The Elder Scrolls V:Skyrim-Pokemon Edition   作:楽園の主

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なんだこれ(再度自問)まぁいいか(諦観)

一応……
ノラ(主人公)→サーナイト
レイロフ→フローゼル
ウルフリック・ストームクローク→ラグラージ


第2話 ─脱出、解放─

 

レイロフについて行き、砦の中へと進んでいく。

どこかに出る場所がないか、探しながら。

大きな道がひとつある。

そこを通ろうとすると、地響きが。

 

「気をつけろ!」

 

上でクリムガンが暴れているらしい、目の前の道は崩落して進めなくなってしまった。

 

「くそ、あのドラゴンめ。簡単には諦めてくれないな。」

 

幸いにも道はもうひとつある。扉がある、その先に。

もしそこが部屋で行き止まりなら、また考える必要があるだろう。

誰かがいる可能性がある、と、レイロフはゆっくりと、静かに扉を開いた。

 

「持てるものを持って早く逃げろ!あのドラゴンに灰にされてしまうぞ。」

「そうだな……薬を集めなくては。」

 

帝国軍のポケモンが2匹いる。キモリと、サボネアだ。

どこから繋がっていたのか、そこにいる。

レイロフの方を見ると、グッ、と力を込めているのが見えた。

やはり奇襲をかけるつもりらしい。

彼は恐らくアクアジェットで突撃することだろう。

ノラは、自分が何かポケモンの技が使えないか、と思ったが、ゲームのようにコマンドがある訳では無いし、何ができるかもわからない。

そんなことを考えていたら、レイロフはアクアジェットで突撃、キモリを壁にたたきつけた後、手にした短剣で切り裂く。

 

「なっ!反乱軍か!」

「生け捕りにされるつもりは無いぞ!」

 

そのままサボネアの方も仕留めてしまった。

ノラは戦争経験者じゃない。ここまで落ち着いた状況での戦闘なら、恐らく出番は無いのだろう。

 

「ここは……貯蔵室か。ポーションがないか見てくれ。必要になるはずだ。」

 

キズぐすりや、回復する木の実の名前では無い。

どういう世界観なんだ、と困惑しながらもそれを探す。

6人でも囲めそうな大きな机の傍にある棚。

そこにいくつかの瓶が立てられてあった。

 

(これかな?)

 

色の着いた液体が入っているのか、瓶に色がついているのかは分からないが液体の入った赤い瓶と、青い瓶があった。

レイロフも数個見つけたようで、ノラの方へと歩いてきていた。

 

「見つけたか、そうだそれだ。体力と……精神力回復か。上々だな。よし、行くぞ。」

 

精神力、とはポケモンで言うPP、他の作品で言うMPなどという概念だろうか。

わからないが、役に立つならそれでいい、と思いながらそれを手に取っていた。

さて、どこにしまっておくべきか。バックパックやポーチの類は持っていない。

ゴソゴソと服を探ると、ポケットがあるのに気づいた。

ポケットは小さいが、ポーションが入った瓶ふたつ程度なら入る。

それをポケットに入れてレイロフを追いかけた。

さらに階段を降りていくと、血がぶちまけられたように汚されている石の床。

 

「血……!?拷問部屋じゃないか!」

 

周囲には牢屋のような籠が多数並んでおり、死体も複数ある。

道具は見当たらないが、レイロフが見るにはそうらしい。

ノラは感覚が麻痺してきているが、それでも直視できるほど強靱な精神をしていない。

目を逸らし、別のものを探そうとしている。

すると向こう側から何者かが走ってくる音がした。

 

「帝国軍か……!」

 

レイロフはまた、壁に背を預けて身を隠す。また不意打ちするつもりだ。

ノラはそれと逆側の同じ場所に隠れようとしたが、壁は真っ直ぐに伸びており、隠れるところは無い。

それならば、と、道の直線上の机の奥に隠れ、斧をすぐさま投げられるように構えた。

道の向こうから来た1匹目。その1人目は同じ自分たちと軽装鎧を着ている、ハスブレロだった。おそらく味方だ。

だがレイロフは突撃しようとしている。

 

「待って……!」

 

大きすぎない声で、レイロフを制止する。

彼はそれに何かを感じ取り、突撃を中止。

ハスブレロはレイロフの目の前を通過。その後2匹の帝国のポケモンがやってきた。

レイロフがこちらを見ていたのでジェスチャーでOKの合図を出した。

それを見た彼は頷いたあと、突撃。また2匹とも仕留めてしまった。

 

「すまない、助かった。」

「首長は?一緒じゃないのか?」

「いや、クリムガンを見て以降見ていない。」

 

その話をしている時、近くの棚に盾が立てかけられているのにノラは気がついた。

帝国軍のものかは見た目では分からないが、ここにある以上そうなのだろう。

生きるためだ、と思い、その盾を拝借した。

 

「まて、あの牢屋の中、なにかあるな。鍵がかかってる……が、このタイプからピックであけられかもしれん。やってみてくれ。あの金は、脱出後に必要かもしれん。」

 

牢屋の中に、小さな袋が入ってることに気がついた。

恐らく、ここに入れられていた者の所持物だったのだろう。

レイロフからロックピックを受け取った。

が、やり方がわからない。レイロフは道の向こうを警戒している。

ハスブレロがこっちへ寄ってきて、使い方を教えてくれた。

簡単な錠前だったらしく、もたついたが、少しの時間で開けることが出来た。

 

「上出来だ。でもあんまりするんじゃないぞ。」

 

じゃあ教えない方が良かったのでは?とおもいながらも、牢の中にあった小袋を手にし、2人でレイロフの元へ。

 

「よし、こっちだ、急げ。」

「しかし私は首長を……」

「いや、別行動は得策じゃない。ここを出てからでも遅くはないだろう。」

 

首長を心配する気持ちは同じだが、同じくらいに彼ならば大丈夫だろう、という信頼があるということだろうか。

 

「テュリウス将軍が来るまで待機、だとよ。」

 

帝国軍だ。数にして3。

 

「奴らだ。……あの野郎、よくも同胞を……!!」

 

ギリ、とハスブレロは拳を握る。怒りを抑えられなかったらしい。

 

「ま、待てッ!」

「同胞の仇ッ!!そしてウルフリックとスカイリムのためにッッッ!!」

 

飛び出して行ってしまった。もちろん、帝国側のポケモンは素早く3匹で陣形を組んだ。

レイロフはその目を逃れ、背後へと走る。

ハスブレロは水鉄砲を口から放つが、帝国ポケモンは盾でそれを防いだ。

自分もなにかしなくては行けない、と思い走る。

 

「!何者だ!その鎧、ストームクロークか!」

 

鎧を見て察したのだろう、3匹のうちの1匹がこちらを見て、ミサイルばりをいくつもこちらへ放つ。

咄嗟に盾を前に構え、しゃがんでなるべく体を小さくした。

針の殆どは外れたが、1つは大腿部を掠め、、そしてもう1つは運悪く木の部分に当たったらしい。盾を貫通、腕を貫いた。

湿度の高い場所に置かれていた木の盾だ。腐っていなくとも、柔らかくなってしまっていたのだろう。

 

「い゛ッ……!!」

 

腕と大腿から血が流れる。腕に関しては針が刺さったままだ。

直径は数ミリだが、長さが15cmほどもあった。

その視線がノラに行っている瞬間を見逃さず、レイロフは帝国ポケモンを攻撃。2匹を撃破した。

もう1匹は、ハスブレロと相打ちになったらしい、2匹共に倒れて息絶えていた。

 

「ノラ、大丈夫か?」

 

レイロフはノラの元へ走りよる。腕に刺さったミサイルばりを見て、それとノラの腕を掴んだ。

 

「抜くぞ、食いしばれ。」

 

顔を背け、ぐっと目を閉じながら全身に力を込める。

 

「ッ、あ゙ぁ゙ッ!」

 

抜けた瞬間、あまりの痛みに体がビクリと跳ね、我慢できず声を上げた。

レイロフがポケットから赤いポーションを取りだし、足と腕の傷にかける。

消毒液をかけた時のように痛みが走るが、それは少しの間。

段々と痛みが引いてきて、足の傷に関してはもう塞がってしまった。

腕の傷は完全にふさがった訳では無いが、血が沢山流れることは無いだろう、という程には回復。

なんと言う技術か。ポーションがあったことに、ノラは感謝した。

レイロフの手を借りて立ち上がり、穴の空いた盾を捨てた。

近くにいた帝国ポケモンをそのままに、道を行く。

息絶えたハスブレロが、2人の目についた。

 

「……立ち止まってる暇はない。行こう。」

 

レイロフは悔しそうな顔をしながら、道を行く。

ノラは、そこに居た帝国ポケモンの持っていた弓と矢を拝借した後、それに追従した。

その矢を、見つめながら、ノラは考える。

ここまでの少しの時間で、何匹の命が散っていったのだろうか。

戦争は本当に惨い。とノラは少しだけ思った。

でも、意志を持ち、知能を持つ以上、争いというのは無くなることは無い。

悲しいが、それは事実だ。

 

「すまない、君は恐らく戦争を経験したことがないのだろう。辛い思いをさせてしまっている。」

 

歩きながら、レイロフはノラにそう話しかけた。

 

「いえ……それよりも、同胞を沢山失ってしまった、貴方の方が……。」

 

ノラは確かに戦争を経験していないし、元人間という関係上、ポケモンの死、というのは目の前で人間が死ぬよりは精神ダメージが低い。

もしこれが全て人間だったのなら、恐らくノラの心は壊れてしまっていたことだろう。

しかし、レイロフは目の前で、同じ釜の飯を食って、日常をすごして笑いあった、その仲間たちの多くを失ったのだ。

辛くないはずがない。そう思って、ノラは俯いた。

 

「……見ず知らずの人の立場になって、悲しめる。君は優しいんだな。まったく、黒い事を考えるエスパータイプに見せてやりたいよ。」

 

レイロフは、ふっと笑ってそう言った。

道を行くと、跳ね橋が上がっていた。近くにはレバーがある。

とてつもなく分かりやすい。もう少し隠すとか、帝国軍しか使えないようにするとか方法はなかったのだろうか、とノラは思った。

 

(いや、文明のレベルにもよるのか……。)

 

そもそも隠せるような機構を作れる技術がない、とか、全体の学習レベルにもよるのだろうか、とか、色んな考えが頭を巡る。

考えているうちに、レイロフが跳ね橋を下ろしていた。

ガンッ、という重い木材の音ともに橋がかかる。

レイロフは後ろを警戒してくれているらしく、ノラに先を譲った。

ギシ、と木の音が響く。決して脆くは無いが、なんとなく、もう崩れてしまうのではないか、と思ってしまう。

壊れてしまう、という想像を振り切って、渡りきる。

その先の周囲を見て、誰もいないことを確認してレイロフに合図を送った。

彼はそれを確認すると、走ってこちらへ。

その時、また地響きが起きる。クリムガンはまだ暴れているのだろうか。

ノラは体勢を低くしてなるべく重心を下げた。

その震動でだろうか、跳ね橋がギギギ、と割れ始める。

レイロフはそれを察知して、急いで前へと跳んだ。

こちらへと着地する、それと同時に跳ね橋は崩れた。

 

「もう引き返せないな……。他の仲間はこの道を使えない。ともかく、俺たちは進むしかない。」

 

その道をしばらく歩くと、石造りの床は無くなり、土やむき出しの岩、水が流れる洞窟に出た。

 

「整備されていない……洞窟か。だが、風は感じる。」

 

言われるとおり、動いていなくてもそよそよと風を感じる。

つまりはどこかは外に通じてるはずだ。

足元に気をつけながら洞窟を進む。

歩いていて、ノラは思う。

 

(バランスを取り辛い……。)

 

サーナイトの足は人間とは大きく違う。

人間の足のように、足の裏が平たくなっていないため、立ち止まって真っ直ぐ立つにあたってはバランスを取るのが難しい。

歩いているのならまだバランスは取れるが、と言ったところか。

本来のサーナイトなら、浮かんだり、エスパー能力を使ってバランスを取っているのだろうか、なんてことを考えた。

洞窟の天井が空いていたり、水の流れる先に穴があったりするが、なかなかレイロフとノラが通れるほどの穴は無い。

幸い、洞窟はまだ続いている。先へと二人は歩いていった。

途中、広い空間に出たと思えばそこは無数の蜘蛛の巣と、繭がある空間に出た。

す、と上を向けば赤い体と、複数の緑の体が見えた。アリアドスとイトマルだろう。

 

「アリアドスの巣か……友好的ではなさそうだな。」

「話し合いとかは……?」

「難しいだろう。もちろん、言葉が通じて街で住むアリアドスもいるが……。」

 

生まれた時から野生で生きるポケモンは、同種族間のみで通じる言語やコミュニケーションで話して生きる。

こちらと話し合いができるようなことは限りなく少ないという。

 

「走れるか?」

 

レイロフの言葉に、頷くノラ。

彼は鎧の下に来ていたインナーの1部をちぎり、帝国軍が使っていたメイスに巻き付けた。

それを、続く道とは真逆を位置取るアリアドスの巣に投げる。

 

(匂いか……。)

 

ただ巣を揺らすだけではなく、ポケモンの匂いが着いた物で揺らすことによって意識をそちらへ強く誘導する、と。

こちらに何かいると気がついていても、獲物が巣にかかったのならそちらへ向かうかもしれない。

メイスが巣に引っかかると、アリアドスは跳躍、周囲のイトマルもわらわらとそちらへ向かっていく。

 

「今だ!」

 

その言葉とともに、彼らは駆ける。

アリアドスは巣に引っかかったのが獲物でないと判断すると同時に、彼らを追いかけて跳んだ。

何度も跳ねて高速で追いかけるアリアドス。

だが、彼らこの空間から出て離れたのを見て、諦めて戻って行った。

 

「……ふぅ、なんとかなったか。こういうのは苦手だ。絡みついてきて……なかなか取れん。」

 

足に着けた防具と、足に絡まった蜘蛛の糸を、川で洗い流すレイロフ。

フローゼルという種族故か、毛には引っかかって取りづらそうだ。

しばらくして、再び洞窟を歩く。道はまだ続いている。その途中。

 

「待て!見ろ、リングマだ。今は揉めたくない。音を立てずに、時間をかけていこう。足元に気をつけてな。」

 

体勢を低くして、なるべく音を立てないように歩く。

幸い、リングマは眠っている上に体勢的にも向こうを向いている。

手にした弓矢を見た後、リングマを見るノラ。

 

(そりゃ、こんなのじゃ仕留めれないよな……。)

 

銃が無かった頃、毒矢で熊を仕留めた時代があった、と聞いた事があったノラ。

その際、いくら毒の矢とはいえ熊はそれだけでは仕留められず、手にした武器で戦うこともあったのだとか、と聞いた記憶が彼女にはある。

現実の熊とリングマはまた違うだろうが、目の前にしてみれば似たようなもの。

見れば見るほど、こんなもので仕留められるなんて気は起きない。

息をも殺して進み、充分離れた頃、光が強くさし、風を感じる。

出口だ。

 

「見ろ!この道は外に繋がってる。やっぱりな、俺は絶対道が繋がってると思ってたぜ。」

 

レイロフはそう言いながら外へ。

安堵する気持ちと共に彼に着いて、ノラも外へ出た。

岩の天井は消え去り、空は広がる。

 

「待て!隠れろ!」

 

突然、レイロフはそう叫ぶ。

また何か居たのか、と焦って近くの岩へと体を隠した。

すると、空から声が響いたと思えば、クリムガンが空を飛んでどこかへといっていた。

 

「……さっきのクリムガンか。あの様子だと、今度は戻ってこないだろうな。」

 

ヘルゲンでの戦いを終えてか、元の場所へと帰るのだろうか。

ともかく、襲われる心配がないのならそれでいい。

ひとつ、大きく息を吸って吐いた。

太陽の光が眩しい。風も先程までの湿気が多いものでなく、気持ちがいい。

ようやく、ようやく脱出できたらしい。

 

「他に誰かが生きて出られたのか、今は知ることが出来ないな。すぐに、この辺りは帝国軍のポケモンがうようよし出すだろう。ここからはさっさと退散した方がいい。」

 

レイロフはそう言うが、ノラには宛が無い。

目が泳ぎ、どうしたものか、と考えていると。

 

「ああそうか、君は国境を越えようとして捕まったんだったな。こっちにはアテがないか。そうだな、姉妹のジャルデュルが、リバーウッドで工場をやってる。この道の先だ。彼女はきっと助けてくれるだろう。」

 

そう言ってレイロフは前を歩く。ノラには着いていくしかない。

しかし、なにかお礼をしなくては。ただ、彼女はここにおいて返せるような何かをもってはいない。

 

「君がいなければ、俺はここまでこられなかっただろう。何か、お礼をしないとと思っていたんだ。」

「いや、それを言うならこちらの方が。あなたがいなければ、きっとあの処刑場で絶望したまま死んでいました。」

「はは、なら俺たちはお互い助け合ったってことだな。」

 

相手の方も感謝を感じているらしい。

もしくは、ノラ側が何かで返さなくては、と思っていることを感じ取り、気を使って言ったか。

さらに、道を行く。草花が生き生きとした、豊かな自然の道を。

 

「そうだ、ウィンドヘルムへ行ってスカイリム解放の為の戦いに参加しないか?今日、帝国軍の本当の姿を見ただろう。」

 

とは言っても、ノラはこの国?の状況を全く知らない。

どちらにつくのが正解か、どちらについた方がいいのか、なんてことはわからない。

だが、どちらかについてしまえばその相手とは敵対してしまう。

身の危険が増えてしまう。

元々、ノラにはこの世界での身分がない。

それなら、どちらにも参加しないことで安全に生きられるのでは、と考えた。

もしヘルゲンの件で帝国から狙われるようなら、その時に反逆軍側について、後方支援などをすれば……などと考える。

ともかく、今ここで結論を出すのは早すぎる。

 

「それは……わかりません。私は……。」

「そう、か。強さを持っているからと言ってそれを振るう義務があるとは俺は言えない。だが、君に戦う時が来たとして、その時はこちらについてくれることを願うよ。君には、帝国に晴らすべき恨みがあるだろうしな。」

 

ノラは帝国に、1度処刑されかけている。恨みがあるといえばあるのだろう。

 

「ドラゴン、そうだ。クリムガン。クリムガン……というより、ドラゴンは味方なんですか?」

 

あまりにタイミングよく現れたそれ。

味方を巻き込んだとはいえ、首長を逃がすことが出来たと考えれば、味方だった、もしくは味方が呼び寄せたのでは、と思い当たる。

 

「そんなまさか!ウルフリックといえどポケットからドラゴンを出すことは出来んよ。あのタイミングで偶然現れてくれて助かったよ。処刑人ストライクの髭剃りサービスなんぞ受けたくなかったからな。」

 

ドラゴンポケモン、というのは制御出来るようなものでもないらしい。

そういえばドラゴンタイプというのは扱いが難しい、という話があった。

それがこの世界ではこういう形で現れるのかもしれない。

共生している種がいるというのも、全てのドラゴンタイプの気性が荒いわけでない、ということだろうか。

 

「あの山の上の遺跡が見えるか?ブリークフォール墓地だ。」

 

川を隔てた向こう側、比較的小さな山が見えているが、そこの頂上には大きな遺跡があった。

聞けば、盗賊の巣窟になっているらしい。

 

「あんな場所の下で、どうして暮らしていられるのか……さっぱり分からない。」

 

雨風さえ凌げれば、という考えであそこにいるのかもしれない。

だが、遺跡、と言うからにはなにか恐ろしい存在が居そうな気はするが。

まぁ、外れ者の集まりが故に、普通の場所では生きていけないのだろう。

道の途中、石碑のようなものが3つ、立てられていた。

 

「このスカイリムに点在する13柱の古代大立石のうち、この3つを大守護石、という。自分の目で確かめてみるといい。」

 

近づいてよく見てみれば、それに星座のような模様が掘られている。

左側が盗賊、中央が魔術師、右側が戦士、らしい。

それぞれに祈りを捧げることで、それとして卓越した存在になれるようになる、というものらしい。

願掛けや神への誓いのようなものだろう、実際効果があるかは定かではない、あれだ。

しかし、ポケモンが当たり前に存在し、そんな世界では本当に効果があるのかもしれない。

 

(サーナイト、という種族で考えるなら魔術師?でも、サイコキネシスとか、使える気がしないし……。)

 

かと言って、盗賊は論外だ。犯罪を犯して、捕まるなんてことはしたくないし、倫理的にどうなんだ、とノラは思った。

魔術師か、戦士か。

サイコキネシスなどが使えない今、もし効果があるなら戦士にしておいた方がいいかもしれない。

もしそれらが使えるようになったら、また改めて祈りにこればいいだろう。

そう思って、戦士の石碑の前に膝をつき、手を組んで祈ってみた。

 

「戦士か!結構。星々が栄光に導かんことを。」

 

正式な祈りの作法など全く知らないため、想像で祈ったが、それが正しかったのか、それとも祈る心が重要なのか、それは通じたらしい。

石碑の星座のような模様は僅かに光った。

なにか、祝福されたのかもしれない。

 

(……気休めには、なるかな。)

 

人間は良くも悪くも自己暗示でどうにでもなるし。

立ち上がって、レイロフにまた着いていく。

リバーウッド、とやらはまだ先なのだろうか。

 

「そうだ、覚えておいてくれ。この辺りはストームクロークの領地じゃない。ヘルゲンでの出来事が伝わらない限り、俺たちはここにいても、よっぽどのヘマをしない限り大丈夫だ。」

 

帝国軍にとって敵地であるならまだしも、彼らの領地でいて、普通に過ごしている限りは疑われることは少ない。

犯罪を犯して捕まって調べられたり、帝国にとって敵となる軍の鎧を着たりしない限りは大丈夫なのだろう。

 

「もし帝国軍に鉢合わせたら、俺に話をさせてくれ。上手く言うよ。」

 

それに了承し、またしばらく歩いていると、段々と村のようなものが見えてきた。

 

「共に来てくれて嬉しいよ。もうすぐリバーウッドだ。」

 

ようやく休めるのか、とも思ったが、もしかしたらヘルゲンの出来事が既に広まっているかもしれない。

気は抜けないな、と思いながらノラはレイロフとともに村に入る。

だが、その光景はのどかそのもの。

 

「ここの人は、まだ何が起きたか何も知らないようだな。さ、ジャルデュルは彼女の製材所で働いてるよ。」

 

村に入って左側にある橋を渡るレイロフ。

ノラはジャルデュルという存在に挨拶するために彼について歩く。

 

「ジャルデュル!」

「レイロフ!ああ、無事でよかった!また会えて嬉しいわ。」

 

そう言って、木材の製材所の中にいたオオタチがレイロフの元へと走り寄った。

姉妹と聞いたからてっきりブイゼルかフローゼルかと思っていたノラは少しだけ驚いた。

しかし、ポケモンは確か近縁種というか、近しい性質の種であるなら子をなせたことを思い出した。

たしか、それをタマゴグループ、とかいっただろうか。

 

「でも、ここにいて大丈夫なの?ウルフリックは捕まったと聞いたけど……。」

「大丈夫だ、少なくとも今は。ようやくね。」

「怪我をしてるじゃない。なにがあったの?……彼女は誰?仲間?」

「訳あって彼に助けて貰いました、ノラです。」

「まだ仲間、では無いが友達なんだ。命の恩人さ。そうだ、どこか、ゆっくり話が出来る場所はないかな。ヘルゲンでの話がいつ帝国に届くか分からないし。」

「ヘルゲンでなにが?……そうね、ついてきて。ホッド!ちょっとこっちに来て!」

「なんだ!?……ん、レイロフ!?ここで何してるんだ!ああ、すぐそっちに行く!」

 

製材機を動かしていた、ホッドと呼ばれたサンドはその場所から降り、こちらへと向かう。

しかし別の方向から、オタチが走ってきた。

 

「レイロフさんだ!ねぇねぇ、遊ぼうよ!」

 

ジャルデュルの子どもなのだろう、レイロフと遊びたそうにぴょんぴょんと跳ねている。

普通のオタチと比べて、爪が鋭いように見える。

ホッドと呼ばれたサンドとの子ども、と考えるとある程度は父親の特性も引き継ぐのだろうか。

 

「ごめんね、ホルドナー。今は忙しいの。南門を見張ってちょうだい?もし帝国軍が来たら教えて。」

「えー!もっとレイロフさんと遊びたいよ!」

「はは、でも南門の監視を1人で任されたんだろ?もう1人前じゃないか!この戦いに、お前が参加する日も遠くないのかもな!」

「へへ、そうだよ!心配しないでレイロフさん!あんな兵士たち。なんて、近づけさせないよ!」

 

ホルドナーと呼ばれたオタチは門へと監視するため走り出した。

レイロフは子どもの扱いが上手いようだ。

そのタイミングでホッドが現れる。

 

「さてレイロフ、こっちの状況は?」

 

切り株にレイロフは腰掛けながら、話を始めた。

 

「どこから話したものか……そうだな、ウルフリックについて君たちが聞いた話は本当なんだ。」

 

ノラは状況を把握するためにも、静かにレイロフの話を聞く。

レイロフは首長であるウルフリックの軍の一員として移動していた。

そしてダークウォーター・クロッシング、と呼ばれる場所の外で、帝国に圧倒的な数で待ち伏せされていたらしい。

どこへ向かうのかを完全に把握しているようだった、と彼は語る。それが2日前の話。

ウルフリックは戦いを指示せず、降伏を選択。恐らくだが、仲間を無駄死にさせたくなかったのだろう。

そして今朝、ヘルゲンに止まり、ノラが辿った流れになると。

 

「奴らはウルフリックに対して公正な裁判なんて行おうとしなかった。民のために戦って反逆罪だぜ?」

 

不満そうにそういい、さらに続ける。

 

「自分自身でも信じられない気持ちはあるよ。しかもそこにいたんだよ、俺が。変な話だが、ドラゴンがいなけりゃ、俺たちはみんな死んでた。混乱の中でなんとか逃げてこられたからな。」

 

他のポケモンと共生しているドラゴンタイプ以外は、滅多に見ることがない、どころかもはや子供向けの伝承とまで言われるほどだ。

もう、見ることは長らくなかったのだろう。

 

「リバーウッドにたどり着いたのは俺たちが初めてなのか?」

「知ってる限り、南の道には誰も来てないわ。」

「そうか……安否が分からないのは残念だが、それならそれで暫くはゆっくりできそうだな。ジャルデュル、君の家族を危険な目には合わせたくないが……でも。」

「馬鹿げた悩みね。貴方も友達も、居てくれていいわよ。好きなだけね。帝国軍のことはまかせて。レイロフの友人なら、私の友人よ。出来ることなら喜んで手を貸すわ。」

「……ありがとう、頼りに出来ると思っていたよ。」

「いいのよ。他に誰が脱出できたの?ウルフリックは?」

「心配するな、きっと外に逃げられたと思う。ウルフリック・ストームクロークを止めるにはドラゴン1匹じゃあ足りんよ。」

 

そういって、レイロフはジャルデュルから鍵を受け取ってどこかへと向かって行った。

彼女の家に行くのだろう。捕まる前から軍として移動していたのなら、体はとてつもなく疲弊している事だ。

正直、土地や国、帝国について聞いてこの先を考えたいところだったが、休ませてあげた方がいいだろう。

 

「ノラ、だったわね。大変だったわね、女の子なのに。貴女もレイロフと一緒に家でゆっくり休んで。」

 

そういいながらジャルデュルはノラへと鍵を渡した。

とは言うものの、なら遠慮なくといつまでも居られるほどノラは図太くなかった。

仕事を手伝うか、なにか返せることはないだろうか。

そう考えていたところ。

 

「しかし、ドラゴン、なぁ……。でも、それならさっき空を飛んでたアイツの説明が着く。俺の見間違いで、本当はデカイ鳥かなにかかと思ったが、そうじゃないらしい。」

「それなら、首長に応援を要請しないと。」

「ジャルデュル、でも俺たちがここを離れる訳には行かないだろう。」

 

レイロフがいることだし、帝国のポケモンが来た時の対処や仕事のこともあるし彼らはここを離れることが出来ない。

だが、首長にそれを伝えなければ、もしここにドラゴンが来たらここにいるポケモンと家屋は蹂躙されることだろう。

それを聞いていたノラはこれだ、と思った。

 

「私が伝えてきましょうか。」

 

そういうと、ジャルデュルとホッドは驚いたようにノラの方を見た。

 

「本当?もし、引き受けてくれたら恩に着るわ。」

 

その首長、というのはホワイトラン、という町にいるらしい。

そこへの行き方を聞くとホッドがスペアの地図をノラへと返さなくていい、と言いながら渡した。

 

「ここから大きく北にホワイトランはある。リバーウッドがここだ。で、ここから見えるブリーク・フォール墓地ってのがここだから──」

 

と、山を越えるならどうで、どこが危険で、遠くなるが平坦な道ならこっち、と詳しく説明をノラは受けた。

 

「でも、今日はもう遅いわ。疲れているだろうし、休みなさい。」

 

ジャルデュルはビシ、とノラの方を指さしながらそう言う。

確かに、まだ日は落ちていないが、今から行けば夜通し歩くことになるだろうし、休めるような街や村は途中にない。

今日は休んで、明日向かうことが最善だろう。

1連の話が終わると、ジャルデュルとホッドは仕事へと戻った。

ノラは休みたい気持ちもあったが、まずは村に何があるか把握しよう、と思い、散策することにした。





ジャルデュル→オオタチ
ホッド→サンド
ホルドナー→オタチ

ところでなんですがあなたは"これ"を、どちらが好きで見ていますか?

  • Skyrimが好き
  • ポケモンが好き
  • どちらも好き
  • どちらでもない
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