チュートリアルが終わらない 作:サバンナ気候
で、昼間の間に色々と準備を済ませ。夜になり森に入ってウロウロと彷徨っていると足音と騒ぐ声が聞こえた。どうやら予想通りの様だ。
「おい、コイツ全然攻撃が効かないぞ!」
「
コイツ、負けイベントのキャラだから、全攻撃効かないんだよな。勿論俺の攻撃も効きません。やってらんないわ。
「ライト、フレア!ここは逃げた方が良いよ。魔法も剣も効かないなら、僕らが出来る事は無い」
「なら、皆が逃げ切れるまで俺がここに……」
『話は聞かせて貰った。此処は、俺が殿を務めよう。君達は逃げてくれ』
ああ、死にたく無いな。と言うか、暗がりであんま顔見えないけど、やっぱり原作の始まりっぽいな。あのやり取りもそうだし。
「え?誰だよおっさん」
「ライト!ここは素直に逃げましょう。今の私達じゃ、きっと勝てないわ」
「そうだよ、ライト。命あってこその冒険だって先輩も言ってたじゃん」
「でもな……」
そうだ逃げろ。恐らく、前回ダメだったのはこの場に戻って来て奴に殺されたんだろう。なら……。
俺は笑顔を作り、安心させる様にライトに言った。
『大丈夫だ、コイツの弱点は既に分かっているしコイツを倒したらすぐに後を追うさ』
大丈夫と念押しに頭を撫でてやると、頷いて。撫でた手から頭を外し、その手を握った。
「おっさん、頼む」
『ああ』
そう言うと、すぐに彼らはその場からいなくなる。そして、奴がそれを追いかけようとして。
『おっと……!それいきなり辞めてくれねえかな。その"見えない一撃"』
と言ってもコイツの攻撃手段はこれしか無いのだから無駄なんだけど。シンプル厄介な技だ。ちなみに前回俺が細切れになったのがコレな。だって、見えない攻撃なんてどうしろ?って話じゃん。おまけにあっちは何したってダメージを与えられないんだから。チートだ、チート!
控えめに言って無理ゲーだが、俺は別にこいつに勝つつもりは無い。勝たなくても、主人公が逃げられれば良い。時間さえ稼げば、後は逃げ帰るだけだ。
情けない?うるせえ!
『死ねねえんだよ、やりたい事なら死ぬ程ある』
生死不明なら、生きてる可能性だってあるって事だ。それならゲームを壊してる訳じゃ無いし良いだろ。二度目の人生ぐらい、好きにさせて欲しい。頼むよ。
『だらぁ!ハイッ剣折れたぁ!!はいクソォ!!十何年間相棒だった剣折れましたぁ!』
一撃。たった一回振るっただけで、カンッと虚しい音共に相棒がお釈迦になる。これが見えない一撃の効果だ。確か、一定の武器を破壊して。破壊出来なくても、ダメージを与えるだったっけ。え?主人公の剣は違うのか?って。ハハッ、主人公様だぞ?主人公と書いてプレイヤー様だから、ヒビが入る程度だ。
さて、俺の剣はダメになった訳だ。つまり俺は無防備な状況。敵を目の前にして、獲物が無くただ呆然としている。そこを狙って奴は、
タチが悪い事に見えない一撃は、二回攻撃である。一回目に獲物を奪い、二回目で命を奪う。凄く効率的でスマートだと、敵ながら天晴れだと思う。それはさておき、また細切れになるのは精神的にも肉体的にも良く無いので。
防がせて貰おう、二本目の剣で。
そっちが二回来るなら、こっちも二回対応しなきゃいけない。でも、剣は無い。さぁ、どうしよう。
答えは村にあった。村にいた元武器屋のお爺ちゃんが抱えていた在庫の剣を安く買わせて貰った。
『いくらでも来いよ、お前の攻撃は効かないから』
コイツは何をやっても死なない代わりに、攻撃力はそれほど高くは無い。序盤だし、高く無くても倒せるからだろう。だから、そこら辺の剣でも一発は凌げる。いや。
『後、九十八発か』
見えないと言っても、攻撃の瞬間良く見ると相手の剣が見えるがらそれに合わせてこちらの剣をぶつければ!
『九十七』
この通り。と言う訳だ。
あとは隙をついて何とか逃げるだけ。そこが一番難しいんだがな。