M.O手術の説明を受けた俺は小吉さんに質問した。
「小吉さん、術後に生まれた子供は俺が3人目て言ってたけど、所在は掴めているんですか?」
「一人はいるだろういう予測の範囲に過ぎない、
だが一人はここにいる。ミッシェルちゃんという名前だ。」
「ミッシェル?」
聞いたことがあるような…?
「あっ」
思い出した。昨日小吉さんが会議をサボった時だ。
『ミッシェルちゃんがやってくれてるだろう。』
小吉さんの代わりに会議押し付けられた人だ。
「ちなみにアネックス計画では俺が艦長、ミッシェルちゃんが副艦長を務めるからな。」
「彼女もUーNASAに居住しているから会うかもしれんな。」
「そーすか…」
「それとここにはもちろんのこと、ジムが完備されている。四年後に備えて適当に通っとけ。」
「うす」
ジムか…親父が死んでから全く鍛えて無いな。
よし!行くか!
ということでまずは週四でジムに通うか。
「まずは…ジムの下見に行くか。」
「おぉ〜ジムもでけぇ〜流石UーNASA!」
と思わずテンションが上がってしまった。
誰かいたら恥ずかしい…だが誰もいなかった。そりゃそうか、今は深夜1時ごろだしな。と思ったら…
聞こえる。ルームランナーの音が。誰かいる。
「嘘だろ…?」
夜更かししてまで体鍛えに来るなんて、UーNASA
にはボディビルダーでもいるのか?
恐る恐る俺は音の方を見に行った。
女性だった。
「熱心ですね。」
話しかけてみた。すると…
「ア?」
…睨まれた。なんで?
「い、いやぁこんな時間まで体鍛えてるなんて熱心ですねーと思いまして。」
「あぁ」
「お前、見ない顔だな。新入りか?」
「あぁ、はい。今日からUーNASAに来ました、
神崎刃といいます。」
「神崎刃か、よろしくな。」
「私はミッシェル・K・デイヴスだ。」
「あなたが…ミッシェルちゃん…」
「なめんな。年下だろうが。」
「…すいません。小吉さんのが移ってつい…」
「…あのおっさんがちゃん付けしてたのか。」
「おーい!刃ー!」
おっさんがきた。最悪のタイミングで。
「言い忘れてたけど、あの薬はもう飲むなよ。」
「えっ、それっていいんですか?」
「お前がM.O手術を受ける時邪魔になるからな。」
「それと近々、M.O手術のベースを調べるパッチテストを行うからな。」
「わかりました。」
「それとミッシェル、鍛えるのは良いが、あまり夜更かしはいけないぞ。健康と美容に悪いぞ。」
「ちゃん付けはどうした?」
「…刃…もしかして?」
「成り行きで、つい」
「全くこのおっさんは…」
「それに今はあいつらの殲滅に備える事が最優先事項であり」
「私の生き甲斐です」
後日俺は小吉さんに
「ミッシェルさんは誰の何のベースを受け継いだんですか?」
小吉さんは
「ミッシェルの父親はバグズ2号の艦長、ドナテロ・K・デイヴス。彼のベースはパラポネラ、蟻だ。」
「蟻?それ、強いんですか?」
「バグズ手術、及び、M.O手術ではベースとなった生物の能力は人間大に換算される。」
「蟻は自重の100倍程の物体の持ち上げる筋力を持っている。」
「100キロの人間が使うとすると…」
「1万キロ…」
「凄まじいだろう?」
なるほど…それを高める為にあそこまで鍛えるのか…
でも…
「なんでミッシェルさんはテラフォーマーをあそこまで忌み嫌うんですか?」
「ミッシェルは父親が火星で死んだ事しか知らされていなかった。」
「何も知らないミッシェルは、父親は母親と私を捨てて行ったと思っている。」
「そして、蟻の能力を悪魔の能力だと思っている。」
「悪魔の…能力…」
「ミッシェルは能力のせいで常人以上の五感、筋力を備えて生まれてきた。」
「周りの人にも相談する事が出来ず長年苦しんで来たからな。」
能力のせいで…俺は考えた事が無い。
ずっと薬で抑えてきたから。
というか、
能力の事すら最近知った。
分かり合えるのか?
知りながら苦しんできた彼女と、
知らずに生きてきた俺は。
そんな事を思いながらかつて親父の部屋だった自室に戻った。
机の上に写真があった。親父と小さい頃の俺を抱える
母。
母の名はカレン・B・カーライル。アメリカ人だ。
親父が地球に戻って治療を受けた際、担当した看護師だ。
親父は一目惚れだったらしく、顔を見るなり、
『結婚してくれ。』
と言ったらしい。
まぁすぐに結婚はし無かったが一週間で完治し、リハビリを済ませた後結婚したらしい。
そして、俺が生まれた。1月23日に。
母は優しかった。しかし…
親父が亡くなる一週間前に死んだ。
「寝よ」
過去は過去、今は今だ。
そして、後日その夜、ジムに向かった。すると…
「おぅ、刃か。何しに来た?」
「いえ…鍛えに来ました。ミッシェルさん。」
既に先客がいた。
それから1時間程お互い黙々とトレーニングに努めた。
するとおもむろに
「なぁ刃」
「艦長が薬と言っていたが一体どんな薬なんだ?」
「えっ!?いや…なんでそんな事を?」
「いや…M.O手術に関わる薬なんて聞いたこと無いからな。」
「俺も詳しい事はわかんないすけど…」
「小吉いわく俺のモザイクオーガンの活動を抑える薬らしいすけど…」
ミッシェルの顔が驚きと怒りに包まれる。
「そうか…お前に私の苦しみはわかんないな…」
「いや!でもミッシェルさんの苦しみは理解出来ます!だから…」
「黙れ!!」
「お前に私の苦しみが解るか!?」
「人には聞こえない音が聞き取れ、人が気にかけない匂いが匂え、同じ年頃の子より体重があって、時々角が生えるこの苦しみが!」
「この悪魔の能力が!抑えてきたお前に解るか!?」
「あなたはなんでその能力を悪魔と呼ぶんですか!」
「それは悪魔なんかじゃない!紛れもなく!あなたの父親の能力だ!あなたの父親の愛情だ!」
「うるさい!黙れ!!」
ミッシェルが胸倉を掴む。そして額からは…
(角…?)
触覚のような角が生えていた。
「見えるか!この忌々しい角が!」
ミッシェルさんが能力を蔑む度、俺に怒りが溜まっていくのがわかった。
親父の事も否定されているような気がした。
「どうして父親を信じてあげないんですか!?」
「お前に…」
「私の父の何が解る!」
ミッシェルさんが胸倉により力をこめる。
(やばい…絞まる…)
俺の意識が危うくなった時、俺の中の『何か』が目を覚ました。
胸倉を掴むミッシェルさんの腕を俺は掴む。
「いい加減に…しろよ…!」
「お前…っ」
ミッシェルさんが驚いた顔で俺を見る。
(あぁ変態しちまった…)
俺は直感的に解った。
だが、俺は気付いた。ミッシェルさんは俺の顔を見ていない。見ているのはミッシェルさんの腕を掴む俺の右腕…
「「なんだこの腕は…」」
俺はトレーニング場の大鏡で自分の姿を見る。
そこにはミッシェルさん同様、角を生やした俺の顔。
そして右腕は人では無かった。
「うわぁぁァァァァァァァ!!!!」
俺の右腕は黒い外骨格のような物で覆われ、手首を守るプロテクターのような所から長い刃ような物が伸びていた。
いや…顔もおかしかった。顔の右側はより変態が進んでいた。
「なんだこれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「落ち着け!刃!」
「何ですかこれは!ミッシェルさん!」
「いいか…落ち着け刃…」
「ゆっくり深呼吸をしろ。」
俺は言われたとうりに深呼吸をする。
段々変態が収まっていく。
「ハァハァハァ…」
「スーハァー…」
「落ち着いたか…刃…」
「…はい。ありがと…ござい…ます…ミッシェ…さ…」
「刃?おい刃?しっかりしろ!刃!」
俺の意識は途切れて行った…
読んで頂きありがとうございます。
執筆中の小説からテキストコピーして次話投稿する
以外何か良い方法で次話投稿出来るなら誰か教えてください。