The Elder Scrolls V:Skyrim-Pokemon Edition 作:楽園の主
散策を開始したノラ。とはいえ、そんなに広い村では無いのだが。
今いる場所が製材所、細い川の分岐を橋で渡ってすぐ左には酒場と宿が合わさった建物。
道を挟んでその横に雑貨や食品が売っている店、対面に鍛冶屋。
向こう側にはいくつかの民家が見える。
さて、まずはどこへ行こうか、と思ったそのとき、くぅ、と腹がなった。
そういえば、何も食べていない。落ち着いたことだし、と、まずは酒場に向かうことに。
キィ、と扉を開くと、そこには中世のような風景が拡がっていた。
机がいくつかあり、中央には大きな篝火、みな酒を飲んだりご飯を食べたりしている。
吟遊詩人が詩を歌っており、可愛いポケモンがウェイトレスをしていた。
「いらっしゃい。ごゆっくりどうぞ。」
空いている好きな所へと座れ、ということだろう、ウェイトレスをしているタブンネはそう言った。
誰も座っていない2人席に座り、さて何を頼んだものか、と考える。
しばらくすると、タブンネが水を持ってきた。
「なにかお決まりで?」
「とりあえず、軽食を。おすすめをお願いします。」
何があるか分からないから、持ち金を見せてそう言った。
「わかったわ。軽食でいいのね。飲み物は蜂蜜水でいいかしら?」
「はい。」
「OK、少し待ってて。」
にっこりと笑いながら店主らしきポケモンの元へと歩いていった。
しばらく待っていると。
「相席、いいかな?」
前を向けば、マスカーニャがそこにいた。
多少、革の装備を装備しているのを見るに旅人だろうか。
「?ええ、構いません。」
そう答えると、対面側に座ったマスカーニャ。
ちょうどタブンネがクッキーと蜂蜜水を持ってきてくれた。
礼を言って受け取り、食べながらマスカーニャの話を聞く。
「初めまして、私はシャルナ。見たところ、ここの村の人じゃなさそうだけど、君も旅人?」
「いえ、そういう訳では。訳あってここに滞在しています、ノラです。」
マスカーニャも飲み物を頼んだようで、それを飲みながら話を続ける。
「少しこの辺りに用があってここに来たんだ。もしよかったらなんだけど、武具屋とか、案内してくれないかな。」
すぐそこにあるんだけどな、と思いながらノラは返答する。
「構いませんよ。私が利用したことがある訳ではありませんが、場所なら知っていますので。」
ニッコリと笑いながら了承する。
「助かるよ。複合とはいえ、あくタイプ、ってそれだけで警戒されちゃうから……。」
苦笑するシャルナ。そういえばヘルゲンでエスパータイプにいいイメージがない、とレイロフは言っていた。
タイプ別に根強い偏見があり、差別というそれもあるのだろう。
今わかったので言えば、エスパータイプとあくタイプはあまり言い目では見られない、といったところか。
自分もエスパータイプなのだが、案内は自分で大丈夫なのだろうか、とノラは少し思ったが、深くは考えないことにした。
2人とも食事を終えた後。
「案内してくれるんでしょ、ここは私が持つよ。」
「いえ、しかし……。」
「いいからいいから。」
「その、んん……では、お言葉に甘えて。ありがとうございます。」
お代はシャルナが持ってくれた。正直、ノラとしては申し訳ない気持ちでいっぱいだが、人の好意をあまり跳ねのけるものでは無いか、とそれを受けた。
人ではないが。
さて、その後外に出て、共に鍛冶屋へと向かう。とはいえ、すぐそこだが。
鍛冶屋の建物の横には、屋根の下に鍛造器具だろうか、それが光と熱を放っている。
革をなめす棚や、砥石台、作業台などがあり、作業場がそこだ、とわかる場所だ。
鍛造器具のとなりではチャオブーが金槌を振り下ろして鉄を叩いており、カン、といい音を響かせている。
棚に武器をいくつか立てていて、盾も置いてある。
それの近くに防具も置いてあり、何となく武器の方が少ないように見える。
防具が主とする鍛冶師なのだろうか。
これからホワイトランに向かうなら、野生のポケモンもいるだろうし、なんだったら山賊的な存在もいるかもしれない。
こちらも武器や防具を揃えるか、と思った。
「ああ、いらっしゃい。」
「見せてもらえるかな?」
「もちろん、構わないぞ。」
二つ返事だ。何かを考えたりするような、そんな含みもないように聞こえる。
あまりタイプによる偏見を持たないポケモンなのだろうか。
「だけど、今は少し、1部の品揃えが悪くてな……。」
聞けば、何でも近くにあるエンバーシャード鉱山、という場所でいつも鉄などの資材を取っていたのだが、今は盗賊に拠されてしまってここしばらく回収ができていないらしい。
仕方なく、ホワイトランの衛兵や、伝書を届けてくれるポケモンなどを待っている状況らしい。
「恐らく旅に出るとかの、なんらかの目的で装備を揃えに来たんだろう?武器も見せたいところだが……ご覧の有様でな。」
武器が少ない気がする、と思ったのは気のせいではなかったらしい。
防具が主の鍛冶師、という訳ではなく、武器を作る素材がない、と。
「なるほどね。短剣の新調、補修を考えていたんだけどどうかな?」
「今そこにあるものか、研ぐことなら。鉄不足でな、新しく作るのは難しい。」
うぅむ、と悩ましそうな声でチャオブーは唸った。
鉄資材がない、というところなのそれを使わないものなら作ったり調整は可能、鉄の武器でも大幅な補修はできないが少しだけだったり、研いだりはできる。
シャルナも仕方なく、短剣を研いでもらいつつ、今ある、いくつかしかない短剣を見ている。
「嬢ちゃんのも随分傷んでるな?」
「拾い物なので……。」
「使えりゃいい、って派閥か?悪いことは言わない、1本は手入れされた武器を持ちな。とはいえ、今は俺の店には選べるほど品は揃えられてないが……。」
確かに、いざと言う時に使えないということがないようにしておくというのは正しい。
金銭に余裕がある訳では無いが、1つは武器を買っておいた方がいいかもしれない。
しかし、武器よりも防具が欲しい、とノラは思っていた。
今使っているストームクロークの軽装鎧は胸がきつい。
それからもわかる通り、自分に合ったものを買う必要がある。
譲られたものや、倒した相手のものが着用できるものとは限らない。
まして、この世界はポケモンが普通にいる世界。ポケモンなんて種族で着れるものなんで全然違う。
(というかそもそもいつまでも追い剥ぎみたいなことしたくないし。)
そんなことを続けていたらそれこそ盗賊だ。
出来ることなら、自分で購入したものを使いたい。
そういえば、と自分の胸元を見た。
(そうか、サーナイトだから着れる鎧が限られてくるのか……。)
たまたまもらったストームクロークの鎧が、胸の中央の赤い突起を通せただけで、鉄やその他の鉱物でできた重装鎧だったらそもそも着ることすら出来ていなかっただろう。
ストームクローク軍に水タイプが多いことから、重すぎない鎧を扱うことが多いのだろうか。それが幸運だったらしい。
ちら、とルシャナの方を見ると革で出来た防具を既に装備しており、新たなものと比較するように物色していた。
柔軟性と防寒に優れるものの、鉄などに比べれば防御力は劣る。
マスカーニャである彼女は見たところ高機動や隠密を主とする戦闘をするように見える。
それなら、音が響きやすく重量のある鉄の防具は悪手か。
(革にするか……。)
確かに金属よりは防御力が劣るが、それは理論値での話。
動くならばとか直撃しなければとか、たくさんの要素で総合して考えなければならない。
加えて金銭の事情、体の事情もある。
そもそも、サーナイトという種族が力の強い種族では無い。
あまり重い防具を着込んで、体力を浪費してしまったり、いざと言う時に動けない、ということは避けなければならない。
もしかしたら、本来のエスパータイプなら念力かなにかで持ち上げて重量を軽減するのかもしれないが、少なくとも今のノラには出来ないこと。
今回は皮の防具を選んで購入することにした。
しかし。
(この世界の普通って、これ……?)
どれもこれも体を隙間なく覆うようなものが少ない。
今手に取った、革の鎧だって胸しか守られておらず、腹や肩はむき出しになる。
人間で考えれば、戦闘ではなくビジュアルを優先したデザインに見えてしまう。
誇張して表現すれば、ビキニアーマーとでも言うべきか。
そこで、ノラは考え直す。
(そうか、着用する側の体に差異がありすぎるからか。)
ポケモン、という世界観で考えればそうなる。
筋肉量が、とか体型が、とか身長が、とかいう範囲の話ではない。
羽が生えている者もいれば腕が多数ある者もいる。
人型をしていたとしても、カイリキーとサーナイトとでは使える鎧はもう別物だ。
故に、1式で上半身を覆う装備を作るよりは、肩、胸、腹、腕、足、と全てをばらばらに作り、当人に組み合わせる方が手間が省ける、という訳だ。
それでも、既存では対応できない体型もあるだろうが、そこは職人の腕の見せどころだろう。
(どう組みあわせたものか。)
再びルシャナの方を見ると、彼女は胸当てとブーツ、篭手、肩当て、それと下着?のような下半身に着るもの。
しゃがんだりするからだろうか、腹部分には防具をつけないらしい。
(あれ人間が着たら思いっきりエッチな格好だな……。)
率直にそう思った。
さて、自分も、といくつか手に取ろうとしたその時。
(今着てるのこれだけだな……。)
ストームクロークの軽装鎧のみだ。下着やインナーの類は全く着ていない。
しかし待ってほしい。
(このドレス的なのは体の一部なのか、それとも服のようなものなのか……。)
うーむ、と考え込む。脱げるのなら服だろう、と思い当たり、意識していなかったそれの肩口を捲ってみる。
(あー……なるほどね、そういう感じか。)
サーナイトは体を見れば、腕と胸部に緑の部分がある。
胸下を境に白くなり、ドレスのように下に広がっていくわけだ。
それらは繋がっており、脱ぐことができるようだ。
それを脱いだら腕は顔などと肌と同じ色。
と、いうことはまぁ、体の成長と同じく成長していくかもしれないが、服と言っても差支えはないだろう。
(逆に言えば服の下には何も来ていなかった、と……。)
しかもドレスのような部分というのはスカートのように繋がっている訳ではなく、スリットのように裂けている。しかも横だけではなく、前なども何ヶ所かは。
じゃあ前から風が吹いてドレス部分がばさ、とめくれてしまえば──
(…………。いや、待とうよ。そもそも人間と同じ体の構造とは限らない。確かめてないし。それにここまでの経緯上仕方ないし。うん。)
とてつもなく恥ずかしいことをしていたような気がして、顔を赤くするノラ。誰に言うまでもなく心の中で言い訳を始めた。
「決まった?」
「ぴゃあ!……ッ、いえ、その、ある程度は。」
「びっくりしすぎじゃない?てか顔赤っ。」
くすくすとシャルナに笑われてしまったノラ。
どうやら彼女はノラがあれやこれやと考えているうちに装備の選択から、チャオブーに調整をしてもらう所までしっかり終わったらしい。
今までの考えを振り払い、防具選びを再開した。
とはいえ、方針は決まっている。
真っ先に取ったのは下半身の装備。皮でできており、人間でいえばショートパンツが近いか。裾を折り曲げ、ベルトを決めればきっちり下半身を覆い隠す。
もちろん、動くことを想定してヒラヒラしていないものを選んだノラ。
……まぁ、ドレス部分はヒラヒラしているのだが。
(……なんか、すごい中に何も履いてないのが気になってきた……。)
そもそもポケモンに、というよりサーナイトにそういう文化というか感性というか、そういったものがあるのかは不明だが、まだ心は人間のノラは非常に気になってしまう。
しかし気にしても今は仕方がない。ここは武器や防具を売っている場所で、下着は売っていない。
まぁそれでも、何も着ていないよりはマシだ。
そして次は。
「あの、胸部の調整出来ますか?」
「ああ、その程度なら大丈夫だ。」
つい、と胸にある赤い突起を指さしてチャオブーに言った。
「ドレスの上に着る、でいいか?」
「はい、お願いします。ブーツもいいですか?」
「構わない。足は……そういうタイプか。バランスを取りやすい方がいいか?エスパータイプだと浮いたりしてる奴が多いから装飾や見た目に凝る奴が多いんだが……。」
「いえ、バランスを取りやすい方向性でお願いします。」
「了解。」
革の胸当てとブーツを渡し、道具を取ってきてもらっているうちに篭手と肩当てを手に取る。
肩当は調整が無しで充分。
篭手に関しても大きめのサイズを選べば十分、腕と手の甲位は守られる物が装備できた。
グローブのような形のものは無かったため、諦めた。
指が何本あるのか、っていうのもポケモンに寄るし用意できている方がおかしいとも言える。
「よし、お嬢ちゃん、ここ座ってくれ。」
「はい。」
椅子に座るとブーツの調整に入った。サーナイトの足先は細く、人間のそれに比べても接地面積が圧倒的に少ないためバランスを取り辛い。
革のブーツによって接地面積を広げて立ちやすいように、鍛冶屋のチャオブーは調整してくれた。
その後、胸の赤い突起サイズの切れ込みを革の胸当てに作った後、奥からでてきたバオップがそれを解れないように縫っていく。
「サイズはどう?」
「少しだけきついです。」
「ん、そっか。すこし緩めとくね。んーと、こっちサイドにベルトつけとくから。そこで調節できるようにしとくね。」
「助かります。」
これにて防具はだいたい揃った。
さて、武器はというと、鉄製のものはあまりない。
鉄製のもので言えば短剣が1つ、片手持ちのメイスが1つ、あとは長い柄でメイスよりも叩く部分のかなり大きい大槌。
斧よりも小さな短剣を1つ持っておくのは、斧が壊れたりした時に有用だろう。
その他は、少し重いだろうと考え、新しいものは短剣のみとした。
どうせなら、と弓を渡した。弓弦の部分を調整してもらい、ついでに使っていた鉄の斧も研いでもらった。
さて、払おうか、と思ったその時、お金を渡そうとした手をすっ、とシャルナに止められた。
「ね、エンバーシャード鉱山の盗賊なんだけど。追い払うっていったら半額にならない?」
「そりゃあ俺としては願ったりだが……。」
「ホワイトランの衛兵とかに、引渡しだけならともかく退治を頼んだらもっとかかるし、こっちなら今すぐ取り掛れるよ。ここは私たちにお願いした方がよくないかな?」
「この2人の計上を考えると……たしかにな。そに、すぐに解決となると相当に有難い。……だが、相手は規模は大きくないとはいえ賊だぞ。それを嬢ちゃん2人ってのは……。もしなんかあったらと思うとよ。」
この世界がどうかはわからないが、発展度合いを時代に合わせて考えると、盗賊に捕まった女の末路なんぞ容易に想像出来る。
確かに、目の前でそこに行く、と宣言した人達を見送って、しばらくして悪い話だけで帰ってきたらいたたまれない気持ちにもなるだろう。
「私達は元々あそこに用があってさ。ついでって事。」
(え、なんか巻き込まれた?)
彼女はエンバーシャード鉱山に用はない。何も言ってないのに勝手に一緒に行くことになってしまっていた。
とはいえ、ここの鍛冶師の状況をここまで聞いて放っておく、というのも考えもの。
このままだと多分、シャルナも引き下がらないだろうし、と。
「では、もしダメそうだったら戻ってきて、残りの半額を渡します。無茶はしません、どうでしょう。」
ノラは少し緩和した条件を出した。
失敗しそうなら帰ってくる、その時はちゃんとお金も払う。
その行動はただ失敗したとしても、盗賊退治をする人に情報を伝えれば偵察という形で役に立つかもしれない。
「うぅむ……まぁ、それなら。その代わり絶対、帰って来るんだぞ。」
「決定。じゃ、とりあえず半額ね。」
シャルナはお金を払い、ノラもそれに続いて払った。
そうして、鍛冶屋を出た。
「……巻き込んでくれましたね、シャルナさん。」
「ごめんごめん。でも、半額で済んだでしょ?」
「しかしですね……。」
笑いながらシャルナはそういうが、場合によっては笑い事ではない。
そういうことは事前に相談した上で、了承したい。そもそも、危険度を見るなら断ることだってもちろんあるのだ。
「で、でも、私も1人じゃ心細くって……でも、行かなくちゃで……ダメ……?」
うるうると目に涙を浮かべ、情に訴えかけるようにシャルナは言った。
「ぐっ……。わ、わかりましたよ。助力します、ついて行きますよ。」
「……初対面だけど心配になっちゃった。悪いポケモンに騙されちゃダメだよ?」
「なっ、嘘泣きですか。卑怯ですよ。……大丈夫ですよ、本当に悪い人ならなんとなくわかりますから。」
「間接的に私は悪い人ではないって信じてくれてるって事?嬉しいこと言ってくれるじゃん。」
そのまま、シャルナについて行く形で、ノラもリバーウッドを出た。
日は傾き、もう夕方だ。赤い光に変わりかけたところ。
もうすぐ夜だ。視認性が悪くなる以上、本来なら日を改めた方がいいかもしれない。
しかし、視認性が悪くなるのは相手も同じ。
それに、シャルナが隠密するような戦闘スタイルならそのまま有利に働く。
そのまま村を出ていく2人。
「実は盗賊にあるものを盗まれてさ。この辺りに逃げたってことはわかってる、ってわけ。」
だからエンバーシャード鉱山の賊を追い払いつつ、盗まれたものがないかを探し、さらに割引してもらうと。
なるほど、効率的である。あとは、そもそも賊がどこまでの数なのか、話は通じるのか。
いや、話が通じる輩ならそもそも賊なぞやってない、かもしれない。
道を歩いてしばらく、岩と岩の間の踏みならされた道の奥。
坑木をくぐった先に木の扉が見える。エンバーシャード鉱山だ。
すんなりと入れるかどうかはわからない。
ノラ達は息を潜め、静かにそこへと近づいていった。
設定について分かりにくいことありそうだったらまた個別で説明する話作る、かも……?
ところでなんですがあなたは"これ"を、どちらが好きで見ていますか?
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