どうやらポケモンの世界になったみたいです   作:秋初月

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vsジムリーダー ゴースト2

 

 

 あれから私は中標津町まで来ていた。

 

 ちょっと道を外れてまでここに来たのは、バスに乗るためだ。

 

 中標津から北見までのバスが出ていることをロトムが教えてくれたのだ。

 

 「お願いします」

 

 運転手に一言礼を述べ、乗り込む。

 

 あたりを見渡し、適当に空いている席に座って身体を休める。

 

 バスに乗り込めたおかげで、今日中には北見に到着できそう。

 

 流石に広大な北海道を歩いてジム巡りするのは現実的じゃないから、ロトムが提案してくれて非常に助かった。

 

 自転車を持ってれば良かったんだけど、あいにくと地元じゃ引きこもりだったから買う機会がなかったんだよね。

 

 前世からの影響で外で遊ぶことにあまり魅力を感じていなかった私だが、唯一、友人のエリーが来た時だけは外に出ていた。

 

 というのも、単純に断りきれずに強引に連行されていただけなんだけども。

 

 私が貧弱なだけなのかもしれないんだけど、あの子かなり力強いんだよ。

 

 私がどんなに踏ん張っても全然抵抗できないし。

 

 スーパーマサラ人かな?

 

 私がジラーチを所持しているからかバトルにも何度か誘われたけど、この子は戦闘用じゃないと言い訳をし断った。

 

 

 今頃エリーは何やってるかな。

 

 あらかじめ旅に出ることは伝えてたけど、出発の日にちは伝えてなかったから怒ってるかも。

 

 スマホを取り出して通知を確認してみると、案の定置いて行かれたことに対しての怒りや困惑に関する内容の通知が何件も来ていた。

 

 その勢いに「うわぁ」と若干引きつつ、どう謝罪したものかと悩んでいたアリアだったが、トークの最後の履歴に書かれていた内容に目を奪われた。

 

 

 “私もバッジを集めることにしたわ!そして、これは挑戦状よ。一つ目のバッジをゲットしたら私とバトルしなさい!それでこの件はチャラにしてあげるわ”

 

 

 ある時を境に私をバトルを誘わなくなったエリー。

 

 てっきり諦めてくれていたものだと思っていたが、どうやら私の勘違いだったらしい。

 

 エリーと遊んでいたある日、ココドラの育て方についての相談を受けた。

 

 エリーがココドラを持っていることは知っていた。

 

 ジラーチの遊び相手にもなってくれていたから。

 

 どうして私に?という疑問はあったが、バトルではないのならと私は頷いた。

 

 前世の知識を利用し、ココドラだけではなくその進化先の特徴などについて話した。

 

 流石に種族値などについては控えたけど、役に立つ技やどこを伸ばせばどう活かせるかなど戦闘面での色々アドバイスをした。

 

 教えられることをすべて伝えた最後に、いつか役に立つだろうと、とある二つのアイテムをエリーに渡した。

 

 私が持ってても宝の持ち腐れみたいなもんだし、エリーになら渡していいかなと思ったから。

 

 そんなエリーが、今になって私にバトルの挑戦状をたたきつけてきた。

 

 『アリア、嬉しそう』

 

 「え?」

 

 『口角が上がってるよ』

 

 「——そっか。うん、そうかも」 

 

 断ろうなんて選択肢はもうなかった。

 

 

 "うん、先に北見で待ってる"

 

 

 そう一言返信し、スマホを閉じる。

 

 バスの振動に揺られながら、私は静かに笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 北見に到着したのは、日が落ちかけてきた頃だった。

 

 ジムはまだ開いている時間だけど、挑戦できるだろうか。

 

 自動ドアをくぐり、受付へと向かう。

 

 「すみません、ジムに挑戦したいんですけど」

 

 受付の人に声をかけたその瞬間————。

 

 奥の通路から二つの人影。

 

 「くっそーっ、また勝てなかった!」

 

 「ポケモンのバランスはいいが、トレーナーのあんたの指示が駄目だね。まずはタイプの相性を学ぶといい——って、おや?」

 

 片方の人物が、こちらを見て足を止めた。

 

 「お疲れ様です、キクコさん」

 

 受付の人が、恭しく声をかける。

 

 キクコ。

 

 白髪頭でロングワンピースに白いエプロンを身にまとう老齢の女性。

 

 アニメではちょっと覚えていないが、原作ゲームで登場したキャラクター。

 

 ゲームではカントー地方の四天王だった彼女が、ここ北見のジムリーダーを務めるゴーストタイプの使い手だ。

 

 「お前さん、挑戦者かい?」 

 

 「はい、そのつもりで来ました」

 

 「バッジは?」

 

 「まだ0個です」

 

 「初挑戦のジムってわけか。なら初心者用のパーティで————」

 

 「いえ、キクコさんの本気のパーティでお願いします」

 

 「はぁ!?お前、まだバッジ0個のに何言ってんだよ!罰金だぞ罰金!」

 

 「……あんたは黙ってな」

 

 「ぐぇーっ!」

 

 キクコの杖が横で騒いでいた少年の頭に振り下ろされた。

 

 痛そう。

 

 若干引き気味になっている私の前に、キクコさんは杖を鳴らしながらやってくる。

 

 「お前さん、本気かい?」

 

 「はい」

 

 キクコがじっと私の目を覗き込む。

 

 「……へぇ、ふざけたことを言ってるようには見えないね。それに、お前さんの抱えるそのポケモンは……」

 

 少しだけ思案した様子のキクコだったが、杖の先で床をトンッと鳴らすと、満足げに頷いた。

 

 「名前は?」

 

 「アリアです」

 

 「バトルフィールドはこっちだ。ついてきな、アリア」

 

 「はい」

 

 キクコが歩き出し、私はその背を追う。

 

 受付の人がいつの間にか奥へ消え、ロビーには先ほどの少年だけが取り残されていた。

 

 「え、え?……あーもうっ、なんだってんだよーっ!」

 

 混乱したように頭をかきむしりながら、少年も不満げに通路へと消えていった。 

 




次回ようやくジム戦です


原作キャラは二人登場させました
名前は次回で出すつもりですが、ダイパ登場してきたあのキャラです
ちょっと馬鹿にさせすぎたような気もしますが、まあこんな感じだったかと思います

《修正》
バッチ表記をバッジに直しておきました
意味合いはどっちでもいいみたいですが、原作準拠で
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