アルシェ激推しによるOVERLORD 作:ヤーナム産の明太子のなにか
追記
コメントにて「オバロの位階魔法って超位以外即時発動」というご指摘をいただきました。
筆者の全面的な知識不足により、後から修正をかける事態となったことを深くお詫びすると同時に、ご指摘いただいた方に感謝申し上げます。
『んじゃ、やっていこうか。』
「はい!」
現在ローリアン達が受けているのは「ゴブリンの討伐」。
低級エネミーもいいとこであり、ローリアンにとっては寝てても勝てる相手だが、デーフェにとってはそこそこに難敵。
特に数が多い時は後衛職という都合上逃げるしかないはずであった。
これはそもそもデーフェの修行なのでローリアンは側から眺め、危ない矢などが飛んでくればはたき落とす。
その程度のことしかやっていない。
だが、デーフェは、ゴブリンやその群れと出会い、討伐していく中で自身の「変化」に気づきつつあった。
(…僕の魔法、こんなに強かったっけ?)
自身が放つ魔法。その威力に違和感を持つところから始まった。
いつもは1回で倒しきれないゴブリンを1確できる様になってきたからだ。
(…おかしい)
疑惑は段々と確信に変わる。
今度は、自身の魔法が3体のゴブリンを巻き込んですべて倒してしまった。
(おかしい!)
そして自身の違和感を明確に認識した頃、ゴブリンの必要討伐数は達していた。
恐る恐ると言った様子でデーフェがローリアンに話しかける。
「あ、あの!」
『ん?何かな?』
「僕…なんかおかしいです…」
『どうしたの?どこか痛めちゃったかな…』
「い、いやそうじゃなくて…強すぎるんです、僕の魔法が前よりも」
デーフェは感じた違和感を言語化し、ローリアンに伝える。
体調の心配という見当違いな想定をしていたローリアンは「ああ」という顔をして
『そのこと?そりゃそうだよ。』
「え?」
『デーフェちゃん、あの指輪に祈ったでしょ?
簡単に説明すると、あれってこの世界に20個もないであろう激レア品なんだけど…その代わりお願い事、叶えてくれるんだよね。』
実際には「星に願いを」は全ての願いを聞き届けることはないのだが、あながち間違ってはない。
基本的に「可能」ならば実現できるのだ。
「え?え?」
『だから多分、デーフェちゃん今の強さで言ったらミスリルの最上位以上じゃない?』
「…」
『デーフェちゃん?』
「え〜!?」
『デーフェちゃん?!』
デーフェが驚いたのは自身が強くなったことではない。
他人を強化するタレントだってあるかもしれないし、努力すればまだまだいけると自身でも感じていたからだ。
真に驚いたのはそこではなく…
「ぼ、ぼぼぼ、僕に……世界で20個以下しかないマジックアイテムを??!!」
『あ〜そこはまぁしょうがないよね。じゃないと間に合わないし。気にしなくていいよ?』
「しょうがないじゃ無いですよ?!それ売ったりしたら幾らに…?」
『ん〜小国なら買えるくらいじゃない?』
「国を…?!なんてものを僕は気軽に?!」
あわあわと慌てふためいているデーフェを横目に、ローリアンは別のものを見ていた。
そう「デーフェ」のステータスである。
使用しているアイテムは「見通し眼鏡」
終わってる名前だが本人の許可があればステータスがどこでも確認できるアイテムだ。
クリスマスの日とクリスマスイヴの日に、48時間連続でログインすると貰えるそれは一体「何」を見通す気なのだろうか。
クソ雑魚なアイテム効果を持つ運営からの「煽りアイテム」であるが、こっちの世界では重宝するどころの話では無い。
リビルドや調整が容易で無いこの世界において明確な現状把握は大きな力なり得るからだ。
ローリアンはそれを使い、デーフェのステータスを確認していた。
現在デーフェのレベルは「28」。この世界だとレベルだけで見るならかなり高い方だ。
だがローリアンはそこは一切見ていなかった。
見ていたのは…
(これ…いや知ってたよ?この世界に「タレント」っていうのがあるのは知ってたけどさぁ。)
この世界のは「タレント」と呼ばれるものがある。
それは「才能」の名を冠す文字通り生まれつきの体質に様なもの。
ユグドラシル基準で言えば「スキル」に近い。
そしてそれは、ローリアンにとって、いやこの世界においてもとんでもないものであった。
(「魔法発動を同時に5つまで行える」...モモンさんあたりが見たら卒倒しそうなスキルだな。)
このタレントは実はこの世界基準だとあまり目立たない。
そもそもの魔法のレベルが低すぎて「魔法発動」を5つできる実力になることがほぼ無いのだ。
それこそ、かの「フールーダ」ならば、多少の意味は生まれるかもしれないが…
が、今のデーフェはレベルの上限が突破され、この1週間は凄まじい速度で成長していくだろう。
もちろんローリアンもそこへの協力を惜しむ気は無く、それ故に魔法もじゃんじゃか覚えていくことになる。
さて、では「第十位階魔法」や「超位魔法」にこのタレントが適応されたらどうなるか?
A.ユグドラシルプレイヤー発狂レベルの最速最多詠唱魔法使いの完成。
である。
『デーフェちゃん、この1週間結構ガチで頑張ろうね?』
「え、はい!頑張ります!!」
しばらくして多少落ち着いたデーフェはそんなことはつゆ知らず、せこせこと素材を回収している。
この世界では魔物の体の一部が討伐証明になるからだ。
ローリアンは心から「ワクワク」していた。
(こんなリアルでやりがいのある育成ゲーム…ガチるしかないよね!アルシェを守るためにも僕までとは言わずとも多少の戦力は欲しいし!
流石にリビルドの素材までは渡せないけど、それでもこのタレントには成長させるだけの価値がある。)
『と、デーフェちゃん、今日はこの辺でお別れかな。』
「は、はい。まだ夕方ですが、帰られるんですか?」
『いや、実はお偉いさんから時間までに戻ってくる様言われててね。』
ローリアンは帰らなければならない事情をデーフェに説明し、その場を後にする。
宿代と諸々の諸費は全部デーフェに渡したので不自由もないだろう。
(思わぬ掘り出し物すぎない?確かにツアレ?みたいな名前の子もすごいタレント持ちだったけど…)
この世界の人族は基本的に脆弱、だが無限の可能性を秘めている。
それはアルシェのことを抜きにしても、ローリアンを十分にワクワクさせていた。
『…で、なんでこうなってるんです?』
「本当にすまない…最近多いのだ、この手の襲撃が。」
ローリアンがウキウキで城に帰り、ジルクニフに会いにいくとその部屋には鮮血と、それを浴びつつも平然としている次期皇帝ジルクニフ、そしてその側近達がいた。
話によれば、召使に変装し、他貴族の使いが暗殺を試みたらしい。
結果はこの通りだが。
(さて、結論は早いほうがいいかな?難しい話をするのは嫌なんだ。)
皇帝ジルクニフの狙い、それは知略に長けないローリアンでも大方分かっている。
未知のタレントを持ち、見るからに実力者であるローリアンを仲間にひき入れ、後の「粛清」に手を借りようとしているのだ。
(正直どうだっていいけど、帝国と仲良くなっとくと後々便利なんだよね。特にナザリック関連で。)
今の今まで関わったのは最初きりだが、明日にもナザリックは原作にない行動を始めるだろう。
要するにローリアンという異物によるバタフライエフェクトである。
だからこそ、早めに準備を整えなければならないのだ。
さもなくば待つのは圧倒的暴力と質量による「圧殺」である。
『なんというか、腐ってますね。』
「…そうだな。」
(今の間、こっちの思惑に気づいたっぽいなぁ。どんだけ鋭いんだよ本当。)
『もう気づかれてるのでしょうで、手短に。
手は貸しますよ。汚れ仕事だろうがなんだろうが。』
「ほう?良いのか?最悪お前は貴族達によって殺されるかもしれんぞ?」
『やられませんよ、絶対に。』
「何故言い切れる?」
『う〜ん、キザったらしい言い方になりますが…愛する者のためですね。未だこっちで会ったことはありませんが。』
「…クク、クハハ!そうか!愛する者のため、まだ死ねぬか!」
結構シリアスだった空気をぶち壊し、ジルクニフは唐突に笑い出す。
それは案外しょうもない理由を平然と言い放った謎の強者がなんとも面白かったからかもしれない。
先程に比べて明らかにフランクな空気になったジルクニフは血を拭い、その端正な顔に鋭い笑みを浮かべながら宣言する。
「謎の旅人、名はなんと言う?」
『リアンです。』
「そうか、リアンよ。」
双方共にこの後どうなるか理解しているが故に、こんな宣言本来ならいらないのだが形式上必要なのだ。
ローリアン、ひいてはリアンは次期皇帝の剣である。
それを宣言することは、この瞬間よりローリアンも貴族達に狙われ始めると言うことだった。
が、ローリアンはそんなことは気にしない。
まだ「愛する者」と会えてすらいないのにくたばるわけにはいかない。
「我が剣となり、この帝国の癌たる者共を焼きつくすことを頼めるか?」
ジルクニフの立場を使えば命令もできるが、それをせずにあえて問う。
それこそが、何よりも大きな意味なのだ。
『謹んでお受けします。僕は、この帝国に蔓延る膿を全て焼き、鮮血を焦がし、正しきを取り戻すことに尽力いたします。』
帝国はこと「粛清」において、最も鋭く熱い「炎」を手に入れた瞬間であった。
デーフェのタレント「魔法発動を同時に5つまで行える」のついて
要するに並列詠唱。
特段制限もなく使えるので、見事とんでも技能となった。
魔法職として見た時、ユグドラシルプレイヤーからすればぶっこわれもいいとこであり、このキャラがモモンガ目線から見て脅威の1つとなる主な要因。
現時点ではまだ経験やレベルの関係でイビルアイの方が強い。
※
作者のガバにより大幅な変更があったことを酷く謝罪いたします。