Spring Sky StarS!   作:笹ピー

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 よーやく本性出しましたわ。


006

6-1

 

 

 

 エンジニア部、屋外実験場。

 

 元々は発明した機材や武器を試験運転するために設けた、エンジニア部が所有する実験場。数多くの実験や万が一の有事に備え、その広さは凡そ野球グラウンド並みにもなる。

 ミレニアム内に留まらず、他校区に知れ渡るその技術力は伊達ではなく、それ故に部を支える支給や支援も並大抵ではない。これもその1つであった。

 

 そんな広々とした領地内で、二手に分かれた集団がその場に集っていた。

 

 片や、この場所の所有者であるエンジニア部。

 そしてもう一方は――然る事情からこの場に赴いた、ゲーム開発部。

 

「……さて、準備はできたかな?」

「――はい! 戦闘モード、起動します!」

 

 エンジニア部の部長、白石ウタハが不敵な笑みを浮かべる一方で、意気込むように返事を返したのはゲーム開発部の部員、アリス。

 

 

 

 なぜこのような事になったのか――少し時は遡る。

 

 

 

 ”光の剣:スーパーノヴァ”を持ち上げ――ついでに天井に風穴を作り――見事扱えることを証明したアリス。一方で、武器に掛かった費用や労力を鑑み他の武器にしてもらえないか、と本当に持ち上げると思いもよらなかったコトリが涙交じりに懇願する。

 

 しかしそんな彼女とは裏腹に、「構わないさ、持っていってくれ」とウタハから譲り渡すことを承認。これにはモモイ達だけではなく、製作に苦労したコトリやヒビキも驚愕することに。

 

 片や、気前のいい言葉を口にしたウタハに、「本当に良いんですか?」と聞き返すミドリ。

 それに対して、ウタハは悩むことなく頷きながら口を開く。

 

「どちらにせよ、この子以外には使えないだろうからね。ヒビキ、アリスが持ち運びやすいように肩組と取っ手の部分を作ってあげてくれ」

「分かった。……前向きに考えると、実戦データを取れるようになったのはありがたいかも」

 

 指示に頷いたヒビキは、早速道具箱からメジャーを取り出し、アリスの肩幅などの寸法をサッと測りつつ記録していく。その様子を眺めつつ、喜びの表情を浮かべていたモモイが感謝を告げる。

 

「うわ、何だかものすごい武器をもらっちゃったね! ありがとう!」

「あ、ありがとうございます!」

 

 彼女に倣う形で、喜々とした様子のアリスも感謝の言葉を口にする。その様子から見て相当気に入ったのだろう。

 

 その感謝を向けられたウタハは――

 

「――いや、礼にはまだ早いさ」

 

 と、意味ありげな意味を含んだ言葉を呟いた。

 

 その一言に、首を傾げるモモイ達。

 すると指示された通り、”スーパーノヴァ”に肩組用のベルトと標準安定用の取っ手部を付け終えたヒビキに、再び指示を出すウタハ。

 

「……さて、ヒビキ。以前に処分要請を受けたドローンとロボット、全機出してくれるかい」

 

 彼女の指示に「うん」と素直に頷いたヒビキは端末を取り出し、操作をし始める。

 片や、物々しい二人のやり取りに不穏な気配を感じたミドリが、おそるおそる尋ねる。

 

「えっと……ウタハ先輩? なんだか展開がおかしいような……」

「これってもしかして、”そう簡単に武器は持って行かせない!”みたいなパターンじゃない!?」

 

 そう口にするモモイの予感に対し、「その通り」とウタハは不敵な笑みを浮かべる。

 

「他の武器なら、喜んで渡しただろうけれど…… その武器に関しては確認――いや、資格と呼んだ方が相応しいかな。それを見極めさせてもらうよ」

「俗にいう――”その武器を本当に持って行きたいのなら私たちを倒してからにしてください!”というやつです!」

 

 と、彼女の言葉を引き継ぐ形で、意気揚々と締めくくるコトリ。その気迫に怖気づくようにモモイとミドリが息を吞んだ。

 

 なぜなら対峙する相手は、ミレニアム髄一の技術や集団。武器はもちろんのこと、各地に配置されるガードロボット等もその殆どが彼女達が手掛けた代物。

 それを造りだすことのできる彼女達の頭脳は、言うまでも無く優秀。一筋縄でいくような相手では無いことは確かだろう。

 

 それでも、アリスの答えは変わらず。

 変わるはずも、無かった。

 

「……理解しました。そのクエストを受注します」

「あ、アリスちゃん……!?」

 

 肯定の意を示す彼女に、驚愕の表情を浮かべるミドリ。

 持ち運べるように調整してくれた”スーパーノヴァ”を担いだアリスの表情に、諦めという感情は浮かんでいなかった。

 

「これが”勇者”となる試練ならば……アリスは乗り越えて見せます」

 

 勇ましく、そしてしっかりと、彼女は決意を表明する。

 そんな彼女の宣言に、満足するようにウタハは頷き、

 

 

 

 ――――意外そうな表情を浮かべながら、彼女の足元へ目を見張る。

 

「――……まさか、”君”も参加するのかい?」

 

 確認するかのように問いかけた彼女の視線の先には――いつの間にか、アリスの足元にいた”カービィ”の姿が。

 そんなカレは、先の言葉を肯定するように笑顔のまま頷いてから、自信満々に胸(らしきところ)を叩く。

 

「え、ええっ!? か、カービィ危険だよ!」

「あ、遊びじゃないんだよ!? 下手すれば大怪我だって……!」

 

 まさかの肯定の意を返したカービィに、慌てたモモイとミドリが危険を報せる。

 

 大げさにも思える彼女達の態度だが、ある意味当然である。

 カレとはまだ1日ほどの付き合いだが、彼女達からの印象は”よく寝る”、”食べることが好き”、”見た目が可愛い”ぐらい。戦える姿がまったく想像ができない、というのが正直な感想だった。

 

 そもそも、モモイ達の中では――カレを”キヴォトス”の外からやって来た者とみなしていた。

 

 ”キヴォトス”に住む住民や生物の大半は、銃弾や爆発等にある程度は耐えられる、頑丈な身体能力を有する。街中で銃弾が飛び交うことがあっても、大事にならないのはその恩恵が大きい。

 

 しかしそれはあくまで”キヴォトス”内の話。外部から来訪した存在には基本的に適用されない。

 実際、外からやって来た”先生”は銃弾の一発でも致命傷になりかねない。銃弾の威力自体に変わりようがないのだから。

 

 

 

 万が一、当たり所が悪ければ――――

 

 

 

「……や、やっぱりダメ! 流石に危険すぎる!」

 

 勢いよく頭を振って、嫌な想像を振り払ったモモイは、あらためてカービィを強く止める。

 そんな彼女に同意するように、ミドリも何度も頷いては考え直す様に強く薦めるが、当の本人は2人の慌てっぷりを不思議そうな顔で見つめるのみ。

 

 一方、最初こそ目を丸くしていたアリスだったが――

 

「――……わかりました。アリスはカービィを信じます」

 

 と、少し逡巡してからカービィの参戦を認めた。

 

 まさかの賛成意見に驚きを隠せない才羽姉妹。そんな彼女達を安心させるかのように「大丈夫です」と彼女は告げると、胸を張った。

 

「アリスの”オトモ”は、アリスが守ります!」

 

 自信満々に力強く宣告するアリス。その表情には不安の色は浮かんでいない。

 無垢な自信だけが、そこにあった。

 

 そんな彼女の言葉に、一瞬呆気にとられるモモイとミドリ。

 それから言葉にならない声で唸り続け――覚悟を決めたのか、2人が決断する。

 

「――ああもう、こうなったらやってやろうじゃん! どっちにしろアリスの武器は必要なんだし!」

「……そうだね。それに二人だけじゃ心配だし……!」

 

 半ばヤケクソな気味に様子のモモイとミドリが、銃器を構えつつ参戦することを表明する。

 そんな2人を目にしたアリスが、喜々とした表情を浮かべる。

 

「パンパカパーン! カービィとモモイとミドリがパーティメンバーに加わりました!」

「言っておくけど、危なくなったら即降参するからね! わかった!?」

 

 彼女が喜びを示す傍ら、憤る様に忠告するモモイ――特にカービィの方を睨んで。

 一方のピンクボールはアリスと一緒に喜ぶばかりで、まったく気にする様子なく。そんな能天気に一抹の不安を抱き、深く溜息を吐くミドリだったとか。

 

 

 

 ――その光景を少し離れて見守っていた”先生”は、彼女達に気付かれないようウタハへ近付き、話し掛ける。すると、「わかってるさ」と相手を安心させるかのように彼女は微笑んだ。

 

「あくまでも模擬演習の様なモノ。実弾の代わりにゴム弾を使用する予定さ」

 

 その言葉を裏付けるかのように端末を操作していたヒビキが頷く。ウタハ自身、自分の我が儘で怪我人を出すのは本意ではないからこその配慮。

 

 それを聞いた”先生”が、ホッと胸を撫で下ろす。

 本人の意思で決めたこととはいえ、やはり怪我を負う事態は避けたいと考えているようだ。

 

 そんな”先生”の反応を目にしつつ、「それでも痛いことは痛いけどね」と苦笑するウタハに対して、少し迷いを覗かせるコトリが口を開く。 

 

「……ですが、カレは本当に参加させていいのでしょうか? 新素材開発部が開発した衝撃緩衝モチゴム弾とは言え、当たり所によっては無事では済まないと思いますが……」

 

 そう語る彼女の言葉通り、命の危険性は少ないとはいえ相当な速度で飛んでくるのには変わりはない。ぬいぐるみとはいえ、感情豊かなあの見た目で痛みに苦しむ姿を想像したコトリは、少し心苦しそうな様子。

 

 それに対し、顎に手を当てたウタハが少し考え込んでから呟く。

 

 

 

「……むしろ、予想を裏切る結果になるかもしれないね」

 

 

 

 僅かな期待と共に告げたその言葉に、「え?」と首を傾げるコトリ達。

 

 そんな周囲の反応を余所に、今度はジッと掌を見詰めながら、あることを思い返すウタハ。

 

 思い返していたのは、最初にカービィに触れていた時の事。

 身体の質感、軽さ――そしてあの弾力性。

 

 

 

――ゴム弾はおろか、実弾……爆発の衝撃すら緩和できるだろうな――

 

 

 

 ある種の予感を思い浮かべつつ、件のピンクボールを静かに見つめるウタハだった。

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

6-2

 

 

 

 その後、挑戦を受けたゲーム開発部は、ウタハ達に連れられ屋外の実験場へと移動。

 そこで控えていたのはヒビキが手配していた多数のドローンとロボットの混成部隊。話によれば本来ならば処分に回される予定の機体であるとか。

 

 そして各自、銃器の調整または点検する時間を設けられ、それが終えたのを確認したコトリがコホン、と咳ばらいを挟んでから説明に入る。

 

「では説明いたします! モモイ達のスタート地点はここ。ここから道中進行を妨げるドローンやロボット達を蹴散らし、一番奥で待ち構える我々を倒したらゲーム開発部の勝利です!」

 

 簡素ながらハキハキと説明する彼女の説明に対し、耳を傾けていたミドリが片手を挙げては質問する。

 

「私達の敗北条件は?」

「全員が戦闘不能……或いははそれに近しい状態だと判定された場合……かな」

「その判断は”先生”に任せようか」

 

 その質問にヒビキが答え、補足するようにウタハが付け加えた提案に”私?”と聞き返す”先生”。それに頷く彼女は、続け様にその内容について語る。

 

「”先生”には今説明にあった判定と……彼女達への”指揮”をお願いしたい。”先生”の判断なら文句はないだろうしね」

 

 ウタハがお願いする内容に特に異論は無かったのか、”うん、わかったよ”と”先生”は快諾する。そんな中、”先生”の指揮が付くと聞いたモモイとミドリに安堵の表情が浮かぶ。

 

 キヴォトス内で”先生”程の指揮能力に優れた者は滅多におらず、その手腕から各学校における生徒の間でも有名な話であった。実際にモモイ達も、廃墟探索の際にその実力を目の当たりにしている。

 

「”先生”の指揮があるなら、なんとかなりそうだね!」

「よろしくお願いします、”先生”」

 

 喜々として声を弾ませるモモイと、ふわりと微笑みながら丁寧に頭を下げるミドリ。

 2人に倣いアリスもニコリと笑みを浮かべ、カービィは両手を挙げ、よろしくと云わんばかりに元気に挨拶する。

 

 一方、4人からの歓迎を受けた”先生”は穏やかな笑みを浮かべながら、”うん。よろしくね、皆”と言葉を返すのであった。

 

 

 

 そんな一幕も落ち着き――配置準備ができたと判断したウタハが、無線機越しに告げる。

 

 

 

「……さて、準備はできたかな?」

「――はい! 戦闘モード、起動します!」

 

 

 

 その言葉が引き金となり、待機中だったロボット達が一斉に動き始める――さながら開戦の合図と言ったところか。それに臆することなく、アリス達も前方へ駆け出す。

 

 そうして時置かずして見えてくる第一波――ドローン4基と人型ロボット3基。

 

 まずは様子見といったところだろう、と判断し、接敵する前に”先生”が”シッテムの箱”を使い指示を飛ばす。

 

”全員、その位置で待ち構えて。アリスは後方で火力支援、カービィはアリスのバックアップ。ミドリは中央で前衛のモモイを援護射撃でフォローして!”

 

 ”先生”の指示を受け、全員が「了解!」と威勢よく返事をする。

 

 

 

 ――――否、一人反応していない者がいた。

 

 

 

「――ってわあああ! カービィストップ、ストーップ!」

 

 足を止めたモモイ達を通り過ぎ、ピンクの影が編隊へ突っ込んでいく。

 その行動を目にしたモモイが慌てて引き止めようとするが、意外にも足が速いカービィはあっという間に3人を置いて駆け出して行った。

 

 それを視認した”先生”がぎょっとした顔を浮かべる。初っ端からまさかの命令違反である。

 

 

 

 否、あれは指示を無視したというより――

 

 

 

”――通信が、届いていない……!?”

『お、おそらくですが、”シッテムの箱”に対応していないからだと思います!』

 

 止まるように指示を出すも応答の意を示さないカービィに”先生”がある可能性を呟くと、”シッテムの箱”からアロナが焦った様子で推察する。

 

 

 

 ”先生”が使用している”シッテムの箱”。それは元々”先生”の私有物では無く、行方不明となった”連邦生徒会長”が保管していたもの。

 元々高い指揮能力を有する”先生”をサポートするためなのか、6人までの生徒達への遠隔指示と状況把握――等といった機能を有する。

 

 しかし現在、特攻しているピンクボールは”生徒”ではなく、ましてやキヴォトスの外(と思われる)から来た者。残念ながら機能の対象にならない模様。

 

 もっとも、”先生”が気付かないのも無理は無い。

 こんなことは、正しく例外中の例外なのだから。

 

 

 

 ”しまった……!”と自身の短慮さに歯噛みする”先生”だったが、このままにしてはおけないと云わんばかりに、すぐにモモイ達へ指示を出す。

 

”ごめん皆、前進してカービィの救援及び保護して! 陣形はそのままで!”

 

 再度伝えられる指示に「りょ、了解!」と動揺した様子を見せつつも応答する3人。それと同時に急いでカービィに追いつこうと焦燥感に駆られながら駆け出す。

 

「ああもおーっ! 手が掛かるんだからーっ!」

「しょうがないでしょ!? 通信が届いてなかったんだから!」

 

 声を荒げながらも急ぐモモイに、焦りながらも宥めるかのように大声を張るミドリ、

 

 

 

「――……カービィ……っ!」

 

 ――そして、心配げに表情を曇らせるアリスだった。

 

 

 

 

 

 

「……勇ましい子だね、ちょっと意外」

 

 その様子を、上空のドローンから送られてくる映像で眺めていたヒビキが、ポツリと呟く。

 

 今なお第一編隊に向かって走り続けるカービィ。その後を必死に追いかけるモモイ達。

 初っ端から連携が乱れた状況であるのは明白。

 

 その様子を横から眺めていたコトリも同感と云わんばかりに頷き――「ですが」と状況を冷静に判断する。

 

「流石にドローン4基とロボット3基からの集中砲火を耐えるのは厳しいでしょう。例え耐えぬいたとしても、ほぼ戦闘不能と言っても間違いありません」

 

 つらつらと述べる彼女の言葉にヒビキも頷く。ゴム弾に変えているとはいえ、あの数からの掃射の餌食になるのは自分達も御免被りたいのが正直な話。その光景が頭に浮かんだのか、少し辛そうに表情を顰めるコトリだった。

 

 そんな2人の会話に混ざらず、口を閉じたままジッと映像を着目していたウタハ。

 映像の中のカービィの姿を目に入れながら、ある疑問を抱く。

 

――――なぜ、恐れていないのだろう。

 

 始まる前にロボットに備え付けている機銃や銃器をアリス達と共に確認したカービィ。

 しかし、向かっていくカレの表情に怯えや恐れの色は、ない。

 

 編隊までの距離はあと50m程。今の速度で考えるとモモイ達が追い付かないまま接敵することになり、およそ10秒後には銃声が飛び交うだろう。

 しかしカレの走る速度は変わらず、止まる様子も、ない。

 

 そう考えていたウタハは、その理由に2つの仮説を立てる。

 1つは銃器というモノを知らず、その危険性を”理解していない”可能性。

 

 

 

 ――或いは、ソレを”脅威”として見做していない、か。

 

 

 

 いずれにせよ、数秒後に結果はわかるだろう。

 このまま成す術なく退場するのか――それとも、誰も知らない”能力”を見せるのか。

 

 そんな期待を抱きつつ、彼女はただ、その時が訪れるのを静かに待っていた。

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

6-3

 

 

 

 カレが何故、エンジニア部が提案した試練に参加したのか。

 端的に言えば、”アリス達の手助けをしたい”という理由からだった。

 

 ゲーム開発部が抱えている問題についてまったく理解していないカービィ。

 けれども、アリスの武器を手に入れなければモモイ達は困ってしまう、ということだけは辛うじて理解していた。

 

 

 

 故に、手助けになると思い自ら参加した。

 それだけの理由。

 

 

 

 ――もっと簡潔にカレの行動理由を述べるならば。

 

 

 

 困っている”ともだち”は見過ごせない。

 

 ただ、それだけだった。

 

 

 

 モモイ達を振り切って走り続けるカービィは、先でドローンとロボットの編隊がこちらに向かって来ているのを視界に捉える。

 何故か急に立ち止まってしまったモモイ達が気になったものの、とりあえず近づいてきた敵を先に”やっつけてしまおう”と、カービィは更にスピードを上げて駆け出した。

 

 見たことが無い武器を――似たようなモノならある――構える、大きな敵の集団。

 しかしカービィの表情に怯えの色は無い。カレにとっては、”よくあること”なのだから。

 

 

 

 遠い見知らぬ場所であろうとも。

 

 はるばる離れた惑星であろうとも。

 

 遥か彼方、銀河の果てであろうとも。

 

 

 

 カレがやることはただ一つ。

 風の向くまま、気の向くまま、そのままに――

 

 

 

 ――いつものようにするだけさ!――

 

 

 

 編隊の中で一番先頭に突出していた一基のドローンが機銃を発射する準備を行う。それに気づいたカービィは両足を前に出し、急ブレーキを掛けてはその場に留まる。

 

 目の前には”カービィと同じ位のサイズ”のドローン。

 攻撃準備はできたようで、次の瞬間にでも銃撃が始まってもおかしくはない。

 

 

 

 ――けれども、ふわふわと”浮遊”しているおかげで、

 

 

 

 ――()()()()()()()

 

 

 

 目標を定め、銃撃を行おうとするドローンに向けて、口を目一杯大きく開くカービィ、

 それと同時に、ドローンの姿勢がガクンと前のめりに崩れる。

 

 

 

 それもそのはず。

 

 吸われているからだ。

 

 

 

 ――――カービィの開いた口からドローンまでの数メートル、その距離を空気もろとも!

 

 

 

 これぞカービィの得意技――”すいこみ”。

 大きく口を開いて、驚異的な肺活量によって前方の物体や敵を、文字通り吸い込む技。

 

 カレの基本技であり十八番であり――――もっとも強力な武器である。

 

 

 

 大きな吸引音を響かせ、徐々にドローンを吸い寄せていくカービィ。

 対して吸引の範囲から逃れようとするドローンは上部のプロベラを最大出力で回転させるが、その場で滞空するのが関の山。

 

 せめてもの抵抗と言わんばかりに機銃から弾を撃ちだすが、発射姿勢も定まっていない以上でたらめな方向に――否、そのゴム弾も結局はカレの口の中へと吸い込まれていく。

 

 そんな状態は数秒と持たず、稼働限界を迎えたプロペラのモーター部がショート、小さなスパークをあげると同時に回転が止まる。

 そのまま抵抗を失ったドローンは、あっという間にカレの口の中へ吸い込まれていく。

 

 すると、口いっぱいに頬張ったような姿へと変わるカービィ。

 その間に近づいてきていた2基目のドローンに、カレは狙いを定める。

 

 そして、勢いよく頬張ったものを”はきだす”と、なぜか先程吸い込んだドローンではなく、吐き出した本人と同じ大きさ位の五芒星型の星が勢いよく回転しながら飛んでいく。

 

 片や、咄嗟の攻撃に回避行動も間に合わず、ドローンはそのまま被弾。

 その衝撃に耐えきれず機体をひしゃげさせただけでは済まさず、勢いよく吹き飛ばされそのまま地面へと墜落した。

 

 その光景に目もくれず、カービィは後から続いてくる相手へと視線を向ける。

 

 

 

 ――やっつけて さっさとみんなと ゴハンたべよう。

 

 

 

 そんなことを考えながら、表情を引き締め次の敵に備えるのであった。

 

 

 

  【 つ づ く 】

 

 

 




●タメになる☆TIPS集



【エンジニア部、屋外実験場】
→原文には無い。早速オリジナル要素かよォ! でも普通に部室内でやりやってたらアリス砲で穴だらけになるんじゃねと思いウタハ部長の為に捏造しましたとさアタイってば天才ね!

【――はい! 戦闘モード、起動します!】
→メインシステム 戦闘モード 起動

【その武器を本当に持って行きたいのなら私達を倒してからにしてください!】
→ニア ころしてでも うばいとる

【ゴム弾はおろか、実弾……爆発の衝撃すら緩和できるだろうな】
→いてっ!

【”先生”の指揮能力】
→実はシッテムの箱手にする前からやばかったっぽい(チュートリアルより)

【すいこみ】
→本当にこれで30年以上戦い続けてきたんですこの子

【やっつけて、さっさとみんなとゴハンたべよう。】
→?「じょ、ジョーダンじゃないのサ」


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