チュートリアルが終わらない 作:サバンナ気候
あれから何とか半分ぐらいの剣を犠牲にして、その場から離れる事に成功した。
《"主人公"の生存が確認。始まりの"チュートリアル"が終了します》
森をジグザグに走りながら、追ってくる足音が消えた事で少し安心して木に背中を預ける。
『ふぅ』
息を少し吐いて、身体を休めた後。先程聞こえた幻聴を呼び起こす。やっぱりこの世界は、ゲームの世界らしい。が、幻聴の言う事を信じれば
そ う 思 っ て い た俺 が い ま し た 。
村に戻るのは危険だと判断し、近くの街で新生活を始めるのも良いなと思い。その街の冒険者ギルドで、冒険者登録をする事にした。
やっぱり異世界転生といえば、冒険者だろとノリで登録したのだが。そんな俺を裏切るかの様に《"チュートリアル"を開始します》とか後出しで言うの辞めて欲しい。
思わず開始すんなよって言ったらさ。
《現在開始中の"チュートリアル"は一件あります。この"チュートリアル"が終わるまでは、"チュートリアル"の"担当者"は"行動"が'制限"されます》
行動が制限されます、だってさ。ざけんなよ!クソッ。
その後、このクソ幻聴に色々聞いた結果。今やってるチュートリアルが"パーティーを組もう"らしい。
ああ、そうですね。受付さんが、『ソロだと何かと大変なので、パーティー加入をお勧めします!』って言ってたけどさ。なんか、目が合う見覚えのある
「おっさん、生きてたのか!」
『ああ、君こそ』
「おっさんのお陰でな」
周りを見渡しても、他のパーティーメンバーは見つからない。おかしいな原作では、いやと言うか
──待てよ?確かに、チュート君では無かったが。プレイヤーの初陣の時にはいつも、見知らぬ奴がそばにいてさり気なく主人公を助けてた様な。もしかして、それがチュート君だったのか?
何か事情があって姿を隠していて、陰ながら主人公を助けていたと言う事?だとしたらカッコいいな。
でも、それ俺がやるの?何で?見て聞くとカッコいいとは思うけど実際にやるとなぁ。
そう思っていると、キラキラとした目で俺を見る
『……ところで他のパーティーメンバーはどうした?』
それを聞くと言う事は、事情を知ると言う事だ。もう後戻りは出来ない。俺はチュートリアルに足を一歩踏み入れた。
「二人とも、強くなろうと頑張ってる。それでその結果が出てる。だけど、俺は……」
『思った結果が出ないのか?』
「そ、そうだ」
成程、その流れでか。
『実は、俺は冒険者をやった事なくてな。初めてのクエストをこなせるか心配だったんだ。良かったらパーティーを組んでくれないか?』
「俺で良いのか?俺はおっさんより弱いし、他のベテランの奴の方が」
『お前が良いんだ、頼む』
「こっちこそ」