死神警官〜バグ大の極道たちに振り回される警察   作:書庫・ラ・オランジュ

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動き出す悪意……灯火教団の謎

 

 

 

俺と遭遇して戦闘になった辻斬り、朔月恩郎智が帰還した。

 

 

「おぉ反町〜。なっとーしたん、そんなボロボロなって」

 

 

出迎えたのは以前、俺の前に立ちふさがった矢田熊之城だった。

 

 

「死神警官と一手ほど斬り合ってきた」

 

「ほれでこないなったんか?情けないのぉ」

 

「烏丸。言葉に気をつけろ。おまえだって死神警官を前に逃亡した身だろうが」

 

「そらそうや。あんなんどないせいっちゅうんじゃ。まさに鉄壁の防御、パワーしかない俺かて無理やわ」

 

「おまえな………」

 

 

 

「まぁまぁ。そういう事もありますよ反町君、」

 

 

その時、奥から声がした。

 

歩いてきたのは、神父の法服に身を包み、白い外套を羽織った男だった。

その横から、さらに2人の男も歩いてきた。

 

 

「そもそも、死神警官と敵対する必要はありませんよ。私たちの目的は彼らとほとんど同じなのですから」

 

「オイオイ、勘弁してくれよなぁ。うちから二人も敗者を輩出するか、どうやら死神警官は相当な難攻不落らしいなぁ。こいつはちょっと青天の霹靂だぜ、」

 

「ただの公務員のはずが戦闘のスペシャリストである君たちの2連戦で対等に渡り合う………とても興味深い。ぜひとも私も一度は見てみたいものだね」 

 

 

神父のような男の隣から出てきたのは、金髪の男と黒髪に緑の洋服を着た貴族のような服の青年だった。

 

 

我妻(あがつま)上堂(かみどう)、ほんで天草のあんちゃん!いつの間に来とったんか!」

 

「あぁ。ちょっと一仕事終えてきた所だよ。後ほど整理して報告させてもらう」

 

「へへっ、『雷神』の俺と『薬祖神』の上堂が合わされば、そりゃあもう雷霆万鈞の雷轟電撃よ!」

 

「どちらとも、他の追随を許さぬほど力強いという意味の言葉だね」

 

 

「やれやれ…………赤青黄緑が揃ってしまいましたね。なんだか目がチカチカします」

 

 

灯火(ていか)教団を率いる天草四郎は、灯火教団の幹部たちをアジトに招いていた。

 

 

「【白や紫】はどこへやった」

 

「彼らは都合が悪いようでまだ合流できていません。まぁ、裏社会のお偉い方ですからそこは配慮しましょう。もっとも、彼らが合流するまでもなくこの四人だけでも十分な気もしますがね。とはいえ、私たちと同じ想いを掲げてくださるなら歓迎が必要です」

 

「元極道やら最強剣士やら元半グレやら闇医者、はては天草お前まで。いろいろな所から色んな奴が集まってるな!感激で痺れてくるぜ」

 

「反町さん。黒焉街の進捗状況を教えてください」

 

「調べてみた所、下離羅が台頭しているようだな。身寄りのない子供を使って強盗やら薬物やらに手を出している。ひとまず子供もろとも拠点の一つを斬り捨ててきた」

 

 

オロチは下離羅のアジトの一つを破壊して、そこにいた子供を全員斬り殺してきたのだ。

 

 

「犯罪に加担した子供も斬るとは、なかなか容赦がないね」

 

「だが下離羅そのものはまだ解体できていない。その件については死神警官が追っているらしい。下手に手を出すとこうなる」

 

 

オロチは血の滲む自身の着物を見せびらかす。

 

 

「触らぬ神に祟りなし。たしかに死神警官と下手に対立する必要はないです。この世に救いの手を差し伸べるという目的では我々の目的は合致しているのですから。できることならば、彼らとは良好な関係を築きたいです」

 

「ならば今回は見逃すとということかい?黒焉街の件をまとめて死神警官・死刃に一任すると?」

 

「オイオイ待ちや!そんなつまらへん事言うんちゃうよな!」

 

「もちろんです。ですが、下離羅の根本的な解体はもう任せてしまいましょう。事件を解決して死神警官が去った後に、我々は残党の処理をして死神警官の手助けを……………っと、なにやら騒がしいですね?」

 

 

その時、部屋の扉が乱暴に蹴破られた。

 

 

中から現れたのは、武器を持った半グレたちの大群だった。

 

 

「灯火教団さんよぉ!!!テメェらの居場所はもうバレてんぜ、」

 

「オイオイ、こいつら5人しかいねぇぜ!」

 

「さっさとぶち殺して、現世から消えてもらおーぜ!」

 

 

「なんやあれ、たまに来るアホどもかいな?」

 

「まったく………負傷して帰ってくれば、寝転がる暇もないのか」

 

 

烏丸と反町が武器を構える。

 

 

「いえ。お二人は下がっていてください。怪我に闘わせるような血も涙もない教団はありませんよ」

 

「あぁ。ここは私たちに任せてほしい」

 

「オレらの紫電一閃、見せてやらァ!」

 

 

代わりに前に出たのは、我妻という金髪の男と、上堂という緑の外套の青年だった。

 

 

「あぁん?おい待ちな………そこの金髪野郎、」

 

 

半グレたちは突然として態度を変えた。

 

 

「……………テメェまさか、武頼兎(ブライト)のリーダーの武海(たけみ)か?」

 

「元、な。今はもう半グレからは足を洗ったぜ」

 

 

なにやら男たちは我妻に因縁があるようだった。

 

 

「テメェよくもまぁそんな良い服着て生きてやがんなぁオイ?あん時…………テメェが解散なんかしやがったせいで俺たちゃずっとクソの中のクソみてぇな生活ばっか送ってきたのさ」

 

「奇遇だな。実は俺も解散してからしばらくはキツい時代送ってたんだ。俺はあれから、建設会社の社長になったぜ。テメェらはまだ懲りずに半グレやってんのか?元・武頼兎の構成員なら保証つけてやるぜ。ウチで働かねぇか?」

 

「はぁ?舐めんてんじゃねぇぜ。誰がテメェんとこで働くかよ。またテメェにケツの下に敷かれていいようにこき使われて、最後はハイ解散って散り散りにされるのは勘弁だ」

 

「そうだ。ついでにあんときの恨みも清算することにするぜ。いっぺんここで死んでいきな、武海…………」

 

 

男たちはナイフを抜いた。

 

 

「……………やれやれ、下の下だ」

 

「あぁん?」

 

 

その時、上堂が外套を翻した。

腰から木を伐採する用の片手斧が現れた。

 

 

「昔からの決まりでね。私の前で、善人は一人も死なせないって決めてるんだ」

 

「それに、テメェらは俺のもとでなーんも学んじゃあいねぇようだな。武頼兎は比較的テメェらみたいなアンダーグラウンドを助けるためのもんだったが、それを抜けた先が更生じゃなくてクズの集団だ。もうテメェらは救えねぇみてぇだ。こりゃあもう、不本意だが解体するしかねぇなァ…………」

 

 

我妻と上堂が戦闘態勢に入った。

 

次の瞬間、

 

 

「るせぇ!俺らはここで成り上がるって決めたんだよぉ!!!」

 

「死に晒せ、バカが!」

 

 

男たちがナイフを握って突撃してきた。

 

 

「やれやれ、困った人たちだ」

 

 

上堂は懐から瓶を取り出し、軽く上に放り投げた。

 

 

「な、なんだぁ!?」

 

「瓶なんて投げてなんの意味があんだ?あぁ?」

 

 

半グレたちの視線が瓶に向く。

 

 

「まぁ、そう焦らないで。お望み通り、お楽しみを見せてあげよう、」

 

 

───────次の刹那、

 

 

「それでは、今日の献立を味わってもらおうか」

 

 

上堂の斧が瓶を砕きながら振り下ろされた。

 

 

「こわぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「なんだぁっ!?」

 

 

瓶の中の液体が半グレたちに飛び散った。

 

そして、その液体がかかった途端に男たちの身体に異変が生じる。

 

 

「うう…………腹が…………いっ、てぇ……………」

 

「ま、前がゆがんで見えねぇ…………っ…………」

 

 

 

「ガ…………ゴボォォォェェェッ!!!」

 

「モガ…………ガポォォァァァァッ!!!」

 

 

男たちを襲ったのは致死量の毒。

男たちは臓腑を口から吐き出しながらのたうち回る。

 

 

「私は昔こそ、目の前の人の人を救うために薬を作ってきたが、今では顔を知らぬ誰かのために毒を練る…………それが今の私の薬師としての正義さ。たとえ私の薬で誰かを殺めようとも、私の薬で、誰かを助ける。毒を転じて薬と成す…………私はもう間違えたりはしないとも、」

 

 

弱った男に向かって、我妻が一気に踏み込む!

 

 

「恨むなら、テメェらをこんな性格に育てちまった親御さんを恨みな、」

 

 

我妻の組んだ両手の中には、金色の鉄パイプが握られていた。

パイプには、有刺鉄線が巻き付けられていた!

 

 

直後─────文字通り落雷のような一撃が落ちる。

 

 

「雷轟電撃ィィィィィィィ!!!!!」

 

「ゴベェェァァァァァァッ!!!!!」

 

 

一人の頭蓋が完全に破壊された。

 

 

「ギャババババババァァァァァッデェゥ!?」

 

 

さらに、なんと隣にいた男は鉄パイプの直撃を受けていないのにもかかわらず、痛みに悶絶し始めた。

 

 

「ゲベェェァァァッ!!!!」

 

 

そして、なんと身体が血しぶきを上げながら破裂したのだ。

 

 

「俺は雷神様だぜ!?俺に殴り殺されるか、俺の武器の放つ電流に触れて焼け死ぬか、運命は二つに一つだぜ!」

 

「感電死とはまたずいぶんと凄まじい………よっと、」

 

「ぎゃぁぁっ!!」

 

 

上堂が最後の一人の頭を斧で叩き割って殺した。

 

 

部屋は静寂に包まれる。

 

 

「お二方、ありがとうございました」

 

「なぁに。こんなもん戦ったうちに入らねぇよ、」

 

「ケガはないかい?どこか擦りむいていたら私に見せてほしい」

 

「えぇ。傷一つございません。そのかわり上堂さん、反町さんの手当てを任せてよろしいですか?」

 

「了解した。この上堂彦一、必ず反町くんを完治させると誓うよ」

 

「天草!俺は何をしたらいいんだ!」

 

「我妻さん。つい貴方は先ほど麻薬組織を破壊してきたところでしょう?身体だってこんなに傷だらけになっているではありませんか」

 

「我妻八草(やくさ)を舐めてもらっちゃ困るぜ?こんなのかすり傷だ!はやく次の仕事を寄越しな!俺はもう充電バッチリだぜ!」

 

「それは頼もしい。では申し訳ありませんが、ひとつ大きな仕事を頼むとしましょう。花宝町の一件をお願いしていいですか?」

 

「オイオイそりゃあ武闘派・獅子王組の縄張りだぜ?ま、俺の街でもあるんで土地勘的に俺が適任なんだろうがよ」

 

「えぇ。ですけど注意してくださいね。獅子王組は地元を守る任侠組織であり、仲良くするべき相手です。間違っても貴方から喧嘩を売ったりしないようにお願いします」

 

「んだよ、つまんねぇ。ま、わざわざあそこを選ぶということは何か起きてると踏んでいいんだよな?」

 

「えぇ。例のごとく仕事の細かい内容の連絡は後ほどで」

 

「っしゃ任しとけ!電光石火の働きを見せてやるぜ!」

 

 

そのまま我妻は走って立ち去った。

 

 

「………………………」

 

「………………………」

 

「………………元気なお方です」

 

「痛っつ………!!!おい上堂、おれの身体に毒を塗るな!」

 

「ただの傷薬だよ。いったい私のことをなんだと思っているのかな。私はヤブ医者じゃなくて、きちんと薬剤師国家試験に通った本物の薬師だよ。薬は私の自作だがね」

 

「……………その割に、自作の薬は違法な事(薬機法)はご存知でないようで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前は司馬喬皇平。

 

 

「ひえぇぇぇぇ!!もームリ、やめたぁい!!」

 

「泣き言吐いてないで早く立ち上がりなさい」

 

 

部下の鍛錬を見守っている特殊犯罪対策課の警官だ。

組織犯罪対策部であるうちの部署はとにかく裏社会とは切っても切れない縁がある。

時に犯罪組織に対して実力行使をすることもある。

よって、俺たちも日頃から戦闘の技能を身につける必要があるのだが、特にそこの菊理弥二郎というのが難しい。

俺と捜査するにあたって当然、戦闘能力はなくてはならないのだがあいにくとキクリの身体能力は一般人と同等だ。

 

なので、事務所の地下に建てた訓練場で木ノ葉と戦わせることで強引に訓練している。

とはいえ、木ノ葉も実力者。さっきからキクリ派ボコボコにされている。

 

 

「それはそれとして風悟、なんでお前がここにいる」

 

「なぁに。友人の心配をしに来るのは何もおかしくないだろう?菊理君や石長君にもご無沙汰だしな」

 

「嘘をつけ。冷やかしに来ただけだろう。そうだったらなんでちゃっかりと木ノ葉の淹れた茶を飲んでるんだ」

 

「なんだ、ここの警官は客人にお茶を出す程度のもてなしもないのか?ひどいもんだ」

 

「お前という奴は…………」

 

 

数々の事件の現場指揮を担当したエリートであるメルセデス風悟が本部からこんなところまでやってくるわけだ。いちおう何か仕事柄の事情はあるのだろう。

 

 

「シバさーん………力が欲しいです」

 

「闇落ちする前の主人公かお前は。鍛錬というのはすぐに成果に出ない。お前の大好きな勉強と同じだ」

 

「分かってないですねぇ………大学とか、勉強しなくても受かりますって。授業を真面目に受けて定期テストの点数で1位を取り続けるだけで二流国立大は安泰ですよ。二流の試験は学んだことしか出ないんですから。一度授業で学んだことなのにテスト間違えるなんて、普通そんな事なくないですか?」

 

「はっはっは。天才の言うことは違うな菊理君。だが、司馬や石長君のような戦闘の天才からしたら、戦闘なんて君にとっての勉強と何ら変わりないとも」

 

「うぅ……………」

 

 

まったく、逃げ癖はやめたんじゃなかったのか。

その腐った根性をまた後で叩き直さないとな。

 

 

「とはいえ、たしかに残念ながら君のような素人にこのレベルまで仕上げろ、できるまで殴られ続けろ………というのはかなり酷だ。これじゃ伸びるものも伸びないし、なにより菊理君の身体と心が持たない」

 

「なんだ。うちの方針に口出しするつもりか」

 

「司馬よ………お前は流石にパワハラ上司だ。部下の頑張りには、何かご褒美をつけてあげるというものが普通だと思うが?」

 

「気持ちは山々だが、俺はただの巡査部長だぞ。こいつの給与査定をする権限などない」

 

「相変わらず頭が硬い男だ。金の問題ではない、モチベーションの問題だ。菊理弥二郎が金銭に踊らされるような男だと思っているなら、この3年間お前は彼を何も理解できていなかった事になる」

 

 

たしかにな。

この男は金とかあまり考えない。

増える給料よりも、1回のご馳走のほうが彼にとっては喜びだろう。

だがどうする。こいつには飯は何度も奢らされているし大きい仕事を始末したあとは打ち上げ的に飯は食うぞ。

 

 

「そうだな………だったらこのメルセデス風悟が知慧を授けようか………うぅむ…………よし、菊理君。こういうのはどうだい?もし石長君に一発でも食らわせれたら、彼女に身体を張ってもらって1日デートしてもらいなさい」

 

 

この天才メルセデス風悟が5秒間頭を使う、それは大変な難題である。

5秒かけて振り絞った答えがそれだったことに俺はひどく失望した。

 

 

「なんですと!?」

 

 

だがキクリはめちゃくちゃ嬉しそうにしていた。

 

 

「は?」

 

 

一方の木ノ葉は自身の意志を一切無視した風悟の提案に心底不服そうだ。

 

 

「シバさん!僕、もうちょい頑張れそうです!」

 

「………………風悟、それでいいのか…………」

 

「大事なのは菊理君がやる気になることだ。何事もやりたいと思った時が旬だ。上司なら、部下の成長チャンスである今こそ応援すべきだと思うが?」

 

「やれやれ…………ま、頑張れよ。キクリ。いちおうお前の上司だ。お前の頑張りを応援するぞ」

 

「はい!お任せください!」

 

「ちょっと待ちなさい!!!私の意思は!?」

 

 

木ノ葉から久しぶりに抗議の声を聞いた。

 

 

「まぁまぁ。石長君は戦闘においては彼の師範なのだろう?なら、一つ身体を張ってやりなさい。別に、身体を使わせてやれとまでは言ってない。君の趣味のショッピングに、荷物持ちで連れて行くだけでも大喜びするだろう」

 

「お言葉ですが風悟さま。私は警察庁の一員ではなく、この建物を住居とする一般人です。信頼に値しない巡査にプライベートに干渉されるのは承諾しかねます」

 

「今、僕のこと信頼できない的なこと言ったよね」

 

「おや。石長くんにしては意外な返答だ。まさか保険をかけるとはね。元メイド戦士の誇りにかけて、万が一にも菊理弥二郎に負けるような展開を晒すのは避けたい………と?」

 

 

この男の挑発性能というか…………いや、人の地雷を踏む能力というか、その…………人を不愉快にする才能は常軌を逸している。

 

 

(戦略で一番大事なこととは、相手の心を理解し、相手の気持ちになることだ。そうすれば、相手が何をされたら嫌がるのかが手に取るようにわかる。相手の一番嫌がることをする事こそが頭脳戦の本質なのさ)

 

 

……………昔こんなこと言ってたが、意味はなんとなくわかる気がする。

 

風悟は元々態度が鼻につく。そんなヤツにここまで言われれば木ノ葉もムキになるにきまっているり

 

 

「……………今の言葉は聞き捨てなりません。その言葉は木ノ葉への挑戦と受け取りました。売られた喧嘩は慎んで買い上げて差し上げましょう」

 

 

木ノ葉は木刀で作られた薙刀を投げ捨て、本物のハルバードを担いだ。

 

 

「ちょちょちょちょちょちょ話が違う!!!」

 

「どうしたのかしら菊理くん。デートに行きたいんじゃないの?それとも、命のほうが惜しいかしら?」

 

 

流石に命のほうが惜しいに決まってるだろ。

なんだ、このバカな問答は。

 

 

「いいや!問題ないね!」

 

「オォォォイ!!!」

 

 

バカしか居ねぇのかここは!!!

 

 

「まぁいいんじゃあないか?菊理君もやる気になったみたいだし」

 

「まぁ…………確かに過去一番やる気は出ているな…………」

 

「な?現場指揮官を舐められては困る、もっと頼って頂きたいね」

 

 

やれやれ…………好き勝手なやつだ…………

 

 

 

 

 

「──────────────」

 

 

キクリは木ノ葉に背中を向けて何かしたあと、少し離れて壁にもたれかかった。

 

 

腕組みしながら少し経過したが動く気配もない。

 

 

「…………………………こっちから行くわよ、」

 

 

木ノ葉がナイフを投擲した。

 

ついに木ノ葉とキクリの、宿命の同僚対決が橋みってしまった!!!!

 

 

木ノ葉のナイフはキクリに向かって飛来!!!

 

 

 

「フッ、」

 

 

キクリはナイフを潜って回避、

 

そのまま最短距離で木ノ葉に突っ込んでいく!!!

 

 

「速い……………」

 

 

木ノ葉はハルバードを思いっきり振る。

 

木ノ葉も流石だ。このスピードのキクリに対して、間合いに入った瞬間にハルバードを振るったのだから。

縦座標は全く被っている。

だがキクリは跳躍することで横薙ぎのハルバードを回避した。

 

とはいえ、この程度でやられるほど木ノ葉が下手なわけはない。

 

 

「そいっ!!!」

 

 

空振りした斧に身体を預け、木ノ葉の身体は横に一回転しながら一歩下がる。

 

そのまま振り抜かれながら一回転した斧が今度は高く振り上がってキクリに襲いかかる。

木ノ葉の斧は担ぐだけでも一苦労だ。

だが、それを軽々と操るのがこの木ノ葉。

 

 

キクリは空中にいる。

これを躱すことはできない。

 

 

「─────────────」

 

 

しかしなんと、キクリは空中で振り抜かれたハルバードを掴んで防いだのだ。

 

 

「────────────ッ!!!」

 

 

さらにハルバードの軸をひねり、逆に合気の要領で木ノ葉の体勢を崩した。

 

 

「うっ………………貴方、ぜったい【ヤッてる】でしょ!」

 

 

木ノ葉が体勢を崩して腰を落とした。

そこにキクリが容赦なく落下してくる。

 

 

木ノ葉は急いで斧を手放してバックステップ。

飛び蹴りを見事に回避した。

 

 

「………………………………………」

 

 

キクリはハルバードを掴み、一直線に投げつける。

 

 

「返してくれてありがとう」

 

 

しかし木ノ葉はなんと、回転しながら投げられたハルバードをタイミングよく掴んで受け取った!!!

 

しかし次の瞬間、

 

 

「はっ!」

 

「うぁっ………!」

 

 

キクリがハルバードを引っ張り、ハルバードをつかんでいた木ノ葉を綱引きの要領で引きよせた!

 

木ノ葉がハルバードを掴むことで、投げた時の回転が止まった瞬間に、キクリもハルバードを掴んだのだ。

 

勢いよく引き寄せられた木ノ葉は体勢が悪い。

 

キクリは斧の持ち手を足場に、一足早く木ノ葉の目の前に飛び出る。

 

 

そして、そのまま優しく頭を小突いた。

 

 

「あっ………………!!!」

 

 

ハルバードが床に突き刺さる。

 

木ノ葉は明らかにキクリから一発もらった。

 

キクリはそのまま床に倒れた。

 

 

「……………………………………………………………」

 

 

木ノ葉の顔が青ざめている。

 

 

「まぁ……………なんだ…………約束だからな………木ノ葉、」

 

 

俺もこれはフォローできない。

勝手に風悟が売ってきた喧嘩を木ノ葉が勝手に買ったのだ。

自業自得としか言いようがない。

 

 

「────────やー!助かったー!ありがとう騏一郎くん、」

 

 

はぁ…………やっぱりな。

最初に木ノ葉に背を向けた時、即効性の脳麻酔を服用して、騏一郎と交代したのだ。

 

キクリと騏一郎は自由に交代することはできない。

キクリが気絶するなりなんなりして、強引に意識から離脱しなければ騏一郎が表に出られない。

騏一郎からキクリに戻るのは一瞬だがな…………

 

ひと手間いるわけだ。

木ノ葉もあの時間に何をしているのかが分かっていれば取られることは……………

 

 

「え、『こんな事で麻酔を使うな』だって?だ、だって、緊急時だもの…………」

 

「うっそ………そんな………もー、やだ………!!!」

 

 

木ノ葉は膝をつき、自分の髪の毛をつかんでうめいている。

 

 

「………………キクリと買い物するのそんなに嫌か」

 

「ホントに嫌な人の反応だぞ、アレ」

 

「なんだろう。なんで勝ったのに僕こんな嫌な思いしなくちゃならないんだろう」

 

 

 

 

 

休憩中、風悟が俺に話しかけてきた。

 

 

「そうそう。例の下離羅って連中の足跡さぁ、知ってる奴がいるらしいよ。前に聞いてなかったっけ?特別支援施設が燃やされたって話。あの被害者がね、今日ある人物と待ち合わせの予定があるらしいんだ。その事件にも一枚噛んだ人でね。何か、重要な事を知っているかもしれない」

 

「そんな情報どこから聞き出した…………」

 

「この鷹の目を見くびらないでおくれよ、司馬。こと事件の捜査においちゃあ、一介の情報屋にも劣らないさ」

 

「では、後ほど向かうとするか」

 

「おっと待った。話は最後まで聞くものだぞ司馬。今言ったろう、「ある人物と待ち合わせている」ってな、」

 

 

風悟は含みのあるようにそう言った。

 

 

「その人物というのはね、今まであんたが倒してきた凶悪犯なんかとは比べものにならないほどの超大物だ。それに、向こうの頑固さはあんたとも張り合えるくらいな上に、おそらく警察とは相容れない人種だ。最悪の場合、戦いになるかもしれないぞ?そうなったら生きて帰れる保証ががががが…………」

 

「その小さい口を閉じろ風悟」

 

 

俺は風悟の口の中に刀の鞘を押し込む。

 

 

「俺が命を惜しんで行動から退く男だとでも思っているか馬鹿垂れが。相手が誰かなど関係ない。俺一人の命を庇って、国民を守れんのでは論外だ」

 

「シバさーん、僕はお留守番してもいいですか!木ノ葉ちゃんと約束通りデー…………」

 

 

 

 

 

こうして俺とキクリは事務所を後にした。

 

 

「待って、せめて僕の意志がどうなのかぐらい訊いてくださいよ────!?」

 

「拒否権はない。行くぞ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、この後──────

 

 

 

 

 

 

「鎖から解き放たれた被害者を再び闇に引き戻すなど、そのようなことはこの伊集院が許さん」

 

「貴様一人のくだらんルールなど知るか。住民を守るために進まねばならない俺の路を妨害するな!」

 

 

 

 

昼間の街にて、裏社会で最恐最悪の戦いが巻き起こることになるのだった………………

 

 

 

 

 

 

次回『伊集院 VS 司馬……厄災と凶星の激闘の行方は』

 

 

 

 

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