穢れと祓除   作:おサトさん

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朧①

夜が明けた。奏は身支度を整えて屋敷から登校する。

 

「あっ、おはようございます」

 

 

「......おはよう、誰かと待ち合わせしてんのか?」

 

 

「えぇ、奏君を」

 

昨日の一件もある、初日とはいえ休んでも別にいいと思うが、登校中に鉢合わせしてしまった。

 

「ま、いいや。行くか」

 

 

「そうですね、行きましょう」

 

そうして一緒に歩き出すが、奏は疑問に思ったことを口にする。

 

「そういえば、あれからどうなったんだ?」

 

 

「奏君に助けられてからは、家に帰ると両親が安堵していました」

 

 

「まぁ、そうだろうな」

 

 

「ですが、この一件についてはニュースにはしてません」

 

 

「どうして?」

 

 

「第一に、大事になれば記者が自宅や学校に来るでしょうし、父にも迷惑が掛かるかもしれません」

 

奏は意外にもしっかりしている帆夏に驚いた。

 

(へぇ、ただのお嬢ってわけじゃないのか)

 

 

「何でしょう、失礼な事を考えてませんか?」

 

 

「いや別に」

 

そんな事を話していると学校に辿り着き、さっさと教室に入って行ったのだった。

 

 

♦︎♦︎♢♢♦︎♦︎

 

 

柏市の市街地のど真ん中、道路のコンクリートを突き破って出て来たのは穢れ。その数は9体、顔がデカく、着物を着ている。

 

「兄ちゃん、人間いっぱいいるよ」

 

 

「いっぱいだな、栄養たっぷりの妊婦、噛みごたえのある男、柔らかい肉の女、つまみのガキ、こりゃあ大量だ」

 

 

「兄者!早く早く!」

 

 

「焦るな弟よ」

 

呑気に会話をしているが、人々からすれば冗談じゃない。そのまま襲われようとした時、偶然いた祓除師が出張る。

 

「随分と図体が高いな」

 

 

「何だと人間」

 

 

「兄者、早く殺そうよ!」

 

そこから戦いは始まる。祓除師はドリルのようなもので応戦し始める。

 

 

ゴロゴロゴロゴロ........

 

その頃奏は2時間目をぼんやり聞いていた。

 

「ん?雷?」

 

 

♦︎♦︎♢♢♦︎♦︎

 

 

「ふう....ふう....あと3体....」

 

周囲の人々は逃げ、祓除師は何とか6体を撃破していた。

 

「よくも兄弟を....!」

 

 

「弟を殺しやがって!楽には死なせないぞ!」

 

 

「だが周りがいないから派手にやれるぜ!くらえ!」

 

祓除師の頭の上には更に巨大なドリルが出現する。

 

「破滅の三槍!!」

 

ドリルは穢れの頭を正確に貫き勝利する。

 

「はぁ...はぁ....やった!大量の穢れを撃破した!これで俺は昇格でき」

 

ボギュ

 

「うるさい、喚くんじゃないぞ」

 

勝利を確信して歓喜の声を上げる祓除師だったが、無慈悲にも更に現れた穢れによって、腹を貫かれた。

 

 

♦︎♦︎♢♢♦︎♦︎

 

 

ジリリリリリリリリリリリリリ!!ジリリリリリリリリリリリリリ!!

 

突然の警報、同級生のみならず、教師や上の学年もザワザワ声を上げる。

 

『柏市の市街地に穢れが出現しました。教員の方々は、生徒の皆さんを避難指示を出してください。繰り返します.......』

 

「うそっ、穢れ?」

 

 

「嘘だろ?隣なのに警報出るって事は相当ヤバいのか!?」

 

 

「はいはい静かに!」

 

教師の一言により、生徒は静まり返る。

 

「今から避難指示を出します!皆さん廊下に並んで!」

 

教師の指示に従い廊下に出始めるが、奏は学校から許可されているスマホから電話が鳴る。

 

「もしもし?」

 

 

『天城市の対穢れ部の青木です。速やかに柏市にいる穢れを撃破する事を要請します』

 

 

「分かりました、位置情報送ってください」

 

 

『分かりました。すぐに位置情報を送ります。ご武運を』

 

役所からの電波は終了した。この事を教師に伝える。

 

「分かりました。気をつけて」

 

 

「奏君、気を付けてください」

 

教師と帆夏は心配するも、手を振り校門を出て行った。

 

 

♦︎♦︎♢♢♦︎♦︎

 

 

「大して強くもないな、祓除師という者は」

 

穢れの後ろにはさっきの祓除師と、新たに戦いに来た祓除師6人の死体が転がっていた。

 

「つくづく人間は、逃げるのだけは速いものだな」

 

 

「待て」

 

誰かが穢れを呼び止める。穢れは怪訝な顔をして後ろを向く。そこには空手服を着た古風の男がいた。

 

「何者だ?」

 

 

「俺は天眼神涼拳(てんがんしんりょうけん)の門下生であり、小占師の祓除師吾妻翔だ。お前が噂の穢れか」

 

吾妻は天眼神涼拳の構えをする。

 

「面白い、その天眼神涼拳とやらを見せてみろ」

 

穢れは吾妻に乗って構える。

 

「天眼神涼拳門下生、吾妻翔」

 

 

「我が名は(おぼろ)

 

 

「「参る」」

 

両者は激突する。護身術天眼神涼拳の吾妻は正確に朧と名乗った穢れの攻撃を受け流す。

 

「やるな人間!我とここまでやれた人間は初めてだ!」

 

 

「おおおおおおおお!!!!」

 

 

(こいつ!攻撃が重い、動きも速い!天眼神涼拳を習得していなければ最初の一撃で死んでいた!)

 

ドドドドドドドドドドドド!!!!!

 

拳と拳の撃ち合いで衝撃波が発生する。だが朧の動きは速くなっていく。

 

「隙あり!」

 

 

「ぐぉ!?」

 

吾妻は一撃をもらい、ビルにぶつかりながら吹き飛んでいく。

 

「ふぅ....!人間もやるじゃないか」

 

満足そうにし、朧は人を求めて市を移動する。

 

 

♦︎♦︎♢♢♦︎♦︎

 

 

人々は穢れから逃げる為に避難所に逃げ込んでいた。ここは祓除師が作った穢れに有効な札を張っていた。

 

「大丈夫だよね?母ちゃん」

 

 

「大丈夫よ、悪い穢れは祓除師が倒してくれるから」

 

だが外では運悪く朧が避難所を見つけてしまった。そして朧は堂々と侵入しようとする。

だが紐に縛られた札による結界の中に入り体は若干燃えてしまう。

 

「ちぃ、祓除師の結界か、邪魔だ」

 

朧は紐を念力で札を焼き切ってしまい、結界の効力は無くなってしまう。

そして朧は避難所の壁を簡単に破壊して中に入る。

 

「おいおいおいおい......何で穢れがいるんだよ!?」

 

 

「やべぇ!やべぇ!!」

 

中の人々は朧によって虐殺が始まってしまう。1人、また1人と潰れたトマトのようになってしまう。

その時。

 

「ぐはっ!?」

 

朧は何者かによって殴られてしまう。だが殴った者は人ではない。ゴリラのような何かだ

 

「間に合ってはいないか」

 

そこにいたのは奏と同じ年齢の少年。彼は手に札を持っている。

 

「式神使い、小占師の一条流星!大丈夫ですかー!?」

 

 

「ありがとう!助けに来てくれて!」

 

 

「かっけええええ!!」

 

 

「すげえ!」

 

避難所はすっかり勝ちムードになってしまった。だが朧は死んでいなかった。

不意打ちで流星は朧の攻撃を喰らってしまった。

 

ドン!!

 

強烈な一撃は流星にモロに喰らい、奥の壁に激突してしまった。地面は抉られ、壁には穴が開く。

 

「人間が、図になるなよ」

 

 

「....ゴフッ」

 

鼻から血を出して朧は青筋を立てる。

 

「逃げろー!速くしろ!」

 

ここで人々は逃げ始める。朧は人々に攻撃をしようとしたが、流星が新たに出現させたカラスの式神で妨害する。

そうこうしているうちに、人々は逃げることに成功した。

 

「貴様.....!」

 

 

「悔しいのかよ、穢れ」

 

 

(立てよ俺!一条家ではゴミなら)

 

流星は祓除師の家系の中でも特に大きい勢力を持っている帯状五家(たんじょうごけ)の内の一つの一条家。超エリート一族に生まれたが、弱いと蔑まされ、柏市に飛ばされてしまった。

 

(ここではヒーローになってみせろ!)

 

 

「あぁぁぁ!!!」

 

ゴン!

 

だがその勇気は打ち砕かれる。

 

「残念だったな」

 

頭から血を出し倒れるが、ある少年が受け止める。

 

「頑張ったな」

 

 

「......何者だ、貴様」

 

朧が殺気をだす。少年は答える。

 

「神楽奏だ」




因みに、作中で中占師とか小占師とか言ってますが、これは祓除師の階級です。
大きい順に、
大占師、中占師、小占師、一級、二級、三級
って感じです。
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