である。

セリカ「……ちなみにどんなやり方なの?」

カズマ「ネズ「却下!」

流石に会計なだけあって知識はあったようで安心した。

ダクネス「それならアクアが芸をやって人々を呼び込めば…」

アクア「ダクネスったら何言ってるのよ!お捻りなんて受け取らないわ!」

ダクネス「なんでそこだけは頑ななのだ…」

 芸人のプライドを見せるアクアにダクネスが頭を抱え。

 ノノミに餌付けされためぐみんが菓子を夢中で食らい、ホシノは抱き枕を抱えて夢の中。

 そんななんともカオスな状態でシロコが立ち上がった。

シロコ「やっぱり答えは一つ……銀行を襲う」

おいやめろ、アヤネの頬が引き攣ってるじゃないか。

 アヤネに苦労人というシンパシーを感じ出していた時。ダクネスの説教を回避せんとしたアクアが俺に目線を向けて。

アクア「それならカズマさんがえーてぃーえむに向けてスティールを……」

カズマ「おい馬鹿やめろ!」

 とんでもない事を言い出したので、慌てて止めようとしたがすでに遅く。

 

シロコ「………ん、やっぱりカズマ達には見込みがある。一緒に銀行を襲おう」

カズマ「やっぱりってなんだよ、てか誰が小悪党向きだ!」

めぐみん「ぴったりだと思いますが…」

 シロコの肩ポンの後の一言から数瞬、アヤネの手によって返されたちゃぶ台が、この会議の終わりを告げた。

 

 そんな、慌ただしくも進展のない会議があった日の夜。

 

ホシノ「うへ〜。アクアちゃんてば、こんなところで酔っ払い?」

アクア 「あら、ホシノじゃないの。いや〜、こんなにも月が綺麗なんだもの。呑まなきゃ損よ損…」

 夜のパトロールに向かおうとしたホシノが見つけたのは水色の髪をした絶世の美女…もといアクア。

 月明かりと星が照らす夜空とアクアという絵面はよく映えるが……その手に持つ酒瓶とだらしなく寝転がる姿で台無しだった。

ホシノ「他の3人と一緒じゃないのかな?」

 カズマ達のことを話題に出すが、アクアは気にした様子もなく上体だけ起こす。

アクア 「んー?この学校に漂ってる幽霊の子がいたんだけど……なんだか話を聞いて欲しそうだったからね」

 なんてことないように呟いた言葉に、ホシノは殴られたような衝撃を受ける。

 かつてこの学校にいた、ホシノにとって忘れることのできない先輩「梔子ユメ」との記憶……そして、一番最後に見た姿が甦った。

 色々あって踏ん切りをつけたと思っていても…忘れることなんて出来はしない。それほどまでに傷は深いのだ。

ホシノ「や、やだなぁアクアちゃんってば…おじさんはそんなので怖がるような歳じゃ…」

 動揺を悟られないように平成を装うホシノの顔をアクアは覗き込み。

アクア「ユメ、ホシノのことをすっごく心配していたわ。「ちゃんと笑えているか?」って」

ホシノ「……!」

 その言葉は嘘を言っているようには見えなかった。

 何より、ホシノはユメの事をアクアに教えていない。

 それなのに…アクアはユメの名前を口にした。

 何も言えないでいたホシノを見ていたアクアは、その視線をまた空に向ける。

アクア「昔何かあったみたいだけど……まあ、今が笑えてるならそれでいいんじゃない?」 

 見入られるようにその動きを視線で追うホシノを気に留めない、どこか浮世離れした雰囲気を出しながらアクアは言葉を続ける。

アクア「アクシズ教の言葉にこんなものがあるわ。

「汝、老後を恐れるなかれ。未来のあなたがどうなるか、それは神ですらもわからない。なら、今だけでも笑いなさい」って……ユメもきっと、笑ってるホシノを見ていた方が安心するわ……」

 だが、その先はなかった。

 酔いが回って眠くなったのか、また寝っ転がり……イビキをかきはじめる。

ホシノ「うーん、カズマくんに連絡して迎えにきてもらおうかな…」

 砂漠の夜は冷えると言うのに、無知なのか豪胆なのか……。

 

 ただ、このアクアという存在が人という括りに収めて良いものではないことは、ホシノの中の何かが告げている。

 なにより、先ほどの言葉が啓示であるかのように胸に響いてきた。

 

 本当にわからないけど……とりあえず、笑っていようと思う。

 きっとユメ本人も、浮かない顔をするホシノを見たら「笑って」って言うだろうから。




いかがでしたか?
次回は未定ですが、頑張って書いていこうかと思いますので待っていただけると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。