Spring Sky StarS! 作:笹ピー
●(51) アビドス高等学校
●(42) ゲヘナ学園
●(35) トリニティ総合学園
〇(160) ん何でも描いてあげるよォォ~!!(全部)
オイ。
オイ。
そうか、そうか、つまり読者君達はそういうやつなんだな。へへ、楽しくなってきやがったぜ。酔った勢いで追加するんじゃなかった
いちおー明日の17:00には締め切ります。
エアライダー発売されましたね! 対戦相手のオレマシンやライセンス見るのも案外楽しいぞ。
これで来週にはメトプラ4発売するってどうなってんだ今年。やることが……やることが多い……!
今回から2章です。がんばるぞ。
001
0-0
ここ最近、
それも、多分、同じ夢を。
休止状態中にだけ、ときどき思考回路に流れてくるメモリー。
けれど目を覚ました途端、はっきりと思い出せないメモリー。
以前にも見たような気もすれば、まったく覚えがないような――そんな、釈然としない記憶。
最初はソレが何なのか、わかりませんでした。
ソレを2度、3度経験していくうち、そんな不可思議な現象が気になり仲間たちに相談すると、
『夢を見たんじゃない?』
――と、教えてくれました。
眠っている時にだけ、無意識に思い浮かんだビジョンを見る”ヒト”の習慣だと。
その時は、これがヒトが見る夢なんだ、と少し感動して――
――本当に、”夢”なんだろうか。
そんな疑問と、胸を締め付けるような不安を、何故か抱いてしまった。
辺り一面に広がる暗闇。光は無く、音すら聞こえない空間。
五感機能が故障してしまったのではないか、と錯覚してしまうほど虚無に満ちた世界。
以前にも見たような、そうでないような、曖昧な既視感。
アリスが知る”夢”とはかけ離れた、”ゆめ”。
――それからしばらくして、
――また、
鏡に映しだされたように、私と同じ見た目をした姿。
髪型も、服装も、顔つきも、瓜二つ。
ただひとつ、違うのは――
『――……さい。■■』
射抜く様な視線と共に放たれる、ノイズ交じりの声。
なのに、RPGゲームの氷魔法のように冷たくて、闇魔法のように暗く沈んだ声。
その言葉に、なぜか胸の奥で深く抉られるような感覚を、覚えた。
『……たちは……ための■■…………――』
途切れ途切れに聞こえてくる彼女の言葉に、思わず耳を塞いでしまった。
言葉になっていないはずなのに、聞きたくない――知りたくない、とばかりに。
――それを認めてしまったら。
――幸せな”夢”が、終わってしまう気がして。
怖くなって、その場から逃げ出すように振り返り、走る。
彼女の声が、届かない場所へ。
彼女の目が、届かない場所へ。
彼女の姿が見えなくなるまで、ただ走る。
そうして私は、また”星”を探す。
この世界を晴らしてくれる、たったひとつの”光”を。
――――縋る様に今日もまた、私はソレを探し続けている。
寝付きが、あまりよろしくない。
それがここ最近、カービィが抱える悩みのタネであった。
普段であれば”おやすみ”から”おはよう”までグッスリ熟睡できるカレだが、近頃こうやって真夜中に目を覚ますことが多くなった。少し時間さえ置けばまた眠りにつけるのだが、寝ることが好きなカレにとって少々困った事態ではある。
いつぞやの時みたいに、誰かさんが泉で水浴びして遊んでいる、ということでもないはず。
この世界に
とはいえ、一刻も早く何とかしなければならない、かと云えばそうでもなく。カレ自身”まあそのうち元の調子に戻るだろう”とお気楽に構えるぐらいのモノであった。
とにかく外は未だ暗く、日の出には数時間ほど時間を要する。
当然まだまだ寝足りないピンクボールは、今度こそグッスリ眠れますように、と二度寝を決め込み――
――その時、急に抱き抱えられてしまったことで、目をまあるくする。
そんなカレを抱きしめられるのはこの場でただ1人。一緒のベットで眠っていたアリスであった。
急な抱擁に少し驚いたカービィだったが、近くで目に入った彼女の表情に、ふと違和感を感じる。よく見ると、その表情はどこか苦しげなモノ。まるで何かに怯えているように魘されているではないか。
そんな彼女が気になり、心配そうに様子を窺うカービィ。
何か食べ物でも食べさせてあげようかな、と思いついたりもしたがきっちり抱きしめられている以上、抜け出すことも叶わず。
仕方ないので、せめてもの励ましに――短い手を伸ばして何とか届いたアリスの頭をポンポンと優しく撫でる。よく彼女がしていることを、逆にカービィがすることに。
そんな、小さな慰めを続けること数分ほどが経ち――
少しづつだが、彼女の表情は和らいでいき――やがて、安らいだ寝顔へと変わる。少なくとも、先程よりはだいぶ落ち着いたようだ。
その様子に安心したように笑みを浮かべるカービィ。
折角の楽しいおやすみタイムが悪い夢のせいで台無しになってしまうなど、寝ることが好きなカレにとっても、見逃すことができなかったのだろう。
そんな彼女の様子を見届けて――思い出したかのように大きな欠伸をしてから、抱きしめられたまま二度寝につくカービィなのであった。
『――――……申請に対し
これが、始まりに過ぎなかったことなど――知る由もなく。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
1-1
時刻は深夜をやや過ぎた頃。
既に活動している生徒はごく僅かであり、大半が明日の活動に備え睡眠を取っているであろう時間。それを裏付けるように、ミレニアムサイエンススクールの敷地内の至る所では、静寂が満ち溢れていた。
それは学区内の中心ともいえる”ミレニアムタワー”も例外ではなく。
ミレニアム生徒会である”セミナー”所属の生徒も既に業務を終え、帰宅済み。警備を行うガードロボットだけが施設内を徘徊している筈であった。
そんな時間帯にもかかわらず。
純白なボディが目立つ電動式の車椅子に腰掛けたまま、最上階のセミナー専用フロアをひっそり――というよりも、ゆったりと移動する少女が1人。
誰もいないはずのフロア内をただ1人だけ移動する、ヴェリタスの部長――
「あら……超天才清楚系病弱美少女の来訪を、電気も点けずに迎えるなんて……」
それから間もなくして、目的地である――セミナー執務室へと足を踏み入れたヒマリが口にした第一声がそれである。
事実、彼女の言葉通り照明は1つも点いておらず、張り巡らされた窓から見える、周囲の建物や外灯から漏れ出す明りだけが、この室内を仄かに照らす光源だった。
初っ端から気遣いさえ感じさせない対応に「来客をもてなす気がこれっぽっちも無いという点、とてもあなたらしいとは思いますけど」と皮肉交じりの不満を口にするヒマリ。
そんな彼女が室内のある方へと目を向けると――
「……ですが、暗い部屋でモニターをつけていると目が悪くなりますよ――
遠回しの嫌みのつもりなのか――はたまたお節介焼きな一面から出た言葉なのか――ともかくとして、目に映った人物に対し呆れ顔を浮かべながら、そう指摘した。
その言葉に反応したのか、或いは業務に一区切りついたのか、PCのキーボードに向かって忙しなくタイピングしていた指を止め、”リオ”と呼ばれた少女――ミレニアムサイエンススクールの生徒会長、”調月リオ”が顔を上げる。
「万全を期しているだけよ――この会談を外部に知られてはならないもの」
そう口にしつつ、静かにワークデスクから席を立つリオ。
膝元まで長い黒髪を靡かせつつ、タブレットを抱えながらツカツカとヒマリの方へとゆっくり歩み寄りながら、彼女は言葉を紡ぐ。
「この訪問はデータベースには残らない――つまり、記録上私たちは会ってなどいない事になっている。そのためであれば、この程度問題ではないわ」
――すべては、これから話す内容の機密を守るため。
毅然とした表情でそう言い放つリオ。
そんな堅苦しささえ感じさせる彼女の態度に、ヒマリは肩を竦める。
「リオったら、真面目なんですから……「貴方は私の姉なの?」くらいの軽口を返さないと、ユーモアからは程遠いですよ」
「今のだって、超天才清楚系病弱美少女の軽い冗談なんですから」とふふ、と上品に笑みをこぼす彼女に対して、その言動に疑問符を浮かべるリオ。それから、言葉の意味が分からないと云わんばかりに彼女は尋ねる。
「……貴方は私の姉ではないわ。急にそんな非合理的な話をするなんて……どうしたの、ヒマリ」
「……ええ、ええ。そうでした。あなたはそういう人でしたね。ユーモアを解さずに『合理』だなんて……あなたの好きな表現でしたね、それ」
リオの発言に、疲れたような面持ちで溜息を吐くヒマリ。冗談を真面目に返された時ほど反応に困ることは無い、ということを改めて痛感した模様。
一方のリオは「好悪の話ではないのだけれど……事実でしょう?」と淡々とした表情のまま話を続けていく。
「この会合が秘匿されている事くらいは、貴方も理解しているものだと思っていたのだけれど」
「それはどうでしょう? そもそも、人目を気にするのであれば、
ヒマリの問いに「他の場所?」と、怪訝な様子でリオが聞き返す。
その疑問に「ええ、例えば……」と少し勿体ぶるように少し間を空けてから、
「誰かさんがこっそり作ってる――”
と、まるで含みを持たせたような言い方を敢えてするヒマリ。
表情こそ悠然としたものだが、それとは裏腹に相手の出方を探る様に視線は鋭い。
その視線を向けられている張本人――調月リオは、口こそ閉ざしたままだが特段動揺する様子はなく。
先程と一切変わらぬ表情のまま、少し間を置いた後に――
「……本題に入りましょう」
「あらあら、話を逸らすつもりですか?」
と、態とらしく話題を変えた。
話す気はない、という意思表示のつもりだろうか。
片や、露骨なまでの話のすり替えに指摘こそするヒマリだが「ええ、構いませんが」と意外にもあっさりと身を引く。楽し気に口角を上げている様子を見ると、先程のやりとりに対する意趣返しのつもりだったのかもしれない。
ともあれ、これ以上無駄話をする気はない、と云わんばかりに。
記録に残らない、深夜の密談を始めるリオであった。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
1-2
「――まず、お互いの認識のすり合わせを」
そう口にしたリオが手元のタブレットを操作すると、複数のホログラムディスプレイが出現する。それと同時に、1つのディスプレイにある映像が映し出された。
「前回、『鏡』を巡ってミレニアム生が起こした一連の騒動――それは私たちが共に仕掛けたことだったわね」
ディスプレイに映し出された――ミレニアムタワー襲撃の状況を映した映像を尻目に、事実確認を行うリオの言葉に「ええ」と頷くヒマリ。
「私が『鏡』という手段を用意し、リオが『C&C』という危機を提供する――珍しく、1つの目的のためにあなたと私が協力した事でした」
彼女がその時のことを思い返しながら口にした”目的”。
本来であれば手を組むなど以ての外と豪語するであろう2人(というよりヒマリ)が、それでもなお一時的な協力関係を結んだ”理由”。それこそゲーム開発部を中心に、多くの人物を巻き込んだ騒動の切っ掛けでもあった。
ならばその目的とは。
ヒマリがあらためて、ソレを口にする。
「そう、”アリス”の正体……そして――」
「――――あの”異種生命体”の正体を明かすため」
ヒマリの言葉を引き継ぐようにリオが口を開く。
彼女達が手を組み、裏で手を引き騒動が起きるように周囲を誘導したのも全てはそのため。
――ある日、ミレニアムの郊外で突如発見された
――”未知”を秘めた2人を探るため、であった。
「……そうね、まずはあの生物について、あらためて情報を整理しましょう」
そう話を切り出したリオがタブレットを操作し、ディスプレイの映像を切り替える。
映し出されたのは、議題の対象である生物――カービィが随所で行動している場面を切り抜いた複数の画像であった。
映像が切り替わったのを確認したリオが「現時点で判明している重要な点は3つ」と告げると、続けさまにその点を挙げていく。
1つは、高い戦闘能力を保有していること。
1つは、此処とは違う遠い場所から来た可能性が高いこと。
そして、もう1つは――
「ある条件下で、秘めた力を発揮する――でしょう?」
リオの言葉を先取りするような形で、どこか楽し気な様子を垣間見せるヒマリが口を挟む。
そんな彼女の反応を一瞬訝しむリオだったが、特に言及する必要性がないと判断したのか、すぐに気を取り直し「その通りよ」と話を続けていく――と同時に、ある映像が流れだす。
映像には、眩い光を内包する鉄の冠を被る、未確認生命体の姿が映る。
そして、次の瞬間には自身を中心に大爆発を起こし――上空で録画していたドローンが巻き込まれたのか、それ以降映像は
その映像を横目にしながら、リオが口を開く。
「条件について未だ不明な要素は多いけれど……一先ず、強力な火薬が要因のひとつであると仮定したわね」
「あの新型火薬はTNT火薬の数十倍以上の火力を生むとのことですから、恐らく間違いないかと」
彼女の仮説に、肯定の意を示すヒマリ。あの火薬が要点であることは彼女も同じ考えの模様。
その一方で「ですが」と、相手をジロリと睨むような視線を向け、問い質す。
「それだけの仮説で発明品を
相手の行いを非難する彼女に対し、リオが動じることはやはりない。
寧ろ、当然のことだと云わんばかりに毅然とした態度を貫く。
「未曽有の危機を避けるためよ。当然のことでしょう?」
「ですがあの子自身、他の生徒たちに故意に危害を与えているという報告はありませんが?」
「周囲を欺く演技だとしたら?」
「美甘ネルを単独で退ける能力を秘めているのに? なぜですか?」
片や危険性を訴えるモノ。
片や善性を訴えるモノ。
疑問に対し、同じく疑問で返す言葉の応酬。両者共に声色や表情こそ平静を装っているが、互いに相手の主張に異を唱える姿勢を崩さない。
と、思いきやなぜだか少しずつ話の趣旨がズレていき――
「そもそも星形の弾に変化するメカニズムについて、貴方に分析をお願いした筈だけれど」
「あら、報告はしましたよ? 私なりの解釈の上で」
「アレは占星術とはまったく関係ないでしょう」
「それはどうでしょう。あの五芒星の形は正に天体を関連させるのに相応しい――」
などなど、気付けば件のピンクボールの生態を中心に話が主題から逸れていく一方。
しばらくしてそのことに気が付いたリオが「……無駄話が過ぎたわね」と己を戒めるように眉を顰めた。
そんな彼女とは対照的に、相変わらずヒマリは楽し気な様子を窺わせる。
その態度を流石に不審に思ったリオが「前から気になっていたのだけれど」と前置きした上で問いかける。
「アレの話をしてる時、随分楽しそうね貴方」
そんな彼女の指摘が少し予想外だったのか、目を丸くするヒマリ。
しかしその様子が可笑しく見えたのか――もしくは別の理由からか、ふふ、と微笑んで、
「――――ええ、楽しいですよ?」
と、にこやかに答えた。
珍しく素直な言葉に――ここ最近見たことのない彼女の明るい笑顔に。
ほんの僅かに、目を見開くリオ。
一方、その反応に構わずヒマリは話を続ける。
「この超天才病弱美少女の私でさえも知り得なかった存在――その生態。流石の私でもあんな生物は見たことも、聞いたこともありませんでしたから」
限られた者にだけ与えられる”全知”の学位を有する天才――明星ヒマリ。
そんな天才ですら、理解の及ばない生物。
その事実を彼女自身理解しているにも拘わらず、未知の存在に目を輝かせ声を弾ませる姿は、まるで夢見る少女のようで。
「それにしてもまさか本当に異星人だったなんて……いえ、そもそもこの星にはどうやって来たのでしょう……? 宇宙船があるのか、はたまた自力で来たのか、或いは高度な技術力による転移手段を有しているのか……――嗚呼、本当に会話ができないのが口惜しい……!」
話を続けていく内に湧き上がる知的好奇心を抑えられなくなったのか、思い浮かぶ推察をうわ言のように口漏らすヒマリ。ご熱心、といっても差し支えない程の様子であった。
その様子に内心戸惑いさえ覚えるリオだったが、なんとか平静を装いつつ疑問を呈した。
「……何故、そこまで興味を抱くのか甚だ疑問なのだけれど」
「そうでしょうか? 寧ろ興味を抱いているのはあなたも同じなのだと思っていましたが」
リオの指摘に首を傾げながらも聞き返すヒマリ。
一方、その指摘に心外だと云わんばかりに、彼女は意見を述べる。
「興味を抱いたつもりは無いわ。単純にあの潜在能力を警戒しているだけよ」
あくまでも危険性の有無を確かめるため――彼女はそう訴える。
そんな彼女の主張に肩を竦めつつ、ヒマリは尋ねた。
「なら、あなたの謂う危険性を証明する明確な証拠は見つかりましたか?」
挑発的な視線を向けてきたヒマリに対し、意外にもリオは言葉を詰まらせる。
それは未だに明確な証拠を掴んでいない、という事の何よりの証であった。
そもそも、正体を明かす為に情報収集こそ行っているが、成果が芳しくないのが実状。
判明した点もあるが、それも全てカレ自身が行動した結果から成り立つ情報であり、リオ本人からすれば信用に置ける情報と言い切れないのが本音であった。
だからこそ、ここ数日間は動向を探っていた――が、これといった不審な行動は特になく、基本的に食べる、寝る、遊ぶといった、彼女から見れば怠惰な生活を過ごすだけであったとか。
当然、その事実をヒマリも知っている。
知った上で、敢えて彼女は尋ねている。
そんな意地の悪い質問に、諦めたように溜息を1つ吐いてから、
「……引き続き、情報収集と動向の監視を続けましょう」
「ふふっ……ええ、ええ、非常に珍しいことですが同意見です。何しろ情報が足りていませんからね」
リオの方針に、上機嫌に頷くヒマリ。
言い換えれば現状維持。妥協とも云える判断だが未確定情報が多い中、迂闊な対処は却って危険だと踏まえた上での結論であった。
ニコニコと小憎らしい笑みを浮かべているヒマリを傍目に。
進展しているようで、していない未確認生物の分析――未だ先が見えてきていない状況に内心不安を抱いている彼女は、悟られぬように小さく溜息を吐くのであった。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・
1-3
訳が分からない異星人はさておき。
気を取り直したリオが再びタブレットを操作すると、切り替わる様に別の映像と、ある文献から写し取ったであろう画像が表示される。
映像には”光の剣”を難なく取り扱う――アリスの姿が映し出されていた。
「あれから随分と経つけれど、……解釈の結論は出たかしら?」
リオの問いに、「もちろんです」とヒマリが先ほどとは一転して、真剣な面持ちで肯定する。
即ち、アリスの正体について確証を得たからこその反応。
「アリスの正体……それは、”無名の司祭”が崇拝する『オーパーツ』であり――」
悲し気に表情を曇らせたヒマリの言葉に続くように、
「遥か昔の記録に存在する――――」
表情を僅かばかりに強張らせたリオが、言葉を継ぎ足す。
そして、その正体について、静かに彼女は口にした。
――『”名もなき神々”の王女』――
静かな室内で、その名がイヤに響き渡る。
その後、2人の間に重々しい沈黙と空気が流れ始めた。
「……そう、同じ解釈になったようね」
異論が出ないことを確認したリオが、自論を告げようとする。
十中八九、相手と同じ考えに達しているであろう結論を。
――この世界にとって、最も望ましくない結論を。
「つまり……”あの存在”の本質は――」
「ええ。アリス、あの子は――」
それに倣う形で、ヒマリも口を開く。
既に彼女達の中で、答えは導き出されていた。
そして――
――――世界を終焉に導く
――――『かわいい
気まずい空気が流れた。
それからしばらくして、思考停止を余儀なくされていたリオが口火を切る。
「…………貴方は一体、何を言ってるの?」
「リオこそ、一体何を言っているのですか……?」
真偽を確かめるような反応を示す2人だが、互いに先の言葉を訂正する気配は微塵も無く――そして三度生じる、沈黙。
その一方で、交差する視線に剣呑なモノが混ざり始めた。
――ソレを意味することを理解したリオが、溜息1つ吐くと、
「……そう。じゃあ、私たちの同盟はここで終わりという事ね」
「そうですね。同盟ではなく、休戦でしたが……」
淡々と同盟関係を破棄することを告げるリオに対し、あっさりと承諾するヒマリ。
ある意味清々しささえ感じさせるほどの、話の早さである。
――すると、部屋の各所から独創的なデザインのドローン――両腕の代わりにサブマシンガンを備えるずんぐりとした胴体と、下半身の代わりに幅広いタイヤを一輪車の様に取り付けた機体――が動き始めた。
「ああ、これが噂の……最近あなたが作っているおもちゃですね」
その姿を一瞥したヒマリが目を細めて呟く。複数の個体が自分の周りを取り囲むように室内を動き回る様子を、彼女は特に取り乱すことなくただ眺めるのみ。
やがて、ものの数秒もしない内に包囲が終えたことを見計らい、リオが告げる。
「同盟を解消した以上、貴方をこのまま帰すわけにいかないわ」
「まあ……そうでしょうね。あなたならそうすると思っていました」
容赦ないリオの宣告に対し、この展開を予想していたと云わんばかりにヒマリの様子はやはり落ち着き払ったモノ。その態度に不穏な気配を感じ取ったリオが、先んじて彼女を拘束しようと――
――室内に張り巡らされていた窓を隠す様に、シャッターが急に下り出した!
今まで照明が点いていない室内における唯一の光源は、窓から見えていた外灯や周りのビル群から漏れ出す微かな明りのみ。それすら遮られた今、2人のいるオフィスは完全に闇に包まれる形となる。
「――私のオフィスが……ハッキングされた……!?」
「あらあら……ビッグシスターの部屋は無敵だとでも?」
驚愕するリオの言葉に、クスクスと嘲笑うかのように笑みを零すヒマリ――尤もその表情は相手からは見えないのだが。
お互いに姿さえ視認することができない状況の中「”AMAS”、ヒマリを捕らえなさい……!」とリオはすぐさま指示を飛ばす。暗闇の中であろうと各種センサーを搭載しているドローンなら問題なく行動できる、と踏んだ判断である。
しかし、それすら読んでいるかのように――
「ふふ、病弱美少女に不可能なんてないんですよ」
その一言を皮切りに、ヒマリを取り囲んでいたドローンが一斉に動作を停止した。
見えないにしても、機体から駆動音が消失したことに気が付いたリオが、その事実に目を見開く。
(AMASの全個体が、動作を停止した……?)
リオ自身が開発、制作した戦闘用ドローン――AMAS。
噂は聞いていたようだが、ヒマリ本人に見せるのは今回が初めての筈。
即ちヒマリという少女は、並大抵のハッカーでは手に負えないセキュリティを兼ね備えたオフィスを一瞬でハッキングしただけではなく――その一瞬のうちに、初めて見るであろうドローンを解析した上で制御権を剥奪した、という事になる。
あの一瞬でこれだけの大規模なハッキングを――。
あらためて”天才”の名に恥じない彼女の手腕に、息を呑むリオ。
しかしこの暗闇の中では動けないのはヒマリも同じ。幾ら彼女でも暗視ゴーグルも無しに出口へと向かうことは困難なはず。
そう考えたリオは、まずはAMASの制御権を取り返すことを優先に考え――
――突如、部屋の照明が点灯した。
「んッ……なぜ、照明システムが……?」
急に視界が明るくなったことによる眩しさから、目を細めながらもリオが疑問を口にする。
それと同じタイミングに、彼女の足先に、こつんと何かが当たるような感触が。
思わずその方へと視線を向け――
履いていたハイヒールのつま先に当たった”
目を焼くほどの閃光と耳をつんざくほどの破裂音が、同時に彼女を襲った。
「――自分と意見が違うと気付くや否や、躊躇いなく行動するその姿……相変わらずですね、リオ」
先程、閃光弾によって一時的に視覚と聴覚を麻痺させられたリオを傍目に、悠々と部屋から抜け出したヒマリ。そんな彼女は、巻き添えを食わない為に着用していたサングラスと無線イヤホンを仕舞いつつ、あらためて相手の性格に呆れた様子を露わにしていた。
なお、無線イヤホンはエンジニア部製の優れモノ。
付けている間、外部の音を一切合切遮断し自分の世界に閉じこもることができる、Bluetooth機能付きのシロモノとかなんとか。
ともあれ無事に包囲網から抜け出したヒマリは相手に一泡吹かせたこともあってか「まあ、超天才病弱美少女の私には無意味でしたが♪」と機嫌よく出口へと向かっている最中。
徘徊するガードロボットや侵入者用のセキュリティも既に彼女が掌握しているため、邪魔するモノは存在せず。
後はエレベーターにさえ乗り込んでしまえば、脱出したも同然。
「さてさて……これでリオより先に――」
――瞬間、
――それと同時に、彼女を運んでいた電動車椅子が鋭い音を響かせ、大きく傾く。
「くっ……!?」
驚愕する間もなく、片方の車輪を壊され横転する車椅子と共に、身体を投げ出されるヒマリ。
そのまま重力に逆らうことなく、横倒れするように彼女は床へと倒れこんでしまう。
受け身も取れず、強く身体を床に打ち付けられた彼女がその痛みに表情を歪める――その時、少し離れた場所に誰かが立っていることに気が付く。
状況的にその人物を襲撃者と見做したヒマリはよろよろと上半身だけ起こし、その方向へ見上げるような姿勢で視線を向ける。
「……あなたは……だれ……?」
人らしい輪郭こそ辛うじて分かるが、薄暗さや少し遠めなのも相まって服装や表情まで窺うことはできず――と思いきや、向こうから近づいてきたことで、その姿が少しずつ明確となっていく。
ゆっくりと、ヒマリへと近づいてくる襲撃者。
やがて薄らと相手の姿が見え始め――その特徴的な”メイド服”にヒマリは目を見開く。
「まさか……
彼女が次の言葉を紡ぐ、その前に――
無情にもに突き付けられた
その光景を最後に――ヒマリの意識は途切れるのであった。
『――ターゲットの確保、完了。これより帰投します』
「そう、ご苦労様。そのまま中央隔離施設に幽閉してもらえるかしら」
ヒマリに出し抜かれた後――AMASの制御権や施設の機能を復旧させたリオは、その後ある人物と連絡を取り合っていた。万一に備え、その人物を別の場所で待機させておいた模様。
指示を受け『イエス、マム』と連絡相手が応じたことを確認した後、通話を切るリオ。
それからふう、と一息吐いた後にポツリと呟く。
「……できることなら、味方にしておきたかったけれど……本当に、残念よ」
普段の彼女からすれば珍しく、どこか名残惜しさを残す呟きを漏らすリオ。
しかしその後、心に蓋をするかの如く冷淡な表情へと切り替える。
ある
大多数に非難されようとも、それが最善であると――最も合理的であると信じ。
誰一人、想像していない未来の行く末を案じる少女が独り――
薄暗い室内で、佇むのであった。
【 つ づ く 】
●タメになる☆TIPS集
【誰かさんが泉で水浴びして遊んでいる】
→ぼうず、何を言っているんだい。ワシはみんなのためにと思ってだな……
【悪い夢】
→ヘーイ! ジス・イズ・ア・ペン!
分かる奴いたら間違いなく私と同世代
【TNT火薬】
→爆発の威力計算でよく基準にされる火薬。(TNT換算)
スネークのNB手榴弾がTNT火薬の約0.3kg分に相当するとか。
【無名の司祭】
→驕るな~~!
多分この作品における一番の被害者かも
【あの一瞬でこれだけの大規模なハッキングを――】
→やはり天才か……
【閃光弾】
→天罰の光を!
別衣装が実装されて先生嬉しいぞ……天井はした
【5番目】
→ジョインジョイン
まだ平和。
お気に入り1,000件以上いったし、カービィチャンを他の学園と絡ませるべ^^ どれがいいかな? ※2章後予定です
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アビドス高等学校
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ゲヘナ学園
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トリニティ総合学園
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ん何でも描いてあげるよォォ~!!(全部)