成功報酬−弾薬費−修理費+(特別加算−特別減算)=   作:万年赤字一般傭兵

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マスターアリーナに挑むので初投稿です

前回のあらすじ

苦戦しながらも作戦成功



Time to Break the Shell

 

 

『…何でコレが好きか、だって?』

 

『様々なメカ、世界観、全て気に入っている。

 だが強いて言うなら、例外(イレギュラー)になれるからだ』

 

『特別な目的もない。

 金と生きることだけを考えてただただ生きる』

 

『それでも特別になれる…

 広い世界で生きた事を証明出来るだろう?』

 

『所詮ゲームだが…だからこそいいのさ。

 …夢とわかっているなら、諦めもつく…』

 

『能力も、やる気もない私でもな…』

 

 

 

 

 

 

 

(……ん?)

 

 暗くなった視界が晴れた。

 ぼんやりとした光を頼りに目を動かす。

 さっきまでコックピットの中にいた筈だが…今は、謎の機械の中で寝かされている様だ。

 オイルの匂いではなく、ツンとくる匂いが鼻に入ってくる

 

 

「……こ こ は ?

 

 声を出そうとするが、中々出ない。

 取り敢えず体を動かそうとして

 

「…っ!」

 

 全身に走る痛みで体が縫い付けられた。

 腕、脚、胴、首、頭、体全体が悲鳴を上げている

 

(何なんだ…)

 

 訳もわからない状況だが、体は休息を求めているようだ

 

(……ねるか)

 

 疑問はある。しかし睡眠欲が上回り、そのまま眠りに入った

 

 

 

 

 

 

 

 [登録番号 T-5 識別名"J"の覚醒を確認]

 

 

 

 

 

 

 

 

 不意に入ってきた優しい光に目が覚める

 

「ん…あ ぁ…!」

 

 痛みが消え去った訳ではないがマシにはなった。

 目をしっかり開き周りを見渡す

 

(カプセル、周りに見える機械、薬の様な匂い、

 痛む体……)

 

 

 以前とは違い明るくなった部屋はよく見え、状況の把握を可能にした

 

 

(病院*1か……?確かあの時)

 

 理解が追いつけば頭も冷静になるようだ

 

(ACで無理な突撃をして…

 今、生きている……作戦は成功したのか?)

 

 何とか状況を把握し始めた所で

 

 

 [おはようございます"J"]

 

 聞き覚えのある声が、耳に入った

 

「オール まいんド?」

 

 [はい、そうです。

 まだ混乱しているかもしれませんが、今は休息を取ってください]

 

 オールマインドだ

 

 

「なに が あった?

 作戦 は 成功 したのか?」

 

 彼女なら、色々と知っているだろう

 

 

 [第一の質問がそれですか…まあいいです。

 それでは、説明を開始します]

 

 [まずは貴方とオレンジ隊員による作戦から。

 心配しないでも大丈夫です、成功しましたよ]

 

 [あなた方の活躍により技研本部は無事です]

 

「そう か よかった」

 

 [しかし、それだけではありません。]

 

「 なに が あった」

 

 [あの作戦の最後に、無茶をしましたね]

 

 [それにより…貴方はずっと昏睡状態にありました]

 

「……」

 

 [ええ 分かっています どれくらいの長さか?]

 

 [あなたが眠っていたのは…3ヶ月です]

 

「…!!…!」

 

 3ヶ月、かなりの長さだ。

 体の衰えもひどいだろうし、周りの状況も大きく変わったのだろう

 

 

 [ですので…多くの事が変わりました]

 

「…どんな事が、あった」

 

 [大きく分けて2つほど]

 

 [まずは一つ目、

 テロリストは先の動乱で完全に壊滅。

 …裏にいる黒幕も判明して再起は不能になりました]

 

(本当に、終わったのか…)

 

 かつては命の取り合いができる望ましい敵だった。

 死にかけた、その時すら最高の快楽で…どこか物足りなさがある

 

 [そして二つ目、

 M・トーマス教授が警備部隊により拘束。

 そして、然るべき"処分"を受けました]

 

「っ!? な ぜ」

 

 [それは、彼が今回のテロの首謀者だからです]

 

 

 トーマス教授がテロの首謀者。

 突然明かされた事実に驚きしかない

 

 

 [もちろん私達も多いに混乱しました。

 彼は素晴らしい研究者であったのです]

 

 [こんな事など起こす必要もない上に、その素振りも無かったのですから]

 

(その通りだ…どうして)

 

 [残念ながら機密により貴方に動機は話せません。

 ですが、証拠は貴方の活躍によって揃ったのです]

 

「どう いう ことだ」

 

 [今回の動乱を大きくした原因の一つ…無人ACの停止。

 そして貴方が対処した輸送ヘリ内の特殊機械]

 

 [これらに対する分析により、判明した技術は彼の研究に関連していました。故に、今回の発覚にまで繋がったのです]

 

 

「そう なのか」

 

 

 動機が気にならない事もないが、元より繋がりがあった人物でもない。

 今更せんなき事だろう

 

 

 [完全な決め手になったのは貴方によって齎された特殊機械の確保です。素晴らしい活躍ですね]

 

「ああ……」

 

 あまり飲み込めないが取り敢えず当面の脅威は無い、という事か。

 しばらくは落ち着けるだろうが休む前に

 

「オール マインド、隊の先輩 方 とか

 家族に 友人に 連絡したい。繋げるか?」

 

 

 自分が生きていることを親しい人に伝えたい

 

 

 […申し訳ありませんが今は不可能です]

 

 

 答えは否定、とはいえ起きたばかりなら仕方ないか

 

 

「なら 後 どれくらいで できる?]

 

 [それは、これからの貴方の回答次第になります]

 

(回答…?)

 

「どういう ことだ」

 

 時間だけが問題という訳ではない。

 その返答に訳が分からずただ質問をする

 

 

 

 

 

 

 

 […"J" 独立傭兵になるつもりはありませんか?]

 

「……独立 傭兵…」

 

 その言葉は何処か私の憧れをくすぐり、まるで錨のように心へと沈み込んでいった

 

 

 

 

 

 

 

「どういう、ことだ」

 

 [あまり詳しくは言えませんが…

 今回のテロ、これは偶発的なものでは無く他勢力の介入があって起こされたものでした]

 

 [ですので、技研はこの様なことを二度と起こさない為に自由に動かせ尚且つ信頼できる強力な戦力を欲しています]

 

 [しかし、かつてのAC部隊は非常時の特例です。

 これからも同じ様に運用できるとは限りません]

 

 

 [それ故に、貴方に目をつけたのです]

 

 [素晴らしいACのパイロットで…技研に強い縁があり作戦の最後で撃墜された為、生死が不明な貴方に]

 

(………)

 

 

 独立傭兵になる。

 今までの部隊を離れて危険な任務を行う傭兵に。

 それは魅力的だが、同時に不安を感じさせる

 

 

 

 [もちろん傭兵にならずとも構いません。

 その時は元の部隊に、そのまま戻ってもらいます]

 

 [もし、なるのだとすれば…戸籍情報などは一新されて新しい身分を得ます。

 一応、技研の関係者に限り接触は可能です]

 

 

 [いかが、なさいますか?]

 

 

 きっとこの機会を逃せば、首輪付きだとて、傭兵になる事は叶わない。

 だが傭兵になれば、これまでにいた明確な味方はいなくなる。そして、より危険な事をするのだろう

 

 

 

 

 今までの事を続ける安泰

 傭兵として活動する危険と魅力

 

 

 自らの心臓の音すら忘れる程に悩み、悩み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ただACに乗って戦う、それだけなら今のままでもいい)

 

 

 

(だが、もし彼らと同じような例外になるのなら)

 

 

 

(彼らの様に可能性を示すなら、安定は邪魔だろう)

 

 

 

 

「…決まった。私は、独立傭兵になろう」

 

 […承知しました]

 

 

 父への挑戦だけではない。

 私は、諦めた振りをしていた私の憧れに従って

 

 

賽を、投げた

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 [これまで見てきただろう。"J"はどうだ?教授]

 

 [戦いという極限状況において生み出された数々の技術、策、ひらめき、才能……]

 

 [かつて言われた"戦いによる可能性"…確かに、存在するのだろうな]

 

 [ハハッ、つまり"負け"を認めるということか?]

 

 [ああそうだ、認めよう。

 確かに"J"はその身を持って示したよ。

 戦いによる更なる進化…可能性を]

 

 [正しく、ACの戦いがあの子の生きる場なのだろうな。

 ……親としては早過ぎる巣立ちが寂しいが]

 

 [そうか…だが、これじゃあ終わらないな]

 

 [どういうことだ、隊長?]

 

 [俺の見立てじゃあ、あいつの…]

 

 ["あいつの"…?]

 

 [アイツの示す可能性はこんなもんじゃない。

 そう信じている]

 

 

 

 

 

 

 

 [失敗か……惜しいな、早すぎたか]

 

 [惑星ラウェンナには独立傭兵を除き、運用可能な戦力はありません。いかがなさいますか]

 

 […ここで、歓迎しよう。このルビコン3でな]

 

 [それと、これまで以上にコーラルの存在を密告した忌々しい傭兵…あの "レイヴン"の動向を監視しろ]

 

 [また、我が社の邪魔をされる訳にはいかない]

 

 [了解致しました]

 

 

 

 狂気の反動勢力は消え去って世は安定し、多くの企業組織は新資源を巡る争いに集中し始めた。

"我こそがコーラルを勝ち取り人類社会を先導する"

 そんな欲望を抱いて

 

 それこそが…

 社会の破滅を招きかねない思いである事も知らずに

 

 

 CHAPTER 2

 

 "Proof of Argument" FINISHED

*1
ベッドの代わりに、SFに良くある医療用カプセルを使っている、当然ながらAC本編に影も形もない幻覚





ここまで読んで頂きありがとうございます


マスターアリーナを突破できたら続き書きます
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