アルシェ激推しによるOVERLORD 作:ヤーナム産の明太子のなにか
評価、感想等良ければおなしゃす〜
(....気まずい。)
細部まで特に意味のない華やかな意匠で作られた馬車の中に、四騎士の一人『レイナース』、現地最高の魔法使い『フールーダ』、次期皇帝『ジルクニフ』の3人と僕は鎮座していた。
というか、僕という危険人物からジルクニフを守るためにフールーダとレイナースはいるので僕は座っているというより座らされているが正しい。
(別に暴れればこの程度サクッとどうにかできるんだけど...アルシェに堂々と会うためにもなるべく荒事は避けたいんだよね。)
本来なら3人の圧にたじろぐかもしれないが、あいにく精神は異形種のそれだし、レベル差があまりにかけ離れていることで、僕が手を薙ぎ払えば容易に制圧できるこの状況は、ただ気まずくしか感じられなかった。
それを向こうも感じているのか、物珍しい顔でこちらを見ている。
『お前、この状況でたじろいでいないな?先ほども言ったが何者だ?』
『だからただの旅人ですよ。』
『ただの旅人が暗殺者を一瞬にして倒し、かような炎を纏うことがあるのか?』
『それは...僕のタレントですよ、はい。』
『爺、レイナース、そのようなタレントを聞いたことがあるか?この世のものとは思えない炎を纏うタレントを。』
『わしの記憶にはありませんな。』
『同じく、私もありません。』
『とのことだ。つまりお前は何か隠し事をしている、もしくは希少なタレントを持っている旅人ということとなる。そうだろう?』
『まぁ、そうですね。』
(チッ、頭のいい奴と話していると詰将棋されてるみたいで嫌なんだよ。どう言い訳を....あ、そうだ。)
心の底でふと思いついた明暗を早速僕は実行に移すことにした。
『はぁ、勘弁してくださいよ。本当のことを言いますから。』
『ほう?聞かせてもらおうじゃないか。』
『実は僕のタレントは、簡潔にいうと価値のあるものを炎に変換できるタレントなんです。その変換した物の価値の高さによって炎の出力も変わります。
先ほどは、相手が暗殺者でしたので無我夢中で、路銀のほとんどを変換しました。それであんな威力が。』
『確かに、その様なタレントならワシも聞いたことがあります。と言っても炎ではなく農作物を魚に変換するという頓珍漢なものでしたが。』
『なるほど、なぜ隠していた?』
『それが、僕のタレントはその性質上、資金があればかなり強力です。故に貴方達のような権力者にバレたくないのです。特に今の帝国にはね。』
『...なるほど、確かに、今の帝国にそれが知れれば無事ではすまないだろうな。』
一から百まで全て嘘だが、この世界の人々は埒外の何かを引き起こすのは大概タレントだと知っている。
魔術の類であればフールーダが知らなければおかしいことから、タレント、しかもあれほど強力ならば『代償』があるのは必然だ。
だからこそ、この嘘八百はよく効くだろう。
そして、この世界の上位陣に比べて頭がいいわけでもない僕でも、この先の流れは読める。
『よし、お前。俺の家臣にならないか?』
(よしきた、そりゃこんなに強力かつ、希少なタレント持ち。有能な皇帝様なら逃す訳ないよね。)
『...家臣ではなく、一時的に雇われるという形でしたら。私は旅人ですので。』
『ではそれでよい。なに、この先少し、大事なことが帝国であるのだ。その手伝いのみでもいい。』
(つまり粛清ね、ついさっきな感じを見るにまだ革命前、つまり王国とどっこいどっこいと言われていた時期だ。
それを大胆に変えてしまった粛清、それの手伝いをさせたい、と。)
原作を知っているからこそ読めるジルクニフの思考を考えつつ、今後のことを考える。
最終目的はアルシェに会い、悲劇をなくし、幸せへと導くことだ。
そのためには、力だけでなく、ナザリックからの完全保護(あわよくばモモンガの名で安全を誓わせる)、十分な地位、名誉、なにより金がいる。
この中でも1番やりように困っていたのは金だ。
職業の関係上、生産はできないのでお金をどう安定して受け取るかは課題だった。
だが、今、それは解決される。
『ですが、タレント使用時の資源は..?』
『勿論こちらが負担しよう、金ならばいくらでも出す。』
(よっし!!一つ課題を早速解決してやった!)
悪い顔を心中でしつつ、簡単に予測できたその結末に喜ぶ。
ただ手をなぐだけで凄まじい金が取れることが確定した。
しかも、その力を一度誇示すれば、ジルクニフほど有能なものは、いくらでも資金をこちらに割くだろう。
(さぁて、アルシェのクソ両親は分からせないといけないが、根本的な借金は解決できたようなもんだな。)
そう心の中で嘯きつつ、有能な人材を確保できたといった様子のジルクニフと共に馬車で揺られながら、僕は帝国へと、足を踏み入れた。
ちなみに移動中、しつこいほどにフールーダから魔法に興味はないか?と聞かれまくり、凄まじく疲れたのは別の話だ。
どうやら彼のタレントで見えた僕の魔力が彼にも匹敵するものだったらしく、才能を見込んだらしい。
別に今から魔法を覚えたところで、この程度の魔力で何かできるわけでもないので丁重にお断りした。
フールーダはまだ諦めないぞ、とぶつぶつ言っていたため、
(ほんとどうしようもないなコイツ。)
と密かに思った。
『ついたぞ。』
ひたすら馬車に揺られ、暇と気まずさをまた余した結果、次期皇帝の前で狸寝入りするという暴挙に出た僕は、『バハルス帝国』、原作で比較的マシな立ち位置だった国の王城前へと辿り着いていた。
といっても、その中に入ってしまえばしばらくは自由に動けなくなることは容易に想像できる。
だからこそ、旅人という名義を利用させてもらうことにした。
『陛下、良ければここ帝国を暫く見て回っても良いですか?あくまで本分は旅人ですので。』
城についてなお、臆することのなく、あまつさえ旅人であるということを、皇帝からの誘いより優先する僕のことを面白く思ったのか、少し驚き、そして笑いつつジルクニフは答える。
『良いだろう、あの時計が鳴る時になったら城を尋ねてくると良い。寝床と飯程度なら出してやる。』
多分、ジルクニフも僕が本当は旅人などではないと気づいているだろうが、別に帝国を歩かせたところで問題はないと考えたのだろう。
(別に帝国に手を出すこともないし、そもそもアルシェが幸せに暮らせるならなんだっていい。
だからジルクニフの判断は合ってるんだけど...事前情報もなしにその正解を導き出すのは怖いね。
ジルクニフでこれならラナーとかどんな化け物だよ。)
原作世界にて唯一、ナザリックの最高峰の頭脳達と並ぶと言われているの王国の王女「ラナー」。
彼女を味方につけることもアルシェのために大切だったりする。
さもなければ、原作のままでは王国は滅びるからだ。
残酷に、冷酷に、慈悲もなく、ただ淡々と。
ここまで聞くと、デミウルゴス辺りがしでかしたのかと思われがちだが、何を隠そう、その作戦を全て考えたのは「ラナー」本人だ。
(なるべく、諸々揃うまで会いたくない相手だね...あの子だけはレベル差を埋めて、僕を詰ませて来る可能性がある。)
全く見当もつかないが、彼女の頭脳にしばらくの時間と情報を与えてしまえば、多分、いや確実に、僕を殺せる方法を考え出す。
しかも僕には、明確にできないことがあり、アルシェという弱味もあるので尚更だ。
故に僕は彼女になるべく会わないことを望む。
『さて、帝国お散歩ついでに情報収集の時間だ〜!ご飯も食べたいな。』
もちろんアルシェのために行動するが、元の世界では味わえない様々な経験が待っていることに胸を膨らませつつ、僕は帝国観光へと足を踏み出した。
ローリアン装備紹介『頭編』
名称.王の盲冠
概要.物理防御は低いが、魔法や属性防御に優れた装備。
だが、この装備のメインはローリアンがデータクリスタルなど諸々を注ぎ込み、やっとこさ引いた『炎属性ダメージ倍率UP』と『属性ダメージ加算』効果にあり、彼のスキルと相まって火力上昇の一助を担っている。
ローリアンの8ヶ月分の給料が消えた。