死神警官〜バグ大の極道たちに振り回される警察   作:書庫・ラ・オランジュ

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キクリ、命の危機・黒焉街のスピードスター

 

 

俺の名前は司馬喬皇平。

 

 

「待たんか、この野郎!」

 

 

ビルの中に飛び込み、逃げる人影を追う特殊犯罪対策課の警官だ。

 

俺と部下のキクリは俺たちのいる空龍街から少し離れたこの黒焉街からジュエリーショップ強盗の通報を受けて駆けつけてきた。

キクリは店の中と、この店を荒らした犯人の確保、俺は指示役と見られる人物の確保に急ぐのだった。

俺と視線が合うと突然逃げ出した挙動不審な人物を見かけたので俺はその影を追うことにした。

 

 

「着いたか、」

 

 

人影を追いかけて俺はビルの外、正面広場に辿り着いた。

 

そこには、数人の男が中学生ほどの子供を取り囲んでいる姿が見えた。

やせ細り質素な服に身を包んだ見た目の子供1人に対して、男たちは高く付きそうな服装に緑や青の髪。明らかに普通の光景ではなかった。

 

 

「あぁ!?サツにバレただァ!?何やってんだよこの無能が!!!」

 

「ご………ごめんなさ…………うあぁっ!!」

 

 

少年は男に木製のバットで激しく殴打されていた。

 

 

「クソが…………俺の親父は昔、犬コロ飼ってたがよ、コイツよりもちっと聞き分け良かったぜ」

 

大貫(おおぬき)のヤツ、「施設のガキはチョロいから使える」って言ってたのによ、ウソじゃねーか」

 

「いや、このガキどもが使えねぇだけだよ。ハズレ引いちまっただけだ、さっさと捨てて新しいの拾おうぜ」

 

「ケッ。それもそうだな、んじゃ役立たずには死んでもらいまーす」

 

 

勢い良く男は金属バットを大きく振り上げる。

 

 

「い、いやだぁぁぁ!!!」

 

 

頭を抱えてうずくまる少年。

 

当たり前だがこんなものも助けられず何が警官だ。

 

 

「いや、役には立ったぞ。お前を取っ捕まえるためのな」

 

 

俺は奴らがバットを振り上げ、子供の方向を向いた瞬間に壁から出る。

そのまま滑り込むように奴らの背後を取ると、膝腕を掴んでバットを止めた。

 

 

「なんだァ!?」

 

「こいつ、サツだ!」

 

「なぁにしてんだオッサン!殺すぞ!」

 

 

俺を前に随分と威勢がいいじゃないか。

 

 

「殺すぞじゃねぇ、警察相手に脅迫してんじゃねぇよ」

 

 

俺は膝裏を蹴り飛ばし、体勢を崩した所に一本背負いを食らわせる。

 

俺の投げは神速。柔道選手ですら即座に受け身を取るのは困難を極める。

 

 

「ごげぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

 

この速度と勢いで、受け身も取れずに背中から直に打ち付けられれば、内臓に著しいダメージが入る。この投げは、学校の2階から落下するのとほぼ同じ威力だからな。

 

 

「か…………は…………い………いぎでぎな゙い゙…………」

 

 

やつは一発で泡を吹いた。軟弱者が。

 

 

「な…………なんだぁコイツ!?」

 

 

さすがに危険を察知したもう一人が慌てて後退しする。

 

その時やつは、子供の身柄を確保した。

 

 

「さぁどうするよ?ガキもろとも俺を撃つか?」

 

「ムッ…………」

 

 

まずいな、罪なき子供を人質に取られては迂闊に手を出せない。

 

それを分かっていた敵はチャカを抜く。

 

 

「へっ…………バカがよ!死ねやクソッタレ!」

 

 

奴が俺に向かって銃の引き金を抜こうとした…………

 

 

 

 

 

 

 

──────次の瞬間!

 

 

「未来を担う若者を攫う外道が!死に晒せぇぇぇぇ!!!」

 

 

「ぐげぇぇぇぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

奴の背後から、とてつもない土埃を上げ装甲車が突っ込んでくるかのような勢いで男が突っ込んできたのだ!

 

子供を人質に取っていた半グレは背中を八文字に切り裂かれ、瞬く間に倒れ伏したのだ。

 

 

「うわぁぁぁぁぁん!!!!」

 

 

解放された子供は泣きわめきながら俺の元へと走ってきた。

 

 

「もう心配ない。後は俺に任せておけ、必ず施設に送り返してやる」

 

 

ひとまず、この子の命が助かっただけでも良かった。

 

 

クソ野郎を斬り裂いた男は俺にゆっくりと歩み寄ってきた。

 

 

「司馬。こんなところで出会うとは、随分と久しいな」

 

「な…………お前は…………!」

 

 

そして…………そこで俺は、まさかの邂逅を果たすことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一方、用水路までやってきたキクリだが、

 

奴は半グレたちにサブマシンガンを突きつけられていた。

 

 

「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

 

 

半グレどもは容赦なくサブマシンガンを放つ。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

キクリは銃撃をかわすように走り回りながら、手にした警棒でなんとか応戦する。 

 

 

「が、ガチだよこれ…………!」

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!」

 

 

サブマシンガンの連射から慌てて逃げ回るキクリ。

 

 

そしてついに弾が尽きた頃──────

 

 

「あっぶねー…………さすがに今度こそは当たるかと思った…………ラッキー…………」

 

「ば………ハァッ!?」

 

 

なんとキクリは、すべての弾を避けていたのだ。

最初のうちは警棒で全てはじき返し、耐えれれないと悟った瞬間に逃げに転じた。

 

……………身体というのは意識の外であろうとも動きを覚えているものだ。

 

 

「あれ?もう弾切れ?」

 

「チッ…………」

 

「そうか………なら、次は僕の番だね!」

 

 

キクリは前傾姿勢からスタートを切った!

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

 

キクリのその気合いは猛獣に勝るとも劣らない!

 

 

 

────────だが、脚が遅すぎた。

 

 

 

「何やってんじゃ、死にてぇのかクソが!!!」

 

 

半グレに腹を蹴られ、大きく吹き飛ばされた。

 

 

「ごべぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

 

……………………情っさけない。

防御行動は無意識にできるだけ成長なのだが、まだ無意識下での攻撃はできないか。

まぁキクリが才能を発揮できる条件はかなりシビアなので仕方ない。

 

 

「もう行こうぜ兄貴。こいつ防御力やべぇ割には反撃雑魚だから、やるだけ無駄だ」

 

「チッ。分かってんだよそんぐらい、」

 

 

半グレはぶっ倒れるキクリに背を向けて去ろうとした。

 

 

「なぁおい。ところでお前ら、なんで俺の許可なくここ出ようとしてんの」

 

 

その時、黒いスーツの男がリーダー格の半グレに話しかけた。

 

 

「あん?」

 

 

次の瞬間、

 

 

「お前らみてぇな外道に、誰が立つ権利あるつった。勝手に歩いてんじゃねぇよ、罰として脚切っとくわ、」

 

「かばばばぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

なんと、用水路入り口に緑色の光が迸った。

 

 

キクリの前に立ち塞がる男たちの背後から、その男は現れた。

 

 

「俺たち京極(きょうごく)組はな、どんな所にいようが外道の脚跡は見過ごさねぇよ。お前らみてぇな施設の子供を攫って強盗に仕立て上げるような連中、地獄の果てまで追いかけるに決まってんだろ、」

 

 

そいつは、黒のスーツに茶髪をした若い男だった。

キクリにも劣らない優男だが、その内からはその顔からは想像もつかない程の強烈な闘気が感じられる不思議な男だった。

 

 

「邪魔すんじゃねぇよ………テメェもぶっ殺してやらぁ!!!」

 

 

男たちは銃を抜くと男に向かって発砲した。

 

 

 

「ゲスの弾は遅すぎて、俺には当たんねぇよ」

 

 

そいつは銃撃に向かって自ら走り寄る。

だが、身体を横にずらすことで弾を避けていっている。

そしてその踏み込みの速度は尋常じゃないものだった。

 

 

「え、はっや!!!」

 

 

キクリにはそれが見えているからこそその恐るべき速度に驚かされる。

 

だが、敵は素人。この速度を追えるはずもない。

 

 

「お前ら、いつまで子供たちに触ってる気だよ。放してやれよ」

 

「ごべぇぁぁぁっ!!!」

 

 

次の刹那、空中にナイフの一閃が走る。

まるで緑色の稲妻が走ったかと思った。

 

半グレの手首が一瞬にして引き裂かれてしまったのだ。

 

 

「手ぶらなテメェらに、代わりに鉛玉ほプレゼントだ。ありがたく受け取っておきな」

 

「ほげぇぇっ!!!」

「イラナイっ!!!」

 

 

さらに銃撃で2人分の脳天を一瞬にして撃ち抜いた。

 

 

「な、なんだァこいつ………!?どいつもこいつも………!」

 

 

半グレどもには何が起きているのか分かっていない。

 

 

「先に言っておくが、この街で棒立ちしてたらすぐに死ぬぜ。まだ生きてるお仲間がいるんだったら、あの世から教えてやりな」

 

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

そしてナイフが最後の一人の胸に突き立てられた。

 

速すぎる。

一瞬にして3人の半グレが屍と化した。

 

もちろん5人の子どもたちにケガはない。

 

 

「お前たち。この街の夜は危険だ。夜になってからは、家の外から一歩も出るんじゃないぞ。いいな?」

 

「う、うん………たすけてくれてありがとう………」

 

 

子どもたちはその男に向かってお礼を言う。

鬼人のような戦いぶりだったが、男は子供と同じ高さにかがみ込むとにっこり笑った。

 

 

「どういたしまして。気をつけろよな、ほんと。俺が近くの安全な場所まで届けてやる。兄貴も巡回で近くにいるはずだからな」

 

 

その男が子どもたちを連れて路地裏から出ようとした時だった。

 

青年の後ろから鎖の音がした。

 

 

 

 

 

「──────はい。殺人罪で現行犯逮捕ね」

 

「は…………?」

 

 

キクリが男に後ろ手を組ませてがっつり手錠をかせた。

 

 

「なっ!?おい、ふざけ………って、警察か!?マジか、全然気が付かなかった………」

 

「いやいや、僕の目の前で戦ってたんじゃないの?てゆーか、僕がピンチだから助けに来たんじゃないの!?」

 

 

どうもキクリとこの男の間では話が乖離しているらしい。

 

 

 

「……………………まぁ、とりあえずシバさんの判断を仰ごうかな。君からもコロシの匂いがするから一旦大人しくしてもらうよ」

 

「くそっ………なんでこんな事に………しかも警察っぽくない奴に………」

 

「なんか君ちょっと小峠さんに似てる?キャラは違うけど…………気質が同じと言うか。前世は同じ生き物な気がする」

 

「小峠?まさかあんた、天羽組の………」

 

「僕?誰の味方でもない公務員。強いて言えば国家の犬………って!そんな事言ってる場合じゃないよ!さぁ、大人しくしてもらおうか!」

 

「クソッ…………力強すぎだろ…………逃げられねぇ…………」

 

 

 

どうやら、ここでも妙な出会いがあったようだ。

 

そしてこの後、俺たちが出会った男たちの正体が、明かされるのだった。

そして勝手にこの青年を捕らえたキクリは後で俺によってボコボコにされるのだった。

 

 

 

 

 

 

次回『まさかの邂逅・京極組の久我と六車』

 

 

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