「お久しぶりです、のび太さん。」
アンリエッタはある日突然のび太(正確にはティファニア)の部屋を訪問し、のび太に抱きついた。
「私、あなたがいない間寂しくて寂しくて、死んでしまいそうでした。」
昨日会ったばかりなのに、ハムスターのような事を王女。そんな彼女を恨めしそうな目で見るティファニア。ティファニアの視線に気づいたのび太はあわててアンリエッタを引き離す。
「のび太さん、私と一緒にアルビオンに来ていただけませんか?」
「アルビオン?」
「はい。実はアルビオンにいる私の知り合いから報告があったんです。未知の鉱石が発見されたと・・。そしてお母様に相談した所、のび太さんを同行させるようにと。」
「う〜ん。」
のび太は腕を組みながら、考える。
「ダメです!そんな危険な所にのび太さんを行かせられません!」
側で話を聞いていたティファニアが口を挟んだ。
「そんな所にのび太さんを行かせません!」
いつもの大人しい性格のティファニアからは想像出来ない大胆な行動だった。
「アルビオンは今貴族による反乱が起きています。そんな所に行くなんて、あなたはのび太さんを殺す気ですか!?」
「ティファニア・・・・・」
ティファニアの静かな迫力にのび太は気圧されてしまう。
「そっ・・・・それはっ・・・・それは・・・・わたくしの周りに信用できる者がいない・・・・から・・・・」
「それはあなたにとってのび太さんがもっとも使い易い駒だから。確かに他の人では途中で裏切る可能性もある、それに正規の軍を動かすわけにも行かない。その点唯の平民であるのび太さんならアルビオンに行っても問題ない。道中で仮に死んでしまったとしても、その時は他の策を使えばいい。」
「そんなッ・・・・わたくしは・・・・・」
ティファニアのいたぶるような言葉が続く。
「のび太さんは必ずアルビオンに来てくれる、それは信頼しているがゆえの確信ではなく、王女の自分が言うのだからついてくるに違いないという、もはや勝手な思い込みから来る確信でしかなかった。」
「黙りなさいっ!」
ティファニアの言葉にアンリエッタは叫び、杖を突き付ける。
「あなたに・・・・わたしの何が分かるって言うの!?」
思わぬ自身の内面を突くティファニアの言葉に怯んだアンリエッタだったが、しかし一応の意地を見せる。ティファニアはあくまで部外者だ。そんな見ず知らずの者にただ言われているだけなど、小さくとも確かに存在するアンリエッタのプライドが許さなかった。
「・・・・・・行くよ。」
「『え?』」
のび太の言葉にアンリエッタとティファニアには彼に視線を向ける。
「僕、アルビオンに行くよ。」
「のび太さん!?」
のび太の言葉にティファニアは声を上げ、アンリエッタは嬉しそうな笑みを上げる。
「ありがとうございます。後、これは急ぎの任務です。アルビオンの貴族達は、王党派を国の隅っこまで追い詰めていると聞き及びます。敗北も時間の問題でしょう。一刻も早く、アルビオンに向かう必要があります。早速、明日の朝にでもここを出発いたします。」
明日の朝か・・・・・とのび太は内心呟いた。
「お待ちください!!」」
そう言うのと同時に扉が開き、ワルドが部屋に入ってきた。意外な乱入者に三人は驚く。
「姫殿下! その困難な任務、是非ともこの魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵にも仰せ付けますよう!!」
「ワルド、あなた今の話全部聞いていたのですか!?」
「申し訳ありません、姫様がこの部屋に入るのが見えたので。」
我にかえったアンリエッタがワルドに話しかける。
「任務の一員に加えてくださるなら、これはもう、望外の幸せにございます。」
「・・・・・・わかりました。」
そう言うとアンリエッタはワルドに向かい二コリと笑い、すぐに表情を改める。
「あなたに私たちの任務に同行することを命じます。」
「はい!その役目確かに承りました!」
ワルドは姿勢を正し、アンリエッタに礼をする。
この小説は続けた方がいい?
-
続けた方がいい
-
やめた方がいい