The Elder Scrolls V:Skyrim-Pokemon Edition 作:楽園の主
(ん……んぅ?)
眠っている彼女は、風を感じて目を覚ました。
手は拘束されており、バンバドロが引くバ車に乗せられ、どこかへと運ばれているようだ。
風は冷たく、肌寒い。
「おいそこのアンタ。やっと目を覚ましたか。」
声が聞こえて、目の前をしっかり見る。そこにはフローゼルがいた。
(え、ポケモン?本物?)
目を疑いながらも、まじまじと見つめては失礼か、と平静を装う。
「国境を越えようとしてたんだろう、違うか?俺たちはあそこのコソ泥と同じで、帝国の罠に飛び込んだって訳だ。」
いや、と否定しようとしたが、答えらしい答えを持っていなく、そのまま肯定も否定もせずに話を聞くことにした。
「ストームクロークめ、お前らが来るまでこのスカイリムはいいところだった。帝国はいい感じに怠けてたんだ。」
ブイゼルの横にいた、ベロバーが彼へとそう話しかけた。
ちら、と自分の隣を見れば、そこにはラグラージがいる。
どうやらこのバ車は4人……いや、4匹乗りらしい。
しかしながら、自分がどういう経緯でここにいるのか。思い出せないでいた。
このバ車は、どこへ向かっているんだろうか。
「連中がお前らを探してるんじゃなかったら、とっくにあのバ車をかっぱらってハンマーフェルへとおさらばしてたさ。」
さてでは自分は、と手を見ると、そこにあった手は人間の手ではなく、三本しか無い指。
胸の中央には赤い突起物と、まるっきりサーナイトだ。
(なッ、え、は?)
思いっきり動揺しているが、手が拘束されているためあまり自由もない。
何がどうなってるんだ、と思っていると強い語気で続けていた彼は、こちらへ向けて言葉を放つ。
「そこのアンタ!こんなところに来たのが間違いだったな。帝国が狙ってんのはこいつらストームクロークだ。」
顎を食い、とそちらへ向けて隣にいるフローゼルを指す。
手は、皆等しく拘束されている。
「はは。これで固く結ばれた兄弟姉妹だな、な、コソ泥。」
手の拘束をわざとらしくギリ、と音を立ててベロバーへとアピールしつつそう言った。
「そこ!黙れ!」
バンバドロが自分たちにそう強く言い放つ。
話の流れからするに、帝国、という所のポケモンたちなのだろう。
「こいつはどうかしたのか?」
ベロバーは、自分の隣にいるラグラージを見てそう言った。
「言葉に気をつけろ、お前は真の上級王、ウルフリック・ストームクロークと話をしてるんだぞ。」
そう言われたラグラージは、口も拘束されており、言葉を発することなくただ、目を閉じて瞑想しているようにもみえる。
「ウルフリック……ウィンドヘルム首長の?それは反乱軍の指導者のはずだ。だけどあんたが捕まったんなら……。」
そこまで言って、ベロバーの顔はサァッ、と青ざめる。
「ああ、なんてこった!俺たちはどこへ連れてかれるんだ!?」
「どこに行くつもりかは知らんが、ソブンガルデが待ってるんだ。」
「い、嫌だ!そんなの嘘だろう!?こんなことあるわけない!」
先程から聞いた事のない土地の名前が沢山出てきて、彼女は訳がわかっていない。
(ソブンガルデ……?話の流れからするにヘブン……天国的なこと?)
そう、予測することくらいしかできない。
「……お前はどこの村の出だ?コソ泥。」
「どうしてそんなことを?」
「誇りある者は死に際に故郷を思う。少なくとも俺たちはそうさ。」
「……ロリクステッド、故郷はロリクステッドなんだ。」
これまた知らない土地の名前だ。一体、何が何だか、と。彼女はひとつため息をついた。
バンバドロが、どこかの門を通る。砦らしく、いくつかの塔や外壁に囲まれている。
「これはテュリウス将軍!死刑執行人が待機しています!」
バンバドロの視線の先には、ネギガナイトがいた。
将軍、と呼ばれるのを見るに立場は高いのだろう。
「よし、さっさと終わらせるとしよう。」
「あぁ、あぁあパルキア様、ディアルガ様、ギラティナ様グラードン様カイオーガ様、アルセウス様ぁ!どうかお助けをぉ!」
ベロバーはとにかく無数の伝説ポケモンの名前を出し、誰でもいいから助けてくれ、と言葉を強く虚空に放つ。
伝説ポケモンはここでは神とされているらしい。1部なのな、全てかは不明だが。
藁にもすがる思いなのだろうが、神としてもそこまで手当り次第では、救いの手も差し伸べないのではないだろうか。
「……見ろよ。政府長官のテュリウス将軍だ。」
フローゼルはネギガナイトをみて、そう呟く。
彼が知るよりも、ここのポケモンは高度な社会を築いてるらしく、国や将軍という立場があるらしい。
知っているポケモンの世界とは大きく違う。
そのなにもかもが、彼女に混乱をもたらした。
「それにサルモールが一緒のようだ。あの胸糞悪いエスパータイプどもめ。かけてもいいが、この1件だって奴らが関わってるに違いない。」
憎々しい目線を、テュリウスと呼ばれるネギガナイトの近くにいるユンゲラーへ向けた。
「……ああいや、君もフェアリータイプ複合とはいえ、エスパータイプか……すまない、全てがそうだ、という訳では無いが、どうしても偏見があってな。」
「いや……。」
構わない、という意味を込めて首を振った。
どうやらここではタイプによる偏見が有るらしい。
彼女へ向けて謝罪をするように申し訳なさそうな顔をしたフローゼル。
一息置いて、再び呟き始める。
「ここがヘルゲンだ。昔、ここの女に夢中になってね。彼女は未だにベリーを混ぜて、あの蜂蜜酒を作ってるんだろうか。」
思い出に思い馳せながらだろうか、ひとつ息をついた。
「……へっ。幼い頃は帝国軍の防壁や塔がこの上なく頼もしく思えたもんだがな。」
高い防壁や塔を眺めながら、そう彼は言った。
昔は帝国と敵対していなかったらしい。今やそれは憎い存在なのだろう、険しい表情をしていた。
「おっと。」
そうこうしているうちに到着したのか、バンバドロは止まった。
絶望したようにベロバーは何故止まるのだ、と喚いていた。
「どう思う?まさに一巻の終わりだな。……行くぞ。神様を待たせちゃ悪いからな。」
フローゼルがそう言うが早いか、バ車の後ろ側に座っていたラグラージは地に降りた。
ベロバーはぐっ、と力を入れて抵抗する。
「違う!待ってくれ!俺達は反乱軍じゃない!」
「死ぬ前に少しは気骨を見せてみろよ、コソ泥さんよ。」
フローゼルは体でグイグイとベロバーを押して無理矢理バ車から降りさせた。同時に、彼も降りる。
自分も、降りるしかない、と決心して彼女も降りた。
前には、アーマルドとシュバルゴがいた。シュバルゴはなんらかのリストを手にしている。
手、と言えるべき槍のようなそれ。それの肩部分から小さな手が覗いており、そこでリストをペラペラとめくっている。
槍のようなあれは体の一部で、手はカブルモの時のそれのように小さなもの。
実際ポケモンを見れば、細かな発見があるものだ。
「名前を呼ばれたら処刑台へ向かうように。1人ずつね。」
アーマルドとシュバルゴの前に、バ車に乗せられたポケモンたちが並べられる。
どうやら複数のバ車があったらしく、10名を越える人がいた。
(たくさんポケモンがいる……って、まて、処刑台?)
「帝国は忌々しいリストが大好きだな。」
フローゼルは鼻で笑いながらそう皮肉気味に言った。
シュバルゴは自分たち4人のところへと向き、リストと自分たちを交互に見ている。
「ウィンドヘルム首長、ウルフリックストームクローク。」
「……。」
ラグラージは何も言うことなく、向こうへと連れられていってしまった。
「ウルフリック首長、光栄です!」
フローゼルは、ウルフリックと呼ばれたラグラージに向けて、敬意を表した。
手は拘束されているので、敬礼の類はできない。
「リバーウッド、レイロフ。」
ギロ、と帝国のポケモンを睨みながら向こうへと歩いていく。
次はベロバーの番だ。
「ロリクステッドの──」
「俺は反乱軍じゃない!やめてくれ!」
彼の言葉を遮って無理矢理懇願した。
「黙れ、速やかに──」
「い、いやだぁ!」
もうどうにもならないことを察したのか、恐慌して走り出してしまうベロバー。
「止まれ!」
アーマルドが大きな声で制止するもベロバーは止まらない。開いた門から逃げ出そうとしている。
「……まさか命までは取らないよな?」
周囲にいた、下っ端帝国兵らしきキモリが、そう呟く。
逆にその言葉が、日常的に命のやり取りはしているのだという、裏付けのように感じた。
「ふんっ。射手!」
「了解!」
近くにいたサボネア2匹は、腕を構えるとミサイル針を無数に放った。
ぎゃあ、と痛々しい声を上げ、ベロバーは地面に倒れる。
そこへ、片方のサボネアがもう片方のサボネアを投げ、上空から落下しながらニードルアームを放つ。
グシャ、という身を潰すような音を立てたかと思えば、ベロバーから放たれる音の一切は失われた。
(え……?ころ、された?)
現実味を帯びていなさすぎて実感していなかったが、目の前でベロバーが息絶えたのを見て、実感が湧いてきた。
ポケモンになったこともわけが分かっていないのに、こんなに簡単に命を散らされるのか、と恐怖し、足が震える。
「他に逃げたいものは?」
しん、と誰も動くことなく、声を上げることもない。
だが、自分以外は恐怖により動けない、ということはなさそうな表情だ。
どちらかと言うと、戦士のような表情だ。
祖国のために戦った、死は誇りだ、というようなそれ。
(冗談じゃない。死にたくない、でも、どうしようも無い……!)
「そこのお前!前へ出ろ。何者だ?」
何者だ、という言葉に答えられる程の情報は彼女には無い。
だが、答えるしかない。幸いにも、なんのポケモンかは分かっている。
「サーナイト……ノラ、です……。」
名前はでっち上げだ。記憶がぼやけてしまい、名前すらも思い出せないが、それでも名乗らなければならないという思いからそう答えた。
「ノラ、か。名前は……リストにないな。エスパータイプなら故郷は──」
「リストはもういいわ。彼女を処刑台へ。」
「……ご命令通りに、隊長。……気の毒に。あんたの遺体は、故郷に送り届けるよ。隊長について行くんだ、囚人。」
隊長と呼ばれたアーマルドについて行く。
逃げたら蜂の巣、逃げれるわけは無い。
「へルゲンにはお前を英雄と呼ぶ者がいる。だが──」
テュリウスと呼ばれたネギガナイトが、ラグラージに向けて何かを言っているが、ノラの耳にはもう届かない。
何せ、目の前には斬首をするためであろう台があるからだ。
水で洗い流しているのだろうが、取り切れない血の跡が惨たらしく付着している。
ベロバーが殺された光景も相まって、自分がそこに首を置かなくてはならないのか、と想像してしまい、絶望してしまう。
「──だがここに、帝国がお前を殺し、平和を取り戻す!」
そう、テュリウスが言った時。空の遠くから、轟くような音が聞こえた。
微かに、だが、勘違いだ、と思えるほど小さくは無い。
「……今のはなんだ?」
「どうということはない。続けよう。」
疑念は感じたが、中止するほどではないと判断したのか、処刑を実行に移すようだ。
「はい、テュリウス将軍!……彼らに最後の儀式を。」
なにかの儀式を行うのだろう、ユンゲラーが両手を空に向け、目を閉じて何かを唱えようとしている。
呪文によるなにかなのか、エスパー技なのか、それともただの言葉なのかは分からない。
だが、その言葉を放つ前に、遮った者がいた。
「おいおい、昼になっちまうぜ。さっさと終わらせろ。」
「……フンッ。お望みのままに。」
自分たちとは違う場所にいた、アリゲイツがそう言いながら処刑台へと自ら向かった。
それを見た、向こうにいるストライクは、処刑台へと近付く。
どうやら、彼が処刑人らしい。
アーマルドはアリゲイツを蹴り、首を斬首台へ。
さらに足で背中を押えつけている。
(ま、まさか、ほんとに?)
ノラは狼狽える。ベロバーの光景と、重なる。
「我が父祖達が微笑みかけてくれるのが見えるぞ。帝国。貴様らに同じことが言えるか?」
目は力強く、恐怖は少したりとも見えないアリゲイツ。
放たれた言葉に、処刑人のストライクは全く反応しない。
鎌を大きく上へと掲げた。そして──
その瞬間を、ノラは見ることが出来なかった。
ぎゅ、と目を閉じて顔を逸らしてしまったからだ。
しかし、重々しく切り裂く音と、重い何かが地面に落ちる音は聞こえた。
ちら、とそちらを見れば、アリゲイツの首が転がっていた。
「ッ───」
悲鳴にすらならない声が漏れた。
処刑人は、隣にいる補佐であろうポケモン、モンジャラに血を拭ってもらっていた。
その後、ギャリ、と両の鎌の刃を擦り合わせる。
アリゲイツの首は、モンジャラが回収して別の場所へ。
ノラは大きく息を吸えなくなり、短い呼吸に。頭がクラクラして視界は歪んでおり、恐怖により足が震えていた。
「帝国の外道共め!」
ラグラージの軍、ストームクロークの者だろう人達のヤジが帝国ポケモンへと飛ぶ。
それに帝国のポケモンも強い言葉を返していた。
が、ノラの耳には遠くのことのように、小さく聞こえていた。
アリゲイツが、処刑されてしまったことに、衝撃を受けているからだろうか。
「恐れを知らずに生き、恐れを知らずに逝ったか……。」
フローゼルの、レイロフが祈りを捧げるように目を閉じながらそう呟いた。
その声に、はっと正気に帰るノラ。
「次はそのボロ布を着た貴様だ!」
アーマルドに指、と言うよりも手?をこちらへ向けられて呼ばれた。
ふと気づけば、自分はボロ布を身にまとっていたらしい。
それについて何かを考える前に、早く歩けと言わんばかりに、別の帝国ポケモンに背を押された。
その時、またなにかの声が聞こえる。
「またあれか。聞こえたか?」
「次の囚人、と言ったはずよ。」
関係ない、やれ。と言わんばかりにアーマルドはそう言った。
「……斬首台へと進め囚人。……抵抗、するなよ。」
シュバルゴは、ノラにそう語り掛ける。なにか、申し訳なさそうな、声をしていた。
恐らく、本当は優しい人なのだろう。普通なら、ノラを何とかして助けてやるような。
だがこの戦乱の時代と、立場。それが許さない。
震える足で無理矢理歩かされ、斬首台の前へと誘導させられた。
アリゲイツが処刑された光景が頭を離れない。
自分から動けないノラの首を、アーマルドが背を蹴って斬首台へとかけた。
強い血の匂いが意識を埋め尽くす。息が荒くなり、目からは涙が流れた。
カチカチと、顎が震えて歯が音を鳴らす。
もう、ノラは自分の体を制御出来ていなかった。
ストライクが、彼女の隣へ位置取った。
その時。再び、なにかの声が響いた。その大きさたるや、確実に、近い。
「一体あれはなんだ!」
「見張り兵!何が見える!?」
ストライクが鎌を振り上げるが、なにかの声が響き、空間を震わせる。
どこかに着地したのだろう、地面が大きく揺れた。
そして、大きく咆哮を上げた。処刑人はそれにより、意識を別の場所へと向けた。
「ドラゴン……クリムガンだ!!」
「何をぼさっとしてるんだ!あいつを仕留めろ!」
「なんてこった!」
どうやら近くの塔の上に着地したらしく、辺りは大混乱。
「おい起きろ!いくら神でもそう何度もチャンスはくれないぞ!」
レイロフの声が、耳に強く響いた。
(そうだ、チャンスだ。今、逃げないと!!)
なけなしの力を全身に込める。立ち上がり、ふら、とふらつきながらもレイロフを探した。
「こっちだ!」
見つけたレイロフと共に、近くの砦に逃げ込んだ。
「ウルフリック首長!あれは一体……?伝説は本当ということですか!?」
「伝説は村を焼き払ったりしない──」
何かを会話しているが、ノラはそれよりも怪我をした人達に目が向いた。
頭を怪我している者、足を怪我している者。
様々だ。
「塔に上がる。行くぞ!」
レイロフのその声と共に、意識が引き戻される。
ここにいて、もしクリムガンから逃れても帝国ポケモンたちがいる。
とにかく逃げなければならない。
塔を登る途中、壁が破壊されてクリムガンが現れた。
「下がれ!」
クリムガンは、目の前にいたブイゼルに向かって火炎放射を放った。
ブイゼルは叫び声を上げながら倒れた。
そしてこちらを向いた、が、煩わしそうな顔をして別の方向へと向いたかと思えばどこかへ飛び去った。
恐らく、帝国ポケモンたちの攻撃を受けたのだろう。
レイロフは、破壊された壁から外をキョロキョロと見渡した。
「……ノラ、だったな。向こう側の宿が見えるか?屋根を飛び抜けてそのまま進め!いけ、こっちはあとから行く!」
さすがは戦場経験者と言うべきか、冷静な判断だ。
塔から外を見ると、高さは2階から飛び降りる、といったほどだ。
塔と宿の距離は近い、が、足を滑らせてしまえば、地面に叩きつけられるだろう。
(怖い、怖い、けど!)
跳ぶしかない。決心して塔の外壁から外へと跳んだ。
高さはいらない、とにかく前へ。
「──うッ!う、ぐ……。」
宿の地面には跳び降りれた。着地の瞬間に転がってしまったが、結果的には衝撃を分散させた、と言えるだろう。
宿も木造だからかそこかしこが燃え盛っている。階段も降りれない。
だが、地面が崩落している場所があった。そこから、1階へと跳び降りた。
宿から出ると、そこは戦場。ノラも、狙われる存在だ。
だが、クリムガンの対処に追われて皆はこちらへ意識を向けられていない。
バ車が通った門、あそこならば逃げられる。
そう思って、帝国の目を逃れてそこへ走ろうとした。
が、運悪くそこにクリムガンが立ち塞がっていた。
攻撃を避けて、なんてことは危険すぎる。
どうしたらいいのか、と思って辺りを見渡せば、一際大きな砦に、レイロフが向かっているのが見えた。
自分もそこへ向かうしかない。運良く帝国ポケモンもほとんど居ない。
「レイロフ!裏切り者め……どけ!」
「俺たちは脱出する、ハドバル。止めはしないだろうな?」
「はっ!いいだろう。お前ら全員あのクリムガンにソブンガルデに連れて行かれちまえ!」
レイロフと、ハドバルと呼ばれたシュバルゴがその砦の前で会話していた。
内容から察するに、元々は友達だったりしたのだろうか。
戦争とは本当に惨いものだ、と、ノラは思った。
「ノラ!こっちだ、砦の中へ!急げ、こっちだ!!」
レイロフはそう言って砦の入口へ。そちらへついて行こうとすると、ハドバルがこちらへ話しかけてきた。
「待て!レイロフは反乱軍のポケモンだ!こちらに来い、こちらなら、帝国でなんとかしてやれる!」
ノラの足は止まった。どちらの軍が大きいのか、というのはわからない。
反乱軍、と言うからには帝国の方が安全なのかもしれない。
しかし、結局どちらに居ても戦乱の時代だ。どこにいても危険。
ならば。
「……どっちが正しいとか、わかんないけど……今は、助けてくれたレイロフを信じる!」
処刑しようとしていた帝国より、助けようとしてくれたレイロフを信じることにした。
ハドバルをそこに置き、レイロフの方へと走る。
「くっ、反乱軍に加わるんじゃないぞ!そうなったら──」
ハドバルの声は、クリムガンの咆哮にかき消されて途中で聞こえなくなった。
レイロフと共に、砦の中へと飛び込んだ。
そこには、ひとつの死体。ゴルダックだ。
身につけている軽装の鎧が、レイロフのものと酷似していることから、仲間だったのだろう。
帝国の攻撃を受けながらもここへ逃げ込んだが、力尽きてしまった、ということだろう。
仲間の死体の胸に手を置いて、悔しそうに目を閉じるレイロフ。
「ソブンガルデでまた会おう、兄弟よ。」
ぼそり、とそう呟いた。立ち上がり、ノラと向き合う。
「助かったのは俺たちだけのようだな。あれは間違いなくドラゴンだった。子供向けの物語や伝説に出てくるやつだよ。終末の導き手だ。」
「……ドラゴンタイプは、みんなあんなのなのか?」
「いいや、全てではないな。かなり種は少ないが、共生しているドラゴンタイプはいる。」
レイロフは、死んでしまったゴルダックの腰元から小さな短剣を取った。
「先を急ぐぞ。こっちに来い、いま解いてやる。」
ノラは拘束された手をレイロフの前に差し出す。
「すまないな、俺の爪がもっと鋭ければ切り裂いたんだが……種族的にそこまで鋭くない上に武器を使う関係上、短く切っているんだ。」
そう説明しながら、短剣で縄を切り裂き。拘束を解いてくれた。
「ほら。ガンジャールの装備を貰った方がいいんじゃないか?彼にはもう必要ない。友の武器を借りることは、恥では無い。」
ガンジャールと呼ばれたゴルダック。
軽装のそれは2手2足用で、自分にも装備できるだろう。
そういえば自分もボロ布を纏っているし、帝国のポケモンやレイロフたちも軽装の鎧を来たり、武器を使ったりしている。
どうやら服の概念はあるらしい。まぁ種族によるだろうが。
と、そこまで考え、自分がほぼ裸であることに気がついた。
こんな格好で今までいたのか、とは思ったがここは安全な場所ではない。
ともかく、生きなければ。
ガンジャールと呼ばれたゴルダックから装備を拝借し、身にまとっていたボロ布をちぎって捨てた。
(こんなもの、着ていても着ていなくても一緒だ。)
ふと、レイロフが別の方を向いていることに気がついた。
思ったよりも彼は紳士らしい。
ガンジャールの装備はゴルダック用で、サーナイトのような起伏のある体格に合わせて作られている訳では無い。
胸でつっかえて着用し辛かったが、胸を潰してようやく、なんとか着ることが出来た。
(しかし、サーナイトってこんなに胸大きかったかな……。)
そんなことをふと思った。まぁ、種族とは言っても体格に差はあるだろう。
息苦しさを感じつつも、ゴルダックの腰元に付いていた斧を手にして、レイロフに準備完了だ、と伝える。
さて、この砦はどうやら地下から洞窟で外へつながっているらしい。
レイロフは鉄格子の扉へ手をかけた。
「……ダメだ、こっちは鍵がかかってる。」
そう言っていると、足音が響く。
「まずい、帝国軍だ!」
逆側の扉からだ。声を聞くに、3名。アーマルドと、あと2人だ。
レイロフはさっ、と壁に張り付いて息を殺す。
不意打ちをして、倒すつもりらしい。
で、あるならばこちらもそれを援護するしかない。
しかし、アーマルドのような硬い外殻に斧だけで何とかなるものだろうか。
こちらの味方は水タイプ、アーマルドには効くはずだ。
アーマルドはお願いするとして、こちらは周りの2人。
(やれるだろうか。……いや、やるしかない。)
不意打ちで1人、あとは1対1。まだ、何とかなりそうだ。
もうどうせ死ぬかもしれないんだ、という決死の覚悟。
足音が近づく。それと同時に、レイロフは低く構えた。
「まったく、なんという──」
ガチャ、と扉を開いた瞬間だ。レイロフは動いた。
「ウラァァァアアア!!」
「なッ──ぐぅっ!!」
アクアジェットだ。それでアーマルドに突撃、大きく後ろへと吹っ飛ばし、さらに追い打ちで突撃した。
驚いた兵隊2匹、モンジャラと、バルビート。
幸い、硬い相手ではない。狙うはまず、近いモンジャラから。
ノラは安堵した。相手が人と、酷似した姿でないことを。
「だぁぁぁあアアア!!」
「うわぁッ!!」
大きく振りかぶって、斧を叩き下ろした。
モンジャラの触手は叩き斬れ、硬い何かを割ったような感覚。
一撃で、モンジャラは動かなくなった。
「貴様ッ!!」
何かを感じている暇はない。バルビートは、短剣を構えてこちらへ飛びかかってくる。
防御する手段はない。回避するしかない。
だが、どう避ける?と、そう思った時。
(?な、なんだ……?ここか!?)
「うおっ!」
なんとなく、なんとなくだ。どこに攻撃が来るかわかったのだ。
エスパータイプ故か、なぜかは分からないがそれを避け、バルビートは体勢を崩す。
距離は近い、立ち位置は背中側。しかし斧を振り下ろすには近すぎる。
咄嗟に、ノラはバルビートの羽を掴み、斧の柄で思いっきり頭を殴った。
「きゅぅ……。」
死んではいないようだが、気絶させることが出来た。
レイロフはどうなったのだろうか、と思ったその時。
扉の奥からレイロフが吹き飛ばされ、地面を転がる。
そこを、アーマルドが走り寄りながら叩き切ろうと腕を振り上げる。
レイロフは手にした斧を上に、アーマルドの一撃を防御した。
膂力はアーマルドが上なのだろう、ギリギリと少しづつ押されていた。
もう片方の腕を振り上げ、横薙ぎに振るおうとしているのが、ノラにはわかった。
危ない。そう思った時にはノラは既に動きだしており、斧を振りかぶっていた。
そして思いっきり投擲。アーマルドの頭にぶち当てた。
ぐしゃ、という音と共に血が吹き出してアーマルドは倒れる。
角度が良かったか、柔らかい部分だったのか。
ともかく、運良く通じたらしい。
「ふぅ……。あんた、なかなか強いんだな、助かったよ。」
息を切らせるノラに、すっと拳を差し出した。
ああ、映画とかでよく見るあれか、と理解し、レイロフの拳に拳で応じた。
「そうだ、誰かが鍵を持っているかもしれない。」
アーマルドの懐を探るレイロフ。
ノラは、鍵以外にも役立つ物があるかもしれない、と。バルビートの装備を探る。
特に役に立ちそうなものは無いが、短剣を拝借して行くことにした。
斧が振るえないほどの近距離。先程もあったあの距離なら、短剣の方が有効だろう。
「あった、待ってろよ。……よし、開いた。」
キィ、と鉄格子の扉を開いたレイロフ。
彼に続き、ノラは地下の洞窟へ続くその道へと足を踏み入れた。
なんだこれ(自問)わかんねぇな(自答)
ところでなんですがあなたは"これ"を、どちらが好きで見ていますか?
-
Skyrimが好き
-
ポケモンが好き
-
どちらも好き
-
どちらでもない