Spring Sky StarS!   作:笹ピー

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 デカグラ編泣いた。



 その後の総力戦ビナーくんで笑い泣きした。何やってんだお前ェっ!!!!


005

5-1

 

 

 

 昼下がりのミレニアムサイエンススクール。

 学園の各所で生徒達が和気藹々と活動している中、日に照らされた校内を歩き回る3人組がいた。

 

 1人は、ゲーム開発部の部員である生徒、アリス。

 1人は、連邦捜査部”シャーレ”の顧問である”先生”。

 

 そしてもう1人――というよりも1匹とも言い表せるゲーム開発部のマスコット、カービィ。

 

 ある意味珍しい組み合わせとも云える――そんな3人は、ゲーム開発部の新作に向けた新たなアイデア探しの為、とりあえず何かアイデアに繋がりそうな出来事が起こることを期待しキャンパス内を歩き回っている最中であった。

 

 そうして、3人並んで歩き回ること数十分ほど。

 遠目から陸上競技場が見える、大通りを通り過ぎようとした――その時である。

 

 

 

 ――――いち、に。いち、に。

 

 

 

 どこからか、律動的な掛け声が聞こえてくる。

 音の響き方からして、少し離れた場所から発せられているようだ。

 

 距離があるにも拘わらず、微かながらもここまで響いてくる声に疑問符を浮かべる3人――すると突然、アリスが何かに気が付いたようにハッとした表情を浮かべ、「アリス、わかりました!」と声を上げた。

 

「ミレニアムのキャンパスで発生する特殊イベント……『ミレニアム・ランダムエンカウントイベント』の前兆です!」

”ら、ランダムエンカウント……? 前兆……”

 

 声高らかに語るアリスの言葉に対し、イマイチ理解が追いついていないのか目を白黒させる”先生”。彼女曰く、冒険中に遭遇するフィールドイベントなのだとか。

 

 そんな”先生”の反応とは裏腹に、「何が起こるか分かりません。2人とも油断は禁物です!」と注意を呼びかけるアリス。その緊迫感を匂わせる雰囲気に思わず息を呑んだ”先生”は、緊張感を顕わにする。

 

 

 

 ――なんてことは、お構いなしに。

 

「――……あっ、カービィ!?」

 

 驚いたように声を上げたアリスの視線の先では、声が聞こえてきたであろう方向――陸上競技場の方へと駆け出すオトモの姿が。どうやら警戒云々よりも、純然たる好奇心の方が勝った模様。

 

 駆け出したカービィを、慌てながらも後を追うアリスと”先生”。

 結局、陸上競技場の方へと向かうことになった3人。

 

 一方、ピンクボールを追いかけるうちに「いち、に。いち、に」という掛け声が徐々に大きく聞こえつつある。どうやら声の出処は今向かっている、陸上競技場から発せられている模様。

 それからしばらくの間、途切れる気配のない掛け声を耳にいれつつ走り続け――やがて一同は、陸上競技場のトラックへと足を踏み入れていた。

 

 そして、先に駆け出したピンクボールを筆頭に。

 そこで3人が目にしたのは――!

 

 

 

「――……あれ? こんにちは。今日もいい運動日和ですね」

 

 先程まで見受けられなかった人物の存在に、少し驚きつつ。

 運動用に今まで掛けていたスポーツサングラスを外しながら。

 

 ミレニアムサイエンススクール2年生――()()()()()()()()()である”乙花スミレ”が3人へと向かい合うと、にこやかに挨拶をするのであった。

 

 

 

 ――彼女と”先生”が知り合ったのは、ある用事で”先生”がミレニアムに訪れたことが切っ掛けだった。

 

 その時、『高負荷なトレーニングを続けた結果、3回ほど脱水症状で倒れた生徒』の話を小耳に挟んだ”先生”は、面識がないとはいえ容態が気になり見舞いも兼ねてその生徒の元へと足を運ぶ。

 

 その生徒こそが、乙花スミレだった。

 

 そこで話を聞いていくうちに、筋肉の損失を恐れる焦りからか過剰なトレーニングを続けてしまい、上手く体調管理ができず悩んでいることを打ち明けるスミレ。

 

 その悩みを聞いた”先生”は、なんとか彼女にオーバーワークさせない為、トレーニングの手伝いを申し出ることに。

 それから彼女のトレーナーとして、トレーニングメニューを確認する役割を担うのであった。

 

 

 

”す、スミレ……? こ、こんにちは”

 

 そんな彼女の登場に面食らいつつも、挨拶を交わす”先生”。

 どんなイベントが発生するかと身構えていた分、拍子抜けしたような様子ではあったが。

 

 その一方で、顔見知りの相手に”ハァーイ”と陽気に手を振るカービィに倣う形で「これはスミレ先輩との遭遇イベントだったんですね!」と、にっこりと笑みを浮かべたアリスが尋ねる。

 

「スミレ先輩は、今日も『運動冒険』中ですか?」

「はい、軽くジョギングでもしようかと思いまして」

 

 アリスの問いにスミレが頷くと、今まで行っていた運動について口にする。

 先程まで聞こえてきていた掛け声は、ジョギングの際に彼女が発し続けていたものだったようだ。

 

 その傍らで”運動冒険……?”と聞き慣れない単語について”先生”が疑問符を浮かべているのを余所に、今度はスミレが問いかける。

 

「アリスさんとカービィも『冒険運動』中ですか?」

「はい! 今日は”先生”も一緒に見習い勇者の冒険中です!」

 

 スミレの問いに元気よくアリスが答える。

 すると彼女は「なるほど、今日はトレーナーと一緒に」と、この場に”先生”がいる理由について、納得の反応を見せる。

 

 そして”冒険運動……?”とやはり聞き慣れない単語に頭を捻る”先生”だったが、談笑している2人に水を差す真似はしたくないのか、気になりつつもここは黙っておくことに。

 

「毎日運動していて偉いですね」

「冒険は継続が大事ですから! サボったらすぐにレベルが下がってしまいます」

 

 感心した様子で褒めるスミレに対し、アリスはえへんと可愛らしく胸を張る。

 そんな彼女の返答に「ええ、運動は地道にコツコツ続けるのが肝要です」とスミレは賛同するように頷き――続いて、足元にいるカービィへと視線を移した。

 

「あなたも()()()()()でありながら運動を欠かさない心掛けはとても立派です。これからも続けていくように、頑張ってくださいね」

 

 膝を曲げ、しゃがみこんだスミレは称賛の言葉を口にしつつ、相手のまあるい頭を優しい手つきで撫でる。それに対し、褒められた本人は掛け声とともに元気よく手を上げることで、彼女の言葉にしっかりと応じるのであった。

 

 素直な反応にスミレが頬を綻ばせている、その一方。

 3人の関係性について気になっていた”先生”が、”3人はよくあってるの?”と尋ねる。

 

「スミレ先輩はエンカウントイベントの1人です!」

「アリスさんとカービィはジョギングしていると、キャンパス内でよく会うんです」

 

 意気揚々と答えるアリスの言葉に、しゃがみこんだ状態から立ち上がったスミレが補足を加える。その様子から、既に何度か遭遇を果たしている模様。

 

 ――すると、瞳を爛々と輝かせたアリスは、

 

「スミレ先輩は『運動冒険』をするアリスの仲間ですから!」

 

 と、誇らしげに言い切る。

 彼女の中ではスミレもまた、同じ志を持つ仲間だと見做しているようだ。

 

 片や、アリスの言葉が予想外だったのか、目を丸くするスミレ――だったがそれも一瞬で、彼女の目を見つめては柔らかく微笑んだ。

 

「――はい。アリスさんは、共に運動する仲間です」

 

 

 

 仲間であると肯定するスミレの返事に、はにかんだ笑顔を見せるアリス。

 その様子を、どこか満足そうにカービィは眺めていた。

 仲間がいるのはいいことだ、と知っているがゆえに。

 

 そんな時。

 この世界に来てからもう3ヶ月ほど経っていたことに気が付き――

 

 そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、とふと思うカービィ。

 

 

 

 かつて、カレは1つの場所に定住せず――

 各地を巡っては旅を続ける――”旅人”だった。

 

 そんな旅の途中、春風と共に訪れた国で起きていた事件を解決したカービィ。

 その際、見ず知らずにも拘わらず国を救ってくれたカレに好意を抱いた住人達は、お礼も兼ねてカレの家を建てることとなった。

 

 それを切っ掛けに、カービィはその国に住む事となる。

 とはいえ旅人を辞めたわけではなく、合間を見てふらりと自由気ままな旅に出たりしているが。

 

 それでもあの家に――多くの”ともだち”や”なかま”が待つ()()()へと帰るのが、カレにとって当たり前となっていた。

 もはや()()、といってもいいぐらいには。

 

 

 

 

 結局気になったのか、先程の『運動冒険』について尋ねた”先生”の質問に答え、賑やかに会話を続けるアリス達の声を聞きつつ――

 

 いまごろ、みんなはどうしているだろう――と、遠い空へと思いを馳せるカービィだった。

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

5-2

 

 

 

『トレーナーと一緒にいるアリスさんたちを見ていると……私も負けられなくなってきました。まずはジョギング20㎞、参ります!』

 

 ――などと、会話中にいきなりトンデモないことを口にするや否や『お先に失礼しますね、みなさん!』と言い残し、快活に走り去っていったスミレ。

 軽いジョギングとはなんだったのか。

 

 そんな彼女の熱意に触発されたのか、やる気に満ち溢れたアリスが『アリスも負けられません!』と、高らかに声を上げると一目散に駆け出し、その場に置いていかれたカービィと”先生”もその後ろ姿を追いかけるように駆け出すこととなった。

 

 そうして先行するアリスに付いていく形で陸上競技場を後にした3人は、次なる場所へ。

 奇しくも、先のピンクボールを追っていた構図と似たような状況である。

 

 

 

 それから、走り続けてしばらく――

 

”キャンパスの外に出てしまったね……”

 

 休みなく走り続けたせいか疲労の色が見える”先生”の言葉通り、今いる場所はキャンパスの外――学校から少し離れた、ミレニアム郊外に存在する街の一角。気付けば、こんなところにまで来てしまったようだ。

 

 ここまで行動範囲を広げるアリスの行動力に舌を巻く”先生”の呟きに対し、当の本人は「アリスの辞書に”止まれ”はありません」と得意げに胸を張る。一応、いつもとは違う場所にこそ予想外のイベントは起こるはず、という目的のアイデア探しに紐づいた行動であるのだとか。

 

 そんな彼女の期待に、応えるかのように――

 

「――あれ、”先生”にアリス、と……」

「カービィだ! やっほー!」

 

 背後から突如聞こえてきた、女性と思しき声。

 

 間を置かず、3人が声の聞こえた方へと振り返るとそこにいたのはメイド服――ではなく。

 珍しく学生服を身に纏う、コールサインを設けられた、メイド部の実力あるエージェント。

 

 ――角楯カリンと一ノ瀬アスナの2人が、並んで立っていた。

 

 顔見知りと出会えたことに喜々とした様子を隠そうともせず、気さくに駆け寄ってくるアスナ。

 そんな彼女に、アリスも笑顔で応じ――

 

 ――と、そこで何か思い出したかの如くハッとした顔を浮かべる。

 そして、足元でアスナ達に手を振っていたカービィを急いで抱き抱えた。

 

「きょ、()()は冒険中なので、ダメです!」

 

 急に抱きかかえられキョトンとするカービィを離さん、とばかりにしっかり抱きしめるアリス。

 対するアスナは、何のことだか、と云わんばかりにきょとんと首を傾げる――が、思い出したかのようにあっと声を漏らした後、にっこりと口角を上げた。

 

「あはっ、大丈夫だよー! 今日は”秘密のクエスト”を優先させろってリオ会長から言われちゃったから!」

「ほ、本当ですか?」

「本当本当! あ、でも今度一緒に遊ぼうね!」

「う……は、はい、アリスも一緒なら……」

 

 無邪気な笑顔を浮かべ話し掛けるアスナに対し、どこか歯切れの悪い言葉を返すアリス。

 かつて()()()()()()()()()ときのメモリーが脳裏を駆け巡っているのかもしれない。

 

 一方、いつも明朗快活なアリスにしては珍しい態度を見せたことに驚いた”先生”は、アスナの後に続いて近寄ってきたカリンに、2人の間に何があったのかを尋ねていた。

 

「まあ、その……色々あった、というか……」

 

 視線を彷徨わせ、困ったような表情を浮かべる彼女の様子から、なんとなく言いにくい雰囲気を察した”先生”は”そ、そうなんだ”と、それ以上訊くのは控えることに。

 

 対するカリンとしても、身内のちょっとした不始末を明かすような真似はできるだけしたくないのか、話題を変える目的もあってか「そういえば」と逆に訊き返す。

 

「3人は、どうしてここに?」

”あ、うん。実はね……――”

 

 そう言うと、これまでの経緯をアスナとカリンに向けて説明する”先生”。

 それから凡そ説明し終えたのを機に、今度はアスナがこの場所にいる理由――それに関連するであろう、さきほど彼女が口にした”秘密のクエスト”について躊躇いなく話し始める。

 

「リオ会長が最近のゲヘナの情勢が気になる、って言っててね~。何だっけ? なにか動き? がないか調べてほしいって言われちゃってて!」

「アスナ先輩、ちょっと……」

「だから通りすがりのゲヘナ生いないかな~って、見かけたら声かけよ~って、思って!」

 

 いきなり機密情報を漏らし始める先輩に驚愕しつつ小声で窘めるカリンだが、当の本人は全く気付いていない――どころか、世間話をするぐらいの軽い気持ちで話を続けていく始末。

 ある意味いつも通りともいえるアスナではあるが、これ以上の情報漏洩を防ぐため、カリンは先程よりも少し語気を強めて口を挟む。

 

「ちょっと、アスナ先輩。アカネがそれは秘密だって……」

「――あっ、そうだった!」

 

 カリンの指摘に、思い出したかのように目を見開くアスナ。

 すると、うっかりしていたことに照れくさそうな笑みを浮かべつつ「アリスちゃん、カービィ、”ご主人様”! さっきのは秘密だよ?」と軽い調子で3人へとお願いを口にする。

 

 そんな彼女のお願いに、あっさりと済ましていいのだろうかと思いつつ了承する”先生”。

 他の2人に関してはハーイ、と素直に手を上げて応じていた。

 

「……まあ、”先生”とアリスなら……いいか。カービィはそもそも喋れないし……」

 

 その様子を眺めていたカリンはため息を零しつつ、知られた相手が相手なだけまだマシ、と考えることで半ば無理やり自分自身を納得させていた。そもそも、アスナに秘密を守らせる方が無理な話だと、薄々思っていた彼女であった。

 

「アスナ先輩もカリン先輩も、”先生”と会ったことがあるのですか?」

 

 そんな中、アリスが首を傾げ、カリンとアスナの2人へと問いかける。

 あの襲撃に参加してない”先生”が、どこで彼女達と知り合ったのか疑問を抱いたがゆえに。

 

 それに対し、「うん、そうだよ!」と元気よく頷くアスナ。

 同じく問い掛けられた当人であるカリンは「ああ、なるほど」とその質問をした理由に予想がついたのか、その経緯について口にする。

 

「少し前、ある依頼の時に協力して貰ったんだ。……本当は監視役だったんだが」

「楽しかったよね、”ご主人様”!」

”一度牢に入れられたけどね……”

 

 当時のことを思い出したのか、喜々とした様子で”先生”に話し掛けるアスナ。

 それとは対照的に、少し苦笑いを浮かべた”先生”も思い返すように呟く。

 

 以前、ゲーム開発部が主体となって引き起こしたミレニアムタワー襲撃時には参加しなかった”先生”。そのため、防衛を担当していたC&Cのメンバーと顔合わせすることは一度もなく、互いに面識が無いままであった。

 

 そんな時、C&Cがセミナーから依頼された任務に於いて、”先生”が臨時メンバーとして同行したことを機に、お互いに対面を果たす。

 襲撃の件があったとはいえ、全員が根に持つような性格でもなかったおかげか、共に行動していく中で少しずつ関係を築いていき――メイド部ということで”ご主人様”と呼ばれるぐらいには友好的になったとか。別に”先生”が呼ばせたわけではない。

 

 その説明に納得したのか、なるほどと頷くアリス。

 一方で、彼女はどこか残念そうな面持ちを浮かべる。

 

「アリスたちもレイドクエストに参加したかったです……」

「うん? じゃあ今度、密輸グループの掃討任務に参加する?」

 

 アリスの呟きに可愛らしく首を傾げながらも、アスナが物騒な提案を事も無げに口にする。

 するとその提案に対し、表情を一転させ瞳を輝かせたアリスが「本当ですか?」と食いつくように反応した。

 

「あははっ、いいよ! アリスちゃんとカービィが一緒ならますます楽しくなりそう!」

「はい! 立ち塞がる敵をなぎ倒して進みます!」

 

 互いに目を輝かせ、意気投合とばかりに盛り上がるアリスとアスナ。

 そんな2人の楽しそうな雰囲気に釣られ、カービィもニコニコと楽しそうに笑顔を浮かべる。

 どうやら3人の中で、約束事が1つできた模様。

 

 

 

 ――それとは対照的に。

 

(…………相手が気の毒すぎる)

(”相手が気の毒すぎるかも……”)

 

 片や、レールガンを振り回しぶっ放す少女。

 片や、直感で相手の攻撃を避け続ける少女。

 片や、吸い込めるもの全て吸い尽くす桃球。

 

 こんな3人を一遍に相手をする側の心境は、如何に。

 少なくとも、()()()()()も残らないぐらいまで滅されること間違いなし。

 

 

 

 そんな風に思われているとは知らずに、無邪気に笑い合う3人の姿を見据えつつ――

 そんな光景を思い浮かべては、なんとも言えぬ感情を抱くカリンと”先生”だったとさ。

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・

 

5-3

 

 

 

「――……じゃあ、そろそろ任務に戻ろう。アスナ先輩」

「う~ん……そうだね! なんだか今なら見つかりそうな気がする!」

 

 それからしばらくの間、談笑を続けていた一同。

 その最中、キリが良いところを見計らい、任務へと戻ることを促すカリンの言葉に少し考えたのちアスナが応じる――というより、彼女の直感が何かを感じ取ったからかもしれない。

 

 名残惜しい気持ちはあれど2人の仕事を邪魔するわけにもいかず、アリス達も本来の目的であるアイデア探しに戻ることとなった。

 

「じゃあアリスちゃん、次は一緒に冒険に行こうね!」

「はいっ! アスナ先輩もカリン先輩も、次の冒険では仲間です!」

 

 アスナの言葉に対し、屈託のない笑顔を見せるアリスがそう口にしながら頷く。

 その言葉に喜ぶアスナの隣で、まさか自分も含まれるとは思いもしなかったのか「わ、私も……?」とカリンが少し戸惑った様子で聞き返した。

 

「はい!」

 

 彼女の問いにアリスは一切躊躇うことなく、すぐに肯定を返す。

 相も変わらず、お日様のような笑顔と共に。

 

 彼女の返事に思わず呆気にとられ、目を丸くするカリン。

 しかしやがて、表情を崩すと――

 

「……そっか、よろしくね」

 

 と、彼女なりの感謝と喜びを込め、小さく微笑みを返すのであった。

 

「……それじゃ、私たちは先に失礼する」

”うん、任務頑張ってね”

「ありがとうご主人様! 頑張るね!」

 

 やや間を置いた後、表情を引き締め直したカリンの一言に続くように、”先生”がにこやかに応援の言葉を送る。

 その言葉にアスナが意気揚々と答えつつ、アリスが抱き抱えているカービィの柔らかそうなほっぺを両手で優しく揉み始めた。

 

「カービィも今度一緒に冒険しようね!」

「あ、アリスも一緒ですからね!」

 

 じゃれつくアスナに対し、揉まれている本人も楽し気に笑っては頷く――サラッと拉致られた記憶が離れないせいか、カレを抱き抱えているアリスが無意識に身を固くするのはさておき。

 

 そんな和やかな光景に微笑む”先生”――その傍らで。

 自分から言い出したにもかかわらず何故かその場から動かず、難しい表情を浮かべたまま3人のいる方へと視線を向ける、カリンの姿が目に入った。

 

 その様子に疑問符を浮かべる”先生”。

 と、思いきや早足ぎみに歩みだしたカリンはアリス――というより、カービィの元へ近づく。

 

 やがて、手の届くところまで近寄ってきた彼女の不審な様子に3人も疑問符を浮かべる。

 一方のカリンはここにきてまだ迷っているのか、手を出そうとしたり引っ込めたりと煮え切らない態度を続ける始末。

 

 

 

 ――しかし、意を決したのか。

 

 ――()()()()()()()()()()をそれぞれの手で優しくも()()()()()

 

 

 

 キョトンとするカービィの反応を余所に、一心不乱にニギニギするカリン。

 それを呆気にとられながら見守る――というか見届けるしかない、他の面々。

 

 思いがけず異様な空間ができつつあったが、1分も経たない内にどことなく満足げな彼女が手を離すことで終わりを迎える。

 そしてこんな状況を作り出した本人はというと、流石に気恥ずかしさからか頬を染めながらも、コホンと態とらしく咳払いをしていた。

 

「……そ、そうだアリス。ネル先輩が探してた」

「えっ!? ち、チビメイド先輩がアリスのことをですか!?」

 

 露骨なまでの話題のすり替えにも拘わらず、内容が内容なだけにそのことに気付かず恐れ戦くアリス。既に何度か面識はあるものの、やはりまだ苦手意識の方が強い様子。

 

「何か用事があるそうだけど……まぁ、会ったらよろしくね。先輩はアリスの事を本当に気に入っているみたいだから」

「あ、うぅ……」

 

 そんな彼女に少し同情しながらもお願いするカリンに対し、気に入られていると言われた以上、イヤとは言えずアリスが苦渋に満ちた声を漏らす。

 そして、去り際に「それじゃ、バイバイ~」と陽気に手を振るアスナの言葉を皮切りに、今度こそ2人はその場を立ち去るのであった。

 

 こうして、徐々に遠ざかっていく彼女達の後ろ姿を見送る3人――

 

 

 

 ――などと、悠長なことをしている場合ではないと云わんばかりに。

 

「”先生”! こうしている場合じゃないです! チビメイド先輩がいつ現われるか分かりません! ひとまずこの場から退却しましょう!」

 

 表情に焦りの色が見えるアリスが、一刻も離れることを推奨する。

 探しているのならば遇わなければいい――という、理に適っているんだか適ってないんだか判断に困る作戦だが、とりあえずそれで今日を凌ごうと考えた模様。

 

 それに”先生”が答える――

 

 ――その前に、相当焦っていたせいか返事を待たず、オトモを抱き抱えたまま来た道を戻る形で駆け出したアリス。当然、”先生”はその場に置いてけぼり。

 

 

 

 そのままピューっと吹く風の如く走り去っていく、彼女の背中を呆然と眺めていた”先生”。

 そしてやや間を置いて我に返る、と同時に――

 

”あぁ、これまた走るやつだ…………”

 

 と、乾いた笑みを浮かべ、折角痛みが引いてきた脇腹を押さえつつ後を追うのであった。

 明日は筋肉痛だ、という確信を得つつ。

 

 

 

 その一方。

 先程までの話し相手達がそんなことをしているとは知らず、任務へ戻ったアスナとカリン。

 

 依頼の目的であるゲヘナの生徒を探す為、街中を歩き回っている――そんな中。

 悪戯っぽい笑みを浮かべたアスナが、若干バツが悪そうな顔を浮かべていたカリンに問いかける。

 

「癖になっちゃったんだ!」

「ち、ちがっ……な、なんとなく気になっただけだからっ」

 

 先程の奇行への指摘に、カリンが顔を赤らめながら懸命に否定する。

 片や、動揺を隠せていない後輩の反応に首を傾げたアスナが、更に問いかける。

 

「でも触りたかったんでしょ?」

「…………まあ……その…………うん」

 

 数秒ほど言葉に窮し、そして湧きあがった欲に勝てなかったことを白状するカリン。

 以前、ピンクボールの()()()()()()ことのある彼女にとって、あの感触を忘れることができなかったようだ。

 

 彼女としても恥ずかしい真似をしたという自覚があるのか、いたたまれないように顔を俯かせるカリンに対し、アスナは笑みを零しつつ「そうだよね~」と同情するような反応を見せる。実際、自分も立ち去る前に触りたかったからあのモチモチほっぺたを触った、と彼女は語る。

 

 そんな彼女の言葉を耳にしつつ、次からは気を付けなくては――と心の中で決意を固めるカリン。あんな姿を知り合いに晒した日には、しばらく部屋から出られない自信が彼女にはあった。

 

 

 

 ――それはそれとして。

 

(…………あの感触に近いぬいぐるみ、売ってないかな)

 

 抱き枕にはちょうどいいかも、なんてことを考える女子高校生だったとか。

 

 

 

  【 つ づ く 】

 

 

 




●タメになる☆TIPS集


【乙花スミレ】
→絆スト前「この見た目で脳筋だなんてあるわけないじゃないですかははは^^」
 絆スト後「なんだコイツ……」

【旅人】
→王様懲らしめたり悪夢打ち倒したり暗黒物質蹴散らしたり大彗星爆散させたり悪い心ボコしたり嘘つき止めたり女王様シバいたり模造品ぶち抜いたり破神理解(わか)らせたり侵略者轢いたりしますが旅人なんです! 通してください! なんだコイツ……

【ジョギング20㎞】
→徒歩で4~5時間、車で20~30分掛かるぐらいの距離。やべえ。

【ある依頼】
→囧「私出番なく捕まってるじゃないですかー! うあぁああああーなんでー!」
 すまんかった

【こんな3人】
→なんなら殲滅後に喜びの舞を披露するピンクボール
 あ、あくまたん……

【ピューっと吹く】
→そぉい!!

【Q.おいゲヘナの生徒はどこ行ったふざけんなカス】
→そぉい!!
 すまんかった



 そろそろ。


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