碧空のキヴォトス-What a beautiful archive- 作:ユーラシアン
また、アリスについて大幅な設定変更があります
───暗闇の中で。
───僕は、預言者との対話を続ける。
『そも、《神》とは何か』
『お前には分からぬはずだ、ギー』
『お前たちカダス既知世界のカシオン人は。
およそ、神性に対する信仰の概念を持ち得ない』
『そのはずだ。少なくとも、ここ二千年程度は』
───僕は、声の主に相槌を打つ。
───疑問を提示する。
───ならば、お前の言う《神》とは何だ。
『お前には分かるまい。ギー、この都市唯一の人間よ』
『名もなき神々も、忘れられた神々も。そしてこの我々も。
その発生と原因こそ異なるが、今や神と人は不可分だ』
『人が造りし躯体に神性が降り立ち、それが名もなき神となった』
『人の築いた文明の光に追い遣られ、《ふるきもの》は忘れられた神々となった』
『そして』
『人の手によって、彼の者が生み出された』
───僕は、声の主に相槌を打つ。
───疑問を提示する。
───何が目的だ。
『これは証明だ。彼の者が、真に絶対的存在であることの』
『今や滅び去った名もなき神も、今や人に忘れ去られた《ふるきもの》も』
『遥かイリジアの星々に隠れ住まう白き神々も』
『そして、その瞳の欠片を月とする《
『一切悉くを凌駕する。それは目的ではあるが、同時に最初からそうであったことでもある』
『
───僕は、声の主に相槌を打つ。
───言葉を口にする。
「……ああ、そうだな」
♰♰♰♰♰♰♰
───ミレニアム自治区近郊《廃墟》上空。
───高度六千メートル。
連絡偵察型ヘリのプロペラが音もなく旋回するのが見える機体の中で、ギーはひとり、計器盤に整然と並んだ無数のランプが放つ赤と緑の明滅を見つめていた。
『ポイント到着より三〇分が経過。調子はどうですか、先生』
「特に問題はない」
備え付けの通信機より聞こえるヒマリの声に、言葉少なく返す。
調子はどうか、と問われたところで、この偵察機の中に引きこもっているだけなのだから何とも答えようがないというのが本音ではあった。
所在なく窓の外に目をやれば、今にも落ちてきそうな蒼穹の空。遥か彼方の地平線は丸みを帯び、昼光の陽射しが金色の刃のようにして雲に突き立っている。
そして、眼下に広がる灰色の区画群。
《廃墟》
打ち捨てられ、忘れ去られた灰色の都市群は、その名の通りに朽ち果てた姿を晒しながら、視界の果てまで無尽に広がっているのだった。
この空域に到着し、エイミが「じゃ、行ってくるよ」と軽い調子でヘリから飛び降りてから約三十分。ギーは何をするでもなく待機を続けている。
やることは、ない。時折送られてくる映像と信号はヒマリがひとりで解析を続けている。
だからこそ思う。果たして自分がここに来た意味はあるのだろうか、と。
必要とされたシャーレの権限は、特異現象捜査部を一時的なシャーレ管轄にしたことで既に達成済みである。ギーにはヒマリのような情報解析も、前線に立つエイミへの陣頭指揮や支援もできない。
そのことを尋ねてみれば、ヒマリは微笑みながらこう言った。
『もちろん意味はあります。私はリオとは違い、万人に意味と価値を見出すのですから』
その輝かんばかりの笑顔を思い出し───ふと、もうひとつ気になることがあった。
「ヒマリ。君はリオのことを嫌っているのか?」
『はい?』
唐突な質問に、通信機の向こうから頓狂な声が漏れる。
やがて意を取り直したような咳払いに続き、やや焦ったような声で。
『何かと思えば……そのような当然のこと、今更聞くまでもないと思いますが』
「いや、少し気になっただけだよ。それに君は、理由なく他者を嫌うタイプではないだろう」
何のことはない。本当にただ気になっただけだった。
取るに足らない、雑談の話題のひとつ程度のこと。
ヒマリはノイズ混じりの通信音で嘆息してみせると、渋々といった様子で言う。
『……私にも好悪の感情はあります。リオの場合、彼女は私の嫌う条件にたまたま合致しているというだけのことです』
「彼女は立場も才覚も君と並び立つ女性に見えたが」
『能力や立場の如何で、私は人を判断しません。偏にその人間性が故です。
例えば、先生は誰かを怒ることはありますか?』
意図の分からない質問だった。
ギーは内心疑問に思いながらも、素直に答える。
「当然、それはあるだろう。不義や非行の矯正は教職として最低限の義務だからね」
『そうではなく、個人的な感情に基づくものです』
「……それも当然、ある」
例えば、人命を軽視する行いであるとか。
そういうことに対して、ギーは怒りを覚える。自ら手に掛けようとするなら猶更だ。
何を基準にするかは千差万別として、怒ることのない人間などいないだろう。
怒りや憎しみは、喜びや悲しみと同列の感情だ。それらを持つのは人として健全な証拠である。
『リオは違います。彼女は他者に対し、怒るということがありません。
その理由を、先生は知っていますか?』
「……いや」
『彼女はですね、他人に全く期待してないんですよ。
他人が何をして、何を成し遂げ、何を失敗しようが、リオには全てがどうでもいいこと。
だって最初から期待なんてしてないのですから。路傍の石と同じ扱いです』
語るヒマリの言葉には、隠しようのない嫌悪が滲んでいた。
『彼女は万人を等しく無価値と見ています。
それは私の在り方と真っ向から反するものです。故に、私たちは相容れない。
曲りなりにも手を組んでいるのは、先生の言う通り私たちは才覚の極点に立っているというその一点においてのみ共通している、ただそれだけの理由に過ぎません』
「……」
今更だが、余計なことを聞いてしまったのかもしれない。
意図せず陰口めいたことになってしまったのも頂けない。他人の悪感情を掘り下げること自体、あまり褒められたことではなかった。
ならば、何故ギーはこんなことを聞いたのか。
その理由は何となく自覚していた。
それは知らずギーが感じていたこと。
たった一度顔を合わせただけの相手に対して、あまり抱くことのないであろう感覚。
「……耳が痛い言葉だ」
ギーは、調月リオにある種のシンパシーを感じていたのだ。
◆
状況が動いたのは、それから更に三十分後のことだった。
エイミからの通信により、Divi:Sionないしケセドの探索ポイントの発見と周辺の制圧が完了した旨の報告が為され、いよいよギーも地上に降下することとなった。
ギーは事前に用意されていた装備に袖を通す。防弾性の強化カーボンの外套にプロテクター、バイザー付きのヘルメットなど、装着だけで十分ほどの時間を取られるほどの重装備である。脆弱なギーの肉体を保護するために必要なものと理解はしていたが、性能を重視しすぎた結果着膨れし、重量と関節の稼働制限から身動きが取り辛い状態になってしまっている。
『大丈夫ですよ先生、転んでも衝撃は吸収されるので』
などと、ドローン越しの映像でギーを見るヒマリの声は明らかに笑っていた。
今更そうした態度に憤るほど自尊心は残っていないギーだったが、ある程度羞恥心というものはある。
もこもこに着膨れした姿でようやく歩くギーを、エイミが支えるようにして付き添う。
「ほら、先生。足元気を付けて」
「ああ、すまない」
ゆっくり歩くような速さで、ギーたちは崩れた路地を行く。
周囲にはまばらに破壊されたオートマタが散らばっている。、事前にエイミが撃破したものだ。
また新しく集まってくるかも、とはエイミの言である。そうなる前に目的の座標へと移動しなければならないだろう。
「ここが、か」
そうして見上げたギーの視線の先には、やはり経年で崩れ落ちた廃工場があった。
壁はひび割れ、天井には穴が開き、人ひとりが通れるほどの隙間がいくつも形成されている。
ギーの内に、ひとつの疑問が湧いて出た。
「確かケセドなる預言者とは、生産工場のAIが感化されたものだったと聞いているが」
『その通りですね。更にそれらの生産ラインは《廃墟》中に点在しており、どれが本体か分からない有様です』
「……」
無論、目の前のそれがケセドに類する工場ではないだろうことは理解しているが。
或いは、これから感化させるつもりだったのだろうか。そのために捜索していたと?
『先生が多くを疑問に思うことは理解できます。その解消のためにも、いち早く実物を確かめるべきかと』
「……ああ、君の言う通りだ」
足を踏み入れた先は、閑散とした内装だった。
ギーたちが入ったことで埃が舞った以外には、動くものが何もない。
無人の廃工場。劣化した壁や床ばかりが目につく。目ぼしいものは見当たらない。
正面の奥にある、物々しい扉以外には。
「反応があったのはこの先。でもひとつ問題があってね」
【───接近を確認】
エイミに促されるまま歩を進めた時だった。
件の扉の前に立った瞬間、無機質な音声が響いた。
人の声ではない。恐らく、合成された自動音声。
【対象の身元を確認します。和泉元エイミ、資格がありません】
「この通り。明らかに怪しいでしょ?」
「……」
確かに、と思う。怪しさしかない。
何もかも崩れ去った廃墟で尚も稼働を続ける閉鎖システムもそうだが、エイミの個人情報を識別しているという時点で全てがおかしい。
生体認証の類で資格の有無を識別するにしても、通常ならば事前に登録された有資格者とそれ以外を認識するのみである。にも拘らず、このシステムは今まで《廃墟》に立ち入ることのなかったエイミを明確に個人識別している。常識では考えられないことだ。
意を決し、ギーもまた一歩を踏み出す。
扉の前に立つと、全く同じ自動音声が流れだして。
【対象の身元を確認します。■■■■・■■■・■■■■■、資格がありません】
「……やはり、僕でも駄目か」
分かっていたことではあった。
それにしても、ギーという偽名ではなく、本名で呼ばれるとは。
連邦生徒会長の用意した書類にも書かれていたため今更驚きはしないが、一体何がどうして自分の情報がこの都市に流れてきているのか。
嘆息して横を見遣れば、エイミは少し驚いた表情で見つめていて。
「先生、本当はそういう名前だったんだ」
「ああ。隠しているつもりはなかったんだが、どうも良い思い出がなくてね」
『ちなみに私は知っていましたよ? 天才病弱美少女ハッカーに不可能はありませんので』
閑話休題。
『では、本題に入りましょうか。ギー先生、バイザーの横にあるスイッチを起動してください』
指示に従い、ヘルメットとバイザーの繋ぎ目付近にあるボタンを押し込む。
微かな駆動音と共にバイザー表面の液晶が起動し、電子回路に光が走る。
『事前に説明した通り、その装備には先生が知覚した情報をリアルタイムで送受信する機能が搭載されています。本来ならば数値化した五感データの検証程度にしか使えない代物でしたが、先生の持つ《現象数式》の技術を併用すれば話は変わります。それではお願いしますね』
「ああ」
言葉と共に。
ギーの右目に数式光が展開され、瞬間に認識と知覚が拡大する。
空間を、認識する。
数式を起動した状態にギーにとって、世界は二重映しに知覚される。すなわち、通常の物質世界と、1と0の無限連鎖によって構築された数値パラメータの情報世界だ。
物質と情報。この二つは合わせ鏡のように相互影響し合う。
物質の変化は情報を変位させ、情報の変位は物質を変化させる。
常識的な手段では物質の側からしか干渉することができないが、ギーの現象数式は情報の側からの干渉を可能とする。
情報を書き替えることによる、間接的な物質世界の改変。
変異大脳とアステア理論により生み出された数式が合わさることで可能となる、世界を書き換える異形の技術。
この目を通してしまえば、解析できない物質はおよそ存在し得ない。
『……はい、問題なく受信できています。これらの情報は全て解析に回していますので、先生はそのままでお願いします』
指示に従い、数式光の発動を続ける。電子音にも似た数式の発動音が周囲に木霊する。
『強化チタンにナノファイバー、構成物質そのものは常識の範疇ですね。分子結合の異常変異により、耐久性は底上げされていますが』
「じゃあ物理的に破壊することはできない感じ?」
『というよりも意味がありません。扉の形をしていますが、向こう側に空間が見当たらないのです。これ自体はダミーで、認証することで他の場所が開く構造になっているのでしょう』
エイミとヒマリの会話を横耳に捉え、ギーは解析を進める。
表面、或いは扉そのものに意味はない。探るべきはもっと奥底、システム上の回路を辿ったその先にある。
意識を潜航させるように、拡大した知覚領域を先鋭化させて浸透させていく。
この領域を管轄するシステムそのものにアクセスすべく、潜って、更に潜って。
『……出ました。流石は全知たるこの私、そして先生です』
声が響き、ギーの意識が浮き上がるようにして戻る。
数式の起動を停止し、ヒマリに問いかける。
「それで、結果は」
『少しお待ちください。解析した文字列を出します。
不検出……Fermi Particle。
不検出……Emblem of Yield。
不検出……Shittim Chest。
先生、シッテムの箱を扉に近づけてください』
言われるがまま、ギーは腰元の収納スペースから端末を取り出す。
「これを、か」
『はい。解析されたコードからそれらしき文字列が算出されました。他の単語は未だ不明ですが』
「ともかく、やってみよう」
【対象の身元を確認します……】
……沈黙が続く。
人間的な思考など持ちようはずのないプログラム存在が、しかし何かを考え込むように黙りこんでいる。
そして。
【
音声と同時に開放された床面の下部扉に反応できず、ギーとエイミは重力に囚われ自由落下を開始した。
何の予告も、警告、予兆さえありはしなかった。
一瞬の浮遊感と共に足元の暗闇に吸い込まれ、無意識に伸ばした手が空を切る。
そして。
そのままギーは強かに体を打ち付け、その隣でエイミは危うげなく着地した。
「先生、大丈夫?」
「……ああ、何とか」
防護装備を着用していたことが幸いした。
落下の衝撃は吸収され、ギーの体は緩衝材によって柔らかく受け止められた。痛みはなく、恐らく負傷の類もないだろう。
「にしても、ここって一体……」
エイミの声が中途半端なところで止まった。
疑問に思いながらも、ギーは立ち上がり同じ方向を向く。
そして、見た。
───光差す空間の中心で、少女が眠っている。
その光景を何と言おう。
陽の光など入り込むはずのない地下空間に、木漏れ日のように差し込む白い光。
その中央で、石造りの椅子にもたれかかりひとりの少女が眠っている。
白い肌の人間。歳は恐らく十の半ばかそれ以下か。非人間的な美しさを湛える、それは人形のような少女だった。
文字通りに透き通るような白磁の肌も、身長を超える長さの黒髪に縁どられた顔も、その中にある薄紅色の唇も、何もかもが精緻な美術品のように整っている。目を閉じていることもあってか、本当に人間ではないと錯覚してしまいそうで───
(……いや)
その予感は的外れではないかもしれない。
なにせ、その少女は呼吸していなかった。
視線を下げると、その胸は一切上下していない。動くものが何もない。例え睡眠中であったとしても存在する微細な筋肉の運動が、何も見られない。
「……部長、見えてる?」
『はい、こちらでも確認できました。これが、ケセドなる者が探していたもの……』
ギーはそのままエイミを連れ立って接近する。人形のような少女を注視する。
ギーの右目には数式の残り香があった。否応なく、視認対象の状態を識別する。
「……生物ではない。機関人形の類か」
脳内に表示された解析結果に、ギーは独り言つ。
少女の躯体に生身のパーツは一切使われていなかった。強いて言えば皮膚部分はタンパク質の有機素材ではあったが、細胞活動はない。骨格は全て未知の材質による金属質フレームで構成されている。各部の構造は《大帝》ヒュブリスの提唱した人工筋肉理論にも酷似しているように思えたが、確証はなかった。ギーは碩学ではなく、機関物理学も修めてはいないからだ。
「ふぅん? でも肌は触った感じ柔らかくてしっとりしてるね」
「……エイミ。流石に不用心じゃないか?」
「これでも一応警戒はしてるよ。それに、何かあれば先生のほうで分かるでしょ?」
それはまあ、確かにその通りだ。
体術や立ち回りについて素人であるギーの懸念程度、エイミも織り込み済みなのだろう。下手に口を出さないほうがいいのかもしれない。
「椅子のほうに何か刻まれてるね。AL-1S……部長、何か分かる?」
『見たところ型式番号のようですが……そのようなものが割り振られているあたり、まさか量産されているわけではないでしょうね?』
二人の会話を聞きながら考える。
この状況は明らかに普通ではない。
元々が普通ではない状況を想定してきたつもりだったが、しかし想像を超えてきたと言っていいだろう。
「うーん、どうしよっかこれ」
「どうもこうもないだろう。ヒマリ、積んでいた運搬用ドローンを頼む」
『了解です。とはいえ、この子が起きてくれるならそれが一番話が早いのですが』
「冗談でも不吉なことは言わないでくれ」
得体のしれない機関人形が、今この場で目覚める。
話を聞ければ確かに手っ取り早いだろうが、それ以上に危険性が伴うだろう。
ドローンの到着までを待とうと力を抜いた、その時。
───鳴り響く、甲高い警告音。
「っ!」
「下がって、先生」
エイミの行動は速かった。
即座に銃を抜き照準固定。更にギーを庇える位置にまで移動し、じっと狙いをつけている。
何が起ころうとも即時対応できる距離と位置。
見据える先は、警告音の発生源。
すなわち、眠る機関の少女。
「状態の変化、および接触許可対象を感知。休眠状態を解除します」
今までの静謐は嘘であるかのように。
少女の形をした機関人形は瞼を開け、ゆっくりとした所作で立ち上がる。
その様はまさに生きた人間そのもので。
彼女は落ち着き払った様子で、茫洋とこちらを見遣る。
「状況把握、難航。思考の最適化を開始。知的生命体との対話を試みます。説明をお願いできますか?」
「こちらも説明を要求する。君は一体何者だ」
明確に思考し、発言している。
機械的なやり取りとはいえ、意思の疎通が取れている。
上層機関兵やルアハのような、人間の大脳を流用した機関人形ではないというのに。
「本機の自我、記憶、目的……そう、私の目的は」
質問を質問で返されて、それでもそれは……彼女は問題なく応答を続けている。
そして。
彼女は、答える。
「"愛する"こと」
およそ、この状況に似つかわしくない比喩表現だった。
愛することが、目的。
そう言ってのけた少女は、やはり人間のように柔らかく微笑みながら。
「美しきは黄金の瞳のサニド。
名もなき神々の王。王にして女王。王女にして王子。
旧き神。焼き尽くす白熱。ザ・ホラー。
すなわち、いずれ我が躯体に舞い降りし神性」
謳うように少女は語る。
ギーたちには分からない言葉。何某かの意味を持つであろう言葉を。
「あらゆる知的生命、精神、人間の守護者たる慈愛の光。
その躯体たる《偽神》の我が身を以て───貴方を愛しましょう、人の仔よ」
それは一切の混じり気のない、慈しみを湛えた瞳だった。