死神警官〜バグ大の極道たちに振り回される警察   作:書庫・ラ・オランジュ

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戦闘・日滅軍

 

──────俺の名前は司馬喬皇平。

 

 

「ここだな、」

 

 

空龍街を爆破した極左組織、日滅軍のヤサの前にたどり着いた特殊犯罪対策課の警官だ。

 

 

 

 

ここへ来る前、俺たちは日滅軍のヤサを割り出した。

 

 

MVPは、その可憐な容姿に惹かれた日滅軍構成員にネット上で連絡を取ることで内部情報を吐かせた、部下の石長木ノ葉だった。

 

 

 

俺たちが割り出したヤサは日滅軍の本部ではないが、支部としては大きなものだった。

 

日滅軍のトップは松村美津留(まつむらみつる)という男であり先日、天羽組の青山が爆破事件の実働部隊である龍田(たつた)を粛清した。

 

 

そして現在俺たちはその裏で、別の支部として密かに第二の爆破テロ計画を実行しようと画策していた磯辺(いそべ)のヤサに突撃しようとしているところだった。

 

(おれは世界を守るために、この国の侵略行為を止めたいと思います………)

 

(この国の政府や企業に洗脳された民間人も同じ物だ。ことごとく始末するしかないですねェ………)

 

まったく、バカバカしいにもほどがある。

お前らこそがこの国の腫瘍であることを思い知らせてやるとするか。

 

 

さて、磯辺のヤサは人気ない細道からしか行くことのできない廃墟だった。

暗くてじめじめしていて、外道どもが籠もるにはちょうどいい場所だ。

 

木ノ葉が聞いた情報では現在この時刻に、ここで会議が行われるらしい。

よって現在正面に見張りはいないようだ。中で次のテロの計画でも立てているのだろう。

 

 

 

「さてシバさん、どうするんです?正面突破しますか?」

 

「当然。正面から堂々と突入し、団員を皆殺しにする」

 

 

俺は警官だが必要とあらば容赦なく拳銃を放つし、人を斬り殺す。

もちろん殺す対象は罪なき民間人ではなく、外道に限るがな。

 

 

「キクリ、門を開けるのはお前がやりたいか?」

 

「はい!バッコーンって蹴破りたいです!」

 

「よし、任せた」

 

「お任せください!バシッと決めて、カッコいい登場してやりますよ!!!」

 

 

キクリは脚を思いっきり振り上げて扉をキックする。

 

しかし─────扉はびくともしなかった。

 

 

「いった!いったぁっ!痛い痛い痛い!ぜったい折れた、ぜったい爪先折れたーっ!」

 

「この非力が………!」

 

 

代わりに俺が正面の扉を蹴破った。

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ外道ども………お待ちかねの断罪の刻だ。

 

 

「外道の皆さんこんばんは、およそ2億年前の岩塩層から発見された野人出身の人格者でーす!」

 

「な、なんだぁ!?」

 

「侵入者か!?」

 

 

どこの須永とどこの塩漬けのハーフだお前は。

 

 

「警察だ、相次いで爆破テロを引き起こそうとしている社会の不燃ゴミはお前たちだな。動くな、全員仲良く、同じ地獄に送ってやる…………」

 

 

俺は警察手帳を見せながらズカズカと建物内へと踏み込んでいく。

 

 

「い、磯辺さん!!!!」

 

 

「おやおやおや?誰でしょうか………こんなところへ入り込む身の程知らずなおまわりさんは?」

 

「特殊犯罪対策課の司馬だ。お前たちの凶行はすでに証明されている。大人しく首を差し出すか、それとも雑に殺されるか好きな方を選べ。頸動脈を斬れば苦しむことなく死ねるぞ」

 

 

「くくく…………はははははははははは!!!」

 

 

磯辺はその眼鏡の奥で瞳を細めながら、腹を抱えて狂ったように大笑いした。

 

 

「何がおかしい、」

 

「いやぁ、警察もこの国のバカな政治家や企業たちの行いに完全洗脳されているなと思っただけですよ。おれたちの活動を凶行だって?冗談きついぜ…………海外に侵攻・侵略して、現地の人間に人間とも思えないような扱いをして奴隷のようにして仕上げる…………そんな世界平和の欠片もないような活動を助長するあなたたちのほうが、よっぽどゴミじゃないですか?ん?」

 

 

「……………………街を爆破し、罪なき人々に重軽傷を負わせ、命を奪った。それはどう説明する」

 

「あの会場にきていた連中は日本企業の海外侵略を支援する連中ばかりだ!死んでトーゼンだろうよ!アンタらみたいな国家の犬が、死ぬべき国民が誰かもわからねぇのが、一番クソだって言ってんだよ。分かったなら、死ぬ前に帰ったほうがいい…………ぜッ!!!」

 

 

言いながら磯辺は銃を放った。

弾は俺の足元を外して床に着弾する。

 

 

「ひ、ひえぇぇぇぇぇっ!!!!!!」

 

 

キクリは一目散に逃げ出してしまった。

そしてすぐさまそれを逃がすまいと大勢の団員たちが一斉に俺たちを包囲する。

全員、手に金属バットやナイフを握って武装している。

 

 

「すぐに殺したらかわいそうだから、わざと外してやったよ。でも次は外さねぇぜ?背中を向けて手を挙げてこの建物から出な?おれたちに手を出したらどうなるか、帰ったら他の警官にも教えてやりな?」

 

「…………………黙っていりゃあ、好き勝手言いやがって、」

 

「………………………………………ん?声が小さいよ?」

 

 

 

「お前さっき、俺にはどの国民が死ぬべきか分かっていない………って言ってたな」

 

「あぁそう言えばそんな事も言ってたか。あんたの無能ぶりを表すちょうどいい表現だったと思うんだけど?」

 

「それに関しては声を大にして否定させてもらう。俺は、死ぬべき国民と生きるべき国民の判別はこの国の警察の中の誰よりもついているつもりだ」

 

「へぇ?それって自分のこと言ってる?」

 

「要は、死ぬべき国民はお前たちだってことだ」

 

 

俺は黙って銃を構える。

もちろん安全装置は取り外している。

それを見て俺を取り囲む外道たちは一歩二歩下がる。

 

 

「銃?へへーん。それがどうしたっていうのです、お前たち!だまされないでくださいよ!この国の警察は撃てないんですよ!そうでしょ?」

 

 

「あん?なんか言ったか?」

 

 

俺は軽く銃の引き金を引いて、俺を取り囲む外道のうちの一人の心臓を撃ち抜いた。

 

 

「ごぇぇぇっ!!!」

 

 

一人はあっという間に即死した。

 

 

「………………………………は?」

 

「ときどき、マル暴やってると現場でお前みたいなのを見ることがある。撃てないと思って調子に乗るようなヤツは最後毎回泣き喚くんだよ……………俺は普通に撃つぞ。俺は国民を守るためなら、どんな奴だって何人でもブチ殺す。それが俺の警官としての信念だよ」

 

「ば……………へ、へぇ。なら…………おれたちもあんたを殺しますよ………!正当防衛ですからねェ!みんな、この国を守るために、国家の犬を殺せぇぇぇ!!!!」

 

 

磯辺の指示とともに、日滅軍のバカどもは武器を構えて突撃してきた。

 

 

「ひぃぃぃぃぃ!!!シバさーん!助けてよぉぉ!!!」

 

「黙れキクリ!自分の身ぐらい自分で守らんか!」

 

 

そして俺はマントを広げ、腰に吊るした軍刀に手をかける。

 

 

「こ、こいつ刀持ってるぞ………!!!」

 

 

 

「国家のゴミめ、死ねェェェェッ!!!!!」

 

 

「ギョェェェァァァァァ!!!!」

「うげぇぇぇッ!!!」

「おぎょぉぉぉぉぉっ!?」

 

 

強烈な横薙ぎで俺の目の前の団員たちは身体を上下に両断されて一撃で絶命した。

 

勘違いしている人間が多いようだが、俺は下手な組織の殺し屋よりもずっと強い。

俺の日本刀は一人斬るごとに次の獲物めがけて飛びかかる。

 

 

「警察に逆らうからこうなるのだ!」

 

「ぎゃぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

俺の最も得意とする袈裟斬りによって肉と骨を両断されて2つの体に切り離されて倒れるバカ。

 

 

「な、なんだコイツ………!やってられっかよ!」

 

「裏口から逃げますよ!!!」

 

 

磯辺たちは裏口から逃げようとする。

だが、そんな分かりきったこと、最初から対策をしているに決まっているだろう。

 

 

 

「扉を開けろ!外へ出て散り散りに逃げるんだ!」

 

「はい!」

 

 

バカ共が俺から逃げて裏口の扉を開けた。

 

 

 

次の瞬間──────!!!

 

 

 

 

「ふぅぅッ、ハァッ!!!!」

 

「ぐぅぅぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「おげぇぇぇぇぇぇ!!!」

「カワイイコッ!!!!」

 

 

男たちは突如として現れた女により、大きな鉈で脳天を叩き切られたのだ。

 

現れた女は長いスカートと白髪、それからエプロンをはためかせながら男たちを切り刻んでいく。

 

 

「ふっ、」

 

「ごぇぇぇぇぇぇ!!!」

「うぎいぃぃぃぃ!!!」

 

 

鉈で頭蓋骨を叩き斬られてまた数人が死ぬ。

そう、こうなることを見越して、裏口で石長木ノ葉を待機させていたのだ。

 

 

「な、なんだなんだぁぁ………………!?」

 

「ふッ!!!!」

 

 

木ノ葉が3本のナイフを一斉に投擲。

ナイフは外道一人の額、首、心臓に突き刺さり、絶命寸前の瞬間に唐竹割りで頭頂から2本の鉈で両断した。

 

木ノ葉が握っているのはマシェットという中南米に伝わる生活用の鉈型の刃物だ。

ガーデニングや農作物の収穫、果物を切り分けたり動物の肉を解体するなど、現地の民間で広く使われる伝統の道具である。

 

日本刀ほどの切れ味を持たない、斬るというより叩き切るに近しい動きで自分よりも歳上、大柄な男たちの命を軽く潰していくうちに、木ノ葉の姿はたちまち他人の血で汚れていく。

その美麗な顔に汚らしい鮮血を浴びても木ノ葉は眉一つ動かさない。

 

 

「こ、このクソアマ…………!!!」

 

 

背後から木ノ葉が羽交い締めにされる。

 

 

「ふん、」

 

「ごぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

木ノ葉はすぐさまマシェットを逆手に持ち変えて背後から自分を掴む男を串刺しにする。

そして瞬く間に両手首を切断。

 

 

「お亡くなりなさーい!!!」

 

「ドウイウイミィィィッ!?」

 

 

最後は2本のマシェットを腹に突き刺し、臓腑を切り開きながら開きにして惨殺してしまった。

 

木ノ葉はもともと名家の護衛職が出身。そこいらのチンピラや半グレを軽くあしらう程度の戦闘能力はある。

 

 

「こ、こっちは危険だ…………正面から分かれて出るぞ!!!」

 

 

当然、たった一人に多くの部下を斬り殺され、これほどの力を見せつけられれば、磯辺は木ノ葉から逃げざるを得なくなる。

 

 

「どこに逃げ道があると思ってんだ。バカか貴様は」

 

 

だがしかし、木ノ葉の反対方向に逃げようとすれば、今度は俺の間合いの中だ。

俺は刀を納め、居合で襲いかかる。

 

 

「へ……………?」

 

 

次の瞬間、俺の落雷のような抜刀が磯辺に向かって跳ね上がる!

 

 

「雷轟・一閃───!!!!!産まれ落ちたことを永久に後悔するがいい!!!!」

 

「うぐぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

俺の一刀で磯辺の胴は完全に切断された。

 

 

「か……………ぁぉ……………ぅっ、」

 

 

上半身と下半身に分かれても、まだ微かに息を残しているようだ。

 

 

「お前は何か決定的な勘違いをしているようだから、冥土の土産に教えておいてやる」

 

「うぅっ……………うー…………」

 

 

俺はもうないような身体で這って逃げようとする磯辺の前に屈み込み、その顎を掴んで持ち上げる。

 

 

「小学生でも分かる根本的な話だが………悪いことをしたら警察が来る。それが悪人をどう裁くかはまた別の話だ。お前はな、人を殺すことがどれほどの重い罪か理解できていない」

 

「がぁ……………ぁ………………おれの…………からだがぁ…………」

 

 

そのまま俺は死神のような笑みで睨みつけながら磯辺を嘲笑う。

 

 

「いまの俺含めて、人を殺すのは紛れもない最悪の罪だ………やっちまった時点で、「どうなっても良い」って言ってんのと同じなんだよ………俺はな、その中でも特に罪のない国民を襲うような殺人者っていうのは………俺がどうなってでもブチ殺してやりてぇんだよ」

 

「あ……………あぁ………………っ、ぅ……………」

 

「そんなに泣かなくても大丈夫だ、俺には人を苦しませて殺すような趣味はないからな。人想いに今すぐ殺してやるよ」

 

 

これが天羽組に捕まってりゃ、地獄のほうが100倍辛いような目に遭わされていたな。外道にしては、かなりの激運だったな。

 

俺は左手で掴む磯辺の顔面を右腕で殴りつけた。

 

 

「そぉぉぉらよっ!!!!!」

 

「ごぶっっっっぅぅぅぅぅぅ!!!!!」

 

 

そのまま俺の拳に押し出された磯辺の後頭部は建物の床に激しく叩きつけられ、奴は後頭部を完全に砕け散らせ、脳漿をぶちまけて死んだ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

余った残りの雑魚たちはキクリと木ノ葉が一掃してくれていた。

 

 

「シバさーん!全員やっつけましたよ!」

 

「キクリくんはずっと逃げていただけだったわ」

 

「木ノ葉だけはご苦労だった」

 

「えーっ!僕は!?」

 

 

俺が求めてるのは成果だけだ。

過程などどうでもいいが、成果を出さないのなら何も認めない。

お前なんか誰が褒めるか。

 

 

「いやしかし、木ノ葉ちゃんもそうだけど、シバさんの戦いぶりはいつ見ても圧巻の一言ですよ!まさに武神ですね!」

 

「武神、か。どうせお前のことだ、俺の苗字を文字って「シヴァ神」とでも呼ぶつもりなのだろう」

 

「オーノゥ。他のボケ考えなくちゃ…………」

 

 

俺はやれやれと呟いて立ち上がり、軍刀を仕舞う。

 

 

「さて、コイツらの処理は業者に任せて、俺たちは帰るぞ。天羽組にも報告しなければな。氷山の一角に過ぎないとはいえ、着実に黒幕へと近づいている」

 

「はァいっ!」

 

「帰り道、何かケーキでも買うとしましょう」

 

「お前は服と身体を洗ってからだ。相変わらず身体や服の汚れが気にならないのだな」

 

 

そんなアメリカザリガニみたいな見た目で店に行けるか。

あと、この時間帯にケーキ屋なぞやってるか。

 

 

「木ノ葉ちゃんってふだん大人しそうなのにこういう時ほんとアグレッシブだよね~。こんなによごれちゃって。シバさんなんて返り血全部避けてるよ。ほら、マントにもついてないや」

 

「別に。この程度の汚れや臭い、私にとっては気にならないわ」

 

 

木ノ葉は愛用のマシェットやナイフだけは濡れたタオルで血を拭い、あとはほったらかしにする。

まぁ、武器は血で錆びてしまうから意味はわかるのだが、前々から身体と服の汚れは気にしない。

俺はとてもじゃないが、外道の血なぞ一滴たりとも浴びたくない。

 

 

「まぁ、お前がどうあれ衛生的にもよろしくない。さっさと帰ってシャワーを浴びろ、それだけだ」

 

「僕も逃げるのに必死で汗かいちゃったし一緒にどう?」

 

 

木ノ葉がキッ、とキクリを睨みつける。

 

 

「キクリ、うちの事務所の特別ルールの第一条は覚えているか?」

 

「えぇもちろん!『全霊をかけ何としてでも住民を守る』!」

 

「違う、それは第3条だ」

 

「あれっ?なんだっけ?」

 

 

 

「『セクシャルハラスメント厳禁』だよ、馬鹿野郎!!!」

 

 

 

「どわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ打ち上げ花火ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」

 

 

俺は全力でそのケツを勢いよく蹴り上げた。

キクリは6メートルぐらい飛び上がった。

 

 

 

「よし帰るぞ。事後報告をして今日の業務は終了だ」

 

「司馬さま、天井に突き刺さってるキクリくんはどうしましょうか」

 

 

 

「死体回収業者に、ついでで降ろさせる」

 

 

 

 

 

俺はキクリを現場に放って血塗れの木ノ葉とともに事務所への帰路へとつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回「激震・天羽組襲撃」

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