「よし!二人で持ち上げるよ!せーの!」
のび太の掛け声でアンリエッタは棚を持ち上げる。棚は少しづつ持ち上がる。だが
「!?」
後ろからハンカチで鼻と口をおさえられ、アンリエッタは眠りの世界へと落ちていった。
「ぐぬぬぬぬっ。」
当然アンリエッタの支えが無くなった棚は重くなる。のび太は先程よりも力を入れる。だが流石に一人では限界だった。のび太の顔色が徐々に真っ青になり、棚がゆっくりと倒れていく。
「え!?」
すると棚がいきなり持ち上がる。首を捻ると、そこには見知った顔がいた。
「カトレア先生!!」
学院にいるはずの教師がいた。しかも彼女は身に覚えがある手袋をはめていた。急いで下敷きになった従業員を助け出した後、のび太は彼女に向き合った。
「大丈夫?怪我はない?」
「はい。大丈夫です。でもどうしてここへ?それにその手袋は?」
「ええ。じつは・・・・・・・」
カトレアは、いつもの優しい笑みを浮かべた。そしてそこへ・・・・・
「のび太くーーーん!!!」
再び見知った声が聞こえてきた。振り向くと、青い猫型ロボットが走ってくる。その足は意外と速かった。遠くに見えていた影が大きくなり、のび太の側にやってくる。二人は満面の笑みで小さな円を描くようにぐるぐる回って喜びを爆発させていた。
「のび太くん、やっと会えたね!」
「助けにくれたんだね。ありがとう、ドラえもん!」
「そういえばのび太くん、女王様は?」
「え?あ!」
ドラえもんの声で我に返ったのび太は、辺りを見渡す。先程まで一緒にいたアンリエッタとワルドの姿がない。
(ここは・・・・・?)
顔を持ち上げ、辺りを見回そうとして、アンリエッタはやっと違和感に気付きはじめた。両腕と両足を後ろで縛られ、アンリエッタは自分の状態の様さを把握した。
「なによ、これっ・・・!?」
腕に力を込めるが、ロープはびくともしない。
「おや、目が覚めたみたいですね。」
「だ、誰っ!?」
するとコツコツと誰かが近づいてくる音が聞こえる。現れたのは白い仮面をかぶった貴族の男だった。
「あなた、自分が何をしているのか、分かっているのですか!? 王族を前にしてこの対応は無礼でしょう。今な
らまだ・・・・・・」
しかしアンリエッタのその言葉は最後まで紡がれることはなく、突如として部屋中に響き渡った哄笑によってかき消された。弾かれるように轟いたその哄笑は男の物。限りなく下品なその笑いには何の遠慮も礼節もなく、他のどんな言葉よりも、相手のあらゆる尊厳を踏みにじる最大の侮辱であった。そのような辱めに、アンリエッタの表情が不快から真っ赤な怒気へと変わった。
「一体何を嗤うのです!?王家の者に対してそのような品の無い振る舞い、許しませんよ!!」
矮小な小娘の身の上ながら、精一杯の王の威厳を見せて、アンリエッタは言い放つ。
「もう黙れ。」
そう言うと男はアンリエッタの目の前に、ある物を取り出した。それは不気味光を放ち、禍々しい
オーラを纏ったマジックアイテム。いや、マジックアイテムと呼べるような品物ではない。
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