Spring Sky StarS!   作:笹ピー

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 昨日のニンダイでプライム4とライドウが出ることに狂乱する私と、カービィチャンの新作発表が無くて狂乱する私で超☆融☆合して光と闇が両方そなわり最強に見えない。


005

5-1

 

 

 

 エンジニア部。

 ミレニアム内はおろか、キヴォトス内でもその存在を知らぬ者は殆どいないと云える程、名が売れた技術屋集団。学区内に限らずその技術力をお目当てに、他校区から製品の提供を依頼されることも少なくない。

 

 たまに変な発明を閃いて騒動を起こすこともあるが、ある意味彼女達の技術力の高さが在ってのことだろう。セミナーの会計役が胃に穴が空いたような表情を浮かべるのはさておき。

 

 

 

 そして所属する部員が、その実績に見合うだけの実力と頭脳を有していることは、言うまでもなく。

 

「――……成程、大体把握したよ」

 

 今まで静かに話を聞いていた、エンジニア部の部長――淡紅藤色のストレートヘアーを靡かせた少女――白石ウタハは理解を示すかのように頷くと、ゲーム開発部の面々を見渡した。

 

 経緯としてはモモイ達がエンジニア部の作業室へと足を踏み入れた後、部長のウタハに事情を説明――無論、アリスとカービィの素性はぼかしつつ。

 そして、アリスの武器になりそうなものは無いかと、頼み込んでいる最中であった。

 

「新しい仲間に、より良い武器をプレゼントしたい……と。そういうことであれば、エンジニア部に来たのは素晴らしい選択だね」

 

 部長として、そしてマイスターとして頼られることが嬉しいのか、控えめながらも頬を緩めるウタハ。

 すると彼女は、室内のある一端へと視線を向ける。その視線を追うようにモモイ達もその方へ顔を向けると、様々な機器や銃器が並ぶ異様な光景が目に入った。

 

 選り取り見取りな銃器の陳列に目を奪われているモモイ達を尻目に、ウタハが言葉を紡ぐ。

 

「――ミレニアムにおける勝敗というのは、優れた技術者の有無に大きく左右されてしまうものだ。そっちの方に、私達がこれまで作ってきた試作品が色々と置いてある。そこにあるものであれば、どれを持って行っても構わないよ」

「やった! ありがとう、先輩!」

 

 ウタハが許可を出すや否や、モモイが顔を綻ばせながら礼を述べる。

 その後ろに控えていたミドリとアリスも彼女に倣い、笑みを浮かべつつ、を下げた。

 

 彼女達の感謝に「大したことじゃないさ」と謙虚な姿勢を見せるウタハ――だったが「それはそうと」と話を変えるように呟きながら”ある1点”へと視線を向け、続け様に問いかける。

 

 

 

「さっき話にあった”その子”なんだが……少し触ってみてもいいかな?」

 

 

 

 アリスに抱きかかえられているカービィを、指差しながら目を輝かせるウタハ。

 その発言に思わず「エ゛ッ」と声を詰まらせる才羽姉妹と”先生”。

 

 確かに先の説明で”高性能自立機動のぬいぐるみ”と説明したのだが、それが”マイスター”である彼女の興味と好奇心を刺激した模様。

 

 モモイ達としてはお断りしたいのが正直なところ。しかし、発明品を持っていって良いと許可をくれた相手のお願いを蔑ろにもできない。

 一方、これから触られるであろう本人に至っては特に気にしていない様子。抱き抱えていたアリスも特に問題ないだろうと、焦る様子を微塵も露わにしない。

 

 

 

 どうすべきか。

 思わぬ選択肢を前にした3人が目を見合わせる。

 

 

 

 少し思い悩んだ結果、出した結論は――――

 

 

 

「……え、えっと。やさしく、触るだけでお願いします」

「もちろん。壊してしまうのは私としても本意ではないからね」

 

 ある程度の制約を課した上で、渋々と許可を出すモモイ。断ったら断ったらで疑われるリスクの方が大きいと考えた結果である。

 

 ごめん、カービィ! とモモイ達が心の中で謝る一方で、アリスは平然とした様子でカービィをウタハに手渡す。傍から見れば本当にぬいぐるみを手渡しているようだが、実際手渡しているのは先程までよだれを垂らしてグースカ眠っていた未確認生物である。

 

 両手で丁重に受け取るウタハに、カービィは”ハーイ”といつものように片手を上げ笑顔で挨拶する。その微笑ましい振る舞いに、彼女も微笑み返す。

 

 

 

 ――が、すぐに真剣な表情へと切り替わると。

 

 

 

「――柔らかいが思った以上に弾力性がある……それに驚くべき軽さだ。そういえば先程の発音にまったくノイズを感じなかった――ノイズキャンセリング機能が搭載されているのか? それにしてもこの生地の材質は一体…………」

 

 小声でブツブツと独り言を呟き、隈なく体を揉むように触るウタハ。心なしか目の輝きが段々と増してきている。

 対して、特に痛みや不快はないのか揉まれるがままのカービィ。

 それを特に心配もせずにジーッと眺めているアリス。

 

 

 

 ――そしてそんなやり取りを、あわわわわと戦々恐々としながら見守っている才羽姉妹と”先生”。

 

 そんな光景が、およそ1分ほど続くのであった。

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

5-2

 

 

 

「――……ふむ、もう少し調べてみたいが……約束だからね」

 

 名残惜しそうな雰囲気を醸し出しつつも、「ありがとう」と言いながらウタハは受け取った時と同じく丁重にカービィをアリスへ手渡す。

 

 そしてアリスが受け取ると同時に、寿命が縮む感覚に苛まれ続けていた3人が心底安心したように深い溜息を吐く。

 

 そんな3人の様子に首を傾げながらも、少し離れたところで作業を行っていた部員を「ヒビキ」と呼び、こっちに来てもらうように呼び出すウタハ。

 彼女に呼ばれたのは、同じくエンジニア部所属の1年生――ウェーブのかかった黒い髪に前頭部にゴーグルを付けている少女――猫塚ヒビキが初対面のアリスに挨拶する。

 

「やあ……初めまして、アリス。1年生のヒビキだよ。良ければ私が、何か良いものを見繕ってあげる……」

 

 少し気怠げな声色ながらも、武器を見繕ってくれるという言葉にアリスは素直にお願いする。

 それからヒビキを先頭に、先程一同が目にした場所へと移動する。

 

 そこに陳列してあった発明品を一つ選び取ったヒビキは「これはどう、アリス?」と手にした物を見せつけながら尋ねる。

 彼女が手にした物を目にしたモモイが「拳銃?」と尋ねる。見た目も色合いもキヴォトスでは一般的に普及している型の拳銃だった。

 

 そんな彼女の疑問に「その通り」と頷くヒビキ。

 

「見た感じ、多分だけど……これまでにあまり戦闘経験は無いはず……」

「――その言葉は否定します。アリスはこれまでに人類を27回救い、魔王軍との46回に渡る戦闘を行い、三桁を超えるダンジョン探索を行ってきました。経験値はそれなりに豊富です」

 

 ヒビキの推察に対してムッと眉間を寄せて否定するアリスは、立て続けに自身の戦果を――無論ゲーム上の――えへんと誇らしげに述べる。

 そんな彼女の返答に目を丸くしたヒビキだが、「それは、すごいね……」とあまり深くは追及することはせず、ひとまず称賛の言葉を贈りながらも説明を続ける。

 

「……とにかく、銃器を使用した経験は……あまり無さそう。そういう人にはやっぱり拳銃が良い。これはプラスチック製だから軽いし、反動も少ない。そういう意味でも、色々と初心者に優しいはず」

 

 あらためて拳銃の説明を行うヒビキ。

 その内容は、至ってまともな推察に基づいての採用であることを語る。

 

 

 

 「――それに、何より……」

 

 ――が、突然雰囲気が変わったヒビキが、

 

 「この銃にはミレニアム史上、今まで存在しなかった機能が搭載されてる」

 

 と、何処となく物々しい口ぶりで、周囲に告げる。

 

 

 

「な、何それ?」

「何か聞く前から凄そう……いったいどんな機能なの?」

 

 その大仰な言い方にとんでもない機能が搭載されている、と予想したモモイとミドリが、ごくりと息を呑む。少し離れて聴いていた”先生”もこういった話に興味があるのか、ヒビキの言葉を待つ。

 

 今まで存在しなかった機能とは一体? と周りの期待感を煽るように間を置いてから「それはね」と彼女はゆっくり口を開く。

 

 

 

「────”Bluetooth機能”、だよ」

「えっ」

 

 

 

 予想の斜め上を飛び越える発言に、聞き間違いかな? と考えた3人。

 そんな彼女達の反応に構わず、搭載した機能についてヒビキは誇らしげかつ事細かに説明し始めた。

 

 曰く――Bluetoothを通じて、音楽鑑賞やファイルの転送まで可能な拳銃は今までに存在しなかった、とのこと。

 スモモ機能も搭載。ICパネルにタッチして、交通機関を利用することもできる、とのこと。

 NFC機能も付いてるから、コンビニペイだって使えちゃう、とのこと。

 

 詰まるところ、”Bluetooth+α機能”が付加された拳銃である。

 

 しかし、こんなものでコンビニペイした日には御用されてしまうのでは?

 そう指摘したモモイやミドリにはいまいち凄さが伝わらなかったようで。

 

 折角気合が入ったプレゼンテーションにもかかわらず、薄い反応で終わってしまったことに肩を落とすヒビキ。遠巻きで見ていた”先生”も口にこそ出さなかったが、思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 

「――――あの子はよく色々機能を付けたがるんだが……それでも着眼点としては悪くないし、銃としての機能を阻害させず動作できている。優秀な後輩さ」

 

 その反応を見兼ねてか、フォローするように後輩の長所を挙げるウタハ。

 片や、彼女の発言に目を丸くする”先生”だったが、その意図を理解したのか微笑んだ。

 

”信頼してるんだね”

「もちろん。同じ志を持つ仲間で、可愛い後輩だから、ね」

 

 ”先生”の言葉に、ウタハも微笑みを込めて言葉を返す。

 信頼は元より、後輩への愛情が籠められていることは言うまでもなく。

 

 

 

「――それよりあの子の姿が見えないようだけど……」

 

 そんな中、ウタハが口にした言葉につられ、”先生”は再び視線をモモイ達の方へと向ける。

 確かに視線の先では、モモイ達の近くにいたはずのアリスの姿がない。彼女達もアリスがいなくなっていたことに気付いたのか、辺りを見渡していた。

 

「……あ、あそこに」

 

 ほどなくして見つけたヒビキの指差した先で、自身の身丈より一回り大きい――大砲の様な銃器をカービィを抱き抱えつつ眺めているアリスがいた。

 

 大砲を興味津々に見つめている、アリスとカービィ。

 するとその後ろから、近づく人影が。

 

「ふっふっふっ……お客さん、お目が高いですね」

 

 その声に気が付いたアリスが振り返ると、興味津々に目を輝かせ不敵な笑みを浮かべる少女が。

 見覚えのない人物に首を傾げたアリスの心情を察したのか、少女は意気揚々と口を開いた。

 

「説明が必要なら、いつでもどこでも答えをご提供! エンジニア部のマイスター、コトリです!」

 

 高らかに自身の身分と名前を語った人物――黄色のショートボブヘアーの、片側が特徴的なレンズの形をしている眼鏡を掛けている少女――豊見コトリに、キョトンとするアリスとカービィ。

 そんな2人の様子に関わらず、休むことなく口を開くコトリ。

 

「あなたがアリスですね。ゲーム開発部、四人目のメンバー! そしてこれが噂の”高性能自立起動ぬいぐるみ”、カービィですね!」

 

 誰かに説明するかのようにアリスとカービィについて解説しだすコトリ。すると今度はミレニアムの機械搭載型ぬいぐるみ製品の歴史について説明し始めた。

 

 そうしてピーチクパーチクと繰り広げられるコトリの説明はモモイ達が合流するまで続き、ようやく先程からアリス達が気になっていた大砲へと話は移る。

 

「……それでこの大きいのは何? まるで大砲みたいだけど……」

 

 以前から交友のあったミドリの疑問に「良い質問ですね、ミドリ!」とコトリが食いつく様に反応する。心なしか眼鏡のレンズが光っているのは気のせいではない。

 

 ゲーム開発部の部員達から好奇の視線を集めたコトリは、身振り手振りを交えつつハツラツと喋り出す。

 

 

 

「これはエンジニア部の下半期の予算、その内の約70%近くをかけて作られた、エンジニア部の野心作――――”宇宙戦艦搭載用レールガン”です!」

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

6-3

 

 

 

 コトリが高らかに告げた”宇宙戦艦搭載用レールガン”。

 それはエンジニア部がヘリコプターや汎用作業ロボットに続いて、宇宙戦艦の開発を目指す際に造られた”大気圏外での戦闘”を目的とした実弾兵器。本来は宇宙戦艦の予備砲台にする予定だった模様。

 

 まさに宇宙開発に向けた記念すべき第一歩――そのはずだった。

 

 創ったのはいいが、なんと下半期の予算の70%を持っていかれる始末。

 一歩目踏み出したら複雑骨折してしまったようなもんである。おかげで二歩目が踏み出せない始末。下手すれば一歩どころか半歩程度も進んでないかもしれない。

 

 結局、宇宙戦艦を造る予算が無くなってしまったので計画は頓挫。

 悲しい哉、光の剣は砲台から”置物”と成り果てたのであった。

 

 その話を聞いていたモモイが「そもそも設計段階でわかることじゃないの!?」と珍しく至極真っ当な疑問を指摘する。彼女の言う通り、設計段階で使用する部材を見積れば、誰だってお金が消し飛ぶ代物だと分かっていたはず。

 

 そんなモモイの指摘に対し、「愚問だね」と言い放ったウタハは、

 

 

 

「ビーム砲は――――ロマンだからだよ」

 

 かっちょいい顔を浮かべて、答えるのであった。

 

 

 

 モモイは、「バカだ! 頭良いのにバカの集団がいる!」と叫んだ。

 ミドリは、言葉にできず頭を抱えた。

 ヒビキは、誇らしげに頷いた。

 コトリは、ビーム砲の良さがわからないモモイにヤレヤレと肩を竦めた。

 ”先生”は、”わかる”と腕組んで何度も頷いていた。

 アリスは、キョトンとしていた。

 カービィは寝てた。

 

 つまるところ、ロマンをガンぶりにした結果出来上がった置物――もといシロモノだった。ミレニアムの会計役は泣いていい。

 

 ともあれ、あまりにも切ない経歴を持つ武器だが御大層にも名称が付けられていた。せっかくなので隅から隅まで知ってもらおうと思っていたコトリがその名を告げる。

 

 その名も――

 

「――――”光の剣:スーパーノヴァ”です!」

 

 コトリが高らかに告げる名称――特に”光の剣”という部分だろう――に、アリスが目を見開いて大きく反応する。

 

 まるで欲しいおもちゃを前にした子供のように目を輝かせ、”光の剣:スーパーノヴァ”を物欲しそうに見詰めるアリス。

 それを横で見ていたモモイが「あ、アリスの目が輝いてる……!」と驚き、「こんなに興奮してるの、初めて見たかも」とミドリも物珍しそうに呟く。

 

 そして、いよいよ居ても立ってもいられなくなったのか――

 

 

 

「――これ、欲しいです」

 

 

 

 アリスが口にした一言に「え」とエンジニア部の3人が呆気にとられたかのような声を同時に漏らす。

 

 そんな彼女達に向き合いつつ「偉大なる鋼鉄の職人よ、あの龍の息吹が欲しいのだ」と、彼女は至って真面目に欲しい意思を伝える。

 ますます意味がわからなくなりそうな言い回しに戸惑う3人だが、なんとかアリスの意思は伝わった模様。

 

 それを理解した上で、ウタハ達はバツの悪そうな表情を浮かべる。

 

「そう言ってくれるのは嬉しいのだけど……」

「申し訳ないのですが、それはちょっと出来ないご相談です!」

 

 申し訳なさそうに言葉を濁すヒビキに次いで、きっぱりと断言するコトリ。

 その言葉に、話が違うと云わんばかりに納得がいかない様子のモモイがヒビキ達に詰め寄る。

 

「何で!? この部屋にあるものなら何でも持っていって良いって言ったじゃん!」

「……それは、理由があって……」

 

 プンスカと憤るモモイに、困った様子を見せるヒビキ。

 そんな彼女に代わって、ウタハが説明をする。

 

「……この武器は、個人が扱う火器として使うには大きくて重すぎるんだ」

 

 単純な話、”人が扱うこと”を想定していないというのが理由である。

 

 ウタハの発言に補足するコトリ曰く、基本重量だけで140kg以上――そこに光学照準器やバッテリーを足した上で砲撃を行えば、瞬間的な反動は200kgを超えるとのこと。

 その超重量に、先程までプンプンしていたモモイも驚きのあまり言葉を失う。

 

 そもそも宇宙戦艦に積むような武装を人間一人が使うことを想定しているわけがない。

 どんなに欲しいと願っても、個人で持ち運べないのない以上、意味が無い。

 

 

 

 扱える者がいなければ”光の剣”も――ただの”(なまくら)”である。

 

 

 

 その説明に、落ち込むように表情を曇らせるアリス。

 それを目にして、ここまで興味を持ってくれたことへの感謝と、要望に叶えてあげられないことへの申し訳なさを抱きつつ、ウタハが話しかける。

 

「――ありがとう。これをカッコいいと言ってくれただけで、私たちは嬉しいよ。”持って行ける”のならば、本当にあげたいところなのだけど……」

 

 

 

 その時。

 その言葉に、彼女はピクリと反応した。

 

 

 

「……汝、その言葉に一点の曇りもないと言えるか?」

 

 目を輝かせながら顔を上げたアリスの言い回しに、首を傾げるウタハ。

 それを見て、心情を察したミドリが「た、多分”本当なのか”って聞いてるんだと思います」と独特な言い回しに解釈を挟む。

 

「――それはつまり、あれを”持ちあげる”つもり、ということかい?」

 

 先の発言を要約したウタハの確認を問うような言葉に対し、アリスは頷いては肯定を示す。

 それから、昼寝中のカービィを近くのテーブルの上にそっと置いてから、あらためて”光の剣:スーパーノヴァ”に向き合った。

 

 

 

「……この武器を抜く者――」

 

 そう告げながら腰を少し下ろし、レールガンの持ち手を掴むアリス。

 それをグッと手で握り込みながら、足元へと力を入れる。

 

 

 

「――比の地の覇者になるであろう!」

 

 

 

 高らかに口上を述べると同時に。

 大地を踏みしめ、勢いよく腰を上げる――――!

 

 

 

「――まさか」

「嘘……」

「えぇぇっ!?」

 

 エンジニア部の面々が三者三様の驚きを露わにする。それは、言葉にこそ出なかったモモイとミドリ、そして”先生”も同じであった。

 

 先程の説明は誇張ではなく、紛れもない事実である。

 ”人”には扱えない――その確固たる事実を。

 

 

 

「も、持ち上がりました!」

 

 それゆえに、眼の前に広がる光景を疑ってしまうのも、無理は無いだろう。

 

 興奮と喜びが入り混じった彼女の言葉通り、確かに持ち上げていた。

  ”光の剣:スーパーノヴァ”を、しっかりと。

 

 

 

 小さな少女が身の丈程の超重量物を持ち上げている光景に、一同が言葉を失っている中――

 

「えっと、ボタンは……これがBボタンでしょうか……」

 

 そんな周囲の驚きなど気にもせず、持ち上げたレールガンを手さぐりに調べていたアリスがボタンのようなモノに気が付く。

 すると、今まで呆然としていたヒビキがその言動から、これから起こる事を察知し慌てた表情を浮かべる。

 

「ま、待って……!」

 

 咄嗟に待ったを掛けるヒビキ。

 しかし、その制止空しくボタンは押されてしまい――――同時に砲身の先端が展開、銃口に光と熱が集中し始める。

 

 急激に稼働する銃器に一瞬驚くアリスだが、すぐに表情を引き締める。

 そして、この後来るであろう衝撃に備え、足を広げ踏ん張る構えを取り――

 

 

 

「――――光よ!」

 

 

 

 その言葉に触発されたかのように、轟音と共に砲台から極光が放たれる。

 極光が向かう先は室内の天井――だったが容易くぶち抜き、そのまま晴天の空へと昇って行く。

 

 そのまま青空に一筋の閃光を刻み込み――やがて、残光を残しつつ消えていくのであった。

 

 

 

 一瞬にして起こった惨事に我に返ったコトリが「わ、私達の部室の天井がぁ!?」と絶叫する。その言葉を裏付ける様に、部室の天井からその上の階にまで綺麗な風穴がぽっかりと。

 

「――――……凄いです! アリス、この武器を装着します!」

 

 その一方でこの事態を引き起こした張本人は、手元の大砲に夢中になっているせいか惨事に気付かず。子供の様にはしゃぐ彼女の姿に、一同は何とも言えず言葉を濁すばかり。

 

 

 

 そんな中、カービィがふわあと呑気に欠伸をしながら起床し、それに気づいたアリスが「カービィ!」と声を弾ませ、逸る気持ちを抑えようともせずカレに駆け寄る。

 

 声に気付いたカービィが眠たげに目を向けたと同時に、アリスは”光の剣:スーパーノヴァ”を見せつけながら、カレへ告げる。

 

 

 

「今日からアリスは――――”勇者”になります!」

 

 

 

 満面の笑みを携えて宣言するアリス。

 そんな彼女に対して、体を傾げてキョトンとするカービィだった。

 

 

 

  【 つ づ く 】

 

 

 




●タメになる☆TIPS集



【エンジニア部】
→今後の展開を考えるとガチで有能集団。

【アリスはこれまでに人類を27回救い、魔王軍との46回に渡る戦闘を行い、三桁を超えるダンジョン探索を行ってきました。経験値はそれなりに豊富です】
→プレイ時間約9時間とすると約30分/回のペースで世界救って、約12分/回のペースで魔王軍しばいとるわこの子

【要するにBluetooth+α機能が付加された拳銃】
→スマホでよくね? という正論は打ち切りました

【ビーム砲は――――ロマンだからだよ】
→レールガンはビーム砲じゃなくね? という一般論は締め切りました

【”先生”は、”わかる”と腕組んで何度も頷いていた。】
→デビルマーン

【”光の剣:スーパーノヴァ”】
→爆発オチに使われてる奴の事ではない


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