アルシェ激推しによるOVERLORD 作:ヤーナム産の明太子のなにか
亀の化身みたいな作者なのにこんなに評価をいただいて感謝の極みです。
大変ありがとうございます!
アルシェいちゃ要素まで突っ走ります。
『順調だね。どう?日に日に強くなるのは。』
「そ、その…ちょっと怖い…です。」
『ふふ、そう?デーフェちゃんはもっと威張っていいと思うけどなぁ。』
ローリアンはジルクニフからしばらくは自由にしていいと言われたので、ありがたくデーフェと共にこの2日間、討伐依頼を片っ端から受けていた。
先日、その成績が認められ、ゴールドへの昇進もしたらしい。
少しだけ慣れてきたのか、最初の落ち着きのなさは少し落ち着いた様に見える。
デーフェのレベルは現在「43」、この世界ではもはや比類なき強者と呼ばれる領域に足を踏み入れていた。
そうなってくるとやはりある問題が起こる。
『あ〜分かってたけど…弱すぎか。』
「そ、そうですね…あんまり成長している気もしません。」
敵が弱すぎるのだ。
そもそも、この世界然り、ユグドラシル然り、当然の如く倒す敵の強さによって貰える経験値は大きな差がある。
そして自身のレベルが上がるにつれて、「効率の良い」敵はどんどんと数を減らしていく。
故にこそ、ユグドラシルでも良く「95レベルまでは余裕、そっからは地獄」なんて言われたのだ。
(う〜んどうしようかな〜、冒険者のランクが次上がるときには「星に願いを」は切れてるだろうし…それにいつ「タレント」を教えるかも悩ましい。
本人が気づいてないだけで、十分もう実用できるレベルなんだよなぁ。)
この世界で生まれた都合上、レベル42というのは完全に魔法職で固められているわけではない。
大体3〜5レベルほどは、自身の経験や得意なものから勝手に習得した技能を取っている。
そういうものなのだ。
だが、それを差し引いてなお、デーフェを止められるものは今や一握りだろう。
彼女が放つ魔法の威力はもはや規格外(この世界基準)の領域だ。
『あ』
「…?どうされましたか?」
『そうじゃん。良い方法思いついちゃった。』
(なんでこんな良い方法今まで思いつかなかったんだろう?
高レベルモブがいないならいるとこに連れて行けばいいじゃん!)
『デーフェちゃん?』
「はい!」
『狩場…変えよっか。』
「もちろん大丈夫ですけど…どこに行かれるのですか?」
『強いていうなら…僕の家?とでもいうべき場所かな。』
ここまで言えば誰でも察せられる場に、ローリアンはデーフェを招くことに決めた。
「深く考えるくらいなら基本真っ直ぐ行く」という性格から「ある大事なこと」を伝えるためにも。
『はい、ここだよ。』
「ここって……洞窟?あっ、そ、その…」
『ふふ、良いんだよ。そんな気を使わないで、ささ、中に入ってくれるかな?』
案の定ローリアンがデーフェを招待したのは自身のギルド「渦」であった。
正確に擬態されたそれは、目を凝らさなければそもそも勘付けないし、勘付いたとしても、小さな洞窟の入り口程度にしか思えない程度の大きさの入り口であった。
デーフェは自身と同じホームレスなのかと思い、畏っている。
が、その思いは瞬時に裏切られることになる。
「…え?」
『ね?気にしなくてよかったでしょ?』
デーフェ達が中に入ると広がっていたのはデーフェにとっては未知。ローリアンにとっていえば近未来フィクションにありがちな、無機質な白い壁と、舗装された通路であった。
「渦」の名前に見合う通り、その道は婉曲している。
『ようこそ、僕の家?というかギルド。「渦」へ。』
「…へ?」
『あはは、急なこと過ぎて困惑してるかな?ごめんね、でもこれが手っ取り早いんだ。』
「そ、その…え〜とつまり」
困惑、そしてそれを解消しようと考えると更なる困惑が出てくるこの状況にデーフェは頭から煙が出そうな様相であった。
それはそうだろう、この大きな、自身の見たことのない「建造物」が自身の家であると慕っている人が言っているのだ。
少し間をおいて、無理やり状況に踏ん切りをつけたのか、デーフェは言葉を続ける。
「この、とっても大きな建物がリアンさんのお家なんですか?」
『そうだね。本当は他に3人、同居人がいたんだけど…もういなくなっちゃってね。』
「…すいません。」
『ん?あぁいや、多分みんなまだ元気にしてるよ?ただ、ちょっと遠いとこに住んでるんだ。』
「そ、そうですか!良かった…」
(う〜ん清々しいほどに良い子!普通に洗脳が一番安全なんだけど…まぁ、大丈夫か。)
ローリアンはデーフェに対してまだ3日ほどしか馴れ合っていないが、前世含めて豊富な人生経験はその洞察眼にて現れていた。
デーフェはなんとも真っ直ぐで、気遣いができて、謙虚な子である。
お世辞抜きでそれがローリアンからのデーフェへの印象であった。
だからこそ、「渦」という自身の拠点に招いた訳だが。
そして、ここを明かすということはもう一つ、明かす事がある。
それは…
『でさ、デーフェちゃん。1個だけ謝らなきゃいけない事があるんだ。』
「謝るなんてそんな…!僕にこんなに良くして下さっているのに、むしろ僕が謝りたいくらいです!」
『ふふ、嬉しいこと言ってくれるね。でも先に言っとく、ごめん。君が見てた僕は本当の僕じゃないんだ。』
「…?!」
なんのことだかわからないと言った様相のデーフェの前でローリアンは「解呪の指輪」を外す。
背は人間離れした高さへと至り、肌は白く、そして何よりこの世のものではないオーラが漂い始める。
明かさなければならない秘密、それは「ローリアンは異形種であること」であった。
目の前で起こる突然の変化にデーフェは驚愕し、言葉を失っている。
ビビリなのもあってか足はだんだんと震えだし、何度も目をパチパチしている。
凄まじくわかりやすい「困惑」であった。
『ね?これが本当の僕。まともな人間や亜人じゃない、呪われた人間なんだ。』
「…」
『デーフェちゃんにあのアイテムを使ったのだって、戦力が欲しかったからだし、体の良い変身まがいのことをして近づいて本当にごめん。
一つ言い訳するとしたら、僕は本当にデーフェちゃんのことを信頼してあのアイテムを使ったし、この姿を見たからってデーフェちゃんに危害も加えないよ…本当にごめんね。』
結局なところ、ローリアンはその性格もあってか、そこそこに罪悪感に弱い。というか情に厚いのだ。
故にこそ、「利用」する自分と慕ってくれているデーフェ、その差に耐えられなくなったのも、今回の種族公開に繋がる。
3日間とはいえ、騙していた罪悪感がローリアンの背筋を伝う。
異形種の精神が故に必要最低限にしか感じないことが更にそれを引き出していた。
そんな中、デーフェは肩を震わせていた。
それは怯えではなく、まして緊張でもない。
感情が昂り、爆発する寸前、その震えであった。
そしてその「爆発」はすぐに起こる。
「……さい」
『え?』
「そんなに自分を卑下しないでください!!」
『?!』
キレている訳ではないが大きな声でローリアンを叱るデーフェはローリアンにとってなんとも驚愕な者であった。
彼女の人柄を知っているからこそ、なおのことそうであった。
デーフェのお叱り、その言葉は続く
「確かに隠されていたのは悲しいですし、もっと信用して欲しかったです。でも!今こうして明かしてくれたじゃないですか!」
『…』
「はっきり言ってあのままだと僕はいつか野垂れ死んでました。こんなに強くなれたのは貴方のお陰です!」
『…』
「ほんの少しだけ人と喋れるようになりました。貴方がいなければそんな機会すらなかったでしょう。」
『…』
先程とは真反対の問答ならぬ問黙が続く。
「なにもかも、貴方のおかげで僕はできるようになったんです!だから…」
デーフェの目から涙が零れ落ちる。
透明なそれはしかし確かな「想い」を含んでいる。
情に厚いローリアンにはそれは最後のダメ押しともいえた。
「だからどこまででもお供致しますし、感謝することはあれど謝られることなんて寸分もありません!どうか、どうか顔をあげてください。」
『デーフェちゃん…』
「は、はい!」
自身が言いすぎてしまったのではないかと心配しているデーフェはいつもの様にたどたどしい返事を返す。
いつもの空気だ。
『最後に、ごめん。まだ一緒に冒険してくれる?』
「もちろんでしゅ!…………」
『あはは!そうだね、一緒に冒険しよっか!』
ローリアンにとっては吹っ切れるような、デーフェにとってはなんとも締まらない終わりであった。
戦技紹介:
名称:『我慢』
効果:
基本性能はあの我慢と同じ。
この世界におけるお手軽スーパーアーマーは結構やばく、特に隙の大きめな攻撃に「我慢」すると確定反撃を入れれる仕様は、かなり強い。
ローリアンの扱いが得意な戦技のうちの一つ。