成功報酬−弾薬費−修理費+(特別加算−特別減算)= 作:万年赤字一般傭兵
ラナさんから遂に見放されてしまったので初投稿です
前回のあらすじ
強化されたMTと戦闘、勝利
しばしの休憩の後、隊長と入れ替わる様にしてホーリー先輩が入室し、早速総評を告げられる
「AP残量90%以上、チャージングなし残弾は約60%……これだけなら問題はない。
完璧だと、言わせてもらおう」
「しかし! 最後の動作は減点だな……
貫通時の衝撃で
「排熱が上手く出来なかったのだろう銃口、銃身その他諸々が使い物にならなくなった。
加えて、焦るのは悪い癖だ。以後しないように」
「はい!」
前世の記憶にあった、銃身の突き刺し
咄嗟の攻撃として再現したものだが……よくよく考えれば、しなくても良い動作である
APに余裕はあり、エネルギーも回避分はあった。
落ち着いて次の攻撃を避け、冷却が終わったブレードで斬りかかれば良い
敵の撃破を焦るのは間違い無く悪い癖だ、直さねば
「はぁ……分かったならいい
……しかし渡したものを、あの様に使うとはな。
流石に私も驚いたよ」
「最初は視点操作だけに使っていましたが……
他にもできる事がないかと模索しまして」
あの様な無茶な動きを出来たのは、私の技量が理由……と言うわけではない
それはサイティングの壁を乗り越えた日に、ホーリー先輩から受け取った物に起因している。
『早いな……約束通り、これを渡そう』
『? この端末は?』
『ACの動きを別口で制御できる端末だ。
手動操作とは別に、入力した動作を反映できる。
君には、これのデータを収集してほしい』
『ちゃんと、メリットもあるぞ。
これを使えばカメラを動かしつつ、操縦に専念できるだろう?』
『おお! 本当ですか!?』
『ああ、ただし反応は遅い。
事前に入力する必要があるのは、勿論のことだが……加えて、一度出した指示は取り消す事が出来ない。注意して使え』
『はい!』
『コックピットの、この部分に繋げば使える。
使用データは自動でこっちに送られるから、単に使ってくれればいい』
『データは何に使うのですか?』
『私は無人機の研究も行っていてな、AIの改良の為に使うつもりだ』
この時に渡された端末。
最初は反応の悪さにかなり苦戦したが何度も利用する内に、使える様になっていった。やがて、カメラ操作だけでなく腕部やブースターなどといった別の操作にも適応し
今回の様な無茶もできる様になったのだ。
「……まぁ、いいだろう
今回のも腕部負荷に関するデータにはなる……はずだ」
「さて、説教はここまでだ。
後でレポートを出してもらうが……
皆が祝宴を準備している、今から行こうか」
こうして、
初のAC搭乗は問題がありつつも、良い結果に終わり
その日は、久しぶりに栄養剤以外の美味しい食事を食べた。
それからは、以前の様に時間が一気に流れ
[BAWSが自社AC BASHOの開発完了を発表
同社MTの発展であり、量産化も計画……]
[ベイラム系列企業、大豊が技研のAC技術提携・ジェネレータ技術分野にて参画]
[タキガワ・ハーモニクスが技研のAC技術提携へ参画。独自のパルス技術を活かせるか]
一年半後
現在も私はACに乗っているが、それだけではない
[では、これより…….
左腕部試作パーツ
及び
背部試作パーツ
これまでの訓練や試験の成果からACの駆動データ収集だけではなく、遂に様々な兵器のテストも行える様になったのだ
新しい感覚の、パルス武器にプラズマ武器
もう、楽しくて楽しくて仕方がない
高周波振動の斬撃を無人MTに叩きつけ、スタッガーに合わせて後ろへQB
距離を取り、プラズマをぶっ放す
着弾後、紫色のバチバチがMTを覆い尽くし……
内部機構を装甲ごと焼き切った
[…………動作、威力、EN消費問題なし]
[了解しました、後はこちらでやります。
そのままガレージに戻って下さい]
あまり聞き覚えの無い声に従いガレージに戻り、ACを停止させると早速、科学者達が謎の機械と武装を見比べ始めた
変わったのは私だけではない、環境もだ。
最近、パイロット寮まで来る人が妙に多い
詳しい事は分からないが……
何かが起こりそうな予感がした
(このままシミュレータまで行くか……)
予想より早く終わったテストに退屈さを覚えながらも、シミュレータへ向かうと
「あら、テストはもう終わったの?
"J"ちゃん、ちょっと話があるから着いてきてちょうだい」
「! お疲れ様です、副隊長!
了解致しました!」
副隊長に出会った
「折角シミュレータを使いに来たのに……
急に申し訳ないわね。
これから、連絡しようとしていた所なのよ。
でも、大事なことだから付き合ってもらうわ」
隊長は最近、多忙の身である。
故に私は、この人から様々な事を教わっており、最近はかなり世話になっている。
シミュレータにて訓練したい欲は、副隊長への恩義に軽く負けた。
「いえ! 副隊長の話とあらばいつでも聞きます!」
「ありがとうね……
……全員と連絡が取れたわ。
取り敢えず第二会議室までいきましょうか」
10分後
現在、会議室には隊長以外の全隊員が集まっている
「副隊長、隊長はどちらへ?」
「あの人は忙しくて来れないわ。
だから、今いるこの面子で話すわよ」
「「「了解し((まし))た」」」
皆を集めることなのに隊長がいない事を疑問に思いつつも、副隊長の話を待つ
「さてと……じゃあ、始めましょうか」
「話っていうのはね……
私達、AC試験部隊の配置換えよ」
配置換え、つまり
「まぁ、要するにこの寮とはお別れ、という事ね」
ここに来てから約2年、
この寮に思い入れがないといえば嘘になるが…極論、ACを操縦できればどこでも良い
「そして、代わりに行く場所が……技研本部よ」
「待て、それはまさか……」
技研本部
仮にも技研の試験部隊であるのなら、行く事自体はおかしくないはずだが…ホーリー先輩と副隊長は深刻な顔をしている
「その、まさかよ」
状況が飲み込めない。
横を見れば私の様に、オレンジ先輩も困惑の表情だ
「……どういう事ですか、説明を要求します」
「そうね、もう話してもいいわね。
数年前から始まった、テロリズムは知ってるかしら?
簡単に言うと、私達はそれの鎮圧をしに行くのよ」
テロ、人によって起こされる災害
それを自分達が鎮圧するということは
「しかし、警備部隊が治安を維持していたのでは?」
「ここ最近何故かは分からないけど、一気に勢力を増したのよ……警備部隊じゃ対処出来ないほどね」
ACを使う事、つまり
「成程……"J"はどうなるのですか?」
「私達と同じく、行く事になっているわね……」
人を、殺しに行くのだろう
副隊長の、最後の言葉で部屋に沈黙が広がる
「待ってください、自分は大丈夫です。
ACに乗る事を決意した日から覚悟はしています」
「あのね、"J"ちゃん、これからの事は今までとは違うわ。誰かを殺すだけじゃないの、殺されるかもしれないのよ」
誰かを殺し、そして殺されるかもしれない。
だが、そんなもので夢を、父への挑戦を諦めたくない
「……だから、何だと言うのですか。
ACから降りろ、と言う事ですか」
「だとしたら、尚更行きます。
私の生きる場所は、そこにしかない」
だから、こればかりは譲れない
例え善意であっても
「"J"……」
「それに、上は私にも行く様に命じているのですよね
なら、どっちにしても乗るしか無いはずです」
悲痛な顔をする副隊長に胸が痛む
だが、引けない
「…………いや、そうね……
貴方の言う通りね……"J"」
「副隊長!? お待ちください!」
「いや、"J"の言う通りよ。
それに私が今更善人ぶるのも、おかしな話だわ……」
「っ! ホーリーさん、ホーリーさんは!?」
「……悪いが、同意見だ。
俺は科学者で人を殺した事はない。
だから、正直言って俺も悩んでいる」
「だがな、俺はその子が適性試験を受けた時からずっと見てきた。それを踏まえて言うが…生半可な覚悟ではない。文字通りACに全てを捧げようとしている」
「だから……言葉だけでも覚悟を言えない俺に……
その子の覚悟を、否定はできない」
「っ〜!!」
いつも丁寧で、あんなに落ち着いていた先輩が
今は、とても心を乱している
「オレンジ先輩……」
「死ぬのですよ! どんなに操縦が上手くても、強くても…戦場で、人は死ぬのですよ!! 何故、怖がらないのですか!?」
「貴方は、物事を知らない子供では無いでしょう!?試験でも訓練でもテストでも実弾を使っていました、分かる筈だ! 実戦の、戦いの怖さが!!」
「……ACに乗る以上
そこにしか、私の居場所が無いからです」
「…………何故、貴方たちはいつも、そうなの……ですか」
先輩は小声で何かを言ったきり、そのまま黙り込んでしまった
それから、副隊長から更なる説明がされた。
しかし、上手く頭へと入らなかった。
ただ、分かったことは
平穏な時間の終わり
それだけだ
[……それで"J"ちゃんも、そうって訳?
あの子と同じ……]
[ああ……間違いなくな。
ホーリーもそう言ってただろう? ]
[一種の天才ってやつだ。自分で気づいては無いが]
["ドミナント"…与太話とは言えないわよねぇ]
[今回の配属も大丈夫だとは見ている、それに……]
["それに"? 何か言いたそうね]
[俺達との交流は、彼を急成長させた]
[なら、命の取り合いをすれば……]
[あの企業から、まさか援助があるとは……]
[こちらの技術を、ある程度流してやったからな]
[それにしても、です。この額は…]
[或いは、それほどの金を掛けてまで"状況"を維持したいのだろう]
[どう言う事ですか? ]
[甘い蜜を吸うのは自分だけでいい、と言う事だ]
[? ]
[まぁすぐに分かるさ。
さぁて使われるばかりもつまらんな、どんどん追加の援助を要請しろ。…大丈夫だ、よっぽどの事が無ければ断られる事はない]
[試作品の改良も早めに進められそうだ。
まさしく、"僥倖"だな]
安定の時代は終わった
ここからは、戦争と不安
そして、新たな可能性の時代である
CHAPTER 1
"KEY ASSIGN and AC TEST" FINISHED
ここまで読んで頂き、ありがとうございました
ACですので、平和にはならない
むしろ悪化する
AC6は少年兵を忌避する様なACにしては、まともな倫理観が働いているイメージ
でも企業は企業
アリーナで順位を上げて行ったら続き書きます