Spring Sky StarS!   作:笹ピー

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 戦闘表現むずかしすぎだろ!

 でも楽しい。


007

7-1

 

 

 

 救援対象だったピンクボールがドローンを吸い込んだ。

 何を言っているのかわからないと思うが、モモイ自身も訳が分からなかった。

 

 つい先ほど、不可抗力とはいえ単独で先行したカービィが、敵対象の射撃圏内に入りかけたのを見たモモイ達はかなり焦った。いくら実弾仕様じゃないとはいえ、計7基からの集中砲火は痛いどころでは済まされない。死にはしないとはいえ、痛いものは痛いのだ。

 

 その時、前衛を担当していたモモイはかなり本気で走った。人生でこんなに走ったこと無いのでは、と思えるぐらいには走った。一刻も早く追い付かなくてはと、がむしゃらに走った。

 

 出会ってから、まだ一日しか経ってはいないとはいえ、彼女はカービィのことをそれなりに気に入っていた。最初こそワケの分からない生物――今もその認識は変わっていないが――だったが一緒に過ごしていく内に気のいい奴だとわかったゆえに。

 

 自分たちが喜ぶと、一緒に喜んでくれて。

 いつでもニコニコと楽しそうで、ちょっと能天気で。

 言葉こそ通じ合えないが、振る舞いや表情からは感情いっぱいで。

 

 アリスがゲームをやっている傍らで、様々な場面で一喜一憂してくれた表情豊かなリアクションはモモイにとって喜ばしい反応だった。彼女がゲームをやってて一番に嬉しいことは、相手にも同じ感情を、感動を共感してもらえることなのだから――勿論勝つことも好きではあるが。

 

 そもそもアリスの武器の調達にカービィを連れて来る必要はなく。

 実際、ユズと留守番してもらう案も挙がっていたが、それに待ったをかけたのはモモイだった。

 

 これからアリスと共に不審がられないように色々な人に周知していく必要がある――というのは建前で、部室の中にずっと匿っておくのは可哀そう、という想いから出た発言である。

 流石に1人で出歩かせるのはリスクが高いが、誰かが付き添っていれば多少の誤魔化しは聞くだろうと考えた末、同行を提案したのだ。

 

 その提案に最初に賛同したのは、いつの間にかカレをえらく気に入っていたアリス。彼女曰く、”オトモ”だから一緒に行動するべきとのことらしい。

 ”先生”は皆の意見を尊重する方針だった一方、ミドリはリスク面を考慮してか、なかなか首を縦に振らなかった。とはいえ、結局モモイとアリスの勢いに押され渋々同意することになったが。

 

 なにはともあれ、此処に連れてきた発端はモモイであることは確か。

 もしもカービィに怪我でもさせたら、しばらく罪悪感と自責に苛まれること間違いなし。

 

 

 

 なにより、苦しそうな――辛そうなカービィは、見たくない。

 

 

 

 そんな想いから、彼女は先行したカービィの元へ突っ走った。ドローンと対面しているのを視た瞬間、当たらないと分かっていながらも走りながら射撃を行おうとし――

 

 ――追いかけていたピンクボールの行動に、目を疑うのであった。

 

 

 

 ドローン2基を蹴散らしたカービィは、続いて人型のロボットへ注目する。

 先程のドローンとは比べ物にならないほどの体格差が存在しており、身長差だけでもカレの約5体分である。

 

 銃を構えるロボット3体とその後方で機銃を向けるドローン2基。

 それに対して先手必勝と云わんばかりに、その内のロボット1体に向けて”すいこみ”を行うカービィ――しかし、体勢こそやや前のめりになったが、ロボットはピクリとも動かない!

 

 単純な話、重すぎるせいで吸い込めないのである。

 

 先程のドローンは飛行するために軽量であった上に、空中に浮遊しているため風の流れを受けやすい――といった”すいこみ”において好条件が揃っていたため、あっさりと吸い込むことができた。

 

 それに反し人型のロボットは体格差は勿論、装甲や銃器等も相まって重量はかなりのもの。

 その上、二足の脚部によって地に足を付け踏ん張ることもでき、ドローンの時とは反対に”すいこみ”に対し悪条件とも言えるだろう。

 

 ”すいこみ”が効かない、と目をまあるくするカービィだが、それがわかるや否や動作を中断。今までもそういう敵は少なくなかったため、表情に焦りはない。

 

 次に来るだろう反撃に備え――

 

 

 

「――カービィ、ジッとしてて!」

 

 ――――大声と同時にカービィの後方から銃弾の弾幕が飛び交った。

 

 広範囲を薙ぎ払うかのような乱射と、的確に1体ずつ打ち抜く精密射撃。

 不意を突いた猛攻に反応が遅れた編隊は動きを止めてしまう。

 

 その隙を、()()は見逃さなかった。

 

 

 

「――光よ!」

 

 

 

 轟音と共に放たれた極光が、編隊へ向かった。

 

 音速に迫る砲撃に巻き込まれた機体は、その衝撃に堪えきれず装甲を大きくひしゃげさせながら吹き飛ばされ――そのまま大地へと身を打ちつけられると、ピクリと動かずに沈黙した。

 

 

 

 目の前で繰り広げられた光景にカービィは驚き、思わず後ろへと振り返る。

 そこにはゼーゼーと苦しそうに息を切らせながらも銃を構えた状態のモモイとミドリ、そして先程の砲撃を放ったであろう、アリスの姿が目に入った。

 

「カービィ、無事ですか!?」

 

 それからすぐ構えを解いたアリスは、焦りの表情を浮かべつつカービィの元へ駆け寄る。

 一方、不安げな彼女を安心させようと、元気に手を挙げるカービィ。それを目にした彼女は一先ず安心したのか、安堵の表情を浮かべ胸を撫で下ろした。

 

 そんな能天気な反応に、思うところがあったのか。

 絶え絶えだった呼吸を整え終えた――とは言ってもまだ万全ではないようだが――モモイがズンズンッと威圧感を醸したつもりの足取りで、能天気なピンクボールへ近づき――

 

 

 

 突如、カレのほっぺを両手で引っ張りだした。

 

 

 

「んもおおーーっ! 心配させるんだからーっ!」

 

 怒りと心配と安堵がないまぜになったような表情で怒号を挙げるモモイ、そんな彼女の手によってほっぺを摑まれたカービィはびよんびよんと伸びながら彼女の怒りに戸惑うばかり。同じく急なモモイの変容にあわあわと困惑するも、どうすればいいのか判らずアリスは手をこまねくだけだった。

 

 ――すると少し遅れて、呼吸を整え終えたミドリが一度溜息を吐いて、2人の間に近づく。

 

「ハイハイお姉ちゃん、少し落ち着く」

 

 落ち着くように促しながらモモイを引きはがし、カービィを解放させるミドリ。

 片や、自由の身となったカレだったが、今にも噛みついてきそうな表情を浮かべるモモイに困惑するように体を傾げ――それを見たミドリが「あのね」と説明する。

 

「お姉ちゃん、カービィが心配で凄い焦ってたんだよ。ケガでもしたらどうしよう、って」

 

 「まあ、心配してたのはお姉ちゃんだけじゃないけどね」と付け加えつつアリスの方へ視線を向けると、彼女も同意するように大きく頷く。言葉にこそ出さなかったもののミドリも心配していた1人である。

 

 その言葉を受け、カービィはモモイの方へと再び視線を向ける。一方、口に出した覚えはなかったのにあっさり妹に内心を暴露され、少し居た堪れないモモイが「う」とたじろぐ。

 そんな彼女の反応を余所に、心配を掛けてしまったことにカービィは申し訳なさそうに目尻を落とし、シュンと俯く。その仕草に、何故だかこちらが申し訳ない気持ちになったモモイが「うう」と更にたじろいだ。

 

 何とも言えない気まずい空気が流れ――やがてその空気を破るように、モモイが口を開く。

 

「……もう1人で突っ走らない?」

 

 少し口を尖らせながら問いかけるモモイに対して、カービィは何度も頷く。

 そんなしおらしい態度に彼女は仕方なさそうに肩を竦めて、しゃがみこんではカービィの頭を優しく撫でる。

 

「――なら、この話は終わり! 無事で何より、ってことで!」

 

 ニッと笑みを浮かべ快活に言い切るモモイ。

 彼女もカービィが故意にやったことではないと理解しているが故に、この件を長々と引き摺るつもりはなかった模様。

 

 許しが出たことに、安心したのか小さく飛び跳ねて喜ぶカービィ。そんな2人の様子を見ていたミドリとアリスも安心したのか微笑んでいた。

 

 するとミドリが何か気付いた様に顔を上げ、それからカービィに「”先生”から。”危ない目に遭わせてゴメン”、だって」と伝えながら”先生”の方へ指を指す。

 

 指先を追うようにカレがそちらへ視線を向けると、申し訳なさそうに頭を下げる”先生”の姿を目にする。いきなり危険な目に遭わせてしまったことへの謝罪だろう。

 

 それに対しカービィはやはり笑顔で大きく両手を振って、無事であることを大きくアピールする。

 その反応に”先生”も一安心したのか、少し表情を和らげている姿が見えた。

 

「――って、そうだった! カービィさっき何をしたの!? カービィって実は強いの!?」

 

 すると突然、モモイが思い出したかのようにカービィへ詰め寄る――というより体を持ち上げる。

 心配したり息切れてしたり怒ったりとかで忘れかけていたが、やはりドローンを吸い込んだ、という光景は、彼女達にとって衝撃的だった模様。

 

 それはミドリも気になっていたのか今度は姉の行動を止めず、ウンウンと同感と云わんばかりに頷く。その傍らで、アリスもカレの応答を待つばかり。

 

 一方、問いかけられているカービィはキョトンとした顔を浮かべ、体を傾げるのみ。

 カレにとって特別なことをしたわけではなく、”いつものこと”をしただけに過ぎない。

 

 極端に言えば、()()()()()()()()()()()をしただけである。

 

 

 

「――――敵性反応、近づいてきています」

 

 そんな中、第二の編隊が近づいてきていることに気付いたアリスが静かに警告を発する。その忠告に少し慌てつつ、すぐにモモイとミドリは銃器を構える。

 

「そ、そうだった。まだ編隊は残ってたんだった……!」

「とりあえず、最初の指示通りカービィはアリスちゃんの傍で――」

 

 ミドリがカービィへポジションについて説明する――その最中、”……ううん、ちょっと待って”と、”先生”からの通信がその言葉を遮る。その発言に、通信が聞こえないカービィ以外の一同が疑問符を浮かべる。

 

 そして、逡巡するかのように少し間を置いてから、再び先生”は口を開く。

 先の件で危険な目に遭わせておきながらも、厚かましい指示だな――と、後ろめたさと申し訳なさを抱きつつ。

 

 

 

”――カービィは、モモイと一緒に前衛をお願いできる、かな?”

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

7-2

 

 

 

「――……いやはや、今日は驚かされることばかりだね」

 

 今までの一部始終を見ていたウタハが一息吐きながら呟く。尤も、湧き上がる好奇心からか、その瞳は爛々と輝いていたが。

 

 一方、開いた口が塞がらないのか唖然とした様子のコトリと、何かを考え込むかのように手を顎につけたままのヒビキ。そんな2人の様子を横目に入れながら、ウタハが問いかける。

 

「コトリ、あのドローンの重量はどれぐらいかな」

「え、ええっと、長距離飛行に対応するため軽量化は施していますが強風の中でも飛ばせるようにモーターとバッテリーは強力な部品を採用した上に、備え付けた機銃と予備弾薬を含めた弾薬分の重量を考えると、約30Kgぐらい、かと……」

「その上、最大出力でプロペラを回転させていた上で、か」

 

 コトリの説明を耳を傾けながらウタハは映像を切り替える。その映像にはドローンを吸い込むカービィの姿が映っていた。

 

 最初こそプロペラを全力で回転させ逃れようとしたが、数秒後には機能停止し吸い込まれていくドローン。そして今度は別のドローンへ向けて星を吐き出すカービィの姿が映し出される。

 

「ヒビキ、あの星――……”星型弾”の速度はわかるかい?」

「……少なくとも、時速100kmは超えてるはず。その速さまでならあのドローンは回避行動が間に合うはずだから……」

 

 ウタハの問いにヒビキが簡潔に答える。

 それを受け「ふむ」と彼女は考えこんでから、ある結論を述べる。

 

 

 

「まず”ぬいぐるみ”ではないね」

「うん」

「ですね!」

 

 ウタハの言葉に間違いない、と頷く2人。機械が仕込んでるからとはいえ、ぬいぐるみはドローンを吸い込んで星にして吐き出すなんてことはしない。

 

 しかしその事実を踏まえ、彼女達に当然の疑問が浮かぶ。

 ”アレ”は一体なんなのか、と。

 

 モモイ達の反応から見ても――ぬいぐるみと偽っていたのは事実として――カレの能力については知り得ていないのは状況から読み取れる。ならば彼女達からは詳しい情報を得られないとウタハ達は推察する。

 そうなると、唯一の情報源は本人からだが、残念ながら言葉を交わすことは不可能なようだ。

 

 とはいえ、嘘を吐かれたことに対し、ウタハ達は大して気にしていない。色々な事情があるのだろうと察し、自分達にも大して実害を受けていないがゆえに――天井の件はさておき。

 

 寧ろ好奇心を刺激されてしまった彼女達にとって、未知の塊であるカービィについて興味が尽きない様子。

 

 

 

 それに加え――気になる存在は、カービィだけではない。

 

 

 

 「”彼女”も、あの大砲を使いこなせているみたいだね」

 

 話を変えるように映像を切り替えると、今度はレールガンを構えているアリスの姿が映る。

 ウタハの言葉を裏付けるかのように、レールガンを放つアリスは反動による身体のバランスを崩すことなく、的確に対象へ狙い撃ちを成功させていた。

 

「威力は先程よりも抑えられていますが、それでも十分すぎるほどの反動が想定されます! 発射時の反動に加え銃身の重量と重心位置からの距離を考えるとおよそ1トン以上の握力が必要と見て間違いないでしょう!」

「発射時の体幹も、ブレてない……安定してるね」

 

 映像を元にアリスの身体能力について考察を述べるコトリとヒビキに、ウタハも同意するよう頷く。

 

 異常とも云える身体能力に加え、普通の人間では持ちえない丈夫さ。

 ここまで証拠が揃えば彼女の”正体”もおのずと浮かび上がってくる――が、彼女は敢えてこの場では言葉にしなかった。

 

「……ひとまずはこの模擬戦闘を終えてからにしようか。そろそろ彼女たちも動き始めるみたいだ」

 

 そう告げながら、映像を中継用に戻すウタハ。

 そして、そこに映された光景に3人は目を疑った。

 

 先程のモモイ達のポジション自体には変化はない。

 後衛のアリスに中央のミドリ、そして前衛のモモイ。

 

 

 

 ――そのモモイと、並んで走っているカービィを除けば。

 

 

 

ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー

 

7-3

 

 

 

 4人が進行を再開し、数分も経たずに第二の編隊が向かってくるのを確認した”先生”が指示を出す――とはいえ最初の指示とあまり変わらず、各自のポジションにて迎撃する、というもの。

 

 ただ、1つ違う点と言えば、

 

「――カービィ、”先生”がここで迎え撃つって!」

 

 モモイが通信を受け取り、それを横で並走しているカービィに伝える。

 すると、その言葉を受けとったカービィは頷きつつ、今度は指示通り足を止めた。

 

 最初の時と違い、カービィはモモイと同じポジション――前衛にて敵を迎撃する役割を宛がわれていたのだった。

 

 

 

 最初、先生”が提案した内容を耳にしたモモイ達は戸惑いを見せた。何せ先程まで救援対象だった相手を、今度はもっとも被弾率の高い前衛に置く、と言ったのだから。

 そんな彼女たちの心情を察知したのか、すぐに”先生”はその理由を説明する。

 

 ”カービィの”あの技”を活かすには、少なくとも敵の近くに近づく必要がある。”

 ”だから中央や後衛よりも前衛の方が動きやすいはず”――と。

 

 実際、”先生”の言う通り”すいこみ”の範囲には限りがある。

 そのために必然的に自ら接近し、間合いへと足を踏み込まなければならない。その理屈に倣うなら確かに前衛が適任だろう。

 

 しかし今までは被弾こそ免れたものの、次もそう上手くいくとは限らないと考えていたミドリが「でも……」と不安げな表情をカービィに向ける。

 モモイも彼女と同意見なのか難しい表情を浮かべたままで中々首を縦に振らず、アリスも心配そうな表情を浮かべるのみ。

 

 そんな3人を半ば納得させたのは、当事者であるカービィ。

 

 ”先生”からの案をモモイ達を通して聞いたカレは、まかせろ、と云わんばかりに自信満々に胸(らしきところ)を叩いたのだった。

 

 実際、この場にいる全員は知ってしまったのだ。

 カレは()()()、ということを。

 

 結局、敵が接近している状況下で悠長に議論を重ねる時間はない、といったこともあって渋々と同意するモモイ達。”先生”からの通信を傾聴できない点については、同じ前衛のモモイが伝える役を担うことになった。

 

 

 

 そして第二の編隊を待ち伏せる所まで――時は戻る。

 

 

 

 所々点在しているバリケードの後ろに身を隠したモモイとカービィ。その際に”先生”からの通信を受け取った彼女が内容を伝える。

 

「編隊の構成は人型ロボット5基のドローンが3基。さっきの編隊よりロボットが多いみたいだね」

 

 モモイの言葉に理解を示すようにコクコクと頷くカービィ。ドローンは吸い込めるが人型ロボットは吸い込むことができない為、()のカレからすれば厄介な敵ではある。

 

 そんなカレの反応を話を理解したと判断したモモイが、作戦を伝える。

 

「私たちが編隊の注意を引くから、その隙にカービィはドローンを……えーと……な、なんとかして!」

 

 最後の方はカレの技について何て言えばいいのかあやふやになってしまったが、要約すると彼女達が敵を引き付けている間に、ドローンを片付けろ、と言ったところだろう。

 

 そう理解したカービィは、敵の攻撃に晒されるであろうモモイを、少し心配そうに見詰める。

 そんなカレの心配を察したのか、彼女はニッと笑いつつ、安心させるように振る舞う。

 

「だいじょうぶ、だいじょうぶ! 私だってそれなりに場数踏んでるし!」

 

 少し見栄こそ張ってはいたものの、彼女の笑みを目にしたカービィも同じく笑みを浮かべて頷く。彼女の言葉を信じることにした模様。

 そうして互いに準備は万全な事を確認した後、遮蔽物に身を隠す後方の2人へ目配せを送るモモイ。その視線を受け、ミドリとアリスが頷いた。

 

 

 

 ――やがてロボット編隊が、モモイ達の射程範囲へと徐々に近づいてくる。

 

 あと、10m。

 

 あと、5m。

 

 

 

 あと、――

 

 

 

”今だよ!”

 

 ”先生”の号令と共に、モモイ達は遮蔽物から半身ほど出して、銃撃戦を開始。

 それに対抗するかのように、敵勢力も即時応戦を開始する。

 

「私の怒りの弾丸をくらえーっ!」

 

 飛び交う銃声により一挙に騒々しくなる一帯。特に前線で敵に向かってアサルトライフルを乱射するモモイは、相手の注意を多く引き付けた。

 

 その最中、武器のチャージを終えたアリスの一撃が敵の陣営に放たれる。

 敵編隊のロボットを巻き添えにした彼女の一撃は、地面に着弾した際に土煙を大きく舞い上げた。

 

 ――そして、それこそがカービィにとって突撃の狼煙となる。

 

 この土煙の中に乗じて敵陣営へと奇襲する。これが事前に”先生”達と組んだ作戦。

 土煙で姿を隠せば必然的に被弾率も下がる――カレのサイズなら特定も容易では無いと見込んだ上での奇襲作戦である。

 

 モモイと顔を見合わせ、頷く彼女の了承を得た後に、敵陣営へと駆け出すカービィ。

 アリスの一撃によって舞い上がった土煙に身を隠しながら突き進んでいき、今の一撃で体勢が乱れた前衛を通り過ぎては、後方で周囲を警戒していたドローン編隊へ近づくことに成功する。

 

 それから、滞空するドローンへできるだけ近づいてから跳びかかったカービィは、隣接するぐらいの距離からドローンを吸い込む。近ければ近いほどにすいこみの吸引力は増す為、できるだけ接近するのが効果的と踏んだ模様。

 

 そのおかげもあってか、抵抗する暇すら与えずにドローンをあっさりと頬張ることに成功。

 頬張ったカービィは、そのまま先程通り過ぎていったロボットの方へと振り向き、背中目掛けて勢い良く頬張ったものを吐き出す。

 

 放たれた星型弾は縦に軸回転しながら、狙い通り目標に命中。

 勢いよく吹き飛んだ後、地に倒れ伏せては、そのまま機能を停止する。

 

 それを確認したと同時にすぐに次の敵へと移るが、その前にカレを補足した敵の機銃が放たれる――もっとも、立ち込める煙によって完全に補足しきれていないが。

 

 それに焦ることなく、側転のような横っ飛びで銃撃を躱しつつ距離を離すカービィ。

 再び目標を見失ったドローンを先程と同じように近づいてから吸い込み、繰り返しの如くロボットを撃破する。

 

 残すは、ドローン1機とロボット兵2体。

 順調に敵を撃破していたカービィだったが、困ったことが起きる。

 

 先程まで立ち込めていた土埃が――()()()()()()()

 

 こうなるとカレの身を隠すものは無い。視界が明けると同時に、先程までウロチョロしていたピンク玉にしっかりと標準を合わせる敵機。

 

 もっとも狙いを付けられる様になったのは、()()()も同じ。

 

「――ドットを打つように、精密に……!」

 

 煙が晴れると同時に、ミドリの狙い撃ちが敵機3機――ドローンに1発、ロボット2機に各2発づつの計5発――に命中。正確な射撃によりドローンは撃墜、ロボットは不意を突かれたせいか、体勢を崩し、毒にかかったような苦しむ素振りを見せる。

 

 その隙に乗じ、カービィは横っ飛びに移動し敵との距離を離す。

 これだけ見ればただの回避行動に見えるが、もう1つの意図が存在していた。

 

 

 

 ――()()()()()()()を、通す為である。

 

 

 

「光よ!」

 

 アリスの一声と共に、音速に並ぶ速さで放たれる砲撃。

 初弾よりも数段出力を上げたその一撃は、残されていた敵機2機を纏めて片づけることを見事に成功させた。

 

 

 

 レールガンの砲撃を皮切りに、静まり返る一帯。

 そして伏兵がいないことを確認した”先生”が、通信を飛ばす。

 

”……第二波、迎撃完了。皆、お疲れ様!”

 

 ”先生”から労いの言葉が伝わると同時にホッと胸を撫で下ろす一同。

 それからほどなくして、興奮した様子のモモイが周りに話しかける。

 

「なんか私達、すっごくイイ感じじゃなかった!?」

「うん……! 作戦通り、上手くいったと思う!」

 

 モモイの言葉に同意するように頷くミドリ。

 事前に作戦を組んでいたとはいえ、ここまで上手くいくとは彼女たち自身、予想していなかったのだろう。

 

 興奮冷めやらぬ様子の二人を眺めていたカービィだったが、遠くから近づいてきたアリスに気が付くと彼女の方へと視線を向ける。

 

「カービィ、ケガはありませんでしたか……?」

 

 カレの元へ近づいてきたアリスは、心配そうに様子を窺う。

 思えばこの一戦が始まる前から彼女はずっとカレの身を案じていたせいか、どこか落ち着かない様子であった。

 

 そんな彼女の不安を取り除かんと、その場からくるんと一回転しながらジャンプしたカービィは着地と共に片手を挙げポーズを決める。

 

 いきなりの行動に目を丸くするアリスだったが、心配させまいと云わんばかりの元気いっぱいなカレの行動に、ようやく表情を和らげたのだった。

 

 

 

  【 つ づ く 】

 

 

 




●タメになる☆TIPS集



【今までもそういう敵は少なくなかったため、表情に焦りはない。】
→カービィ以上に謎だろあのトゲボール

【星型弾】
→実は大型ボスのHPを1/5程度削るぐらいには高威力

【私の怒りの弾丸をくらえーっ!】
→ケセド戦では大分お世話になりもうした


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