ポケモン LEGENDS KYUREM 〜英雄、二人〜 作:影山ザウルス
ホワイト・ゴード社。
ハルモニア王国での採掘事業を引き受ける企業であるため、社員には男性が多く、誰もが屈強だ。
プラズマ騎士団も屈強な男は多いが、ホワイト・ゴード社の屈強な社員達は種類が違って見える。
ハナナとテフラは門前払いされることなく、ホワイト・ゴード社の事務所脇に用意された固いソファーに座っている。
その二人を睨みつける厳つく屈強な社員達の視線が痛い。
ある者はタバコを吸い、ある者は昼間から酒を飲んでいる。
そして、二人の前には紫色の髪と髭が特徴的な採掘リーダーの男、ゴードが膝と腕を組んで座っている。
「前に何度か大工房の連中が来たから騎士団を連れて来いって言ったが、まさかこんなガキ二人を寄越すなんてな……」
ゴードは二人を品定めするように、前屈みになる。
微かに、いやかなりキツいタバコと酒と汗の臭いが漂ってくる。
「あ、あのう……」
「団長を連れて来い」
ハナナの言葉を遮って、ゴードが切り出す。
ハナナとテフラは目を見合わせる。
騎士団長との面識は確かにあるものの、だからといって、連れて来れる程親しい訳でも、権限がある訳でもない。
二人の目的はあくまでも、ダンゴロ洞窟の内部の話を現場の人間から聞き出すこと。
「それは……」
「団長を連れて来て、俺達に詫びを入れさせろ。それが出来ないなら、お前らに話すことはない。玉石の採掘も"請け負わない"」
「そ、それは!!……こ、困ります!!」
ハナナとテフラが集める情報には今朝方出発した騎士団員達の命が懸かっているかも知れない。
幸い時間の猶予自体にはまだ余裕がある。
しかし、多忙な団長を連れて来る出来る保証は無く、仮に今ここで情報を収集出来たとして、すぐに採掘隊に任務の中止や援軍を出す程の猶予がどれくらいあるのかなんてハナナにもテフラにもわからない。
「困る……だと?」
ゴードの声音が変わった。
「嬢ちゃん…………困ってんのはコッチの方だ!!」
ゴードは目の前のテーブルに拳を叩きつけた。
突然の大きな音に周囲の社員達も驚き、目を丸くする。
「いいか?俺達はコウテツのダンナから採掘の腕を見込まれて、以来ずっと玉石の採掘を行ってきた!!関わってるのがプラズマ騎士団ともなれば大口の取引だ!!それがこの会社の信頼ってもんに繋がる!!信頼されているからこそ、いろんな所から採掘の依頼が届く!!それが商売ってもんだ!!信頼っていうのは一朝一夕で築けるもんじゃねえし、どちらか一方で成り立つもんでもねえ。……だが、壊れるのは一瞬だ!!その信頼を壊したのは"騎士団"だ!!いきなり契約を打ち切りやがって、しかも何だって、あんな"素人集団"なんかと契約しやがって!!玉石は傷が付いてるとモンスターボールの質に関わるってのに、"アイツら"ときたら、欠けようが割れようが、とにかく数ばっかり取りやがって、あんなんじゃ使いもんにならねえだろ?何より"アイツら"は採掘の"掟"も守りゃしねえ、クズ野郎だ!!そんな所と契約した騎士団もクズ騎士団だ!!ざまあみろ!!」
ゴードの口から次から次へと恨み節が飛んでくる。
ハナナとテフラに取り付く島もない恨み節を言われても二人にはどうすることも出来ない。
しかし、ゴードや社員達にとってはハナナとテフラの目的が何であれ、自分達から仕事を取り上げた騎士団の人間であることには変わりがない。
「しかも、聞いた話じゃお前ら自分達で採掘しに行くって!?ハッ!!バカも休み休み言え!!」
「そ、そうです!!その採掘任務に出掛けた団員が危な……」
「知るか、ボケ!!自分のケツくらい自分達で拭……」
「いい加減にしな、このバカ亭主!!」
突然ゴードの背後に赤毛が特徴的な眼鏡をしたふくよかな女性が現れ、ゴードの頭を力いっぱい叩いた。
「っでぇな!!?ヘイル、何しやがる!!?」
ゴードは立ち上がってヘイルと呼ばれた女性と向き合う。
「何しやがるじゃないよ!!騎士団とは言え、子供相手に大人げない」
「子供かも知れないが、騎士団だ!!」
「だとしても、どう見たって契約どうこうがわかる相手じゃないでしょ!!?それにこの子達はダンゴロ洞窟の話を聞きに来たんでしょ!!?そんな相手に商売の話なんて筋が通らないでしょ!!」
ヘイルはゴードを押しのけて、二人の前に座ると深々と頭を下げた。
「ウチのバカな亭主がごめんなさい……私はヘイル。この会社の……まあ実質社長みたいなものよ。あの通り、亭主は商売には向いてなくて」
そう言って、ヘイルは優しげな口調で苦笑いする。
押しのけられたゴードはまだ恨み節を言いたげな表情で、二人を睨みつけている。
「でもね、これだけは亭主の言う通りだと私も思うんだけどね?やっぱり商売は信頼が大事なの。私達はマスター・コウテツから玉石の採掘の仕方とか、玉石がどういうものなのか教えてもらって、二十年近くその期待に応えてきたし、欲しがっていた鉱石だっていろいろ用意したの。だけど、数週間前に"騎士団から"突然契約の打ち切りを言い渡されたわ」
ヘイルは事前に用意していた書類を二人に見せた。
そこには小難しい内容は一切書かれておらず、代わりにたった1言
『本日を以て貴社との契約を全て打ち切らせていただく』
とだけ記されている。
商売の何たるかを知らないハナナとテフラではあるが、少なくとも自分達が生まれる前からの付き合いを、このたった1言で終わらせられるのは納得がいくものではないだろう。
ハナナとテフラが書類を眺めると、書類の最後に騎士団の印鑑を押されており、この書類が騎士団からの正式な書類だと言うこともわかる。
だからこそ、"わからないこと"があった。
言葉の節々に"違和感"を覚えていた。
大工房で聞いた話では、ホワイト・ゴード社からの玉石の納品が止まったということだった。
実際ホワイト・ゴード社はどうやらこの数週間、玉石の採掘は行っていないようだ。
その理由はどうやら騎士団がホワイト・ゴード社との契約を打ち切ったせいのようだ。
一見すると、辻褄が合っているようでもあり、だが、何かが決定的に噛み合っていないような"気持ち悪さ"がある。
それが何なのか、ハナナにもテフラにもわからない。
「この書類……お借りしてもよろしいですか?」
わからないのなら、調べる必要がある。
どこでどうやって誰の何を調べるかはわからない。
ただこの話はハナナにとって、騎士団にとって放って置くことの出来ないことだと感じた。
ヘイルは二人の真剣な表情を見つめた。
二人は商売に関しては素人で、社会の"汚さ"を知らない子供。
正直この書類の重要度だってわからないだろう。
悪い大人に渡る可能性もある。
「…………いいよ……」
ヘイルはため息混じりに頷いた。
現状ホワイト・ゴード社にはどうすることも出来ない。
ならば、子供に重要な書類を持たせても大した問題ではないだろう。
「ありがとうございます」
ハナナは書類を鞄に入れる。
まだここでの調査は終わっていないが、社員やゴード、そしてヘイルの様子から、これ以上の調査は出来ないと感じていた。
テフラに視線を向けると、テフラは何かを察したように頷き、二人は立ち上がった。
「この度はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。私達は……騎士になって間もない若輩です。だから……皆様のお力にはなれないと思います」
自分で口にすると改めて自分の無力感を思い知る。
ポケモンを得て、騎士になって、困っている人やポケモンを助けるのが自分達の役目だったはずなのに、それがこんなにも難しいなんて2人には思ってもみなかった。
「ただ……今回の一件、1人の騎士として、本当に、本当に申し訳なく思います。本当に……申し訳ありません……!!」
ハナナとテフラは跪き、右手を胸に当てて謝罪をする。
その姿を見て、その場の全員がどよめいた。
その場にいる全員がハナナとテフラを騎士だと嫌悪感を剥き出しにしていた一方で心のどこかで子供だと蔑んでいた。
しかし、目の前の2人は確かに子供だが、紛れもなく騎士でもあった。
謝罪を終えた2人は頭を上げ、その場を去ろうとした。
「ちょっと待て!!」
ゴードの叫び声がその場の空気の緊張感を呼び起こした。
ゴードは二人の前に歩み寄り、腕組みをしながら二人に視線を向ける。
「……俺達はな、気高い騎士様と違って、モグリューみたいに穴を掘るしか能の無い連中の寄せ集めだ……仕事が無けりゃ、昼間から飲んだくれているのが俺達だ……」
ゴードの視線が社員に向けられる。
その眼差しには怒りは見えない。
「だがな、子供に頭を下げさせて優越感に浸る程、落ちぶれちゃいねぇ!!そうだろ、オメェら!?」
ゴードの言葉を聞いて社員達は顔を見合わせ、豪快に笑いながら拳を突き上げた。
「ったりめぇよ!!」
「リーダーの言う通りだぜ!!」
「ヒュー!!ヒュー!!」
「嬢ちゃん達は筋を通した!!なら、コッチも筋を通すのが道理ってもんだろ!!?」
「そうだそうだ!!」
「さすがリーダー!!」
「漢の中の漢!!」
ゴードは社員達の姿を見て、満足げに微笑むと、数歩下がり、2人に跪いた。
「騎士団員だと思いながら、子供が来たことに腹を立てて、話も聞かずに言いたい放題言ってすまなかった!!」
ゴードは深々と頭を下げる。
その姿に続いて、他の社員やヘイルも頭を下げる。
「あ、いや、えっと……あ、頭を上げてください!!」
突然のことに困惑するハナナ。
こういう状況は初めてなのだから、困惑するのは当然であり、助け舟を求めてテフラに視線を向けるが、テフラもまた戸惑っている。
ようやく顔を上げたゴードの表情には恨み節を連発していた時の怒りは無い。
紙切れ1枚で契約を打ち切られたことに腹を立てていたはずだが、ゴードの表情はどこか清々しい。
「ダンゴロ洞窟のことが聞きたいんだったよな?何でも聞いてくれ…………って言っても、あんな浅い洞窟の何が知りたいんだ?」
ハナナは鞄に入れていたニールからのメモを取り出して、改めて読み直す。
「えっと……水の痕跡……?」
メモにはそれだけが書かれている。
「水の痕跡?ダンゴロのいる洞窟で?」
ダンゴロは岩タイプのポケモンである。
そして、岩タイプは水が苦手なのはポケモン使いでもない人々の間でも常識である。
しかし、ニールが何の意味も無く、こんなことを聞いて来るように言うとは思えない。
「な、何でもいいんです。水の音とか、地面が濡れてたとか、水たまりとか……何かありませんか?」
ハナナは水の痕跡を聞き出そうと思い当たる言葉を出した。
それを聞いた社員達も互いに話し合い始めるが、首を傾げたり、首を振ったりと芳しい反応は見られない。
「あ……俺、水の音聞いたことがあるかもしんね」
一人の社員が何かを思い出したように話し始める。
「退勤時間になって、皆が洞窟から出て行った後、工具を忘れたのに気付いて、洞窟に戻ったんだ。そん時、洞窟の奥から水が跳ねる音がした」
「おいおい、洞窟の奥って言っても水溜まりもねえだろ?」
「いや〜、確かに聞いたんだけどな〜。聞き間違いか?」
社員達は目を閉じていてもダンゴロ洞窟の内部構造がわかる。
それだけ単純な洞窟であり、だからこそ水の痕跡なんて誰にも思い当たらない。
「……ひょっとして、"横穴"の奥に何かあるじゃねえか?」
別の社員が言った。
「ああ、ダンゴロが逃げていく……あ!!そう言えば、横穴の入口が濡れたことがあったな!!」
「それなら俺が聞いた何か流れるような音も!!?」
「言われてみれば、なんか横穴っていつも湿っぽいよな?」
普段何気なく作業するだけの洞窟で、水の痕跡なんて気にも留めていないが、横穴という単語から社員達の記憶が鮮明になっていく。
社員達の口から次々と出てくる水の痕跡。
そのどれもが"横穴"に繋がっている。
ハナナとテフラはその一つ一つをメモに記録していく。
水と無関係と思われていた場所が、まるで横穴で繋がっているかのようだった。
一通り水の痕跡が出尽くす頃には社員のほぼ全員が何かしらの水の痕跡を見たり聞いたりしていることがわかった。
ハナナとテフラは互いに書いたメモを見合わせ、ダンゴロ洞窟に水があることを確信した。
「ゴードさん、この"横穴"って言うのは?」
「ああ、それはな、俺達が作業を始める前は洞窟内部にゃダンゴロがうろついているんだ。ソイツらに金属の音を聞かせて追い払うんだ。その逃げ込む先ってのが"横穴"だ」
横穴の説明を聞く限り、間違いなく横穴の奥に水がある。
そして、そこはダンゴロ洞窟で採掘をする人達も誰も踏み入れていない未知の場所だ。
「あの、これは個人的な質問なんですが、さっき言ってた採掘の"掟"って何ですか?」
ゴードの違和感がある恨み節の中で、取りこぼしそうな単語をしっかりと拾っていたハナナ。
普段はどこか慌てん坊で、ドジな所もあるが、これまでの経験が確実にハナナに良い影響を与えている。
「掟なんて大袈裟に言っちまったが、仕事をする上の注意点みたいなもんさ。ヨシ、お前等!!掟、復唱!!」
ゴードの一言で荒くれ者の社員達がまるで騎士団のように背筋を伸ばした。
「1つ、安全を第一!!」
「「「1つ、安全を第一!!」」」
「2つ、必要以上に採掘しない!!」
「「「2つ、必要以上に採掘しない!!」」」
「3つ、ポケモンに危害を加えない!!」
「「「3つ、ポケモンに危害を加えない!!」」」
ゴードも社員達も久しぶりに掟の唱和をしたのか、なんだかむず痒い様子で笑っている。
「あの、3つ目の掟って……」
「ああ……変だろ?棲家から追い払って採掘してんのに、危害を加えるな〜なんてな」
王都や周辺の町や僻地の村では野菜などの作物の栽培が行われている一方で、ぼんぐりや玉石などどうしても自然から採集する資源が多く、採集の際にはポケモンとの遭遇が避けられない。
「けどな、採掘をやってると崩落に巻き込まれる危険がどうしてもあるのさ」
洞窟や渓谷などの岩場で採掘を行えば、周囲が崩落して、生き埋めや下敷きになることも少なくない。
騎士団がポケモンを相手にするなら、ゴード達は自然そのものを相手に日々身を投じているのだ。
「そんな時に助けになるのが、ポケモンなのさ。俺の爺さんは生き埋めになった所を野生のハガネールに助けられたそうだ。だから、俺達はダンゴロ洞窟や他の現場でも決してポケモンを傷つけたり、無理矢理追い払うことはしない。もしもの時に助けてくれるかも知れないだろ?そりゃ金属音を鳴らして追い払うことはあるが、それはあくまでも互いに場所を譲り合う……いわゆる棲み分けってやつさ」
ポケモンは恐ろしい存在だ。
もちろん、恐ろしい"だけ"の存在ではないことをハナナもテフラも知っている一方で、騎士団の中ですらポケモンを嫌う団員は少なくない。
ハルモニア王国の国民の多くが、ポケモンという存在を恐れて近付かないようにしている。
しかし、ホワイト・ゴード社の社員達は少し違う。
おそらくハナナやテフラが生まれる前から互いに同じ場所を共有しているのだ。
ポケモン使いではない、炭鉱夫にはきっと大きな恐怖が伴うはずだ。
それを彼らは長年の経験と仲間への信頼、ポケモンへの理解によって、野生のポケモンと棲み分けをするまでの関係を築くことが出来たのだ。
生半可なことではないはずだ。
だからこそ、ゴードは騎士団から一方的に契約を打ち切られたことに腹を立てていたのだ。
「契約打ち切られた後にダンゴロ洞窟を見に行ったが、"素人集団"を雇ったのか、下手くそな連中が採掘の真似事をしてたぜ?ああ~思い出すだけで腹が立つ……」
清々しい顔のゴードの表情がどんどん曇っていく。
「あの、その"素人集団"の名前ってわかりますか?」
「ああ……確か、ファイヤワークス……」
数週間前。
プラズマ騎士団とホワイト・ゴード社との間で交わされていた契約が一方的に破棄されたことで、ダンゴロ洞窟には新しい採掘業者に採掘が一任されることになった。
ファイヤワークス。
採掘事業を展開する企業ではなく、様々な仕事を幅広く展開する企業だ。
ここ数日、ファイヤワークスの一団はひたすら玉石の採掘を行っていた。
しかし、玉石そのものがあまり固くない鉱石ということもあってか、採掘される玉石のほとんどにキズがあったり欠けている状態だ。
それに対して文句を言いに来たホワイト・ゴード社の社員もいたが、そんなことは関係ない。
とにかく掘って掘って掘りまくって、量から質を得る方法を取っていた。
しかし、それにはダンゴロ洞窟の玉石の採掘量があまりにも少ない。
そこでファイヤワークスの一団はダンゴロが逃げ込む横穴の先に未知の空間があると考え、洞窟の壁を打ち砕いた。
それはこれまでホワイト・ゴード社が築き上げて来た人間とポケモンとの信頼を打ち砕くように、簡単に、一瞬の出来事だった。
予想通り、横穴の先には手付かずの鉱床が洞窟の壁全体に広がっている。
空間もこれまで採掘を行っていた空間の何倍、いや何十倍もの広さがある。
今まで採掘を行っていた空間は洞窟のほんの一部でしか無かったのだ。
大量の玉石の鉱床。
手付かずの資源。
欲に塗れるファイヤワークスの一団にとって、そこは目が眩むほどの大量の金の洞窟だ。
しかし、彼らは重要なことを忘れている。
ここはダンゴロ洞窟。
ダンゴロが多く生息することから、その名で呼ばれている。
なぜこの場所にダンゴロが多く生息しているのか?
いや、なぜこの場所には"ダンゴロしか"いないのか?
彼らは忘れている。
ポケモンは恐ろしい存在だということを。
「「「ガントォォォォ!!」」」
けたたましいポケモン達の叫び声が洞窟中に響き渡り、その直後、ファイヤワークスの一団目掛けて、無数の岩が飛んでくる。
ある者は飛んできた岩が脚に直撃して骨が折れる。
ある者は飛んできた岩が頬を掠める。
ある者は飛んできた岩が肩を砕く。
外れた岩が洞窟の天井や壁の岩を砕き、その落石がファイヤワークスの一団の頭に降り注ぐ。
「「「ガントォォォォ!!」」」
「「「ダンゴォォォォ!!」」」
再び響くポケモン達の叫び声。
そして、地面を揺らすほどの大量の足音がファイヤワークスの一団に迫る。
「に、逃げろ!!」
目の前に眩むほどの金があろうと自分達の命が大事だ。
ファイヤワークスの一団は急いで出口へと走る。
だが、全員が我先にと逃げるため、狭い道で殴り合いが起きて、迫る足音から逃げようと前の人間を突き飛ばし、押し倒し、互いに互いの足を引っ張り合う。
怪我をした者。
助けを求める者。
気絶する者。
そんな者たちを踏みつけ、逃げる者。
そんな人間に容赦なく大軍で押し寄せるポケモン。
ここはダンゴロ洞窟。
ダンゴロと、ダンゴロが進化したガントル達によって守られている彼らの縄張り。
彼らの棲家。
その1番奥に一際大きく全身からオレンジ色に発光するトゲのような物が生えたポケモンが仲間達に追われる人間に鋭い視線を送っている。
「…………ギガァ……」
ポケモン。
それは、恐ろしい存在。