「お前、本当にそれで通すのか?」
「はい。そのつもりなのですが、だめでしたか?」
「いや、ダメじゃねえけど。」
「なら、大丈夫ですね。それに、晴くんも楽しいでしょう、ね?」
「………ッ」
悔しそうな顔。耳真っ赤だし面白い。腕組んでみたらどんな反応するんだろう?
「ちょ、おま、なにをして!?」
「何って、腕組んだですよね?迷惑、でしたか?」
「ンッ、大丈夫だ。好きにしろ。」
「はい、好きにさせていただきます。」
晴と腕組んで街を歩く。美少女になってみると分かるが、周りからの視線が集まっている。女の子ってこんな気分だったんだと思いながら晴を盾にするように目的地へと向かう。
明日、俺たちが予選に出る予定のゲーム『マルチロボット バトルエクストリーム』。家庭では到底用意できないような巨大な筐体を用いることで圧倒的スペックを確立したVRゲーム。自身がパイロットとなり、様々なロボットで戦い勝利を目指す。最新のVR技術を駆使することにより脳波による直感的なコントロールが可能で、なおかつ1クレジット100円な為、現代のアーケードゲーム寂れていく中で一石を投じる作品だ。それ故に大会の規模も大きく、今回の全国大会の会場はあの武道館であり、優勝賞金はなんと500万も出る。国内のゲーム大会では破格の金額であり、参加人数もそれ故に多い。今回参加する店舗予選ですら2日間に分けて行われる。1日目は店舗予選の本選参加者を決めるために使われ、2日目を勝ち抜いた上位3チームのみが地区予選へと進むことができる。そして地区予選を勝ち抜いたチームが全国へと出場する権利を得る。ほかにもオンライン予選や抽選での当日予選もあるがどれも現実的ではない。
ゲーセンに着いたはいいものの晴がいきなり
「ごめん、トイレ行っていくるわ。」
と言い俺を残して行きやがった。美少女を1人にするなよ。そんなこと考えていると頭の軽そうな男がこっちに近づいてきた。
「そこのカノジョ1人?オレと遊ばなーい?」
「すみません。私人を待っているので。」
「ダイジョブダイジョブ、ちょっとだけだからさ、ね?」
強引に腕掴まれそうになった時晴が帰ってきて男の腕を掴んだ。
「すみません、俺の彼女に何か用事でも?」
「ヒッ。」
男はだいぶ強い力で掴まれビビったようで逃げていった。
「すまなかった。男の時のノリでお前を一人にしてし。」
「仕方ないですよ。次回から気をつけてもらえれば大丈夫です。さあ、練習を始めましょう。」
「ああ、なんてったって俺たちが目指すのは」
「「全国制覇だもんな(ですもんね。)」」
「よし、始めるか!」
なんだかんだで昼過ぎまで数時間やり続けて俺としても晴としてもある程度納得できるラインまで仕上げることができた。
「今日はこのくらいでいいか。」
「そうですね。明日は本番ですしこの後は休憩にして備えましょうか。」
「そうだな。そうだ、帰る前に遅めの昼食べないか。」
「いいですね。何にしましょうか?」
「ファミレスでいいか?」
「はい、構いませんよ。」